umitokibounogakuensai2024thum

海と希望の学園祭 in Kamaishi

海と希望の学園祭in Kamaishi
 
 「海と希望の学園祭 in Kamaishi」を11月9日(土)、10日(日)の2日間、釜石情報交流センター釜石PITと釜石市民ホールTETTOで開催します。
 
 東京大学の先生や専門家によるトークイベント、海の生き物に触れ合えるタッチプール、海に関する映画の上映会、巨大バルーンオブジェをはじめとする様々な展示や各種体験コーナーなど、子どもから大人まで楽しめるたくさんの催しをご用意し、お待ちしております。
 
 海のことを学び楽しめる2日間!家族や友だちと一緒に、ぜひお越しください!詳しくは、下記のチラシをご覧ください。
 
海と希望の学園祭in Kamaishi(PDF:970KB)

この記事に関するお問い合わせ
総務企画部 総合政策課 企画調整係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8413 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024102000018/
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
kiflc-jp01

釜石・国際外語大学校で入学式 日本語学科開設、希望胸にネパール出身16人 観光系と2学科体制に

サリーなど華やかな衣装をまとって入学式に臨んだ学生たち

サリーなど華やかな衣装をまとって入学式に臨んだ学生たち

 
 釜石市鈴子町の「釜石市国際外語大学校」(竹内新也校長)に留学生を受け入れる日本語学科が開設され、28日、入学式があった。1年半コースの第1期生として、ネパール出身の16人が仲間入り。「日本語の勉強をがんばりたい」「日本で働きたい」との夢や希望を抱き、実現へ新たな一歩を踏み出した。日本人向けの外語観光学科との2学科体制が始動。同校にとっても新展開が予想され、関係者らは“わくわく感”を膨らませる。
 
 同校は学校法人龍澤学館(盛岡市)が運営する専門学校。若者の定着や地域活性化を狙いに釜石市が誘致し、今年4月に開校した。外国人対象の日本語学科は1年半と2年の2コースを設け、定員は各40人。法的手続きの影響で開講が予定より1年遅れていたが、ようやく1年半コースの10月開始にこぎつけた。
 
 日本語学科開設・入学式は大町の市民ホールTETTOであった。「サリー」など華やかな民族衣装や真新しいスーツに身を包んだ18~22歳の留学生16人が参加。学校や市の関係者ら約60人が拍手で迎えた。
 
拍手で迎えられる釜石市国際外語大学校日本語学科の1期生

拍手で迎えられる釜石市国際外語大学校日本語学科の1期生

 
 竹内校長は「ようこそ、日本、岩手県、釜石へ。皆さんが思い描く夢や希望の実現を導くために全力を挙げる」と式辞。2学科体制が本格化し、「わが校がどのように進むか興味深い」とワクワク感を募らせた。留学生を迎えるにあたり、市民から食器や調理器具などの提供があったことも紹介。「釜石のコミュニティーの一員として、自覚を持って生活をしてほしい」と望んだ。
 
日本語学科開設・入学式。式辞を述べた竹内新也校長(右上写真)

日本語学科開設・入学式。式辞を述べた竹内新也校長(右上写真)

 
竹内校長らのあいさつに熱心に耳を傾けるネパール人学生

竹内校長らのあいさつに熱心に耳を傾けるネパール人学生

 
 新入生を代表し、ラワル ユブラズさん(20)は「日本語の勉強をがんばります。卒業したら、日本でビジネスを勉強したいです。自動車のメカニックにも興味があります」と意気込みを伝えた。16日に来日し、釜石での生活は始まったばかり。「まち、道、海がとてもきれい。人も親切で優しい」と好印象を持った様子だ。
 
新入生を代表し意気込みを伝えるラワル ユブラズさん

新入生を代表し意気込みを伝えるラワル ユブラズさん

 
夢や希望を持ってネパールから釜石にやってきた学生たち

夢や希望を持ってネパールから釜石にやってきた学生たち

 
 先行する外語観光学科1年生の2人が歓迎の言葉。「多様性を尊重し、皆が分かり合うことを大切にするこの学校で一緒に学び、互いに成長できることを楽しみにしている。支え合いながら楽しい学校生活を送りましょう」と激励を込めた。
 
外語観光学科で学ぶ在校生は日本語と英語で歓迎を伝えた

外語観光学科で学ぶ在校生は日本語と英語で歓迎を伝えた

 
 同法人が取り組む日本語教育は20年目を迎え、これまで世界20カ国、1000人超を受け入れてきた。仕事の都合で入学式に参加できなかった龍澤尚孝理事長は「思いっきり勉強、アルバイトに励み、釜石での暮らしを楽しんでください。生きる学びで地域に溶け込み、多文化共生社会につなげてほしい」などとメッセージを寄せた。
 
 日本語学科の授業はすでに始まっている。学生らはある程度日本語は理解できるというが、今後週に20時間、日本語を学習。日本の大学や専門学校への進学を見据えており、1年半後には日常生活に必要な言葉が分かる程度の習熟を目指す。
 
釜石での生活をスタートさせた学生と見守る講師陣

釜石での生活をスタートさせた学生と見守る講師陣

 
食器や調理器具などの提供に感謝を伝えるパネル

食器や調理器具などの提供に感謝を伝えるパネル

 
 学生は市が整備したアパートで生活。学内の交流のほか、地域活動も進めながら異文化理解を深めていく。アルバイトについて、出入国管理法では申請すれば週28時間以内(長期休暇中は週40時間)の就労が可能となっていて、学校と市が市内事業所を訪問活動中。また、来春には2年コースが始まる予定で、ネパールやミャンマーからの留学生20人ほどが入学を希望しているという。

shokosai01

楽しい!高校生活、見せます 釜石・商工祭 専門の学び 特色生かした体験、展示で

釜石商工高の学校祭で機械科の生徒の作業を見守る家族連れ

釜石商工高の学校祭で機械科の生徒の作業を見守る家族連れ

 
 釜石市大平町の釜石商工高(今野晋校長、生徒180人)で27日までの2日間、「商工祭」が開かれた。商業、工業高の統合から16年目の学校祭は「商工華~百花斉放~」がテーマ。機械、電気電子、総合情報科の生徒それぞれが専門的に学んできた成果を地域に公開した。学業と合わせ、「楽しい」を視点に取り組む委員会や部活動でも多彩な個性を発揮。生き生きとした魅力あふれる学校生活を来場者に伝えた。
 
 学校のことをたくさん知ってほしい―との思いが込もった商工祭。工業系、商業系の特徴を生かした企画や展示を用意した。機械科は旋盤や溶接作業の実演、電気電子科は静電気発生装置「バンデグラフ」を使った実験やエネルギー模型の展示などを実施。ものづくりの楽しさ、磨いてきた技術力を見せた。
 
s黒い線を感知しながら自動で走る模型を紹介した電気電子科

黒い線を感知しながら自動で走る模型を紹介した電気電子科

 
実演や体験を通じ、ものづくりの楽しさを伝えた工業系の生徒ら

実演や体験を通じ、ものづくりの楽しさを伝えた工業系の生徒ら

 
 体験企画もあり、機械科では六角形の真ちゅう(直径約1センチ、長さ10センチ)を加工する文鎮作りを準備。生徒の保護者や家族、地域住民らは、同科1、2年生の説明を聞きながら旋盤での切削、取っ手となるねじを付けるための穴あけなどの作業を見学したり、やすりでの面取りに取り組んで完成させた。
 
 同科の佐々木琥羽さん(1年)は「誰でもできる簡単な作業で、ものづくりの楽しさを体感してもらえる機会だ」と積極的にアピール。佐藤匠さん(同)は緊張しながらも体験を希望した子どもらに寄り添い、作業を支えた。機械関係の仕事を念頭に知識や技術を習得中で、「さまざまな工具、機械に触れられて楽しい。資格取得もできるので就活に有利」と意欲を見せた。
 
