タグ別アーカイブ: 文化・教育

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感動共有!笑顔つなぐ読み聞かせ 釜石・甲子小PTA「お話しどんどこ」 活動20年目に

「お話しどんどこ」が甲子小で続ける読み聞かせ活動

「お話しどんどこ」が甲子小で続ける読み聞かせ活動

 
 釜石市立甲子(かっし)小の読み聞かせボランティア「お話しどんどこ」が、活動を始めて20年目に入った。始まりは保護者によるPTAサークル活動。今では祖母世代や近隣住民などが加わった地域ぐるみの活動に深化する。授業の合間の休み時間を活用した不定期の取り組みは、月1回の朝活動に変化。働き世代の保護者らにとっては忙しい時間だが、米澤美紀代表(47)は「本を通して子どもたちと対話しながら一緒に楽しんでいる。いとおしい反応や笑顔、パワーをもらう、すてきな時間。読み手が増え、ずーっと続く活動に」とほほ笑む。
 
 「どこにいるかな? にげた金魚、みんなも一緒に探してくれる?」。11月30日朝、甲子町の同校1年2組(23人)の教室で、米澤代表が児童に優しく語りかける。「いるー、そこ、そこー!」「よかったー」。話の世界に引き込まれた子どもたちが指さしたり全身でアピールする。こんなやりとりが繰り返され、約15分があっという間に過ぎてゆく。
 
 どんどこは2004(平成16)年に学校の呼びかけで、当時の保護者10人ほどで立ち上げた。当初は2、3時間目の授業の間の休み時間(中休み)を使い、図書室で低学年を対象にした読み聞かせを不定期に実施。続ける中で、月に1回、全学年向け、各教室での活動と形が変わった。現在の活動日、第4木曜日は「朝どんどこ」として“甲子っこ”にすっかり定着している。
 
子どもたちを物語の世界に引き込む千田雅恵さん

子どもたちを物語の世界に引き込む千田雅恵さん

 
 登録メンバーは11人で、米澤代表のように在校生の保護者もいれば、祖母だったり、卒業児の家族、元教員、地域住民とさまざまだ。この日活動したメンバーは7人。2年2組(20人)の教室では、立ち上げ時からのメンバー千田雅恵さん(61)が季節に合わせて選んだウクライナの民話「てぶくろ」や、100年前に生み出された物語ながら新鮮味や面白さが色あせない「子どものすきな神さま」(新美南吉作)を穏やかな語り口で聞かせた。
 
 朝活後、図書室で反省会。持ち込んだ本を見せ合い、選択に込めた思いを共有したり、記録を残したりした。さらに、この日は20年目の活動を祝うセレモニーを企画。中休みに6年生(43人)を迎えて、図書の寄贈(10冊)やパネルシアターの上演でふれあった。
 
記念セレモニーで学校に図書を贈呈。児童はお礼の手紙をお返し

記念セレモニーで学校に図書を贈呈。児童はお礼の手紙をお返し

 
クイズ形式で展開するパネルシアターは大盛り上がり

クイズ形式で展開するパネルシアターは大盛り上がり

 
 千田さんが20年の活動を振り返り。「楽しいお話が次々出てくるようなイメージ」を込めた団体名の由来、「子どもたちのために少しでもできることを」とたくさんの大人が思いをつないできたこと、学校の心強い後押しにも触れた。「気づいたら20年。本の世界をみんなでドキドキしたり感動したりできる読み聞かせは楽しい。今度はみんなが読み手になって、どんどこを続けてほしいな」と期待した。
 
20年の活動を振り返る千田さん(左)

20年の活動を振り返る千田さん(左)

 
贈った図書を紹介する米澤美紀代表(左)

贈った図書を紹介する米澤美紀代表(左)

 
 図書委員の髙橋龍之助君は「いつもおもしろく、本との出合いの機会になっている」と感謝を伝えつつ、「ヨシタケシンスケさんの本が好きなので、今度読んでほしい」とリクエスト。母良田(ほろた)凪君は物語の世界を情感たっぷりに表現する読み手の姿が印象に残っていて、「自分もやってみたい」と目標の芽を伸ばしている。
 
 同校には現在、児童244人が在籍する。メンバーは季節や学年を考慮しながら取り上げる本を選んでいるが、共通するのは「感動」という視点。まずは自分たちが心揺さぶられ、そうした思いをつづられた文字にのせ届けている。艦砲射撃を題材にした作品を紹介し、まちの歴史も伝えたり。朝どんどこを見守る菊池一章校長は「読み手の皆さんが楽しんでいるのが神髄。聞き手との一体感、空気感がすごくいい」と目を細める。
 
あちこちから小さな手が伸びる「朝どんどこ」

あちこちから小さな手が伸びる「朝どんどこ」

 
「次に読む本は?」。反省会は選書のヒントを得る場に

「次に読む本は?」。反省会は選書のヒントを得る場に

 
読んだ本と子どもたちの反応を記録に残す

読んだ本と子どもたちの反応を記録に残す

 
 米澤代表は「大きくなると読み聞かせはしなくなるが、親以外から伝えられることもある。忙しい朝だけど、子どもたちとの交流はひと息できる楽しい時間でもある」と保護者の立場からも意義を実感。どんどこのサークル活動のほか、PTAの図書ボランティア部隊として週2回、図書室の読書環境づくりにも携わり、「甲子小にたくさんの笑顔の花を咲かせるよう、元気に活動していきたい」と意欲を見せた。
 
活動継続へ気持ちを新たにする「お話しどんどこ」メンバー

活動継続へ気持ちを新たにする「お話しどんどこ」メンバー

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釜石は鉄の街「どうして?」 郷土の歴史学ぶ子どもたち、成果発表 関連行事も続々

釜石の歴史に触れる鉄の学習発表会

釜石の歴史に触れる鉄の学習発表会

 
 釜石市の児童・生徒による鉄の学習発表会(鉄のふるさと釜石創造事業実行委員会主催)は11月25日、大町の釜石PITで開かれ、2校が史跡見学や鉄づくり体験で得た学びを紹介した。市では「鉄の記念日」(12月1日)の前後1週間を「鉄の週間」として各種イベントを催しており、発表会もその一つ。関係者は「子どもだけでなく、大人も地域の歴史に触れ、学び続けるまちに」と願う。
 
 鉄の記念日は、近代製鉄の始まりを記念する日。盛岡藩士の大島高任が安政4(1857)年12月1日、釜石市甲子町大橋に建設した洋式高炉で日本初の連続出銑を成功させたことにちなむ。
 
学びから得た地域の魅力を伝える双葉小児童

学びから得た地域の魅力を伝える双葉小児童

 
 双葉小は4年生の代表5人が発表。近代製鉄発祥の地・大橋地区にある釜石鉱山の坑道見学や旧釜石鉱山事務所での鉱石採取体験などを通して「鉄の街釜石」に触れた。驚いたこととして挙げたのは、大橋地区に学校があったこと。多い時には1200人の子どもたちが通ったといい、「双葉小の9倍くらい。ここだけで生活ができた」と思いをはせた。
 
