東北社会人サッカーリーグ 新日鉄住金釜石、1部復帰決定〜終了間際、花巻に逆転勝ち
9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン
10チームで争う東北社会人サッカーリーグ2部北ブロックの新日鉄住金釜石は23日、釜石市球技場で花巻フットボールクラブ(花巻市)と対戦し、2―1で劇的な逆転勝ち。通算成績を15勝2敗(勝ち点45)とし、最終戦を残して悲願の1部昇格を決めた。2007年度に2部に転落して以来、9季ぶりに1部へ復帰する。松岡新也監督は今季を振り返り、「チャンピオンにふさわしい戦いができた。誇りを持って1部に行ける」と胸を張った。
釜石は試合終了間際、MF板澤優介のフリーキックをMF大田代飛鳥が頭で押し込み、劇的な逆転勝利を決めた。釜石イレブンはスタンドで盛んな声援を送り続けた職場の仲間や家族らのもとに駆け寄り、歓喜のバンザイ。長い低迷期を経て、やっと実現する1部復帰に沸いた。
まさかの展開だった。前半30分、相手ゴールまで攻め上がったDF浦田祐輔がキーパーチャージで一発退場。1人少ない苦しい状況の中で後半20分、花巻に先制点を許す。
この窮地を救ったのは、主将としてチームを引っ張ってきたFW簗場海史。後半30分、MF松井宏樹のシュートがこぼれたところを強引にゴールに押し込み同点。大田代の決勝ゴールにつなげた。
キャプテンシーを発揮し、チームを1部昇格に導いた簗場海史
「ホーム(グラウンド)で1部昇格を決めたかった。(決勝点を)決められて良かった」。FC釜石でサッカーを始め、遠野高、東海大と進み釜石に入団して2年目。大田代は地元ファンの歓声に包まれ、照れ臭そうに喜びをかみしめた。
大田代はこれで今季11得点。ランキングではリーグ3位に付ける。「今季のMVPはメンバー全員」と松岡監督は言うものの、「飛鳥には楽をさせてもらっている」と大田代の献身的なプレーを高く評価する。
苦しい試合展開の中でも、松岡監督は冷静に戦況を見つめていた。「ボールを奪ったあとの攻撃の質の高さ。連動した守備もできるようになっている」。コツコツと積み上げてきた自信が揺らぐことはなかった。
松岡監督は「最近は毎年、新人を採用してもらっている」と、会社(新日鉄住金釜石)のバックアップにも感謝する。仕事の関係で、平日の練習に参加できるのは相変わらずメンバーの半分にも満たない。この日も主力の3人を欠くなど苦しい状況に変わりはないが、「スーパーサブが次々と出てきて、総合力が落ちることはなかった」と今季の充実ぶりを振り返る。
東北社会人サッカー1部リーグ10チームのうち3チームは岩手にホームを置き、来季はこれに釜石が加わる。「ウチの今の実力からすれば1部でも上位に行ける。2、3位を目標にしたい」。松岡監督はもう来季の戦いを見据えている。
キャプテン簗場 あわてず同点弾
「最高ですね」。黄色のキャプテンマークを腕に巻いた簗場海史(26)は1部昇格の喜びにひたった。レッドカードを食らいメンバーが1人少ない苦しい状況の中でもあわてず、「全然いける」と最後まで集中を切らさなかった。
主将を任されて2季目。内側じん帯を傷め、シーズン途中でチームを離脱したが1カ月で復帰。膝をテープで補強し、痛みをこらえながら、主将として最前線でチームを鼓舞し続けた。
今季は6ゴールを決め、得点ランキングでは13位。アシストは5で、ランキング7位に付ける。青森県出身で、父・武見さんは釜石と同リーグで戦う七戸サッカークラブの総監督。弟の豪史(24)も兄と同じく遠野高から釜石へと進み、兄弟仲良く夢を追い続ける。
(復興釜石新聞 2016年10月29日発行 第533号より)
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