スマホカメラで撮影しながら真剣な表情で見守る保護者も

スマホカメラで撮影しながら真剣な表情で見守る保護者も

 
 総合情報科は伝統の「商工マーケット」でおもてなし。生徒らが調査し、「おいしそう」「売れる」と思った菓子や麺、レトルト食品などを全国から仕入れて販売した。「おすすめですよ」「おやつにどうぞ」など元気に呼び込み、購入者には「ありがとうございます」と笑顔を添えた。
 
商工マーケットで購入者に笑顔で感謝を伝える生徒

商工マーケットで購入者に笑顔で感謝を伝える生徒

 
 ご当地スナックと岩手産リンゴを販売した同科の木下莉星さん(2年)のイチ押しは京都の金平糖専門店・青木光悦堂の砂糖菓子「ボンボン」。小さくてカラフルな見た目が「かわいい!」と選んだ商品で、狙い通り、子連れの家族が手に取っていて、「うれしい」と笑った。班の仲間7人で調査、仕入れ、交渉などを手分けし、苦労もあったというが、「言葉遣いに気を付けたり、質問された時の対処とか、コミュニケーション力を身に付ける機会。大変だったことは将来、役立つはず」と充実感をにじませた。
 
工夫を凝らして呼び込みをする総合情報科の生徒ら

工夫を凝らして呼び込みをする総合情報科の生徒ら

 
 ステージ発表ではなぎなたの演舞や、吹奏楽部の演奏会があった。「商工虎舞」は若々しい舞、威勢のいい掛け声で学校祭を盛り上げた。虎舞委員会の委員長で機械科2年の山崎陸翔さんによると、練習は週2回、昼休み時間が主で、18人いるメンバーがそろうことはほぼなし。それでも、コロナ禍の影響が落ち着き、声を出せるようになったことで活動意欲は高まっている。
 
なぎなたの演舞や虎舞を生徒や地域住民が楽しんだ

なぎなたの演舞や虎舞を生徒や地域住民が楽しんだ

 
好き、楽しさを表現。息を合わせて虎舞を披露した

好き、楽しさを表現。息を合わせて虎舞を披露した

 
 幼少期から身近にあった虎舞が「大好き」な山崎さん。伝統の商工虎舞の素晴らしさを多くの人に知ってもらおうと演舞にも力が入る。委員会としての活動だが、1年生メンバーが少ないのが気になっている様子。学年間の基本的な礼儀はあるが壁はなく、「仲も雰囲気もいい。やってみれば楽しさも分かると思う。学外で披露したり、いろんなことに挑戦したい」と前を向いた。
 
 生徒たちが開かせた多彩な花(学びの成果)は来場者に届いた様子。総合情報科で学ぶ娘の姿を見守った高木未来さん(40)は「接客や運営をしっかりやっていたし、普段とは違った面を見られた」と目を細めた。高校時代から専門的な学びに取り組む生徒たちにも感心。「各科の特色を生かした内容で楽しむことができた」とほほ笑んだ。
 
階段を彩るアート作品。たくさんの「商工華」は成長を続ける

階段を彩るアート作品。たくさんの「商工華」は成長を続ける

 
 戸塚敏彦副校長は「人とのつながりを感じ、学びを実践する場になれば。失敗も経験。トライ&エラー、やって失敗しても、また挑戦して改善、磨き上げればいい。地域の人たちに学校を知り、理解し、喜んでもらえたらうれしい」と話した。

asadakumi01

「負けるもんか!」大地震、豪雨被害の石川・珠洲で奮闘 重量挙げ指導で夢追う浅田久美さん 古里釜石で講演

宝樹寺で開かれた浅田(旧姓・長谷場)久美さんの講演会。釜石での講演は2010年10月以来

宝樹寺で開かれた浅田(旧姓・長谷場)久美さんの講演会。釜石での講演は2010年10月以来

 
 釜石市出身で石川県珠洲市在住の重量挙げ女子日本代表元監督、浅田(旧姓・長谷場)久美さん(61)が19日、古里釜石市で講演した。本年1月の能登半島地震、9月の石川県北部豪雨と2度の大災害に見舞われる中、指導する子どもたちの競技環境の立て直しに奔走。「珠洲から世界へ」と“年中夢求”の挑戦を続ける浅田さんは、能登の復旧の現状と逆境に負けず競技に励む子どもたちの姿を映像で見せながら、「(東日本大震災から復興してきた)釜石を見習って、決してあきらめずに頑張っていきたい」と力を込めた。講演会は天神町の宝樹寺(野嶋諭住職)が主催し、約40人が集まった。
 
asadakumi01

重量挙げ女子日本代表監督を務め、現在は石川県珠洲市で子どもたちを指導する浅田久美さん

 
 講師の浅田さんは5歳で釜石を離れ、移住した茨城県水戸市で高校までを過ごした。体育大学に進み、陸上の砲丸投げ選手として活躍していたが、卒業後に体育教諭として赴任した埼玉栄高で重量挙げ競技の関係者の目に留まり転向。1987年、24歳で女子競技の初めての世界選手権に出場した。以降、国内第一人者となり、全日本選手権12連覇。91~93年まで3年連続で世界選手権銀メダルを獲得した。五輪種目になることを願い競技を続けたが、採用された2000年は37歳となり、けがの影響もあって出場はかなわなかった。
 
 現役引退後は指導者の道へ。日本オリンピック委員会(JOC)専任コーチ、女子日本代表監督を歴任後、結婚を機に夫の出身地珠洲市に移住。2012年、子どもたちの重量挙げチーム「スズドリームクラブ」を立ち上げ、現在に至る。
 
浅田さんは1月の能登半島地震の被災状況を映像を見せながら伝えた

浅田さんは1月の能登半島地震の被災状況を映像を見せながら伝えた

 
 浅田さんは始めに1月1日に発生した能登半島地震について話した。地震発生時は、帰省先の釜石から自宅に戻る途中だった。夫の両親の無事は確認できたものの、半島につながる主要道は全てストップ。金沢市までたどり着き、珠洲市に向かうことができたのは4日の昼。車中から目にしたのは「言葉にならない風景」だった。建物は上から押しつぶされたような状態。道路はひび割れ、陥没箇所も。津波から逃れる高台への避難道路までもが建物の倒壊などで寸断されたという。
 
 未曽有の被害から9カ月半―。被災地は仮設住宅が建ち、ようやく倒壊家屋などの解体工事が始まった。そうした中で襲った9月21日の豪雨災害。浅田さんは復興の勢いが停滞している現状を示し、「奥能登は高齢化率が50%を超え、独居世帯も多い。経済的に自宅再建をあきらめざるをえない人も。まちがさら地だらけになるのではと心配」と復興への課題を口にした。
 
講演のタイトルは「負けるもんか! 珠洲から世界を目指す~年中夢求~」

講演のタイトルは「負けるもんか! 珠洲から世界を目指す~年中夢求~」

 
 大地震の発生は、重量挙げ競技に励む子どもたちの練習環境にも大きな打撃を与えた。練習場は地震による倒壊は免れたものの、災害復旧支援者の待機場所となり、しばらく使えない状況が続いた。今年はクラブ立ち上げ時に最年少だった子どもたちが高校3年生となる年で、インターハイでの団体優勝を目標に掲げていた。主力選手6人は避難先にある金沢学院大と津幡高に分かれ、2月に練習を再開。全員一緒に練習できる場も必要なため、クラウドファンディングで支援を募り、近県で週末の合宿を行った。協力したのは本県北上市のガス製造販売業、北良(笠井健代表取締役)。練習場は3月に入り使用可能となった。
 