 鉱石の標本づくりにも挑戦。石の種類、鉄鉱石ができる仕組みなどを学び、「釜石を発展させた鉱石たちを宝物として大切にしたい」とまとめた。現在の釜石鉱山で製造されるナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」が印象に残ったのは磯﨑雄太君。坑道の中の岩盤を40年かけてつたってくるこの湧き水は「僕らが生まれる前のもの。魅力的。いろんな良いところをもっと伝えたい」と胸を張った。
 
「仙人秘水は常温の方がおいしいそうです」と豆知識も

「仙人秘水は常温の方がおいしいそうです」と豆知識も

 
 釜石東中の1年生20人は、同事務所で行った「たたら製鉄」実習の様子を寸劇で紹介した。大島高任は西洋の高炉設計図を頼りに釜石で製鉄を進めたといい、生徒たちも同様の手法で悪戦苦闘しながら築炉。木炭の小割作業など準備の大変さ、火入れの熱さ、鉄の混合物(ケラ)を得られるかといった不安も見せた。この活動で学んだのは、先人たちの偉大さや仲間と協力する大切さ。「失敗を恐れず、いろんなことにチャレンジし続ける」と声をそろえた。鈴木星愛(せな)さんは「この経験を生かして部活を頑張りたい」とうなずいた。
 
釜石東中の生徒は鉄づくり体験の様子を再現

釜石東中の生徒は鉄づくり体験の様子を再現

 
子どもたちの学びにじっと耳を傾けた市民ら

子どもたちの学びにじっと耳を傾けた市民ら

 
 高橋勝教育長が「堂々とした発表に驚いた。当時の人たちの苦労や思いを知り、自分たちに置き換え、考えることが学びになる。知る楽しさ、感動、気づきを大切にしてほしい」と講評。自身も今回の発表で発見があったと明かし、「大人も学んでいかなければ」と子どもたちからの刺激を歓迎した。
 
 同事務所が国登録有形文化財(建造物)になってから今年で10周年となるのを記念し企画したフォトコンテストの結果発表もあった。釜石鉱山をテーマに7月中旬から10月末まで募集し、鉄鉱石や銅鉱石の選鉱場跡、不要な砕石を積んだ堆積場、釜石線の線路などを写した30作品が寄せられた。最優秀賞に選ばれたのは、選鉱場と自然風景を一体的に捉えた「栄えた跡と秋空」。撮影した藤原信孝さん(75)は「世界遺産になるべき場所であり、多くの人に足を運んでほしいと思いを込めた。この地で、子どもたちの鉄づくり学習が行われているのも意義深い」と熱く語った。
 
釜石鉱山をテーマにしたフォトコンテスト最優秀作品

釜石鉱山をテーマにしたフォトコンテスト最優秀作品

 
撮影者の藤原信孝さんに賞状と記念品が贈られた

撮影者の藤原信孝さんに賞状と記念品が贈られた

 
 このほかにも鉄の週間行事はめじろ押し。1日は市鉄の歴史館や同事務所が無料公開され、夜には知る人ぞ知る「鉄の検定」がある。2日には歴史館で名誉館長講演会(午前10時~・テーマ「イギリスの産業革命―日本との差異」)のほか、県指定文化財「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図」(幕末の高炉操業の絵巻)も公開。企画展「餅鐵の刃」は18日まで催される。
 
 同事務所の企画展「いわての国登録有形文化財展」、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの「橋野高炉跡発掘調査速報展」は8日まで。市立図書館では3日午後1時半~、市民教養講座・鉄の町かまいし歴史講座「釜石鉄道の道―番号で呼ばれる橋」を予定し、鉄の記念日にちなんだ図書展を14日まで開く。市郷土資料館では企画展「かまいしの古き良き時代 ザ・昭和~鐵と共に」が開催中で、来年1月14日まで楽しめる。

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「キラめく文化のまち」未来へ 多種多様な表現活動、楽しさ 釜石から発信

芸術文化に親しむ釜石市民が交流した秋の祭典

芸術文化に親しむ釜石市民が交流した秋の祭典

  
 芸術の秋を彩る第53回釜石市民芸術文化祭(釜石市、市芸術文化協会主催)は4、5日に大町の市民ホールTETTOで開かれ、市内の表現者たちが力作を並べた。「子供たちの笑顔、未来に紡ぐ芸術の心」をテーマに掲げた今回は“小さな”表現者たちも活動を紹介。大人も子どもも互いに刺激し合い、芸術文化の力をつなぐ意欲を高めた。
 
 芸文協には26団体(約420人)が加盟する。4日のオープニングセレモニーで芸文協の河東眞澄会長は「芸術文化への熱意、関心が高いまち。築き上げたものを若い世代にどう結び付けるかが課題。鑑賞の機会を増やし、みんなの力できらめく文化のまちを発展させよう」と呼びかけた。
 
創作や表現活動を紹介し合う釜石市民芸術文化祭

創作や表現活動を紹介し合う釜石市民芸術文化祭

 
 展示部門では加盟団体、一般参加を合わせ19団体、5個人が作品を公開。書道、写真、絵画、生け花、水墨画、切り絵、ステンドグラス、郵趣品など多彩な分野の力作が並んだ。市内企業などが所蔵する美術品、市民が個人的に見せたい“宝物”を紹介する「まちかどミニ美術館・博物館」と題した展示コーナーも用意。県内外の各種コンクールで入賞した作品も特別展示され、訪れた市民らは感性豊かな作品にじっくりと見入った。
 
生け花、ステンドグラス、手芸など多彩な作品がずらり

生け花、ステンドグラス、手芸など多彩な作品がずらり

 
豊かな表現力をみせる書や絵画作品も並んだ

豊かな表現力をみせる書や絵画作品も並んだ

 
 釜石さつき愛好会(東梅英夫会長、会員10人)は、会員たちが手間をかけて手入れをした盆栽に添え草などを組み合わせた席飾り12点を展示した。春は白やピンクの花を咲かせるサツキだが、秋は枝ぶりや葉の付き方など木そのものの形や手入れ具合を楽しむことができる。「自然に生えている形を追求。すっと抵抗なく視界に入るようなら最高」と頬を緩める東梅会長(78)。月1回の例会でアドバイスし合うのも楽しみだが、会員の高齢化が課題で「若い人、女子に興味を持ってもらえたら」と期待した。
 
釜石さつき愛好会は丹精込めて作り上げた盆栽をお披露目

釜石さつき愛好会は丹精込めて作り上げた盆栽をお披露目

 
鑑賞者(右)の仲間入りを期待する愛好会のメンバーたち

鑑賞者(右)の仲間入りを期待する愛好会のメンバーたち

 
 ステージ発表は2日間で7団体が舞踊やバンド演奏などを繰り広げた。4日に登場した中で目を引いたのが、躍動感あふれる子どもたちの演技。エアロビックダンスチーム「キッズDA★DA」(阿部直美代表)は幼稚園年中児~高校1年生の9人が軽快な音楽に合わせリズミカルに体を動かした。佐々木稜君(甲子小5年)と唯桜さん(同2年)兄妹は緊張して少しミスが出たというが、「気持ちいいし、楽しかった」とにっこり。「きれいに見えるように腕を伸ばすとか基礎をしっかりやりたい」「とにかくもっと上手になりたい」とやる気を燃やした。
 
