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絆を次世代に 姉妹都市提携30周年 ディーニュ市(仏)から釜石へ友好の代表団

触れ合いを楽しんだディーニュ・レ・バン市の代表団と釜石市民=9月23日

触れ合いを楽しんだディーニュ・レ・バン市の代表団と釜石市民=9月23日

 
 アンモナイトの化石が縁となり、釜石市とフランスのディーニュ・レ・バン市は1994年に姉妹都市の提携を結び、30周年を迎えた。これを記念し、9月21日から24日までディーニュ市の代表団が釜石市を訪問。さまざまな交流活動を重ねた。両市の友好を一層深めるべく共同宣言にも署名。「絆を次世代に継ぐ」との思いを共有した。
 
 一行はパトリシア・グラネ市長、ベルナール・テシエ市議ら関係者8人。初日は、釜石港周辺を視察した後、市役所で小野共市長らと懇談した。来訪を歓迎する小野市長は「30年の友情を今後も強いものにしたい」と希望。同席した高橋勝教育長も「未来をつくる子どもたちが絆をつないでいってほしい」と期待を込めた。
 
 グラネ市長は「つらい時も楽しい時も支え合う関係をつくっていきたい」と応じた。今回の訪問は文化的な交流のほか、機能的な役割を確認しながら関係性を強化するのが目標。中でも、「われわれの地域には世界初のジオパークがある」と強調し、「三陸ジオパークの世界的な認知に向け、経験を提供しサポートしたい」と約束した。
 
市役所で懇談する釜石市とディーニュ市の関係者=21日

市役所で懇談する釜石市とディーニュ市の関係者=21日

 
 大町のホテルクラウンヒルズ釜石に移動し、記念式典に臨んだ。市内で活動する女声合唱団「アンサンブル ル シエル」が両国の国家を斉唱。30年の交流を振り返る動画が上映され、ナレーションを担当した大井暖乃(のの)さん、加藤祢音(ねね)さん(ともに釜石高2年)が歓迎の言葉を伝えた。
 
 先人が長きにわたり紡いできた姉妹都市の交流を次世代へ引き継ぎ、さらなる相互理解と友好を深め、両国の親善に寄与していく―。そう記された共同宣言に両市長が署名した。
 
共同宣言に署名した小野共市長(右)とパトリシア・グラネ市長

共同宣言に署名した小野共市長(右)とパトリシア・グラネ市長

 
記念式典には約80人が集い、国歌斉唱や動画上映などが行われた

記念式典には約80人が集い、国歌斉唱や動画上映などが行われた

 
 両市の交流は、1992年に釜石で開催された「三陸・海の博覧会」で、ディーニュ市にある「アンモナイトの壁」の剥離標本を展示したのがきっかけ。鉄の歴史館での保存が決まり、94年4月に姉妹都市提携を結んだ。
 
 交流が一時停滞した時期もあったが、2011年の東日本大震災以降、ディーニュ市は物心両面から釜石復興の道のりを応援。官民での相互訪問を重ねてきた。22年にディーニュ市で栽培が盛んなラベンダーの種を譲り受け、育てた苗で釜石の街を彩る取り組みが進行。23年にはディーニュ市を中心に初開催されたアマチュアラグビー世界大会に岩手・釜石から特設チームを派遣するなど、関係が発展している。
 
震災の事実に耳を傾け、犠牲者を悼んで白菊を手向けた=9月22日

震災の事実に耳を傾け、犠牲者を悼んで白菊を手向けた=9月22日

 
 22日は、鵜住居町の震災追悼施設祈りのパークで犠牲者を悼み、黙とうと献花をした後、伝承施設いのちをつなぐ未来館を見学。釜石鵜住居復興スタジアムでのイベントに足を運び、祝い餅を来場者に手渡したり、いわて釜石ラグビーフットボールクラブと流通経済大ラグビー部の交流試合を観戦した。
 
笑顔を添えて祝い餅を手渡すディーニュ市の関係者(左)

笑顔を添えて祝い餅を手渡すディーニュ市の関係者(左)

 
うのスタで写真に納まる釜石市とディーニュ市の関係者

うのスタで写真に納まる釜石市とディーニュ市の関係者

 
 姉妹都市交流のきっかけとなった剥離標本が展示されている大平町の鉄の歴史館も見て回った。32年前の博覧会開催時に、標本を持ち込んだ地質学者のジャン・シモン・パジェスさん(オート・プロバンス ユネスコ世界ジオパーク関係者)は感動の再会。対応した市世界遺産室の森一欽室長らに当時の準備作業の大変さなどを伝えた。
 
鉄の歴史館にある「アンモナイトの壁」の剥離標本に再会⁉喜ぶディーニュ市のジオパーク関係者

鉄の歴史館にある「アンモナイトの壁」の剥離標本に再会⁉喜ぶディーニュ市のジオパーク関係者

 
「この標本に化石はいくつある?」とジャン・シモン・パジェスさん(右下写真)

「この標本に化石はいくつある?」とジャン・シモン・パジェスさん(右下写真)

 
 「この標本には3種類の化石がある。分かる?」。パジェスさんが問いかける場面も。アンモナイトとオウムガイは分かりやすいが、“イカの骨”がどこかにあるといい、釜石側の関係者は「新しい視点になる」と、うれしい発見を喜んだ。
 
 同館駐車場の一角には「ディーニュ・レ・バン市の丘」と名付けられた植え込みがある。30年前、両国にちなみサクラとマロニエ各1本が植えられており、その場所に今回、コブシの苗木1本を記念植樹。加えて、ラベンダーの苗12本も植え付けた。
 
鉄の歴史館駐車場の一角にある「ディーニュ・レ・バン市の丘」

鉄の歴史館駐車場の一角にある「ディーニュ・レ・バン市の丘」

 
交流継続を願い植樹するディーニュ市の代表団と釜石の子どもたち

交流継続を願い植樹するディーニュ市の代表団と釜石の子どもたち

 
 コブシの花言葉は「信頼」「友愛」などで、両市のつながり進展を願う。植樹には、次世代を担う小学生6人が参加。小山琉世さん(白山小5年)はその願いを受け止め、「僕たちが架け橋になって、つながりを盛り上げていきたい」と背筋を伸ばした。
 
 23日は、鵜住居町根浜で震災の講話、海浜植物ハマナスの再生活動に参加した。観光施設根浜シーサイドのレストハウスで昼食。郷土料理の研究、継承に取り組む女性たちが作った料理を味わいながら談笑した。
 
海と山の味覚をふんだんに使った料理を楽しむ昼食会=9月23日

海と山の味覚をふんだんに使った料理を楽しむ昼食会=9月23日

 
 朝どりしたホタテの炭火焼き、地元特産のクッキングトマト「すずこま」のはちみつ漬け、海藻のテングサを使った自家製ところてん、新鮮野菜たっぷりのすいとん汁…。“普通の家庭料理”を提供した前川良子さん(72)は「国は違っても古里は大事。食を通じて手を取り合う、気持ちの交流ができたと思う。言葉は分からずとも、心遣いを感じてもらえたらいい」とほほ笑んだ。
 
 三陸ジオパークの見どころの一つとなるジオサイト・釜石鉱山(甲子町大橋)の坑道見学に夢中になったという一行。旧釜石鉱山事務所にも立ち寄り、昭和時代を再現したレトロな室内とアナログな道具、展示室「Teson(てっさん)」にあるナウマンが作製した東北地方の地質図(予察地質図東北部)や鉱山で採取された鉱物に関心を示した。
 
三陸ジオパークの魅力に触れた代表団。認知度アップのサポートに期待

三陸ジオパークの魅力に触れた代表団。認知度アップのサポートに期待

 
 パジェスさんは「三陸地域には魅力的な点があると確信している。オート・プロバンスの経験を生かしたアドバイスでサポートしたい」と協力を惜しまない姿勢。両市の関係について、「地質という古い歴史から始まった交流がまた地質に戻り、新しい絆を深めるきっかけになるのでは」と期待を高めた。
 
 このほか、医療現場の様子や保護猫の活動にも触れた。グラネ市長は「自然が美しく、産業も発展しているまち。姉妹都市としていい関係を持っていて、若い世代の交流を強くしたいと感じた。オンラインから始め、現地交流させたい」と考えを示した。一行は24日に釜石を発ち、帰途に就いた。

DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング in 釜石PIT FC大阪戦

 

\ いわてグルージャ盛岡を一緒に応援しよう! /

 

DAZN Presents パブリックビューイング in 釜石PIT
いわてグルージャ盛岡の応援企画として、アウェイ戦を中心にパブリックビューイングを開催します!

