大漁旗をはためかせた漁船で海を回り、復興完了を祝った

市内被災地区初の工事完了〜花露辺復興、夏祭りで祝う

大漁旗をはためかせた漁船で海を回り、復興完了を祝った

大漁旗をはためかせた漁船で海を回り、復興完了を祝った

 

 釜石市唐丹町の花露辺町内会(大瀬司会長)は18日、地域の復興工事の完了を祝い、唐丹漁港で夏祭りを開いた。市内では21地区が被災したが、復興公営住宅や宅地造成などの高台移転や仮設住宅の撤去、漁港工事など復興工事が全て完了したのは花露辺地区が初めて。「海の日」に合わせたこの夏祭りは海に感謝し、住民の交流を深めるため、震災があった年も継続して行ってきた。今年は工事関係者や支援者らとともに復興を喜び合い、工事完了への感謝の気持ちを込めて開催。約200人が集まり、歌や踊りなどを楽しみながらにぎやかに交流を深めた。

 

 大漁旗をはためかせた約30隻の曳き船、餅まきで工事完了をお祝い。ホタテやウニなど浜焼きを味わいながら、地元の海頭荒神太鼓の演奏、鵜住居町出身の佐野よりこさんらの民謡ショーを楽しんだ。大瀧洋子さん(73)は「普段は年寄りばかりだが、持ちつ持たれつで暮らしていければいい」と、仲間と顔を見合わせ笑った。

 

餅まきに歓声を上げる住民ら

餅まきに歓声を上げる住民ら

 

 震災直後から物資支援や文化・スポーツの応援活動などに区を挙げて取り組む東京都の荒川区社会福祉協議会からも有志6人が駆け付けた。藤田満幸さん(66)は「花露辺地区を含め、釜石市民は周りに協力しようという気持ちを持っている人が多い。だから工事も早く完成したのだと思う。今後は支援という形ではなく、交流を深めていくことで応援を続けたい」と話した。

 

 花露辺地区は震災前、68世帯が暮らしていたが、震災で18世帯が被災した。もともと防潮堤がなく、「地震が来たら逃げる」ことを徹底していた。住民で議論を重ね、今回も防潮堤を造らず、低地を作業所用地として活用し、住宅を高台に移転させることを決めた。

 

 復興公営住宅の整備や自力再建者の宅地造成を進め、なりわいの再生としてワカメの加工場など漁業施設も整備した。唐丹漁港の工事が今年3月に終わり、地区の復興工事が完了。一時、50世帯に減少したものの、市内の仮設住宅などで避難生活を送っていた被災者も戻り、現在は64世帯となっている。

 

 防潮堤の代わりに浸水を防ぐため、標高が16メートルになる市道が新たに設けられ、夏祭りの前には、海岸から高台までの避難訓練も実施。避難路をかけ上がるのは「ゆるくない」との声もあったが、「まずは逃げる」と意識付けする訓練の大切さを再認識した。

 

 同地区での工事に携わったUR都市機構釜石復興支援事務所の安藤誉和所長は「計画通りにならないことが多々ある中で、早い工事の完了だったと思う。しっかりとしたコミュニティーがあり、地元の意見をまとめる強いリーダーシップも発揮してもらった。日常を少しずつ取り戻し、前に進んでもらえれば」と願った。

 

 同町内会前会長で復興事業担当役員の下村恵寿さん(66)は「今日が再スタート。半数が高齢者で健康維持、見守りが課題になるが、結束力を生かし、これまで同様明るい地域づくりをしていきたい」と話した。

 

(復興釜石新聞 2016年7月23日発行 第506号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

トロッコで巡る 釜石鉱山坑道見学

鉄のまち釜石〜トロッコで巡る釜石鉱山坑道見学と国登録有形文化財の旧釜石鉱山事務所

トロッコで巡る 釜石鉱山坑道見学

 

 釜石鉱山は、岩手県釜石市の西部に位置する鉄鉱石鉱山で、仙人峠で磁鉄鉱が発見された江戸時代末期からその歴史が始まり、日本の近代化の歩みと共に『鉄のまち釜石』の根幹を支えてきました。現在、大規模な鉄鉱石の採石は行われていませんが、実際に利用されていた電気トロッコによる坑道見学ツアーが年に数回開催されています。今回、2016年7月25日に開催された釜石鉱山坑道見学会に参加してきました。

 

釜石鉱山のご紹介 – 釜石鉱山株式会社
平成28年度 釜石鉱山坑道見学会を開催します | 縁とらんす

 

釜石鉱山坑道見学

 釜石鉱山への坑道入り口で私たちを出迎えたのは、「バッテリーロコ」といわれる電気駆動の名物トロッコでした。トロッコは高さ1.5mほどで、可愛らしい外観が特徴です。

 

