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ウメの木の剪定を学ぶ参加者=釜石市片岸町で

ウメ栽培技術向上へ 生産者ら講習会 剪定作業のポイント学ぶ

ウメの木の剪定を学ぶ参加者=釜石市片岸町で

ウメの木の剪定を学ぶ参加者=釜石市片岸町で

 

 釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長、会員23人)は10日、ウメ栽培の技術講習会を釜石市片岸町の圃(ほ)場などで開いた。安定生産に向けた栽培管理、技術向上を図るため、剪定(せんてい)に適した開花前のこの時期に開いているもので、会員ら約20人が参加。大船渡農業改良普及センター上席農業普及員の昆悦朗さん(53)が座学と実技でポイントを伝えた。

 

 実技講習は会員の山﨑ハル子さんの圃場(約300坪)で行われた。昆さんは剪定の目的について、▽樹勢の調整▽日照条件の改善▽病害虫の発生予防-などと説明。特に重要なのは「作業性の改善」で、樹高を下げ、日当りをさえぎるような枝を整理することで管理がしやすくなると助言した。

 

 「分かっていても、なかなか切ることができない」と会員ら。昆さんはノコギリやハサミを手に「木の勢いを確認し、軸となる枝を決める。流れに逆行している枝は思い切って間引く」などと話しながら、剪定を実演した。

 

ほころび始めた可憐な白い花に会員は意欲を高める=釜石市片岸町で

ほころび始めた可憐な白い花に会員は意欲を高める=釜石市片岸町で

 

 講習場所の畑を管理するのは山﨑さんの息子、元市さん(71)で、40本ほどのウメの木を育てる。日当たりのいい場所にあり、花が2、3輪ほころんでいるものも。「両親が道楽で始めたウメ栽培。自宅でウメを漬けるくらいで、素人も同然。毎年やってみなきゃ、分からない」と試行錯誤している。ポイントを教わる機会になり、「実がなるよう、樹形をイメージしながら枝を切っていく」と、木を見上げた。

 

 座学は鵜住居町の鵜住居地区生活応援センターで行い、剪定や施肥、病害虫防除など栽培管理の技術を学んだ。同会事務局、小川町の酒造会社浜千鳥の奥村康太郎さんが梅酒製造など、ウメを活用した取り組みを報告。梅酒で使われた実の2次利用について、会員らに意見を求める場面もあった。

 

講師の説明を熱心に聞く参加者=釜石市鵜住居町・鵜住居地区生活応援センター

講師の説明を熱心に聞く参加者=釜石市鵜住居町・鵜住居地区生活応援センター

 

 梅酒の原料として、浜千鳥がウメの集荷を始めたのは2010年。当初は生産・出荷者の入れ替わりが多く、不作の年にも当たるなど収量が安定しなかった。同会が設立した14年以降は出荷者が20人前後に定着。2トン弱だった収量は近年、5トン超となる年もあり、講習会の成果が出始めている。同社によると、安定的な梅酒製造には6~7トンが必要で、「生産者の拡大や技術の向上など継続的な取り組みを進めたい」としている。

 

 今年は6月中旬から7月上旬の集荷を見込む。前川会長(75)は「いいウメを育てるには手入れが必要。手間暇はかかるが、楽しみながら生産を続ける。仲間を増やし、地域資源を活用していきたい」と前を向いた。

広報かまいし2022年2月15日号(No.1778)

広報かまいし2022年2月15日号(No.1778)

広報かまいし2022年2月15日号(No.1778)
 

広報かまいし2022年2月15日号(No.1778)

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【P1】
表紙
【P2】
成人式ギャラリー・まちの話題
【P3-7】
【特集】菊池流帆選手 
【P8-9】
新型コロナワクチン3回目接種
【P10-11】
市・県民税の申告
成年年齢の引き下げに伴うトラブルへの注意喚起 他
【P12-14】
こどもはぐくみ通信
市民のひろば 他
【P15-17】
まちのお知らせ
【P18-19】
保健だより
【P20】
東日本大震災犠牲者追悼式
会計年度任用職員の募集

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釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
自治体と大学の連携事例を紹介するフォーラム

地域振興へ連携深化 釜石市と岩手大フォーラム 成果示すパネル展も

自治体と大学の連携事例を紹介するフォーラム

自治体と大学の連携事例を紹介するフォーラム

 

 岩手大学地域連携フォーラム(岩手大、釜石市主催)は3日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルスの流行が続く中、オンライン配信を取り入れて行い、会場参加と合わせて約100人が聴講。「ポストコロナにおける新しい地域連携・課題解決-デザイン思考の活用」をテーマに、連携事例の紹介や研究成果の報告、パネル討論が行われた。