 各方面の支援で練習を継続できた高校生らは、3月の高校選抜大会、4月の全日本大会で自己新記録や日本新記録を出すなど培った力を発揮。インターハイでは男子団体で準優勝したほか、各階級の個人で優勝を果たした。浅田さんはクラブ立ち上げからの軌跡を、映像を見せながら紹介。子どもたちの頑張りに会場からは拍手が湧き起こった。
 
珠洲市で重量挙げ競技に励む子どもたちの活躍を映像で紹介

珠洲市で重量挙げ競技に励む子どもたちの活躍を映像で紹介

 
 浅田さんは東日本大震災の教訓や復興に向かう釜石の状況を事あるごとに珠洲市民に伝え続けており、「釜石から学ばせていただくことはたくさんある。これからも釜石をお手本にして、少しでも幸せな日常が戻ってくるように日々、頑張っていきたい」と講演を締めくくった。
 
 市内の70代女性は「貴重な話を聞けた。釜石もそうだったが、復興への道のりは長い。能登もまだまだ大変だろうが、これから皆さんで復興を成し遂げてほしい。一生懸命頑張っている子どもたちも応援したい」と思いを寄せた。
 
浅田さんの講演に聞き入る来場者。東日本大震災の経験と重ね、能登の被災者を思いやった

浅田さんの講演に聞き入る来場者。東日本大震災の経験と重ね、能登の被災者を思いやった

 
 講演後の取材に浅田さんは「今の能登の現状を知っていただきたかった。皆さんが真剣に聞いてくださりうれしい。帰ったら今の釜石の状況も伝え、珠洲もくじけずにやれば何とかなると思ってもらいたい」と話した。重量挙げ指導者としての大きな目標は「五輪選手を育てる」こと。「珠洲から出る第1号の五輪選手に」と意気込む子どもたちと今後も夢を追い続ける。

thum_1103_grulla

DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング in 釜石PIT ツエーゲン金沢戦

DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング in 釜石PIT ツエーゲン金沢戦

 

\ いわてグルージャ盛岡を一緒に応援しよう! /

 

DAZN Presents パブリックビューイング in 釜石PIT
いわてグルージャ盛岡の応援企画として、アウェイ戦を中心にパブリックビューイングを開催します!

対象試合

2024明治安田生命J3リーグ 第35節(AWAY)
いわてグルージャ盛岡 vs ツエーゲン金沢

日時

2024年11月3日(日) 14:00 キックオフ
開場 13:30

場所

釜石PIT(岩手県釜石市大町1-1-10)

 

【駐車場について】
・斜向かいにある釜石大町駐車場または周辺の有料駐車場をご利用ください。
・自転車およびバイクは、釜石PITに隣接する駐輪駐車スペースをご利用ください。

参加費(運営協力費)

大人300円/高校生以下無料
※運営協力費は、本パブリックビューイング開催のための運営費の一部として使用いたします。会場でお支払いください。

その他

・いわてグルージャ盛岡公式グッズを会場にて販売!
・PV会場限定 オリジナルLEDキーホルダーも販売!
・ソフトドリンク/ノンアルドリンクを会場で販売!

主催

釜石まちづくり株式会社

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

kamaishi202401

秋空にキラリ!神輿に活気づく・釜石まつり 曳き船中止も、伝統継ぐ試みで盛り上げ

市街地を進む尾崎神社と日本製鉄北日本製鉄所釜石地区山神社の神輿=20日

市街地を進む尾崎神社と日本製鉄北日本製鉄所釜石地区山神社の神輿=20日

 
 釜石市の尾崎神社(浜町)と日本製鉄北日本製鉄所釜石地区山神社(桜木町)合同の「釜石まつり」は18日から3日間にわたって行われた。19日に予定していた尾崎神社の神輿(みこし)を乗せた漁船十数隻がパレードする「曳(ひ)き船まつり」は悪天候が予想されたため中止され、ご神体を迎える船など数隻のお渡りとなった。最終20日は秋晴れの下、市街地を背景に両神輿が渡御。沿道は多くの見物人でにぎわった。
 
 19日の釜石港。曳き船のパレードは中止となったが、尾崎神社奥宮から里宮に移るご神体を載せた神輿を迎えようと、岸壁では虎舞や神楽などの芸能団体、市民らが待ち構えた。大漁旗をなびかせた御召船が着岸すると、威勢のいい掛け声やおはやしが響き渡り、活気づいた。
 
大漁旗で彩られた御召船を虎舞などの芸能団体が迎えた=19日

大漁旗で彩られた御召船を虎舞などの芸能団体が迎えた=19日

 
 大漁祈願に―。萬漁業生産組合(箱崎町桑ノ浜)は、色鮮やかな大漁旗を掲げた2隻の船を岸壁に寄せ迎えた。「まつりだから。漁ができる感謝もあるし」と萬文貴組合長。今年の漁は上向き基調だったが、ここ1カ月ほどは厳しい状況とのこと。サバ、ソッコなどのブリ系統を狙っていて、「回遊してくる可能性はある。漁師たるもの、もうけねば」と、乗組員14人とともに腕をまくった。
 
海への感謝、漁の好転へ願いを込める萬漁業生産組合の漁師ら

海への感謝、漁の好転へ願いを込める萬漁業生産組合の漁師ら

 
 この日は、家々の前で舞を披露する門打ちが早い時間から行われた。大町の釜石情報交流センター周辺でも各団体が虎舞や神楽を繰り広げ、市民らが見物。近くの青葉通りには縁日広場が開設され、夜遅くまで屋台遊びを楽しむ姿が見られた。
 
k虎舞、神楽、七福神…門打ちで祭り気分を盛り上げる芸能団体

虎舞、神楽、七福神…門打ちで祭り気分を盛り上げる芸能団体

 
青葉通りにずらりと並んだ屋台は夜遅くまでにぎわった

青葉通りにずらりと並んだ屋台は夜遅くまでにぎわった

 
 神輿の合同渡御は20日昼過ぎに鈴子町を出発。市内15団体、約1000人の行列は魚河岸の釜石魚市場を目指した。途中の「御旅所」周辺など目抜き通りで各団体が神楽や虎舞、鹿踊りなどを披露。沿道を埋めた見物客から盛んな拍手を受けた。
 
 神輿の担ぎ手として参加した父親の姿を「かっこいい」と見つめた松澤優之介君(5)。きらめく神輿が「きれいだった」と笑った。一緒に訪れた60代の祖母らは東日本大震災の影響で海から少し離れた場所に転居し、まつり見物は「久しぶりだ」という。笛や太鼓のおはやし、掛け声といった祭りの音、大勢が集うまちの景色をしみじみと懐かしんだ。
 
日差しを受けた2基の神輿が市街地を練り歩く=20日

日差しを受けた2基の神輿が市街地を練り歩く=20日

 
色鮮やかな衣装をまとった踊り手たちが行列を華やかに彩る

色鮮やかな衣装をまとった踊り手たちが行列を華やかに彩る

 
子孫繁栄の願いを込めた鹿踊り、自前の神輿や山車も参加

子孫繁栄の願いを込めた鹿踊り、自前の神輿や山車も参加

 
さい銭をあげて手を合わせたり、大勢が行列を見守った

さい銭をあげて手を合わせたり、大勢が行列を見守った

 
 山神社の神輿に続いて「わっしょーい」とかわいらしい掛け声が聞こえてきた。小さな神輿の担ぎ手は、製鉄所や関連企業に勤める社員の子どもら13人。山口伊織さん(9)、橙利さん(7)の兄弟は「初めて参加した。楽しかったし、また担ぎたい」と笑顔を見せ、母親の彩乃さん(32)は「迫力あるまつり。子どもたちの頑張り、かわいい姿を見ることができた」とうれしそうだった。
 
