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第33回釜石市民劇場、「釜石の赤ひげ」生涯描く〜地域医療に奮闘 故小泉医師、「思いやりの人」生き生き熱演

第33回釜石市民劇場、「釜石の赤ひげ」生涯描く〜地域医療に奮闘 故小泉医師、「思いやりの人」生き生き熱演

地域医療の向上に奮闘した小泉日出雄医師の生涯を描く

地域医療の向上に奮闘した小泉日出雄医師の生涯を描く

 

 第33回釜石市民劇場「釜石の赤ひげ~小泉日出雄伝」(実行委員会主催)は16日午前と午後の2回、大町の釜石市民ホールTETTOで上演された。戦中、戦後を通じ医師として地域医療の充実に奮闘し、市議会議員としても市勢の発展に努めた小泉日出雄(1916~85)の生涯を描いた。今も釜石市民の心に宿る、真摯(しんし)で思いやりにあふれた日出雄の人物像に、約1千人の観客が拍手を送った。

 

熱演したキャスト、支えたスタッフに客席から大きな拍手

熱演したキャスト、支えたスタッフに客席から大きな拍手

 

■正義感あふれ
 3幕9場、約2時間にわたる舞台は、盛岡生まれの日出雄が岩手医学専門学校(現在の岩手医大)学生時代、不良に乱暴な言いがかりを受けた母娘を助けるシーンで幕開け。正義感あふれる青年像が描かれた。

 

 娘サヨ(さっちゃんは後に看護師となり、「恩人」日出雄が開院した小泉医院で働く。母お圭は釜石市平田の実家に帰ったあと病気で亡くなり、日出雄が「平田診療所」開設に奔走する契機をつくる。母娘との縁が、全編を彩る〝線〟となった。

 

 医師となり旧満州での3年余の軍医勤務を終え、宮古共済病院を経て釜石市民病院に着任した1945年春の釜石駅前は、製鉄所の煙突が林立していた。各地で毎日のように空襲があり、敗戦が色濃くなった時期。重要な軍需物資の鉄を生産する拠点は攻撃対象となる危険をはらんだ。予想は的中。2度の艦砲射撃に見舞われた惨状は、医師日出雄の胸を押しつぶした。

 

 20年に及ぶ市議会議員に初当選するシーンには、八雲神楽保存会、柳家細川流舞踊の「秋田大黒舞」が花を添えた。家族を慈しみ、地域の人々や患者と接する姿、医療を求める市民に応えようとする行動で「医は仁術」を信条とする日出雄の生き方を表現した。

 

 ラストシーンでは、白衣姿の日出雄が診察室に腰掛け、家族や多くの人々に感謝し、「人生に悔いなし」と言い残す。68歳だった。

 

■肩の荷おりた
 主役を演じた埼玉県出身の神脇隼人さん(31)は2018年7月から釜石に移り住み、起業型地域おこし協力隊(釜石ローカルベンチャー)として釜石大観音仲見世商店街の活性化に取り組んでいる。大役を終えて「多くの人前で話す経験はあるが、演技は初めて。日出雄さんの、多くの人から頼られ、慕われ、市民のために行動する豪快さを持つ人物像を演じるのは、初めは難しかった。仕事との兼ね合いで稽古になかなか出られず、仲間のみなさんの優しさに支えられた。肩の荷が下りた」とホッとした表情。

 

 キャストとして10年目になる会社員阿部弘さん(43)は「仕事の関係で土・日曜日の稽古になった。経験は長いが、なかなかうまくできない。キャスト、スタッフの不足は長年の課題だ。お客さんの反応は笑いもあって良かったと思う」と笑顔を浮かべた。

 

■お人柄に感謝
 初めて市民劇場の脚本を手がけた紺野仁司さん(64)は「たくさんの人が見てくれた。(日出雄さんの)お人柄かと感謝する。市民のために身も心もささげた、あんな人(日出雄)がいた―ということを多くの人に知ってもらえたことがうれしい」と語った。

 

 初めて演出を担当した武田仁一さん(69)は「やっと無事終わった。多くの制約があったが、みんなの意識が一つになった。今後は違うイメージの劇、テーマも探したい」と新たな意欲を燃やす。

 

 久保秀俊実行委員長(71)は「組織も一新して臨んだ舞台だった。少人数でも、ここまでたどり着いた喜びは大きい。子どもたちの成長にはいつも驚かされる」と市民劇場の醍醐味(だいごみ)をかみしめた。

 

■父の志自分も
 日出雄の長男で現在は釜石医師会の会長を務める小泉嘉明さん(74)は2回の公演を見守り、「何となく恥ずかしい」と面はゆそうだった。父親の生き方については表情を改め、「人を思い、人々と仲良く、楽しく生きる。そのためにそれぞれが目標を持ち、苦労があっても前向きに進む。自分もそうあろうと思ってきた。父は豪快といわれるが、自分には繊細な人という印象が強い」としのんだ

 

■すばらしい方
 定内町の田沢ひろ子さん(72)は、22年前にスタッフとして活動した経験がある。「近所の関係者の方に誘われて久しぶりに見ました。懐かしかった。よかった」と満足そう。

 

 只越町の佐々木八重子さん(82)は、長い東京暮らしを終えて釜石市に帰郷したが、新築したばかりの住まいを震災で失い復興公営住宅に暮らす。「演劇や演芸は大好きです。日出雄先生のことは、釜石を離れていた時期に活躍されたので、よくは存じません。劇を見て、すばらしい方がいたと、うれしくなりました。楽しかった」と声を弾ませた。

 

(復興釜石新聞 2020年2月19日発行 第868号より)