対象試合

2024明治安田生命J3リーグ 第31節(AWAY)
いわてグルージャ盛岡 vs FC大阪戦

日時

2024年10月4日(金) 19:00 キックオフ
開場 18:30

場所

釜石PIT(岩手県釜石市大町1-1-10)

 

【駐車場について】
・斜向かいにある釜石大町駐車場または周辺の有料駐車場をご利用ください。
・自転車およびバイクは、釜石PITに隣接する駐輪駐車スペースをご利用ください。

参加費(運営協力費)

大人300円/高校生以下無料
※運営協力費は、本パブリックビューイング開催のための運営費の一部として使用いたします。会場でお支払いください。

その他

・いわてグルージャ盛岡公式グッズを会場にて販売!
・PV会場限定 オリジナルLEDキーホルダーも販売!
・ソフトドリンク/ノンアルドリンクを会場で販売!

主催

釜石まちづくり株式会社

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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雨でも楽しいニジマス釣り 橋野・親水公園で家族連れら挑戦 四季まつり第3弾

「やったー!」釣り上げたニジマスに歓声を上げる親子=22日、橋野町

「やったー!」釣り上げたニジマスに歓声を上げる親子=22日、橋野町

 
 釜石市橋野町の産地直売所「橋野どんぐり広場」隣の親水公園で22、23の両日、ニジマス釣り大会が開かれた。橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)と栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が共催する「はしの四季まつり」の第3弾。例年は一日限りのイベントだが、降雨の影響により急きょ翌日も開催した。
 
 園内の水車小屋から延びる小川に、滝沢市の養魚場から仕入れたニジマス約500匹を放流。地元住民が手作りした竹ざおを貸し出して、トウモロコシの粒を餌に釣りを楽しんでもらった。
 
 22日はあいにくの雨模様。いつもは上から魚群が見える小川も雨粒がはねて視界が悪く、ほぼ手探りでさおを出した。それでも魚の食いつきは思ったより悪くなく、釣りの醍醐味(だいごみ)の“引き”は十分。釣り上げた子どもらは目を輝かせ、楽しい思い出を心に刻んだ。
 
橋野どんぐり広場隣の親水公園。水車小屋から連なる小川にニジマスを放流

橋野どんぐり広場隣の親水公園。水車小屋から連なる小川にニジマスを放流

 
雨がっぱに長靴姿で釣りを楽しんだ=22日午前

雨がっぱに長靴姿で釣りを楽しんだ=22日午前

 
トウモロコシの粒を針に付けて釣る。水中から引き上げると生きのいいニジマスが姿を現した

トウモロコシの粒を針に付けて釣る。水中から引き上げると生きのいいニジマスが姿を現した

 
 同市の小学生、中財帆南美さん(9)は初めてのニジマス釣りで見事6匹をゲット。「引き上げる時は魚の力が強くてびっくり。上げるのが大変だった」と声を弾ませた。家庭では魚をよく食べ、好きな魚はホッケ。「ニジマスは食べたことがないので楽しみ」と夕食を心待ちにした。父誠さん(41)は以前、アユ釣りにも出かけたが、しばらくご無沙汰。「久しぶりに釣りができて楽しかった。子どもにもいい経験になる」と喜び、「人間は自然界の命をいただいて生きているので、無駄なく大切に食べることも学んでくれたら」と期待した。
 
自分で釣り上げた魚に笑みがこぼれる

自分で釣り上げた魚に笑みがこぼれる

 
体長20センチ以上の大物にうれしさいっぱい!

体長20センチ以上の大物にうれしさいっぱい!

 
振興協の女性たちが内臓も取ってくれて至れり尽くせり

振興協の女性たちが内臓も取ってくれて至れり尽くせり

 
 釣った魚は1匹200円でお持ち帰り。スタッフらがさばいて塩を振ってくれるサービスもあり、多くの人が利用した。このイベントではその場で炭火焼きにして食べることもできるが、この日は雨のために取りやめた。
 
 同振興協の菊池会長は「魚嫌いの子も自分で釣った魚は食べるようで、親御さんからも喜ばれている。釣りは年代問わず楽しめ、大人も夢中に…。20年以上続くイベントで、秋の風物詩として定着している」と話す。
 
 橋野の豊かな自然を生かし、地域への誘客や魅力発信につなげる「はしの四季まつり」。年間最後となる「水車まつり」は11月上旬に開催予定。農作物の恵みに感謝し、餅まきや雑穀メニューの販売などが行われる。

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「釜石絆の日」 スターダスト☆レビューがうのスタ初ライブ V7戦士松尾雄治さんが縁つなぐ 

「釜石絆の日」スターダスト☆レビュー うのスタ☆スペシャルライブ=21日

「釜石絆の日」スターダスト☆レビュー うのスタ☆スペシャルライブ=21日

 
絆マッチ いわて釜石ラグビーFC対流通経済大ラグビー部(白)の試合=22日

絆マッチ いわて釜石ラグビーFC対流通経済大ラグビー部(白)の試合=22日

 
 9月25日は、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会会場地の一つ、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで、「フィジー対ウルグアイ戦」が行われた日。東日本大震災からの復興の象徴となった同大会のレガシー(遺産)を継承し、多くの支援者と結ばれた絆を後世につなごうと、同市はこの日を「釜石絆の日」と定める。その記念イベント(釜石ラグビー応援団主催)が今年も同スタジアムで行われた。21日は「スターダスト☆レビュー」のスペシャルライブ、22日はラグビーの交流試合があり、両日とも雨に見舞われたものの、会場は釜石に思いを寄せる人たちの熱気に包まれた。
 
 スターダスト☆レビューのライブは釜石初開催。ボーカル・ギターの根本要さん(67)が新日鉄釜石ラグビー部日本一7連覇(1978~84年)の立役者で、釜石応援ふるさと大使の松尾雄治さん(70)と親交があり、震災後に2人で復興支援のトークイベント(2016年)を同市で開催していた縁で出演が実現した。
 
 ライブの前に根本さんと松尾さんが同年代の“絆トーク”。 約40年の付き合いという2人は出会いからの楽しいエピソードの数々を披露。観客の笑いを誘い、仲の良さを印象づけた。根本さんはラグビー人気急上昇のきっかけを作った松尾さんを「スーパースター。釜石というまちを日本で有名にしたのはおそらく松尾さん」と持ち上げ、初対面の席で周囲に溶け込ませてくれたことを懐かしんだ。松尾さんが音楽好きという一面も紹介。釜石での9年間の現役生活について松尾さんは「釜石の人たちはやさしく、みんなに支えられてラグビーをすることができた」と感謝。震災後は当時の仲間らとNPO法人スクラム釜石を立ち上げ、ラグビーW杯誘致などさまざまな支援活動を続けてきた。「もっと多くの人に釜石を見てほしい」と話し、海やラグビーを生かしたまちづくりに期待を込めた。
 
松尾雄治さん(左)と根本要さんによる絆トーク

松尾雄治さん(左)と根本要さんによる絆トーク

 
この日は釜石鵜住居復興スタジアムでは初の本格音楽ライブとなった

この日は釜石鵜住居復興スタジアムでは初の本格音楽ライブとなった

 
 「スタ☆レビ」の文字装飾が施されたバックスタンド席を背景に、グラウンド上に屋根付きのステージが組まれた。根本さんは地元ラグビーチーム「日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)」のジャージー、バンドメンバーらは「KAMAISHI大漁旗Tシャツ」を身に着けてステージに立った。ライブでは1986年のヒット曲「今夜だけきっと」、多くのアーティストもカバーする「木蘭の涙」、「トワイライト・アヴェニュー」など人気曲を交え、アップテンポ、バラードなど多彩な曲で楽しませた。同バンドは1981年デビュー。40年以上の長きにわたり活動を続ける。
 
