認知症がテーマの劇を熱演する大平中3年生

住み続けたいまちに―釜石・平田地区 地域と人が「つながるカフェ」初開催

住民同士の交流、つながりを生み出そうと初めて開かれた平田地区の「つながるカフェ」

住民同士の交流、つながりを生み出そうと初めて開かれた平田地区の「つながるカフェ」

 

 高齢化率(65歳以上)が40%(9月末現在)となる釜石市。一人で暮らす高齢者も年々増えているが、新型コロナウイルス禍で地域との交流が減り、健康面や孤立の悩みを抱える人も少なくない。そんな中、住民同士の交流を促す場をつくろうと、平田地区生活応援センターで11月25日、「つながるカフェ」が開かれた。おしゃべりを楽しむだけでなく、困り事の相談会、地元中学生との世代間交流の機会も用意。継続実施を予定し、住民同士の支え合いを深めながら安心して住み続けられる地域づくりを目指す。

 

 市、地区内にある特別養護老人ホーム「あいぜんの里」を運営する社会福祉法人清風会が主催し、市社会福祉協議会が協力する。初めて開かれたカフェには住民17人、住民サポーター6人が参加。市の保健師、介護関係者らも加わった。住民らはマスクをしたままだが、思い思いに語らった。

 

認知症がテーマの劇を熱演する大平中3年生

認知症がテーマの劇を熱演する大平中3年生

 

 世代間交流も目的の一つで、大平中(蛸島茂雄校長、生徒106人)の3年生33人が、認知症をテーマにした劇を披露。タイトルは「たがら(「宝」がなまった語)息子」で、認知症に苦しむ高齢女性の心情や同居家族の葛藤、地域の絆などを描いた。子どもたちが懸命に演じる姿に、参加者らは「守る側になったのか、すごいね」「心強い」と感心していた。

 

 3年生は総合的な学習の時間を活用し、3年間、同法人の支援を受けながら認知症サポーター養成講座や介護技術体験などに取り組み、福祉について学んできた。劇はその集大成。高齢女性役の小笠原のゑさん、その息子を演じた猪又一星君は「難しい内容だったが、認知症への理解が深まっていく姿が伝わるよう工夫した。学びを生かし、地域の人と交流しながら暮らしていきたい」と声をそろえた。

 

大平中生は福祉学習を紹介する展示も行い、地域に成果を発信した

大平中生は福祉学習を紹介する展示も行い、地域に成果を発信した

 

 同センターによると、平田地区の約1600世帯のうち、高齢者世帯は400以上あり、その半数が独居世帯だという。地域内での見守り体制の底上げにつながればと開かれたカフェに、独り暮らしの70代男性は「こうした集まりへの参加は初めて。積極的な声掛けがあり来てみたが、同世代と交流できる場でいいね。子どもたちの劇も面白いし、触れ合いで元気をもらう」と喜んだ。

 

おしゃべりを楽しみ、笑顔を広げるカフェ参加者

おしゃべりを楽しみ、笑顔を広げるカフェ参加者

 

 つながるカフェは年度内に2回目の開催を予定する。専門的な知識を持つ保健師や介護関係者らによる健康や生活に関する相談も受け付け、住民同士で情報を交換、共有し知識を得ながら交流を深めていく場とする考え。同センターの小笠原達也所長は「参加者にも見守る側、見守られる側がいるが、立場にこだわらず地域に積極的に関わることで、住み続けたいと思ってもらうきっかけになれば」と期待する。

笑いで元気に!三遊亭楽大の「笑って健康落語会&交流会」(全4回)

笑いで元気に!三遊亭楽大の「笑って健康落語会&交流会」

笑いで元気に!三遊亭楽大の「笑って健康落語会&交流会」

 

落語による心の復興事業 笑いで元気に!三遊亭楽大の「笑って健康落語会&交流会」

災害公営住宅の住民の方々や近隣住民の方々のコミュニティ形成の一助となることを目的に落語会・交流会を開催致します。落語会は円楽一門の落語家「三遊亭楽大」さんをお招きし開催します。生で落語を聞ける貴重な機会になると思います。沢山笑って落語を大いに楽しみましょう!また交流会は、脳トレやe-sports 等を取り入れながら開催します。皆さんで協力し合って難問をクリアしましょう!是非この機会に皆様お誘いあわせの上、ご来場下さい。

 