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交流会では小中学生がよりよい地域づくりに向けた取り組みを紹介し合った

魅力ある地域づくりへアイデア探る〜釜石−大館 思い共有、小中学生交流 意見交わす

交流会では小中学生がよりよい地域づくりに向けた取り組みを紹介し合った

交流会では小中学生がよりよい地域づくりに向けた取り組みを紹介し合った

 

 釜石市の14小中学校でつくる「かまいし絆会議」と秋田県大館市の25小中学校で構成する「大館子どもサミット」の交流会は7日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。両市の児童生徒計41人が参加し、生徒会活動や地域活動について意見交換。リーダーとしての自覚を高めながら、よりよい地域づくりに向けた取り組みのアイデアを探った。

 

 開会行事で、絆会議会長の正木快歩君(釜石中2年)が「地域の未来をつくるため、いろんな話を聞くことを楽しみにしている」と歓迎のあいさつ。子どもサミットから絆会議にペットボトルキャップのリサイクル活動で得たプランターと花苗が贈られることになり、子どもサミット委員長の福田詩乃さん(東中2年)は「たくさんの人が元気になるよう活用してほしい」と思いを伝えた。

 

 交流会では両市の活動を紹介したあと、5グループに分かれ、各学校の取り組みや地域活動について意見を交わした。大館市の児童生徒は手製のリーフレットを使った地域の魅力発信や環境保全に向けたリサイクル活動が活発なことを報告。釜石市の子どもたちは防災活動やタグラグビー大会の開催といった取り組みを説明した。

 

 各グループがまとめを発表し、「あいさつは地域の人との交流を深め、地域に元気を届ける大切な取り組み」「防災活動には違いがある。互いのいい所を参考にしたい」などと意見が出た。

 

親睦を深めた釜石市、大館市の児童生徒

親睦を深めた釜石市、大館市の児童生徒

 

 大館市の高橋美桜さん(川口小5年)は「震災があって落ち込んでいるかと思ったが、釜石のみんなは復興に向け頑張っていて、気持ちが強いと感じた。楽しく交流できた」と笑顔。釜石市の浅田桜子さん(甲子小5年)は「今回の交流で学んだことを今後の活動に取り入れ、地域の人と協力し、より良い釜石をつくっていきたい」と意欲を見せた。

 

 両市の交流は2012年8月に釜石で開かれた全国生徒会サミットをきっかけにスタート。13年3月から交流会を開き、毎年大館市の子どもが釜石を訪れている。プランターの寄贈も継続。昨年度はラグビーワールドカップ(W杯)に合わせて贈り、盛り上げに協力した。

 

 交流会終了後の会場では釜石の中学生委員による絆会議臨時専門部会を開催。来年度の活動方針、オーストラリア(東京五輪・パラリンピックの復興ありがとうホストタウンの相手国)の大規模森林火災の被災地支援として検討する募金活動について話し合った。

 

 小学生委員は市役所に移動。本庁舎の放送室で行われた防災行政無線の録音作業に臨んだ。春休み中の安全行動を呼び掛ける内容で、3月19日から4月5日までの午後4時20分ごろに放送される予定だ。

 

(復興釜石新聞 2020年2月12日発行 第866号より)

 

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高松市の栗林小(手前中央の画面)3年生と、「パプリカ」を踊る栗林小3、4年生

釜石・高松『栗林小』 ネットで交流〜仲良くダンス エール交換、NTTドコモ社員が回線サポート

高松市の栗林小(手前中央の画面)3年生と、「パプリカ」を踊る栗林小3、4年生

高松市の栗林小(手前中央の画面)3年生と、「パプリカ」を踊る栗林小3、4年生

 

 釜石市の栗林(くりばやし)小(佐藤勉校長、児童43人)と香川県高松市の栗林(りつりん)小(武智直校長、児童1216人)をインターネットでつなぐ「ネット交流会」は1月30日に行われた。双方の大型スクリーンに相手の様子が映し出され、学校生活や地域の情報などを紹介。児童は息を合わせてダンスを踊り、笑顔を交わした。

 

 同じ「栗林」という名称の両校は東日本大震災の支援でつながり、2014年には釜石・栗林小が招待を受け、児童ら10人が訪問。その後も図書の支援、学校生活や地域の情報交換、復興の歩みを伝えてきた。高松・栗林小のPTA会員にNTTドコモ社員がおり、同社がネット交流のサポートを提案して実現した。昨年には両校の教師間でネット会議を試行し、今回の児童の交流につなげた。

 

 釜石側ではNTTドコモの兵頭正信さん(東京・ソリューション営業推進担当課長)、同社CS東北の吉川誠さん(盛岡市・法人営業担当課長)ら4人が支援。ネット会議システムをNTTの回線を通じ、リアルタイムで双方の画像に音声を乗せた。

 

 高松・栗林小は3年生216人(7学級)、釜石・栗林小は3・4年生の複式学級(担任・今西和子教諭)16人。

 

 高松側は2年前に新築した校舎や充実した設備を紹介。総合学習で取り組んだ「栗林公園」の調査学習についても発表した。茶室、橋、植物、昆虫や池の魚、働く人たちなど、クイズを織り交ぜて紹介。学校から徒歩で10分ほどの所にある有名な公園を「大切にしたい」と話した。

 

 釜石側は、ユネスコ世界遺産に登録された橋野高炉跡が近くにあり、昨年のラグビーワールドカップ(W杯)の試合が行われたことを伝え、東日本大震災の支援に感謝する「ありがとうの歌」を届けた。

 

 「そばの栽培とそば打ち」をテーマにした学習レポートも発表した。伝統的な農具を使い、製粉には石臼を手回し、水車の活用を試したことも伝えた。

 

