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釜石港内を彩る納涼花火。雨模様を突き、2年ぶりに開かれた=12日夜

雨空を花火彩る〜釜石港で2年ぶり大会

釜石港内を彩る納涼花火。雨模様を突き、2年ぶりに開かれた=12日夜

釜石港内を彩る納涼花火。雨模様を突き、2年ぶりに開かれた=12日夜

 

 釜石納涼花火(釜石市、釜石観光物産協会主催)は12日夜、釜石港内で行われた。2年ぶりの開催。大会は、あいにくの雨模様を突いて開かれ、市制施行80周年、近代製鉄発祥160周年、橋野高炉跡国指定史跡60周年を祝う約1千発の花火が打ち上げられた。

 

 2日に「梅雨が明けたとみられる」と発表されてから、皮肉にも雨模様が続く釜石。この日も朝から小雨模様となったが、翌日も回復の見込みがないことから”決行”に踏み切った。

 

 スターマインや尺玉などが夜空を焦がし、港内では船から迫力満点の水中花火も次々と打ち上げられた。雨模様にもかかわらず、港内の岸壁や港町のグリーンベルトなどに約8千人が陣取り、夜空を彩る大輪の花火に歓声を上げた。

 

 大槌町の小笠原博樹さん(30)は、高校(釜石南)時代のサッカー部の仲間と誘い合って花火見物。娘の凛子(りこ)ちゃん(4)を胸に抱いて傘を差し、花火が彩る夜空を仲良く見上げた。「雨の中を来て良かった。初めて花火を見る娘も喜んでくれたし」と満足そうに話した。

 

 

(復興釜石新聞 2017年8月19日発行 第614号より)

 

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世界遺産案内の即戦力に〜観光ボランティアガイド、4人が講座修了

ユニホームに袖を通し、ガイドとして意欲を新たにする(右から)照井良知さん、三浦勉さん、谷藤稔さん

ユニホームに袖を通し、ガイドとして意欲を新たにする(右から)照井良知さん、三浦勉さん、谷藤稔さん

 

 釜石観光ボランティアガイド会(夢ふれあい隊=三浦達夫会長)の新人ガイド養成講座閉講式が7日、釜石市鈴子町のシープラザ釜石で行われた。2年ぶりに開かれた同講座を受講したのは4人で、いずれも釜石や鉄の歴史に関心があり、観光・おもてなしに携わってきた人たち。5月中旬から世界遺産・橋野鉄鉱山や震災関連について4回の座学、3回の現地研修を通じてガイドの実務や心得を学び、即戦力としての期待は大きい。今後は先輩に付いて勉強を続けるが、早い時期にガイドとして独り立ちし、全国から来る観光客にまちの歴史や魅力を発信する。

 

 講座を修了したのは、野田町の三浦勉さん(65)、甲子町の谷藤稔さん(75)、大只越町の鈴木紀之さん(58)、平田の照井良知さん(54)の4人。閉講式には鈴木さんを除く3人が参加。釜石観光物産協会の澤田政男会長から修了証書を受け取り、「釜石の観光、おもてなしの最前線にいるのがガイド。釜石に人を呼び、リピーターが増えるよう、培った力を役立ててほしい」と激励を受けた。

 

 4人は8期生。渡されたそろいの赤いユニホームに早速袖を通した照井さんは「釜石を好きになってもらい、ファンが増えるようなガイドをしたい」と意気込んだ。震災時に大平町の職場から見た津波の様子などを紹介する被災地ガイドとしてスタートしたい考え。県観光協会が認定する「いわて観光おもてなしマイスター」としての知識や技術も生かす。

 

 谷藤さんは、これまで市が9回実施している「鉄の検定」で1級(90点以上)を4回獲得している超ベテラン。釜石製鉄所で働いた、ものづくりの経験、知識を生かしたガイドを目指す。「生まれ育った釜石はユニークな所。先輩が残したもの、歴史の積み重ねをガイドという視点から見たら、違ったものが見えてくるのではと楽しみもある」と笑顔を見せた。

 

 橋野町出身の三浦さんは、橋野鉄鉱山で2年間現地ガイドを務めた経験を持つ即戦力。周辺地域の自然に詳しく、山歩きの案内人としても活動していて、「観光でやっていくには世界遺産だけでは弱い。遺跡も含め釜石の魅力を広めなければ」と気を引き締めた。タクシー運転手の鈴木さんは、観光、おもてなしの面での活躍が期待される。

 

 今回修了した4人を含め、会員は30人となった。賛助会員は4人。昨年の台風により笛吹峠の通行止めが続いていることなどが影響し、橋野鉄鉱山を含めた市内の観光ガイド受け入れ実績は減っているというが、ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を見据えた観光客増加への対応のため、研修を強化し新人育成、個々のガイド力アップを進めていく。

 

(復興釜石新聞 2017年7月12日発行 第604号より)

 

