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海図刊行150周年―第1号の地・釜石で記念講演会 郷土の歴史を知る手掛かりに

海図第1号「陸中国釜石港之図」の刊行150年を記念し開かれた講演会 

海図第1号「陸中国釜石港之図」の刊行150年を記念し開かれた講演会

  
 日本人の手だけで初めて作られた海図第1号「陸中國釜石港之圖(りくちゅうのくにかまいしこうのず)」の刊行150周年を記念した講演会(第2管区海上保安本部、釜石海上保安部など主催)は5月29日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルスの流行が続く中、ユーチューブのライブ配信を取り入れて行い、会場参加と合わせて約130人が聴講。「海図の歴史を巡る」をテーマにした3人の講演を通じ、海洋での活動に不可欠な海図の重要性、歴史的背景や意義について理解を深めた。
   
 海図は、船が安全に航行できるよう海岸の地形や水深、灯台などの目標物を分かりやすく示した地図。海上保安庁海洋情報部の藤田雅之部長が海図の必要性や測量技術の変遷などを解説した。1872年(明治5年)、当時の兵部省海軍部水路局(現同海洋情報部)が刊行した「陸中國釜石港之圖」の特徴も紹介。釜石港が第1号の地に選ばれた背景について、▽東京―函館間航路の重要な補給地点▽官営製鉄所の開業を控えていた―ことなどを挙げ、近代化を進めるための重要な港湾だったと強調した。
   
海図作成の歴史を振り返り、教育現場での活用を提案した小林准教授

海図作成の歴史を振り返り、教育現場での活用を提案した小林准教授

   
 京都女子大文学部史学科の小林瑞穂准教授(日本近現代史)は第1号海図作成の背景について、「釜石は陸路が狭く、海からの輸送の実績があったからこそ、製鉄につながったのではないか。鉄という重要な資源の損失を出さないために測量、海図作成の重要性が増したと考えられる。釜石港之図は『鉄の都釜石』の証しでもある」などと歴史的意義を独自の視点で示した。
   
 「海図は近代日本の殖産興業の礎となり、外交方針に果たした役割も重要だ」と指摘し、釜石港之図を日本史や地理、社会科の教材として教育現場で生かすことを提案。海図の更新は現在も海上保安庁によって行われており、東日本大震災の影響で変化した地形の情報も正確に反映している。震災を記憶する歴史資料としても重要で、保存と活用を期待。「歴史の証言者として、のちの釜石人に役立つもの。しっかりと受け渡してほしい」と求めた。
   
来場者は歴史の深さを感じながら専門家の話に聞き入った

来場者は歴史の深さを感じながら専門家の話に聞き入った

   
 浜町の曳船・内航運送業、海洋曳船の星野諭社長は「岩手三陸地域海上交通の今、昔」と題して講演。港湾内で他の船を押したり引っ張ったりするタグボートの歴史や種類を説明し、釜石港の変遷を紹介した。
  
海図の歴史などを紹介するパネル展示。興味津々に見つめる姿があった

海図の歴史などを紹介するパネル展示。興味津々に見つめる姿があった

   
 会場では、第1号海図を印刷するために手彫りで作られた銅板や海図の歴史などを紹介するパネル展示も。第2管区海上保安本部の宮本伸二本部長は「海図第1号刊行の地で、綿々と培われてきた歴史、測量技術に触れ、海に理解を深めてほしい。海とともに生きてきたまち、先人たちに思いをはせる機会に」と期待した。
 

「浜千鳥酒造り体験塾」の田植え体験。塾開催は25年目を迎えた

「浜千鳥酒造り体験塾」スタート! 大槌での酒米生産20年目 喜びの田植え

「浜千鳥酒造り体験塾」の田植え体験。塾開催は25年目を迎えた

「浜千鳥酒造り体験塾」の田植え体験。塾開催は25年目を迎えた

 
 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)が開く「酒造り体験塾」が今年も始まった。5月29日、同社に酒米を供給する大槌町の農家の田んぼで田植え体験会が行われ、子どもから大人まで約70人が手植え作業に汗を流した。同社が大槌産の酒米を使うようになって今年で20年目。品質の良い「吟ぎんが」で仕込まれた地酒は、各種鑑評会や国際コンテストで高い評価を受ける。塾参加者は地元の自然の恵みと蔵人の技で造られる酒に思いをはせながら、今後の体験を心待ちにした。
 
 新型コロナウイルス禍で過去2年は形を変えて行われてきた田植え体験。今年は休止していた神事を復活させ、時間をずらした2部制開催を一斉作業に戻すなど制限緩和を図った。神事では杜氏(とうじ)の奥村康太郎さん(41)が田んぼにくわ入れし、参加者の代表が植え始めの儀式を行った。
 
奥村康太郎杜氏による田んぼへのくわ入れの儀式

奥村康太郎杜氏による田んぼへのくわ入れの儀式

 
田んぼの所有者・佐々木重吾さんから苗の植え方の説明を聞く

田んぼの所有者・佐々木重吾さんから苗の植え方の説明を聞く

 
 田んぼの所有者・佐々木重吾さん(65)から植え方の説明を受けた後、一列に並び苗植えを開始。スタッフが張るロープに沿って丁寧に植え付けていった。抜けるような青空、目にも鮮やかな新緑、心地よい薫風―。参加者は季節感も味わいながら作業に精を出し、1時間半ほどかけて約7アールの田んぼへの植え付けを完了した。
 
腰をかがめての作業は重労働。昔ながらの手植え

腰をかがめての作業は重労働。昔ながらの手植え

 
素足の参加者は、ぬる水の泥の感触も楽しく!

素足の参加者は、ぬる水の泥の感触も楽しく!