感染症拡大防止対策ご協力について
●新型コロナウィルス対策として、入場する際には皆様にマスクの着用、手指の消毒、体温の計測等へのご協力をお願い致します。
●入場に関しまして体調の悪い方及び体温が37.5度以上の方の入場をお断り致します。

 

日時

浪板交流促進センター
12月12日(日)10時~落語会/11時~交流会
平田公民館
12月14日(火)10時~落語会/11時~交流会

入場料

無料

主催・お問い合わせ

釜石まちづくり株式会社
TEL 0193-22-3607

※落語による心の復興事業は、令和3年度被災者の参画による心の復興事業費補助金を活用して開催しています。

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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勤労感謝 19人を表彰 地域産業の振興に貢献

地域産業の振興発展に貢献し、表彰された中小企業優良勤労者ら

地域産業の振興発展に貢献し、表彰された中小企業優良勤労者ら

 

 釜石市中小企業優良勤労者表彰は11月24日、大町のホテルサンルート釜石で行われ、地元企業に長く務めてきた19人が受賞した。この表彰は地域産業の振興発展に寄与することなどを目的に、釜石市、釜石商工会議所、釜石職業訓練協会が主催。毎年、「勤労感謝の日」の前後に行われている。

 

 本年度の受賞者はいずれも永年勤続者で、1号表彰(同30年以上40年未満)4人、2号表彰(同20年以上30年未満)2人、3号表彰(同10年以上20年未満)13人。

 

 表彰式には受賞者や勤務先の事業主ら関係者約30人が出席した。野田武則市長が「豊富な経験を生かし、さらに研さんを積んで企業の発展、次世代に誇りうる地域産業の振興に向け、力を発揮してほしい」とあいさつ。受賞者に表彰状や記念品を贈った。

 

謝辞で地域産業発展の戦力として活躍を誓う受賞者ら

謝辞で地域産業発展の戦力として活躍を誓う受賞者ら

 

 受賞者を代表し、1号表彰を受けた澤藤幸喜さん(51)=山元=が謝辞。「表彰は仲間のおかげ。激励を忘れることなく、会社や地域のため一層努力をする」と誓った。

 

 受賞者は次の通り。
【1号表彰】臼澤輝男、平澤繁幸(五菱工業)中村稔、澤藤幸喜(山元)
【2号表彰】萬寛(青紀土木)伊藤由広(エイワ)
【3号表彰】中田晴人、猪又裕司、小松慎一(エイワ)野田奈津子(コンフォートライフ)佐々洋子、小松ルリ子(津田商店)川﨑恵、倉田悦子、三浦光子、川﨑智子、阿部さと子(橋野製作所)柏舘新也、太田代龍(山元)

釜石市消防団チェーンソー研修会=11月21日

迅速な災害対応に期待 釜石市消防団にチェーンソー配備 団員が扱い方学ぶ

釜石市消防団チェーンソー研修会=11月21日

釜石市消防団チェーンソー研修会=11月21日

 

 釜石市消防団(川﨑喜久治団長)は11月21日、災害現場などでの使用を想定したチェーンソーの研修会を開いた。全8分団から団員約80人が参加。釜石地方森林組合(久保知久代表理事組合長)の職員5人に指導を受け、機材の組み立て方から樹木の切断の仕方まで必要な知識を身に付けた。

 

 市消防団は地域防災力強化のための救助活動用資機材として、2019年度にチェーンソー37台を購入。8分団全37部に1台ずつ装備する計画で、団員研修会を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期を余儀なくされてきた。ワクチン接種が進み、感染者数も減少傾向にあることで、研修会実施が可能となった。

 

釜石地方森林組合の職員から講習を受ける団員ら

釜石地方森林組合の職員から講習を受ける団員ら

 

チェーンソーの組み立て方を教える森林組合職員

チェーンソーの組み立て方を教える森林組合職員

 

 片岸町の同森林組合事務所を会場に約2時間の座学と実技講習を実施。機材の取り扱いの基本、安全対策を重点に研修を行った。実技講習では組み立て、燃料注入、エンジン始動、目立てなどの方法を学んだ後、ゴーグルや保護衣を装着して樹木の切断を体験。台風や地震、津波などで生じる複数の木が折り重なった現場を再現し、安全に処理するためのポイントを教わった。

 

倒木や地震・津波がれきを想定した実技訓練

倒木や地震・津波がれきを想定した実技訓練

 

安全への注意を払いながら樹木の切断に挑戦した

安全への注意を払いながら樹木の切断に挑戦した

 

