“釜石の音”映像に重ねる 「エア・カマイシ」最優秀賞〜いわて動画コンテスト2016
受賞作「エア・カマイシ」の1シーン=平田漁港でピアノのエア演奏
「光陽写真」の菊池賢一さん初出品
県主催の「いわて動画コンテスト2016」で、釜石市天神町で写真店「光陽写真」を経営する菊池賢一さん(46)が出品した「エア・カマイシ」が最優秀賞を受賞した。スチール写真が本業の菊池さんが動画撮影に挑戦したのは初めて。「楽しかった。受賞は思いがけなかったが、出演者の協力のおかげ」と菊池さんは喜ぶ。受賞作品はユーチューブの県公式サイト「いわて希望チャンネル」で公開されている。
同コンテストは昨年に続いて2回目。岩手の魅力を発信する機運の醸成、情報発信力の向上を目的に、オリジナル動画作品を県民から募集した。今回は37編の応募があり、審査で「菊池監督」の作品が年度代表作と認められた。表彰式は2月25日に滝沢市で行われた。
作品の制限時間は5分以内。「エア・カマイシ」は、4人の男女が太鼓で「釜石虎舞」、チェロで「釜石浜唄」、ピアノで「釜石小唄」、エレキベースで「釜石市民歌」を、文字通り楽器を持たずに演奏しているシーンを演じ、バックにそれぞれの音をかぶせた。
背景には、建物がない只越町の造成地、根浜、平田漁港、駐車場の屋上などを用い、タイトルバックは港町の岸壁から望む晴れた日の釜石港とした。
菊池さんは「誰でもふるさとの特別な場所はあるだろう。釜石の魅力を表現する手段に悩んだ。動画なら、音、音楽を入れることができることに思い至った。イメージができた。ただ、実際に楽器を運ぶことは難しい。とくにピアノ。それなら、と”エア演奏”に決めた」と制作過程の苦心をたどった。
いわて動画コンテストで最優秀賞を獲得した菊池賢一さん
出演した4人のうち太鼓は菊池さんの長男賢介君(15)=釜石中3年=が担当した。
「みんなの協力で作品ができた。何か創作するなら、ユーモアがあって楽しいほうがいい。編集の難しさとともに、映画監督気分を味わいました」と菊池さん。
菊池さんは震災で只越町の店舗を流失。仮設住宅を経て復興公営住宅に住み、大只越町仮設商店街で写真店を続けている。
(復興釜石新聞 2017年3月25日発行 第574号より)
【最優秀賞】014 エア・カマイシ – いわて動画コンテスト2016 特設チャンネル
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