 
 ボーイスカウト釜石第2団は同体験塾の田植え、稲刈り参加の常連。この日は団員と保護者、指導者ら20人が訪れた。山崎健太君(平田小5年)は2回目の田植え。「今回は(苗が)あまり倒れることなく植えられた。農業に触れるとやさしい気持ちなる。自分たちが植えた米がお酒という商品になるのもうれしい。大人になったら飲んでみたい」と声を弾ませた。
 
田植えを楽しむボーイスカウト釜石第2団の団員

田植えを楽しむボーイスカウト釜石第2団の団員

 
 釜石市小佐野町の小国亜紀さん(46)は、夫が同塾に協力する大槌町の青年団体「波工房」のメンバー。自身も何度か田植えを経験するが、「今日は暑かったせいか大変だった」と農業の苦労を感じた様子。「日本酒は得意ではないが、浜千鳥のお酒だけは好きで飲む。他地域の方に送ると喜ばれ、リクエストされることもしばしば」と魅力を語り、体験塾で手にする完成品にも期待した。
 
 次回の体験塾は稲刈り。9月下旬か10月上旬の実施を予定する。
 

「大槌産吟ぎんが」で仕込む酒 高評価、認知度拡大で浜千鳥の“顔”に

 
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 大槌町で浜千鳥に供給する酒米生産が始まったのは2003年。地場産米での酒造りを模索していた新里進社長が佐々木重吾さんに協力を求めたのがきっかけだった。佐々木さんは地元農家と「大槌酒米研究会」(佐々木会長)を立ち上げ、岩手オリジナル酒米「吟ぎんが」の生産に着手。メンバーを増やしながら徐々に作付面積を拡大し、今では5個人、1法人(農事組合法人大槌結ゆい=佐々木代表理事)で約20ヘクタールを耕作するまでになった。近年では年間70トン以上を供給する(昨年実績72トン)。
 
 現在、同社が使う酒米の5割近くが大槌産。銘柄に「吟ぎんが」の名前が入る商品は全て“大槌産”に切り替わり、本年度から特別純米酒にも使われる予定だという。新里社長(64)は「米は酒の品質に直結する。同一地域から一定品質の米を安定的に仕入れられるのは非常にありがたい」と感謝。「大槌産吟ぎんが=浜千鳥」という地域ブランドの認知拡大も実感し、同研究会と歩んできた20年の重みをかみしめる。
 
浜千鳥の新里進社長(右から3人目)=2020年酒造り体験塾・稲刈り

浜千鳥の新里進社長(右から3人目)=2020年酒造り体験塾・稲刈り

 
 研究会では米の品質向上を目指し、関係機関の指導のもと課題解決に向けたさまざまな取り組みも重ねてきた。「20年を振り返ると感慨深い」と佐々木さん。大槌産吟ぎんがで最初に生まれた酒「ゆめほなみ(夢穂波)」は町民にも愛される。「まちをあげて利用してもらっている感があり、生産者としてもうれしい」。地元ラグビーチームを応援する商品企画など地域密着の同社の企業姿勢にも共感し、「釜石・大槌の元気の源に自分たちも少し貢献できているかと思うと大きな励みになる」と話した。
 
大槌酒米研究会会長として同地域の酒米栽培をけん引してきた佐々木重吾さん(中央)=2018年酒造り体験塾・田植え

大槌酒米研究会会長として同地域の酒米栽培をけん引してきた佐々木重吾さん(中央)=2018年酒造り体験塾・田植え

 
 大槌町では今年、地元の豊富な湧水を活用したまちおこしの一環で、民間企業ソーシャル・ネイチャー・ワークスが浜千鳥の協力を得て「源水の湧水」と「大槌産吟ぎんが」で仕込んだ地域おこし酒を醸造。7月3日に行われる源水生き物観察会での試飲を予定する。

釜石市の海岸で行われた“海ごみゼロ”清掃活動

深刻化する海洋ごみを減らせ!「春の海ごみゼロウィーク」釜石で清掃活動

釜石市の海岸で行われた“海ごみゼロ”清掃活動

釜石市の海岸で行われた“海ごみゼロ”清掃活動

 
 5月28日から6月12日まで展開される「春の海ごみゼロウィーク」全国一斉清掃キャンペーン(環境省、日本財団主催)。釜石市ではスタート初日、市民団体「かまいし環境ネットワーク」(加藤直子代表)が呼び掛け、両石町水海の通称・桐島海岸で清掃活動が行われた。参加者はプラスチックごみが海洋環境に与える影響なども学び、流出防止への意識を高めた。
 
 官民6団体から約20人が参加。活動場所は、国道45号から愛の浜海水浴場に向かう途中にある小さな浜「桐島海岸」。参加者は道路脇から海辺までの緑地を含めた一帯で約1時間にわたり、ごみを拾い集めた。
 
浜に至る緑地にはさまざまなごみが散乱。協力して拾い集めた

浜に至る緑地にはさまざまなごみが散乱。協力して拾い集めた

 
海の安全を守る釜石海上保安部職員も活動に協力

海の安全を守る釜石海上保安部職員も活動に協力

 
 一帯は11年前の東日本大震災で津波に襲われた場所。緑地には経年劣化したプラスチック片や金属ごみ、空き缶、漁具などのほか、比較的新しいと見られる飲料容器(缶、瓶、ペットボトル)、靴、灯油用ポリタンクなどもあった。波で打ち上げられたものか、運ばれて故意に捨てられたものか、判別が難しいごみも多かったが、いずれにしても人の暮らしの中で排出されたごみであることは確か。集められたごみの量は約200キロにもなった。
 