メンバーはアカペラで「不思議なチ・カ・ラ」なども歌った

メンバーはアカペラで「不思議なチ・カ・ラ」なども歌った

 
あいにくの雨を吹き飛ばす熱気で盛り上がったライブ会場

あいにくの雨を吹き飛ばす熱気で盛り上がったライブ会場

 
 全国から約1500人が来場。アンコールを含め全18曲を楽しんだ。栃木県から足を運んだ北山富美子さん(64)は「晴れれば最高でしたけど、ライブはやっぱりいい。同年代のスタ☆レビが頑張っている姿に力をもらう」と笑顔。松尾さんとの縁で実現したライブに「地元の方も元気づけられるのではないか。遠くからもお客さんが来ることで、まちの復興がさらに進むといい」と願った。
 
 釜石市の小川大地さん(42)は「両親が(スタ☆レビの曲を)聞いていて、ずっと耳には残っていたが、生のライブは初めて」と感激。釜石に住んで17年。震災も経験し、同スタジアム誕生までの経緯もよく知る。「いろいろな思いが込み上げ、聞いていて夫婦で涙があふれた―」。ずっと聞きたかった曲“追憶”を「生で聞けて最高でした」と大喜びだった。2018年開業のうのスタでは初の本格音楽ライブ。「これを機にここでどんどんライブができるようになれば、まちも活気づくと思う」と小川さん。
 
「釜石絆の日」オリジナルTシャツ(写真右上)は限定100着の販売。1時間足らずで完売した

「釜石絆の日」オリジナルTシャツ(写真右上)は限定100着の販売。1時間足らずで完売した

 
釜石関連の各種グッズ販売は大盛況。多くの人が立ち寄った

釜石関連の各種グッズ販売は大盛況。多くの人が立ち寄った

 
 2日目のラグビー交流試合「絆マッチ」は昨秋、フランスで初めて開催されたワールドアマチュアラグビーフェスティバルに日本代表として出場した「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」が、釜石市と包括連携協定を結ぶ流通経済大のラグビー部と対戦した。
 
 1年ぶりのチーム結成となったいわて釜石は前半、流経大に先制トライを許すも、2トライを決め逆転。10-5で折り返した。後半は流経大に立て続けに6トライを奪われた。激しい雨で両チームともボールが手に付かず苦戦。現役の大学生パワーに押さえ込まれたいわて釜石は後半、得点に結びつかず、10-39で敗れた。
 
前半2本目のトライを決め、喜びに湧くいわて釜石

前半2本目のトライを決め、喜びに湧くいわて釜石

 
水しぶきを上げながら激しい戦いを繰り広げる両チーム

水しぶきを上げながら激しい戦いを繰り広げる両チーム

 
 元釜石SW選手で、いわて釜石の主将を務めた福士周太さん(30)は「1年前のメンバーとまた試合ができてうれしい」と再招集を喜んだ。事前に練習日を1日設定したが、参加は少数。「運動していなかった社会人と若いピチピチした大学生とでは体格も体力も違う。それでも2トライできたから、いいんじゃないかな」。ラグビーW杯釜石開催が一生に一度と言われたように、アマの世界大会に岩手、釜石ゆかりの仲間と出場できたのも「一生に一度の思い出」になった。SWでのプレーも大切な財産。県外への転勤が決まっているが、「プロでもアマでも釜石はラグビーのまち。それを作り上げ、つなげる手伝いをしていきたい」と未来を描いた。
 
1年ぶりの試合に笑顔を輝かせるいわて釜石の選手(写真左上) 新たな絆を結んだいわて釜石と流経大の選手ら(同下)

1年ぶりの試合に笑顔を輝かせるいわて釜石の選手(写真左上) 新たな絆を結んだいわて釜石と流経大の選手ら(同下)

 
 この日は中学生の交流試合もあり、釜石SWアカデミー・弘前サクラオーバルズの合同チームが静岡ブルーレヴズラグビースクールと対戦した。23日に予定されていたうのスタ運動会は、雨によるグラウンドコンディション不良のため中止された。

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ネパールの多様な文化を紹介 釜石・国際外語大学校 留学生受け入れ前に展示会

釜石市国際外語大学校で開かれている「ネパール展」

釜石市国際外語大学校で開かれている「ネパール展」

 
 釜石市鈴子町に今春開校した専門学校「釜石市国際外語大学校」。若者の定着や地域活性化を狙って市が誘致し、先行する外語観光学科で日本人学生が社会で活躍する力を磨いている。その学びの場にまもなく日本語学科が開設される。ネパールから約20人が仲間入りを予定。同国について理解を深め、留学生をあたたかく迎えてもらおうと、校内で「ネパール展」を開いている。30日まで。
 
 インドと中国チベット自治区に接するネパールは多民族国家で、公用語はネパール語だが、さまざまな言語が飛び交う。宗教はヒンズー教が主流だが、仏教徒やイスラム教徒も暮らす。世界最高峰エベレストで知られるヒマラヤの山国として、日本人にとってもなじみがある。
 
 会場は、校舎として利用する市教育センター5階の教室。民族衣装、バッグや帽子などの民芸品、生活用品を並べて多様な文化を紹介する。合わせると90点ほどあり、来釜する留学生が現在、通っている現地の日本語学校や、青年海外協力隊員などから提供されたものが中心。展示物に添えられた説明文を見ながら、生活の様子をうかがい知ることができる。
 
教室の一室を使って展示。90点ほどが並ぶ

教室の一室を使って展示。90点ほどが並ぶ

 
民芸品や書籍などがずらり。興味津々で見つめる来場者

民芸品や書籍などがずらり。興味津々で見つめる来場者

 
ボードゲームや宗教用品、教科書、手作り辞典などもある

ボードゲームや宗教用品、教科書、手作り辞典などもある

 
 展示には、外語観光学科の学生も協力。食文化や言語などを調べ、スライドにまとめたものを壁に映し出し、同国について発信している。「首都は?」「国旗の特徴は何?」といったクイズも用意。楽しみながら魅力に触れてもらうよう見せ方に工夫を加えた。
 
外語観光学科の学生が制作したスライドショーも見られる

外語観光学科の学生が制作したスライドショーも見られる

 
クイズを楽しみながらネパールについて理解を深める来場者

クイズを楽しみながらネパールについて理解を深める来場者

 
 市民に外国の人や文化に理解を深めることで歓迎ムードを高めてほしいとの願いに加え、「留学生が早く地域になじむよう、土台作りにつながれば」という期待も込もった展示となっている。「互いに理解し、あたたかい交流ができたら」と、日本語学科を担当する教師の佐々木美穂さん(41)。学校を飛び出し、地域での活動も視野に入れている。
 
異国の雰囲気が加わった釜石の街景色も楽しめる⁉

異国の雰囲気が加わった釜石の街景色も楽しめる!?

 
 留学生の生活支援として、家庭で眠る未使用の調理用具などの提供を呼びかけたところ、十分な心が寄せられた。海外の若者たちがやって来ることを「楽しみにしている」との声もあるといい、同校では「釜石に来てよかった」と留学生が感じられるようサポートしていく。
 
 日本語学科は10月中旬に授業が始まる。留学生と街で出会ったら…展示での学びを生かし、ネパールで使われる「ナマステ(おはよう、こんにちはといった、あいさつ言葉)」、「サンチェイ チョウ?(お元気ですか?)」、「ダンネバード(ありがとう)」などと笑顔で声をかけてみては。

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秋の全国交通安全運動展開中 SW選手、上中島こども園児も協力/小佐野交番は手作り反射材配布中

ラグビー体操で交通安全運動を盛り上げる上中島こども園児と日本製鉄釜石シーウェイブス選手

ラグビー体操で交通安全運動を盛り上げる上中島こども園児と日本製鉄釜石シーウェイブス選手

 
 秋の全国交通安全運動が30日まで展開される。スローガンは「反射材 光って気づいて 事故防止」。日没が早まるこの時期は特にも夕方の視野がとりづらい傾向にあり、ドライバー、歩行者ともにより一層の注意が必要。歩行者は反射材の着用で、ドライバーに自分の存在を知らせることが大切だ。釜石市では21日からの運動開始を前に19日、街頭啓発活動が行われた。活動にはラグビーの日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の選手、上中島こども園の園児が協力。交通事故防止の啓発に一役買った。
 