舞台では多種多様な踊りが披露された

舞台では多種多様な踊りが披露された

 
 小柳玲子バレエ教室(盛岡市)は釜石のほか、宮古、盛岡で練習に励む小中高生23人が「コッペリア」(ジュニア版)より11演目を披露。華やかな衣装を身にまとい、しなやかな舞や華麗なターン、美しいジャンプを繰り広げる子どもたちに客席から拍手が沸き上がった。
 
 バレエを頑張る友達に誘われて来場した双葉小4年の照井綾乃さん、同2年の合田帆花さんと井上千里さんは「すごくキラキラしていた」と感激した様子。芸文祭に足を運ぶのは今回が初めてで、「マネできない上手さがあるし、きれいなものがいっぱい」と発見を楽しんだ。「自分を輝かせたい」。友達の姿に感化されたようで、習い事や気になる表現活動に取り組んでみると意欲を高めた。
 
参加した各団体代表者がユーチューブ生配信で活動紹介

参加した各団体代表者がユーチューブ生配信で活動紹介

 
 今年も4日の舞台発表の様子などをYouTube(ユーチューブ)で生配信。「若い世代の仲間入り」に期待を込め、創作や表現活動を楽しむ姿を発信した。

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世界とつながる釜石 フランス派遣のアマラグビーチーム、中学生 成果を報告

フランスでの体験を報告した選手や中学生ら

フランスでの体験を報告した選手や中学生ら

 
 フランスで9月に開催されたラグビーワールドカップ(W杯)に合わせ、同国で初開催されたアマチュア世界大会に特設チーム「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ(RFC)」が出場。同時期に、海外体験学習として釜石の中学生も同国を訪れた。2つのチームに与えられたミッションは▽東日本大震災復興支援への感謝の発信▽W杯日本大会のレガシー(遺産)継承▽スポーツを通じた国際交流-。10月28日に釜石市大町の市民ホールTETTOで報告会を開き、市民ら約60人に現地での活動を伝えた。
 

スポーツ交流 いわて釜石RFC選手ら「刺激に」

 
活動報告するいわて釜石RFCの選手たち

活動報告するいわて釜石RFCの選手たち

 
 いわて釜石RFCが参加したのは、「ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」。9月23~30日に仏南部のプロバンス地方で開かれた。W杯参加国を中心に16カ国が出場。日本からは、開催地の一つディーニュ・レ・バン市と姉妹都市提携を結ぶ釜石市に出場の打診があったことから、岩手や釜石にゆかりある選手30人を選抜してチームを派遣した。
 
 報告会には選手10人が参加した。ヘッドコーチも務めた市スポーツ推進課の佐伯悠さん(38)によると、他国は既存のクラブチームが出場。いわて釜石RFCは予選リーグでイングランド、アルゼンチン、チリのチームと対戦し全敗。ジョージア、ベルギーとの順位決定戦にも競り負け、最下位の16位に終わった。そんな中、12-19と競り合ったアルゼンチン戦では三田唯力選手(25)=県警=がマン・オブ・ザ・マッチに選出。佐伯さんは「全試合、ホームゲームのような応援の中で戦えた。各選手が活躍し、順位以上にいろんなものを得ることができた」と充実した日々を振り返った。
 
チームの戦いぶりを振り返る佐伯さん

チームの戦いぶりを振り返る佐伯さん

 
 釜石シーウェイブスOBらも多く、「またガチなラグビーができ、いい思い出になった」「刺激的な日々。やっぱりラグビーは楽しい」などと感想を伝えた。木村優太選手(30)もそんな一人で、「全敗は悔しいが、選ばれた仲間と戦えたことは誇り。選手を引退したわけではないので、この経験を今後に生かしたい」と言葉に熱を込めた。
 
「ありがとうを伝えに」。現地の新聞で紹介された

「ありがとうを伝えに」。現地の新聞で紹介された

 
 アマ大会は、ラグビーが大好きなディーニュ市の若者が実現させた夢の形。小さなまち釜石が被災から立ち上がり、W杯日本大会の開催地になったストーリーに触発された挑戦だったといい、選手たちは釜石開催のレガシーが着実につながっていることを肌で感じてきた。ラグビー普及コーディネーター(市地域おこし協力隊)の竹中伸明選手(34)は多くの歓迎に感激。「受け取ったパスを広く釜石市民に届け、交流というパスを交換し続けるようにしたい」と前を向いた。
  
 野田武則市長は「復興支援への感謝を世界に伝え、国際交流の振興に貢献してくれた」とねぎらい、派遣事業を進めた実行委の小泉嘉明会長は「若い人の交流が進めば、いい関係が続く。平和にもつながる。ラグビー県、ラグビーのまち釜石を前に進めていこう」と期待を込めた。
  

異文化体験 生徒ら視野広げ「地域のために」

  
海外体験事業でフランスを訪れた中学生

海外体験事業でフランスを訪れた中学生

  
 中学生海外体験事業で渡仏した生徒は6人で、期間は9月24日~10月1日まで。ディーニュ市などの学校で同年代の子と交流し、ホームステイ先では現地の文化に触れた。姉妹都市提携のきっかけとなったジオパーク資産・アンモナイト化石群も見学。復興支援に尽力した化粧品メーカー「ロクシタン社」を訪ね、感謝を伝えた。いわて釜石RFCの応援、W杯の日本代表・サモア戦も楽しんだ。
 
スライドを使って体験活動の様子を紹介する生徒

スライドを使って体験活動の様子を紹介する生徒

 
 6人はいずれも、多くの出会いと発見がある貴重な体験をさせてもらったことへの感謝を口にした。初めての海外という緊張感や語学に対する不安も共通だったが、現地では不慣れなフランス語や英語を駆使する生徒らに理解を示し、親切に接してもらったと声をそろえた。
 
 ラグビー経験のある前川航紳さん(釜石中3年)は世界の舞台で戦う選手たちのプレーに感動。次に続こうと闘志を燃やした。外国人との交流では語学力だけでなく、自分たちが暮らす地域を知って伝えることが大事だと実感。「さまざまなことにチャレンジし、身につけて釜石の国際交流に貢献したい」と背筋を伸ばした。
 
生徒たちの交流の様子も現地の紙面で伝えられた

生徒たちの交流の様子も現地の紙面で伝えられた

 
 来年4月にはディーニュ市との姉妹都市提携30周年を迎える。聴講した人から「どんな釜石を紹介したい?」と質問されると、生徒たちは鉄の歴史やスタジアムを挙げたり、「フランスで印象に残ったのは街歩き。通りを見ることでも異国の雰囲気を感じられる」とアイデアを出した。釜石で暮らす外国人との交流を求める声もあり、6人は自分たちの可能性を信じながら「得た経験を地域に生かす」との思いを強めた。
 
国際交流の継続を期待する選手や中学生ら

国際交流の継続を期待する選手や中学生ら

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「芸は津波に流されない」 釜石最後の芸者“艶子姐さん” 波乱万丈の生涯を語り、踊り舞台で再現