海への流出が問題となっているプラスチックごみも多数見つかった

海への流出が問題となっているプラスチックごみも多数見つかった

 
波で打ち上げられた流木に交じる多種多様なごみを集める参加者

波で打ち上げられた流木に交じる多種多様なごみを集める参加者

 
自転車の一部とみられるさびついた金属ごみも…

自転車の一部とみられるさびついた金属ごみも…

 
 この日は活動に先立ち、同ネットワーク会員で県環境アドバイザーの臼澤良一さん(73)が海洋プラスチックごみについてのミニ講話も行った。国内外のデータを示し、▽1年間に海に流れ出るプラごみの量が800万トン(東京ドーム7個分の重量)に及び、これは釜石市で排出されるごみの約571年分に相当すること▽海洋ごみの約65%がプラごみで、他の種類に比べ群を抜いて多いこと―を説明。プラごみが自然分解されるのにかかる時間は、予想される最大値で、レジ袋20年、ペットボトル450年、釣り糸600年という米国のデータも紹介した。
 
海洋プラスチックごみの現況を説明する臼澤良一さん(左)

海洋プラスチックごみの現況を説明する臼澤良一さん(左)

 
 臼澤さんは、海中で微小化するマイクロプラスチックについて、「魚が食べてしまうことにより、食物連鎖で最後は頂点の人間が影響を受けることになる。暮らしの中でなるべくごみを出さない、適正な処理をする―など、自分たちができることを積極的に実践してほしい」と呼び掛けた。
 
国際ソロプチミスト釜石はまぎくの会員はそろいのジャンパーで活動

国際ソロプチミスト釜石はまぎくの会員はそろいのジャンパーで活動

 
 一昨年設立された女性奉仕団体「国際ソロプチミスト釜石はまぎく」(中村のり子会長)は、環境整備活動に力を入れ、同ネットワークが行う活動にも協力。会員らは同海岸での初めての清掃に「ごみの多さに驚いた。たき火をしたような跡もあり、遊びにきた人が放置したのか、通行する車から投げ捨てたのか?」。故意による投棄が見られる現状に心を痛め、「一人一人の意識が大切。ごみの持ち帰りは徹底してほしい」と強く願った。

広報かまいし2022年6月1日号(No.1785)

広報かまいし2022年6月1日号(No.1785)

広報かまいし2022年6月1日号(No.1785)
 

広報かまいし2022年6月1日号(No.1785)

広報かまいし2022年6月1日号(No.1785)

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【P1】
第12回全国虎舞フェスティバル
令和4年度「かまいし軽トラ市」
【P2-7】
特集 健康寿命日本一へのトライ
【P8-9】
新型コロナワクチン接種
子どもと妊産婦に対する医療費給付拡充
住宅への助成や耐震診断
【P10-11】
釜石にU・Iターンする人への助成
釜石市自然・生活環境展 の開催
ブルーカーボンに関する勉強会 を開催します
【P12-15】
復興まちづくり協議会・地権者連絡会を開催します
令和4年度前期地域会議を開催します
まちづくり参加スペース 釜石版「デシディムDecidim」を導入しました
まちのお知らせ
【P16】
釜石市育英会の奨学生追加募集および奨学金返還猶予のお知らせ
「介護分野」「障がい福祉分野」の就職支援金貸付制度
狩野泰一 篠笛コンサート in KAMAISHI

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2022052700019/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
観光農園の整備支援を目的にする連携協定を結んだ野田市長(左)と木島社長

ラベンダー観光農園整備を後押し 釜石市とロクシタンジャポン、連携協定

観光農園の整備支援を目的にする連携協定を結んだ野田市長(左)と木島社長

観光農園の整備支援を目的にする連携協定を結んだ野田市長(左)と木島社長

  
 釜石市は5月27日、フランスの自然派化粧品メーカーの日本法人「ロクシタンジャポン」(東京都千代田区、木島潤子社長)と、観光農園の整備支援を柱とする連携協定を結んだ。同社は東日本大震災の復興支援として交流拠点の復旧や公園の整備などで釜石応援を継続。今後、ラベンダーの栽培や鑑賞を通じた市民の憩いの場づくりや自然環境、植物の多様性の保護活動などを進めながら、釜石の地域活性化や国際交流の推進、観光振興を後押しする。
 
 協定では、▽観光農園の整備にかかるクラウドファンディングの実施▽支援製品キットの販売▽ふるさと納税返礼品の企画▽ラベンダー苗の定植▽ラベンダーを通じた国際交流の推進-などに連携して取り組む。同社製品を返礼品にしたクラウドファンディングは6月9日に開始予定。目標額は500万円で、農園整備の資金に役立てる。
 
 同社では、ラベンダーを使ったチャリティーキットの販売も始めた。フラワーソープ(150グラム)とリラックスハンドクリーム(30ミリリットル)を税込み3080円で、2500セット販売。阪急阪神百貨店や高島屋の店舗のほか、ロクシタン公式オンラインショップで購入できる。収益を市に寄付する。
 
ロクシタンジャポンが販売するラベンダーを使ったチャリティーキット

ロクシタンジャポンが販売するラベンダーを使ったチャリティーキット

 
 釜石の姉妹都市フランスのディーニュ・レ・バン市が、ロクシタン創業者の出身地だったことが縁で始まった復興支援。2012年には、津波で被災した青葉ビルの復旧費を支援。市中心部の交流拠点施設の再建は、地元に勇気と希望を与えた。その後も、薬師公園のリニューアル整備や津波で失われた海浜植物ハマナスの群落復活に向けた活動を支えている。
 
観光農園予定地では昨年植えたラベンダーの苗が順調に育っている

観光農園予定地では昨年植えたラベンダーの苗が順調に育っている

 
 今回、ラベンダー栽培が盛んなディーニュ市から、友好の証しとして栽培を提案され、「釜石ラベンダープロジェクト」を立ち上げた釜石市。観光農園を、甲子町の道の駅釜石仙人峠近くの遊休農地約1・2ヘクタールを利用して整備する。農園づくりは昨年から始まっていて、土づくりを終えた一部に甲子小児童らがラベンダーの苗を植栽、順調に育っている。ディーニュ市から種の寄贈を受け、現在市内の農家が育苗中。今後さらに定植し、25年のオープンを目指している。
 