 最後に「パプリカ」(昨年の日本レコード大賞受賞曲)を一緒に合唱。互いに躍動する姿を画面で見ながら、ダンスを合わせた。笑顔で手を振り、2時間半にもわたる交流を終えた。

 

 釜石・栗林小の小國雄理君(4年)は「りつりんの校舎は立派だった。公園の(5つの)橋は、まわりの景色がきれいだった。相手は3年生なのに、ハキハキしてすごい。学校の紹介はよくできた。楽しかった」と交流を喜んだ。

 

 昼には5・6年13人と入れ替わり、高松の社会参加活動サークル「栗っ子チョボラ委員会」の30人と約30分の交流。学校生活や好きな教科、地域の名物や料理などについて理解を深め合った。

 

(復興釜石新聞 2020年2月1日発行 第863号より)

 

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命を守る災害文化会議、高校生らが伝承活動報告〜震災の記憶 次代につなぐ、「かまいしの伝承者」54人認定

命を守る災害文化会議、高校生らが伝承活動報告〜震災の記憶 次代につなぐ、「かまいしの伝承者」54人認定

命を守る災害文化会議で伝承活動を報告する釜石高の生徒ら

命を守る災害文化会議で伝承活動を報告する釜石高の生徒ら

 

 東日本大震災の教訓の継承について考える釜石市の「命を守る災害文化会議」(議長・丸木久忠市社会福祉協議会長)は1月30日、市役所で4回目の会合を開いた。震災の記憶を次代につなぐため、市が昨年始めた人材の育成研修を受講し、「大震災かまいしの伝承者」(語り部)に認定された高校生らが活動を報告。さらに市では伝承者の資質を高める技能研修を近く行う予定で、記憶の風化を食い止める活動の広がりに期待を込める。

 

 同会議は震災の風化が懸念される中、その教訓を行動規範にした市防災市民憲章「備える」「逃げる」「戻らない」「語り継ぐ」の定着を狙って設置。市の提案を受けて、震災の被災体験や復旧復興の取り組みで得た教訓を語り継ぐ伝承者の認定制度を設け、参加者を募った。

 

 市によると、伝承者は昨年5月中旬から1カ月間募集し、市内外の10代から80代までの51人が応募。同6月に1回目の基礎研修会を開き、修了した27人に伝承者証を交付した。公募期間後も問い合わせがあったことから、同7月下旬に追加募集。12人の応募を受けて同8月に実施した2回目の研修では27人が修了し、合わせて54人が伝承者に認定された。受講(修了)できなかった9人は来年度に実施予定の研修に参加してもらう方針。

 

 同伝承者を対象としたステップアップ研修は、2月29日と3月15日に行う予定。▽時間や世代を超えた語り継ぎの可能性▽出来事を正しく分かりやすく伝える方法を考える―をテーマにそれぞれ広島、阪神淡路大震災から伝承活動の工夫を学ぶ。参加は任意で、1回ごとに修了とする。ただ、市では「2回とも受講することでさらなるスキルアップが図られる」としている。

 

 取り組み事例として、昨年開かれたラグビーワールドカップ(W杯)などで震災の記憶を発信した高校生5人が活動を報告。伝承者認定を受けた釜石高3年の野呂文香さんと佐々木千芽さんは多くの人が立ち止まり話に聴き入ってくれたことに充実感をにじませ、継続への思いを強めた。

 

 中村希海さん(2年)は釜石シーウェイブス(SW)RFCのホームゲームに合わせた伝承活動、太田夢さん(同)は未来につなぐ活動にするため立ち上げた伝承ボランティア団体について紹介。洞口留伊さん(3年)は地域の協力があって活動できることに感謝し、「私たちが地域に貢献できるよう見守ってほしい」と望んだ。

 

 今回の会合には委員ら約20人が出席し、ステップアップ研修の内容などを検討。若い世代の活動を刺激に、「釜石らしい」伝承を発信し続ける思いも共有した。

 

 同会議のアドバイザーとして出席した福留邦洋・岩手大地域防災研究センター教授は「災害文化にはいろんな形がある。他地域の大きな出来事の反省から学ぶ必要性は高まる。語り継ぐという思想を考える機会になる」などと助言した。

 

(復興釜石新聞 2020年2月1日発行 第863号より)

 

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大編成のサウンドで観客に感動を与えた埼玉栄高

市民ホールで圧巻のステージ、埼玉栄高(埼玉県) 上野中(北上市)来演〜いわて吹奏楽祭in釜石、最高のパフォーマンスで魅了

大編成のサウンドで観客に感動を与えた埼玉栄高

大編成のサウンドで観客に感動を与えた埼玉栄高

 

 全国トップクラスの学校吹奏楽部を招いての「いわて吹奏楽祭in釜石」が25日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。公益財団法人岩手県文化振興事業団が2016年から開く同祭の県内出張公演。翌26日に盛岡市の県民会館で行われた第5回同祭出演校のうち、昨年の全日本吹奏楽コンクール全国大会で金賞を受賞した埼玉栄高(埼玉県さいたま市)、銀賞を受賞した上野中(岩手県北上市)が来釜。地元の釜石市民吹奏楽団も出演し、約470人の聴衆を魅了した。

 

 釜石市吹44人による「ジュビリー序曲」、交響組曲「天気の子」など3曲で幕開け。続く上野中は1、2年生部員32人に引退した3年生3人が加わり、「シュガーソングとビターステップ」、「ノートルダムの鐘」より(抜粋)など3曲を演奏。若者に人気のヒット曲で送るスペシャルメドレーでは、目でも楽しめる動きのあるステージを繰り広げた。「釜石復興への願い、元気と笑顔を届けたいとの思いを込めた」と小笠原麻央部長(2年)。