 

 同大は2001年に締結した相互協定に基づき、釜石市と共同研究に取り組むとともに、市の職員を大学の共同研究員として受け入れ、多くの分野で連携を重ねてきた。震災後に釜石サテライトを設け、13年には三陸水産研究センターを設置。18年からは農学部食料生産環境学科水産システム学コースの学生が釜石キャンパスを拠点として研究活動に取り組んでいる。20年度には両者と民間企業などが連携し、釜石湾でサクラマスの養殖試験を始めた。

 

学生や教授らの成果報告に耳を傾けた参加者

学生や教授らの成果報告に耳を傾けた参加者

 

 現在、釜石に在住し水産分野の研究や地域連携活動に取り組んでいる学生は24人。同コース4年の古澤直哉さんが、市学生活動支援事業補助金を活用し企画展開した出前授業、定置網見学とすし作り体験ツアーなど市民との交流活動について報告した。魚食の魅力や海の豊かさを発信できたと成果を強調。「企画した交流活動が成功した時の喜びや事前準備の大切さを実感。社会人としての助走の機会になった。人とのつながりを得て、釜石への愛着も湧いた」と充実感を見せた。

 

共同研究員の役割や取り組み事例を報告する佐々木千里さん

共同研究員の役割や取り組み事例を報告する佐々木千里さん

 

 5代目共同研究員として20年4月から同大に派遣されている市職員の佐々木千里さんは、歴代研究員が手掛けた連携事例を紹介。研究員が大学の知見を得たい市内企業と同大を結ぶ窓口となることで、スムーズな連携相談、関係構築が可能になるとし、「効率的、効果的な取り組みができるよう調整役を担っていく」と意欲を示した。

 

 同大理工学部教授らが、商品販売やまちづくりなどのさまざまな課題を解決するための思考方法「デザイン思考」をテーマにした地方創生の取り組み、SDGs(持続可能な活動目標)活動の事例を紹介。釜石の老舗和菓子会社社長らを加えたパネル討論では、この思考法を取り入れた地域振興と人材育成の在り方を共有した。

 

釜石高の探究活動などがパネル展示で紹介された

釜石高の探究活動などがパネル展示で紹介された

 

 文科省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている釜石高はオンラインで参加し、郷土芸能「虎舞」の起源など地域に関わる探究活動の成果を発表した。クジラ資源の利用をテーマに研究に取り組んだグループは「捕鯨問題は世界各国の文化の違いがあり解決は難しいが、全身を余すところなく利用できるクジラは重要な海洋資源となりうる」と考察した。 

 

 同大の小川智学長は「今後も三陸地域の活性化のため、教育をテーマにさまざまな活動を継続する」と強調。野田武則市長は「大学が持つ知に期待。地域振興に向け連携を深めたい」と望んだ。

竹灯籠作り体験=1月30日・根浜レストハウス

3・11追悼、防災の思い新たに 市民手作りの竹灯籠を根浜の避難階段へ

竹灯籠作り体験=1月30日・根浜レストハウス

竹灯籠作り体験=1月30日・根浜レストハウス

 

 東日本大震災から間もなく11年―。震災の津波で大きな被害を受けた釜石市鵜住居町根浜地区で、犠牲者の追悼と防災への願いを込めた竹灯籠を避難階段に設置する準備が進む。根浜海岸観光施設「根浜シーサイド」を管理するかまいしDMC(河東英宜社長)が企画。1月29、30の両日、敷地内のレストハウスで市民向け製作体験会が開かれた。完成した竹灯籠は2月12日に点灯式を行い、震災命日の3月11日までの間、毎週土・日曜、祝日と11日当日、午後5時から同7時までともされる。

 

竹灯籠をともす避難階段(111段)。両側の手すり沿いに設置する

竹灯籠をともす避難階段(111段)。両側の手すり沿いに設置する

 

 竹灯籠は、同施設キャンプ場と高台の市道箱崎半島線をつなぐ避難階段に計46本ともす予定。箱崎町仮宿の住民から寄付された直径10センチ弱の青竹約10本を切り分けて製作。体験会には家族連れなど、2日間で約50人が参加した。取り組んだのは、明かりが漏れるよう竹に穴を開ける作業。模様が描かれた型紙を竹に貼り、電動ドリルの刃を替えながら大きさの違う穴を開けた。持ち帰り用に丈の短い灯籠も作った。

 

スタッフから電動ドリルの扱い方を学ぶ親子

スタッフから電動ドリルの扱い方を学ぶ親子

 