協定書に署名する木島社長(手前)と野田市長

協定書に署名する木島社長(手前)と野田市長

 
 協定の調印式は、両者にゆかりのある青葉ビルで行われた。野田武則市長は「花を観賞するだけでなく、市民の癒やしや健康維持、子どもたちの教育、観光、地域活性化など多様な場として活用したい。双方に魅力ある取り組みになってほしい」と期待を述べた。
 
 同社は観光農園整備の趣旨に賛同し、協定締結を決めた。木島社長は「植物の多様性を知る、人がつながるといった製品づくりの理念と重なる。未来を広げていくことのできる取り組みにワクワクしている。復興の新しいステージに協力したい」と意欲を見せた。

大槌町で始まった初心者向けの「農業入門塾」

野菜栽培の基礎 実践で学ぶ 就農促進、農地活用目指し「入門塾」開講

大槌町で始まった初心者向けの「農業入門塾」

大槌町で始まった初心者向けの「農業入門塾」

 
 県沿岸広域振興局農林部主催の「農業入門塾」が5月25日、大槌町で開講した。担い手を育成し、農地を有効活用してもらうことで地域農業の活性化につなげようと、昨年に続き2年目の開講。釜石、大槌両市町から12人が受講し、10月まで全10回の実践講座で野菜栽培の基礎を学ぶ。
 
 初日は塾耕作地近くの、かみよ稲穂館で開講式を実施。眞島芳明農林部長が「野菜栽培を楽しみながら農業について理解を深めていただきたい」とあいさつ。講師を務める県農業農村指導士の佐々木重吾さん(大槌町)、大船渡農業改良普及センターの照井直人技師が紹介された。
 
 20代から70代の受講生一人一人が自己紹介し、受講動機や抱負を述べた。釜石市橋野町の三科宏輔さん(26)は地域おこし協力隊員として4月に移住したばかり。市内の製麺業者が和山高原で栽培するソバの生産を手伝う。今回の塾で「野菜作りを基礎から学び、自分で食べる分は自給できるような暮らしをしたい」と意気込んだ。
 
開講式で互いに自己紹介し合う12人の受講者

開講式で互いに自己紹介し合う12人の受講者

 
 式の後は同センターの照井技師による座学。作付け計画の立て方、畑の作り方、植え付けの仕方を解説した。受講生は連作障害の回避、土壌改良、畝の上に張るマルチの役割など、必要な知識を学んだ。実習では時期ごとに果菜、葉菜、根菜類など11品目の栽培を予定する。
 
 この日は座学に続き、畑作りに挑戦。講師の指導のもと1人ずつ割り当てられた区画に肥料をまき、長さ4メートル幅90センチの畝を2列作った。マルチをかぶせた後、穴を開けてピーマン、ナス、トマト、スイカの苗を植えた。収穫は早いもので6月下旬から始まり、スイカは8月下旬ごろになるという。
 
畝作りについて講師の佐々木重吾さん(右)から説明を受ける

畝作りについて講師の佐々木重吾さん(右)から説明を受ける

 
初めてくわを握り畝作り。コツをつかむと徐々にペースアップも

初めてくわを握り畝作り。コツをつかむと徐々にペースアップも

 
地温上昇、雑草抑制、土壌水分保持に有効な黒マルチを畝の上に張った

地温上昇、雑草抑制、土壌水分保持に有効な黒マルチを畝の上に張った

 
 大槌町大ケ口の黒澤仁之さん(65)はこの春、43年間従事した医療関係の仕事を定年退職。興味があった農作業に挑戦したいと受講を申し込んだ。「全くの素人。初めてくわを持った。これからが楽しみ」と笑顔を輝かせ、「日曜日には妻を連れてきて一緒に作業したい。できた野菜は孫に送ってやりたい」と収穫を心待ちにした。
 
 釜石市浜町の藤澤育子さん(74)は今時期、店頭に並ぶ野菜苗を見て「やってみたいと思いつつも(知識がなく)なかなか手が出なかった」という。基礎から学べる本講座に「作業は大変だが、本格的な知識を教えてもらえる。受講者同士で協力し合ったりして会話も弾む」と充実した時間を喜ぶ。新型コロナウイルス禍で「2年間家にこもってばかりだったので足腰も弱ってしまった。運動不足解消にも」とほほ笑んだ。
 
果菜類の苗の植え付け。強風などで倒れないよう支柱も設置

果菜類の苗の植え付け。強風などで倒れないよう支柱も設置

 
講師の照井直人さん(右から2人目)からアドバイスをもらい作業

講師の照井直人さん(右から2人目)からアドバイスをもらい作業

 
 講座では今後も座学と実習を併用しながら農作業に関する幅広い知識を身に付ける。主催する振興局農林部の担当者は「農業後継者の減少は釜石、大槌地域でも顕著。農地は地域の財産。兼業、小規模でも何らかの形で農業に携わっていただく人が増えれば地域の活性化、維持にもつながる」とし、新規就農、定年帰農、産直向け栽培など多様な担い手の出現に期待を寄せる。

見ごろを迎えた「陽子の庭」で咲き誇るバラ

美しく色づいたバラ見ごろ 釜石・甲子町「陽子の庭」 菊池さん夫妻が公開

見ごろを迎えた「陽子の庭」で咲き誇るバラ

見ごろを迎えた「陽子の庭」で咲き誇るバラ

 
 釜石市甲子町の菊池秀明さん(74)、陽子さん(75)夫妻の自宅庭園で、赤や黄、ピンクなど美しく色づいたバラが見ごろを迎えている。「陽子の庭」と名付け、毎年一般公開。今年もあす6月1日から10日まで開放する。
 
 公開は7年目。約2600平方メートルの敷地には、約150種のバラに加え、サツキやアヤメ、シャリンバイなど季節の草花が植えられている。こつこつと作り続けているバラ園では、濃いローズ色の大輪種「聖火」、咲き始めと開花後の花色が大きく変わる品種の代表格と言われる「チャールストン」などが一斉に咲き始め、香りや色など種類の違いを楽しむことができる。
 
