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深めるぞ!姉妹都市の絆 愛知県東海市の中学生 釜石市でバドミントン交流「いい刺激」

バドミントン競技で交流した釜石市と東海市の中学生=8月29日

バドミントン競技で交流した釜石市と東海市の中学生=8月29日

 
 釜石市と姉妹都市を結ぶ愛知県東海市の中学生が8月28日から2泊3日の日程で釜石を訪問。同世代の生徒とスポーツを通じた交流が目的で、29日に釜石市民体育館(鵜住居町)でバドミントン競技に励む生徒らと合同練習や試合をしながら親交を深めた。
 
 釜石市と東海市は、1960年代に釜石製鉄所から従業員700人以上が家族を伴って東海製鉄所に移ったことをきっかけに交流が始まり、2007年に姉妹都市となった。中学生を対象にしたスポーツ交流事業は提携直前の06年に開始。隔年で相互に訪問し、ラグビー、剣道、サッカーなど種目を変えて子どもたちが友情を育んでいる。
 
 今回の交流メンバーは両市でバドミントン競技に打ち込む中学生。東海市は「スポーツクラブ東海」バドミントン部の22人、釜石市は学校部活動や地域クラブ「KBF(釜石バドミントンフレンズ)」に所属する約40人。8チームに分かれて基礎打ちの練習をした。チーム対抗でシングルスやダブルスの試合も。好きなことに熱中する者同士で伸び伸びと思い切りプレーを楽しんだ。
 
コート上で60人の中学生が伸び伸びとプレー

コート上で60人の中学生が伸び伸びとプレー

 
チームで集まって意見を伝え合ったりして友情を育む

チームで集まって意見を伝え合ったりして友情を育む

 
 「全力で楽しむ」と来釜した東海市の中学生。宍戸颯希さん(上野中3年)は「愛知とは違う地域の人とプレーできるのが楽しい。点を取れたときはうれしいし、負けていても作戦をみんなで考えるのが面白い。地域は離れているけど、またどこかで楽しく交流できたらいい」と目を輝かせた。
 
 姉妹都市交流に参加するのは初めてだった釜石の新屋乃彩さん(唐丹中2年)は緊張したというが、ネット越しでシャトルの打ち合いを重ねる中で「東海市の人たちは乗りがいい」と感じ、気持ちがほぐれた。「自分の弱い部分を見つけられた。うまい人の動きを観察していた」と刺激になった様子。間もなく地区中学校新人大会があり、「ダブルスでベスト4」と目標を定めた。
 
「もう一回やってもらっていいですか」「いい方法、教えて」。参加者は言葉を交わしながら楽しそうにプレーした

「もう一回やってもらっていいですか」「いい方法、教えて」。参加者は言葉を交わしながら楽しそうにプレーした

 
 昨年、東海市を訪問した平松魁斗さん(釜石中3年)は「建物が多くて、自然もあるきれいなまちだった。また行ってみたい」と振り返りながら、来釜した同世代の仲間を歓迎。スポーツ交流の後は釜石鵜住居復興スタジアムで食事会があり、「開放的な景観、山の色とか自然を感じてもらえたら」と期待した。
 
スポーツ交流に参加し親交を深めた釜石、東海市の中学生

スポーツ交流に参加し親交を深めた釜石、東海市の中学生

 
 東海市の中学生は、28日に鉄の歴史館(大平町)で鋳造体験をしながら日本の近代製鉄の歴史を学んだ。中村さくらさん(名和中3年)はスポーツ交流で自身の課題を見つけたいと積極的に活動。そして「釜石のことをたくさん知れたら」と、30日はいのちをつなぐ未来館(鵜住居町)で防災学習に取り組んだ。
 
 スポーツ交流に参加する両市の中学生を激励した釜石市の小野共市長は「互いの市を行き来し、あたたかく深い交流ができている。こうした若い世代のつながりが未来に続いてほしい」と願った。

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東京・玉川学園オーケストラ部 仙人の里で6回目の演奏 震災後続く交流に利用者、職員感謝