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釜石鉱山坑道見学会

平成29年度 釜石鉱山坑道見学会について

すべての日程で定員に達したため、受付を終了いたしました。
(7/25更新)
 

「鉄のふるさと釜石創造事業」の一環として、今年も釜石鉱山の坑道見学会を開催します。トロッコに乗って、めったに入ることのできない坑道の奥へ進みます。夏休みの思い出に、ぜひご参加ください。

 

日時

【縁とらんすからのお知らせ】
下記の受付状況は7/17時点のもので、こちらのページでの情報更新は行われません。最新の情報は、釜石市ホームページをご確認ください。
https://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/bunka/detail/1211092_2462.html

 

実施日・・・受付状況
7月31日(月)・・・7/18から受付
8月 1日(火)・・・7/18から受付
8月 2日(水)・・・7/18から受付
8月 5日(土)・・・7/18から受付
8月 7日(月)・・・7/18から受付
8月 9日(水)・・・7/18から受付
8月10日(木)・・・7/18から受付

対象

小学生以上(小学生は保護者同伴)
各回26人

応募方法

はがきかFAXで、以下の内容を記載し、商業観光課までお申込みください。
①参加者全員の氏名・フリガナ
②参加者全員の年齢
③電話番号
④希望日(第2希望まで)
 
申込み期間は7月18日(火)~26日(水)必着といたします。
定員に達した場合は応募を締め切らせていただきます。
結果は、お電話にてお知らせします。

参加費

大人1,000円、高校生以下無料

行程

12時30分:旧釜石鉱山事務所駐車場に集合してください。
13時頃 :釜石鉱山見学
14時30分:旧釜石鉱山事務所見学(自由)

注意事項

・昼食等の準備はありませんので、各自で昼食をお取りください。
・坑道見学時に乗車するトロッコは揺れや振動が多く、重度の腰痛の方や妊婦の方 のご見学はご遠慮ください。
・見学場所となる坑道内は、気温が約10℃と寒く、防寒対策が必要です。
 半袖・半ズボン・スカートなどでの見学はご遠慮ください。
・一部足場の悪い場所がございますので、汚れても構わない靴でお越ください。
 またサンダル・下駄・ハイヒール等での見学は安全性を確保するためご遠慮ください。
・その他、ご不明な点等ございましたら、お気軽に下記の窓口へご連絡ください。

 

釜石鉱山坑道見学会

 

釜石鉱山坑道見学会

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商業観光課 観光おもてなし係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8421 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/bunka/detail/1211092_2462.html
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
以前の砂浜を取り戻すことが期待される根浜海岸

早期再生を望む声多く〜根浜海岸の砂浜検討 地元鵜住居で住民懇談会

 以前の砂浜を取り戻すことが期待される根浜海岸

以前の砂浜を取り戻すことが期待される根浜海岸

 

 震災で砂浜が消失した釜石市の根浜海岸の人工的な再生が可能かを検討している県は6月27日、地元住民の意見を聞く根浜海岸砂浜再生懇談会を鵜住居町の鵜住居地区生活応援センターで開いた。会合では早期の再生を望む声が多く出た一方、人工的に治すことに疑問を投げかける意見もあった。県はこうした意向を、5月に設置した専門家による技術検討委員会に伝え、同検討委はこれを踏まえ、本年度末をめどに人工再生の可否を判断する。

 

 根浜海岸は震災前、約700メートルの白砂青松が続き、年間4万人以上の海水浴客らでにぎわう市の中心的な観光地だったが、震災の津波と地盤沈下で砂浜がほぼ消失。震災後、徐々に砂が戻りつつあるというが、市が先に行った検討では、自然回復には数百年を要するとの調査結果を発表している。

 

砂浜再生に向けた地元住民の意見を聞く懇談会

砂浜再生に向けた地元住民の意見を聞く懇談会

 

 こうした中、県は5月に根浜海岸復興養浜技術検討委員会を設け、人工再生が可能かどうか検討を始めた。検討委の状況を伝えるとともに、浜との関わりが深い地元の声を検討に生かすため、懇談会を設置。地元自治会、漁業や観光業関係者ら15人の委員が出席し、検討委から参加した田中仁・東北大大学院工学研究科教授が座長に選ばれた。

 

 事務局による根浜海岸の現状、検討委で挙がった砂浜復元に向けた課題などの説明を受けた後、出席者らが意見を交わした。

 

 「海水浴ができるようになるといい」との声が大半。箱崎フィッシャリーナから旅館宝来館付近までの約500メートル、波打ち際まで約50メートル幅での再生を求めた。「根浜は自慢の海岸。理想は震災前の姿に戻ることだが、ラグビーワールドカップの観客に海と山の美しい風景も楽しんでもらえるよう、少しでも復元してほしい」との要望も。再生に使う砂について「片岸海岸に堆積している砂を使っては。同じ湾内にあり、生態系への影響も小さいのでは」との提案もあった。