 

趣向を凝らしたステージで楽しませた上野中

趣向を凝らしたステージで楽しませた上野中

 

 上野中は全国大会で金賞1回、銀賞2回、銅賞1回の受賞歴を誇る成長著しい本県の注目校。新年度に向け、小笠原部長は「徹底した練習を重ね、絶対に全国金賞を取ります」と意気込んだ。

 

 埼玉栄高の同祭出演は16年の第1回以来、2回目。1、2年生96人が「ブリュッセル・レクイエム」、「メリーポピンズリターンズ」、ラフマニノフの「交響曲第2番」など全7曲を披露した。確かな演奏技術、音色、各パートが融合した一体感あるステージはまさに圧巻。「響きがいい」と定評のある同ホールで最高のパフォーマンスを見せた。

 

 「日本一の努力をしよう」を部訓に掲げ、吹奏楽激戦区と言われる埼玉県で、全国大会に28回出場、20回もの金賞に輝く同校。海外の音楽祭にも数多く出演し、12年にはウィーン国際青少年音楽祭の吹奏楽部門で1位になるなど、その実力は世界でも高い評価を受けている。

 

 同祭出演のリーダーを務めた金子珠乃さん(2年)は「部員が多く、全員で遠征する機会はほとんど無い。今回、現メンバー全員で演奏させてもらえてうれしかった。地元以外での演奏は、行動面を含め人間的にも成長できる」と感謝。最後に全出演団体、観客が「花は咲く」で心を通わせたことにも感激し、貴重な経験を喜んだ。

 

 同校は学校法人が運営する中・高一貫校。高校の生徒は約2200人に上り、本年度の吹奏楽部員は引退した3年生を含めると約160人を数えたという。

 

フィナーレの「花は咲く」では、観客も歌声を重ね音楽の素晴らしさを共有

フィナーレの「花は咲く」では、観客も歌声を重ね音楽の素晴らしさを共有

 

 同祭には市内外から幅広い年代が足を運んだ。釜石中吹奏楽部の1年生部員戸張しゃなさんは「埼玉栄高は迫力、音の響き、演奏のまとまり、全てすごすぎて…」と驚き、樋岡朱音さんは「上野中は同じ中学生でも全然レベルが違う。自分たちももっと頑張らないと」と刺激を受けた様子。中妻町の及川静子さん(73)は「素晴らしい演奏が聞けて最高。気持ちが高ぶりました。釜石の中高生にも励みになったのでは」と話し、吹奏楽部員の孫ら家族と感動の余韻に浸った。

 

(復興釜石新聞 2020年1月29日発行 第862号より)

 

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震災伝承へ「ワン・チーム」、教訓発信 未来につなぐ〜釜石高校有志 新団体結成

震災伝承へ「ワン・チーム」、教訓発信 未来につなぐ〜釜石高校有志 新団体結成

震災の伝承活動に取り組む「夢団」を結成した釜石高生徒有志

震災の伝承活動に取り組む「夢団」を結成した釜石高生徒有志

 

 東日本大震災の経験や教訓、防災の取り組みを未来につなげたい―。釜石高(鈴木広樹校長)の生徒有志が25日、伝承・ボランティア活動に取り組むグループ「夢団(ゆめだん)~未来へつなげるONE TEAM~」を立ち上げた。昨年釜石市で開かれたラグビーワールドカップ(W杯)などを通じ、内外に震災の記憶を発信してきた同校の生徒たち。その取り組みを長期的に、次代につなぐため力を結集させる「ワン・チーム」が動き出した。

 

 結成を呼び掛けたのは太田夢さん(2年)。W杯で観客らに震災の教訓を記したうちわを配ったり、台風被害を受けた三鉄を支援する募金を校内で展開したり、北海道胆振東部地震の被災地に募金を届けて震災の経験も伝えるなど、さまざまな取り組みに携わってきた。

 

 同校では太田さんのように個々や仲間うちなど、それぞれでボランティア活動に関わる生徒も少なくない。活動する中で、「ボランティアに参加してみたいけど…」「参加申し込みの締め切りが過ぎていた」などと一歩を踏み出せずにいたり、情報がうまく伝わっていないことを感じた太田さん。思いを持った人は多く、より早く情報を伝える必要性を認識した。

 

 ただ、ボランティアという視点の多様さ、広域性も感じていて、「初めから多くに手を出すのは無理。まず防災、伝承に絞り込んで取り組もう」と考え、校内で参加を呼び掛け。それに1、2年生を中心とする31人が応えた。

 

 この日、甲子町の同校で決起集会が開かれ、12人が参加。リーダーには太田さんが就き、副リーダーは石山友里花さん(1年)と佐々木遥花さん(同)、議長に中村希海さん(2年)と戸張闘志郎君(1年)を選んだ。

 

 今後、「備える」「作る」「伝える」「つながる」の4つの視点を基に活動する予定。「子どもにも分かりやすい紙芝居を作って語り継ぎたい。かるたもいいかも」「地元食材を生かした防災食を開発しては」「予告なしの避難訓練をやってみたい。パニックになるかもしれないが、想定外の事態への対応力を身につける、主体的な判断を鍛えるためには必要ではないか」などと活発に意見を交わし、思いを共有した。

 

 結成後の初活動として、3月に行われる市の震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」の開館1周年イベントに向け準備を進める。災害時に必要な知識や技術を学び合う防災ワークショップを企画する予定。また、市が昨年スタートさせた震災伝承や、大槌高復興研究会との交流も進める考えだ。

 