伊藤艶子さんが伝えた「釜石浜唄」なども披露した舞台「艶子姐さん~釜石最後の芸者物語」

伊藤艶子さんが伝えた「釜石浜唄」なども披露した舞台「艶子姐さん~釜石最後の芸者物語」

 
 古里釜石で踊りや三味線の芸の道一筋に生き、2016年に89歳で亡くなった伊藤艶子さんの生涯が、語りと踊りの舞台でよみがえった―。10月29日、釜石市大町の市民ホールTETTOで上演された「艶子姐さん~釜石最後の芸者物語~」。俳優名取裕子さんの語り、伊藤さんの芸を引き継ぐ東京・八王子の芸者衆の踊りなどで構成された舞台を約450人が鑑賞した。製鉄、水産業による釜石繁栄の時代、社交の席を踊りや唄で華やかに盛り上げ、多くの市民に親しまれた伊藤さん。来場者は在りし日の“艶子姐さん”の姿を思い浮かべながら、舞台に見入った。
 
 同公演は釜石市民ホールと、名取さんと親交のある小田島弘枝さんが代表を務める遠巣谷の森文化交流センター(西和賀町)が企画。名取さんの語りで15年から始まった「みちのく巡礼話芸劇場」シリーズの第3弾として行われた。名取さんは伊藤さんの言葉を釜石弁で熱演。4度の津波、2度の艦砲射撃など数々の困難に負けず、たくましく生き抜いた姿を巧みな話術で伝えた。東日本大震災後の避難所訪問を機に、伊藤さんからお座敷唄「釜石浜唄」などを教わった東京・八王子の芸者衆5人が踊りで華を添えた。劇中の唄は釜石出身の民謡歌手、佐野よりこさんが担当した。
 
オープニングで客席を通ってステージに向かう俳優名取裕子さん

オープニングで客席を通ってステージに向かう俳優名取裕子さん

 
釜石出身の佐野よりこさんが歌い、八王子芸者が踊る「釜石小唄」で幕を開けた

釜石出身の佐野よりこさんが歌い、八王子芸者が踊る「釜石小唄」で幕を開けた

 
芸の道を貫いた伊藤艶子さんの生涯を朗読劇で伝える名取裕子さん

芸の道を貫いた伊藤艶子さんの生涯を朗読劇で伝える名取裕子さん

 
伊藤さんやまちの歴史などの写真を映し出しながら舞台が進められた

伊藤さんやまちの歴史などの写真を映し出しながら舞台が進められた

 
 伊藤さんは1926(大正15)年、釜石に生まれた。裕福な家庭だったが、父親が病に倒れ、13歳で入学した高等女学校を4カ月で中退。幼いころから大好きだった踊りで身を立てたいと、浜町の格式高い料亭「幸楼」で住み込みの芸者修業を始めた。
 
 戦禍などを経て、27歳で単身上京。日本舞踊・藤間流の門をたたき、名取として「藤間千雅乃」の名を授かった。三味線も身に付け、29歳で帰郷。釜石は製鉄のまちとして繁栄を極め、人口9万人を超える時代に入っていった。伊藤さんは稽古場を開き、昼は弟子に舞踊を教える師匠、夜は幸楼のお座敷に上がる芸者“艶子姐さん”として2足のわらじを履いた。
 
 製鉄所の合理化で高炉の火が消えると、同市の人口は減少の一途をたどっていく。2011年、東日本大震災発生―。伊藤さん84歳の時だった。津波で自宅が被災。避難所生活を余儀なくされていた伊藤さんの元に、三味線が届けられた。持ってきたのは今回の舞台に出演した芸者衆を率いる八王子の置屋「ゆき乃恵」の女将、めぐみさん。「釜石の芸を八王子で受け継がせて下さい」。めぐみさんの申し出を受け、伊藤さんによる「釜石浜唄」と「釜石小唄」の踊りの稽古が避難所で始まった。その後、伊藤さんは東京にも招かれ、釜石の芸を披露した。12年には津波の教訓を歌にした「スタコラ音頭」の制作を手掛け、踊りは同市の夏祭り「釜石よいさ」の会場で踊られるようになった。
 
「スタコラ音頭」の完成発表会。伊藤さんの三味線で関係者らが歌った=2012年6月、幸楼

「スタコラ音頭」の完成発表会。伊藤さんの三味線で関係者らが歌った=2012年6月、幸楼

 
発表会の席で熟練の舞を披露する伊藤艶子さん

発表会の席で熟練の舞を披露する伊藤艶子さん

 
 89歳で亡くなるまで「釜石最後の芸者」として現役を貫いた伊藤さん。「津波で全部持ち物は流されたが、私の芸だけは流されなかった。芸は人と人をつないでくれる。本当にありがたい」。舞台の最後には伊藤さんの生前の歌声も聞かせ、出演者全員で「釜石浜唄」を披露して幕を閉じた。
 
「釜石浜唄」の披露では名取さんも三味線で共演

「釜石浜唄」の披露では名取さんも三味線で共演

 
 演じながら涙する場面もあった名取さんは「感情を抑えきれなかった。目に見えないものが人を支えてくれることを艶子姐さんから教えられた気がする」。伊藤さんから浜唄の指導を受けた佐野さんは「歌の間(ま)、三味線の弾き方も教えてもらった。釜石出身者として大事に歌っていきたい」と思いを新たにした。
 
 橋野町の小笠原栄吉さん(83)は1989(平成元)年の第4回釜石市民劇場「剣にこだまする 牧庵鞭牛」で主役を演じた際、劇中に出てくる踊りを伊藤さんから習った。「何事にもめげずに頑張り、市民に勇気を与えてくれた方。今日見に来た人たちの中には(お座敷などで)顔なじみの人も多いだろう。舞台上に掲げられた(伊藤さんの)写真を拝見し、懐かしさでいっぱいになった」と話した。
 
 市内の舞踊関係者からは「藤間の先生」と呼ばれていた伊藤さん。伊藤さんの三味線で踊る機会の多かった小川町の瓦田季子さん(86)は「まさに最後の芸者。釜石で跡を継ぐ人がいないのは非常に残念」と惜しむ。それでも生前、伊藤さんが願った“正調”の釜石浜唄、釜石小唄の末永い継承のため、有志6人で稽古を続けている。
 
 「ゆき乃恵」の女将、めぐみさんは「このような舞台で教えられた踊りを披露でき、艶子姐さんにもいい報告をさせていただける」と感謝。伊藤さんとの出会いは、地元の唄などその地に根付くものを見直す機会にもなったという。「お名前の通り艶のある声、愛らしいしぐさの一方で、自分の芸に対してはとても厳しい方だった。私の目標とする人物」とめぐみさん。伊藤さんがつないだ釜石との縁。「今後も芸能を通じたさまざまな交流ができれば」と思いを込めた。
 
舞台に出演した芸者衆を紹介するめぐみさん(左から2人目)

舞台に出演した芸者衆を紹介するめぐみさん(左から2人目)

