釜石市国際外語大学校の開校・入学式
外国語や観光マネジメントなどを学べる専門学校「釜石市国際外語大学校」が5日、鈴子町に開校した。学校法人龍澤学館(盛岡市)が運営し、新規高卒者向けの外語観光学科(2年制)と、留学生を受け入れる日本語学科(1年半と2年制)の2学科(いずれも定員は1学年40人)を設置。外語観光学科が先駆けて始動し、同日、入学式が行われた。岩手県沿岸地域の高校生らの進学先として選択肢を増やし、若者の居住や定着で地域活性化が期待されたが、入学者は1人。厳しいスタートとなった。一方の日本語学科は法的手続きが遅れていたが、3月末に正式に開設が決定。1年半コースの10月開始に向け、準備を進める。
開校した釜石市国際外語大学校の校舎
開校・入学式には関係者ら約30人が出席。同法人の龍澤尚孝理事長が開校を宣言し、「10月には留学生も入学してくる。10代、20代の学生が集うことで、まちが明るくにぎやかになるだろう。多文化共生社会をつくっていければ。さまざまあるプログラムを存分に利用して学び、釜石を引っぱる人材になってほしい」とあいさつした。
入学式であいさつする龍澤尚孝理事長(左写真)、式辞を述べる竹内新也校長
式辞に立った竹内新也校長は「入学者の確保という点で課題を抱えたまま、この日を迎えた。我々の力不足で残念」と厳しい状況を認識する。だからこそ、「第1期生を迎えられたことに大変感動している。ようこそ!」と喜びもひとしお。常勤する7人の講師や学校スタッフに、非常勤講師らも加わりサポート体制を整えていることを伝え、「学び成長する、ときに失敗もするだろうが、その一歩一歩が本校の歴史の1ページとなる。得がたい経験をエンジョイして。未来志向でポジティブに前に進んでいこう」とエールを送った。
1期生となる新入生は「地元に残るのにためらいがなかったわけではない。外の世界を見たいという気持ちもあったが、学びたいこと、やりたいことを地元でできることに大きな意義を感じている。外国人留学生の仲間が間もなく入ってくる。釜石を好きになってもらえるよう積極的にコミュニケーションをとっていきたい。将来、自分の力で地域に恩返ししていけるよう、まい進する」と、ハキハキとした声で思いを伝えた。
新入生が宣誓。龍澤学館の関係者らが拍手を送って歓迎した
釜石市の小野共市長が祝辞を述べ、「若い世代の定着、地域や世界で活躍する人材の育成につながる新たな学びの場の開設は市が目指す持続可能なまちづくりに呼応する」と強調した。市は、同法人と東日本大震災後の2012年に復興支援協定、21年には専門学校の開校を柱とする連携協定を締結。市教育センター(5階建て)を約3億6000万円かけて改修し学校として無償貸与しており、今後も協力関係を維持する考えを示した。
校舎は改修された市教育センターを使用する
式後、新入生に常駐する教職員らが紹介された
外語観光学科は昨年9月に設置認可を受け、同10月に学生の募集を始めた。大半の高校生は進路を決めた後だったこともあり、入学者の確保に苦戦。同校は今月いっぱい入学者を募る。高卒程度の資格があれば年齢に制限はなく受験が可能。20日にはオープンキャンパスを予定する。
日本語学科には現時点でネパールから20人超が入学を希望しているという。留学生を受け入れるには、日本語教育機関として国に告示(認可)されなければならないが、受け入れの手続きや体制が整っていないなどを理由に再審査が必要となり、開校が遅れていた。
問い合わせは同校(0193・27・7202)へ。