 第1分団4部の浜田志紀さん(33)は初めてのチェーンソーの扱いに「難しそうだが、現場で必要な時に(誰でも)使えたほうがいいので、団員と知識を共有し扱えるようになりたい」と話した。

 

 消防団員対象のチェーンソー講習は森林組合職員にとっても初めての経験。指導にあたった同組合事業課の坂本和幸課長補佐(54)は「災害現場では倒れた木が複雑に重なるため、支点や重心を見極めながら切断箇所を判断しないと作業者に危険が及ぶ。機材の安全な取り扱いと共に、現場の状況を見る目も必要」とアドバイスした。

 

現場での2次災害を防ぐため、作業時には的確な判断が求められることを教わった

現場での2次災害を防ぐため、作業時には的確な判断が求められることを教わった

 

 これまで倒木、流木などの処理は市や消防署が対応し、地元林業者に協力してもらうケースも多かった。今回の消防団へのチェーンソー配備で、いち早い災害対応につながるものと期待される。川﨑団長は「(近年の異常気象で)台風や豪雨、強風による倒木の増加も懸念される。まずは現場に駆け付け、救急車の通行や市民の生活道路確保のための除去作業が急務となるので、地域を知る多くの団員が扱えるようになれば」と願う。

ポニーに乗って海辺を散歩=根浜あおぞらパーク

根浜の海辺をポニーで散歩!あおぞらパーク初の試みで子どもたち笑顔

ポニーに乗って海辺を散歩=根浜あおぞらパーク

ポニーに乗って海辺を散歩=根浜あおぞらパーク

 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でストレスを抱えがちな子どもたちに安全安心な遊び場を提供する「根浜あおぞらパーク」(同実行委主催)は11月21日、釜石市鵜住居町の根浜海岸でポニーとの触れ合い体験を行った。海水浴場のオフシーズンを利用し、初めて開催。ポニーの背にまたがり、普段とは違う目線で海の景色を楽しんだ。

 

 橋野町でホースセラピー事業などを手掛ける一般社団法人三陸駒舎理事の黍原豊さん(44)が協力。飼育する馬3頭のうち、雌のポニー笑馬(えま)ちゃん(8)が子どもたちを迎えた。参加者は代わる代わる乗馬し、砂浜を往復。天気に恵まれたこの日は目にも鮮やかな美しい海辺風景が広がり、心地よい揺れに身をまかせながら散歩を楽しんだ。

 

乗せてもらう前に「よろしくね~」とごあいさつ。馬のぬくもりは心の安らぎも生む

乗せてもらう前に「よろしくね~」とごあいさつ。馬のぬくもりは心の安らぎも生む

 

馬との触れ合いは子どもの成長に大きな効果が。海での乗馬で特別な思い出も作った

馬との触れ合いは子どもの成長に大きな効果が。海での乗馬で特別な思い出も作った

 

 甲子町の萬大樹君(4)は「(馬上から見る)景色がきれい。楽しかった。お馬さん大好き」と目を輝かせた。母如子(ゆきこ)さん(34)は、四つんばいになり馬のまねをする大樹君の姿にほほ笑み、「自然や動物との触れ合いの場はありがたい」と喜んだ。

 

 海岸での乗馬体験企画は黍原さん自身も初めて。「波の音を聞きながら(馬と一体となって)揺れる感覚は、すごく気持ちいいのでは。根浜の風景にもなじむ」と話し、海辺ならではの効果を感じていた。

 

笑馬ちゃんも黍原さんの誘導で初めての海を体験

笑馬ちゃんも黍原さんの誘導で初めての海を体験

 

 あおぞらパークは一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校(伊藤聡代表理事)など7団体が実行委を組織し、昨年5月にスタート。医師のアドバイスを受けた感染症対策を講じ、冬季を除く毎週土、日曜に開設してきた。2年目の本年はコロナ感染拡大に伴う県の緊急事態宣言で8、9月は休止したが、10月から再開。予定していた11月までに全19回を開催した。

 

 実行委はこのほど、今後について話し合う会議を開き、感染の局面や求められるニーズの変化などから本年をもって事業を終了することを決定。12月末に根浜シーサイドレストハウスでラストパークを開き、参加者と思い出などを語り合う。詳細は同パークのフェイスブックで告知する予定。

会場一体で手話歌を楽しんだ=11月27日

福祉でまちづくりを―釜石市民、地域共生社会実現へ大会とまつりで認識共有

釜石市民ホールで開かれた福祉まつり=11月27日

釜石市民ホールで開かれた福祉まつり=11月27日

 

