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釜石の桜 一気に満開、待望の春を謳歌〜見事な花のアーチ、上栗林の桜ライトアップ

釜石の桜 一気に満開、待望の春を謳歌〜見事な花のアーチ、上栗林の桜ライトアップ

満開の桜の下で遊ぶピッコロ子ども倶楽部桜木園の園児ら

満開の桜の下で遊ぶピッコロ子ども倶楽部桜木園の園児ら

 

 好天と温かさが続き、釜石の桜は18日ごろ一気に満開を迎えた。ライトアップで人気を集める「上栗林の桜」も満開となり、訪れた多くの人が見事な花姿を愛(め)でている。

 

 釜石の最高気温は17日が22・2度、18日は23・9度まで上昇した。

 

 小川川の下流に当たる小川町や桜木町は、釜石製鉄所山神社を囲むように桜並木が広がる花見の名所。老木は今年も豊かな花姿を見せた。川沿いの桜の幹は道を覆い、枝先は川面に垂れる。

 

 買い物、散歩、ジョギングの男女、自転車や自動車も速度を落として花のアーチをくぐった。花に手が届く歩行者専用のつり橋にはカメラを構える人も訪れ、花と川の一体となったシーンを切り取った。

 

小川川の流れに枝を垂れる桜並木のアーチは格好の散策コース

小川川の流れに枝を垂れる桜並木のアーチは格好の散策コース

 

 18日、小川地区サポートセンター前の広場では、近くにあるピッコロ子ども倶楽部桜木園(千葉正子園長)の年中・年長児19人が輪投げなどの遊びを楽しんだ。園児らは満開となった桜の下で駆け回り、ベンチに座って春の陽気を楽しむお年寄りたちも目を細めながら見守った。

 

 市の文化財「上栗林の桜」は17日夜、地元や遠方から多くの見物客を迎えた。ライトアップは東日本大震災から立ち上がる市民を応援しようと、2013年から7年目。上栗林振興会(三浦栄太郎会長、31世帯)が引き継いでいる。全体の景観を迫力いっぱいに浮かび上がらせようと、今年は発光器を過去最多の13個に増やした。

 

上栗林の桜は明かりをパワーアップしてボリューム満点に=17日夜

上栗林の桜は明かりをパワーアップしてボリューム満点に=17日夜

 

 世話役の男性らは「八分咲き。一気に咲いた。雨風もなく、夜桜見物には最高の条件」と喜んだ。大槌町の若い男性は「仕事休みで通りかかった昼に、この大きい桜を見た。ライトアップと聞いたので、ばあちゃんを誘ってまた見に来た」と熱心にスマホで撮影した。宮古市からは若いカップルがドライブがてら訪れ、「大きくて、きれい」と声を上げた。

 

 近くに住む三浦モトさん(79)は「このごろは毎日、畑に通う途中に桜の下を通る。そろそろ、ジャガイモを植える。お姑(しゅうとめ)さんから、種まき桜だと教えられた。せっかくの夜桜も一度は見たい。いいですね」と満喫した。ライトアップは21日まで行う。

 

 この巨木はエドヒガン系で樹齢300年と推定される。過去の最大樹高23メートルで、胸高周りは4・9メートルもある。1997年に市文化財に指定された。

 

(復興釜石新聞 2019年4月20日発行 第784号より)

 

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橋野鉄鉱山をVR・ARで体感しよう!!

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サイン会で来場者と交流する柚月裕子さん

作家 柚月裕子さん(釜石出身)講演、三陸道・釜石道開通記念〜新しい道路が古里後押し

サイン会で来場者と交流する柚月裕子さん

サイン会で来場者と交流する柚月裕子さん

 

 三陸沿岸道路と東北横断自動車道釜石秋田線の釜石市内区間同時開通を記念した講演会(同事業実行委主催)が13日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。釜石出身で釜石応援ふるさと大使を務める小説家・推理作家の柚月裕子さん(山形県在住)を招き、対談やパネルディスカッションを開催。来場した市民ら約350人が待望の高速交通網完成を祝い、道路を生かした地域振興へ決意を新たにした。

 