 街頭活動に先立ち、上中島多目的グラウンドで出発式が行われた。交通安全関係団体、警察署などから約130人が参加。市交通安全対策協議会(会長=小野共市長)の菊地敏文副会長(県自家用自動車協会釜石支部長)は会長挨拶を代読し、「市内では昨年8月から交通死亡事故は発生していないが、引き続き全年齢層への事故防止対策が重要。運動期間中の取り組みを通して、交通ルールの順守と正しい交通マナーの実践を習慣づけていただきたい」と呼び掛けた。
 
 釜石警察署の三浦正人署長は「日没が早まるこの時期はものの色や形が識別しにくく、道路横断中の高齢者が犠牲となる交通事故が増加する傾向にある。皆さまとの連携協力で各種取り組みを進め、市民の安全意識の高揚を図っていきたい」と話した。
 
 上中島こども園(楢山知美園長、園児39人)の5歳児が交通安全宣言。「道路には飛び出しません」「車が来ないか右、左、右をしっかり見ます」「道路を渡る時には大きく手を挙げます」などと声を上げ、安全に気を付けることを約束した。3、4歳児を含め総勢22人でラグビー体操を披露。SWの山田裕介(26)、川上剛右(30)、ヘルダス・ファンデルヴォルト(29)の3選手も一緒に体を動かした。
 
上中島こども園の5歳児が元気に交通安全宣言!

上中島こども園の5歳児が元気に交通安全宣言!

 
ラグビーのプレーの動きを取り入れた「ラグビー体操」。SW選手も一緒に…

ラグビーのプレーの動きを取り入れた「ラグビー体操」。SW選手も一緒に…

 
交通安全運動参加者はかわいらしい園児らの姿に元気をもらった

交通安全運動参加者はかわいらしい園児らの姿に元気をもらった

 
 啓発活動は同グラウンド近くで実施。2商業施設の入り口では反射材や交通安全チラシが入った啓発グッズを配布。市道沿いではハンドポップを掲げて、ドライバーに安全運転を促した。同運動は▽反射材用品などの着用推進や安全な横断方法の実践などによる歩行者の交通事故防止▽夕暮れ時以降の早めのライト点灯やハイビームの活用促進と飲酒運転などの根絶▽自転車・特定小型原動機付き自転車利用時のヘルメット着用と交通ルール順守の徹底―を重点に据える。
 
買い物客に反射材と交通安全チラシのセットを配り意識啓発

買い物客に反射材と交通安全チラシのセットを配り意識啓発

 
上中島町の市道ではハンドポップを掲げ、ドライバーに安全運転を呼び掛けた

上中島町の市道ではハンドポップを掲げ、ドライバーに安全運転を呼び掛けた

 
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 今季新加入のWTB川上剛右選手は「ラグビーも日常生活と一緒でルールがあり、順守が求められる。交通ルールも同じ。しっかり守って交通安全につなげてほしい」と願った。この日は自身にとって初めての地域貢献活動で、「声をかけると皆さん、SWのことを知ってくれていて、認知度の高さに驚いた。チームも毎日きつい練習を重ね、いい形でプレシーズンマッチ初戦を迎えられるのではとわくわくしている。ぜひ試合も見に来てほしい」と期待を込めた。
 
SWの選手も啓発活動に協力。10月5日から始まるプレシーズンマッチのチラシも一緒に配った

SWの選手も啓発活動に協力。10月5日から始まるプレシーズンマッチのチラシも一緒に配った

 
 釜石署によると、今年1月から8月末までの釜石市の交通事故発生件数は人身事故が10件(前年同期比5件減)、物損事故は316件(同6件増)。八重樫徹交通課長は「市内での交通事故は地元住民が日常生活の中で起こした事故が多く、駐車場以外の事故の4割は単独事故。一人一人が事故防止を意識し、安全確認を徹底すれば大きな事故も減る」と意識高揚を促す。
 

小佐野交番 署員が反射材キーホルダーを手作り 2年目の地域安全血圧手帳と合わせ活用を

 
手作りの反射材キーホルダーと地域安全血圧手帳をPRする小佐野交番の署員

手作りの反射材キーホルダーと地域安全血圧手帳をPRする小佐野交番の署員

 
 釜石警察署小佐野交番(川野正行所長、4人)は秋の全国交通安全運動に合わせ、署員が手作りした「反射材キーホルダー」を管内の希望する住民に配布している。限定300個。同交番で受け取ることが出来る。昨年から製作している「地域安全血圧手帳」も好評配布中。交通事故や犯罪から身を守るため、「ぜひ活用を」と呼び掛ける。
 
 反射材キーホルダーは小佐野交番連絡協議会(多田慶三会長)から資金援助を受け、同交番に勤務する署員4人で製作する。市販の反射テープに「小佐野交番」の文字と警察庁の広報用キャラクターをプリントしたものを貼り付け、ラミネートフィルムで加工。耐久、防水性を高めた。完成品は縦約9センチ、横約4センチ。手作りすることで費用が抑えられ、同交番オリジナルのグッズに仕上がった。
 
署員手作りの反射材キーホルダー。左は小佐野交番の署員をイメージしたプレミアムデザイン

署員手作りの反射材キーホルダー。左は小佐野交番の署員をイメージしたプレミアムデザイン

 
 同連絡協との協働で取り組むもう一つのグッズが地域安全血圧手帳。朝と夜、2回の血圧測定の値を書き込める手帳には、各ページの下に交通安全や防犯に関わる標語が記されている。「身を守り 家族も笑顔に ヘルメット」「前を見て どっちが大事 スマホと命」「留守電は あなたを守る 警察官」「本当かな 振り込む前に 110番」…。連絡協の会員から標語を募集し、各賞受賞作品を中心に掲載している。1日2回、標語を目にすることで、被害に遭わないように注意を促すのが狙い。
 
標語入り血圧手帳とキーホルダーの活用で住民の安全安心な暮らしを願う交番署員

標語入り血圧手帳とキーホルダーの活用で住民の安全安心な暮らしを願う交番署員

 
 同交番の管轄地域は上中島町から野田町までと広く、管内には約5千世帯、約9千人が生活する。川野所長は「近年は独居の高齢者も増えていて、交通事故や詐欺被害に遭わないよう、より一層の注意喚起が必要。反射材キーホルダーや地域安全血圧手帳を活用し、自分の身を守る行動を取ってほしい」と話す。
 
毎日の血圧測定で標語を確認。夕暮れ~夜の外出には反射材キーホルダーの装着を!

毎日の血圧測定で標語を確認。夕暮れ~夜の外出には反射材キーホルダーの装着を!

 
手帳とキーホルダーは小佐野交番で配布中。数に限りがあるので希望者はお早めに

手帳とキーホルダーは小佐野交番で配布中。数に限りがあるので希望者はお早めに

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活気あふれる「釜石よいさ」 幅広い年代集う 跳ねて踊って「よいやっさ~」

釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた釜石よいさ

釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた釜石よいさ

 
 さ~さ、よいやっさ~!威勢のいい掛け声とともに市民が群舞を繰り広げる祭り「釜石よいさ」(実行委主催)が15日、釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。33回目の今回は18団体、約700人が集結。幅広い年代の市民らが息を合わせて踊り、笑顔の輪を広げた。
 
 おはやし隊の笛や太鼓に合わせ活気あふれる掛け声が響き、「よいさ小町」があでやかに舞った。色鮮やかな浴衣、そろいのはんてんをまとった踊り手が輪踊りのようにパレード。楽しげな様子に誘われた観客が飛び入りで輪に加わる姿も見られ、会場は熱気に包まれた。
 
明るい笑顔でパレードを先導する「よいさ小町」

明るい笑顔でパレードを先導する「よいさ小町」

 
大漁旗をモチーフにしたはんてん姿で踊る子どもたち

大漁旗をモチーフにしたはんてん姿で踊る子どもたち

 
「よいさ!」。子どもたちは掛け声も元気いっぱい

「よいさ!」。子どもたちは掛け声も元気いっぱい

 
大人の踊り手たちも負けず躍動。「さ~さ、よいやっさ~!」

大人の踊り手たちも負けず躍動。「さ~さ、よいやっさ~!」

 
 コロナ禍前からの復活として、久しぶりに参加したのは「釜石小学校PTA」。全学年から有志を募り、保護者や教員を含め総勢約40人で練り歩いた。事前練習をして臨み、藤元美和さん(6年)は「難しかった。でも、みんなと踊って、いい思い出になる」とはにかんだ。PTA会長の元持彰範さん(48)は「学年を超え仲がいいが、さらに仲良しになってくれれば」と期待。五安城正敏校長は「参加することで、地域を盛り上げられたら。楽しさを残せば、続くはず」と子どもたちを見守った。
 