どんな模様になるのかな?お母さんの作業に興味津々の女の子

どんな模様になるのかな?お母さんの作業に興味津々の女の子

 

 平田の福士大成君(8)は家族5人で参加。「ドリルで穴を開ける時の手に伝わる振動がすごく面白い」と夢中。「3・11」や自分の名前も上手に刻んだ。生まれる前に起こった大震災。学校の防災授業や祖母らの話を聞いて、その悲しみや教訓を心にとどめてきた。「自分の命は自分で守り、できれば他の人の命も守りたい」と大成君。母親の優さん(38)は「3・11が近づくと子どもの方から震災のことを聞いてくる。小さいころから復興の様子を少しずつ見ていた。意識してくれているのかな」。大成君が自ら刻んだ「3・11」の文字を感慨深げに見つめた。

 

「3・11」への思いを込め、熱心に作業する福士大成君(中央)

 「3・11」への思いを込め、熱心に作業する福士大成君(中央)

 

家族で参加した福士さん一家。出来上がった灯籠を手に記念の一枚!

家族で参加した福士さん一家。出来上がった灯籠を手に記念の一枚!

 

 観光施設は、被災住民が高台移転した後の集落跡地に整備。キャンプ場のほか天然芝の広場や大型駐車場を備え、2019年8月にオープンした。これまで地震や津波発生時の避難経路は、車両通行が可能な生活道路と近くの神社境内から市道に上がる2ルートだったが、昨春、キャンプ場から直接駆け上がれる避難階段が整備された。

 

 かまいしDMC地域創生事業部の佐藤奏子さん(根浜・箱白地域マネジャー)は「キャンプ場が満区画になると、100人近くがここにいることになる。迅速に避難できる階段を皆さんに知ってもらえたら。3・11に向け、変わらない追悼の思いを共有しながら、防災への意識を高める機会にしたい」と話す。

 

避難階段に設置する竹灯籠。点灯式は2月12日(土)午後5時~

避難階段に設置する竹灯籠。点灯式は2月12日(土)午後5時~

 

 竹灯籠の明かりはLED豆電球を使用。電力は地域から出る廃食油を精製したバイオディーゼル燃料で発電。二酸化炭素を排出しない環境にやさしい燃料で、脱炭素社会実現への願いも発信する。

唐丹公民館で開かれた節分の会。参加者は豆をまいて鬼を退治した

「コロナも鬼も外」鬼退治で世代間交流 きょう節分 唐丹公民館で豆まき

唐丹公民館で開かれた節分の会。参加者は豆をまいて鬼を退治した

唐丹公民館で開かれた節分の会。参加者は豆をまいて鬼を退治した

 

 3日の節分を前に1日、釜石市唐丹町の唐丹公民館で、子どもと住民の交流を図る「節分の会」が開かれた。同館が併設されている復興住宅入居者や地域住民、唐丹児童館の子どもら約30人が参加。新型コロナウイルス退散や1年の健康を願って仲良く豆まきした。

 

 児童館職員と年長の村上波月(はづき)ちゃん(6)が紙芝居で豆まきの由来を説明した後、「心の中にいる悪い鬼を追い出そう」と呼び掛けて豆まきを開始。色画用紙で手作りしたお面をかぶった子どもや高齢のお母さんたちは、こん棒を持った鬼役の住民に向かって「鬼は外」と元気よく豆を投げた。力を合わせて無事に鬼を追い出すと、互いに豆を投げ合い、子どもたちは心の中の「のんびり鬼」「ゲームしすぎ鬼」「言うこと聞かない鬼」、大人は体の不調やコロナ禍の不安を撃退。「残ったのは福の神だ」と明るい声を響かせた。

 

高齢のお母さんたちは子どもたちのかわいらしい姿に顔をほころばす

高齢のお母さんたちは子どもたちのかわいらしい姿に顔をほころばす

 

 さらに福を呼び込もうと、餅つきも。子どもたちは大人の力を借りて「よいしょー」「ソーレ」などと声を掛け合いながら交代できねを振り下ろした。倉又海成ちゃん(5)は「餅をぺったんして楽しかった」とにっこり。鳥居大愛(たお)ちゃん(5)は「おばあちゃんたちとたくさん遊んだ」と満足そうだった。

 

「よいしょ」「ぺったん」と掛け声を合わせて餅つきを楽しむ参加者

「よいしょ」「ぺったん」と掛け声を合わせて餅つきを楽しむ参加者

 