 

 一方で、「自然に逆らって人工的に戻すことは不可能だ。新たな災害が起きる可能性もある。戻したい気持ちは分かるが、自然の法則に従うべきではないか」と指摘する人もいた。

 

 県では来年2月ごろに検討委を開催することにしており、合わせて懇談会も開く予定。

 

(復興釜石新聞 2017年7月1日発行 第601号より)

 

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野田市長に受賞を報告した都築住職(中)、佐々木部長代理(右)

釜石大観音「恋人の聖地」観光交流賞〜恋愛成就へ高まる魅力

野田市長に受賞を報告した都築住職(中)、佐々木部長代理(右)

野田市長に受賞を報告した都築住職(中)、佐々木部長代理(右)

 

 プロポーズにふさわしいロマンチックなスポット「恋人の聖地」を活用した優れた取り組みを表彰する「恋人の聖地観光交流大賞」で、釜石市大平町の釜石大観音が観光交流賞に選ばれ、12日、釜石大観音を運営する石応禅寺の都築利昭住職、佐々木富也部長代理らが野田武則市長に受賞を報告した。

 

 この賞は、恋人の聖地を認定するNPO法人地域活性化支援センター(静岡市)などが2015年に創設。3回目の今回は全国225カ所のうち68カ所が応募した。釜石大観音など聖地の特色を生かして観光や交流促進に取り組んだ9カ所が観光交流賞に選出。大賞には和歌山県白浜町の南紀白浜三段壁が選ばれた。授賞式は5月31日に東京で行われ、都築住職らが出席した。

 

 釜石大観音では、昨年4月の聖地選定を記念し、2羽のカメモが寄り添うハート型のモニュメントを設置。釜石湾の絶景や荘厳な姿の大観音をバックに撮影できる写真スポットとして活躍している。観音像の足元には慈愛の「愛」の文字が刻まれた石板や、津波から船を守ったもやい綱のレプリカ「絆・伝説のロープ」もあり、カップルの仲をより深める場所にもなっている。

 

 季節のイベント時にはライトアップしロマンチックな雰囲気を演出したり、市民有志団体による仲見世通りを活用した「えんむすびまつり」なども開催。こうしたイベントを通じ出会った人が結婚するなど、恋愛成就のスポットとしても魅力も高まっているという。

 

 都築住職は「人つなぎの取り組みを認めていただき、うれしい」と受賞を喜ぶ。仲見世通りの店舗を活用した新たな動きが見られることなどを紹介し、「観光の拠点、交流、出会いの場になれば。釜石の活性化につながるよう、今後の展開を見守りたい」と話した。

 

 野田市長は「今後、増加が予想される海外からの客に対応した取り組みも必要になる。釜石に来たら外せない、必ず立ち寄ってもらう観光スポットの一つになるよう、市としても協力する」と述べた。

 

(復興釜石新聞 2017年6月17日発行 第597号より)

関連情報 by 縁とらんす
釜石大観音
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会場はご飯にのせるおかずを買い求める来場者で大にぎわい。釜石の名店が食欲をそそる一品を提供した

橋上市場 にぎわい再現、好評 大渡橋で「釜石はしのうえ朝市」〜無理なく継続、定着目指す

開店早々、多くの買い物客でにぎわう大渡橋歩道

開店早々、多くの買い物客でにぎわう大渡橋歩道

 

 昨年10月に釜石市の大渡橋で開かれ、好評を博した「釜石はしのうえ朝市」──。かつての橋上市場のにぎわいを再現し、復興へ向かうまちを盛り上げていこうと市民有志が企画したイベントがさらに内容を充実させ、11日、2回目が開かれた。地元で愛される味覚などが特設の市場に集まり、名物の「釜石のっけ丼」やスイーツを家族連れなどで味わう市民が笑顔を広げた。

 

 震災後のまちづくりに励む若手市民団体「NEXT KAMAISHI(ネクスト釜石)」が中心となり、実行委(平野嘉隆実行委員長)を組織し開催。大渡橋歩道と橋のたもとの広場を会場に今回も午前6時に開店した。出店者は前回より8店増え、23店が農水産物や汁物、菓子類など食品のほか、生花や手工芸品など多彩な商品を販売した。

 

ボリューム満点「釜石のっけ丼」

 

 今回も大人気だったのが、無料で提供される温かいご飯に好みの具をのせて食べる「釜石のっけ丼」。イクラやマグロの刺し身、ホタテやサンマの焼き物など食べたいおかずを買い求めて”マイ丼”を作り、ボリューム満点の朝食を楽しんだ。

 

会場はご飯にのせるおかずを買い求める来場者で大にぎわい。釜石の名店が食欲をそそる一品を提供した

会場はご飯にのせるおかずを買い求める来場者で大にぎわい。釜石の名店が食欲をそそる一品を提供した

 