お久しぶりのよいさ参加となった「釜石小学校PTA」

お久しぶりのよいさ参加となった「釜石小学校PTA」

 
 涼やかな浴衣姿で踊りを披露したモッモッアウンさん(22)とエイタンダートゥンさん(22)は、ミャンマーからやって来た技能実習生。市内の水産加工会社で働く仲間(ベトナム、インドネシア)とつくった「井戸商店・近藤商店 技能実習生チーム」(約20人)で輪に加わり、日本の祭りを満喫した。
 
釜石市内で働く技能実習生らも楽しく踊る「ヨイサッ」

釜石市内で働く技能実習生らも楽しく踊る「ヨイサッ」

 
 2人は浴衣姿に満足げで、終始にこにこ顔。3回(各25分間)ある踊りの時間も「楽しいー。疲れない」と満喫した。「キラキラ」と手を振る部分がお気に入りというアウンさんは「みんなで踊るのが面白い。釜石でいろんなものに触れている」と充実感をにじませた。
 
 長く夏の風物詩として親しまれてきた祭りは、東日本大震災やコロナ禍でたびたび中止を余儀なくされたが、昨年、4年ぶりに復活した。会場を市中心部から同スタジアムに移し、猛暑を避けるため時期も変更。リニューアルした形では2回目の開催となった。
 
2年目のうのスタ開催。おはやし隊も笑顔で盛り上げる

2年目のうのスタ開催。おはやし隊も笑顔で盛り上げる

 
ラグビーで盛り上げ!日本製鉄釜石シーウェイブスのパレードにはジュニアチームも加わった

ラグビーで盛り上げ!日本製鉄釜石シーウェイブスのパレードにはジュニアチームも加わった

 
 祭り好きな80代女性は「音が聞こえてくると、じっとしていられない。気持ちがウキウキする」と、会場そばから駆け付けた。震災後、地域も祭りも縮小し寂しさを感じていたようで、「鵜住居でやってもらえてうれしいし、楽しみにしていた。続けてほしい」と歓迎した。
 
飛び入り参加の受け皿となった「かまっこよいさ!」チーム

飛び入り参加の受け皿となった「かまっこよいさ!」チーム

 
跳びはねながら元気に愛らしく踊る子どもたち

跳びはねながら元気に愛らしく踊る子どもたち

 
青色系がハヤリ?そろいの法被で踊りの輪をつくる大人たち

青色系がハヤリ?そろいの法被で踊りの輪をつくる大人たち

 
よいさを盛り上げた司会の佐野よりこさん(左の写真)。飲食や縁日コーナーもあり、にぎわった

よいさを盛り上げた司会の佐野よりこさん(左の写真)。飲食や縁日コーナーもあり、にぎわった

 
 以前、会場だった市中心部・大町周辺での再開を望む声もある。よいさと連動したにぎわい創出策として昨年実施した「アフターよいさ」を、今年は趣向を変え“前夜祭”に。14日夜、市民らがTETTO(テット)前広場で踊りの輪をつくって祭り気分を楽しんだり、立ち飲みスペースでほろ酔い気分を味わったりした。
 
市中心部のにぎわいにつなげようと行われた「よいさ前夜祭」

市中心部のにぎわいにつなげようと行われた「よいさ前夜祭」

 
「乾杯!」。立ち飲みスペースで祭り気分を味わう市民ら

「乾杯!」。立ち飲みスペースで祭り気分を味わう市民ら

 
 近くにある復興住宅で暮らす佐々木敬子さん(82)も祭り好きで、うれしそうに輪踊りを見つめていた。地元出身のフリーアナウンサー・民謡歌手佐野よりこさん(よいさ本番では司会も担当)の歌声を楽しみ、「年齢もあって踊るのは難しくなったけど、雰囲気を味わうだけでも楽しい。こういう催しで地域がにぎわってほしい」と願った。
 
 実行委によると、よいさ本番と前夜祭を合わせた来場者は約4000人。実行委員長の一人、大和田崇士さん(47)は子どもの頃に参加し、「大勢で踊る楽しさ」を記憶する。そうした思い出は実行委メンバーの多くに共通。「踊って、食べて、遊んで!全力で楽しんでほしい」。祭りの継承へ思いをより強くしている。
 
来年も「釜石よいさ」で会いましょう!

来年も「釜石よいさ」で会いましょう!

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震災復興・野球少年を応援! 天童よしみさん「夢と希望、捨てないで」 釜石市、感謝状贈る

応援を続ける天童よしみさんと交流した三陸地域の野球少年ら

応援を続ける天童よしみさんと交流した三陸地域の野球少年ら

 
 東日本大震災以降、釜石市などを会場に続けられている「天童よしみ絆旗学童野球大会」。冠する名の通り、演歌歌手の天童よしみさんが優勝旗など用品を贈って支援する。13年前、津波の爪痕が残る釜石を訪れていた天童さん。歌声で元気を届けると、笑顔のお返しがあり「逆に力をもらった」という。「夢や希望を捨てないで」。そんな被災地に寄せる心が、野球少年の応援活動につながった。自身も「新しいホールができたら、釜石でコンサートを」と思い続け、このほど実現させた。「夢や希望は持ち続ければかなう」。思いを体現する天童さんに、市民や子どもたちが感謝を伝えた。
 
 この大会は三陸の早期復興と岩手県内の野球少年の交流を図ろうと、2012年に始まった。当初は県の内陸部で実施し、被災した沿岸部の復旧が進んで開催場所が確保できるようになった15年の第4回大会から釜石を主会場に続けられている。
 
 その舞台となる平田公園野球場に9日、昨年の優勝チーム、綾里はまっこスポーツ少年団(大船渡市)、地元の釜石ファイターズと釜石野球団ジュニアのメンバーらが集合。優勝旗「絆旗」、大会旗を手に天童さんを囲んで記念写真を撮ったりして触れ合った。市と市体育協会は復興支援に貢献したとして天童さんに感謝状を贈呈。小野共市長は「その行動力に市民が元気づけられた」と述べた。
 
優勝旗と大会旗、天童さんを囲んで写真に納まる少年野球チームのメンバーら

優勝旗と大会旗、天童さんを囲んで写真に納まる少年野球チームのメンバーら

 
子どもたちや関係者が見守る中で天童さんに感謝状が贈られた

子どもたちや関係者が見守る中で天童さんに感謝状が贈られた

 
「大変なことがあっても目標、夢、希望を失わないよう…何か一つ絆を贈りたかった」と思いを話す天童さん

「大変なことがあっても目標、夢、希望を失わないよう…何か一つ絆を贈りたかった」と思いを話す天童さん

 
 天童さんは「学童のみんなも、私も毎回、この大会を楽しみにしていた。力いっぱい野球をしてほしい。元気でスポーツを、そして健康な心と体力を持ち続けてほしい」と熱を込めた。
 
 釜石野球団ジュニア所属の小笠原明香里さん(小学6年)は「着物を着て歌っているイメージだったけど、(洋服を着ても)かっこいい。スポーツを続けられる環境をつくってくれてうれしい」とはにかんだ。
 
 佐久間優希さん(中学3年)は、小学生時代に釜石ファイターズのメンバーとして臨んだ第10回大会で優勝した経験を思い浮かべ、「6年生は夏で野球が終わってしまうが、この大会があるから秋も野球を続けられたし、ステップアップできた」とうなずく。優しそうな天童さんの雰囲気に感激した様子で、現メンバーとして競技に励む妹優愛さん(小学2年)と笑顔を重ねた。
 
「野球、楽しんでる?」。子どもに優しく声をかける天童さん

「野球、楽しんでる?」。子どもに優しく声をかける天童さん

 
 天童さんの釜石応援は、同大会発起人で唐丹町出身の下村五五男(いさお)さん(69)=矢巾町=が震災直後に手紙を出したことがきっかけ。被災地への来演を望む思いに応え、11年5月に市内にあった避難所を訪ね、被災者を激励した。少年期から選手、指導者として野球にかかわる下村さんが大会の構想を伝えると、天童さんが賛同。絆旗や用品を贈るなど運営を支え、地域に根づく大会となった。
 