 今春、小学生になる波月ちゃんは「鬼が出てきたときはびっくりしたけど、みんなで倒すことができて良かった」と怖いものを乗り越え、たくましい表情を見せた。復興住宅で暮らす上村ツネ子さん(83)と木村ヨミ子さん(82)は「子どもたちがいると楽しいし、にぎやか。元気をもらって若返る。これからもいろんなことを一緒にやって、コロナを吹き飛ばしたい」と目を細めた。

 

 住民の交流促進、孤立化の予防などを目的に2016年から月例で実施する食事交流会の一環。小正月行事のみずき団子づくりなど季節の行事では今回のように世代間交流も取り入れている。コロナの影響で1年半以上休止。昨年12月のクリスマス会から再開した。今回、子どもたちは食事を控え、おすそ分けされた餅を児童館に持ち帰った。同館の千菅英理子館長は「地域にはいろんな声が響いているのがいい。コロナは長引いているが、うまく付き合っていくしかない。感染対策を徹底し、できるだけ行事は中止せず、交流事業を続けたい」と模索する。

広報かまいし2022年1月15日号(No.1777)

広報かまいし2022年2月1日号(No.1777)

広報かまいし2022年1月15日号(No.1777)

 

広報かまいし2022年1月15日号(No.1777)

広報かまいし2022年2月1日号(No.1777)

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【P1】
虎舞フェスティバル ※開催延期となりました
SL銀河招待企画
【P2-3】
新型コロナワクチン3回目接種
・2回目接種から6カ月で接種可能です
・【遠隔地】送迎バスの運行情報
【P4-7】
各種計画への意見募集
まちのお知らせ
※P4に掲載している後期地域会議・復興まちづくり協議会は開催延期となりました
【P8】
東日本大震災復興支援 感謝のつどい
冬の星空観察会 他

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釜石市の支線部で運行されるコミュニティーバス

釜石市支線部バス4月ダイヤ改正へ 効率運行、利便向上で「住民の足」維持

釜石市の支線部で運行されるコミュニティーバス

釜石市の支線部で運行されるコミュニティーバス

 

 釜石市が市内事業者に委託して運行する支線部バス(4路線)のダイヤが、4月から改正される。利用の少ない便を廃止し、一部区間に新たに予約制を導入。各路線と市教育センター(鈴子町)を結ぶ直通便の復路運行を新設する。料金の一部値上げ、学生への優遇措置も予定。高齢化の進行に伴い、増加が見込まれる運転免許返納者の足の確保、持続可能な公共交通維持のため、地区懇談会(市内18カ所で開催)の意向を踏まえ、事業の見直しを図る。

 

 東日本大震災後の環境変化を受け、2019年6月に再編された市内のバス路線の運行は、国道などの幹線部を岩手県交通が、半島・山間地域の支線部を市が担う。支線部は、鵜住居駅と上平田を幹線との乗り継ぎ拠点とする南北のコミュニティーバス(マイクロバス)、にこにこバス(ハイエース)を運行。ダイヤ改正は20年4月以来、2年ぶりとなる。

 

支線部バスエリア

 

 4路線共通の変更点は2つ。平日の支線部と教育センターを結ぶ直通便(釜石のぞみ病院経由)に同センター発の午後の便を新設し、帰りの足に配慮。1日1往復を確保する。料金は一部区間で100円値上げ。通学利用の負担軽減策として小中高生は上限200円とする優遇措置を講じる。

 

 これまでの利用状況を踏まえ、北部コミュニティーバス(青ノ木・中村方面)は、平日の中村発の始発便と鵜住居駅発の最終便を前後の便に統合。土日祝日の運行は土曜日のみに変更する。南部コミュニティーバス(大石・荒川方面)は、平日の便数を減便(上平田方面行き6→4便、大石・荒川同5→4便)。水曜日の教育センター発の便で、予約による平林への乗り入れを可能とする。

 

市の委託を受けた岩手旅行社が運行する北部コミュニティーバス

市の委託を受けた岩手旅行社が運行する北部コミュニティーバス

 

 箱崎白浜方面から日向、室浜地区を運行するにこにこバスは、箱崎地区の運行経路を見直し、3バス停を新設。片岸、日向地区からの乗車が少ないことから予約制を導入する。尾崎白浜、佐須方面のにこにこバスは、平日の上平田方面行きを1便(午後4時台)減便する。

 

前勝タクシーが委託運行するにこにこバス(箱崎白浜~日向~室浜エリア)

前勝タクシーが委託運行するにこにこバス(箱崎白浜~日向~室浜エリア)

 

 ダイヤ改正を含む2022年度の支線部バス運行計画案は、20日に市民ホールTETTOで開かれた市地域公共交通活性化協議会(会長・晴山真澄副市長、委員31人)で承認された。関係機関への申請、市議会での予算審議を経て4月1日から実施される見通し。