 対談形式で行われた1部は、柚月さんから作家人生の原点、執筆の信条、古里釜石への思いなどが語られた。読書好きの両親の元に育った柚月さん。小説にのめり込んだきっかけは“シャーロック・ホームズ”本との出会いで、自身の作品にも影響を与えているという。物語を書く上で気を付けるのは、登場人物の筋を通すこと。「自分と違う価値観でも、確固たる理由が分かれば、その相手を理解することにつながる」と、小説が豊かな人間関係や人生の一助にもなることを示した。また、「小説には意図しなくても作者の本心が出る。言い換えれば、自分の内面をさらけ出さないと小説は書けない」とも。

 

 デビュー10年となる柚月さんは、各賞を受賞した「検事の本懐」「孤狼の血」「盤上の向日葵」で注目を集め、映画やテレビドラマ化された作品も。来場者は柚月さんの素顔や釜石愛を直に感じながら、話に聞き入った。

 

 2部は柚月さんと市民3人を迎え、「命の道からかまいしの未来へ」と題しパネルディスカッション。東日本大震災復興のリーディングプロジェクトとして進められてきた両道路について、それぞれの立場から思いを述べ合った。

 

3月9日に開通した2道路について語るパネリスト

3月9日に開通した2道路について語るパネリストら

 

 青紀土木の青木健一社長は、がれき撤去や根浜への道路新設に携わった経験から、命をつなぐ道の重要性を実感。高速道路を動脈、地域内の道路を毛細血管に例え、「今後さらに血流も強くなる。物流や人的交流が促進する中で地域の魅力をどう高めていけるかが課題」と提言した。

 

 震災当日、来客を案内中に大地震に見舞われ、1週間前に開通したばかりの同沿岸道路(片岸―水海間)の通行で津波の難を逃れた福成菜穂子さんは「瞬時の判断が生死を分けた。私にとってはまさに命の道路。新町のインター建設で住み慣れた土地を離れたこともあり、今回の開通には特別な思いがある」と心境を明かした。

 

 鵜住居駅前の2施設、魚河岸テラスの管理運営を担うかまいしDMCの河東英宜事業部長は観光面の視点から「高速道で利便性が高まれば、日帰り客が増える可能性もある。宿泊してもらえるような仕掛けづくりが必要」と消費拡大に向けた関係者の連携強化を望んだ。

 

 柚月さんは、病を患った生母の最期をみとることができなかった。「当時、母が住む宮古市までは山形から(車で)7時間ぐらいかかった。新たな道路は、道に対するもどかしさを覚えていた方々にとって力強く、温かい道になると思う」と実感を込めた。

 

 アドバイザーとして登壇した国交省東北地方整備局南三陸国道事務所の折笠徹所長は、用地提供者、工事関係者、県・市の多大な協力に感謝。「道路は地域を良くするための道具。地元住民が誇りを持てるまちになるよう、道路を使ってほしい。隠れた情報をどんどん発信し、継続して人を呼び込めるようになれば」と期待した。

 

 講演会終了後は柚月さんの書籍販売やサイン会もあり、長蛇の列ができた。柚月さんは復興に役立ててほしいと、釜石市に寄付も行った。

 

(復興釜石新聞 2019年4月17日発行 第783号より)

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広報かまいし2019年4月15日号(No.1710)

広報かまいし2019年4月15日号(No.1710)

広報かまいし2019年4月15日号(No.1710)

 

広報かまいし2019年4月15日号(No.1710)

広報かまいし2019年4月15日号(No.1710)

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【表紙】地域の真の復興を願って
【P2~3】祝開通 三陸沿岸道路・東北横断自動車道釜石秋田線、三陸鉄道リアス線
【P4~7】平成31年度施政方針/平成31年度当初予算/平成31年度の主要事業
【P8~11】釜石版地域包括ケアシステムの実現に向けて
【P12~13】ゴールデンウィーク中の休館情報などのお知らせ/まちのお知らせ
【P14~15】まちのお知らせ/5月休日当番医/各種相談
【P16~17】まちの話題/震災から8年鎮魂の祈り 忘れない いつまでも
【P18~19】保健案内板 高齢者肺炎球菌予防接種の助成を延長します/保健便り/ワンポイントアドバイス
【P20】やっぺし!ラグビーワルドカップ2019推進本部通信

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都築住職らによってお披露目されたシンボルキャラクター

釜石大観音 建立50周年、まちを見守るシンボル〜「かのっち」お披露目

記念法要の参列者ら=8日

記念法要の参列者ら=8日

 