 友人と訪れた中妻町の佐々木秀一さん(43)は「生ものも食べられるし、この場所が橋上市場を思い出す感じで雰囲気がいい。どんどん開催してほしい」と釜石市民の新たな楽しみを歓迎。橋上市場で長年営業し、市場撤去後は釜石駅前のサン・フィッシュ釜石に移転した七兵衛屋商店(後藤英輔代表)の後藤さちえさん(56)は「橋上市場時代の常連さんと話ができたり朝市に来た人が店に足を延ばしてくれたり、多くのお客さまとの触れ合いがうれしい」と感激。「津波で商店街が打撃を受け、地元をアピールする機会がなかなかない。いろいろな店が1カ所に集まって釜石をまるごとPRできるのはとてもいいこと」と声を弾ませた。

 

 今年は新たな試みとして、橋の西側(駅側)のあずまや周辺に「ドルチェ&カフェコーナー」を開設。食事とは”別腹”でスイーツをゆったりと堪能できる場を設けた。橋上市場時代から市民に親しまれ、現在は小佐野町で営業する甘太郎商店など4店が出店し、焼きたての菓子などを販売。釜石ならではのおやつが来場者を喜ばせた。

 

古くから釜石市民に愛され続ける「甘太郎」(大判焼き)には順番待ちの列が続いた

古くから釜石市民に愛され続ける「甘太郎」(大判焼き)には順番待ちの列が続いた

 

 平野実行委員長(45)は「前回は予想以上の来客で、ご飯やおかずが足りなくなる反省点もあったので、食材の量を充実させるなど改善を図った。天候にも恵まれ多くの方に来ていただけた」と2回目の手応えを実感。今後の展開について「基本的に手弁当でやっている企画なので、限られた予算で無理なく継続し定着させていければ。参加店も増やしながら、魅力あるイベントに育てたい。今年度は秋ごろにも開催できれば」と話した。

 

(復興釜石新聞 2017年6月14日発行 第596号より)

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釜石はしのうえ朝市
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「日本最古熔鉱炉記念碑」をきれいにする地元住民ら。橋野高炉跡周辺の大規模な清掃活動は世界遺産登録後は初めて

世界遺産・橋野鉄鉱山、大切に次世代へ〜近代製鉄発祥160周年 国史跡指定60周年、たたら研究会 佐々木さん記念講演

「日本最古熔鉱炉記念碑」をきれいにする地元住民ら。橋野高炉跡周辺の大規模な清掃活動は世界遺産登録後は初めて

「日本最古熔鉱炉記念碑」をきれいにする地元住民ら。橋野高炉跡周辺の大規模な清掃活動は世界遺産登録後は初めて

 

 「近代製鉄発祥160周年」と「橋野高炉跡国史跡指定60周年」を記念した環境美化活動と講演会が3日、釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」で行われた。釜石の発展に大きく貢献した製鉄業の歴史的節目を祝う記念事業の第1弾。市と市教委が主催した。

 

 橋野高炉跡とその周辺の環境美化活動には、地元栗橋地区の住民や釜石観光ボランティアガイドを中心に約100人が参加。草刈りや落ち葉回収、ごみ拾いなどの清掃に加え、高炉跡入り口に建つ「史跡橋野高炉跡碑(標柱)」「日本最古熔鉱炉記念碑」の洗浄が行われた。

 

 両碑は高炉跡が国の文化財に指定された1957(昭和32)年に建立された。記念碑裏面の碑文には「熔鉱炉百年祭を行うに当り日本産業発展の基盤を築いた大島高任翁の不滅の功績を敬仰してこの碑を建てる」とあり、当時の鈴木東民釜石市長、富士製鉄の永野重雄社長ら4人の名前が刻まれている。

 

 清掃日は史跡指定月日の6月3日と重なり、参加者は60年前から文化遺産として評価されてきた高炉跡に特別な思いを抱きながら、熱心に作業にあたった。

 

 続いて、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで記念講演が行われた。講師に招かれたのは、元県埋蔵文化財センター調査第一課長で、県内の発掘調査を数多く手がけてきた佐々木清文さん(盛岡市在住)。橋野高炉跡の史跡整備検討委員会の委員も務めている。

 

 たたら研究会全国委員の佐々木さんは、県内のたたら製鉄遺跡の発掘、論文執筆なども行っており、「たたら製鉄から高炉製鉄」と題し、国内外の製鉄の歴史や両製鉄技術の違いなどについて解説した。

 

インフォメーションセンターで行われた記念講演

インフォメーションセンターで行われた記念講演

 

 本県では大槌、山田、宮古などで古代の製鉄遺跡が発見されている。南部藩時代には、仙台藩から先進技術が伝えられ、18世紀には鉄生産が盛んになった。当時は1カ所で操業する永代たたらではなく、木炭産地を求めて炉を移動したため、各地に遺跡が残る。高炉製鉄が始まってからも、たたら製鉄は続き、20(大正9)年ごろまで行われたという。