 

支線部バスのダイヤ改正などを承認した市地域公共交通活性化協議会=20日

支線部バスのダイヤ改正などを承認した市地域公共交通活性化協議会=20日

 

 同市の支線部路線は震災以降、仮設住宅を通るバス路線を対象とした国の被災地特例補助金の交付を受け運行してきたが、20年度で同補助は終了。22年度から既存の補助事業を導入し、市の財政負担軽減を図りながら必要な移動手段確保に努めるが、4路線の1便当たりの利用人数は平均1~2人と厳しい状況が続く。担当課の和賀利典生活環境課長は「工夫して効率的な運行体系を構築していく必要がある。将来の路線存続のため、積極的なバス利用を」と呼び掛ける。

jica01

国際協力で地域振興・人材育成を―釜石市とJICA東北、覚書締結

連携に関する覚書を結んだ野田市長(左から2人目)と小林所長(同3人目)、海外協力隊候補生の川松さん(右)ら

連携に関する覚書を結んだ野田市長(左から2人目)と小林所長(同3人目)、海外協力隊候補生の川松さん(右)ら

 

 釜石市と独立行政法人国際協力機構東北センター(JICA東北、宮城県仙台市、小林雪治所長)は14日、国際協力を通じた地域振興や人材育成に取り組むことを目的として「連携に関する覚書」を結んだ。取り組みの第1弾として、JICA海外協力隊の派遣前研修を実施。早速、候補生1人が活動を開始し、海外での協力活動に役立つ地域活性化や地方創生の取り組みについて知見を深める。

 

 JICA東北は東日本大震災の復興支援で釜石入りし、防災や減災のまちづくり、高校生のキャリア教育などに関わる活動で市と協力関係をつないできた。市では、外部との交流で新たな活力を育む「オープンシティ戦略」を掲げ、復興後の持続的成長を導く試みを進めており、今回の覚書もその一環。協働での活動を充実させることで戦略を強化させる。

 

 連携の内容は、▽海外協力隊合格者に対する市内での研修の実施▽帰国した隊員らのIターン促進▽開発途上地域からの技術研修員の受け入れや同地域への専門家の派遣▽市内での国際理解教育や多文化共生の促進-など。最長5年間、取り組みを進める。

 

野田市長(左)と小林所長(右)が覚書に署名した

野田市長(左)と小林所長(右)が覚書に署名した

 

 締結式は釜石市役所で行われ、野田武則市長と小林所長が覚書を取り交わした。野田市長は「復興後の将来を見据えた取り組み、時代の変わり目に合わせた人材が必要になる。互いが持つ知見を生かし、ウィンウィンの形に」と強調。小林所長は「関係人口、UIターンによる人口増加、地域振興の一助になれば。いろんな面で協力を深化させたい」と期待を込めた。

 

 派遣前研修に臨む隊員候補生、川松秀夫さん(61)も同席した。出身地の茨城県で36年間教員(高校)を務め、一昨年定年退職。今年8月以降、理科(専門は生物)分野で南アフリカ共和国への派遣が予定されている。地方創生や地域活性化に関心があり、震災復興の応援にもなればと釜石での研修を希望。高校、大学時代、ラグビーに打ち込んでいたことから、縁も感じている。

 

釜石で研修に臨む意気込みを伝えた川松さん(右)

釜石で研修に臨む意気込みを伝えた川松さん(右)

 

 研修期間は約3カ月間。活動先は市オープンシティ推進室、釜石シーウェイブスRFC、根浜MINDなどで、地域の現状把握や課題解決に向けた事業への理解を深める。川松さんは「地域に溶け込み、コミュニケーションをとりながら状況把握に努める。明るいまちづくりへ貢献できるよう取り組みたい」と意欲を見せた。

第14回「鉄の検定」上位入賞者ら=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

釜石「鉄の検定」成績優秀9人表彰 「アイアンマスター」今回は出ず

第14回「鉄の検定」上位入賞者ら=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

第14回「鉄の検定」上位入賞者ら=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

 

 第14回「鉄の検定」(鉄のふるさと釜石創造事業実行委員会主催、釜石市文化振興課共催)の表彰式は15日、鈴子町のシープラザ釜石で行われ、小中学生、一般の上位9人に賞状や記念品が贈られた。100点満点を獲ると得られる称号「アイアンマスター」は前回、2人の中学生が初獲得。続く期待感もあったが、今回の参加者は「難しかった」と口をそろえていて、結果はやはり「対象者なし」だった。