 今回、天童さんはコンサートのため、13年ぶりに来釜。9日は鵜住居町、唐丹町を回った。「当時、13年前は…声が出ないほどの壊滅的な場面が頭に焼き付いて、ずっと引っかかっていた。復興をこんな早く進めて、すばらしい街並みになった。海がちゃんと見える場所もあって…よかった」とうなずいた。
 
 13年前に拍手で出迎えてくれ住民らとも再会。天童さんは「皆さんの元気な笑顔を見ることもできて、うれしい」と表情をやわらげた。当時は、被災地に入ることに緊張や迷い、「どんな風に元気づけたらいいか」と不安もあったが、下村さんの手紙には「今こそ、勇気づけてほしい」とつづられ、添えられたある写真に「気持ちが動いた」という。50年以上前、釜石に来演した天童さんと一緒に納まった写真―。その頃からファンだった下村さんの熱意に反応した。
 
 それからつながる野球少年の応援に込めるのは「目標、夢、希望を捨てないで」との願い。幼少期から50年以上歌い続ける自身の経験もあるようで、「長く、長くやっているからこそ、夢と希望は持ち続けないと。必ずかなうから」と言葉に力を込めた。
 
天童さんの隣に座って言葉を交わす下村五五男さん

天童さんの隣に座って言葉を交わす下村五五男さん

 
贈呈式の様子をうれしそうに見守った下村さん(手前)と大会実行委員会関係者ら

贈呈式の様子をうれしそうに見守った下村さん(手前)と大会実行委員会関係者ら

 
 感謝状贈呈の場には下村さんや大会実行委員会のメンバーらの姿もあり、感慨深げに見つめていた。「晴れやかな涙が出た」と顔をほころばせた下村さん。野球人口が減り、複数の学校が組んで大会に出場する「連合チーム」が増えている現状を残念がるが、「楽しむ熱意のある子たちを応援し続けたい」と思いは変わらない。
 
 「もう1回、釜石にホールができたらコンサートに来たいと言っていた」と振り返った天童さん。10日、震災後に整備された大町の市民ホールTETTOで有言実行。「いろんなことが起きているが、乗り越えた皆さんは強い。これからに向かって、その元気パワーでさらに盛り上げてもらえるように」。熱い応援を歌声にのせ届けた。

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ここって釜石?! 隠れ家ビーチで海の魅力再発見 泳いで潜って乗って… 安全も学ぶ1DAYキャンプ 

11年目を迎えた「海あそびワンデイキャンプ」=8日、箱崎町白浜

11年目を迎えた「海あそびワンデイキャンプ」=8日、箱崎町白浜

 
 リアス海岸の地形が生んだ絶景ビーチでさまざまな遊びを楽しめる日帰りキャンプが8日、釜石市箱崎町白浜地区で行われた。地元の海に関わる団体や漁師らでつくる、海と子どもの未来プロジェクト実行委「さんりくBLUE ADVENTURE(ブルー・アドベンチャー)」が主催。漁船で上陸した箱崎半島の白砂の海岸で、親子連れら約50人が各種マリンレジャーを楽しんだ。
 
 キャンプ地は白浜漁港から船で2キロほどの場所にある、通称「小白浜」と呼ばれる入り江の海岸。背後は山林で、高台には三陸ジオパークのジオサイトの一つ、花こう岩の景勝地「千畳敷」へのハイキング路が連なる。漁港でウエットスーツとライフジャケットを着用した参加者は地元漁師の船で浜に上陸。さまざまな海遊びに興じた。
 
白浜漁港から地元漁師の船で“小白浜”に向かう

白浜漁港から地元漁師の船で“小白浜”に向かう

 
 シーカヤック、スタンドアップパドルボード(SUP=サップ)を操り、海上からの眺めを楽しむ人。シュノーケリングで海中の生き物を探す子ども。波打ち際で砂遊びに夢中になる親子。それぞれに好きなことをして、海の面白さを体感した。
 
 鵜住居町の佐々木結萌さん(10)は「楽しそうだったから」と初めて参加。小学校の友人と泳いだり潜ったりと、時間を惜しんで満喫した。夏休みには海水浴にも行ったが、「ここは海の色がすごくきれい。水に浮かぶのが一番楽しかった。帰ったら家族に報告したい」と今夏の思い出を増やした。
 
「海だー!」砂浜から駆け出す子どもたち

「海だー!」砂浜から駆け出す子どもたち

 
思い思いに海遊びを楽しむ。みんな笑顔満開!

思い思いに海遊びを楽しむ。みんな笑顔満開!

 
近年人気のスタンドアップパドルボード(SUP)。海上をゆっくり散歩

近年人気のスタンドアップパドルボード(SUP)。海上をゆっくり散歩

 
シーカヤックは初心者でも操縦可能。海面を滑るように進む

シーカヤックは初心者でも操縦可能。海面を滑るように進む

 
 人気を集めたのは海上パトロールや救助にも使われる水上オートバイの乗船体験。全国組織のシーバードジャパンが協力し、4艇を使って約30分の長距離走行を実現した。釜石、気仙沼(宮城県)、さがえ(山形県)の東北3拠点のほか、千葉県からも隊員が応援に駆け付け、代わる代わる参加者を乗せて大槌湾に繰り出した。ライフセーバーの資格を持つ13人の隊員は、浜辺や海上から参加者の安全にも目を配った。
 
シーバード隊員が操縦する水上オートバイに乗っていざ大海原へ

シーバード隊員が操縦する水上オートバイに乗っていざ大海原へ

 
写真上:水上オートバイから見るリアス海岸は絶景 同下:沖から見た“小白浜”

写真上:水上オートバイから見るリアス海岸は絶景 同下:沖から見た“小白浜”

 
 片岸町の小笠原泰樹さん(41)家族は同キャンプ初参加で、水上オートバイにも初めて乗った。長男皐太さん(9)は「水を跳ねて海を走っていく感じが最高。景色も陸から見るのとは違った。(岩肌には)小さい神社の鳥居も見えた」、母恵子さん(40)は「御箱崎灯台が見えるところまで行った。天気が良くて海がキラキラ輝いていた。魚の群れも見えた」と大興奮。泰樹さんは「三陸ジオパークとしてPRしているのは知っていたが、じかに見たことはなかった。釜石にもこんな素晴らしい観光資源があったとは。特別感がある体験」と感激。「もっとみんなに知ってほしいし、ぜひ見てもらいたい」と夫婦で口をそろえた。
 
 シーバード富津(千葉県)の古賀健一郎代表(57)も「仲間に誘われ、ずっと来てみたかった場所。エメラルドグリーンというか、海の色が全然違う」と驚きの表情。大津波が襲った震災後、海離れが進んだ話も聞いていたが、子どもたちがはしゃぐ姿を目にし、「海に携わる人間としては本当にうれしいこと。せっかくの大自然。ぜひ、多くの人に触れてほしい。子どものころの体験は親になった時に自分の子どもを連れてくることにもつながる」とほほ笑んだ。
 
海中の白砂が見えるぐらい透明度抜群のビーチ

海中の白砂が見えるぐらい透明度抜群のビーチ

 
海の楽しさを満喫する参加者

海の楽しさを満喫する参加者

 
 震災後の「海離れ」を食い止めたい、地元の豊かな自然に誇りと愛着を持ってほしい―と始められたキャンプは、今年で11年目に突入。釜石ライフセービングクラブ(菊池健一会長、10人)など海の安全に関わる団体、箱崎白浜の漁師、市内外のボランティアなど多くの支援者の協力で継続されている。海の専門家による安全管理体制が整っていることで保護者の信頼も厚く、リピーターも多数。キャンプでは、海への転落や溺れてしまった時に自分の身を守る「浮いて待て(浮き身)」の方法を教える講習も欠かさない。開始前には地震、津波時に逃げられる高台への避難ルートの確認、仮設トイレで使う非常用便器の使用法の説明など、防災に関わる知識、意識の普及にも努める。こうした地道な活動を通して“海のまち”で生きる力を育む。
 