 

 釜石市内のたたら製鉄は、片岸町の室浜遺跡で古代製鉄の跡が見られ、同じ室浜の川原遺跡からは中世の鉄製品が大量に見つかっている。近世になると、栗林や和山高原でもたたらが行われ、「和山7鉄山」などとも呼ばれた。栗林では釣り針に使う針金も作られていたことが分かっている。

 

 仙台藩からの技術指導だけでなく、独自に技術を学んできて、釜石でたたらを広めた人物もいた。たたらの原料は砂鉄。磁石が発見されると、たたらによる鉄鉱石精錬も試みられたが、連続操業には至らなかった。

 

 佐々木さんは「日本に製鉄が伝わって1500年余り。世界で最も進んだ製鉄を行うまでになった。近代化を物語る産業革命遺産の中で、初期の高炉跡が遺跡として残るのは釜石だけ。これは地元のたゆまぬ努力と情熱があったればこそ。大事にし、次の世代にもつないでいこう」と講演を締めくくった。

 

 市は本年度、同記念事業として12月の「鉄の週間」行事の拡大、鉄の歴史館のリニューアル、市制施行80周年と連動した記念行事の開催などを計画。世界遺産を含む鉄のまち釜石を内外にアピールする。

 

(復興釜石新聞 2017年6月10日発行 第595号より)

 

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しっとりと雨に濡れ開花を待ちわびる八重桜の枝

八重桜咲き始め、橋野鉄鉱山でまつり〜地域の魅力発信、餅まきで

しっとりと雨に濡れ開花を待ちわびる八重桜の枝

しっとりと雨に濡れ開花を待ちわびる八重桜の枝

 

 釜石市橋野町青ノ木の春を彩る「橋野鉄鉱山八重桜まつり」は14日、橋野鉄鉱山インフォメーションセンター周辺で開かれた。同所が誇る八重桜並木は花が咲き始めたばかりで、この日はあいにくの雨模様。満開の花を見ることはできなかったが、高炉場跡の見学や餅まき、豚汁のお振る舞いで来場者を迎え、世界遺産を盛り上げる地元住民の心意気を示した。

 

 同まつりは、橋野町振興協議会(和田松男会長)、栗橋地区まちづくり会議(遠野健一議長)が共催する「はしの四季まつり」の一つ。橋野鉄鉱山の世界遺産登録後は2回目の開催で、主催者が運行する無料貸し切りバスやマイカーなどで、多くの人たちが足を運んだ。

 

 高炉場跡の見学は、釜石観光ボランティアガイド会(三浦達夫会長)の協力を得て、約1時間のガイドツアーを実施。地元在住のガイドらが見学者を案内し、当時の操業の様子などを分かりやすく解説した。

 

 恒例の餅まきは1500個の餅を用意。一部に産直施設「橋野どんぐり広場」で利用できる商品券を入れ、誘客につなげた。豚汁は300食分を地元の女性たちが手作り。地場の野菜、山菜が入った豚汁は毎年来場者から好評で、肌寒かったこの日は特にもうれしい一杯となった。

 

餅まきを楽しみ季節外れの寒さを吹き飛ばす来場者

餅まきを楽しみ季節外れの寒さを吹き飛ばす来場者

 

 青ノ木地区は、大型連休期間中は好天に恵まれたが、その後の1週間は気温が低めに推移し、八重桜の開花も足踏み状態。祭り当日は前日からの雨が降り続き、日中の気温も9度ほどで、花びらがしっかり開いた花は少なかった。

 

 天神町仮設団地に暮らす高橋啓子さん(67)は「八重桜の花を楽しみにして来たが残念。今度、花が咲いている時に来てみたい」と次の機会に期待。釜石市ウォーキング協会が企画した青ノ木周辺を歩く例会に参加し、同まつりも楽しんだ盛岡市ウォーキング協会の川守睦子さん(64)は、昨年訪れた仲間から評判を聞いて来釜。「山あいを歩くのが好き。雨は残念だけど、おいしい豚汁や餅をいただき、とてもいい日でした。来年もぜひ」と再来を願った。

 

 釜石観光ボランティアガイド会会員の菅原真子さん(50)は自身の勉強も兼ねて、ガイドツアーに参加。「橋野在住のガイド三浦勉さんは、難しくなりがちな鉄の話に当時の生活の様子を織り交ぜるなど、親しみやすい説明が聞いてて楽しい。参考にしたい」と今後の活動への意欲を高めた。

 

 「尾崎半島の山林火災の鎮圧につながり、八重桜も長く楽しめる恵みの雨と捉えたい。天候が回復すれば花も咲きそろうと思うので、また見に来てほしい」と和田会長。一昨年4月、世界遺産登録を祈念し新たに植えた八重桜140本も花をつけ始めており、年を増すごとに立派に育っていくのを心待ちにした。