 
会場には多くの人たちが訪れ、出演者の熱演に大きな拍手を送った

会場には多くの人たちが訪れ、出演者の熱演に大きな拍手を送った

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「魅力ある釜石」へ 社会福祉、郷土芸能継承、防災…各分野で活躍 市勢功労者に12人

市勢の発展に貢献し功労者表彰を受けた市民ら

市勢の発展に貢献し功労者表彰を受けた市民ら

  
 釜石市は10月30日、大町のホテルクラウンヒルズ釜石で2023年度の市勢功労者12人(自治功労9人、特別功労3人)を表彰した。野田武則市長は「行政では力の及ばない課題も多く、市民の協力が不可欠。培ってきた豊かな識見と経験のもと、一層の協力を」と式辞。受賞者を代表して沼澤庸(いさお)さん(88)が「市民が安心して暮らせるまち、より魅力的なまちとなるよう新たな気概で力を尽くす」と謝辞で応えた。
  
代表して謝辞を述べる沼澤庸さん

代表して謝辞を述べる沼澤庸さん

  
まちの発展に尽くす気持ちを新たにする受賞者ら

まちの発展に尽くす気持ちを新たにする受賞者ら

  
功労者と功績は次の通り。
【自治功労表彰】
▽伊藤悦子さん(75)=小川町 2000年から通算22年間、民生委員・児童委員を務める。小佐野地区委員協議会長の要職も務め、社会福祉の増進に貢献
▽岩間久一さん(66)=浜町 1991年に釜石虎舞保存連合会を設立以来、会長を継続。こども園などでも指導し、郷土芸能の発展と継承に貢献市
▽後川司さん(70)=唐丹町 消防団員として47年間にわたり地域防災の任に当たるとともに、市消防団第8分団長の要職を務め、民生の安定に貢献
▽小野寺喜代子さん(76)=鵜住居町 2007年から通算15年間、民生委員・児童委員を務める。鵜住居地区委員協議会長の要職も務め、社会福祉の増進に貢献
▽川﨑喜久治さん(73)=栗林町 消防団員として43年間にわたり地域防災の任に当たる。市消防団第7分団長、市消防団長の要職も歴任し、民生の安定に貢献
▽沼澤庸さん(88)=上中島町 統計調査員として55年間にわたり業務を遂行。2009年から通算13年間、市統計調査員協議会長を務め、行政運営の進展に貢献
▽前川耕一さん(70)=平田町 消防団員として44年間にわたり地域防災の任に当たるとともに、市消防団第3分団長の要職を務め、民生の安定に貢献
▽村上輝子さん(77)=中妻町 06年から通算16年間、行政連絡員を務める。釜石地区会長の要職も務め、行政運営の進展に貢献
▽八幡哲夫さん(74)=橋野町 07年から通算15年間、民生委員・児童委員を務める。栗橋地区委員協議会長の要職も務め、社会福祉の増進に貢献
  
【特別功労表彰】
▽菊地次雄さん(82)=大平町 19~22年まで通算3年間、釜石商工会議所会頭を務め、地域経済の発展と東日本大震災の復旧・復興の推進に貢献
▽木村琳藏さん(76)=唐丹町 19~23年まで通算4年間、市議会議長を務め、地方自治の伸展と市勢の振興発展に貢献
▽丸木久忠さん(75)=大町 03~23年まで通算20年間、市社会福祉協議会長を務め、社会福祉の増進と地域福祉の推進に貢献
 
 

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心安らぐ風景ずらり 釜石の画家・桑畑和生さん油絵回顧展 「描く幸せ」尽きることなし

油絵の回顧展を開いた桑畑和生さん(左)

油絵の回顧展を開いた桑畑和生さん(左)

  
 釜石市新町の画家桑畑和生さん(72)は、10月下旬に油絵の回顧展を大町の市民ホールTETTOで開いた。誰もが見覚えのある風景を優しく、おぼろげな線や色彩で描いているのが特徴。その柔らかな風合いが醸し出す「いやしの世界」を多くの市民らが楽しんだ。
  
 桑畑さんが絵を描き始めたのは小学3年生の頃。授業で水彩画を描き、楽しさを知った。油彩の制作は釜石北高時代に本格化。美術部に入り、精力的に取り組んだ。東京のデザイン専門学校を経て、看板デザインやデパートの店内装飾を請け負う埼玉県の会社に勤務。高齢の両親から「戻ってきてほしい」と頼まれ、23歳ごろに帰郷した。
  
 その後は、勤めた会社が倒産するなど苦しい時期もあったが、「描く幸せ」は衰えることがなく、創作を続けた。25歳の時に市内で初個展を開催。1996年に日本美術家連盟会員となり、個展も東京・新宿の伊勢丹デパート本店など全国で展開し、これまで44回を数える。
 
心あたたまる風景画などが並んだ展示会場 

心あたたまる風景画などが並んだ展示会場

  
 今回は、釜石・大槌在住の作家を紹介する同ホールの自主事業「art at TETTO(アート・アット・テット)」の一環。10回目の企画に声をかけてもらった喜びから、初の回顧展とし、10代から現在までに手がけた風景画など18点を紹介した。
  
 もっとも古い作品は、ルノワールの画集を模写した「青いリボンの少女」。高校3年の時に2日間で仕上げた。「海に安らぐ日」は一番思い入れのある作品。海岸にたたずむ人と空高く浮かぶ三日月が印象的なこの絵は約1年、納得するまで時間をかけた力作だ。
   
心安らぐ風景が広がる会場で来場者の会話も弾んだ

心安らぐ風景が広がる会場で来場者の会話も弾んだ

  
会期初日に行われた桑畑さんのトークイベント

会期初日に行われた桑畑さんのトークイベント

   
 初日の10月21日にはトークイベントを開き、約20人を前に画家としての歩みを振り返った桑畑さん。「とにかくチャンスに恵まれてきた。人と同じことをやっていては、チャンスは来ない」といい、絵の具がかすれるように塗るという独自の技法を明かした。その技法によって柔らかい風合い、複雑で微妙な色味を表現。穏やかな筆致も加わった「心あたたまる安らぎの世界」を創造する。
   
思い入れのある作品「海に安らぐ日」と桑畑さん

思い入れのある作品「海に安らぐ日」と桑畑さん

   
 海、山といった風景画が多く、「実際にその場所に行って目で見て、波の音や風の流れなどその時を感じてくるのが大事」と桑畑さん。そして、その風景の中には必ず人物を描く。草をはむ馬が描かれた「青き空の下で」(釜石・和山高原)や「尻屋崎好日」(青森県・下北半島)にもよく見ると、小さいながら人の存在が確かにある。「風景と人物の好ましい関係にこだわる」のも作風の一つだという。
   
穏やかな時の流れを感じる「尻屋崎好日」

穏やかな時の流れを感じる「尻屋崎好日」

   
 作品のサイズは6号の小品から120号の大作までさまざま。「年齢を重ね、大きいサイズの作品を仕上げるのは大変」とこぼしつつ、今でも年間300日ほどは絵筆をとる。「命ある限り、描き続けていきたい」。創作意欲は尽きることはない。「せかせかしたことが多い世の中。ゆったりとした気分を味わい、安らぎを感じてもらえるといい」と願いを込め、キャンバスに向かい続ける。
 