 

 今から160年以上前の安政4年12月1日(1858年1月15日)、大橋地区に建設された洋式高炉でわが国初の鉄鉱石精練による連続出銑(しゅっせん)に成功し、近代製鉄が始まった。近代日本の歩みが始まったともいえるこの日を記念し実施しているのが、鉄の検定。釜石の製鉄の歩みや関わった人物・施設の変遷はもちろん、世界の製鉄の歴史や地学、鉱物学など幅広い知識が問われる。

 

 14回目の鉄検は昨年12月1日に行われ、184人が参加。ほとんどが児童・生徒で、一般は5人だった。小中学生は▽釜石の鉄の歴史▽鉄都釜石の偉人▽世界遺産・橋野鉄鉱山-に関する50問に挑戦し、解答時間は30分。一般は60分で、「鉄に関わる文化財」「明治時代の釜石と鉄」「田中製鉄所」など多岐にわたる80問に挑んだ。

 

 小中学生、一般とも80点以上を2級、90点以上は1級、満点をアイアンマスターに認定。今回は1、2級の認定者は各1人で、いずれも中学生だった。

 

鉄検の入賞者らは晴れ晴れした表情を見せた=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

鉄検の入賞者らは晴れ晴れした表情を見せた=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

 

 表彰式で、同実行委会長の野田武則市長があいさつ。「試験は難しかったようだが、難関を乗り越え素晴らしい成績を収めた。鉄とともに発展してきたまちの歴史を学び、さらに研究を深め、釜石の代表として鉄の発信に協力を」と期待した。

 

 14回までの累計認定者は小・中学校の部が1級10人、2級56人。一般の部では1級11人、2級30人(いずれも延べ)と、市民の間で「超難関」とされているのがこの鉄検だ。そんな中、13回目でついにアイアンマスターが誕生、しかも2人。だが、昨年は新型コロナウイルス禍で表彰式を行わなかったこともあり、市民の多くは知らずにいる。

 

シープラザ釜石で行われた表彰式で、賞状を受け取る川端海惺君

シープラザ釜石で行われた表彰式で、賞状を受け取る川端海惺君

 

 前回、マスターの称号を得た川端海惺君(釜石中2年)は「今回も」と臨んだが、手に届かず、「ちょっと悔しい」と苦笑い。4回目の受検だったが、「今まで出たことのない問題があって難しかった」と振り返った。それでも、全受検者の最高得点となる96点を獲得し、「今まで頑張ってきたから」と達成感も得る。「難しさ」「挑戦者の少なさ」が鉄検の魅力だといい、「次こそは」と早くも気合十分。レベルの高い一般の部に参加できる日を待ち望んでもいて、「住んでいるまちの歴史を知ることができて面白い。知ったことを伝えることもできる」と熱を込めた。

 

 上位入賞者は次の通り。
【小学校の部】
①川端俐湖(双葉小4年)②松田翔希(甲子小5年)③藤原七海(同)
【中学生の部】
①川端海惺(釜石中2年)=1級②佐藤靖都佳(同3年)=2級③森美惠(同2年)
【一般の部】
①谷藤稔②川畑郁美③佐々木真吾

鵜住居川周辺を隊列を組んで飛ぶ姿も見られた

まれに見るオオハクチョウの群れに感激 鵜住居川で水辺の鳥観察会

片岸公園遊歩道から水辺の鳥観察を楽しむ参加者

片岸公園遊歩道から水辺の鳥観察を楽しむ参加者

 

 釜石市の鵜住居川河口周辺で15日、水辺の鳥観察会が開かれた。市生活環境課が行う環境保全事業の一環。県内有数の「野鳥の宝庫」として知られる同所は、2011年の東日本大震災の津波で大きな被害を受け、野鳥の生息状況にも影響を及ぼした。震災から10年となった昨年は、河川堤防の内側に片岸公園が完成。生態園をイメージした大きな沼地が整備され、複数種の野鳥が集う様子が見られている。

 

 同観察会は1970年代後半から続けられる冬の恒例行事。震災後は新たな水門や防潮堤を建設する復興工事のため中止されてきたが、昨年度から再開されている。今回は一般市民と関係者14人が参加した。

 

釜石野鳥の会の会員に教わりフィールドスコープをのぞき込む子ども

釜石野鳥の会の会員に教わりフィールドスコープをのぞき込む子ども

 