 釜石市大平町の釜石大観音は建立から50周年を迎え、7、8の両日、記念行事を行った。住民の信仰の対象、釜石を代表する観光名所として親しまれてきた大観音。両日は拝観が無料となり、訪れた人たちは、慈愛に満ちた姿でまちを見守り続ける観音像を見上げ、50年の歳月に思いをはせた。

 

魚彩王国協賛の屋台村が出店し、にぎわいを見せた釜石大観音境内=7日

魚彩王国協賛の屋台村が出店し、にぎわいを見せた釜石大観音境内=7日

 

 7日の式典では、運営する明峰山石応禅寺(大只越町)の都築利昭住職があいさつ。50周年記念で制作した同観音の新キャラクター「かのっち」がお披露目された。本県のPRキャラ「わんこきょうだい」を手がけた盛岡市のデザイナー、オガサワラユウダイさんがデザイン。「幅広い年代に愛されるように」との思いが込められた。境内には高さ150センチの「かのっち」像が設置され、グッズとしてクリアファイルなどが発売された。

 

都築住職らによってお披露目されたシンボルキャラクター

都築住職らによってお披露目されたシンボルキャラクター

 

 市内の詩吟、太鼓、鹿踊りの3団体が芸能奉納。仙台市在住の釜石ゆかりの書家・支部蘭蹊さんはオカリナ演奏の中、書のパフォーマンスを披露した。兄弟ピアノデュオ「レ・フレール」、女性音楽家4人による「スプラング・リズム」のコンサートもあった。

 

 ツアーで訪れた盛岡市の小泉ケイさん(83)は建立間もないころに来た記憶があるといい、「観音様はどんな気持ちで津波を見ていただろう。海岸部の状況も見せてもらったが、工事中の所が多い。一日も早い復興を祈るばかり」と手を合わせた。

 

 釜石大観音は明治、昭和の大津波、第2次大戦の2度にわたる艦砲射撃の犠牲者を弔い、世界平和を祈願しようと、1970年、同寺17世・雲汀晴朗氏の発願で、釜石湾を一望する鎌崎半島の高台に建立。東日本大震災では、地震で観音像の一部にひびが入るなどしたが、津波被害は免れた。震災後は市民結婚式の会場になり、2016年には「恋人の聖地」に選定された。

 

「桜舞太鼓」などが50周年を祝った芸能奉納

「桜舞太鼓」などが50周年を祝った芸能奉納

 

 都築住職(49)は「全国からのお力添えで震災も乗り越えてこられた。観音様は人々の救済が本願。今まで以上に皆さんの心のよりどころになっていければ」と願った。

 

 境内には、スリランカ国ケラニア寺院から分骨されたお釈迦様の遺骨をまつる仏舎利塔がある。8日は、仏舎利奉迎45周年と合わせた記念法要が営まれ、95人が参列。降誕会でお釈迦様の徳をたたえた後、雲汀大和尚、建立・運営尽力者を供養した。

 

 像の修繕などを請け負う元持の元持成人社長(70)は「大観音は釜石に人の流れを生み、まちにも貢献してきた」と実感。梅花講の菊地恵美子さん(88)は「釜石のシンボル。何かの時にはここにお参りする人も多い」と愛着を示した。

 

(復興釜石新聞 2019年4月10日発行 第781号より)

 

復興釜石新聞

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借り受けた建物を民泊向けに貸し出す地域おこし協力隊の吉野さん(左)と神脇さん

ルームシェアと民泊で空き家活用、釜石市平田運用開始〜「協力隊」居住 受け入れに一役

借り受けた建物を民泊向けに貸し出す地域おこし協力隊の吉野さん(左)と神脇さん

借り受けた建物を民泊向けに貸し出す地域おこし協力隊の吉野さん(左)と神脇さん

 

 釜石市内に数多くある空き家を活用して地域活性化につなげようと、ルームシェアと民泊を組み合わせた取り組みが始まり、3日、モデルケースとして運用される建物が公開された。上平田ニュータウン内にある空き家に地域おこし協力隊の単身者2人が住み、普段は利用しない2部屋を民泊向けに貸し出す仕組み。市は、深刻な社会問題となっている空き家解消策の一つとして可能性を探るほか、今秋開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の宿泊施設不足を補う方策としても期待する。

 

ヘイタハウス

 

 「ヘイタハウス」と名付けられた木造平屋の建物(104平方メートル)は築25年で、この10年間は空き家となっていた。この建物を借り受けた同隊員の吉野和也さん(38)、神脇隼人さん(30)が改修した上で、5部屋のうち定員3人と4人の2部屋を民泊用に貸し出す。料金は素泊まり1泊3500円(税別)に設定する。