 

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10/31は「ハロウィーン」 平田公民館で子どもらが異文化学ぶ 手形アートや仮装撮影も 

平田公民館でハロウィーンパーティーを楽しむ子どもら=26日

平田公民館でハロウィーンパーティーを楽しむ子どもら=26日

 
 今日10月31日は「ハロウィーン」。米国では祝祭日で、先祖の霊を迎えるとともに悪霊を追い払う日とされる。日本では若者らが仮装して楽しむ姿がクローズアップされがちだが、本来の意味や海外の風習などを知ってもらおうと、釜石市の平田公民館(小笠原達也館長)で26日、講話を交えたイベントが開かれた。
 
 講師に招かれたのは米国出身で、2021年から市の国際交流員として活動するナターシャ・ミリガンさん(26)。同地区の放課後子ども教室を利用する平田小の児童を中心に約30人が集まった。ミリガンさんは母国のハロウィーンの様子を、写真を見せながら紹介。カボチャやカブをくりぬき、目鼻口を施した「ジャック・オー・ランタン」を自宅の周りに飾ったり、魔女やお化けの仮装をした子どもたちが近所の家々を回り、お菓子をもらう風習があることを伝えた。
 
市国際交流員のナターシャ・ミリガンさんが米国のハロウィーンについて説明

市国際交流員のナターシャ・ミリガンさんが米国のハロウィーンについて説明

 
 墓やモンスターを模した飾り、ミイラやお化けに似せた料理など本場のハロウィーンの演出に子どもらは「面白い」「怖すぎる」と声を上げた。「ハロウィーンでキャンディーをもらう時に言う特別な言葉は?」とのミリガンさんの問いには、「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないといたずらするぞ)!」と即答。日本でも近年、幼児施設や子ども向けイベントなどでハロウィーンに親しむ機会が増えているだけあって、元気な声が響いた。
 
 ミリガンさんはクイズも出題した。ハロウィーンの起源やランタンを彫るのに昔使っていた野菜、象徴的な4つの色とその意味などを楽しく教えた。答えた子どもには「ハッピーハロウィーン!」と声をかけながらお菓子を手渡した。
 
ハロウィーンに関するクイズに答える子ども

ハロウィーンに関するクイズに答える子ども

 
クイズに正解すると歓声が…。楽しみながら異文化を学んだ

クイズに正解すると歓声が…。楽しみながら異文化を学んだ

 
 講話の後は手形アートの体験。手のひらに絵の具を塗り、2つの手形を紙に押して逆さまにすると、あら不思議、お化けのような形に…。目や口を書いて顔にし、余白に絵を描いたりシールを貼ったりして、自分だけのハロウィーンアートに仕上げた。カチューシャや顔シールでプチ仮装体験も。みんなで記念写真を撮り、楽しい思い出を心に刻んだ。
 
手形アート体験。どんな作品ができるかな?

手形アート体験。どんな作品ができるかな?

 
絵の具を塗った手で手形を押すと…ごらんの表情!

絵の具を塗った手で手形を押すと…ごらんの表情!

 
見本を見てイメージを膨らませる。この後、楽しい作品が続々

見本を見てイメージを膨らませる。この後、楽しい作品が続々

 
 川﨑蒼大君(平田小6年)はミリガンさんの話を聞き、「日本と外国のハロウィーンの文化の違いに驚いた。(家を飾ったりごちそうを食べたり)日本よりすごくお金がかかっていそう」と初めて見る光景に目を丸くした。
 
 「米国人にとってハロウィーンは毎年楽しみな日。釜石の子どもたちにも少しでも教えられたらと思っていたので、今日は交流できて良かった」とミリガンさん。海外に目を向ける機会が増えることを願い、「こういうイベントを通じて米国や英語のことをもっと伝えていきたい。学童(育成クラブ)や学校施設などで活動できれば」と意欲を示した。
 
個性豊かな手形アート作品が完成。“おうちハロウィーン”を盛り上げそう

個性豊かな手形アート作品が完成。“おうちハロウィーン”を盛り上げそう

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活動36年 大正琴白百合会 今年も元気に発表会 和・洋の踊り、歌、書とのコラボで観客魅了

琴城流大正琴「白百合会」発表会~懐かしのメロディーに心踊らせて~

琴城流大正琴「白百合会」発表会~懐かしのメロディーに心踊らせて~

 
 釜石市で活動する琴城流大正琴の白百合会(鈴木琴節永代表、会員8人)は14日、大町の市民ホールTETTOで秋恒例の発表会(市民芸術文化祭参加)を開いた。活動36年目の同会。近年は踊りなどとコラボした華やかなステージが好評で、毎年訪れる観客も多い。今年は約140人が楽しんだ。
 
 指導にあたる鈴木代表と生徒5人が出演。同じ会場で個展を開いた釜石応援ふるさと大使の書家・支部蘭蹊さん(仙台市)の書道パフォーマンスとのコラボ「北の漁場」で幕を開けた。演奏曲は昭和の歌謡曲や演歌、童謡が中心。同会に練習場所を提供する日本キリスト教団新生釜石教会の柳谷雄介牧師らが歌声を重ねて演奏を盛り上げた。
 
復興支援活動でつながる書家・支部蘭蹊さんとのコラボでオープニング

復興支援活動でつながる書家・支部蘭蹊さんとのコラボでオープニング

 
演奏に合わせて歌の披露も。観客も声を重ねる

演奏に合わせて歌の披露も。観客も声を重ねる

 
 同会との共演は6回目という女形舞踊の尚玉泉さんは「川の流れのように」など3曲で観客を魅了した。会の高齢者施設慰問が縁でつながった両者。多くのファンに愛される共演ステージは今回も大好評で、観客からのアンコールにも応え、会場は大いに盛り上がった。
 
 共演の輪はさらなる広がりを見せる。今回は、昨年から入会した木村春美さん(72)が社交ダンスをしている縁で、仲間の高橋道夫さん(73)、姫香さん(74)夫妻と「東京のバスガール」など2曲を大正琴の演奏で踊った。観客は普段、あまり目にする機会の少ないダンスに目がくぎ付けになった。
 
尚玉泉さんの踊りとのコラボは毎回大人気!盛んな拍手が送られた

尚玉泉さんの踊りとのコラボは毎回大人気!盛んな拍手が送られた

 
社交ダンスとのコラボは新たな試み。会場は一層華やいだ

社交ダンスとのコラボは新たな試み。会場は一層華やいだ

 
 只越町の佐々木博子さん(80)は毎年、同発表会に足を運ぶ。「大正琴は音色がいい。年を重ねても頑張っている皆さんに元気をもらう。蘭蹊さんの書も大好き。家にもいっぱいあります」と文化の融合を楽しんだ。
 
 同会会員は60~80代の女性。月に2回、新生釜石教会で稽古を続ける。60歳を過ぎてから大正琴を始めたという会員(81)は「発表会の数だけはこなしている」と笑い、「今日も皆さんの協力でいい演奏ができた。お客さんもたくさん聞きに来てくれて励みになる」と喜んだ。「みんなで一緒に演奏できるのが一番の楽しみ。体が続く限りはやっていきたい」と女性会員。
 