 

 また、夏のラベンダーまつり復活に向け、一昨年夏、スケート場跡地に植えた300株のラベンダーも順調に生育中。和田会長は「四季折々のイベントを通じ、地域の魅力発信に努めたい。栗橋地区には多くの史跡や大自然の景観があるので、もっとPRしていければ」と思いを新たにした。

 

(復興釜石新聞 2017年5月17日発行 第588号より)

 

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SL銀河の出発合図をする釜石駅の工藤冨士雄駅長。かまリンも元気にお見送り=30日

春を運ぶSL銀河〜おもてなしも温かく、釜石に一番列車

 SL銀河の旅を楽しみ釜石駅に到着した乗客。ホームでのさまざまな歓迎に笑顔を広げた=29日

SL銀河の旅を楽しみ釜石駅に到着した乗客。ホームでのさまざまな歓迎に笑顔を広げた=29日

 

 観光面からの復興支援と地域活性化を目的に2014年から運行を開始した蒸気機関車「SL銀河」が、大型連休初日の4月29日、今季の定期運行に入った。SLが走るJR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)の各駅では、郷土芸能やご当地キャラクターが乗客をお出迎え。4年目の運行を熱く歓迎した。9月30日までの土日・祝日を中心に上下計51本の運行を予定する。

 

 午前10時37分花巻発のSL銀河は、出発から約4時間半後の午後3時10分すぎ、釜石駅に到着。定員176人の客車4両は満席で、ドアが開くと家族連れや旅行仲間のグループなどが次々にホームに降り立った。

 

 釜石市のキャラクター「かまリン」、歓迎の横断幕を広げた観光関係者やJR社員らが乗客を迎え、対面するホームでは錦町虎舞が威勢のいい演舞で到着を盛り上げた。ユニホーム姿の釜石シーウェイブス(SW)RFCのダラス・タタナ選手(25)は記念撮影にも応じ、旅の思い出作りに一役買った。駅舎前ではホタテ稚貝汁をお振る舞い。釜石ならではのおもてなしが光った。

 

 妹と二人旅という仲裕美さん(埼玉県在住)は「SL銀河の魅力は宮澤賢治の世界観。沿線の方が手を振ってくれる歓迎ムードも好き。明日も乗って帰ります」と、昨年の青森県での特別運行に次ぐ2回目の乗車を満喫した。

 

 家族6人で初めて乗車した東京都の藤井かりんさん(12)は「普段見られない自然の景色をたくさん見られた」、弟の朗君(6)は「(車内の)プラネタリウムが楽しかった」とにっこり。祖母の永山房子さん(66)は「汽笛の音が哀愁を漂わせ、胸がキュンとなる。各駅のおもてなしにもびっくり」と大感激。震災直後、ボランティア活動で大槌町に入った経験があり、「当時はまだ釜石駅前にがれきがあった。こんなにも変わったとは。明るい感じになってきた」と6年の歳月を実感した。

 

 今年、車内で上映する宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフとしたプラネタリウムは、色彩豊かな映像や賢治が残した言葉、曲の導入で新たな楽しみが増えた。撮影スポットとしてにぎわう遠野市宮守町「めがね橋(宮守川橋りょう)」近くの道の駅みやもり施設内には、SL銀河インフォメーションコーナーが設置され、発信力がより高まった。

 

 JR東日本盛岡支社の広報担当者は「お客さまに喜んでいただくのと復興の後押しがSL銀河の大きな目的。1人でも多くのお客さまに沿岸に来ていただければ」と乗客数増加に期待を寄せる。昨年は4月23日から10月10日までの期間中、計47本を運行。約6500人が乗車し、前年並みの平均乗車率8割を維持した。

 

花巻へ 桜舞太鼓でお見送り

 

 SL銀河運行2日目の30日は、釜石から花巻への上り運行。午前10時55分の発車を前に、釜石駅ホームでは唐丹町の桜舞太鼓が演奏を披露し、出発に花を添えた。

 

 乗客や見物客は黒光りする重厚な機関車をバックに記念撮影したり、出発準備の様子を見学したりと、貴重な光景を脳裏に焼き付けた。燃料の石炭を燃やす匂い、蒸気を上げる音もSLを楽しむ要素で、感覚器官をフル稼働し、その魅力を体感した。

 

 発車時刻には、釜石駅の工藤冨士雄駅長が出発合図。旅立ちの気持ちを高める桜舞太鼓の音が響く中、ホームでは一般市民を含む多くの人たちが手を振り、滑り出す車両を笑顔で見送った。

 

 SL銀河の出発合図をする釜石駅の工藤冨士雄駅長。かまリンも元気にお見送り=30日

SL銀河の出発合図をする釜石駅の工藤冨士雄駅長。かまリンも元気にお見送り=30日

 

 SLの見物と見送りに訪れた松田翔希君(甲子小1年)と母親の真帆さん(41)は、運行当初から何回か見に来ているといい、「近くで見ると迫力が違う。釜石にSLが来ると、うれしい気持ちになる。まだ乗ったことがないので、ぜひ乗ってみたい」と目を輝かせた。

 

 SL銀河は残る大型連休期間中、3、4、6、7日に運行。一部を除いて、ほぼ満席に近い状態だという。

 

(復興釜石新聞 2017年5月3日発行 第585号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

鐵のふるさとスタンプラリー

橋野鉄鉱山と鉄の歴史館のイベントをご紹介

4月29日から橋野鉄鉱山、鉄の歴史館において多くのイベントが開催されます。
ぜひ、これらのイベントをきっかけに足を運んでみてください!

