ラグビー女子テストマッチ初戦 日本―南アフリカ=24日、釜石鵜住居復興スタジアム
10月のラグビー女子ワールドカップ(W杯)に向けたテストマッチが24日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。世界ランキング12位の日本代表が同13位の南アフリカ代表と初めて対戦し、15-6(前半5-6)で勝利した。日本代表の国内でのテストマッチは5年ぶり。同スタジアムでは初の女子ラグビー国際試合開催となった。
10日から同市で強化合宿を行ってきた女子日本代表。4戦が予定されるテストマッチの初戦を、2019年のW杯(男子)会場となった同スタジアムで迎えた。日本は前半9分、じわじわと相手ゴールに迫り、最後は密集から隙を突いてフランカー齊藤聖奈がトライ。5-0と先制した。その後、南アに2本のPGを決められ、5-6で折り返した。
後半24分には、再びゴールライン付近の攻防から齊藤が抜け出しトライ。ゴールも決まって12-6と逆転した。29分、PGで追加点を挙げた日本は南アをノートライに抑え、15-6で勝利。今後に弾みがつく白星発進となった。
後半の攻防。果敢に攻めるフランカー齊藤聖奈(手前右)
後半24分、齊藤のこの日2本目のトライで逆転/撮影:西条佳泰(株式会社Grafica)
2トライを挙げた齊藤選手は「自信を持ってFWでどんどん前に出ていった結果。4年前に比べ、フィジカルは断然、強くなっている。日本も世界レベルに追い付いてきた」と手応えを実感。プロップ南早紀主将は「自陣の苦しい場面でも(強化してきた)攻めるディフェンスで、相手の得点を抑えることができた。ただ、ペナルティーで相手にボールを渡してしまう場面が多くあったのは反省点」とし、次戦に向けた課題の修正を見据えた。
フィジカルが強みの南アフリカに日本FWも負けずに応戦
赤と白の“サクラフィフティーン”ジャージーなどを身に着け、熱いエールを送る観戦客
スタンドでは県内外から訪れた約850人が観戦した。仕事で青森県三沢市に滞在中の樺井仁司さん(50)は元ラガーマン。「女子の試合は初めて見るが、スピードもコンタクトも迫力があった。日本代表にはW杯で予選突破し本選に進んでほしい」と期待。釜石市平田町の50代女性は「接戦の末、勝ち切ったところが面白かった」と、初の女子ラグビー観戦を堪能。「釜石でもこんなにいい試合が見られる。せっかくのスタジアム。市民にもっと足を運んでもらい、釜石のラグビー熱がさらに高まっていけば」と強く願った。
初めて女子ラグビーを観戦した人たちはその迫力に圧倒された
大漁旗を振って選手らをねぎらう地元の応援団
笑顔で健闘をたたえ合う両チームの選手
同テストマッチは30日に南アフリカ戦(埼玉県)、8月20、27日にアイルランド戦(静岡県、東京都)が行われ、W杯出場への代表選考が進められる。
ラグビー女子日本代表 釜石で2年目の強化合宿 地元の温かい歓迎に感謝
ラグビー女子15人制釜石合宿練習公開=20日、復興スタジアム/撮影:西条佳泰(株式会社Grafica)
ラグビー女子15人制の釜石合宿(強化・TID合同)は、昨年8月、W杯アジア最終予選に向け行われたのに続き2回目。日本代表候補約50人が10日から、釜石鵜住居復興スタジアムや根浜シーサイド多目的グラウンドなどで練習を重ねた。
24日のテストマッチに向け最終調整に入った20日は報道陣に練習を公開。合宿に参加した大槌町出身のバックス平野恵里子選手(アザレア・セブン、釜石高―日体大)は「(2度目の)W杯出場を目指し、自分の強みをしっかりアピールしていきたい」と意気込んだ。平野選手は前回2017年のW杯で代表入り。20年11月から半年間、スペイン1部リーグのチームでプレーした。24日の試合はメンバー入りせず、スタンドから試合を見守った。
女子15人制強化合宿に参加した平野恵里子選手(大槌町出身)/撮影:西条佳泰(株式会社Grafica)
ロック玉井希絵選手(三重パールズ、松阪高―関西学院大)は釜石の練習環境について、「気候が涼しく練習しやすい。自分たちの実力を確認しながらできている」と好印象。市民の温かい歓迎にも感謝し、「私たちの前へ前へ進む姿が被災地の皆さまの明日へのエネルギーになれば。釜石市民の前向きな姿勢から私たちもパワーをもらっている」とスポーツがつなぐ縁を喜んだ。
女子日本代表のW杯出場は2大会連続5回目。10月にニュージーランドで開幕し、12チームが出場する。日本は1次リーグでカナダ、アメリカ、イタリアと同組。