日ごろの稽古の成果を発表する白百合会の会員。釜石の音楽文化発展の一翼を担う

日ごろの稽古の成果を発表する白百合会の会員。釜石の音楽文化発展の一翼を担う

 
 震災後、ボランティア関係の仕事も経験した鈴木代表は「何倍もの知り合いができた。多くの人とつながり、コラボの機会も増えている。観客も私たちも楽しめる発表会になってきた」と協力者に感謝。コロナ禍で控えていた慰問活動も徐々に再開する予定で、今後の活動への意欲をにじませた。
 
1曲終わるまでに書き上げた支部さんの作品。下段は震災後の支援活動で書き残した言葉。原点に立ち返って記した

1曲終わるまでに書き上げた支部さんの作品。下段は震災後の支援活動で書き残した言葉。原点に立ち返って記した

 
発表会には約140人が来場。心豊かな時間を過ごした

発表会には約140人が来場。心豊かな時間を過ごした

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釜石応援ふるさと大使 書家・支部蘭蹊さん TETTOで初個展 復興支援で結ばれた絆強く

釜石応援ふるさと大使となり、初めて市民ホールTETTOで個展を開いた書家・支部蘭蹊さん

釜石応援ふるさと大使となり、初めて市民ホールTETTOで個展を開いた書家・支部蘭蹊さん

 
 「釜石応援ふるさと大使」を務める宮城県仙台市在住の書家、支部蘭蹊(はせべらんけい=本名・一郎)さん(72)が14日から18日まで、釜石市大町の市民ホールTETTOで個展を開いた。中学、高校時代を釜石市で過ごした支部さんは、東日本大震災後、同期生らと古里へのさまざまな支援活動を展開。被災者らに自らの筆で心を癒やす言葉を贈るなど、明日への希望をつないできた。今回は、被災後に新設された同ホールでの初めての個展。これまでの支援活動で支部さんの作品に魅了されてきた人たちをはじめ、多くの鑑賞者が訪れた。
 
 「書は言葉なり、言葉は心なり」と題した展示会には100点余りが出品された。支部さんの作品は書道を身近に感じられるよう、日常生活で目にできる形に仕上げているのが特徴。額入りや掛け軸のほか、帯地を利用したタペストリー、硯石に刻字した置物、写真に言葉を添えた作品などさまざまな趣向が凝らされている。書かれているのは心を潤す四文字熟語のほか、宮沢賢治や高村光太郎、金子みすゞらの詩、自由律俳句で有名な種田山頭火の句など。支部さん自らが紡いだ文言の作品もある。
 
さまざまな素材に施した書道作品を展示した支部蘭蹊さんの個展

さまざまな素材に施した書道作品を展示した支部蘭蹊さんの個展

 
帯地に歌詞や詩を書いたタペストリーなどが並ぶ一角も(右側)

帯地に歌詞や詩を書いたタペストリーなどが並ぶ一角も(右側)

 
石巻市雄勝町の硯石(玄昌石)を使った石彫刻字作品なども並んだ

石巻市雄勝町の硯石(玄昌石)を使った石彫刻字作品なども並んだ

 
 支部さんが目指すのは「見たいと思わせる(目を引く)書道」。楷書や行書、草書など、どの枠にもはまらない自由で独創的な文字が躍る。書き順にこだわらず、絵を描くように創り上げた文字。試行錯誤しながら自分の字体を創る作業は「まるで脳トレのよう」とも話す。「難しい、読めないといった敷居の高い書の時代は終わり。書道になじみがない人でも読める、楽しい、面白い字を創りたい」と支部さん。
 
 もう一つ、大切にしているのが個展の題名にも入る「言葉」。「文字は皆つながっている。ただ字を書くだけではなく、言葉を感じながら書くことが大事」。写真をはじめ、さまざまな素材とのコラボも新たな可能性を引き出す。「写真に言葉をかけてやると、見る人が言葉を媒体にして自分でストーリーを描くことができる」。支部さんは、これまでにない書の楽しみ方も提案する。
 
珍しい写真と書のコラボ作品はひときわ目を引く

珍しい写真と書のコラボ作品はひときわ目を引く

 
布地の掛け軸などは部屋の居心地も良くしてくれそう

布地の掛け軸などは部屋の居心地も良くしてくれそう

 
来場者が気に入り購入した作品には予約済の札が…

来場者が気に入り購入した作品には予約済の札が…

 
 会場では、気に入った小作品に来場者自らが値段を付けて購入するというユニークな企画も実施した。自分の好きな言葉、名前などをその場で色紙に書いてもらうこともでき、これらの企画で来場者が寄せた代金は復興支援金として釜石市に寄付することにしている。
 
 支部さんの作品の大ファンという市内の高坂タミ子さん(88)は、支部さんが支援活動で釜石に来るたび足を運ぶ。自宅には多くの作品があり、夫婦でそれらを眺めながら穏やかな日々を送ってきたが、昨年、夫が他界。支部さんは今回、「仏心」「流転」の2つの言葉を色紙にしたためた。高坂さん自身がひらめいたという「人生 美の花道」という文言も。「いつも自分の人生に当てはまる言葉を書いてもらえる。夫も『すてきだね』と一緒に喜んでくれた。帰ったら、今日いただいた色紙を供えたい」と高坂さん。支部さんの人柄にも惚れ込み、「これからも応援したい」とほほ笑んだ。
 
来場者の話を聞き、望む言葉を色紙に書く支部さん。2本の筆で味わいのある線を生み出す

来場者の話を聞き、望む言葉を色紙に書く支部さん。2本の筆で味わいのある線を生み出す

 
支部さんに色紙を書いてもらった人たちは大喜び

支部さんに色紙を書いてもらった人たちは大喜び

 
 支部さんは転校で大平中に入り、釜石南(現釜石)高卒業までの6年間を同市で暮らした。震災が起こったのは、中学の同期で還暦のお祝いをした後。同期生から連絡をもらい、市内の仮設住宅などを回る活動を始めた。「言葉を書いている間、涙を流す人もいて…。書道は言葉で皆さんとつながっていける。一つの支えができた。それ以来、こちらを向いてできることをやっていこう」と自身の気持ちも定まった。
 
 後に、高校の同期で復興支援グループ「釜南44」も結成。仙台市で開いたコンサートの収益金を寄付したり、釜石市で作品展示や音楽のイベントを開くなど、精力的に活動を続けてきた。2016年からは釜石市民芸術文化祭にも参加。支部さんは各所で書のコラボパフォーマンスも披露している。
 