仙人の里で開かれた玉川学園オーケストラ部の慰問演奏会。ホールには歓迎のメッセージが掲げられた

仙人の里で開かれた玉川学園オーケストラ部の慰問演奏会。ホールには歓迎のメッセージが掲げられた

 
 釜石市甲子町の特別養護老人ホーム仙人の里(千葉敬施設長、長期利用66人、短期同14人)に8月25日、音楽のプレゼントがあった。利用者に弦楽器演奏を披露したのは、東京都町田市の玉川学園中学、高等部のオーケストラ部員ら25人。東日本大震災後、同部が続けるボランティア演奏旅行で訪れたもので、同施設への訪問は6回目。部員らは演奏後、利用者と会話し温かい交流の輪を広げた。
 
 同部は8月24日から28日まで4泊5日の日程で、岩手、宮城両県を訪問。小中学校や公共施設、宿泊先のホテルなどで計16公演を行った。24日に岩手入り。翌25日にかけて内陸と沿岸を回り、28日の平泉町、中尊寺での奉納演奏を含め県内7公演を行った。
 
バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスで奏でるオーケストラ部

バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスで奏でるオーケストラ部

 
歌との共演も。学園高等部の石川正弥さんがのびやかな歌声で魅了した

歌との共演も。学園高等部の石川正弥さんがのびやかな歌声で魅了した

 
 仙人の里には25日午後に訪問。中・高部員に同部出身の大学生3人が加わり、顧問の鈴木孝春教諭の指揮で演奏した。「ディズニークラシック」で開演。オペラやミュージカル曲、日本の曲では「川の流れのように」などを披露した。途中、同学園出身の声楽家伊藤名佳子さん、声楽の道を志す学園高等部3年の石川正弥さんが賛助出演。伊藤さんはオペラ・カルメンの「ハバネラ」、石川さんは「見上げてごらん夜の星を」を歌い、2人で「浜辺の歌」など2曲を歌った。アンコールにも応え、全11曲を演奏した。
 
学園出身の伊藤名佳子さん(左)、石川さんで「浜辺の歌」を披露。会場では涙をにじませながら聞き入る人も

学園出身の伊藤名佳子さん(左)、石川さんで「浜辺の歌」を披露。会場では涙をにじませながら聞き入る人も

 
伊藤さん、石川さんのかけ合いで届ける楽しいステージもあった

伊藤さん、石川さんのかけ合いで届ける楽しいステージもあった

 
 演奏後、部員らは利用者に駆け寄り、いろいろな話をした。孫のような中高校生との触れ合いに、手を握って目を潤ませる人も。帰り際には名前を覚えて「○○ちゃん、来年も来てね」と別れを惜しむ姿も見られた。利用者の粒針千代美さん(88)は初めて聞く演奏に「素晴らしかった。ぐっときました。みんな、かわいくてねぇ。来てくれてありがたい」と感謝。最前列で楽しんだ78歳女性は「音楽、好きだけど、こんなに楽しいのは初めて。すてきな音色に涙が出てきた。生徒たちといろんな話もできてうれしい」と声を弾ませた。
 
演奏後に行われた交流のひととき。部員も利用者も弾ける笑顔!

演奏後に行われた交流のひととき。部員も利用者も弾ける笑顔!

 
楽しい触れ合いで、互いに元気をもらい合った

楽しい触れ合いで、互いに元気をもらい合った

 
 玉川学園は幼児期からの一貫教育を行う総合学園で、大学や大学院もある。オーケストラ部の震災被災地に出向いての演奏は2013年から開始。夏休みを利用して被災3県を回り、仮設住宅や小中学校などで住民を元気づけてきた。仙人の里には2017年に初めて訪れ、コロナ禍による休止を経て、23年から再び縁を結んでいる。
 
 今回は中・高の7人が初めての東北訪問演奏。ビオラを担当する中学部1年の村松優月さんは「腕が疲れたりして大変だけど、観客を前にすると頑張ろうと思える。先輩たちが長い間続けてきた活動なので、受け継ぐ私たちもつながれた思いを大事にしていきたい。現地で学んだことは周りにも伝えていければ」と貴重な経験を心に刻む。
 