修繕された神輿を担いで行列を盛り上げた子どもたち

修繕された神輿を担いで行列を盛り上げた子どもたち

 
 製鉄所で働く人が暮らす社宅は市内各地にあり、社宅ごとに神輿もあったという。今回、小川地区に残っていた神輿を修繕、復活させた。同社釜石総務室の高橋聡太郎さん(30)は「子どもの頃から地域の取り組みに参加することで愛着を持ってもらえる。まつりの盛り上げにもなる」と意義を強調。大人たちの神輿も「釜石の地で長く事業を続けられているのは地域の支えがあってこそ。感謝を伝える機会として、まつりは重要な位置づけ。人数の確保は容易ではないが、(参加を)定着、継続したい」と熱を込めた。
 
薬師公園御旅所に入る尾崎神社の六角大神輿と山神社の神輿(右)

薬師公園御旅所に入る尾崎神社の六角大神輿と山神社の神輿(右)

 
 尾崎神社六角大神輿の担ぎ手にも助っ人が加わった。防災や伝統文化の継承をテーマにした体験研修で来釜した東海大学観光学部の服部泰講師のゼミに所属する3、4年生計25人で、男子学生8人が力を貸した。東京出身の竹中凌さん(3年)は「神様、昔ながらの伝統を感じながら神輿を担ぐのは初めて。手を合わせて迎える人がいたり、そんな重みが肩にのしかかった。まち全体が文化を大切にしていた」と新鮮な経験を楽しみつつ、爽やかな汗を流した。女子学生は物持ちとして列に加わった。
 
大学生や近隣市町からの助っ人も加わった渡御行列でまちが活気づく

大学生や近隣市町からの助っ人も加わった渡御行列でまちが活気づく

 
 魚市場御旅所では神輿還御式が行われ、奥宮にかえるご神体を各団体がおはやしで見送った。主催の同まつり実行委事務局によると、19、20の2日間で計約1万人の人出があった。

oomurasaki01

国蝶「オオムラサキ」の幼虫すくすくと 釜石・日向ダム湖畔でふ化 観察会参加者「いた、いたー!」

「オオムラサキの幼虫はどこにいるでしょうか?」 答えはこの後の写真で…

「オオムラサキの幼虫はどこにいるでしょうか?」 答えはこの後の写真で…

 
 釜石市の小川川上流、日向ダム周辺で、環境省の準絶滅危惧種に指定されているチョウ「オオムラサキ」の幼虫が見られている。8月に産み付けられた卵からふ化したもので、体長2~3センチの黄緑色の幼虫が、餌となるエゾエノキの葉を食べて元気に育っている。15日には、同所での繁殖を願いエゾエノキの植樹を続けている、かまいし環境ネットワーク(加藤直子代表)が観察会を開いた。
 
 オオムラサキの幼虫が見られるのは、同ダム管理棟の北西に位置する多目的広場に向かう途中の“語らいの森”。同ネットワークが2007年に苗木を植えて育ったエゾエノキがある場所だ。会員で同所の保護、オオムラサキの観察を続ける菊地利明さん(59)が「目の前にいる」「葉の先端」などとヒントを与えると、必死に目を凝らす参加者から「見つけたっ」「あーいた、いた」「目が慣れてくると、いっぱい見える」と歓声が上がった。
 
参加者はオオムラサキの幼虫が見られるエゾエノキがある日向ダム「語らいの森」へ…

参加者はオオムラサキの幼虫が見られるエゾエノキがある日向ダム「語らいの森」へ…

 
菊地利明さん(左)が指差す先に目を凝らすと…

菊地利明さん(左)が指差す先に目を凝らすと…

 
1枚目の写真の答えは…黄丸部分!「 皆さん、見つけられましたか?」

1枚目の写真の答えは…黄丸部分!「 皆さん、見つけられましたか?」

 
 菊地さんによると、今の時期に見られるのはふ化後、3回脱皮した三齢幼虫。頭に大きめの2本の角、背中に4対の突起があるのが特徴。正面から見ると、漫画のキャラクターになりそうな愛らしい顔をしている。野鳥やスズメバチなどの天敵に見つかりにくいように、この時期は葉とほぼ同色で、餌を求めて活発に動き回るのは朝や夕方。寒くなって落葉するまでは樹上で過ごすが、寝床と餌場は別の場所で、葉を食べた後、再び寝床に戻る習性があるという。
 
エゾエノキの葉の上を移動するオオムラサキの幼虫。「顔、かわいいー!」

エゾエノキの葉の上を移動するオオムラサキの幼虫。「顔、かわいいー!」

 
「お食事中??」かな。「いっぱい食べて大きくなーれ!」

「お食事中??」かな。「いっぱい食べて大きくなーれ!」

 
 オオムラサキの雌の成虫は1匹で約500個の卵を産むというが、卵100個のうち成虫にまでなれるのはわずか1%。観察会では、無精卵か寄生虫の侵入が原因とみられる、ふ化できなかった卵の痕跡も見つかった。
 
 幼虫は葉を食べながらさらに大きくなる。11月初め~中ごろに落葉すると、樹上から下りてきて落ち葉にくるまって冬眠。冬季の体は枯れ葉のような保護色に変わる。年を越し、芽吹きの季節になると再び木に登り、6月にかけてサナギを形成する。7~8月が羽化の時期。雄が先に羽化する。
 
ふ化しなかった卵の痕跡も確認。成虫になるまでにはさまざまな困難が…

ふ化しなかった卵の痕跡も確認。成虫になるまでにはさまざまな困難が…

 
エゾエノキの根元には冬眠用の枯れ葉が飛ばないよう囲いを施している

エゾエノキの根元には冬眠用の枯れ葉が飛ばないよう囲いを施している

 
 昨年5月、同ダム周辺で行われたエゾエノキの植樹会にも参加した同市の川上凜さん(23)は、初めて見るオオムラサキの幼虫に感激。「最初は全然見つけられなかったが、よく見ると角があったり特徴的。来年はサナギや成虫も見てみたい」と期待を膨らませる。成長過程を知ることで植樹の意義も感じ、「自然は1年や2年でどうこうなるものではない。地元の人たちが環境を守り、次世代につないでいこうとする活動は素晴らしい」と敬意を示した。
 
 この日は、ダムが完成した1997年から続けられてきたエゾエノキの植樹箇所も見て回った。ダム完成時に植えられたものは大木に成長。近年植えられたものはシカの食害を防ぐために防護ネットで囲われていて、まだ低木ながら順調に成育している。エゾエノキにはオオムラサキのほか、ゴマダラチョウやテングチョウも卵を産むという。
 
植樹したエゾエノキが育つ場所にも足を運んだ。来年以降、近いうちに産卵が見られそうとのこと

植樹したエゾエノキが育つ場所にも足を運んだ。来年以降、近いうちに産卵が見られそうとのこと

 
 案内した菊地さんは「野生に近い形で環境を守ることが大事。オオムラサキは北海道から九州まで広く分布するが、地域によって羽の色や模様が異なる。その独自性を維持することも保護活動の重要なポイント。決して他の場所から卵や幼虫を持ち込んではいけない」と教えた。“日向ダム周辺をオオムラサキの里に”と、植樹やその後の保護活動を続ける同ネットワークの加藤代表は「ダム完成時に一緒に植えたクリやミズナラも林となり、樹液を餌とする成虫のオオムラサキも寄ってくるようになった。来年はぜひ成虫の観察会も開きたい」と話した。
 