 震災を経験していない子どもが増える中、伝承の必要性を感じ参加を決心した太田堅君(1年)。同じ思いを持つ仲間が意見を出し合うことで、効果的な発信ができると確信した。個人的には海外を含めた他地域の防災、減災、伝承の取り組みを深掘りしたい考え。「いろんな人とつながり、災害対応や教訓の伝え方の違いなど知らないことをどんどん吸収したい」と期待を膨らませた。

 

 太田さんは大槌町出身で、震災で親族を亡くした。自然災害は避けられず、いのちを守るすべを身に付けるしかないと実感。「実際に震災を経験したからこそ伝えられることがある。人が変わっても、教訓は伝え続けなければ。未来につなぐ活動の始まり。緩い関わりでいいので、楽しく活動していけたら」と意欲を見せた。

 

 釜石の一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校や釜援隊協議会、聖学院大(埼玉)が活動をサポート。同法人の伊藤聡代表理事は「行動力を大切にし、考えを思い切って実行してほしい」と見守った。

 

(復興釜石新聞 2020年1月29日発行 第862号より)

 

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獅子頭に頭をかんでもらい、幼子の健やかな成長を願う

小正月の伝統行事、荒川熊野権現御神楽「悪魔払い」〜無病息災 平穏祈る

獅子頭に頭をかんでもらい、幼子の健やかな成長を願う

獅子頭に頭をかんでもらい、幼子の健やかな成長を願う

 

 釜石市唐丹町の荒川町内会(雲南幹夫会長、90世帯)は12日、小正月の伝統行事「荒川熊野権現御神楽」による“悪魔払い”を行った。神楽衆約40人が地域の家々や神社を回り、大漁や五穀豊穣、住民の健康などを祈願。災いのない1年となるよう願いを込め、各所で舞を奉納した。

 

 紀州熊野から分霊を勧請した荒川鎮座熊野神社を有する同地区。1187(文治3)年に海上安全、火防などの守護神として熊野大権現をまつり、御神楽(権現舞)を伝承してきた住民が年頭に必ず行うのが、“悪魔払い”と称する厄払いの門打ち。別当の鈴木高司さん(67)宅で天照御祖神社の河東直江宮司によるおはらいを受けた一行は、獅子頭3体を携え、熊野神社を皮切りに地区内16カ所を巡った。

 

 荒川海岸では「御水(塩)取り」と呼ばれる神事を実施。海水を付着させた笹竹で頭を清め、お神酒、塩を供えて拝礼。海と高台にある湊神社に向かって舞を奉納し、航海の安全、大漁を祈願した。この後、順に地区内に点在する五葉神社など各社、集会所、班長宅を回り、住民らの無病息災、家内安全、地域の平穏などを祈った。

 

「御水取り」の神事の後、舞を奉納する神楽衆=荒川海岸

「御水取り」の神事の後、舞を奉納する神楽衆=荒川海岸

 

 荒川地区は2011年の東日本大震災津波で、国道45号東側から現在の三陸沿岸道路橋脚付近まで浸水。約50戸が被災し、住民数人が犠牲になった。震災から間もなく9年―。海岸には水門を備えた堤防、高台には戸建て復興住宅が整備され、自主再建もほぼ完了した。

 

 海に近い下荒川に暮らす1班班長の鈴木賢一さん(74)は、津波で平屋家屋を流失。家業の農業を続けるためにいち早く再建に着手し、翌12年12月、2階建て新居を構えた。町内会役員を歴任し、同神楽の伝承活動にも取り組んできた鈴木さんは「地区の子どもたちが減って大変だが、何とか伝統を受け継いでいってほしい」と期待。今春には4人目の内孫が誕生予定で、新年のスタートに家族の無事と幸せを願った。

 

 雲南会長(67)によると、同行事は「これまで一度も休んだことがなく、昔は全戸回ったことも」。久保正勝副会長(63)は「深い信仰の表れ。娯楽がなかった時代は高齢者の何よりの楽しみだった」と伝え聞く。小学1年時から参加する高橋愛里さん(唐丹小6年)は「ずっとつなげていきたい大切な行事。将来、荒川を離れたとしても帰省して参加したい」と意気込んだ。

 

(復興釜石新聞 2020年1月15日発行 第858号より)

 

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めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

 

 「輝け!!未来へ!!東北のパラの星」と題したトークイベントが14日、釜石市の釜石東中体育館で開かれた。一般社団法人チームスマイル(東京都)が行う東日本大震災復興支援活動「“わたしの夢”応援プロジェクト」の一環で、同法人と釜石まちづくり会社が主催。「五体不満足」がベストセラーとなった作家の乙武洋匡さんが、来年の東京パラリンピック出場を目指す東北出身の女子アスリートらに話を聞いた。

 

 宮城県気仙沼市出身で、陸上の世界大会投てき3種目で優勝実績のある斎藤由希子さん(SMBC日興証券)、同仙台市出身で、車いすバスケットボール女子日本代表として国際大会に出場している萩野真世さん(アビームコンサルティング)、釜石市在住で、国内水泳大会で多数優勝している村田奈々さん(釜石市役所)がゲスト。

 

 観客約50人を前に各競技のデモンストレーションを実施。希望者が砲丸投げや車いすバスケを体験し、障害者スポーツへの理解を深めた。トークでは、競技を始めたきっかけや競技生活を送る上での苦労、ルールや見所などを語った。

 

 萩野さんは、障害の度合いによる選手の持ち点の合計が5人で14点以下になるようにチーム編成する車いすバスケの特徴的ルールを紹介。現在、国内大会は男女混合、国際大会は男女別で戦っており、各チームでの役割の違いに「いろいろな目線、状況に応じた対応力が養われる」とメリットを示した。