 釜石野鳥の会(臼澤良一会長、7人)の会員3人の案内で、片岸公園駐車場から観察をスタート。最初に目に飛び込んできたのは、三陸鉄道の線路近くの遊休地で枯れ草などをついばむオオハクチョウの群れ。羽が灰色の幼鳥を含め、20羽前後が見られた。この後、移動した同公園の沼地ではマガンとともに泳ぐ姿も。鵜住居川周辺上空を隊列を組んで飛ぶ光景も見られ、参加者は肉眼のほか、双眼鏡やフィールドスコープで追った。

 

餌を求め片岸町の遊休地に集まるオオハクチョウ

餌を求め片岸町の遊休地に集まるオオハクチョウ

 

片岸公園の沼地でマガンとともに憩うハクチョウ

片岸公園の沼地でマガンとともに憩うハクチョウ

 

鵜住居川周辺を隊列を組んで飛ぶ姿も見られた

鵜住居川周辺を隊列を組んで飛ぶ姿も見られた

 

 野鳥の会の臼澤会長(73)によると、観察会の1週間ほど前の時点で、同河川周辺で確認したオオハクチョウは約40羽。震災後、これほど多くの飛来は初めてで、「冬を越すのに適した生息環境が戻ってきているのではないか」と推測。2月末ごろまで見られそうだが、「決して餌付けはしないように。マナーを守って観察を」と呼び掛ける。

 

 観察会ではこの他、同所で見られるのは珍しいハクガンも1羽確認。名前の通り全身が白いが、翼の先だけ黒色なのが特徴で、オオハクチョウと比べるとその大きさの違いがよく分かる。

 

鵜住居川でオオハクチョウと行動を共にしていたハクガン(左)。翼の先端が黒いのが特徴

鵜住居川でオオハクチョウと行動を共にしていたハクガン(左)。翼の先端が黒いのが特徴

 

 さらにこの日、参加者を喜ばせたのが、鮮やかな体色で「飛ぶ宝石」と称されるカワセミ。頭から背中にかけての青色、腹部のオレンジ色のコントラストが目を引く留鳥。鵜住居川では昨年1月の「こどもエコクラブ」の野鳥観察会でも確認され、今回もその時と同じ場所、鎧坂橋近くで見ることができた。

 

 約1時間の観察で確認された野鳥は28種類。種別ではガン・カモ類が最も多く、個体数ではオオハクチョウやオオバンの数が際立った。タカの仲間「ノスリ」、サギ、キジ、チドリなども見られた。

 

ヨシ原から飛び立つキジの姿も確認された

ヨシ原から飛び立つキジの姿も確認された

 

 震災で被災し、山田町から同市定内町に移り住んだ佐藤幸博さん(71)は、初めて鵜住居川を訪れ、「こんな近場にたくさんの種類の鳥がいるとは驚き。環境が良い所なんでしょうね」。初めて生で見たカワセミの美しさにも感動し、「また見に来てみたい」と声を弾ませた。

 

 鵜住居川河口周辺で行われてきた市主催の野鳥観察会では、震災前、最多で57種を確認した年もあり、自然環境の素晴らしさを裏付けた。震災の津波で、片岸海岸に隣接していた元の河口は失われ、川沿いに広がっていたヨシ原や樹木も全て流失。野鳥もすみかを奪われ、被災後数年間は見られる鳥の種類、数ともに激減した。現在の水門から上流は10年かけて植生がだいぶ回復し、それに伴って野鳥も増えてきた。

 

新設された水門から上流は鳥の隠れ家となる草地が回復してきた

新設された水門から上流は鳥の隠れ家となる草地が回復してきた

 

昨年完成した片岸公園の沼地。震災前にあったミノスケ沼のように鳥が集まる場所になりつつある

昨年完成した片岸公園の沼地。震災前にあったミノスケ沼のように鳥が集まる場所になりつつある

 

 臼澤会長は「ハクチョウやガンなど渡り鳥の飛来も増えてうれしい限り。これは鵜住居川の環境が整ってきた証拠。一方で、私たちに身近なスズメなどがあまり見られなくなったのが気になる。こうした変化にも気付いて環境保全への取り組みを考えていかなければならない」と話した。

釜石市と協定を結んだ明治安田生命保険の横山幸司盛岡支社長(右から4人目)と釜石営業所のスタッフ(右3人)

復興後のまちづくりを協働で 釜石市と明治安田生命「包括連携協定」締結

釜石市と協定を結んだ明治安田生命保険の横山幸司盛岡支社長(右から4人目)と釜石営業所のスタッフ(右3人)

釜石市と協定を結んだ明治安田生命保険の横山幸司盛岡支社長(右から4人目)と釜石営業所のスタッフ(右3人)

 