オオムラサキの写真を見せながら生態について話す菊地利明さん

オオムラサキの写真を見せながら生態について話す菊地利明さん

 
 オオムラサキはタテハチョウ科に属し、羽を広げると10センチ前後になる。雄は羽の表面が青紫色、雌は黒褐色で、白や黄色の斑紋がある。日本昆虫学会が1957年に「国蝶(こくちょう)」に選定している。

marathon01

釜石健康マラソン 市民ランナーに愛され、節目の50回 つながる歴史「これからも」

ゴールを目指して元気いっぱいに駆け出す子どもたち

ゴールを目指して元気いっぱいに駆け出す子どもたち

 
 市民総参加型のスポーツイベント・釜石健康マラソン大会(釜石市体育協会、市陸上競技協会、市主催)は12日、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。スポーツを愛する人、クラブ活動に励む小中学生、健康維持と体力向上を目指してジョギングを楽しむ人など、年代も目的もさまざまな人が集う大会は、今年で50回目。さわやかな秋晴れの下、年に一度の顔合わせを楽しみ、力いっぱい走った。
 
 1975(昭和50)年にスタート。東日本大震災のあった2011年も続けたが、コロナ禍の影響で一度中止した。甲子町の市球技場から会場を移して4回目の開催。潮風を感じながら走る海沿いのコースを用意しながら、市民が集う機会を維持している。
 
 今大会は、既存と新設合わせて7種目に市内外の2歳から80歳までのランナー約270人が参加した。芝が広がるメイングラウンド内を発着点にして海沿いを走る3キロ、5キロの部で、出場者は心地いい風を受けながら走行。スタジアムやグラウンドの外周を使った2キロ以下の部では、保護者や地域住民らが移動しながら盛んに声援を送る姿が見られた。
 
子どもも大人も入り乱れてスタート。完走を目指す

子どもも大人も入り乱れてスタート。完走を目指す

 
釜石ならではの景色を楽しめる海沿いのルートも

釜石ならではの景色を楽しめる海沿いのルートも

 
ランナーたちは声援を力に、思い思いに走ることを楽しんだ

ランナーたちは声援を力に、思い思いに走ることを楽しんだ

 
 5キロアップダウンの部が新設。5キロの部の折り返し地点、根浜海岸のレストハウス付近をさらに進み、海抜約20メートルの高台にある「根浜復興団地」に駆け上がって市道箱崎半島線を鵜住居方面に向かうコース。高低差のある坂道がいくつか続くが、男女合わせて20人近くが出場した。
 
新設された5キロアップダウンコースを走るランナー

新設された5キロアップダウンコースを走るランナー

 
 最年長出場者の長岡直人さん(80)=同市嬉石町=も挑み、「余裕」でゴールした。この大会には8割参加しているといい、「知り合いに会うのが楽しみ。子どもらの参加も多く、頑張りを見ているのも楽しい」とニコニコ顔。妻・薫さん(75)の応援を受け、市外のマラソン大会にも積極的に参加していて、「あすはハーフ(マラソン)。楽しくがモットー。記録ではなく、制限時間に完走できればいい。沿道に手を振って、応援を力に走り続けたい」と元気だった。
 
「元気が取りえ」と話す長岡直人さん(左)と妻の薫さん

「元気が取りえ」と話す長岡直人さん(左)と妻の薫さん

 
 団体参加したFC釜石スポーツ少年団の佐藤灯さん、中島柊空さん、千葉條太郎さん(いずれも小学2年)は「気持ちよかった」と声をそろえる。3人とも2回目の出場で、前回より大幅に順位がアップ。「前半に突っ込み過ぎず、後半に余力を残したのが要因。目標達成できて、うれしい」と笑顔も重ねた。今、打ち込んでいるサッカーへのモチベーションも高まった様子。体力をつけ、「来年はもっと上位を」と意気込んだ。
 
 完走証に満面の笑みを見せていたのは、初出場の三縄高雅さん(小学2年)、情君(6)の兄弟。それぞれ1.5キロ(小学低学年男子の部)、400メートル(男子幼児の部)で8位、3位に入った。「のどがカラカラになるくらい頑張った。楽しかったから、来年も出たい」と意欲満々。小学時代に出場経験がある父親は「歴史がつながっていると思うとうれしい。大会を続けてほしい」と願った。
 
完走証を手に笑顔を見せる三縄高雅さん(右)と弟の情君

完走証を手に笑顔を見せる三縄高雅さん(右)と弟の情君

 
完走証を作成する運営スタッフの笑顔と拍手もご褒美

完走証を作成する運営スタッフの笑顔と拍手もご褒美

 
 半世紀続く大会に主催者、運営関係者らは感慨もひとしおだ。スターターを務めた市文化スポーツ部の佐々木豊部長(59)は第1回大会を知る世代。当時は参加対象が小学5年生からだったようで、佐々木部長は4年生だったことからオープン参加となった。大勢で走る楽しさを経験しているから、「(今回も)本当は走りたい」といたずらっぽく笑った。
 
 少子化、人口減、長寿化…さまざまな社会の変化もあって参加の間口を広げ、今は親子が一緒に走れる種目があったり、幼児から高齢者までが集える大会となっている。和やかな競技の様子を見守った佐々木部長は「この大会を目標に日頃から健康づくり、運動習慣づくりに取り組んでほしい」と期待する。
 
スターターを務めた佐々木豊部長(奥右)、サポート役の菊池信男会長(同左)

スターターを務めた佐々木豊部長(奥右)、サポート役の菊池信男会長(同左)

 
 市陸協の菊池信男会長(68)は「先輩たちがつないで50回も続く歴史ある大会。製鉄の歴史と同じように、ランナー、市民には失敗しても頑張るとの意気込みがある。参加人数は伸び悩むが、できることをやって人を集めて粛々と続けていければ」と話した。

tetudo02

見て触れて魅力味わう JR釜石駅で鉄道まつり 初の列車運転シミュレーター体験に子どもら大喜び

列車運転シミュレーター体験に目を輝かせる来場者=釜石駅鉄道まつり

列車運転シミュレーター体験に目を輝かせる来場者=釜石駅鉄道まつり

 
 釜石市鈴子町のJR釜石駅(髙橋恒平駅長)で12日、同駅や釜石線の利用者、地域住民への感謝を込めた鉄道まつりが開かれた。10月14日の「鉄道の日」、11日から20日の「鉄道の旬間」に合わせて企画。同駅では初となる列車の運転シミュレーター体験、鉄道模型(Nゲージ)の展示などが行われ、家族連れなどが鉄道の魅力に触れた。
 
 運転シミュレーター体験は、同駅構内の旧盛岡運輸区釜石派出所の訓練室で行われた。同運輸区はJR東日本盛岡支社の運転士、車掌が所属していた組織で、2021年3月まで釜石派出所があった。派出所廃止後、使われずに置かれていた運転士の訓練用機械―。「イベントでお客様に体験してもらっては」と社員が提案し、同まつりでの実施が実現した。3回の開催時間を設けて抽選券を配布。各回6人の定員で、当選者に体験してもらった。
 
 運転台から見える釜石線の線路と周辺の景色をモニターに映し出した機械で、来場者が機器を操作。大雨や大雪時の走行、地震発生時の緊急停止を指令する無線対応のシミュレーションもでき、体験した人たちは興味をそそられながら束の間の運転士気分を味わった。
 
釜石線の線路をモニターで見ながら運転体験!

釜石線の線路をモニターで見ながら運転体験!