 

 釜石市、不動産・住宅情報サイト「LIFULLHOMES」などの住生活情報サービスを提供するLIFULL(井上高志社長)、楽天LIFULLSTAY(太田宗克社長)が17年に締結した「空き家利活用を通じた地域活性化連携協定」の事業の一つ。17年に成立した「民泊新法」により可能となった。

 

民泊向けに貸し出す部屋で

民泊向けに貸し出す部屋で

 

 空き家所有者は賃貸で家賃収入を得ることができ、民泊用に部屋を貸し出す居住者は副業として月々の家賃を補てんする仕組み。市とLIFULLは空き家の選定や入居者の募集、物件の管理・利活用に関するコーディネートを行い、楽天LIFULLSTAYは民泊事業を始めるための物件改修の監修、民泊施設運営のノウハウを提供する。

 

 市によると、16年調査で市内には約830件の空き家があるが、単身者向けの手頃な家賃の物件が少なく、移住や定住を促進する上で課題となっている。

 

 地域おこし協力隊の2人はいずれも千葉県出身。まちづくり分野を担当する吉野さんは「地域の人たちと、市外からやって来た人などとの交流の場としても活用できれば」と可能性を探る。釜石に来る前は不動産業に携わっていた神脇さんは「釜石は家賃がすごく高いと感じた。低額の空き家利用として認知されれば」と期待する。

 

 宿泊は民泊予約サイト「Vacation STAY」で予約できる。

 

(復興釜石新聞 2019年4月6日発行 第780号より)

 

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初めてのヘアカットを家族が見守った

笑顔で「病気の子にあげる」〜生まれて初めて髪を切る

初めてのヘアカットを家族が見守った

初めてのヘアカットを家族が見守った

 

 病気やけがなどで頭髪を失った18歳未満の子どもに髪を提供する活動「ヘアドネーション」のため、釜石市大只越町の和田起太朗ちゃん(6)が26日、市内の美容室で「断髪式」に臨んだ。生まれてから一度も髪の毛を切ったことがなく、美容室も初体験。母美穂さん(44)ら家族が見守る中、膝下まであった長い髪をばっさり。未経験の短髪姿をはにかみながら鏡で見た起太朗ちゃんは「かっこよくなった。うれしい。切った髪は病気の子にあげる」と明るい笑顔を見せた。

 

 起太朗ちゃんは3人兄弟の末っ子。美穂さんの「お腹のなかにいた時からのつながりを残しておきたい」との思いから髪を伸ばし続けてきた。そのつながりは美穂さんにとって普段の家事をこなす意欲になり、5年ほど前に乳がんが見つかった時の治療への力にもなっていたという。

 

 4月から小学校に入学するのを機にそろそろ切ろうかと、昨年秋ごろから考えてきた美穂さん。その際、インターネットでたまたまヘアドネーションを知り、「どうせ切るなら人のためになるものがいい」と提案した。

 

 起太朗ちゃんには動画などで取り組みを伝えた。「病気のお友達にあげたらどう思う?」と問い掛けると、「この子にあげる。喜ぶと思う」と答えが返ってきて納得した様子。美穂さんも「やってみよう」と心を決めた。

 

ばっさり切った髪の毛を手にする和田起太朗ちゃん

ばっさり切った髪の毛を手にする和田起太朗ちゃん

 

 断髪式は、これまでもヘアドネーションを手掛けている大町の美容室「VIVA」で行った。初めての体験にもかかわらず、起太朗ちゃんには緊張した様子は一切なし。自身もヘアドネーションを行った経験がある片桐浩一代表(49)がカットを担当した。

 

 6年間、毎日長い髪を結んだり、洗ったりしてケアしてきた美穂さんは「普段と同じことをやってもらっている感覚だね」と成長に頼もしさを感じるとともに、伸びた髪が短くなる様子を感慨深げに見守った。約60センチ切って短髪になった起太朗ちゃんは、美穂さんら家族の「かっこいいねー」との声にはにかみつつ、晴れやかな表情だった。

 

 片桐代表はこれまで協力者のカットを10件ほど手掛けたが、就学前の子どもは初めて。「小さな子どもの髪は貴重。取り組みが少しずつ広がってくれるとうれしい」と話す。髪は大阪市の会社に送られ、医療用のかつらとして活用される。