 このトロッコは鉱山内にある地下水力発電所の電気を使って充電しており、環境に配慮された乗り物です。地下水力発電所では湧水を利用した発電が24時間行われており、電力会社にも売電可能なほどの電気を生み出しています。

 

トロッコ

レトロな外観とカラフルなカラーリングのトロッコ

 

仙人秘水原水採水地(旧製造工場)

 

 トロッコで約10分ほど、ひんやりと薄暗い坑道を走っていきます。坑道内の気温はおよそ10度。車内の熱気との温度差でたちまち曇っていく車両の窓、ぼんやりと広がっていく白熱電球の灯り、そして身体全体に響くようなトロッコの車輪の音に非日常感がぐっと高まっていきます。

 

 坑道を抜けると素掘りの空間が広がります。ここでは釜石鉱山の成り立ちが語られます。安政4年(1857年)に大島高任が、この大橋に日本で最初の洋式高炉を1期建設します。実は世界遺産となった橋野の高炉より1年早く、近代製鉄の歴史は大橋から始まっているのです。この事実に驚かれる方も多いかもしれません。

 

製造工場跡地

仙人秘水や仙人秘水を原料とする商品の前で釜石鉱山の歴史を説明

 

 このフロアの奥には、国際的な味覚審査機構からも最高位の評価を受けている「仙人秘水」の旧製造工場があります。現在、仙人秘水はパイプを通して外の工場まで送水していますが、昔はこの場所まで空のペットボトルを運び、充てんをして再び運び返すという作業が繰り返し行われていたそうです。

 

仙人秘水説明ボード

釜石鉱山の鉱脈と「仙人秘水」源泉地の案内パネル

 

仙人秘水について

 仙人秘水は、日本で最初に認可された非加熱処理の「ナチュラルミネラルウォーター」です。”ナチュラル”とは、ミネラル分調整やブレンド等を行っていない天然のままの水を意味します。

 

 水の特性として、pH値は生体水に近い約8.8の弱アルカリ性で、ミネラル分の含有量は適度であるとのこと。酸化しにくい軟水はまろやかな口当たりで、ほのかな甘みが感じられます。この水が何十年という長い年月をかけ、花崗岩や磁鉄鉱といった厚い岩盤で濾過されたものだと思うと、自然が作り出すバランスに驚かされます。

 

原水採水場

坑道内では豊富な水が湧き出ており試飲することもできます

 

 仙人秘水の特徴として、抗酸化力が強い(酸化還元電位が低い)水であることが挙げられます。お酒好きな鉱夫たちによく飲まれていたというエピソードがあるほど、抗酸化力が強い仙人秘水は”二日酔いに効く”といわれているそうです。不純物の少なさを表す電気伝導率の低さにもその俗説を裏付ける数値が現れており、75[μS/cm]という数値は市販されている国内外のミネラルウォーターに比べても低い水準になるそうです。

 

 割り水として、チェイサーとして、または翌日の二日酔い対策として、お酒との相性が良いところも仙人秘水が愛される一つの理由なのでしょう。もちろん不純物が少ない水は、コーヒーやお茶、または料理でも大きな効果を発揮します。

 

仙人秘水と無印良品

 無駄をものをそぎ落としたようなシンプルさと使いやすさが世界中で人気の無印良品では、日用品から食品、衣類や家具、更には住宅まで様々な製品が展開されています。なかでも化粧水や乳液などのスキンケア用品は、保湿力の高さと買い求めやすい価格帯から根強いファンが多い商品ですが、その原料として採用されているのが、煮沸や殺菌の必要のないナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」です。

 

参考記事:MUJIキャラバン – 天然水 | 無印良品

 

化粧水

無印良品で商品化されているラインナップの数々

 

鉄鉱石採掘跡

 

鉄鉱石採掘跡

鉄鉱石採掘跡で発破作業や運搬についての説明を受ける

 

 次にトロッコは、鉄鉱石採掘跡へ向かいます。坑内で華麗なスイッチバックを披露するのですが、突如方向が変わるので乗客の皆さんは少し驚くかもしれません。走り出したその先には採掘の歴史を感じさせる趣深い空間が広がっています。

 

 釜石鉱山では鉄鉱石だけでなく、貴重な鉱物も多く採掘されています。石灰石やトルマリン、大理石など自然が創りだした多くの資源がこの釜石鉱山には埋蔵されています。

 

釜石鉱山で採掘される石

釜石鉱山で採掘された鉄鉱石や石灰石など

 

 これらを採掘するためには大変危険な作業が待っています。現場では熟練者の腕やカンを頼りとする作業が多くあることが伺えました。やはり自然を相手にする現場である以上、五感で異変や危険を察知する能力が必要とされるようです。

 

採掘現場

採掘現場での発破作業は常に危険を伴う

 