 
JR社員との会話も楽しいひととき。来場者は鉄道の仕事に興味津々(写真は一部画像加工)

JR社員との会話も楽しいひととき。来場者は鉄道の仕事に興味津々(写真は一部画像加工)

 
 同市八雲町の中学生前田雄基さん(15)は釜石駅から小佐野駅間の走行を体験した。「停車する時が大変。運転士さんはこんな難しいことをやっているのか」と驚いた様子。鉄道が好きで普段から写真を撮ったりしているが、運転体験は初めて。自宅近くも走り、「運転士の目線で見る景色はとても新鮮だった」と声を弾ませた。好きな列車を聞いてみると、「釜石線を走る『キハ100』が一番好き」との答えが…。「将来は列車の運転士になりたい」と夢を膨らませた。
 
 同駅近くのシープラザ釜石では鉄道模型(Nゲージ)を展示した。社員有志が持ち寄ったもので、まちのジオラマの中を走らせた。JR東日本が運行する豪華寝台列車「四季島」、主に新宿-松本間を走る特急「あずさ」、石油運搬用のタンク車などさまざまな車両が登場。子どもたちを中心に人気を集めた。
 
鉄道模型(Nゲージ)の展示に子どもたちは目がくぎ付け

鉄道模型(Nゲージ)の展示に子どもたちは目がくぎ付け

 
この日は「ポケモントレイン釜石号」の運転日と重なり、釜石駅にはおなじみの黄色い車両が…(写真下)。まつりには三陸鉄道の車両、ポケモン列車の模型も登場(写真上)

この日は「ポケモントレイン釜石号」の運転日と重なり、釜石駅にはおなじみの黄色い車両が…(写真下)。まつりには三陸鉄道の車両、ポケモン列車の模型も登場(写真上)

 
 同市の菊池蛍志ちゃん(3)は周回するさまざまな列車に大興奮。ひときわ目立つ黄色い車両に歓声を上げ、「ポケモン列車大好き。乗ってみたい」と目を輝かせた。母志帆さん(37)は「時間がある時は(息子を連れて)駅に列車を見に行ったりする。今日は運転シミュレーターも体験できて大喜びでした。近場でこういうイベントがあると家族で楽しめるのですごく助かる」とうれしそうに話した。
 
 鉄道模型とともに、過去に県内で走っていた急行や快速列車の「行き先表示板(サボ)」、電柱に取り付けられていた縦型の駅名板も展示。古いものでは昭和30~40年代の代物もあり、当時を知る人にとっては懐かしい空間となった。
 
昭和の時代の鉄道風景を思い起こさせる「行き先表示板」「駅名板」も公開

昭和の時代の鉄道風景を思い起こさせる「行き先表示板」「駅名板」も公開

 
観光列車「ひなび」の塗り絵作品の展示も。写真左下は乗客に塩蔵ワカメを配る釜石駅の髙橋恒平駅長

観光列車「ひなび」の塗り絵作品の展示も。写真左下は乗客に塩蔵ワカメを配る釜石駅の髙橋恒平駅長

 
 会場内には、昨年11月に運行を開始した観光列車「ひなび」の塗り絵作品を展示。釜石、双葉、小佐野の3小学校の1年生が寄せたもので、自由な発想の色使いが目を引いた。作品はイベント終了後、今月31日まで釜石駅待合室に展示する。ひなびのPRコーナーや「大人の休日倶楽部」「えきねっと」などの相談会も開設した。昼前後には、釜石駅に到着した列車の乗客先着100人に同市特産の「塩蔵ワカメ」をプレゼント。髙橋駅長が改札口で手渡した。
 
 「この機会に鉄道の魅力に触れ、身近に感じてもらえれば」と髙橋駅長。これから本格化する県内の紅葉シーズンを見据え、「ぜひ鉄道を利用し、窓からゆったりと秋の景色を眺めていただければ。秋はおいしいものもたくさん。釜石にもお越しいただきたいし、釜石からも県内各所に足を延ばしていただければ」と“鉄道旅”をPRする。
 
 「鉄道の日」は1872(明治5)年10月14日、新橋-横浜間に日本初の鉄道が開業したことを記念して制定された。1880(同13)年に釜石で運行を開始した「工部省鉱山寮釜石鉄道」(大橋-釜石港間)は国内3番目(鉱山鉄道としては初)の鉄道として知られる。

rugbigdream01

~釜石ラグビッグドリーム~ 釜石SWプレマッチ2戦目 日野に40-19 ホーム戦勝利に観客沸く

プレマッチ2戦目で勝利し、歓喜に沸く日本製鉄釜石シーウェイブス=釜石ラグビッグドリーム、13日

プレマッチ2戦目で勝利し、歓喜に沸く日本製鉄釜石シーウェイブス=釜石ラグビッグドリーム、13日

 
 ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会釜石開催から5年―。大会レガシー(遺産)を継承し、「ラグビーのまち釜石」の一層の発信を図るイベント「釜石ラグビッグドリーム」が13日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。くしくも、この日は5年前のW杯釜石第2戦、ナミビア対カナダの試合が台風の影響で中止となった日。カナダ代表の選手らが、豪雨で浸水した住宅地で土砂除去のボランティア活動を行ったことは多くの市民の記憶に残る。その特別な日のイベントで雄姿を見せたのは、地元の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)。今季、ジャパンラグビーリーグワン2部で共に戦う日野レッドドルフィンズとメモリアルマッチを行い、40-19の勝利で観客を沸かせた。同ゲーム前には小中学生の交流マッチもあり、秋のスタジアムはラグビー一色に包まれた。
 
メモリアルマッチ「日本製鉄釜石SW(白)-日野レッドドルフィンズ」=釜石鵜住居復興スタジアム

メモリアルマッチ「日本製鉄釜石SW(白)-日野レッドドルフィンズ」=釜石鵜住居復興スタジアム

 
 今季スローガンに「STEEL WAVE」を掲げ、2部トップ4入りを目指す釜石。プレシーズンマッチ2戦目のこの日の相手は、今季2部に復帰した日野。釜石は新加入の3選手を含む先発メンバーで臨んだ。先制したのは釜石。前半5分、相手ゴール前のラックからロック、ハミッシュ・ダルゼルが押し込んでトライ。11分には期待の若手WTB阿部竜二が、この日ゲームキャプテンを務めるナンバー8サム・ヘンウッドからロングパスを受け、自慢の俊足で右に回り込み、インゴールに持ち込んだ。チームを引っ張るヘンウッドは26分、相手を振り切る力強い独走で自ら追加点。その後、日野に1トライを許すも、前半終了間際の39分、ゴール前ラインアウトからのモールを押し、最後尾からパスを受けたSH南篤志が飛び込んでトライ。4トライ4ゴール、28-7で前半を折り返した。
 
前半11分、WTB阿部竜二が右サイドに走り込み、SW2本目のトライ

前半11分、WTB阿部竜二が右サイドに走り込み、SW2本目のトライ

 
前半26分、相手ディフェンスを突破しトライを決めたナンバー8サム・ヘンウッド(中央)

前半26分、相手ディフェンスを突破しトライを決めたナンバー8サム・ヘンウッド(中央)

 
前半39分、モールから出したボールをSH南篤志が飛び込んでトライ。笑顔で喜びを分かち合う(右)

前半39分、モールから出したボールをSH南篤志が飛び込んでトライ。笑顔で喜びを分かち合う(右)

 
先発した新加入のSOミッチェル・ハント(右から2人目)は3ゴールも決めチームに貢献

先発した新加入のSOミッチェル・ハント(右から2人目)は3ゴールも決めチームに貢献

 
 勢いづいた釜石は後半4分、相手ディフェンスの隙を突き、SO落和史が右にロングパス。今季新加入のWTB川上剛右がきっちり決め、33-7と突き放した。後半は両チームとも選手を大きく入れ替え。釜石はターンオーバーされる場面が増え始め、残り10分までに日野に2トライを献上。最後の見せ場は31分、右ゴール前ラインアウトから左に展開し、じわじわと前進。相手ディフェンスを引きつける間に再び右へ大きく振り、最後はフランカー髙橋泰地が決めた。40-19で試合終了。バックスタンドの大漁旗が大きく揺れた。
 
 2選手が同じ職場で働いているという釜石市の小林英樹さん(40)は「久しぶりの盛り上がり。勝てて良かった」と大喜び。「地元で勝つことが釜石の元気にもつながる。今季はぜひ勝ちにこだわって1つでも多く勝ってほしい」と期待を込めた。
 