 釜石市内では11月に地域福祉の推進や共生社会の実現に向けた催しが続いた。19日の第42回市社会福祉大会(市社会福祉協議会、市共同募金委員会、市民生児童委員協議会主催)では事業功労者などを表彰。大会宣言で、住民主体の福祉活動を進めるため共通認識を深め、努力し合うことを確認した。27日に開かれた「第28回ふれあい福祉まつり」(同実行委員会主催)には市内の福祉団体やボランティアらが集合。物販やアート作品の展示などで障害への理解を深めてもらった。2つの催し(ともに会場は大町の市民ホール)に関わる市社協の丸木久忠会長は「福祉でまちづくりを―という視点に変わる今、多様な人が触れ合い、つながりを持つことで互いを知る必要性はより高まる」と強調した。

 

社会福祉大会で功労者28人表彰、絵画・作文は14人入賞

 

事業功労表彰などを行った釜石市社会福祉大会=11月19日

事業功労表彰などを行った釜石市社会福祉大会=11月19日

 

 福祉大会は約50人が出席した。大会長を務める丸木会長が、地域福祉の向上に貢献している民生児童委員など26人、共同募金運動に力を貸す行政連絡員1人を表彰。13年以上にわたり在宅介護を続ける1人に褒賞を贈った。受賞者を代表し、甲子地区の民生児童委員坂本博さんが謝辞。「この感激を胸に地域福祉向上のため精進、努力を重ねる」と力を込めた。

 

 社協が年長児を対象に募集した絵画コンクールには12施設から169点の応募があり、金賞には澤田咲喜ちゃん(ピッコロ子ども倶楽部桜木園)の「だいすきな おともだち」が選ばれた。小中学生対象の作文コンクールには小学校3校、中学校1校から合わせて6点の応募があり、最優秀賞に日野涼介君(唐丹小6年)の「やりがいを感じられる瞬間」が選ばれた。両コンクールの応募全作品を紹介する展示会は12月7日に開始予定。市民ホールギャラリーで13日まで鑑賞できる。

 

社会福祉大会で表彰された事業功労者ら=11月19日

社会福祉大会で表彰された事業功労者ら=11月19日

 

 受賞、入賞者は次の通り。
【社会福祉事業功労者】▽民生児童委員=伊藤重雄、笹川京子、八幡サエ(南釜石)似田貝佳子(中妻)坂本博、佐々木麻貴子、菅原武、佐藤道子(甲子)武石明子、千葉スミ子、小笠原米子、藤井静子、小森均、金濱喜代、中村英子(小佐野)西原義勝、両川吉男、山﨑元市、矢畑広志(鵜住居)菊池紫登美、小笠原孝一、及川武美(栗橋)▽主任児童委員=菊池有美子(東釜石)川崎悦三郎(栗橋)▽施設職員=菊池美加(愛泉会・主幹保育教諭)鳴瀬佳子(同・調理師)
【共同募金運動功労者】▽行政連絡員=阿部環(甲子)
【褒賞】▽濱名富勝
【幼児福祉絵画コンクール】▽金賞=澤田咲喜(ピッコロ子ども倶楽部桜木園)▽銀賞=前川寛奈(中妻子供の家保育園)マヘ・ケソミ(甲東こども園)▽銅賞=東紀壱、小山結凪(釜石神愛幼児学園)岩﨑心和(鵜住居保育園)久保瑠莉(かまいしこども園)村上波月(唐丹児童館)
【福祉作文コンクール】▽最優秀賞=日野涼介(唐丹小6年)「やりがいを感じられる瞬間」▽優秀賞=小笠原楓真(栗林小4年)「本当に平等な幸せは何か」、前川藍丸(大平中2年)「今こそ勇気を出して行動を」▽佳作=佐々木美依(甲子小2年)「『やさしいこころ』はたからもの」、前田暁月(甲子小3年)「『ありがとう。』をつたえる」、内川愛優(唐丹小4年)「その人の気持ちになって」

 

福祉まつりで障害者の社会参加促す ボランティア、市民と交流

 

福祉団体の手作り品や新鮮野菜を求める市民らでにぎわった=11月27日

福祉団体の手作り品や新鮮野菜を求める市民らでにぎわった=11月27日

 