 

①橋野鉄鉱山 現地ガイド付きバスツアー

4月29日から、釜石駅前と橋野鉄鉱山を結ぶシャトルバスの運行をします。ベテラン現地ガイドの説明を聞きながら、橋野鉄鉱山をめぐります。

運行予定日や運行時間は下記のリンク先をご覧ください。(他サイトに移動)

 

https://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/kanko/detail/1201042_2430.html

橋野鉄鉱山 現地ガイド付きバスツアー

釜石市役所 公式ページ
リンク


 

②鐵のふるさとスタンプラリー

橋野鉄鉱山の世界遺産登録を記念して始まった「鐵のふるさとスタンプラリー」を再開しました。スタンプラリー台紙(100円)を購入し、2種類のスタンプを集めてスタンプラリーを達成した人に、記念品として橋野鉄鉱山の銭座で作られた「寛永通宝」を模したキーホルダーを差し上げます。
台紙販売場所、スタンプ設置場所等は下記のリンク先をご覧ください。(他サイトに移動)
 

https://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/hashino_tekkouzan/detail/1200641_3028.html

鐵のふるさとスタンプラリー

釜石市役所 公式ページ
リンク


 

③鉄の歴史館 GWイベント

5月5日(金)こどもの日は小中学生が入場無料になります。
5月3日(水)から5月5日(金)1日先着50名・小中学生限定で、鉄の歴史館オリジナルストラップの配布を行います。
※なお、ゴールデンウィーク期間中の鋳造体験はお休みします。
鉄の歴史館への営業時間等については下記のリンク先をご覧ください。(他サイトに移動)

 

https://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1191193_2452.html

鉄の歴史館

釜石市役所 公式ページ
リンク


 

各イベントに対するお問い合わせについては、リンク先の問い合わせ先をご参照ください。

 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

釜石春まつり(SL銀河運行開始イベント)

釜石春まつり(SL銀河運行開始イベント)

釜石春まつり(SL銀河運行開始イベント)

 

釜石観光物産協会では、ゴールデンウィークにSL銀河のお出迎えを含めたイベントを開催いたします。SL銀河が市内を通過するときは手を振って笑顔で歓迎・見送りましょう!

 

SL銀河運行開始イベント

4月29日(土)15:07到着
釜石駅ホームで釜石虎舞によるお出迎え、お客さまへホタテの稚貝汁お振る舞い

 

4月30日(日)10:55出発
釜石駅ホームで桜舞太鼓によりお見送り、お客さまへホタテの稚貝汁お振る舞い

 

走っているSL銀河を見かけたら、手を振りましょう!

 

お客さまへホタテの稚貝汁お振る舞い

 

サン・フィッシュ釜石(鈴子町)

<お振舞い>
釜石産の新鮮なホタテの浜焼きとつみれ汁をお振る舞いします!数量限定で各日それぞれ200食です。
日時: 5月3日 14:00~、4・5日 11:00~

 

<どんぐり広場出張販売>
橋野町どんぐり広場が鈴子町に出張販売いたします。新鮮野菜やつけもの、がんづき、団子などがそろいます。
日時: 5月4・5日 11:00~ なくなりしだい終了

 

<my箸づくり教室>
サン・フィッシュ釜石2Fテラスにて、釜石地方森林組合が「my箸づくり教室」を行います。釜石産のスギの間伐材を利用し、自分の箸を作ってみませんか?
参加料は1,000円です。
日時: 5月3・4日 11:00~15:00

 

釜石大観音ライトアップ

恋人の聖地・釜石大観音では、5月3~7日観音様のライトアップが行われます。見学時間は通常どおり9:00~17:00ですが、観音様が照らしだされる姿も必見です。
釜石大観音 TEL:0193-24-2125

 

この件に関するお問い合わせ先

釜石観光総合案内所 TEL:0193-22-5835 

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商業観光課 観光おもてなし係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8421 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/kanko/matsuri_event/detail/1209343_2438.html
釜石市

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見学者の受け入れを再開した橋野鉄鉱山高炉場跡=1日、三番高炉跡