 映画のセットに登場しそうな運搬車も登場します。不思議な構造をしていますが、それもこの狭い坑道内をいかに安全に進むかということを考え作られています。ちなみに釜石鉱山で採掘された鉱石の総量は、東京ドーム約25杯分だそうです。

 

運搬車

運転席が横向きに設置された運搬車

 

グラニットホール

 

 かつて構内の休息場として利用されていた空間は、現在音楽ホールとして活用されています。花崗岩をドーム状に掘削して作られたホールで、音の響きが特徴的です。この場所で音楽を聴くと天井からしたたる水の音は次第に消えて、音楽に包まれているような感覚を覚えます。唯一無二の音楽ホールとして広く活用されることが楽しみです。

 

グラニットホール

これまで様々な録音やロケが行われてきたグラニットホール

 

グラニットホールからは、トロッコで5分ほどで坑道の入り口に戻ります。今回の釜石鉱山坑道見学会は以上で終了となりましたが、釜石鉱山と同じ大橋地区にある旧釜石鉱山事務所にも訪問しました。

 
 

旧釜石鉱山事務所

 釜石鉱山付近には、2013年に国の登録有形文化財(建造物)に指定された「旧釜石鉱山事務所」があります。1951年に竣工したこの建物は、釜石鉱山株式会社の総合事務所として2007年まで利用され、翌年、日鉄鉱業株式会社所蔵の釜石鉱山関連資料群とともに釜石市に寄贈されました。

 

旧釜石鉱山事務所

旧釜石鉱山事務所の玄関

 

 2011年に発生した東日本大震災の地震により建物の一部が壊れ、改修工事のため休館となっていましたが、耐震補強工事に合わせてレイアウトや展示内容を大幅に見直し、2016年6月より一般公開が再開されました。釜石鉱山の歴史はもちろん、当時の学校や病院など、この地域で営まれていた生活の様子も知ることができます。

 

【1階】
昭和の事務所:昭和30年代の事務所を再現。当時実際に使用されていた”手回し計算機”や”和文タイプライター”など事務用品を展示

 

旧鉱山事務所

机や事務用品もそのままに昭和の事務所をそのまま再現している

 

【2階】
鉱山のギャラリー:釜石鉱山に寄贈された絵画や彫刻を展示
鉱山の学校:釜石鉱山の学校だった釜石鉱山学園に関する資料や釜石ゆかりの作家の書籍を展示
鉱物室:釜石鉱山で採集された鉱石を中心に展示
鉱山の病院:釜石鉱山の付属病院で使用されていた器具などを展示
鉱山の展示室:釜石鉱山に関する様々な歴史資料などを展示
鉱山の電話交換室:釜石鉱山で使用されてい電話や交換機を展示

 

釜石鉱山概観図

階段の傍に置かれた大きな釜石鉱山概観図

 

鉱山のギャラリー

鉱山に関する美術品が並べられたギャラリー

 

鉱山の資料室

展示室では鉱山の歴史資料や採掘、分析道具などが展示されている

 
 

今回の、釜石鉱山坑道見学会と旧釜石鉱山事務所見学のダイジェストをムービーでご覧いただけます。

 

岩手県釜石市では、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産としユネスコ世界文化遺産に登録された「橋野鉄鉱山」のほか、今回ご紹介した釜石鉱山や旧釜石鉱山事務所を訪れることができます。ぜひ”鉄のまち釜石”で、江戸時代末期から始まる日本の近代化への歩みの一端を体験してください。

 
※釜石鉱山坑道見学会は年に数回開催されており、常時公開はされていません。
※旧釜石鉱山事務所は、休館日があるほか冬場は休館となります。
旧釜石鉱山事務所-釜石市

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

味覚フェス初のホタテ釣りコーナ

海・山の幸 食欲そそる、交流広がる味覚フェスタ〜「橋野」世界遺産1周年も記念、秋から夏へ日程前倒し

味覚フェス初のホタテ釣りコーナ

味覚フェス初のホタテ釣りコーナー。貝の口に針をかませようと意識を集中…

 

 釜石まるごと味覚フェスティバル(釜石観光物産協会主催)が16、17の両日、釜石市鈴子町のシープラザ遊で開かれた。例年、秋に開催しているが、今年は同時期に国体が行われることから日程を前倒し。昨年7月に決まった「橋野鉄鉱山」世界遺産登録の1周年も記念して開かれた。

 

 市内外から46の業者、団体が出店。各地自慢の味や地場産品の販売、体験コーナーなどで来場者を楽しませた。水産まつりでは、釜石湾漁協がホタテの炭火焼きを提供。大きくて肉厚な貝柱が来場者の食欲をそそった。3分間釣り放題のホタテ釣りコーナーも人気で、老若男女が挑戦。震災を乗り越えた地元漁業者が元気を発信し、祭りを盛り上げた。

