釜石の人材育成へ同級生がタッグ 6月からオンライン学習塾を開設
釜石市の一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校(さんつな、伊藤聡代表理事)は、盛岡市で学習塾を展開するSoRaStars(山崎智樹代表取締役)と連携し、6月から小・中学生を対象としたオンライン学習塾を開く。子ども向けの各種体験活動の場を提供するさんつなと、独自の学習法で高い進学実績を誇るSoRa社がタッグを組み、地元に貢献できる人材を育てるのが目的。3日、開設に係る説明会が大町の釜石PITで開かれ、小・中学生と保護者26人が参加した。
オンライン学習塾開設の趣旨などを説明する三陸ひとつなぎ自然学校の伊藤聡代表(ステージ左から2人目)とSoRaStarsの山崎智樹代表(同右)
震災後の2012年4月に設立されたさんつなは、放課後子ども教室の開設や子どもの自主性を生かした地域活動の伴走コーディネートなど、地域への愛着や未来を生き抜く力を育む活動を行ってきた。震災から10年が経過する中で、地域の担い手育成にはこれまで取り組んできた「非認知能力」の分野と両輪で、学校の勉強など「認知能力」を伸ばすことが重要と考え、オンライン学習塾を発案。釜石で伊藤代表と高校まで同級だった山崎代表に相談を持ち掛け、両者のコラボが実現した。
説明会で山崎代表は、近年の高校入試の出題例を紹介。暗記した知識だけでなく、「自分で考え、自分の言葉(文章)で具体的に答えることを求める問題が増えている」とし、認知的(学力アップ、目標達成)、非認知的(多角的視点獲得)両分野を鍛える必要性を指摘した。山崎代表によると「地域活動に参加している子ほど、国語と算数の得点率が高かった」というデータもあり、同塾では相乗効果を生む教育プログラムで子どもたちを指導している。
釜石で受けられる指導について聞く説明会の参加者
この日は同塾が取り入れる速読トレーニングも体験。文章を固まりで読む訓練を重ねると、より多くの文字を短時間で読めるようになり、試験では問題を読む時間よりも解く時間を多く確保できるメリットがある。体験した市内の中学3年生は「いろいろなトレーニングをしたら、読むスピードが思いの外すぐに上がった。自分は英語などの文を読むのが遅いので、そこに生かせたら。継続してやってみたい」と興味を示した。
子どもたちはタブレット端末を使った速読学習を体験。短時間のトレーニングで1分間に読める文字数がアップした
「さんつな×SoRa学習塾」は、盛岡市の同塾と釜石市鵜住居町の「さんつなハウス」をオンラインで結び、受講する形をとる。個別指導のほか、中学3年生対象の集団授業、小学生対象の速読解プランも設ける。5月は入塾の検討期間とし、カウンセリングを受けた小・中学生向けに17日から26日まで無料体験授業を実施。その後、個別面談を行い、一人一人に合わせた学習計画を作成する。通常授業(有料)は6月7日からの開始を予定する。
「単に勉強を教える場ではなく、いろいろな情報を得ることで子どもたちの興味を引き出し、選択肢を広げることにつながれば。ニーズを探りながらより良い形を目指したい」と伊藤代表(41)。12年3月に教育事業を立ち上げた山崎代表(41)は「背景には震災があった。当初から目指してきた人材育成の部分で、直接地元に関わることは望む形」とし、沿岸地域の学力向上など課題克服へ意欲を高めた。
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