 

 美穂さんは「これまでの日常がなくなるという寂しさもあるが、新しいスタートだと実感。今は理解できないかもしれないが、直接手を貸さなくても誰かを助けられることを覚えていてほしい」と目を細めた。

 

(復興釜石新聞 2019年3月30日発行 第778号より)

 

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鵜住居の商業施設着工、まちなか再生の中核に〜9月上旬のオープン目指す

鵜住居地区商業施設の建設地

鵜住居地区商業施設の建設地

 

 釜石まちづくり会社(谷澤栄一社長)が釜石市鵜住居町に整備する商業施設の建設工事安全祈願祭が22日、現地で行われた。東日本大震災で大きな被害を受けた鵜住居地区のまちなか再生に向けた中核施設の一つで、最後の着工。周辺の公共施設とともに、地域のにぎわい創出の拠点となる。8月中の完成、9月上旬のオープンを目指す。

 

 商業施設は鵜住居小・釜石東中に近い、国道45号沿いに建設される。敷地面積3535平方メートル、鉄骨平屋で延べ床面積は1506平方メートル。盛岡市に本社があるスーパーマーケット、マルイチを核店舗に、小売業、サービス業、建築・リフォーム業、金融業の5店舗が入居する。事業費は約4億円。国の津波立地補助金を活用する。

 

スーパーが核店舗となった商業施設の外観イメージ

スーパーが核店舗となった商業施設の外観イメージ

 

 安全祈願祭には関係者約50人が出席。神事を行った後、谷澤社長が「近くには鵜住居駅や公共施設が完成し、ポテンシャルの高い場所と考えている。地域に愛され、絶対なくてはならない施設に育てていきたい」とあいさつした。

 

建設工事安全祈願祭でくわ入れする谷澤社長

建設工事安全祈願祭でくわ入れする谷澤社長

 

 同地区のまちなか再生に向け、同社や市、住民らで土地利用や公共施設の配置などを話し合う中で、商業施設整備も検討。当初は1月の着工を予定していたが、補助金申請に関する国とのやりとり、工事業者が部材の確保などに時間を要し、2カ月遅れの着手となった。

 

 商業施設の建設地そばには鵜住居駅が新設され、駅周辺には震災犠牲者の追悼施設や津波伝承施設、観光交流施設が完成。市民体育館も建設中で、中心市街地の再生が進められている。

 

(復興釜石新聞 2019年3月30日発行 第778号より)

 

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釜石駅長とともに「出発進行」と手を上げる双子の園児

三陸鉄道リアス線全線開通、被災地の希望をつなぐ鉄路〜国内最長(163キロ)の三セク路線に

テープカットした三鉄の中村一郎社長(左)や達増拓也知事(右)ら

テープカットした三鉄の中村一郎社長(左)や達増拓也知事(右)ら

 

 東日本大震災の津波で不通となったJR山田線釜石―宮古間(55・4キロ)は23日、第三セクターの三陸鉄道(本社宮古市、中村一郎社長)に移管され、8年ぶりに運行を再開した。三陸鉄道はこれにより大船渡・盛―久慈間163キロが一本のレールでつながり、「リアス線」と改称。第三セクターとしては国内最長路線として再出発した。

 

 この日は釜石駅で出発式が行われ、三陸鉄道の中村社長が「交流人口の拡大、沿線地域の振興に役割を果たしたい」とあいさつした。渡辺博道復興大臣は「三鉄の復活は復興のシンボルとなる」と期待。釜石市の野田武則市長は「復興の象徴として三鉄を大事にしながら地域振興につなげたい」と決意を述べた。

 

 全線開通を祝うテープカットに続き、一日駅長となった双子の園児、山﨑蒼依(あおい)ちゃん、蒼空(そら)ちゃんが右手を上げ、釜石駅の山蔭康明駅長とともに「出発進行」の合図。関係者のほか、公募で選ばれた一般乗客40人を乗せた4両編成の列車がホームから滑り出した。

 

釜石駅長とともに「出発進行」と手を上げる双子の園児

釜石駅長とともに「出発進行」と手を上げる双子の園児

 

 釜石駅のホームが望めるシープラザ釜石周辺は、一番列車を見届けようと大勢の市民が鈴なりに。列車が走り出すと大きな歓声がわき起こり、「復興の汽笛をありがとう」と記した横断幕を掲げて列車を見送る人もあった。甲子川の鉄橋周辺でも大勢の人が手を振り、三鉄の再出発にエールを送った。