 

 遠野市の松嶋達宏さん(25)、伊藤妙さん(26)は2人で10枚近くのホタテを釣り、「たくさん捕れて楽しかった。今晩のおかずで焼いて食べたい。釣りが趣味で釜石にはよく来るが、この祭りは初めて。いろいろ見てお土産もそろえたい」とうれしそうに話した。

 

 農業祭の野菜(ピーマン・シイタケ)・餅まきは、開始前から大勢の人だかり。今年はグランバー釜石工場が提供したラスクも合わせ、1千袋以上がまかれた。

 

農業祭の野菜・餅まきは今年も大盛況。釜石の恵みをゲットしようと両手を伸ばす来場者

農業祭の野菜・餅まきは今年も大盛況。釜石の恵みをゲットしようと両手を伸ばす来場者

 

 産業まつりでは県内のほか釜石と交流のある県外の市や町が、特産品販売や観光PRを繰り広げた。震災後の復興支援でつながった山口県下松市は初出店。名物のニンニクを使った加工品を販売し、11月にオープンする国民宿舎のPRも行った。

 

 下松市は2012年から継続する震災復興フェアで、釜石の観光関係者らに三陸の水産物を宣伝してもらい、釜石市の防災担当者の指導を受け、商業施設の防災訓練も実施。釜石の震災の教訓を生かす取り組みを行っている。下松市の清水信男経済部長は「両市は同じものづくりのまち。当市は近年、商業開発にも力を入れ、釜石との人的交流をさらに深めたいと考えている。交流を続け、防災協定なども結べれば」と願った。

 

山口県下松市の販売ブース。まちの味や景観の素晴らしさなどご当地の魅力をPR

山口県下松市の販売ブース。まちの味や景観の素晴らしさなどご当地の魅力をPR

 

 両日150食の無料お振る舞いでは、地元の農水産物を使ったおこわ・磯汁の提供に長蛇の列ができた。17日は、香川県の支援団体が讃岐うどん200食を振る舞った。

 

おこわと磯汁のお振る舞いに顔をほころばせる来場者

おこわと磯汁のお振る舞いに顔をほころばせる来場者

 

 滝沢市の佐藤広明さん(51)は妻めぐみさんと磯汁のおいしさに感激。「内陸にはない味。ホタテやワカメの磯の香りとタマネギの甘さが引き立つ」と浜ならではの味を喜んだ。祭りの雰囲気に「地元の人たちの温かさが感じられ、若者が一生懸命。復興へ歩む姿に私たちも勇気づけられる」と心のビタミンも得た様子。

 

 会場では音楽や郷土芸能のステージもあり、2日間とも大勢の観光客や地元住民でにぎわった。

 

(復興釜石新聞 2016年7月23日発行 第506号より)

 

復興釜石新聞

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義援金を寄せたNPO東北ボランティア有志の会香川

震災義援金5万円余寄付〜香川県NPO味覚フェスタでうどん振る舞う

義援金を寄せたNPO東北ボランティア有志の会香川

義援金を寄せたNPO東北ボランティア有志の会香川

 

 香川県内の有志で活動するNPO法人東北ボランティア有志の会香川(藤井節子代表)は16日、東日本大震災の義援金として5万1871円を寄付した。同NPOは、この16、17日に開催された釜石まるごと味覚フェスティバルにも支援で参加。自慢の讃岐うどん300食を無料で振る舞い、来場者を喜ばせた。

 

 義援金は、今年の大型連休に西日本放送(RNC)が開催した「ラジオまつり」の会場で募金箱を設け、来場者に協力を呼び掛けた。同局のアナウンサーやパーソナリティーの呼び掛けに応じ、「被災者のために役立ててほしい」と多くの人が募金を寄せた。義援金はすでに口座に振り込まれているが、「直接手渡したい」と藤井代表ら7人が釜石市役所を訪ね、野田武則市長に目録を手渡した。

 

 震災直後以来5年ぶりで釜石を訪れたという藤井代表は「5年前は多くのがれきが散乱していた。復興に向かっている釜石の現状をこの目で確かめることができて安心した」と話す。他のメンバーは「被災地を訪れ、こちらの方が笑顔をもらっている」「地域コミュニティーの大切さを痛感させられた」「被災者の辛抱強さを目の当たりにし、チームワークを勉強させてもらった」などと思いを語った。野田市長は「皆さんの支援で何とかここまで来た。復興へ着実に前に進んでいることを理解してほしい」と感謝した。

 

 同NPOは電話会社のコールセンターで働いていた藤井代表が震災直後に被災地と電話で結ぶ業務を担当したことをきっかけに2011年5月に設立。被災地でこれまで延べ220人がボランティア活動を行っている。今回は唐丹町の復興住宅で住民と交流するなどの活動にも取り組んだ。