 

 左腕の肘から先が義手の斎藤さんは、中学の陸上部で健常者と共に競技を始め、東北大会で活躍。高校から障害者の大会にも出場し、大学生の時に日本記録をマークしたが、ライバルのいない大会に物足りなさを感じることも。「健常者と一緒の大会で、もっと上を目指していけば、いつか障害者の世界でトップに立てる」とパラリンピックを目指す決意を固めたという。

 

 高校時代に下肢機能障害を負った村田さんは20代前半から本格的に水泳に挑戦。現在、11歳の娘を育てながら競技を続ける。「娘は時に励まし、時に厳しい言葉をくれる頼もしいコーチ。遠征が続くと寂しい思いをさせてしまうが、できるだけ2人の時間は作るようにしている」。災害時に離れている場合は「お互いを信じて行動する」ことも確認し合っているという。

 

 来年の東京パラに、斎藤さんはやり投げでの出場を、萩野さんは女子日本代表12人に選ばれることを目指している。「今日のイベントが競技場に足を運ぶきっかけになれば。パラは知れば知るほど面白い。興味を持って見ていただけたら」、村田さんは「身近にパラ選手がいることを知ってもらえた。東京パラの盛り上がりが終息しないよう、私たち選手もさらに頑張っていきたい」とし、応援を呼び掛けた。

 

 先天性四肢欠損の乙武さんは、最新鋭の技術を搭載したロボット義足で、1年半前から歩く練習を重ねていることを明かした。「できない、足りないことを嘆くのではなく、できることで頑張っている3人から学ぶ点は多い。釜石はワールドカップで、ラグビーという強みが一段と強化された。釜石だからこそできることで、地域を盛り上げていただけたら」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

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「希望のピアノ」を喜ぶ唐丹小高学年の児童と「唐丹希望基金」の高舘代表(左)

澄んだ音色に広がる笑顔、「希望のピアノ」唐丹小・中に〜唐丹希望基金から贈り物

「希望のピアノ」を喜ぶ唐丹小高学年の児童と「唐丹希望基金」の高舘代表(左)

「希望のピアノ」を喜ぶ唐丹小高学年の児童と「唐丹希望基金」の高舘代表(左)

 

 東日本大震災で校舎を失った唐丹小(佐々木康人校長、児童44人)と唐丹中(菊地正道校長、生徒32人)の支援を続ける「唐丹希望基金」(高舘千枝子代表)は12日、両校兼用の体育館で使用するグランドピアノ1台を寄贈した。児童・生徒全員が「希望のピアノ」を囲み、澄んだ音色に笑顔を広げた。

 

 体育館で行われた贈呈式で、菊地校長は「唐丹の子どもに新しいピアノを―と支援した全国の人たちの思いを忘れてはいけない。大切に使おう」と呼び掛けた。

 

 矢巾町から訪れた高舘代表(70)は「以前のピアノが使えないという話を聞き、今年6月から募金を始めた。唐丹出身者の東京唐丹町会、釜石市の姉妹都市である東京都荒川区のみなさんや、全国の570人以上の方々が協力してくださった。唐丹の子どもたちが元気に勉強し、立派な大人になるよう願う」と期待を述べた。

 

 唐丹小児童会長の岩澤優真君(6年)は「きれいな音色に合わせて、きれいな声で合唱練習します」、唐丹中生徒会長の久保翔太君(2年)は「ピアノに合わせて心を込めて歌い、多くの人に感謝の気持ちを伝えたい」と喜びを語った。

 

 寄贈されたグランドピアノはヤマハ製。側面に「希望のピアノ」とサインされた。児童らが鍵盤に触れ、「前のピアノより音がきれい」と期待を膨らませた。

 

 唐丹町片岸地区にあった唐丹小は震災の津波で校舎や体育館が壊れ、ピアノも使えなくなった。小白浜地区にあった唐丹中も地震で校舎が使用不能に。小学校は震災の翌年度から平田小で間借り授業。中学生は地震に耐えた体育館を仕切った教室で学んだ。12年12月、小白浜地区に両校の仮設校舎が完成、移転した。17年4月から、現在の本設校舎で共に学ぶ。

 

 これまで体育館にあったピアノは震災後に東京芸大が支援したが、耐用年数を過ぎて楽器の機能を失った。

 

 震災後に唐丹教育支援プロジェクトを立ち上げ「唐丹希望基金」として支援を継続する元教員の高舘代表らが全国の仲間に呼び掛け、ピアノに特化した支援金を募った。これまでの支援金総額は3千万円以上に上るが、物品を贈るのは今回のピアノが初めて。

 

 「この9年の間に子どもや地域の人たちの心が柔らかくなったと感じる。ピアノを贈るのは、いい記念になった。感無量」と高舘代表。募金活動は本年度で終えるが、管理している積立金を運用した支援活動は今後もしばらく続けるという。

 

 来年3月の唐丹中の卒業式後、両校PTAが中心となり「唐丹希望基金への感謝のつどい」を開く。

 

(復興釜石新聞 2019年12月14日発行 第850号より)

 

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信仰の対象として大事にされている「荒川熊野権現御神楽」

郷土愛育む伝統の舞、釜石市郷土芸能祭〜次世代継承の願い込め、市内外から5団体出演

大船渡市三陸町越喜来に伝承される「浦浜念仏剣舞」

大船渡市三陸町越喜来に伝承される「浦浜念仏剣舞」

 

 第24回釜石市郷土芸能祭(市、市教委主催)は8日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。市内から「橋野鹿踊り」「箱崎虎舞」など4団体、特別出演として大船渡市三陸町の「浦浜念仏剣舞」が出演。約450人が各地に継承される伝統の舞を堪能した。