色も大きさも異なるさまざまなバラを楽しむことができる

色も大きさも異なるさまざまなバラを楽しむことができる

 
バラ、アヤメ、サツキ…花々の競演も見所の一つ

バラ、アヤメ、サツキ…花々の競演も見所の一つ

 
 ツツジなどで彩った日本庭園、華やかに咲き誇るバラと可憐に咲く野の花が混植されたイングリッシュガーデンなど雰囲気の異なる庭を巡る楽しみもある。庭を一望できる「見晴らし台」がお目見え。周囲に広がる自然風景や街の様子など高台からの眺めは解放感が抜群だ。
 
枝を長く伸ばすモッコウバラも見ごろを迎える

枝を長く伸ばすモッコウバラも見ごろを迎える

 
高台にある見晴らし台から街の様子を眺めることができる

高台にある見晴らし台から街の様子を眺めることができる

  
 心安らぐ庭を目指す陽子さんは「バラは次々と新種が出ていて、すたれがない。花との出会いを思い思いに楽しんでもらえたら」と願う。庭の維持は年々大変さを増すが、夫婦で力を合わせて整備。訪れた人たちから「きれいだね」「良かったよ」と声を掛けられると、「疲れが解消。頑張ろうという気になる。皆さんのおかげで続けられる」と目を細めた。
 
こつこつと手作りした庭を開放している菊池夫妻

こつこつと手作りした庭を開放している菊池夫妻

 
 見学時間は午前9時~午後4時。入場無料。4日には水晶でできた楽器クリスタルボウルの演奏会、5日はmia&リアスバンド(シャンソン、ジャズ)によるミニコンサートを予定する。いずれも午前11時から。問い合わせは菊池さん(電話0193・27・2141)へ。

根浜シーサイドで行われたコアラキャンプで食を満喫する子どもたち

釜石と豪州 五輪後もつながり継続 コアラキャンプ〜オンラインで食・文化交流

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根浜シーサイドで行われたコアラキャンプで食を満喫する子どもたち

 
 東京五輪・パラリンピックでオーストラリアを相手国に復興「ありがとう」ホストタウンに登録され、交流活動を続けてきた釜石市。両地域をオンラインで結び、音楽・食・スポーツなどで交友を深めるイベント「コアラキャンプ」(同プロジェクト主催)が21、22日に開かれた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加は関係者らに制限したが、イベントの模様はネット配信され、一般市民らも自宅などで楽しんだ。
 
 鵜住居町の根浜シーサイドキャンプ場と、シドニー、パース、ブリスベンなどオーストラリア各地の会場をオンラインでつないだ交流プログラムを実施。オーストラリア大使館(東京都)、市国際交流課の職員らが運営に協力した。
 
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野田市長(左から2人目)やオーストラリア大使館関係者らは両地域の友好継続に期待を寄せる

 
 釜石会場には約50人が集った。イベントは21日午後6時にスタートし、同大使館の徳仁美さんが「皆さんは大切な友人。両国が深めてきた交流を継続できてうれしい」とあいさつ。通訳のマット・ダグラスさんは「キャンプを楽しむポイントは食。自然豊かな環境で、オージー・ビーフとワインを味わおう」と盛り上げた。
 
 野田武則釜石市長は青少年を中心としたスポーツ、文化交流、観光面での連携など友好関係の発展に期待。「コロナが収まったら、ぜひ釜石に」と呼び掛け、相互に訪問できる日が来ることを願った。
 
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オーストラリアと三陸産の食材が提供されたバーベキュー

 
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「外で食べるの、いいよね」。おいしい牛肉や海産物が食欲をそそる

 
 パース・スワンリバーと釜石を結んだバーベキューでは、オージー・ビーフの愛称で日本の食卓にも並ぶオーストラリア産牛肉、ラム肉などが提供された。三陸産のホタテやイカ焼き、刺し身などもお目見え。両地域の時差は1時間程度で、参加者は互いの様子を紹介し合い、雄大な景色を感じながら味わった。
 
 ジャズミュージシャンらによるオンラインライブがあり、イベントのために作った楽曲などを紹介。釜石会場では音楽家の小島ケイタニーラブさんが、NHKみんなのうた「毛布の日」、「荒城の月」などを歌った。パースにある天文台とつないだ星空交流も。北半球、南半球の星座の違いや星にまつわる物語を交換した。
 
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自然の中でおいしいもの味わいながら音楽も楽しんだ

 
 佐々木篠さん(小佐野小5年)は「外でご飯が食べられて楽しい。海も近くていい。いつか友達とキャンプしたり、花火がしたい」とにっこり。語学に関心があり、学校で英語の授業を楽しんでいるといい、「覚えた言葉で海外の人と交流してみたい」と目を輝かせた。
 
 22日は、オーストラリア各地の家庭を結んだ「朝ごはん(Brekkie)」紹介やシドニー在住のヨガ講師とつないで朝ヨガを体験。釜石シーウェイブス(SW)RFC選手らによるラグビー体験もあった。
 
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コロナ禍で参加者を限定して開催。交流を継続させる方法を模索する

 
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参加者はモニターに映された様子を見ながら交流を楽しんだ

  
 釜石市が同国を相手国に選んだのは、東日本大震災当時に釜石SWに所属していた同国出身のスコット・ファーディー選手が救援活動に尽力したり、震災後の海外派遣事業で中学生を受け入れるなど心を寄せていることに謝意を表すため。2017年11月のホストタウン登録以来、同国と青少年を中心とした交流活動を行ってきた。ここ数年はコロナの流行が続き、オンライン交流を企画。中学生らが動画メッセージをやり取りしたり、小学生はパラ選手から東京大会の様子などを聞き取ったりした。
 