 

(復興釜石新聞 2016年7月20日発行 第505号より)


 

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最後の単独チーム出場を準優勝で飾った小佐野クラウン

三陸学童野球大会、小佐野クラウン準優勝〜最後の単独出場飾る

最後の単独チーム出場を準優勝で飾った小佐野クラウン

最後の単独チーム出場を準優勝で飾った小佐野クラウン

 

 第34回岩手日報杯三陸海岸学童軟式野球大会兼第22回マクドナルドカップ県大会(県野球協会など主催)は16日から18日まで釜石市の平田公園野球場などで行われ、地元釜石市代表の小佐野クラウンスポーツ少年団が決勝まで進出。決勝では太陽の子スポ少(胆沢区)に4-11(六回コールド)で敗れたものの、見事準優勝に輝いた。もう一方の地元代表、かっしジャイアンツスポ少は2回戦で石鳥谷スポ少(花巻市)に敗れ、上位進出はならなかった。

 

▽決勝
太陽の子
260102 11
100030 4
小佐野クラウン
(六回コールド)

 

(太)遠藤、阿部琉―阿部琉、遠藤
(小)木下、岡島、坂本―川崎
▽本塁打 坂本(小)
▽三塁打 遠藤(太)
▽二塁打 小野寺、阿部琉、遠藤(太)

 

 小佐野は一回に2点を先制され、二回にも打者一巡で6点を奪われるなど苦しい試合展開となった。一回に1点、五回には坂本麗のランニング本塁打で一挙に3点を返したものの反撃もここまで。六回に追加点を許しコールド負けに終わった。

 

 優秀選手に坂本麗(山田南小5年)、打撃賞には準決勝、決勝で打率10割(7打数7安打)の猛打で大暴れした川崎秦(甲子小6年)が選ばれた。

 


■単独チームでの最後を飾る

 小佐野クラウンの藤原洋監督(47)は「もう少し食らいつきたかったが、最後に県内トップクラスの成績を残すことができて満足」と準優勝を素直に喜んだ。

 

 1回戦で松尾スポ少(岩手北)を11-2、2回戦は矢巾アローズ(紫波町)を4-2、準決勝では普代オーシャンズ(下閉伊)を15-8で破り、決勝まで進んだ。

 

 しかし決勝では、それまで3試合を戦って疲れが見える投手陣が四球を連発。二回には打者一巡の猛攻を受け大量6点を奪われる。四回までに8点差となりコールド負けが迫ったが、五回に1番坂本麗のランニング本塁打で3点を奪い、意地を見せた。

 

 13人の団員のうち9人を6年生が占め、来年は単独チームでの出場が難しくなる。来季は双葉との統合チームで臨む予定という。

 

 岡島洸主将(小佐野小6年)は「相手は強かったが、最後まであきらめずにやれたのが良かった。この悔しさをばねに来年は優勝を目指して頑張ってほしい」と後輩にエールを送る。

 

 震災前からコーチとしてチームを指導してきた藤原監督は「バントや走塁など細かいこともきちんと今後につないでくれた」と、さらなる成長に期待する。

 

(復興釜石新聞 2016年7月20日発行 第505号より)

 

復興釜石新聞

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第2回産直スタンプラリー

第2回産直スタンプラリーを開催します♪

第2回産直スタンプラリーの抽選結果について – 釜石市(2016/11/16 追記)

 

今年もやるよ!「産直スタンプラリー」、市内産直に備え付けのスタンプを3種類集めて応募すれば、豪華な地場産農産物や加工品が抽選でドーンと当たります。

 

『産直大好きな皆さん、是非アタックしてみませんか』

 

第2回産直スタンプラリー

 

実施期間

7月16日(土)から10月31日(月)まで

実施場所

市内産直9か所
①峠の茶屋
②橋野どんぐり広場産直
③甲子フレッシュあぐり直売所
④唐丹産直⑤ミニ産直コスモス
⑥産直ミッキーファーム
⑦ミニ産直柿の里
⑧ふれあい小川産直
⑨道の駅釜石仙人峠産直

 

釜石市産直マップ

釜石市産直マップ

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主催

第36回釜石市農業祭実行委員会

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 農業委員会事務局
〒026-0031 岩手県釜石市鈴子町15番2号
電話:0193-22-0166 / Fax:0193-22-3688 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/kurasu/norin_chikusan/detail/1197344_2291.html
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
第28回 釜石よいさ

第28回 釜石よいさ

第28回 釜石よいさ

 

28回目となる今年の釜石よいさでは、釜石よいさや郷土芸能披露はもちろん、9月から岩手県内でスタートする「希望郷 いわて国体」と連携し、国体の炬火イベントや釜石選手団の壮行式なども開催されます!