 

 開演に先立ち、同祭実行委の川原清文委員長は「郷土芸能は地域に根差した伝統文化であり財産。郷土愛を育むことにもつながる」とあいさつした。

 

 トップを飾った「荒川熊野権現御神楽」は唐丹町の荒川町内会(雲南幹夫会長)が伝承する。1187(文治3)年に海上安全、火防などの守護神として紀州熊野から分霊を勧請した「荒川鎮座熊野神社」の信仰とともに今に至る。毎年小正月の時期に地域住民の厄をはらう門打ちを続けている。

 

 同祭出演は22年ぶり4回目。神の使いとされる御獅子が悪魔をはらう御神楽舞、地の守舞など4演目を総勢約40人で披露した。文化部長の久保正春さん(67)は「地域になくてはならないもの。人が少なくなり大変だが、何とか後継者を育てていきたい」と願った。

 

信仰の対象として大事にされている「荒川熊野権現御神楽」

信仰の対象として大事にされている「荒川熊野権現御神楽」

 

 「“正調”釜石浜唄、釜石小唄」として両曲の踊りを披露したのは、瓦田季子さん(81)率いる「瓦田会」の5人。同浜唄は大正時代、釜石に入港した船頭衆が歌っていた九州の浜節からヒントを得て、尾崎神社の山本茗次郎宮司(当時)ら町の名主が作詞。お座敷唄として親しまれてきた。

 

 浜町「幸楼」で73年間、芸者として浜唄を歌い継いできた藤間千雅乃さんは2016年に他界(享年89)。藤間さんの弟子で、さまざまな場で浜唄を踊っていた木皿宏子さんも翌17年に亡くなった(享年76)。

 

 2人の遺志を継ぎ、踊りの伝承に励む瓦田さんは、13年の同祭にも藤間さんらと出演。「浜唄は釜石が誇る大事な文化の一つ。多くの人に知ってほしい」と願う。初舞台を踏んだ岩鼻千代美さん(46)は「継承への意欲を持つ若者が現れるよう、次世代につないでいきたい」と思いを新たにした。

 

藤間さんらの思いを継ぎ釜石浜唄を踊る「瓦田会」

藤間さんらの思いを継ぎ釜石浜唄を踊る「瓦田会」

 

 県の無形民俗文化財に指定される「浦浜念仏剣舞」は、江戸時代中期に始まったと推測される。疫病や津波などで何度も途絶えたが、1972(昭和47)年に浦浜青年会が復活させ、保存会も結成された。同祭では舞台上に東日本大震災犠牲者を慰霊する塔婆を立て「念仏踊り」を披露したほか、悲しみを吹き飛ばすような荒々しい踊りが特徴の「長刀(なぎなた)」「高館(たかだち)」も見せた。

 

 初めて足を運んだ大平町の70代女性は「最高でした。大船渡の念仏剣舞は興味深かった。釜石の芸能もなかなか見られないので、来て良かった」と声を弾ませた。

 

 同祭は1977年にスタート。これまで市内59芸能が披露されている。2006年からは市外団体の特別出演も。近年は、ほぼ隔年度で開かれている。

 

(復興釜石新聞 2019年12月14日発行 第850号より)

関連情報 by 縁とらんす
第24回釜石市郷土芸能祭
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釜石、板橋の団員が同じステージに立ち、音楽の楽しさを伝えた演奏会

釜石市民吹奏楽団、固い絆 ブラスで奏でる〜音楽で育む友情、板橋区吹奏楽団 賛助出演

釜石、板橋の団員が同じステージに立ち、音楽の楽しさを伝えた演奏会

釜石、板橋の団員が同じステージに立ち、音楽の楽しさを伝えた演奏会

 

 釜石市民吹奏楽団(谷澤栄一団長、60人)の第53回定期演奏会(市民芸術文化祭参加)は24日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。昨年、創立40周年を迎え、震災後初のホール公演で新たな一歩を踏み出した同団。今年は、被災からの復活を物心両面で支援してきた東京都の板橋区吹奏楽団(辻啓宏団長、60人)が賛助出演し、音楽が結ぶ両市区の絆を観客と共に分かち合った。

 

 演奏会は3部構成。1部と3部は釜石のステージで、ファンファーレ「輝く日への前奏曲」で幕開け。「寄港地~3つの交響的絵画~」、映画「海の上のピアニスト」のテーマ曲など、港町釜石を印象づける楽曲のほか、「ジョーズ」「ある愛の詩」など米映画の大作、ディズニー映画の各メドレーも披露された。

 

 2部に登場した板橋は「~音・楽・絵・巻~ミュージック・ページェント」と題し、音と映像で送るステージを披露。ジュラシック・パークのテーマ、組曲「動物の謝肉祭」など自然や生き物を意識した曲を演奏し、曲の世界観を目と耳に訴えた。

 

 板橋区吹奏楽団(板吹)は2011年10月、東日本大震災の津波で楽器を失った釜石へティンパニーなどの大型楽器と管楽器を寄贈した。同年は板吹の創立25周年にあたり、団は大型楽器の入れ替えを予定していたが、折しも震災が発生。被災した同じ社会人吹奏楽団を支援できないかと考え、盛岡吹奏楽団の仲介で釜石への楽器寄贈が実現した。以来、両団は互いの演奏会に招き合うなど交流を重ね、「釜石にホールが再建された際には一緒に演奏を」という夢を、ついにかなえた。

 

