デザインで釜石発信、「木と鉄」活用ベンチ 定内公園にお目見え


2021/10/28
釜石新聞NewS #地域

定内公園に設置されたベンチ。木と鉄で釜石らしさを発信する

定内公園に設置されたベンチ。木と鉄で釜石らしさを発信する

 

 「とんがり公園」との愛称で幅広い年代に親しまれる釜石市定内町の定内公園に、地域資源の木と鉄を組み合わせたベンチ2基がお目見えした。地元企業の力も結集し、金属を用いて強度を保ちつつ、木のぬくもりを感じてもらえるよう、機能とデザイン性を重視。公園利用者の反応も上々で、地元産品のPRに一役買っている。

 

ベンチを贈った中妻岩友会、市関係者ら

ベンチを贈った中妻岩友会、市関係者ら

 

 岩手銀行中妻支店の取引先でつくる親睦団体「中妻岩友会」(小泉嘉明会長、会員63事業者)が市に寄贈する形で、同公園に設置された。座面となる木材は2017年に尾崎半島で発生した大規模林野火災の焼損木(スギ)を活用。屋外利用となるため防腐加工を施した。黒の塗装が施された手すりの機能もある脚部のステンレスフレームは石村工業(大平町、石村真一社長)が加工。高齢者が立ち上がる際の手や手首への負担を考慮し、フレームの角は丸く設計した。

 

 3人掛け用で、幅180センチ、高さ63センチ、奥行き40センチ。デザインは平田のデザイン業「FROM NIPPON(フロム・ニッポン)」代表の境悠作さん(32)が手掛ける。本来は屋内での利用を想定したベンチで、「FROM KAMAISHI(フロム・カマイシ)」と名付けて製作していた。

 

寄贈書を手にする小泉会長(右)と野田市長

寄贈書を手にする小泉会長(右)と野田市長

 

 寄贈式は9日に同公園で行われ、小泉会長は「高齢者、子どもたちが集い、笑いあふれる場になってもらえれば幸い」とあいさつ。野田武則市長は「釜石の特産をコラボしたベンチで、良さを広く市民に伝えることができる。憩いの場として大いに活用してもらいたい」と期待した。

 

 公園には子どもたちが楽しめる大きな滑り台やブランコなど遊具があり、広々とした空間では高齢者らがグラウンドゴルフなどを楽しんでいるという。近くに住む濱中トシさん(82)は「座る場所が増えたのがいいね。来る回数が増えそう」と歓迎。早速座り、子どもたちが遊ぶ姿を見て目を細めていた。

 

「デザインで釜石、日本を発信したい」と意欲を見せる境さん

「デザインで釜石、日本を発信したい」と意欲を見せる境さん

 

 境さんは「柔らかくあたたかい木調と黒く硬い鉄製の対比をスタイリッシュに見せることができる。長く愛用いただくことで次のスタンダードにつながる」と強調。ものづくり技術が蓄積されている「デザインのまち釜石」を視点に、地域産材を活用した製品開発やブランディング、他地域とつなぐ仕組みづくりを進めようと意気込む。

 

 ベンチは2人掛け用や家庭での利用を想定した製品もあり、受注生産する。問い合わせはフロム・ニッポン(電話0193・27・7502)へ。

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