 

開催日時

2016年8月6日(土) 15:45〜19:20
(交通規制 15:00〜20:30)
※雨天決行、荒天中止

タイムスケジュール

●オープニング
15:45〜 釜石よいさ オープニングセレモニー
16:00〜 虎舞(錦町青年会)
16:15〜 いわて国体 集火セレモニー
●釜石よいさ
16:30〜 子供よいさ
16:50〜 お囃子隊&よいさ小町お披露目〜前囃子
17:00〜 釜石よいさ 第1部
17:45〜 いわて国体 釜石選手団壮行式
18:00〜 桜舞太鼓
18:15〜 伊藤艶子メモリアル 釜石小唄〜スタコラ音頭
18:25〜 釜石よいさ 第2部
19:10〜 フィナーレ
(※スケジュールは変更となる場合があります)

会場

岩手県釜石市大町〜只越町

主催

釜石よいさ実行委員会
後援
釜石市、釜石商工会議所
協力
希望郷いわて国体 釜石市実行委員会

お問い合わせ

釜石よいさ実行委員会
TEL 080-8218-0098 / Mail info@yoisa.jp / URL https://yoisa.jp/
 

釜石よいさ実行委員会

釜石よいさ実行委員会

釜石よいさは釜石の夏の風物詩として市民から親しまれているお祭りです。

問い合わせ:080-1194-0413 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

釜石シネクラブ第15回上映会「日輪の遺産」

釜石シネクラブ第15回上映会「日輪の遺産」

釜石シネクラブ第15回上映会「日輪の遺産」

 

終戦間近の東京近郊において、軍に動員された高等女学校の生徒が奮闘する物語。釜石においても、(いまの釜高の先輩方にあたる)県立釜石高等女学校の生徒が、釜石製鉄所をはじめ、土浦(茨城)、相模原(神奈川)の軍需工場に女子挺身隊として動員されました……

 

軍の命令に従わざるをえなかった中にあって、高女生徒の純粋と矜持が光り、ラストには、彼女たちの悲劇に嘆息する戦争作品です。

 

日時

8月1日(月) 開場12:00 開演13:00

会場

青葉ビル研修室

入場料

無料

主催

釜石シネクラブ 三陸映画上映ネットワークプロジェクト(一般社団法人コミュニティシネマセンター、みやこ映画生協)
共催
NPO法人カリタス釜石、三陸みらいシネマパートナーズ
後援
釜石ロータリークラブ、釜石まちづくり株式会社  

お問い合わせ先

釜石シネクラブ
080-5870-4443(今村)
080-1823-1571(平松)
 

 

釜石シネクラブ

釜石シネクラブ

釜石シネクラブは、映画上映などの文化活動を通じて人と人をつなぎ、釜石の映画文化の再生を目指す市民グループです。
問い合わせ:〒026-0022 釜石市大只越町2-4-4 カリタス釜石内 / TEL 0193-27-0903 / FAX 0193-27-8070 / Facebookページ / メール
「強くあれ」と子どもらにエールを送るカーターさん

世界のトップ ダン・カーター選手(NZ代表)が釜石へ〜子どもらと交流「強くあれ」、復興W杯 成功願いキックオフ

復興の願いを込め力強くキックオフを披露するダン・カーターさん

復興の願いを込め力強くキックオフを披露するダン・カーターさん

 

 「ラグビー界の至宝」と言われる世界的なスター選手、ダン・カーターさん(34)=ニュージーランド(NZ)=が17日、釜石市を訪問。2019ラグビーワールドカップ(W杯)成功を願い、鵜住居町に建設される復興スタジアム予定地で子どもたちと交流した。11年のNZ地震を経験したカーターさんはキックオフのボールに乗せ、「逆境を乗り越えて成功がある。強くあれ。3年後、オールブラックス(NZ代表)として、きっとここに戻って来る」と力強いメッセージを送った。

 

 カーターさんは04年からオールブラックスの不動のスタンドオフ。テストマッチ(国代表の国際試合)個人通算ポイント歴代最多記録を持ち、ワールドラグビー年間最優秀選手3回を誇る。昨年のラグビーW杯イングランド大会でもNZ連覇の原動力となるなど世界のトッププレーヤーとして君臨する。

 

 釜石には、トップリーグ・ヤマハ発動機監督の清宮克幸さん(49)、外国人として初めて日本代表の主将を務め釜石シーウェイブスでも2年間プレーしたアンドリュー・マコーミックさん(49)=摂南大コーチ=、昨年のW杯に日本代表として出場した小野晃征さん(29)=サントリー=らが同行。あいにくの小雨模様の中、ラグビー関係者や地元住民など約600人が大漁旗を打ち振って迎えた。

 