 

 友人3人と乗車した釜石市大平町の太田フジ江さん(71)は「沿線のみなさんに元気な生活が戻る第一歩になる」と期待。甲子町の前川ケイ子さん(77)は「紅葉の時期になったら久慈まで乗っていきたい」と胸を弾ませた。鉄道ファンで、震災後何度も三陸を訪れている埼玉県鴻巣市の会社員木村健さん(58)は「開通を喜ぶ沿線住民の笑顔に復興を感じる」と話した。

 

小旗を振り、記念の一番列車を見送る人たち=23日午前11時40分、釜石駅

小旗を振り、記念の一番列車を見送る人たち=23日午前11時40分、釜石駅

 

 三陸鉄道は1984年、国内初の第三セクター路線として開業。震災前は山田線を挟み、北リアス線(宮古―久慈)、南リアス線(盛―釜石)に分かれて運行していた。釜石―宮古間は震災の津波で鉄路が流され、7駅が被災。路線存続が危ぶまれたが、県や沿線自治体の強い要望を受け、JR東日本が鉄道を復旧。三鉄に移管する形で全線復旧にこぎ着けた。宮古市には新たに払川、八木沢・宮古短大の2駅が開設された。

 

 24日からは通常運行が始まった。

 

「復興の汽笛をありがとう」横断幕で見送り 釜石駅

 

「復興の汽笛をありがとう」と記した横断幕も

「復興の汽笛をありがとう」と記した横断幕も

 

 久慈(久慈市)―盛(大船渡市)163キロを一貫運行する三陸鉄道リアス線が誕生した23日、釜石市内は歓迎ムードに包まれた。鈴子町のJR釜石駅前広場では開業記念イベントが開催され、食や音楽ライブなどのステージで盛り上げ。線路が見えるシープラザ釜石付近では小旗を持った大勢の人が記念列車を出迎えた。

 

 イベントには県内20の飲食、物販団体が出店。肌寒い日でラーメンやちゃんこ鍋などが人気だった。ステージは釜石東中生8人による「つながった鉄路をみんなで盛り上げましょう」とのあいさつで開幕。釜石小の児童27人は元気いっぱい虎舞を披露した。東方飛龍君(釜石小6年)は「移動手段が増えるので良いと思う。お祝いを盛り上げられた」と充実感をにじませた。

 

 線路が見える場所では住民や鉄道ファンが待ち構えた。11時40分、記念一番列車が出発すると、「祝・リアス線誕生」の小旗を振って見送った。

 

 「かっこいい。乗りたい」と目を輝かせていたのは東京都から足を運んだ小学1年の田嶋俊輝君(7)。電車が大好きで、記念列車の乗車に応募したが、抽選で外れてしまった。母智子さん(45)は大槌町吉里吉里出身で、高校時代に利用した鉄路復活の喜びを味わおうと里帰り。滞在中に乗車を予定し、「田舎だから景色良さそう」と話す俊輝君との列車の旅を楽しみにしている。

 

 大渡町の畑山佐津子さん(81)は試運転の様子に、わくわく感を高めていた。「汽車が走るのはやっぱりいいね」とにっこり。来訪者の増加を願い、現在取り組んでいる地域を花で彩る活動への意欲も強めた。

 

 カメラ2台を持った盛岡市の斎藤収さん(68)は「開通をきっかけに、地元の活気や経済効果が高まるだろう。ブームで終わらせないことが大事。人にあふれる三陸のまちになってほしい」と期待した。

 

「待ってたよー」 両石駅

 

大漁旗や小旗を振り、記念列車を迎える住民=両石駅

大漁旗や小旗を振り、記念列車を迎える住民=両石駅

 

 「待ってたよ」―。三陸鉄道両石駅にも“生活の足”の復活を待ち望んでいた大勢の住民らが足を運んだ。午後1時19分ごろ、宮古駅を出発した記念列車が汽笛を鳴らしながら姿を見せると、小旗を持って迎え入れ。大漁旗がたなびくホームに笑顔が広がった。

 

 震災の影響で車を手放した70代の女性は「列車が通るのは当たり前の風景。再開してもらって助かる」と実感。戸建ての復興住宅で暮らし、周りには新築の住宅も増えてきた。三鉄新路線の出発が復興と地域の力になると確信。「これからもっとよくなる。みんなと助け合いながら過ごしたい」と目を細めた。