「橋野鉄鉱山」見学再開、昨年の台風被害 挽回へ〜近代製鉄発祥160年に合わせ情報発信

見学者の受け入れを再開した橋野鉄鉱山高炉場跡=1日、三番高炉跡

見学者の受け入れを再開した橋野鉄鉱山高炉場跡=1日、三番高炉跡

 

 昨年12月19日から冬季休館していた釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」が4月1日から開館、見学者の受け入れを再開した。昨年は台風被害により一時、見学者の受け入れ中止を余儀なくされたが、世界遺産登録から3年目となる今年は「近代製鉄発祥160年」と合わせ、さらなる情報発信で見学者の誘致拡大に努める。

 

1日から開館した「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」

1日から開館した「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」

 

 開館初日はあいにくの雪模様で見学に訪れる人もまばらだったが、その後は天候も回復し、団体客も来始めている。高炉場跡に残る根雪は徐々に雪解けが進むが、6日現在、所々に20~30センチの吹きだまりの積雪があり、センターでは長靴での見学を勧めている。また、エリア内は台風被害の影響で一部立ち入り禁止区域があり、見学時の注意を呼び掛ける。

 

 橋野鉄鉱山は昨年8月30日の台風10号による豪雨で、高炉場跡の表土が一部流失し、地下の遺物が露出。隣接する二又沢川の護岸被害や倒木、同センターの断水などもあり、約2カ月半、見学者の受け入れを中止した。給水設備の復旧、遺跡保護のための応急措置を行い11月19日から見学を再開したが、アクセス路の県道釜石遠野線は決壊により、遠野市側から青ノ木までの笛吹峠が全面通行止め、橋野町中村から青ノ木間の一部で片側交互通行が今も続く。

 

 同センターの昨年(4月1日~8月30日、11月19日~12月18日)の入館者数は1万7181人。世界遺産登録初年の一昨年(4月1日~12月8日)の実績、4万3316人の半数以下にとどまった。

 

 市は本年度、遺跡の本格復旧工事に着手する計画で、見学路や護岸の修復、地下遺構の遺物の一部発掘、倒木の処理などを行う。センター前の緑地帯にある遊具も更新する予定。今年は、大島高任が現甲子町大橋で洋式高炉による初出銑に成功(近代製鉄発祥)してから160年、橋野高炉跡の国史跡指定から60年、釜石市制施行から80年と節目の年が重なる。市世界遺産室の佐々木育男室長は「関係部署と連携し記念イベントを行うことで、”鉄のまち釜石”を広く発信できれば。一昨年の橋野鉄鉱山の見学者アンケートでは、笛吹峠を通ってくる人が4割を占めており、道路の早期復旧にも期待したい」と話した。

 

 同センターは12月8日まで開館(無休、午前9時半~午後4時半)し、入館は無料。市から委託された橋野町振興協議会(和田松男会長)の11人が交代で来館者の応対、施設の清掃などにあたる。同協議会前会長でスタッフの菊池成夫さん(75)は「自然に囲まれ、学術的価値の高いこの場所をしっかりPRし、昨年の(見学者の)落ち込みを挽回したい。ラグビーワールドカップ(W杯)で外国人観光客の増加も見込まれる2年後を見据え、一層の盛り上げを」と意を強くした。

 

 橋野鉄鉱山は「明治日本の産業革命遺産」(8エリア23資産)の構成資産の一つとして、2015年7月に世界文化遺産に登録された。先月22日からはスマートフォン、タブレット端末用に同遺産の無料ガイドアプリの提供が始まり、動画再生やクイズなどで楽しみながら遺産を学ぶことができる。

 

旧釜石鉱山事務所も公開再開

 

 釜石の製鉄史を物語る貴重な資料を展示する甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所も1日から今季の来館受け入れを開始した。

 

 同事務所は2008年まで釜石鉱山株式会社の総合事務所として使用されていたが、事務所移転に伴い市が建物の譲渡を受け、釜石鉱山に関する資料も寄託された。

 

冬季の休館を経て1日から来館受け入れを再開した旧釜石鉱山事務所

冬季の休館を経て1日から来館受け入れを再開した旧釜石鉱山事務所

 

 鉱山で採掘に使った道具や採取された鉱物など所蔵する約2800点の資料のうち710点を展示。09年から一般開放していたが、震災の地震で壁が崩れるなど一部が壊れ、改修工事のため休館した。耐震補強工事に合わせてレイアウトや展示内容を大幅に見直し、昨年7月から一般公開を再開した。

 

 昨年は7月から12月までに1455人が同事務所を見学。このうち有料化以降の来館者は854人に上った。

 

 来館受け入れは午前9時半から午後4時半まで。火、水曜は休館で、入館料は大人300円、小中学生100円。団体(10人以上)での申し込みであれば、休館日の開館にも応じる。

 

 問い合わせは同館(電話0193・55・5521)へ。

 

(復興釜石新聞 2017年4月8日発行 第578号より)

 

復興釜石新聞

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復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

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