橋上市場 にぎわい再現、好評 大渡橋で「釜石はしのうえ朝市」〜無理なく継続、定着目指す
開店早々、多くの買い物客でにぎわう大渡橋歩道
昨年10月に釜石市の大渡橋で開かれ、好評を博した「釜石はしのうえ朝市」──。かつての橋上市場のにぎわいを再現し、復興へ向かうまちを盛り上げていこうと市民有志が企画したイベントがさらに内容を充実させ、11日、2回目が開かれた。地元で愛される味覚などが特設の市場に集まり、名物の「釜石のっけ丼」やスイーツを家族連れなどで味わう市民が笑顔を広げた。
震災後のまちづくりに励む若手市民団体「NEXT KAMAISHI(ネクスト釜石)」が中心となり、実行委(平野嘉隆実行委員長)を組織し開催。大渡橋歩道と橋のたもとの広場を会場に今回も午前6時に開店した。出店者は前回より8店増え、23店が農水産物や汁物、菓子類など食品のほか、生花や手工芸品など多彩な商品を販売した。
ボリューム満点「釜石のっけ丼」
今回も大人気だったのが、無料で提供される温かいご飯に好みの具をのせて食べる「釜石のっけ丼」。イクラやマグロの刺し身、ホタテやサンマの焼き物など食べたいおかずを買い求めて”マイ丼”を作り、ボリューム満点の朝食を楽しんだ。
会場はご飯にのせるおかずを買い求める来場者で大にぎわい。釜石の名店が食欲をそそる一品を提供した
友人と訪れた中妻町の佐々木秀一さん(43)は「生ものも食べられるし、この場所が橋上市場を思い出す感じで雰囲気がいい。どんどん開催してほしい」と釜石市民の新たな楽しみを歓迎。橋上市場で長年営業し、市場撤去後は釜石駅前のサン・フィッシュ釜石に移転した七兵衛屋商店(後藤英輔代表)の後藤さちえさん(56)は「橋上市場時代の常連さんと話ができたり朝市に来た人が店に足を延ばしてくれたり、多くのお客さまとの触れ合いがうれしい」と感激。「津波で商店街が打撃を受け、地元をアピールする機会がなかなかない。いろいろな店が1カ所に集まって釜石をまるごとPRできるのはとてもいいこと」と声を弾ませた。
今年は新たな試みとして、橋の西側(駅側)のあずまや周辺に「ドルチェ&カフェコーナー」を開設。食事とは”別腹”でスイーツをゆったりと堪能できる場を設けた。橋上市場時代から市民に親しまれ、現在は小佐野町で営業する甘太郎商店など4店が出店し、焼きたての菓子などを販売。釜石ならではのおやつが来場者を喜ばせた。
古くから釜石市民に愛され続ける「甘太郎」(大判焼き)には順番待ちの列が続いた
平野実行委員長(45)は「前回は予想以上の来客で、ご飯やおかずが足りなくなる反省点もあったので、食材の量を充実させるなど改善を図った。天候にも恵まれ多くの方に来ていただけた」と2回目の手応えを実感。今後の展開について「基本的に手弁当でやっている企画なので、限られた予算で無理なく継続し定着させていければ。参加店も増やしながら、魅力あるイベントに育てたい。今年度は秋ごろにも開催できれば」と話した。
(復興釜石新聞 2017年6月14日発行 第596号より)
釜石はしのうえ朝市
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