 

新ホームに揺れる歓迎の小旗 鵜住居駅

 

釜石発の一番列車を大勢の人たちが歓迎した鵜住居駅

釜石発の一番列車を大勢の人たちが歓迎した鵜住居駅

 

 釜石発の1番列車は午前11時52分、津波で被災し再建された鵜住居駅に到着。8年ぶりの鉄路再開を心待ちにしていた地元住民や市外から駆け付けた鉄道ファンが、小旗を振って熱く出迎えた。

 

 ホームでは横断幕や大漁旗、鵜住居虎舞で歓迎。釜石シーウェイブスRFCの選手らは、秋に同駅近くの釜石鵜住居復興スタジアムで開催されるラグビーワールドカップ(W杯)を「三鉄に乗って見に来て」とアピールした。

 

列車がホームに入ってくると周辺はお祝いムードに包まれた

列車がホームに入ってくると周辺はお祝いムードに包まれた

 

 盛岡市の高田桐以君(羽場小3年)は、この日のために旗を手作り。列車到着を前に「あと30分…。楽しみ」と胸を躍らせた。桐以君の祖父賢一さん(68)は震災以前に、妻の実家があった鵜住居に10年ほど暮らした。「被災直後の光景を思うと、みんな頑張ってくれて、ここまで来たんだなと実感する」と感無量。

 

 大船渡市の盛駅近くに住む坂井美代さん(37)は、三鉄が大好きな2歳の息子、夫と鵜住居駅に。「列車が入ってくる姿にうるっときた。鉄道の復旧は気持ちが明るくなる話題。ぜひ久慈まで行ってみたい」と目を輝かせた。

 

 震災前、同駅近くに自宅があった岩鼻新一郎さん(83)は「どこに家があったか分からないほど」と変貌を遂げた一帯を見渡し、「地域にとって鉄道は絶対必要。W杯後のフォローも住民自ら考えていかねば」と課題を見据えた。

 

 国鉄に36年間勤務した鵜住居町日向の小笠原盛さん(90)は、山田線復活を強く望んできた一人。「8年も待った。乗客、乗員の喜ぶ顔、町民の歓迎ぶりを見ると本当に良かったと思う」としみじみ。世界遺産・橋野鉄鉱山と復興が進む根浜海岸を結びつけた観光振興を提言し、「鵜住居駅は拠点となる場所。『おらが三鉄』という意識で、沿線自治体が協力し合い盛り上げなければ」と話した。

 

(復興釜石新聞 2019年3月27日発行 第777号より)

 

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広報かまいし2019年4月1日号(No.1709)

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【表紙】魚河岸テラス グランドオープン/市長のつぶや記㊾
【P2~3】医療・福祉関係の学生対象 奨学金を貸与します/ハイリスク妊婦へ交通費の一部助成します/福祉タクシー助成券を交付します/お子さんの発達で悩んでいるご家族の皆さんへ/点訳・音訳・録音図書編集・ITサポート体験会
【P4~5】「命を守る災害文化会議」の設立/岩手県山火事防止運動月間/架空請求に注意/三陸沿岸道路及び東北横断自動車道釜石区間同時開通記念講演会/外国人のための日本語教室/固定資産税納税に関するお知らせ
【P6~7】まちのお知らせ
【P8】やっぺし!RWC2019推進本部通信/「ホッとカード」をご利用ください

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要点をまとめた自作のノートと合格通知を手にする駒林さん

念願の気象予報士に合格、合格率4%台の難関突破〜「存分に山を楽しみたい」駒林さん 69歳で夢かなう

要点をまとめた自作のノートと合格通知を手にする駒林さん

要点をまとめた自作のノートと合格通知を手にする駒林さん

 

 釜石市大只越町の駒林健司さん(69)がこのほど、気象予報士試験に合格した。趣味の登山(特に縦走登山)を安心して楽しむためにと、挑むこと7年。1月27日に試験を受け、今月8日に合格の知らせを受けた。受験者数2857人で合格者は135人。挑戦15回目で合格率4%台の難関を突破した駒林さんは「肩の荷がおりた。存分に山を楽しみたい」と胸を膨らませる。

 