宮沢賢治の「星めぐりの歌」も支部さんの筆ですてきな作品に

宮沢賢治の「星めぐりの歌」も支部さんの筆ですてきな作品に

 
金子みすゞの詩を木彫刻字した作品。彫る作業も支部さんが手掛ける

金子みすゞの詩を木彫刻字した作品。彫る作業も支部さんが手掛ける

 
 今回の個展は、昨年就任した同ふるさと大使としての役割を「活動で示したい」と開催した。年齢を重ねていく中で、自分がやってきたことを次につないでいければとの思いもあった。支部さんは「いろいろな人との出会いが私たちの人生を支える。ここに来て会話をしたり、何か気付きを得て帰ってもらう。そういう場を今後も作っていきたい」と、個展の継続開催に意欲を見せた。

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釜石市国際外語大学校 校舎完成 2024年春、開校へ 校名看板・除幕式

来年春に開校予定の釜石市国際外語大学校の校舎

来年春に開校予定の釜石市国際外語大学校の校舎

  
 来春開校予定の専門学校「釜石市国際外語大学校」の校舎が完成し、16日、鈴子町の現地で看板の除幕式が行われた。学校法人龍澤学館(盛岡市)が運営し、外語観光学科と日本語学科の2学科を設置する予定。岩手県沿岸地域の高校生らの進学先として未来への選択肢を広げるとともに、グローバル化の進展を見据え、語学力を生かして地域に貢献できる人材の育成を目指す。
  
 同法人は盛岡中央高校や付属中のほか、ビジネスやデザイン、医療福祉などの専門学校を経営。釜石市とは2012年10月に東日本大震災の復興支援協定を結び、生涯学習や産業振興の支援を行ってきた。21年に市から高等教育機関設置の要望を受け、専門学校の開校を柱とする包括連携協定を締結。これまで重ねてきた取り組み、人口減や少子高齢化など地域課題に対応する人材育成を深化させようと準備してきた。
  
校名の看板を除幕する野田市長(右)と龍澤理事長

校名の看板を除幕する野田市長(右)と龍澤理事長

  
 式には関係者ら約80人が出席した。野田武則市長が「三陸沿岸の振興、発展に志を持つ学校。若い世代にとっても、市にとっても重要な施設で、発展のため協力していく。たくさんの生徒が学び、各界で活躍することを期待する」とあいさつ。同法人の龍澤尚孝理事長は「日本人と外国人が共生し、地域の発展につながるような学びの環境を提供したい」と方向性を示した。
  
校舎は改修された釜石市教育センターを使用する

校舎は改修された釜石市教育センターを使用する

  
 校舎は市教育センター(5階建て、延べ床面積約2000平方メートル)を使用。昨年から改修工事を始め、今年9月に完成した。各学科の教室のほか、図書室や更衣室を整備。教育機関であることから保健室も配置し、各教室の窓には手すりを設けるなど安全面にも配慮する。改修費約3億5900万円を市が負担し、同法人に無償で貸し出す。
  
 来年4月に開始する予定の外語観光学科は2年制で、定員は1学年40人。英語やウェブサイト制作、観光マネジメントなどを学ぶ。選択制として公務員試験対策講座も用意する。外国人留学生を対象とした日本語学科は現在、仙台出入国在留管理局に設置を申請中で、来年10月の開設を目指している。定員は同じく1学年40人。
  
式後には校舎の見学会も。教室などが公開された

式後には校舎の見学会も。教室などが公開された

 
事務室や図書館を配備。教室の窓には手すりを取り付けた

事務室や図書館を配備。教室の窓には手すりを取り付けた

  
 工藤昌雄校長は「留学生と同じ校舎で異文化交流をしながら、地域を支える若者を育てていきたい」と意気込む。釜石商工高で校長として勤務した経験があり、進学や就職で若者の地域外への流失を知る。また近年は、グローバル化の進展で在住外国人の増加も実感。「若い世代は外に目が向きがちだが、地元にも素晴らしい環境はある。地域に目を向け、『自分たちが発展させていく』という気持ちを育みたい」と思い描く。
 
 同法人では今後、校舎の見学会などを行いながら生徒を募集していく。

 

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華やかな演舞 観客魅了 釜石・柳家細川流舞踊 福祉支援チャリティーショー

威勢のいい踊りで元気を届けた柳家細川流舞踊

威勢のいい踊りで元気を届けた柳家細川流舞踊

  
 釜石市内を拠点に活動する「柳家細川流舞踊」=細川艶柳華(本名・伊東恵子)家元=は8日、大町の市民ホールTETTOで福祉基金チャリティーショーを開いた。地域を盛り上げようと稽古に励んでき踊り手17人が出演。華やかだったり、にぎやかだったりと多彩な演舞を500人余りの観客が楽しんだ。
   
 家元による格調高く典雅な舞踊「鶴亀」で幕開け。演歌や歌謡曲などに振り付けをした新舞踊を中心に27演目を披露した。踊り手は26歳から81歳と幅広く、師範や名取などベテラン勢が多いが、芸歴の浅い会員もいて、年代・年数に応じた表現、情感を込めた舞を見せた。
  
稽古の成果を見せる出演者

稽古の成果を見せる出演者

  
股旅やマドラスは人気の演目

股旅やマドラスは人気の演目

 
「曲にドラマあり」。情を込め舞う

「曲にドラマあり」。情を込め舞う

  
 名取の踊りで注目を集めたのは、出演者中唯一の男性、細川恵ノ丞(同・千葉陽斗)さん(26)。「天の川情話」「雪恋華」では色香漂うあでやかな女形で観客を魅せ、「俵星玄蕃」では一変して勇ましくりりしい男踊りでうっとりさせた。
 
得意の女形で魅了する細川恵ノ丞さん

得意の女形で魅了する細川恵ノ丞さん

  
りりしい男踊りで多彩な顔も見せた

りりしい男踊りで多彩な顔も見せた

  
 フィナーレは踊り手総出の「まつり」。ねじり鉢巻きを付け、そろいの法被に身を包み、「樽みこし」を担いで舞台を駆け回った。にぎやかで元気な踊りに込めたのは「地域を盛り上げたい」との思い。くみ取った客席から盛んな拍手が送られた。
 
踊り手総出でにぎやかに踊る「まつり」

踊り手総出でにぎやかに踊る「まつり」

  
 初めて鑑賞したという甲子町の70代夫婦は「聞きなじみのある歌謡曲に振り付けをしていて見やすい。感動したし、同じ年頃の人には親しみを持った。若い人もいて、これからも続けてもらいたい」と声をそろえた。
  
 同団体は、約40年前に立ち上げられた細川流舞踊の芸を引き継ぐ。「柳家」と加えて再出発して10年。チャリティーショーと銘打つ発表会は5回目で、今回は福祉支援を目的に幕間に出演者が客席に出て協力を呼びかけた。公演終了後はロビーで観客と触れ合う時間も。感動を伝える来場者に笑顔で応えていた。
  
公演終了後に観客と触れ合う出演者ら

公演終了後に観客と触れ合う出演者ら

  
力を出し切り晴れやかな表情を見せた

力を出し切り晴れやかな表情を見せた

  
 細川家元(74)は「会員が減少する中、熟練に交じりながら若手が盛り立て、懸命に取り組んできた。みんな、素晴らしいパフォーマンスだった。これからも一丸となって舞踊を楽しんでもらえるよう精進する」と力を込めた。
  
 公演の収益は一部を福祉事業に寄付することにしている。