 釜石市と明治安田生命保険(永島英器執行役社長)は13日、市民の健康づくりや生活の利便向上などを目的とした幅広い分野での包括連携協定を結んだ。同市のさまざまな課題、地域ニーズに対応した取り組みを連携して進め、健康長寿、より良い市民生活の実現を目指す。

 

 締結式は市役所で行われ、同社から横山幸司盛岡支社長、蓙谷兼明釜石営業所長ら5人が出席。横山支社長と野田武則市長が署名した協定書を取り交わし、内容を確認した。連携するのは▽高齢者の生活支援や市民の健康づくり▽結婚、出産、子育ての支援▽市民サービス、生活の利便向上▽産業、観光振興の支援▽環境保護活動の支援―の5分野。まずは健康面から着手し、がん検診や保健事業の周知、認知症予防への取り組みなどを検討する。

 

 横山支社長(48)は「能動的に動けるのが私どもの強み。釜石営業所の約20人を中心に、市の施策PRや円滑な事業推進から一歩ずつ進め、しっかりとした成果を出していく。地元に貢献しながら本業にも生かせるようにしたい」と決意を表した。

 

横山支社長が明治安田生命のプロジェクトを説明

横山支社長が明治安田生命のプロジェクトを説明

 

 同社は国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を視野に、「人々の健康づくり」と「豊かな地域づくり」のサポートを行う2大プロジェクトを推進。こうした基本理念のもと、地方自治体との連携協定締結にも取り組む。本県市町村との協定は釜石市が12番目。

 

 野田市長は復興後の新たなまちづくりを進める上で、「災害の脅威、少子高齢化、医療・介護の問題など課題が山積している。地球温暖化、新型コロナウイルスへの対応も不可欠。課題解決に力添えをいただき、釜石がますます元気になるよう取り組んでいきたい」と協力を願った。

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「お絵かき列車」表彰式 園児が描く、みんなの三陸鉄道

三鉄の「園児お絵かき列車」入賞者と家族、関係者ら

三鉄の「園児お絵かき列車」入賞者と家族、関係者ら

 

 三陸鉄道(本社宮古市、中村一郎社長)が沿線の保育園児などを対象に募集した「お絵かき列車作品」で、最高賞となる県三陸鉄道強化促進協議会(会長=達増拓也知事)会長賞に中妻子供の家保育園の渋谷実希ちゃん(6)が選ばれた。小佐野保育園の寺田茉希ちゃん(5)が釜石市特別賞、小川葵愛(あいな)ちゃん(6)は市さんてつくん賞を受賞。表彰式は8日に鈴子町のシープラザ釜石で行われ、入賞者に賞状などが贈られた。

 

 同列車は同協議会と三鉄が主催。列車の旅を楽しみながら車両の絵を描いてもらうもので、1995年から続く。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で乗車を見合わせる園が多かったが、作品は募集した。沿線の11市町村から690人が参加。釜石市内からは6保育園、こども園が参加し、計97点が寄せられた。

 

 表彰式で、中村社長は「力作ぞろいで、選ぶのに苦労した」と総評。コロナ禍で厳しい経営が続くが、昨秋から客足が戻りつつあると説明し、「家族と一緒に利用して盛り上げてほしい」と期待を込めた。野田市長も「久慈から盛まで163キロもあるリアス線は駅ごとに楽しい場所がある。みんなの三鉄を大事にしていこう」と呼び掛けた。

 

最高賞に輝いた作品の前で笑顔を見せる渋谷実希ちゃん

最高賞に輝いた作品の前で笑顔を見せる渋谷実希ちゃん

 

 中妻子供の家保育園では三鉄から提供された写真を見本に年長児が取り組んだ。まだ三鉄に乗ったことがないという実希ちゃんは、青い空と海が広がる景色の中を走る様子を想像しながら、クレヨンと絵の具を使って「楽しい気持ち」を表現。白い車体に赤と青のラインが入った車両を描くのを頑張り、「(賞をもらって)うれしい」とはにかんだ。

 

 小佐野保育園は三鉄釜石駅に出向いてホームでお絵かき。いろんな車両を見る機会にもなり、外出気分を楽しんだ。茉希ちゃんは車両を囲むようにたくさんの笑顔を描いていて、かわいらしさ満載の力作。葵愛ちゃんの作品は画用紙の半分を占めるほどの大きい車両が印象的な、ダイナミックな絵に仕上がった。

 

子どもたちの愛らしい作品が紹介された

子どもたちの愛らしい作品が紹介された

 

 釜石市内の応募作品は14日までシープラザで展示。入賞作品を車内で公開する「たいへんよくできました号」も同日まで三鉄リアス線で運行された。