 駒林さんは大学卒業後、63歳で退職するまで銀行員として働いた。ホテル勤務を経て、65歳からは市の任期付職員として水産振興などに携わっている。

 

 登山は大学時代から続く趣味。現在も市内の登山愛好団体に所属して楽しんでいる。

 

 10年ほど前に朝日連峰(山形、新潟県)を縦走した際、登山客がラジオを聞きながら天気図を書く姿に格好よさを感じ、自身も天気図の書き方を学び始めた。1年ほどたって訪れた飯豊連峰(福島、山形、新潟県)で、学びの成果を確かめようと実践。すると、見ていた登山客から「明日の天気はどうですか?」と質問されたが、答えられなかったという。

 

 登山は気象の影響を大きく受ける屋外スポーツの一つ。天候に敏感な人も多く、この時の「答えられない」が、受験のきっかけになった。加えて、登山に必要な体力と経験のうち、体力は年齢とともに低下し、けがなどのリスクが高まる。その低下分を補い、安全な山登りを楽しむための必要な知識として着目したのが、気象予報だった。

 

 仕事と並行して出勤前に1時間半、夜は1時間ほど机に向かった。試験は年に2回実施。学科と実技があり、2012年から挑戦したが、合格基準にはなかなかたどり着けなかった。

 

 「実力はここまでか。やめようか」「ここで諦めたら費やした時間がむだになる」。この繰り返しだったと振り返る駒林さん。「年も年で、楽をすると得たものを取り戻すのに大幅な時間がかかる。やる気を保つため、とにかく短時間でも机に向かった。継続は力なり。これは本当。こつこつやること」と実感を込める。

 

 合格が発表されたのは、69歳となった翌日。“合格”の文字にじわじわと喜びがわき、「報われた」と解放感。少し遅れて届いた通知が誕生祝いにもなった。

 

 現在、気象予報士の資格を気象庁に申請中。駒林さんは「もっと学びを深め、得た知識、持っている技術を伝える活動に生かしたい」と意欲を見せる。

 

 この挑戦と併せ、日本山岳ガイド協会の登山ガイド資格なども取得。そんな活力が満ちている駒林さんは、今月末で市職員としての任期を終える。今後は北海道への登山を計画中。近年の登山ブームを受け、紙地図の携帯など登山の基本を伝える活動にも取り組みたい考えだ。

 

(復興釜石新聞 2019年3月23日発行 第776号より)

 

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祝いの布絵を掲げ、ゲームを楽しむ利用者

三鉄全線開通祝う布絵制作、利用者「夢・希望・未来」描く〜鵜住居町やまざきデイサービス

祝いの布絵を掲げ、ゲームを楽しむ利用者

祝いの布絵を掲げ、ゲームを楽しむ利用者

 

 旧JR山田線の宮古―釜石間を含む三陸鉄道リアス線の全線開通を23日に控え、釜石市鵜住居町の沿線にある「やまざき機能訓練デイサービス」(山崎より子施設長)の利用者が大きな祝いの布絵を共同制作した。作品は運行初日の列車に合わせ、フェンスに掲げる予定。 

 

同施設では、鵜住居地域の80~90代の利用者が血圧測定など健康チェック、入浴、食事や体操、機能訓練、ゲームなどで過ごす。

 

 三鉄の開通を祝う横断幕は2月に制作した。備品の白いシーツ(長さ2・5メートル、幅1・5メートル)をカンバスに、職員の介護福祉士中財誠さん(36)が線画で基本の構図を描き、利用者が水性アクリルで彩色した。白、赤、青の列車の目的地は「夢・希望・未来」と書き入れた。

 

 列車の下はグラウンドの芝をイメージし、ラグビーボールとたわむれながら踊っているような人々の姿と桜の花びらを配置した。人型にくり抜いた紙を押し当て彩色した。

 

 作業には利用者延べ120人が参加した。手芸や絵など創作に興味を持つ人も多く、介もあった。

 

 中財さんは「個々に施設を利用する時間、介護、介護支援の内容は異なるが、絵を一緒に仕上げる創造的な行動は、レクリエーション気分とともに手先と思考力を使い、互いにコミュニケーションをとる必要があり、心身に良い刺激となる」と取り組みの狙いを語った。

 

 作品は23日の開通に合わせて線路に掲出。その後は鵜住居駅や周辺の公共施設群「うのすまい・トモス」での展示を期待している。

 

(復興釜石新聞 2019年3月20日発行 第775号より)

 

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