 高等部1年の越田真衣さんは祖父母が岩手県人。「被災の話も聞いているし、身内に津波で亡くなった人もいるので、被災者の方々の気持ちが少しですが分かる」と、今回の訪問に特別な思いを寄せる。仙人の里では高齢者と触れ合う時間も持てた。「すごく楽しかったし、『楽器を始めて良かった』と思える瞬間だった」。部活がきっかけで、さらに強まった岩手との絆。被災地に心を寄せ続ける大切さも改めて実感し、「絶対にまた来たい」と望んだ。
 
弦楽器以外の音が出るものでアクセントを加えたり、ピチカート(弓を使わず指で弦を弾く奏法)で演奏したりと各種演出も

弦楽器以外の音が出るものでアクセントを加えたり、ピチカート(弓を使わず指で弦を弾く奏法)で演奏したりと各種演出も

 
かわいらしい振り付けで締めのアンコールもバッチリ!

かわいらしい振り付けで締めのアンコールもバッチリ!

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釜石の高校生が考える災害時の外国人支援 「共生」「やさしい日本語」視点に実践

防災をテーマに交流する釜石市の高校生と留学生=8月23日

防災をテーマに交流する釜石市の高校生と留学生=8月23日

 
 地震や津波、豪雨など自然災害はいつ、どこで起きてもおかしくない。9月1日は「防災の日」。自らの命と暮らしを守るための備えをあらためて見つめ直す機会にしたい。また、これからの防災に欠かせない視点となるのが「共生」。釜石市の高校生が実践した災害時の外国人支援を考える取り組みから、多様な人々が安心して避難できる地域のあり方を考えたい。
 
 「地震の後に津波がきます。大渡橋の辺りにいたら、どう逃げますか?」。日本語を学ぶために釜石で暮らす留学生に、釜石高校の生徒が問いかける。留学生は渡された市街地の地図を見つめ、高台と思われる場所に印をつける。「いいと思うけど、私だったらここまで逃げる」と別のルートも示す高校生。一緒に考えることで防災意識を高め合う。
 
災害時の行動について意見を伝え合う高校生と留学生

災害時の行動について意見を伝え合う高校生と留学生

 
 8月23日、釜石市国際外語大学校(鈴子町)であったハザードマップ作りの一場面。ネパール出身留学生9人の活動を釜石高の生徒4人がサポートした。企画したのは、釜高3年の佐々木悠衣さん。地震や津波、ハザードマップなどの言葉、緊急時に一時的に逃げる場所(避難場所)と一定期間避難生活を送る場所(避難所)の違いを説明したほか、逃げる準備として用意してほしい防災グッズも紹介した。
 
防災に関する言葉や備えておくグッズを説明する佐々木悠衣さん

防災に関する言葉や備えておくグッズを説明する佐々木悠衣さん

 
留学生が覚えた日本語を書き込んで作ったハザードマップ

留学生が覚えた日本語を書き込んで作ったハザードマップ

 
 今年4月に来日したタマング アイソリャさん(29)、シャータクリ インディラさん(30)は「まだ(日本語を)話すことができない」と首をかしげつつ、「地震と津波のことを聞くことができてよかった」とうなずいた。昨年10月から釜石で暮らすライ ブッダ バハドゥルさん(27)は「何を準備するか、避難場所が近くにあることが分かった」と理解を深めた。
 
防災グッズを確認するゲームで楽しみながら交流

防災グッズを確認するゲームで楽しみながら交流

 
 この活動は7月27日にも行われており、ミャンマーからの留学生も含めた7人と釜高生9人が交流。留学生もよく行く場所というイオンタウン釜石から「逃げる場所」と「津波がどこまでくるか」を考えてマップを作った。内陸部に住む釜高3年の菊池美紘さんは、自身もどこに逃げればいいか悩んだといい、「多国籍の人と共有しながら自分の理解も深められた。分かりやすく伝えるのは難しかったけど、楽しかった。これからも海外の人と関わることはあると思うから、いい機会になった」と受け止めた。
 