スタッフが紹介され、海での注意点などが伝えられた開会行事

スタッフが紹介され、海での注意点などが伝えられた開会行事

 
災害時に役立つ簡易トイレの使い方を説明

災害時に役立つ簡易トイレの使い方を説明

 
 同実行委共同代表の佐藤奏子さん(45)は「防災や野外活動など各種分野の専門家の協力を得て、有意義な活動ができている。この11年で自分たちの経験値も上がり、仲間も少しずつ増えてきた。地域の活力にもつながっていると感じる。毎年参加してくれる子どもたちもいて、成長を見られるのもうれしいこと」と話す。今年は運営スタッフとして、市内外から30人余りが協力した。
 
漁船からも参加者を見守る。ライフセーバーは海上を巡回して安全を確認

漁船からも参加者を見守る。ライフセーバーは海上を巡回して安全を確認

 
シュノーケリングで海中の生き物探し。普段見られない世界に子どもも大人も夢中

シュノーケリングで海中の生き物探し。普段見られない世界に子どもも大人も夢中

 
ヒトデや貝、アメフラシなどさまざまな生き物が見つかった

ヒトデや貝、アメフラシなどさまざまな生き物が見つかった

 
 この活動には、釜石はまゆりトライアスロン国際大会に参加していたマイケル・トリーズさんが立ち上げた被災地支援組織「Tri 4 Japan(トライ・フォー・ジャパン)」が初回から協力。ウエットスーツや活動資金を提供している。
 
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第33回釜石よいさ 開催御礼

 

9月15日(日)に開催されました「第33回釜石よいさ」及び、14日(土)に行われました「釜石よいさ前夜祭」は、おかげさまで盛況のうちに終了いたしました。
日々様相が変わる週間天気予報に不安を抱く中、幸いにも2日間とも開催中は雨に降られることなく、「釜石よいさ」も「前夜祭」も大きな事故やトラブルなく実施出来ましたこと、心よりお礼申し上げます。

 

コロナ禍からの復活開催となった昨年、この先の時代の趨勢を見据えたトライアルとして鵜住居復興スタジアムでの開催を決め、賛否を含む様々なご意見や熱い想いをお寄せ頂いた中で、想定していた成果と継続性への手応えを得て、2度目のうのスタ開催となった今回は、昨年を上回る3,500名の皆様にご来場またご参加頂きました。
また、市街地の賑わいへの連携などを図って実施した前夜祭は450名の方々にご来場頂き、2日間合計で約4,000人の皆様に「釜石よいさ」をお楽しみ頂くことが出来ました。

 

まだまだ厳しい世情が続く中、今回もスポンサー協賛やご寄付など多大なご厚意を頂き、開催費用としてはもとより、実行委員一同、地域の活性化のために力を注ぐ大きな推進力となりました。
子供たちが楽しめるコンテンツの更なる充実を図り、参加者やご来場者の皆様に安全な環境のもとで楽しんで頂けたことが、たくさんの笑顔と歓声に繋がりました。あらためまして、ご厚意に感謝申し上げます。

 

参加団体及びご出演頂いた皆様には、今年もよいさをみんなで盛り上げてくださってありがとうございました。
復活開催の昨年よりも、少しづつではありますが参加団体や人数が増え、“まず何よりも参加して楽しんで頂きたい!”と考えている釜石よいさとしては、大変ありがたく、とても嬉しく思っております。ぜひ来年もみんなで一緒に踊りましょう!
また、今回は体制が整わず参加を見送った団体の皆様にも、次回ご参加頂けますことを願っております。

 

「第33回釜石よいさ」も、今この時間を楽んで頂きながら、未来に繋がる活力を感じる事の出来る、たくさんの笑顔が弾ける心地よい一日となりました。
ご協賛・ご寄付を下さった皆様、参加団体や飛び入り参加で盛り上げて下さった皆様、観覧や応援に足をお運び下さった皆様、開催にご協力下さった各方面の皆様、今年もありがとうございました。

 

ご協賛いただいた皆様

第33回釜石よいさ 協賛ご紹介(釜石よいさ公式サイト)

 

参加団体

かまいしこども園、上中島こども園、正福寺幼稚園、甲東こども園、井戸商店・近藤商店技能実習生チーム、沿岸広域振興局チーム、釜石市介護施設連絡協議会、釜石市役所、釜石小学校PTA、かまっこよいさ!、鼓舞櫻会 桜華颶美(ハナグミ)、(福)仙人の里、(同)ZEN PROJECT、日本製鉄釜石シーウェイブス、日本製鉄グループ、双葉小学校4・5・6年生、ほか飛び入り参加の皆様

 

協力団体

釜石市、釜石商工会議所、釜石観光物産協会、釜石市民ホールTETTO、岩手日報広華会、(株)ウェルネスコーポレーション釜石、(株)及川工務店、北良(株)、釜石清掃企業(株)

 

釜石よいさ実行委員会

釜石よいさ実行委員会

釜石よいさは釜石の夏の風物詩として市民から親しまれているお祭りです。

問い合わせ:080-1194-0413 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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鳥インフル対応訓練 万一に備え 埋却作業の手順確認 岩手県、建設業協会釜石支部など連携

鳥インフルエンザの発生を想定して行われた対応訓練

鳥インフルエンザの発生を想定して行われた対応訓練

 
 釜石市内にある肉用鶏農場で11日、鳥インフルエンザ等発生時対応訓練が行われた。岩手県沿岸広域振興局、県南家畜保健衛生所などが共催。感染時の死亡率が高い高病原性鳥インフルエンザが発生したとの想定で、防護服の着脱や埋却作業に取り組み、手順や役割を確認した。
 
 訓練は鳥インフルエンザなどの発生時に、迅速で適切な防疫活動に取り組めるよう実施。本年度、肉用鶏農場が稼働したことを受け、釜石、大槌地域では初めての本格的な訓練となった。
 
 沿岸振興局を中心にした県の各関係機関の職員のほか、県建設業協会釜石支部(八幡康正支部長)の支部員ら約50人が参加。本番に近い形の実践として、作業を担当する職員らは防護服やマスク、手袋、長靴などを順番に身につけ、袖や足首などにすき間ができないよう入念にテープを巻いた。
 
防護服の着脱訓練をする参加者。すき間がないようしっかり

防護服の着脱訓練をする参加者。すき間がないようしっかり

 
 その後、埋却作業では事前に掘削した埋却溝(深さ4メートル、下幅5メートル、上幅9メートル)に重機で消毒用の消石灰を散布した上で、ブルーシートを敷設。殺処分した鶏に見立てた土のうを投入し、さらにシートで覆い、再度、消石灰をまいた。
 
 釜石にある鶏農場では16万羽を飼育する。鳥インフルエンザが発生した場合、今回の訓練で利用した土のうで換算すると、約2500個分となる見込み。そうした説明も聞いた参加者は一連の作業の流れを確認しながら、注意点などに理解を深めていた。
 
埋却溝に消石灰を散布してシートを敷き、土のうを重機に取り付け投入準備

埋却溝に消石灰を散布してシートを敷き、土のうを重機に取り付け投入準備

 
溝に投入した土のうをシートで覆い、消石灰を散布するまでの手順を確認した

溝に投入した土のうをシートで覆い、消石灰を散布するまでの手順を確認した

 
 重機を使った作業があるため、有資格者がいる建設業協会の協力は欠かせない。訓練を見守った八幡支部長は「マニュアルで分かってはいたが、イメージだけなので、訓練への参画はいい経験になる。体で覚えると忘れないので、継続したい。役割分担など検討が必要だと感じるが、今回の内容を協会内で共有し、いざという時に動けるようにしたい」と気を引き締めた。
 
埋却作業を見守る建設業協会釜石支部の関係者ら

埋却作業を見守る建設業協会釜石支部の関係者ら

 
 沿岸振興局によると、高病原性鳥インフルエンザ発生は2023年秋~24年春にかけて、全国で10県11事例あり、85万6000羽が殺処分された。県内では22年秋~23年春に1事例が確認された。佐藤朝則副局長は「どこで起きてもおかしくないので、危機感を持った対応が必要」と強調する。
 
 埋却・消毒ポイント設置班長を担った佐々木雅章土木部長は「寒い夜間、長時間の作業も見込まれることから、平時から手順を確認することが重要。課題を見つけ、備え、万が一の時は一体となって活動することが大事だ」と参加者に呼びかけた。