 全員で震災犠牲者に黙とうしたあと、野田武則市長が「5年前の3月11日、ここから小中学生が高台に向かって逃げ全員が助かった。3年後には、ここから全世界に向け感謝の気持ちを伝えたい」とあいさつ。仮設校舎で学ぶ釜石東中の生徒らが合唱、鵜住居青年会は虎舞を披露した。

 

 これに応え、カーターさんが復興の願いを込めてボールをキックオフ。マコーミックさんらと共に走りながらパスを交わすなど子どもたちと交流した。

 

「強くあれ」と子どもらにエールを送るカーターさん

「強くあれ」と子どもらにエールを送るカーターさん

 

 5年前、故郷のクライストチャーチでNZ地震を経験したカーターさんは「皆さんは一人じゃない。いつでも支えている」と語り掛けた。人口わずか700人ほどの小さな町で育ったことにも触れ、「オールブラックスのメンバーになれると思わなかったが、努力すれば夢はかなう。釜石の未来を担うのは君たちだ」と子どもたちを励ました。

 

 毎年のように釜石に足を運んでいるマコーミックさんは「少しずつ笑顔が戻っているようでうれしい。今日より明日を考えよう」と前向きに呼び掛けた。

 

かつて釜石でプレーしたマコーミックさんも子どもたちと交流

かつて釜石でプレーしたマコーミックさんも子どもたちと交流

 

 カーターさんらに大漁旗を手渡した新田壮吾君(甲子中3年)は「3年後のW杯へ向け、英会話を磨き、しっかりおもてなしができるよう頑張りたい」と決意を新たにした。

 

(復興釜石新聞 2016年7月20日発行 第505号より)

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釜石SWワークショップ

釜石シーウェイブス・動画制作ワークショップ 第1回

釜石シーウェイブス動画制作ワークショップ

 

釜石シーウェイブス公式戦で上映されるプロモーションビデオを制作するワークショップを開催します。
動画編集の基礎から学ぶため、初心者も大歓迎です。ぜひ、ご参加ください!

 

開催日

2016年7月26日(火) 18時〜(開場 17:30)

会場

釜石情報交流センター2F 市民スタジオ
釜石市大町1-1-10
※会場に駐車場はありません

概要

・対象 どなたでも参加できます
・人数 10人程度
・講師 木下義則さん

主催

釜石まちづくり株式会社
問い合わせ 電話 0193-22-3607

 

※おわび
7月24日付の復興釜石新聞に折り込んだ当イベントのポスター内で、
釜石まちづくり会社の問い合わせ電話番号に誤りがありました。
正しくは「0193-22-3607」です。心よりお詫び申し上げます。

 

フェリアス釜石

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釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

「教訓集」「証言・記録集」を野田市長に手渡す越野・震災検証委員会委員長(右)

震災「教訓集」完成、全戸配布へ、「悲劇を繰り返さない」の思い込め〜激しい議論交わし、まとめる 市震災検証委 市民アンケートを基に作成

「教訓集」「証言・記録集」を野田市長に手渡す越野・震災検証委員会委員長(右)

「教訓集」「証言・記録集」を野田市長に手渡す越野・震災検証委員会委員長(右)

 

 東日本大震災に遭遇した釜石市民の体験を基にまとめた「教訓集」と「証言・記録集」が完成し、取りまとめに当たった市震災検証委員会(委員長・越野修三岩手大客員教授)が13日、野田武則市長に報告した。二度と悲劇を繰り返してはならない―との市民の痛切な思いが込められた2冊。このうち教訓集は11月に市内全戸に配布される。「教訓に特化した冊子の完成は、全国でも初めてではないか」と越野委員長。市は「教訓が各家庭に浸透し、後世に継承されれば」と願う。

 

 「未来の命を守るために」と題した教訓集はA4判43ページ。
▽命を守るための行動
▽避難生活で命をつなぐ
▽命を守るための備え
▽津波の記憶を未来に伝える
―の4章で構成し、合わせて18の教訓を盛り込んだ。

 

 このうち「命を守るための行動」としては、
▽揺れたら、ただちに高台に避難
▽避難は「徒歩」が原則
▽逃げるときは「声かけ」しながら
▽子どもを学校に迎えに行かない
▽避難したら、絶対に戻らない
▽「命てんでんこ」で行動する
―の6つの教訓を示している。それぞれの教訓には、津波に遭遇した市民の生々しい証言が裏付けとして添えられている。

 

 2冊は、震災直後に発足した同委員会が作成した検証報告書を基に、昨年度から編集作業が進められてきた。委員会は自主防災組織や消防団、専門家ら21人で構成。市内全世帯を対象に市が行ったアンケート調査に回答した1690件の証言を基に、委員や事務局の担当者、出版社がまとめた。教訓は、いざという時の命に直結することから、一つの文言の扱いをめぐり委員らの間で激しい議論が交わされた。

 