 同キャンプは20年12月に続き、2回目の開催。市では「世界とつながるKAMAISHI―を目指し、継続的に釜石とオーストラリアの交流を深めるよう事業を展開していく」としている。

セラピー犬との触れ合いイベントで記念撮影を楽しむ子ども=TETTO

人間と動物の共生社会実現へ セラピー犬と触れ合い&ペット防災学ぶ

セラピー犬との触れ合いイベントで記念撮影を楽しむ子ども=TETTO

セラピー犬との触れ合いイベントで記念撮影を楽しむ子ども=TETTO

 
 セラピー犬との触れ合いを通して、犬の適正飼養やペット防災について学ぶ催しが22日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。釜石市を拠点に活動する動物愛護団体「人と動物の絆momo太郎」(鈴子真佐美代表)が主催。認定NPO法人日本レスキュー協会(兵庫県)のセラピー犬が訪れ、来場者と交流。災害時、ペットとの避難を円滑に行うための日ごろの備えを教える講話も行われた。
 
 病院や福祉施設、災害被災地などで人の心と体のケアを補助するセラピー犬。この日は同協会で特別な訓練を受け各地で活動実績のある、にこり(ゴールデンドゥードル11歳、雌)、はっぴー(ラブラドール・レトリーバー6歳、雌)、りょうま(雑種8歳、雄)の3頭が来釜。来場者はしつけの行き届いた犬たちに感心しながら、体をなでたり記念撮影を楽しんだりし、心身ともに癒やされた。
 
モフモフの「にこり」に大人も子どももメロメロ

モフモフの「にこり」に大人も子どももメロメロ

 
“お手”も上手に。愛くるしい「はっぴー」の姿にみんな笑顔!

“お手”も上手に。愛くるしい「はっぴー」の姿にみんな笑顔!

 
赤ちゃんに優しいまなざしを向ける「りょうま」

赤ちゃんに優しいまなざしを向ける「りょうま」

 
 同協会員によるペット防災の講話では、災害時に飼い主とペットが安全安心に避難するための備えについて説明があった。ポイントは4つ。▽所有明示(鑑札、狂犬病予防注射済票、マイクロチップなどの装着)▽健康管理(ワクチン接種、寄生虫や感染症予防、シャンプー・ブラッシングケア)▽しつけとコミュニケーション▽持ち出し品の用意・備蓄。
 
 環境省のガイドラインでは、災害時に置き去りにされたペットの徘徊や野生化を防ぐため、飼い主との「同行避難」が推奨される。避難先ではケージでの飼養が必要となる場合が多く、普段から慣れさせておくことが重要。「ケージ=自分だけのスペース」と認識しリラックスできると、慣れない場所でも大きなストレスを感じずに過ごせるようになるという。また、日常的にさまざまな環境、人、音などに慣れておくことで、災害による急な環境変化にも順応できるようになる。
 
長い時間、ケージに入っていても落ち着きをみせるりょうま。普段から安心できる場所として慣れさせてあげることが大事

長い時間、ケージに入っていても落ち着きをみせるりょうま。普段から安心できる場所として慣れさせてあげることが大事

 
災害に備え用意しておくと安心なペット用品を展示。ペット用非常持ち出し袋のプレゼントも

災害に備え用意しておくと安心なペット用品を展示。ペット用非常持ち出し袋のプレゼントも

 
 ペット用支援物資は届くまでに時間がかかる場合があるため、最低5日分の食料と水、薬、ペットシーツなど必要な物をまとめて持ち出せるよう準備しておくことも必要。会場では、非常持ち出し品の展示も行われ、スタッフが来場者にアドバイスを行った。
 
 ペット同伴可能な避難所は全国で増えつつあるが、現状では屋内に持ち込めないケースが多い。飼い主は事前に、地域の避難所の受け入れ可否の確認、一時的な預け先の確保をしておくと安心。
 
 東日本大震災時、愛犬との避難を経験した平田の60代女性は避難所には入れず、親戚の家で世話になった。「災害があるたびに飼い主が苦労している姿を目にする。人と一緒に避難できる場所が少しでも増えるといい」と願う。当時は非常時の持ち出し品も準備しておらず、他の飼い主からペットフードを分けてもらった。「ペットの命を守るのは飼い主の責任。これを機に再度見直したい」と気を引き締めた。
 
 以前、犬を飼っていた上中島町の70代女性は、多頭飼育や虐待などペットを取り巻く問題にも心を痛め、「小さいころから絵本や動物との触れ合いを通して命の尊さを教えることで、大人になっても家族の一員として大切にできる気持ちが育つのでは。今回のような催しがもっとあれば」と期待を寄せる。
 
子どもたちはセラピー犬との触れ合いに大喜び!

子どもたちはセラピー犬との触れ合いに大喜び!

 
はっぴーとのジャンケン対決も楽しんだ来場者

はっぴーとのジャンケン対決も楽しんだ来場者

 
 主催団体の鈴子代表は「海外では公共施設などに犬と一緒に入れたり、人間と動物の共生への理解が進む。日本ではまだまだだが、今回、この会場で動物イベントができたことは大きな一歩」と喜ぶ。ペット同伴が社会的に認められるようになるには、飼い主のきちんとしたしつけが絶対条件。「いろいろな場所に行っても無駄吠えをしない、犬同士でけんかをしない―など、犬の社会化ができていないと実現は不可能。こういうイベントなどで飼い主が日ごろのトレーニングの重要性に気付き、積極的に取り組むきっかけにもなれば」と話した。

釜石市民ホールギャラリーで開催中の「3つの国の小児病棟で出会った笑顔」展

みんな同じ笑顔だった…ウクライナ、ロシアの小児病棟の子どもたち 釜石で写真展

釜石市民ホールギャラリーで開催中の「3つの国の小児病棟で出会った笑顔」展

釜石市民ホールギャラリーで開催中の「3つの国の小児病棟で出会った笑顔」展

 
 ウクライナ、ロシア、ベラルーシ3国の小児病棟などで撮られた笑顔の子どもたちの写真を紹介する「3つの国の小児病棟で出会った笑顔」展が、釜石市大町の市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会(名古屋市、大棟耕介理事長)が主催。観覧無料、29日まで。
 