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東京・荒川から釜石・唐丹へ 震災後の野球支援今年も 硬式女子アサヒトラスト 小中学生を指導

アサヒトラスト女子硬式野球部による野球教室=7日、唐丹グラウンド

アサヒトラスト女子硬式野球部による野球教室=7日、唐丹グラウンド

 
 東京都荒川区の東京リバーサイドロータリークラブ(RC、小根澤美和会長、会員37人)と、社会人チームのアサヒトラスト女子硬式野球部(三橋淳志代表、選手20人)は7日、釜石市唐丹町の唐丹グラウンドで、同市の小中学生に野球教室を開いた。東日本大震災、同グラウンド整備を支援してきたクラブが昨年に続き主催。両団体からは軟式野球ボールも寄贈された。震災から13年半―。同市の野球関係者は途切れることなく続く支援に深く感謝し、ジュニア育成へさらに気持ちを高めた。
 
 同クラブ会員14人と同部の選手、監督、コーチら27人が来釜。少年(軟式)野球チームの釜石ファイターズ(26人)、釜石野球団Jr.(ジュニア、20人)、中学生の硬式野球チームの釜石ボーイズ(20人)が一行を迎えた。教室に先立ち、参加者が顔合わせ。小根澤会長、三橋代表があいさつし、同クラブからボール10ダース、同部からボール3ダースとチームタオルが釜石の子どもたちに贈られた。
 
東京リバーサイドRC(写真左上)は6回目の訪問。アサヒトラストは三橋淳志代表(同右上)、選手らが2回目の訪問

東京リバーサイドRC(写真左上)は6回目の訪問。アサヒトラストは三橋淳志代表(同右上)、選手らが2回目の訪問

 
写真上:小根澤美和会長が軟式野球ボールを贈呈 同下:アサヒトラストからもボールとタオルが贈られた

写真上:小根澤美和会長が軟式野球ボールを贈呈 同下:アサヒトラストからもボールとタオルが贈られた

 
 教室は子どもたちの年代に合わせた練習メニューが組まれた。中学生や小学校高学年の団員はアサヒトラストの女子選手と一緒にシートノック練習に臨み、捕球や送球の基礎を学んだ。小学校低学年の団員は上級生の練習を見学した後、捕球練習を行った。国内女子野球のトップ選手や指導者らの講習に子どもたちは目を輝かせ、真剣に取り組んだ。
 
中学硬式野球チーム「釜石ボーイズ」(桃色ユニホーム)はアサヒの選手とシートノック練習などを実施

中学硬式野球チーム「釜石ボーイズ」(桃色ユニホーム)はアサヒの選手とシートノック練習などを実施

 
社会人選手のプレーのうまさに目がくぎ付け(写真右)。中学生も負けじと頑張る

社会人選手のプレーのうまさに目がくぎ付け(写真右)。中学生も負けじと頑張る

 
小学校低学年も「投げる」「捕る」という野球の基本を教わった

小学校低学年も「投げる」「捕る」という野球の基本を教わった

 
アサヒの選手を相手に練習。しっかり捕って相手に投げ返す

アサヒの選手を相手に練習。しっかり捕って相手に投げ返す

 
 釜石ファイターズの菅原睦斗さん(小5)はアサヒ選手らの練習中の大きな掛け声に驚き、「声出しやボールの捕り方をまねしたいと思った。守備をもっとうまくなりたい」と刺激を受けた様子。東京から指導に来てくれることにも感謝し、「学んだことを大会で生かしたい」と話した。澤本大志監督(42)は「子どもたちの積極的なアピールも見られ、いつもとは違った表情。大人の選手の一生懸命な姿から何か感じるものがあれば」と期待。チームは今年、同クラブの支援でユニホームを新調しており、応援を力に県大会ベスト4進出を果たしている。
 
普段はない子どもたちとの練習にアサヒの選手らも笑顔

普段はない子どもたちとの練習にアサヒの選手らも笑顔

 
「もっとうまくなりたい」と真剣に練習する小学生ら

「もっとうまくなりたい」と真剣に練習する小学生ら

 
小学生による塁から塁への送球練習

小学生による塁から塁への送球練習

 
 東京リバーサイドRCは地元荒川区が釜石市と友好交流都市という縁で、震災後の2011年秋に荒川区社会福祉協議会とともに同市を訪問。津波で全壊し、がれきが残る唐丹小の惨状を目の当たりにした。地元関係者から「子どもたちが野球をできるように、整地してグラウンドにしたい」という話を聞き、同社協と一緒に、土を盛って芝生を張るための資金集めに尽力。ダッグアウトや簡易トイレの設置も援助した。その後、会員が隔年で訪問しながら、唐丹スポ少(当時)などへのボールやバット、グローブの寄贈、グラウンドの芝生整備のための芝刈り機などの支援を続けてきた。昨年から始まったアサヒトラスト野球教室の遠征費もクラブが支援する。
 
 小根澤会長(58)は「震災で心の傷を負った父母らは子育ても大変だっただろう。野球をやりたいという子どもたちが何不自由なく楽しめ、成長できるよう、私たちが少しでもお手伝いできればとの思いで活動を続けてきた。彼らが大人になった時、また誰かを助けられる、(困っている)人を思いやれる人になってくれたらうれしい」と期待を込めた。
 
グラウンド脇の防潮堤は震災後、高さ14.5メートルに整備された

グラウンド脇の防潮堤は震災後、高さ14.5メートルに整備された

 
芝生が張られた外野エリアで守備練習

芝生が張られた外野エリアで守備練習

 
常に声を出し合いながら練習するアサヒの選手。子どもたちにもいい刺激に

常に声を出し合いながら練習するアサヒの選手。子どもたちにもいい刺激に

 
 アサヒトラスト女子硬式野球部は、荒川区に本社があるアサヒ産業(三橋淳志代表取締役)が出資し2007年に設立。女子硬式野球の国内企業チームの先駆けで、10~30代の社会人と大学生が所属する。全日本選手権(高校~社会人)で2回、全日本クラブ選手権(社会人)で5回の優勝実績があり、全日本チームの選手も輩出している。
 
 同部の落合彩伽主将(23)は「前回より子どもたちの参加が増え、活気に満ちた教室となった。私たちが話すことを素直に聞いてくれる子が多く、自分たちも小中学生との野球にパワーをもらった」と喜びの表情。東北には女子硬式野球の社会人チームはないが、高校は6チームがあり、本県では2020年に創部した花巻東の活躍が注目を集める。今回の教室参加者の中にも女子選手は複数いて、「女子野球の広がりを感じる」と落合主将。
 
 釜石ボーイズの菊地礼華さん(中3)は先輩女子選手らのうまさに目を見張り、「すぐ捕って投げるところとか素早いプレーが勉強になった。高校でも野球を続けたい」と意欲。昨夏、アサヒトラストの招待で東京に遠征し、全国大会の試合見学やチーム練習に参加してきた佐久間美桜さん(中2)は「女子だけの環境は初めてで、すごく楽しかった。練習でも細かいところまでやさしく教えてもらった」と感謝。今回の教室を含め、多くの学びを得たようで、「これから新人戦も始まるので、1年生を引っ張って頑張りたい」と意気込んだ。
 
釜石ボーイズの女子選手。女子社会人チームの指導の機会を喜んだ

釜石ボーイズの女子選手。女子社会人チームの指導の機会を喜んだ

 
 全日本女子硬式野球クラブ連盟、関東女子硬式野球連盟の会長も務める三橋代表(66)は「野球を通じたつながりで復興の一助になれれば。子どもたちには、とにかく野球を続けてほしい。最後までやり通すことが将来につながる」とメッセージを送った。
 
写真上:アサヒトラストの大須賀康浩監督は「うまくなるには人の言うことをよく聞いて理解することが大事。伸びる子は理解力のある子」と助言 同下:来訪への感謝を伝える唐丹すぽこんクラブの河東眞澄委員長(右)

写真上:アサヒトラストの大須賀康浩監督は「うまくなるには人の言うことをよく聞いて理解することが大事。伸びる子は理解力のある子」と助言 同下:来訪への感謝を伝える唐丹すぽこんクラブの河東眞澄委員長(右)