水泳ニッポン、元五輪選手がトークショー〜萩原智子さん、田中雅美さん、森田智己さんら釜石PITで


2016/09/15
復興釜石新聞アーカイブ #スポーツ

来場者の質問にも答え、市民らと交流を深めた元日本代表のトークショー

来場者の質問にも答え、市民らと交流を深めた元日本代表のトークショー

 

 国体OWS競技の前日5日には、公益財団法人日本水泳連盟による復興支援イベント「”水泳ニッポン”トークショー」が大町の釜石情報交流センター釜石PITで開かれた。五輪競泳元日本代表の3人が出演。レースの秘話や競技人生から得たことなど貴重な経験を話し、約120人の観客に生きる力と希望を与えた。

 

 2000年シドニー五輪に出場し、現在、同連盟アスリート委員長の萩原智子さん(36)が進行役を務め、五輪銅メダリストの田中雅美さん(37)、森田智己さん(32)に話を聞いた。

 

 田中さんは北海道出身。7歳で本格的に水泳を始め、平泳ぎで頭角を現した。17歳で1996年アトランタ五輪に出場。2000年のシドニー、04年のアテネと3大会連続出場を果たし、シドニー大会400メートルメドレーリレーで銅メダルを獲得した。現役引退後はスポーツコメンテーターとして活躍。今年のリオデジャネイロ五輪のテレビ番組にも多数出演した。

 

 五輪の緊張、プレッシャーなど自身の体験をリアルに語った田中さん。最後のアテネ大会200メートル平泳ぎでは僅差で4位と非常に悔しい思いをしたが、後悔はなかったという。それには、五輪を目指す中で精神的にきつかった時期に言われた言葉が影響している。「自分にだけはあきらめないで」と言う母、悪い結果に落ち込み不安になりがちな自分に「大事なのは、今日を100%にできたかどうかだ」と諭したコーチ。2人の言葉で「練習に向かう姿勢、大会への気持ちの持っていき方がクリアになった。その日一日の100%を積み重ねることが試合の結果につながる」と実感を込めた。

 

 森田さんは宮城県出身。2歳からスイミングクラブに通い、日本の背泳ぎの第一人者として国際大会で活躍するようになった。アテネ五輪100メートル背泳ぎ、400メートルメドレーリレーで共に銅メダルを獲得。08年の北京五輪にも出場した。現役引退後、柔道整復師の国家資格を取得している。

 

 森田さんは、他選手が緊張をにじませる中1人冷静でいたアテネ大会決勝を、「人生の全てをかけ命がけで臨んだ。逆に落ち着いていた」と分析。競技人生でつらかったことを聞かれると、「今となってはあまり覚えていない。苦しかったことも全部含めて楽しかったことになっている」と振り返り、「水泳って面白いんですよ。何とも実態のない水の感覚。日々発見がある」と魅力を伝えた。また、整復師の立場から体のケアにも触れ、「水泳に限らず仕事でも何でも故障しないことが一番。自分の体に耳を傾け、不調の時はセーブする。心と体のバランスが大事」とアドバイスした。

 

 リオ五輪で7個のメダルを獲得した競泳日本。後輩たちの活躍に胸を躍らせ、その頑張りをたたえた3人は、20年の東京五輪について「大きな期待と緊張感の中で行われることになる。選手の挑戦を応援してほしい。リレーでは、日本のチーム力でメダル増を」と望みを託した。

 

(復興釜石新聞 2016年9月10日発行 第519号より)

 

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