コロナ禍2年目の春を生ブラスで元気に~釜石市民吹奏楽団がコンサート~
釜石市民吹奏楽団(山内真紀人団長、団員50人)は2日、釜石市大町の市民ホールTETTOでスプリングコンサートを開いた。新型コロナウイルスの全国的な感染拡大の影響で生演奏の場が失われている中、感染防止策を講じた屋外空間で演奏を楽しむスタイルは昨夏に続き2回目。コロナ禍に対応した先駆的取り組みは、市外の音楽愛好者からも注目される。この日は約100人の観客と演奏者が音楽を通じて心を通わせ、共に明日への活力を得た。
前回同様、ホールBと屋根のある広場を一体化する半屋外式の会場設営で実施。来場者は受付で検温、手指消毒、連絡先の記入に協力し、マスク着用の上、間隔をとった客席に着いた。プログラムチラシで、大声での歓声や食事を控えることも呼び掛けられた。
ホールBを屋外広場とつないだ開放空間でのコンサート
コンサートは「ファンファーレ~天と大地からの恵み~」で幕明け。話題となった映画やアニメの主題歌、CMソング、昭和の歌謡曲など10のプログラムで観客を楽しませた。世界的大ヒットとなった映画「タイタニック」は劇中曲を含めたメドレーで、昨年一大ブームを巻き起こしたアニメ「鬼滅の刃」からは劇場版の主題歌「炎(ほむら)」、日本レコード大賞・栄光の昭和50年代楽曲メドレーでは「北酒場」「ルビーの指輪」など懐かしの4曲を届けた。
コロナ禍2年目の春に心を癒やすブラスサウンドを届ける団員ら
アンコールに応え、演奏したのは「エール・マーチ」。昨年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲だったが、コロナ禍でコンクールは中止に。今年のコンクールが実現すれば同曲を課題曲として演奏予定だという。団員らは2年ぶりのコンクール開催を願いながら、心を込めて演奏した。
釜石市吹の団員と交流のある仙台市の菅原克彦さん(56)は「コロナ禍で軒並みコンサートが中止され、楽器の音が失われている。皆さんに勇気や元気を与える生演奏を続けている釜石の団員に敬意を表したい。こういう時代だからこそ、音楽って必要ではないか」と話した。
間隔を空けた客席で演奏を楽しむ来場者
釜石市吹は沿岸他市(宮古~気仙沼)の社会人吹奏楽団と一緒に、三陸自動車道の早期完成を願う「ルート45港町コンサート」を1997年から毎年春に開催。今年は震災10年と合わせ、宮古―気仙沼間の全線開通を祝うコンサートを予定していたが、新型コロナの感染拡大を受け、昨年に続き中止を決めた。これに替わる演奏発表の場として、今回のコンサートが企画された。
山内団長(47)は「団員は練習以外のところでも感染防止対策を徹底し、団活動を含む日々の生活に細心の注意を払っている。今のところ体調不良者や感染者は出ていない。医療従事者ら職場の要請で活動を休止している団員も多い。そうした人たちが早く戻ってこられるようになれば」と願う。
釜石新聞NewS
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