 ホスピタルクラウンとは、小児病棟で入院中の子どもたちにクラウン(道化師)がパフォーマンスを行う活動で、病気と闘う子どもたちに笑顔を届けている。同協会には約120人のクラウンが所属。東日本大震災や熊本地震などの災害被災地でも活動し、地域住民を元気づけた。
 
東日本大震災後に大船渡市で行われた活動の様子。後列左から2人目が大棟理事長=NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会提供

東日本大震災後に大船渡市で行われた活動の様子。後列左から2人目が大棟理事長=NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会提供

 
 大棟理事長は2005年から4年間ロシアに通い、小児病院や障害者施設で道化師の姿でパフォーマンスを披露。08年から6年間はウクライナを訪れ、12年と13年にはベラルーシを訪問した。そんな思い入れのある地域で今起こる現実、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に心を痛め、企画したのが今回の展示。「現在のウクライナは悲惨な戦争の状況を伝えるものばかり。だが、少し前まで、3つの国の病院の中には同じ笑顔があった。その事実を知ってほしい」とメッセージを寄せる。
 
 会場には、大棟理事長らのパフォーマンスを楽しむ3カ国の子どもたちを写した50点が並ぶ。穏やかな笑み、はにかみ、喜び―さまざまな表情を見ることができる。どの国で撮られたのか表記はなく、あえて「まぜこぜ」に展示しているのが特徴。笑顔に国境はない―。そんな思いを込めている。
 
3カ国の小児病棟で撮影された子どもたちの笑顔が並ぶ

3カ国の小児病棟で撮影された子どもたちの笑顔が並ぶ

 
来場者に展示写真やクラウン活動を説明する梅沢さん(右)

来場者に展示写真やクラウン活動を説明する梅沢さん(右)

 
 釜石での展示を担当するのは、クラウンネーム「だぁちゃん」として活動する甲子町の梅沢義明さん(51)。西東京市出身で、震災を機に15年に大槌町復興推進隊の一員として移住した。17年夏ごろからクラウンとして本格始動。県内を中心に子どもたちと触れ合ってきた。今回、釜石市がウクライナ支援を表明していることから、同協会に写真展の開催を申し入れた。
 
風船の剣を握り笑顔を見せる子どもたち=NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会提供

風船の剣を握り笑顔を見せる子どもたち=NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会提供

 
 「かつて風船の剣を持っていた子どもたちが、今、本物の銃を手にして戦っているかもしれない」。展示されている写真が撮影されてから約10年が経過。梅沢さんは「…切ない。今のウクライナでは病院が機能していない。何気ない写真だが、みんな笑うことができていた。『同じ笑顔』ということに注目してもらい、何かを感じてほしい。平和、笑顔を取り戻してほしい」と願う。
 
 同協会ではウクライナへの支援金や応援メッセージを募っていて、展示会場にチラシなどを用意。集まった支援金はウクライナ・ジトーミル州の小児病院に届ける予定という。
  
 この写真展は、6月1~17日まで、大槌町文化交流センター「おしゃっち」でも開かれる。展示や支援金への協力に関する問い合わせは梅沢さん(電話070・2645・1624)へ。

震災津波を乗り越え、毎年花を咲かせる根浜のハマナス=21日撮影

根浜海岸を彩る紅紫の大輪 震災津波に耐えた「ハマナス」今年も開花!

震災津波を乗り越え、毎年花を咲かせる根浜のハマナス=21日撮影

震災津波を乗り越え、毎年花を咲かせる根浜のハマナス=21日撮影

 
 釜石市鵜住居町、根浜海岸の松林の一角に自生する「ハマナス」が今年も咲き始めた。2011年の東日本大震災で津波に襲われながらも奇跡的に生き残った地域の宝。紫がかった濃いピンク色の花が海辺風景に彩りを添える。花は6月上旬ごろまで楽しめそうだ。
 
 震災前、ハマナスやハマボウフウなどの海浜植物が自生し、美しい景観を広げていた同海岸。津波で約1・3キロの砂浜の半分以上が流失し、多くの植物が姿を消したが、防潮堤内側の松林では生き残ったハマナスが、毎年花を咲かせている。今年も1週間ほど前から咲き始め、通行するドライバーや防潮堤を散歩する人たちの目を楽しませている。
 
日当たりのいい場所で元気に育つハマナス。周辺には震災後に植樹されたマツの苗木も育つ

日当たりのいい場所で元気に育つハマナス。周辺には震災後に植樹されたマツの苗木も育つ

 
ハマナスはバラ科の落葉低木。香りの良い花は香水の原料にも

ハマナスはバラ科の落葉低木。香りの良い花は香水の原料にも

 
ハマナス
 
 地元の旅館「宝来館」の女将(おかみ)岩崎昭子さんは、震災から約2カ月後に津波で倒されながらも芽吹き始めたハマナスを発見。必死に生きようとする姿に被災した自身も大きな力をもらった。当初、確認できたのは5~6株程度だったが、がれきの撤去が進み、周辺の緑が増えてきた2年目以降、群生が分かるようになってきたという。
 
 「根浜の原風景を取り戻したい」と願う地元住民らの思いを受け、市内外の支援者も再生活動に協力。北海道の支援団体などが根浜のハマナスから取った種を地元で育成し、苗を根浜に戻す取り組みを進め、群生範囲は徐々に拡大してきた。
 
青い海、白い砂浜、新緑に映えるハマナスの花

青い海、白い砂浜、新緑に映えるハマナスの花

 
赤く膨らんだつぼみもこれから次々に咲き出す

赤く膨らんだつぼみもこれから次々に咲き出す 

 
 岩崎さんら地元有志は昨春、根浜ハマナスプロジェクト実行委を立ち上げ、市民と共に進める再生活動を本格化。2年目の今年もすでに種まきや苗木の植樹が行われ、多くの人たちがハマナスへの関心を高めている。
 
