甲子中で開かれたスポーツパネルディスカッション。右端が三ケ田礼一さん
甲子中(菅原雅之校長、生徒180人)で4日、10月に迫った希望郷いわて国体(第71回国民体育大会)にちなんだ「スポーツパネルディスカッション」が開かれた。アルベールビル冬季五輪のノルディック複合団体で金メダルを獲得した三ケ田礼一さん(49)=県教委スポーツ健康課=らがスポーツの持つ力などを紹介。国体に向けて中学生ができることへの助言もあり、生徒らは機運盛り上げに協力する意識を高めた。
同校の創立70周年記念事業の一つとして実施。菅原校長をコーディネーターに、パネリストの三ケ田さん、昨年10月に開かれた第15回全国障害者スポーツ大会の水泳肢体不自由女子1部25メートル自由形、50メートル自由形で優勝した村田奈々さん(32)=市教委・市立図書館勤務=、ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催に向けた準備に携わる増田久士さん(53)=市ラグビーワールドカップ推進室長補佐=が意見を交わした。
2部構成で行われ、1部のテーマは「未来につながるスポーツの力」。3人はそれぞれの競技との出会いや中学時代の部活、スポーツと職業との関わりなどを話した。
三ケ田さんは3歳からスキー、小学4年生からスキージャンプを始めた。5年生の時にあこがれの金メダリストとの出会いで、夢は「オリンピック選手」になったというが、中学時代はいい結果が残せなかったという。約30人の五輪選手を輩出しているスキー部のある高校に進学し、高校2年のインターハイで優勝。「すごく厳しい練習だったが、あきらめず続けたことが精神的な強さにつながった。そして世界との距離が縮まった」と振り返った。
アルベール五輪で金メダルを取った時の感想は「ほっとした」。気持ちを入れて参加したものの個人では34位と失敗し、切羽詰まった中でのメダル獲得だったからだという。競技する上では練習、試合に関係なく普段通りに、やるべきことを確実にやることが大切で、「結果にこだわらず、やることをやる。今の時間は戻ってこない。できることを積極的にやることが夢に近づくチャンス」と生徒らを激励した。
2部は、国体に向けたおもてなしについて。同校では各都道府県への応援旗の製作、花いっぱい運動、炬火(きょか)リレー参加などを行ってきた。村田さんは現役アスリートとして試合会場の様子を紹介。「のぼりを見つけるとうれしい。『おはよう』『頑張って』との声掛けもうれしい。車いすで生活する人にとって、ごみがないことはとても重要」と指摘した。
増田さんはラグビーW杯釜石開催に向けた取り組みなどを話し、「国体はいい機会だと思うので、そこで出た課題をラグビーW杯につなげてもらえれば」と期待。三ケ田さんは「やる人(選手)、見る人、支える人、スポーツは全ての人が参加できるもの。来た人にいい思い出を作ってもらい、自分たちもいい思い出となるよう国体を成功させよう」と呼びかけた。
パネリストへ積極的に質問した小宮佳恵さん(3年)は「スポーツ選手、メダルを取った人の話を聞くのは初めてで、貴重な時間になった。村田さんの『支えてくれる人のことを忘れずに』との言葉が印象に残った。今できることを頑張りたい」と話した。
(復興釜石新聞 2016年8月6日発行 第510号より)
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