三陸鉄道「サントリー生ビール号」 釜石発着で初運行 満席、盛況「うまい!最高!」

かけ声は「スコール!」。ビールを片手に乾杯をする乗客たち
「サントリー生ビールが飲み放題」。そんなぜいたくな時間を楽しむ舞台は、三陸鉄道の車内だった―。6日、三鉄釜石駅(釜石市)-盛駅(大船渡市)間で特別列車が運行され、乗客がおいしいものを味わいつつ、車窓に流れる海街風景や車内イベントを満喫。普段とはひと味違う“ほろ酔い”の鉄道の旅に心を躍らせた。
特別列車の名は、ずばり「サントリー生ビール号」。サントリー東北営業本部(宮城県仙台市)が三鉄を応援し、沿線の交流を盛り上げようと企画する。3年目の運行にして初めて釜石発着が実現。乗客は40人で満席。地元のほか、盛岡市や山田町など岩手県内のみならず、遠くは長野など県外からも参加もあった。
釜石駅でレトロ列車に乗車。サントリー同本部の大類哲朗さん(企画部長)が「飲み尽くせないほどの在庫をしっかりと準備しました。『サン生』(サントリー生ビールの略)を思いっきり飲んで楽しく過ごしてください」と歓迎した。

サントリー生ビール号は三陸鉄道のレトロ列車が舞台
午後4時10分に列車が走り出し、数分後。乗客は生ビールが注がれた紙コップを手に、さっそく「スコール!」の声を響かせた。スコールは、「乾杯」を意味するデンマーク語。サントリーは同国のビールを参考に商品を生み出していたこともあり、乾杯の時には「スコール」と唱和するのだという。

「スコール!」。乾杯を楽しむ声が幾度も車内に響く
この日提供された“サン生”は、大類さんによると「王道のビール。爽快な喉ごしがグッとくるのに加え、心地よい麦のうまみ、コクも感じられる。すっと沁(し)みわたっていく味わいが特徴」という。車内にビールのサーバーを設置し、乗客は注ぎたての生ビールを飲むことができた。
釜石の日本料理店「みや川」の特製弁当をつまみに、冷えた生ビールで喉を潤す乗客たち。相席になった人と談笑したり、窓の外を眺めたりした。列車は恋し浜駅、折り返し地点の盛駅で一時停車。終点の釜石駅まで約2時間半の旅の合間には、サン生のこだわりをクイズ形式で紹介するセミナーや、缶ビール1箱(350ミリリットル、24本入り)などの景品をかけたじゃんけん大会、ビンゴ大会で大いに盛り上った。

ビールの豆知識クイズ、じゃんけん、ビンゴとお楽しみが満載

マイジョッキも持参!列車に揺られながら生ビールを味わう乗客
「生4つ」と何度もアピールしていたのは、花巻市から参加した昆静子さん(72)と梁田時子さん(73)。相席になった釜石市の佐藤正樹さん(61)、金森洋一さん(63)と会話を弾ませながら、飲み放題を堪能した。日本酒好きで釜石の酒・浜千鳥押しの梁田さんは「ビールがこんなにおいしいなんて!」と発見。昆さんは釜石出身というが三鉄に乗るのは初めてで、車窓からの海の眺めに感激した。そして、ビンゴ大会で得た景品を佐藤さん、金森さんに“お裾分け”。「釜石の懐かしい話ができて楽しかったし、お弁当も豪華だった。(相席の)組み合わせが良かった。『次もまたみんなで』との意味も込めて、福を分けたの」と笑顔を見せた。
福を得た金森さんだが、実は今回の乗車も運を引き寄せたものだった。このイベント列車は好評の企画で、申し込みが始まるとすぐに満席になるという。キャンセル待ちも多く、金森さんもその一人。待ち順は3番目だったらしく、「滑り込んだ」とうれしそうに笑った。2人一組の参加が必須のため、急きょ声をかけられたのが佐藤さん。やはり運の持ち主で、偶然居合わせた“お姉さんたち”との交流や気の知れた友人との触れ合いに「最高」と満面の笑みを浮かべた。

気心が知れた仲間と心地よい旅を楽しむ同級生グループ

乗って楽しみながら三陸鉄道を応援し続けるファンも
三鉄のロゴが入ったポロシャツを身に付けた原田哉(ちかし)さん(62)は、見た目通りの三鉄好き。各種イベント列車を利用したり、普段から乗って応援している。「車窓の風景の変化」がお気に入り。単身赴任中の大船渡市では沿線に住み、車両の走行音を時計代わりにする生活を楽しむ。今回、同乗した妻の寛子さん(58)は下戸ながら埼玉県新座市から足を運び、ウーロン茶を片手に心地よい時間を共有。原田さんは「何としても乗りたかった。生ビールの泡がよく出ていて、おいしかった。来年もぜひ運行して」と望んだ。

居合わせた人と自然に交流が生まれるのがイベント列車の魅力
この生ビール号は飲み放題におつまみ、お土産が付き、運賃も込み。それでいて料金はお手ごろとなっている。サントリーの山崎力さん(岩手支店長)は、列車内という非日常的な空間で飲食を味わうことで「ビールを好きに、おいしいと思ってもらえたらいい」と太っ腹。同本部の浜本太郎さん(企画部・部長代理)は「鉄道とタッグを組み、盛り上げられることを考えたい」と、早くも来年以降の企画へ気持ちを向けた。

おもてなし担当のサントリー関係者。乗客との交流も楽しんだ
三鉄の山蔭康明さん(釜石駅長)は「きょうの楽しい体験を周囲に伝えてもらえたら幸い。いろいろなイベント列車を運行しているので、チェックして乗ってほしい」と乗客らに呼びかけた。

釜石新聞NewS
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