後半、相手に圧力をかけるプレーでゴール前にボールを運ぶ釜石SW

後半、相手に圧力をかけるプレーでゴール前にボールを運ぶ釜石SW

 
後半31分、CTB畠中豪士からナンバー8セタ・コロイタマナ、フランカー髙橋泰地とパスをつなぎ、右隅にトライ

後半31分、CTB畠中豪士からナンバー8セタ・コロイタマナ、フランカー髙橋泰地とパスをつなぎ、右隅にトライ

 
釜石SWの活躍に応援の大漁旗がはためく

釜石SWの活躍に応援の大漁旗がはためく

 
 試合後、釜石SWの須田康夫ヘッドコーチは「相手に圧力をかけ続けるという今年のテーマを選手たちがしっかり守ってやってくれた結果。後半、メンバーが入れ替わった時のゲームマネジメントに課題が見えた」と振り返った。ゲームキャプテンのヘンウッド選手は「すばらしい勝利だった。ゲームプランの遂行というところをちゃんとできたのが鍵だったと思う」と評価。チームの成長も感じ、「若い選手が育ってきている。試合の大事な場面でうまく対処できる力がついてきている」と話した。
 
 釜石SWは19日のプレマッチ第3戦、IBC杯ラグビー招待試合で、今季3部に参入したヤクルトレビンズ戸田と対戦。40-21(前半26-7)と、こちらも快勝した。SWのプレマッチはこの後11、12月に3戦を予定する。リーグワン初戦は12月21日(対九州電力キューデンヴォルテクス)。釜石鵜住居復興スタジアムでの初戦は12月28日の第2節、グリーンロケッツ東葛戦となる。
 

夢追う子どもたちも熱戦 会場内では多彩なアトラクションも うのスタで楽しい1日

 
釜石SWジュニアと宮古ラグビースクールが対戦した小学生交流マッチ

釜石SWジュニアと宮古ラグビースクールが対戦した小学生交流マッチ

 
 メモリアルマッチに先立ち行われた小学生の交流マッチは、釜石SWジュニアと宮古ラグビースクールが対戦。両チームのメンバーが入り交じっての試合も行われた。この日は秋田県で開催された6年生による東北大会に、両チームが合同チームを結成して出場したため、4、5年生メンバーでの対戦となった。SWジュニアのゲームキャプテンを務めた野田大耀さん(小佐野小5年)は「僅差でなく勝てたのでチームの成長を感じられた。パス回しやタックルでまだできていない部分があるので、これからの練習で改善したい」と前を向いた。
 
中学生交流マッチは釜石、甲子、釜石東の特設ラグビー部が熱戦を繰り広げた

中学生交流マッチは釜石、甲子、釜石東の特設ラグビー部が熱戦を繰り広げた

 
 中学生の試合には釜石、甲子、釜石東3校の特設ラグビー部が出場。市内の中学校は例年、他競技の中総体終了後にチームを結成し、10~11月に行われるラグビー競技の県中総体に挑む。それに向けた前哨戦ともなるこの交流マッチ。3戦を行い、2勝をあげたのは昨年、同スタジアムで開催された県中総体で初優勝を果たした釜石中。本年度は2、3年生20人でチームを結成し、8月から練習を開始した。佐藤碧空主将(3年)は「チャンスをものにし得点できたところは良かったが、ラックヤードの入り込みやディフェンスのラインで改善点があるので県大会までに修正したい。2連覇を目標にチーム一丸となって試合に挑む」と意気込んだ。
 
 会場内では自衛隊や警察、消防車両を体験できる「震災復興支援・働く自動車展」が人気を集め、フードコーナーもにぎわった。釜石を応援しようと今春結成された「ちあ釜」は、SWの試合のハーフタイムで念願のフラッグパフォーマンスを披露。試合後は誰でも楽しめるラグビー体験、餅まきも行われた。
 
自衛隊、警察、消防の車両がずらり!運転席に座り笑顔を見せる子ども

自衛隊、警察、消防の車両がずらり!運転席に座り笑顔を見せる子ども

 
SW対日野の試合のハーフタイムにフラッグパフォーマンスを見せた「ちあ釜」

SW対日野の試合のハーフタイムにフラッグパフォーマンスを見せた「ちあ釜」

katagishitoramai01

釜石の民俗芸能・片岸虎舞 6年ぶりに演舞 待ちわびた住民ら「最高だ」目頭熱く

心一つに片岸虎舞を披露する保存会のメンバー

心一つに片岸虎舞を披露する保存会のメンバー

 
 釜石市片岸町で伝承される「片岸虎舞」が13日、住民らを前に6年ぶりに躍動した。地元鎮守・片岸稲荷神社の例大祭に合わせ舞の奉納や門打ちを行ってきたが、新型コロナウイルス禍の影響や少子高齢化による人手不足などから活動が停滞。そんな状況に危機感を持った保存会の中堅メンバーらが「地域の宝を守らねば。できることをやろう」と再び動き出した。
 
 70人ほどの人が集まった同神社前の広場。笛や太鼓の音、威勢のいい掛け声を町内に響かせながら近づく特設の山車を多くのワクワク顔が迎えた。片岸虎舞保存会(柏﨑育也会長)の有志約30人は鎮守にあいさつ。「よし、やるかー!」と、気持ちを一つに舞台に向かった。
 
 遊び戯れる様子を表現する「片岸虎」、笹で牙を磨く場面を見せる「笹喰(ば)み」を勇ましく舞った。「うさぎ」「甚句」「大漁万作」など手踊りも披露。鳥を捕らえる姿を表する「刺鳥舞」は風流な歌い節に合わせて舞い手が軽やかに踊り、住民から盛んな拍手を受けた。
 
片岸稲荷神社前にある広場で虎舞を披露した

片岸稲荷神社前にある広場で虎舞を披露した

 
多彩な手踊りを次々と繰り広げるメンバーら

多彩な手踊りを次々と繰り広げるメンバーら

 
 片岸虎舞は江戸時代から続き、市内でも古い歴史を有する芸能の一つ。1998年に市の無形文化財に指定された。虎舞のルーツとされる国性爺合戦の和藤内の虎退治の場面を演じ、多くの手踊りがあるのが特徴。虎の勢いのよいしぐさを表現した勇壮な舞と、テンポの速いおはやしも持ち味となっている。
 
 「おはやし、耳になじんでいる」「懐かしいね」「こんなに人が集まるのは久しぶり。ウキウキする」「覇気もらった」「虎舞がないなんて…考えられない」。民俗芸能が人、地域をつなぎ、住まう人たちに伝統を大切にする思いが根付く。
 
ベテランメンバーの歌声が舞い手を盛り立てる

ベテランメンバーの歌声が舞い手を盛り立てる

 
虎舞、再会を待ちわびた住民らには笑顔が広がった

虎舞、再会を待ちわびた住民らには笑顔が広がった

 
 そんな虎舞も近年、思うような活動ができない状況が重なった。片岸地区は2011年の東日本大震災で被災。虎頭や太鼓、踊り道具も津波で失ったが、全国からの支援でそろい、翌年に復活。その後は10月の同神社例大祭で舞を奉納、門打ちを行ってきた。
 
 19年、釜石も会場となったラグビーワールドカップ(W杯)日本大会では2試合目が台風災害の影響で中止されたが、同じように祭り時期を迎えていた虎舞もお披露目が取りやめとなった。以降、コロナ禍で制約の多い生活が続いた上、保存会メンバーの高齢化、踊り手となる子どもの減少などもあり、祭り神事での奉納だけとなった。門打ちはせず、郷土芸能が一堂に会す催しへの出演も控えていたため、住民の多くは目にする機会が減った。
 
 震災後、住民が散り散りになった同地区では再建が進んだものの、地区外に居を移した人も少なくない。保存会のメンバーも然り。そんな中、地区内に住む保存会メンバーの耳に「虎舞が見たい。おはやしが聞きたい。今年はどうするの、踊らないの?」などと声が届くようになっていたという。
 