留学生の活動範囲を踏まえてハザードマップを作る=7月27日

留学生の活動範囲を踏まえてハザードマップを作る=7月27日

 
 地域や多文化共生の視点から、災害時の外国人支援として高校生ができることを提案したい―。この取り組みは、佐々木さんが学校で進めた探究活動の実践活動。国際政治や世界情勢に関心があったが範囲が広すぎたため、地域に目を向けて気づいたのが「釜石に住む在留外国人が増えているのに、関わりがほとんどない」ことだった。東日本大震災を経験したまちだからこそ、災害時に外国人が抱える困難について考えることは重要だと考え、行動した。
 
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地域の大人の力を借りて探究活動に取り組んだ佐々木さん=7月21日

 
 市の多文化共生推進プラン(第1期・2021―25年)を読み込み、東南アジア出身者を中心に在留外国人が倍増していることや、災害時に「どこに逃げればいいか分からない」「防災無線が聞き取れない」といった不安や困り事があることを知った。市の関係部署の職員への聞き取りも行い、地域住民と外国人が交流できる事業も行っているが、「日本人の参加が少ない」という課題を把握。「行政の支援だけでは限界があり、地域全体で支える必要がある」と考えをまとめた。
 
 そこで大切になるのは、言葉の分かりやすさ。震災の時に飛び交った「高台(タカダイ)へ避難せよ」と聞いた外国人が“陸前高田”に向かってしまったという事例から、佐々木さんは「言葉の分かりやすさは命に関わる」と認識。日本語に不慣れな人にも正しい情報を分かりやすく伝えられる「やさしい日本語」について調べた。
 
 やさしい日本語は、難しい表現を避け、短い言葉で分かりやすく言い換えて伝えるもの。佐々木さんは今回の実践を前に、高校生を集めてミニ講座を開き(7月21日)、ポイントを伝えた。例えば、「高台」は「高いところ」、「避難」は「逃げてください」などと表現。高校生たちはその学びを生かして、留学生とマップ作りを進めた。
 
釜石高校で開かれた「やさしい日本語」のミニ講座=7月21日

釜石高校で開かれた「やさしい日本語」のミニ講座=7月21日

 
 佐々木さんが今回、日本語を学ぶ留学生をターゲットにしたのは「高校生と年代が近い」のが理由の一つ。自分と同様、国際交流に興味を持つ生徒が多く、共に取り組むことでやさしい日本語を実践で学べると考えたからだ。なぜ、やさしい日本語を知ってほしいのか―。「日本人同士でも分かりやすく伝わる表現だから。特別な言葉ではなく、子どもや高齢者とかと話す時にも使えて便利」。多様な人に正確な情報を伝える道具として「日常から意識する大切さ」を広める機会にもしたかったという。
 
 高校生の企画を受け入れた釜国の松島理香子副校長も、年齢の近い若者同士の交流を歓迎した。そして、学校でも避難場所など防災に関する案内はしているが、今回のように留学生自身が逃げる時の行動を考え、マップに母国の言葉で書き込んだりすることは「印象に残りやすく、意識が高まる。地域を知ることにもなる」と評価。教職員らが接するように、やさしい日本語で話しかける存在が増えることに「頼もしさ」も感じているようだった。
 
「互いに理解し学び合い安心して暮らせるまちに近づく一歩に」と願う佐々木さん(右)=8月23日

「互いに理解し学び合い安心して暮らせるまちに近づく一歩に」と願う佐々木さん(右)=8月23日

 
 一連の活動を終えた佐々木さんは「高校生と留学生の接点を作ることができた。関係性が継続してほしい」と期待。大学で学びたいことや将来のビジョンが明確化する好機にもなったようで、「地域共生を支えられるようになりたい」と先を見据えた。
 
 市多文化共生推進プランの第2期(2026年―30年)で目指す将来像は「世界とつながるKAMAISHI」。多様な文化を受け入れ、互いの違いを認め合うことができるまちが目標となっている。
 
 佐々木さんは「専門的な知識や語学力がなくても、同じ地域に住む身近な存在として寄り添えるのが高校生の強み」と考察。そして、普段から「顔見知り」程度でも触れ合っていることで、「いざという時に避難場所まで案内したり、そばにいて安心感を与えたり、高校生だからこそできる支援では」と訴える。
 
 多様な人が暮らす地域で、誰も取り残さない防災とは―。日頃からの備えに加え、いざという時に支え合える関係づくりを考え続けていきたい。