 この日は板吹の団員35人が来釜。アンコールでは釜石市吹と「木陰の散歩道」など2曲を合同演奏し、感動の演奏会を締めくくった。板吹の辻団長(35)は「自分たちの楽器が現役で活躍しているのを見て、うれしく思う。釜石の団員はすごく楽しそうで、演奏から『音楽が生きる力になっている』のを感じる」と喜びの表情。同団が誇る「ステージドリル」を釜石で披露したいという新たな夢も描き、継続交流を願った。会場では名誉団長の坂本健板橋区長のメッセージも披露された。

 

 釜石市吹の谷澤団長(60)は念願の合同演奏に「音楽に言葉はいらないというのはまさにその通りで、前から一緒にやっているような感じ」。板吹の支援に改めて感謝し、「いろいろな方に助けられ、真摯(しんし)に音楽に取り組んできたからこそ今がある。今後は各所に出向いての演奏もできるだけ増やしていきたい」と意気込んだ。

 

 釜石高吹奏楽部の朝倉芽生さん(1年)、佐藤七海さん(同)は板吹のステージに「映像とライトの演出が曲と合っていて、すごく引き込まれた」と感激し、「場所は離れていても音楽でつながり、助け合う姿は素晴らしい」と大先輩に敬意を表した。

 

(復興釜石新聞 2019年11月30日発行 第846号より)

 

復興釜石新聞

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令和元年度鉄の週間事業

令和元年度鉄の週間事業

令和元年度鉄の週間事業

 

鉄の歴史館鉄の記念日無料公開
旧釜石鉱山事務所無料公開
鉄の歴史館企画展「鐵の鉄道展」の開催
旧釜石鉱山事務所企画展の開催
鉄の学習発表会の開催
鉄のパネル展の開催

 

鉄の歴史館鉄の記念日無料公開

 
鉄の記念日である12月1日(日)は鉄の歴史館を無料公開しています。
あわせて、当日来館された小・中学生(先着50名)に学研まんがでよくわかるシリーズ155「鉄のひみつ」を1冊プレゼントします。
 

鉄の歴史館

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233293_2452.html

 

旧釜石鉱山事務所無料公開

 
12月1日は大島高任が磁鉄鉱を原料に高炉法により連続出銑(連続生産)に成功したことから鉄の記念日とされています。
 
その高炉が建設された釜石市甲子町大橋に現在あるのが国登録有形文化財「旧釜石鉱山事務所」です。「旧釜石鉱山事務所」では釜石鉱山の歴史や採集できる岩石などの展示を行っています。
 
12月1日鉄の記念日は「旧釜石鉱山事務所」を無料公開しています。近代製鉄発祥の聖地である大橋にぜひ足をお運びください。
 

大島高任

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233294_2452.html

 

鉄の歴史館企画展「鐵の鉄道展」の開催

 
鉄の歴史館企画展「鐵の鉄道展」

「鐵の鉄道展」解説パンフレットは鉄の歴史館にて販売しております(200円)

 

現在の国道283号南側には日本で3番目の鉄道工部省鉱山寮釜石鉄道が走っていました。その後、その北側に55年前まで釜石鉱山専用汽車(社線)が走っていました。今回は「鐵の鉄道展」と題し、その記憶を紹介します。ぜひご来館ください。

企画展示

日時:令和元年11月23日(土・祝)~令和2年1月13日(月・祝)
※毎週火曜日・12月29日~1月3日は休館
会場:釜石市立鉄の歴史館 2階
内容:工部省鉱山寮釜石鉄鉄道や社線などの資料やパネル
社線使用機関車の青焼き詳細図面も展示
入館料:大人500円 高校生300円 小中学生150円

名誉館長講演会

入場無料
日時:令和元年12月1日(日) 10時~12時
会場:釜石市立鉄の歴史館 1階 総合演出シアター
講師:鉄の歴史館名誉館長 小野寺英輝さん(岩手大学理工学部准教授)
演題:官営製鉄所と第三の鉄道

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233296_2452.html

 

旧釜石鉱山事務所企画展の開催

 
旧釜石鉱山事務所企画展

 
今回の旧釜石鉱山事務所での企画展は、「社宅街-製鉄所と鉱山が作ったまち-」と題し、様々な資料を紹介します。ぜひご来館ください。

企画展示

開催期間:令和元年11月23日(土・祝)~令和元年12月8日(日)
※毎週火曜日・水曜日は休館
会場:旧釜石鉱山事務所 2階
内容:釜石製鉄所及び釜石鉱山の社宅について、関連資料、パネルにて紹介
入館料:一般300円 小中学校100円

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233297_2452.html

 

鉄の学習発表会の開催

 
鉄の学習発表会
 
今年も鉄の記念日に合わせ、「鉄の学習発表会」を開催します。市内中学校、高等学校の生徒が、日頃の鉄の学習の様子や成果を発表してくださいます。ぜひ皆様ご覧ください。
 
日時:令和元年11月30日(土)10時〜12時
場所:イオンタウン釜石 2階 イベントスペース
発表校:岩手県立釜石商工高等学校 総合情報科3年生、釜石市立釜石中学校 総合文化部、釜石市立甲子中学校 1年生

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233299_2452.html

 

鉄のパネル展の開催

 
鉄のパネル展

※こちらは昨年展示した際の画像となります。

 
今回のパネル展は、岩手の世界遺産パネルを展示します。ぜひご覧ください。
 
開催期間:11月23日(土・祝)~12月8日(日)
※12月3日(火)はシープラザ釜石が定休日のため、ご覧になれませんのでご了承ください。
場所:シープラザ釜石 1階 イベントスペース

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233341_2452.html

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 世界遺産課
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8846 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:各催しに記載のURL
釜石市

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