架空料金振り込み詐欺被害を間一髪阻止 宮古信金大渡支店に釜石署が感謝状
感謝状を受けた宮古信用金庫大渡支店の三上学支店長(中)と高橋智恵子次長(右)
釜石警察署(前川剛署長)は15日、架空料金請求の詐欺被害を未然に防いだ釜石市大渡町の宮古信用金庫大渡支店(三上学支店長)に感謝状を贈った。言葉巧みに誘導し、金をだまし取る悪質な特殊詐欺は後を絶たない。支店職員のいち早い気付きと警察への通報が1人の高齢男性の被害を食い止めた。
中妻町の同署で感謝状贈呈式が行われ、三上支店長(54)、高橋智恵子次長(55)が出席。三上支店長に感謝状を手渡した前川署長は「まさに間一髪、水際で被害を防いでいただいた。(詐欺被害防止には)金融など関係機関との連携は必要不可欠。今後とも一層のご協力を」と願った。
特殊詐欺被害防止の功労で宮古信金大渡支店へ釜石警察署長感謝状を贈呈
詐欺が疑われる事案は6月29日に発生。同支店内で携帯電話で話しながらATMを操作する市内の70代男性を見かけた高橋次長は、不審に思い、男性に声をかけた。「NTTから未払いの10万円を振り込むように言われた」と話す男性。手にしていたメモには個人名と口座番号のみが書かれていた。
詐欺を疑い、電話を代わった高橋次長が内容を尋ねると、相手は「(男性が)払いたいというから内容を確認している。それ以上は個人情報なので教えられない。電話を代わってくれ」と繰り返した。男性に通話を切らせても、すぐにかかってくる電話。三上支店長が「警察に通報する」と言って切った後も着信が続き、男性は動揺。通報を受けた釜石署の署員が到着し、詐欺にあう寸前だったことを理解した男性は「声をかけてもらわなければ気付けなかった」と大変感謝していたという。
特殊詐欺に関する金融機関などへの注意喚起では、「携帯電話で話しながらのATM操作」に目を配るよう促す。高橋次長は「声をかけるのに若干ためらいもあったが、被害を防ぐことにつながって良かった。男性も何かおかしいと思いながらも言われるがままに誘導されてしまったようで、詐欺の怖さを感じた」と話す。
支店が警察へ通報する間も相手の電話に出てしまい、「一度、車に戻れ」という指示にも従ってしまった男性。当事者の不安をあおる巧妙な手口に三上支店長は「その場で納得したように見えても、後日振り込んでしまうケースもあると聞く。今回は(警察への通報を含め)冷静に対応できた。全職員でさらに気を付け、お客さまの大切なお金を守っていければ」と意を強くする。
釜石署によると、本年1~6月末までの特殊詐欺被害の県内認知件数は15件(前年同期比5件減)で、被害額は6771万円(同5080万円増)。釜石署管内の認知件数はゼロだが、詐欺とは思わず振り込んでしまったり、後で被害に気付いても警察に届け出ないケースも考えられることから、決して油断はできない。被害防止には一人一人の防犯意識とともに地域の見守りの目が重要となる。
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