 伝統継承-。思いを持ち続けていた保存会事務局の柏﨑洋也さん(41)が中心となって仲間に声掛けし、「伝え続けるため、やれることをやろう」と決めた。今年は11日が同神社例大祭で、前日の宵宮祭で虎舞を奉納。平日だったこともあり門打ちは行わず、週末の日曜日に披露する形にした。
 
つなぐ誇りを胸に虎舞、手踊りを披露する保存会のメンバー

つなぐ誇りを胸に虎舞、手踊りを披露する保存会のメンバー

 
 当初、40代メンバー8人ほどの予定だったが、本番には「やりたい」という子どもや地区外からも仲間が集った。見る側の住民も同じで、久しぶりの再会を楽しむ姿もあった。洋也さんは「地域の人たちが喜んでくれたのが一番。集いの場を作るいい機会にもなった」とうれしそうに目を細めた。
 
 地元の新屋碧さん(鵜住居小6年)は5年前に練習に参加したものの祭りが中止となり、「どうしても踊りたい」と、友達の三浦琉生さん(同)を誘って参加した。数回の練習だったことから緊張したというが、保存会メンバーの教え方や雰囲気が心地よく、「楽しかった」と満足げ。来年は中学生となり、部活などで忙しくなるが、「地域にこういう伝統があるのを誇りに思う。残していきたいから続けたい」と受け止めた。
 
ベテラン、若手、子ども、OBも加わり伝統芸をつなぐ

ベテラン、若手、子ども、OBも加わり伝統芸をつなぐ

 
息の合った演舞とおはやしに住民らが拍手を送った

息の合った演舞とおはやしに住民らが拍手を送った

 
 片岸の虎頭は市内でも数少ない木彫り。がれきの中から見つかった1つは修復し大切に保管する。支援で2つが新調された。かつてはケヤキが使われていたが、今回は桐の木を使い軽量化。それでもズシリとした重さは舞い手たちに残る。洋也さんも久々の感触に「年齢を感じる」というが、表情には充実感がにじむ。
 
 かつてメンバーだった70代男性のもとに現役メンバーが歩み寄り、「どうだ?」と虎頭を手渡す場面も。男性は「軽いと思って踊っていたけど、重いなー。昔を思い出す。片岸に住んでいたら、やっぱりやらなきゃ。虎舞が死んだら、地域も死ぬ」と目頭を熱くする。そして、しみじみと…「最高だ」。足腰が弱くなったというが、「来年は踊っているかも、そんな力をもらった。ありがてぇ」と笑顔も光らせた。
 
虎舞がつなぐ世代間交流。笑顔がまぶしい

虎舞がつなぐ世代間交流。笑顔がまぶしい

 
大人の演舞に感化されてウズウズ。子ども虎舞も躍動

大人の演舞に感化されてウズウズ。子ども虎舞も躍動

 
 若い世代につなぐステップに―。保存会では「来年は門打ちを」と気持ちを一つにする。そして、今回披露できなかった演目・和藤内の復活も目指す構え。片岸虎舞の見どころの一つで、子どもの舞い手が欠かせない。洋也さんは「今回、思いのほか子どもたちが参加してくれた。その意気込みを大事にしたい」と話した。
 
伝統芸が地域を彩る景色…来年もまた見られますように

伝統芸が地域を彩る景色…来年もまた見られますように

dart01

医療従事者ら趣味の作品多彩に 釜石医師会が41回目の美術工芸展 20日まで開催中

17日に行われた釜石医師会「第41回医家美術工芸展」の展示作業

17日に行われた釜石医師会「第41回医家美術工芸展」の展示作業

 
 釜石医師会(小泉嘉明会長、会員52人)が開く「医家美術工芸展」が、本日18日から釜石市中妻町の釜石医師会館で始まった。会員医師や看護師、薬剤師とその家族らが制作した趣味の作品を展示する。医療現場の顔とはまた違った一面をのぞかせる同展。今年もさまざまなジャンルの作品が並び、出品者の豊かな人間性を感じさせる。20日までの開催で、同会事務局は「ぜひ多くの皆さんに見に来てほしい」と呼び掛ける。
 
 同展は1979(昭和54)年から続く秋の恒例行事。東日本大震災で2年間、新型コロナウイルス禍で3年間の中止はあったものの、脈々と回数を重ね、今回で41回目を迎えた。同医師会に所属する釜石大槌地区の開業医や地区内の国立、県立病院の勤務医のほか、関係病医院の看護師、薬局の薬剤師、それぞれの家族など67人が出品。作品数は114点に上る。
 
 絵画は油彩やパステルなど。医業の傍ら創作活動を続け、美術分野でも名を知られる医師の作品のほか、医師家族3世代が描いたほのぼのとした作品も。絵手紙や書、水墨画の作品も出品された。今回は写真が多く、各地の自然風景や祭り、スポーツなど多彩な被写体が並ぶ。季節の写真は年に6回発行する医師会報の紙面にも活用されるという。
 
東日本大震災津波に襲われた市中心市街地を描いた絵画も(右)

東日本大震災津波に襲われた市中心市街地を描いた絵画も(右)

 
市内外の季節の風景を捉えた写真作品

市内外の季節の風景を捉えた写真作品

 
体長1メートル18センチ! タチウオのデジタル魚拓は本物の色や質感が出てきれい

体長1メートル18センチ! タチウオのデジタル魚拓は本物の色や質感が出てきれい

 
 今の時代を感じさせるのが「デジタル魚拓」。スマートフォンやデジタルカメラで撮影した魚の画像を実寸大でプリントするもので、会員医師が釣り上げた1メートル超えのタチウオが色や大きさそのままに魚拓として残されている。
 
 細かな手仕事が光る作品も多数。ステンドグラス、レースや毛糸の編み物、各種フラワーアレンジなど、根気と集中力が発揮された作品が見られた。木の皮で編んだ籠バッグ、木の実細工など自然素材を生かした作品も。ツイッター(現X)発の人気キャラクター「ちいかわ」の漫画ページを刺しゅうで再現した作品は、一針一針でつないだ線の美しさに驚かされる。パン屋の店頭で見られる飾りパンもお目見え。ディスプレイ用だけでなくインテリアとしても楽しめる“食べられないパン”は実際の食材で作られ、焼きたての香りが漂ってきそうな仕上がり。
 
書やステンドグラス、フラワーアレンジの作品などが会場を彩る

書やステンドグラス、フラワーアレンジの作品などが会場を彩る

 
「ちいかわ」漫画の刺しゅう作品。文字まで全て縫い込まれている

「ちいかわ」漫画の刺しゅう作品。文字まで全て縫い込まれている

 
飾りパンやビーズアート(写真上段)など珍しい作品も…

飾りパンやビーズアート(写真上段)など珍しい作品も…

 
 県内には地域ごとに組織される医師会が14あるというが、同様の展示会を開いているのは釜石だけ。会場には会員やその家族のほか一般市民が足を運び、作品鑑賞を通じて交流の輪を広げている。同医師会の川崎浩一事務長(60)は「忙しい日々を送る医療関係者にとって、こうした趣味に親しむ時間は貴重なリフレッシュの機会になっているよう。診療でまとまった休みが取りづらい先生方も大型連休などに遠出して写真を撮ってきたり…。長く続くこの展示会は歴代の先生方が紡いできた医師会の大切な歴史の一つ」と話す。
 
展示会では作品に出品者の名前も添えられている。顔見知りの医師や看護師の作品もあるかも

展示会では作品に出品者の名前も添えられている。顔見知りの医師や看護師の作品もあるかも

 
 第41回医家美術工芸展は20日まで開催。開場時間は午前10時から午後5時まで。展示会場の釜石医師会館は、国道283号沿いの小泉医院裏手にある。