 この日は委員ら11人が市役所を訪れ、野田武則市長に完成した冊子の見本を提出。越野委員長は「市民一人一人の思いが込められた素晴らしい教訓集ができた。これが終わりではなく、これから市民がどのように生かして行くかが課題」と話した。

 

 委員らは「感情的になることもあった。こういう形で完成し安心した」「本当にまとまるのか心配だった。完成がゴールではなく、これからが教訓を活用するスタート」などと編集の苦労を振り返った。「災害に直面した時の女性の役割の大きさを痛感させられた」という指摘もあった。

 

 教訓集を手にした野田市長は「経験した人でなければ分からない思いが形になった。各家庭の座右の書とし、家族で教訓を共有してほしい」と願った。

 

 「伝えたい3・11の記憶」と題した証言・記録集はA4判55ページ。被災状況を地区別に写真などを添えて記録したほか、震災時の避難行動や市災害対策本部の7日間の動きをまとめた。こちらは全戸配布せず、公共施設などで市民が閲覧できるようにする。

 

(復興釜石新聞 2016年7月16日発行 第504号より)

 

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戦争体験や平和への思いを語る岩切潤さん

平和の思いを子どもらに、艦砲射撃の体験語る〜岩切潤さん 釜石中で講演

釜石艦砲射撃など戦時中の歴史を知る講演会で釜石中の生徒は真剣な表情で聞き入った

釜石艦砲射撃など戦時中の歴史を知る講演会で釜石中の生徒は真剣な表情で聞き入った

 

 太平洋戦争末期に釜石市が米英軍から受けた1度目の艦砲射撃から71年の14日、戦時中の歴史を学ぶ講演会が釜石中(川崎一弘校長、生徒347人)で開かれた。講師を務めたのは、三陸アーカイブ減災センター代表理事の岩切潤さん(81)。「かまいしの昭和20年」と題し、艦砲射撃を生き延びた自身の体験談や復興の歩み、未来につなぐ平和への思いを生徒らに伝えた。

 

 1945(昭和20)年、釜石は7月14日と8月9日の2度にわたって米英軍から艦砲射撃を受け、市街地は焼け野原になり、市民ら750人以上が犠牲になるなど大きな被害を出した。

 

 岩切さんは浜町生まれで、釜石国民学校(現釜石小)5年生の時に艦砲射撃を経験。防空訓練の様子や艦砲射撃を受けた釜石市内の風景などの写真、被弾図など資料を交えながら、”その時”の避難行動や疎開先での暮らしぶりを話した。

 

 艦砲射撃から3年後の1948年に製鉄所の高炉が再建され、「今となっては環境問題になるが、駅前に並んだ煙突からもうもうと出る黒い煙がまちの活力を見せていた」と岩切さん。50年に釜石線の全線開通、59年に国道283号・仙人峠の開通と続いた復興の歩みも紹介した。

 

 焼けた家々、砲弾によってできた道路の大きな穴、おびただしい遺体―。2回目の艦砲射撃で浜町を焼け出され、小川町まで避難する中で見た惨状を生々しく語り、「戦争は絶対してはいけない、させてはいけない。仲良くしていけるよう、互いに思い合っていかなければ。今、生きている平和な世界が続いてほしい」と願った。

 

 岩切さんは当時の体験を語れる人が減る中、戦災の記憶を語り継ぐ大切さを痛感。後世に語り継ぐことを使命として、講演など精力的に活動しており、生徒らに「釜石の歴史を知り、大きくなったら周りに伝えてほしい」と期待した。

 

戦争体験や平和への思いを語る岩切潤さん

戦争体験や平和への思いを語る岩切潤さん

 

 生徒会長の千葉佑人君(3年)が代表してあいさつ。「普通に暮らしているまちで戦争があったなんて想像できなかった。実際に体験した人の話は重みがあり、悲しく、心が痛んだ。聞いて終わらせるのでなく、きちんと伝えていかなければ」と感謝した。

 

 伊藤瑞希さん(3年)は親の転勤で1年半前に釜石に移住。「事前の授業で勉強していたが、爆弾が落ちる迫力など映像を見て初めて知ったこともあり、貴重な時間になった。岩切さんの『伝えてほしい』という言葉が強く心に残った。その思いに応えていきたい」と話した。

 

 講演会は小佐野公民館と同校総合文化部(31人)のコラボ事業として行われた。学業や部活動とは違う体験や学ぶ機会をつくり、生徒の思考力、創造力、行動力を伸ばすのが目的。本年度は「釜石を極める」をテーマに、縄文の歴史、釜石鉱山、ごみ問題、ボランティア活動など5回実施する予定。

 

 2回目の今回は特別編として、全校生徒を対象に開いた。

 

(復興釜石新聞 2016年7月16日発行 第504号より)

 

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