4月16日に行われた種まきイベントで笑顔を輝かせる岩崎昭子さん(前列左から2人目)

4月16日に行われた種まきイベントで笑顔を輝かせる岩崎昭子さん(前列左から2人目)

 
 プロジェクトの代表を務める岩崎さんは、18年から地元由来の海浜植物再生に学校ぐるみで取り組む釜石東中の生徒らにも元気をもらう。「きれいな鵜住居を未来につないでいきたいと願う子どもたちに私たちも励まされる。みんなで思いを共有しながら、また一歩一歩、魅力的な古里を作り上げていければ」と期待を込める。

感染症、熱中症予防のため、適宜マスクのつけ外しを行うなど対策を講じ実施した栗林小の運動会

コロナ禍吹き飛ばす躍動 「思いをひとつに」栗林小運動会 保護者も全面協力

熱中症予防のため、適宜マスクのつけ外しを行うなど対策を講じ実施した栗林小の運動会<

感染症、熱中症予防のため、適宜マスクのつけ外しを行うなど対策を講じ実施した栗林小の運動会

 
 釜石市内の小学校は21日、運動会のピークを迎えた。新型コロナウイルス禍でさまざまな制限がある中、各校とも感染防止対策を徹底し開催。栗林小(八木澤江利子校長、児童33人)では練習から本番まで各種対策に力を入れ、児童らの安全確保に努めた。事前準備、当日の進行には保護者が全面協力。児童らは運動会ができる喜びを感じながら、思い切り躍動した。
 
 同校の今年の運動会スローガンは「全力・団結 思いをひとつに」。開会式で児童会長の小笠原虹南さん(6年)は「全校児童33人が自分の目標を持ち、競技に取り組みます。一人一人の頑張りに注目してほしい」とあいさつ。運動会実現に協力し、支えてくれる人たちへの感謝の気持ちを表し、「笑顔で終われるような最高の運動会に」と呼び掛けた。
 
 プログラムは全13種目。徒競走や玉入れのほか、趣向を凝らしたさまざまな競技で赤、白の組団が得点を競い合った。同校伝統の「栗林旋風」は、長い棒を持った親子が2カ所のコーンを回りながら走り、次の親子にバトンタッチするリレー競技。4~6年生が父母らと息を合わせ、スピード感あふれるレースを展開した。表現種目、組団応援パフォーマンス対決などもあり、これまでの練習の成果を存分に発揮した。
 
4~6年生の親子競技「栗林旋風」。棒を持つ手には手袋をして感染対策

4~6年生の親子競技「栗林旋風」。棒を持つ手には手袋をして感染対策

 
1~3年生の表現種目。ダンスや縄跳びを交え栗小の元気を発信!

1~3年生の表現種目。ダンスや縄跳びを交え栗小の元気を発信!

 
勝利への気合い十分!赤組の応援パフォーマンス

勝利への気合い十分!赤組の応援パフォーマンス

 
 同校では大型連休明けから運動会の練習を本格化。密な接触を避け、マスクを外した時には声を出さない、みんなで共有する道具は軍手をはめて使う、活動の前後には手洗い、うがいを徹底する―などの感染対策を講じ、各家庭では毎日の健康観察に気を配った。
 
 そして迎えた当日―。児童らは朝から心も体も弾み、楽しみでしょうがないといった様子だったという。「コロナ禍で日々の生活も制限が多い。感染対策をしながらではあるが、のびのびと体を動かせる場ができたことが本当にうれしい」と八木澤校長。運動会は子どもたちの成長に欠かせない行事。仲間と協力し種目をやり遂げることで絆が深まり、リーダーシップやフォロアーシップも育つ。八木澤校長は会の成果を糧に「互いの良さを認め合って、全体として高め合っていければ」と今後の児童らに期待した。
 
栗林小運動会
 

運動会入場門を手作り 栗林小の学校活動に保護者、地域の力

 
保護者らが手作りした入場門。同校PTA伝統の取り組み

保護者らが手作りした入場門。同校PTA伝統の取り組み

 
 栗林小では運動会の入場門を毎年、児童の保護者が手作りしている。父親らが中心となり、山から丸太を切り出して皮むき。地元の建設業者に設計図面を引いてもらい、精巧に作り上げる。
 
 組団陣地の間に建てられた門は、全体がなだらかな半円を描くアーチ形。上部の文字や絵などは児童が担当し、約3カ月かけて完成させた。当日は、見事な出来栄えの門が各種目の入退場に花を添えた。
 
斜めから見ると技術の高さに驚かされる入場門。前日夕方に、父親たちが力を合わせて設置した

斜めから見ると技術の高さに驚かされる入場門。前日夕方に、父親たちが力を合わせて設置した

 
 保護者らは運動会開催中も運営に協力。道具出しやグラウンドの水まき、決勝係などを担い、スムーズな進行を支えた。PTA会長の小笠原亮さん(36)は「協力体制が自然とできているのが一番すごいこと。これは脈々とつながれている栗橋地域の力。これからも子どもたちのベストを考え、支えていければ」と意を強くした。
 
親子競技で思い出づくり。笑顔満開!5・6年生の「にっこりカメラ」

親子競技で思い出づくり。笑顔満開!5・6年生の「にっこりカメラ」

 
1・2年生の「くじびき!じゃんけん!おやこでゴー!」

1・2年生の「くじびき!じゃんけん!おやこでゴー!」

 
 同校の運動会では例年、各地区で取り組む郷土芸能の披露も行われるが、コロナ禍を考慮し、ここ3年は休止中。市内の感染状況を見ながらの判断となるが、今年は11月に改めて発表会を行う予定。