 福祉まつりは、障害の有無にかかわらず一緒に楽しく触れ合う地域福祉を推進するため開催。市内約10の作業所や福祉団体が出店し、手作りの菓子や野菜、手芸品などを販売した。作品展示では、釜石祥雲支援学校の生徒らが授業の中で制作した絵画や陶芸などを紹介。文字や数字をつなげる奔放自在な造形表現が魅力の地元アーティスト小林覚さんや、藤原美幸さんのカラフルでポップな作品をも並び、多くの目を引いた。

 

 市内で活動するボランティア団体の紹介もあり、手話サークル「橋」のメンバー6人は「上を向いて歩こう」など3曲の手話歌を披露。普段から手話を使う人たちが飛び入りで参加したり、メンバーの動きをまねて手や指を動かす人もいて、会場が一体となり声を出さなくても伝わる歌の世界を楽しんだ。単語カードを使ったゲームで聴覚障害者と交流する高校生の姿も。覚えた手話を駆使して言葉を表現し、伝わるとうれしそうに目を細めていた。

 

会場一体で手話歌を楽しんだ=11月27日

会場一体で手話歌を楽しんだ=11月27日

 

 障害者就労支援事業を行う小川町のNPO法人かだっぺしは釜石ラグビーをPRする木製のコースターやキーホルダー、橋野鉄鉱山をデザインした缶バッチなどを売り出した。同法人が釜石大観音仲見世通りで運営する作業所「きらり工房」で木製品の仕上げや袋詰めなどの軽作業に取り組む八雲町の男性(63)は「細かい作業で大変だが、商品を手に取ってもらうとうれしい。人が集まる場に来るのもたまにはいい。気分転換になる」とうなずく。支援員の吉田洋子さん(58)は「利用者の喜び、やる気、やりがいにつながる」と見守った。

100歳の寄松みささん。手前には得意の針仕事で作った巾着袋や小物が並ぶ

復興住宅の寄松さん100歳「今が一番充実」~釜石市、長寿を祝い記念品

100歳の寄松みささん。手前には得意の針仕事で作った巾着袋や小物が並ぶ

100歳の寄松みささん。手前には得意の針仕事で作った巾着袋や小物が並ぶ

 

 釜石市は11月22日、只越町の復興住宅で暮らす寄松みささんに満100歳の特別敬老祝い金(5万円)と記念品の羽毛掛け布団、野田武則市長が筆をとった「寿」の額入り祝い状を贈った。寄松さんは「忙しいのに(来てもらって)、ありがとうございます」と感謝した。

 

 寄松さんは1921(大正10)年11月20日、青森県十和田市に生まれた。釜石・小川町出身の故幸一さん(享年64)との結婚を機に20歳代後半に釜石へ。樺太(現ロシア・サハリン)からの戦後引き揚げ者だった幸一さんが始めた飲食に関する事業などを手伝いながら、2男1女を育てた。50歳代になると、孫5人、ひ孫2人の成長を見守る生活が中心に。もともと手先が器用で、趣味の裁縫をしながら穏やかに暮らした。

 

 2011年の東日本大震災では津波で港町の自宅を失った。天神町の避難所、仮設住宅での生活を経て、約5年前に現在の復興住宅に入居。持ち前の明るい性格で不便な生活を苦にせず、お茶っこサロンなど人が集まる場に積極的に参加してきた。同居する長女久美子さん(69)は「(母は)いつも誰かのために過ごしてきたが、震災後は自分の時間を楽しむことができるようになった。被災して過去のものは失ったけど、人との出会いに恵まれた。交流が生きがいになり、今が一番充実して楽しいそう」と柔らかなまなざしを向ける。

 

100sai_0「こんなに長生きするなんて。いい思い出になったね」と寄松さんに寄り添う久美子さん(右)

「こんなに長生きするなんて。いい思い出になったね」と寄松さんに寄り添う久美子さん(右)

 

 寄松さんは8月に脳梗塞を患い、現在は車いす生活を送る。訪問した市高齢介護福祉課の山﨑教史課長が「市内には100歳以上の先輩が30人いる。これからも、ますますお元気で」と声を掛けると、寄松さんは「100歳まで生きるのは大変なことだよ。元気ならいいけど、寝たきりはやだね」と応じるなど健在。人をもてなすのが大好きだといい、「座ってください。煮しめとか食べて。ビールでも飲んで」と世話焼きの面も見せていた。

 

 釜石市の高齢化率(65歳以上)は9月末現在で40%。100歳以上は寄松さんが31人目で、最高齢は105歳の女性。

広報かまいし2021年12月1日号(No.1773)

広報かまいし2021年12月1日号(No.1773)

広報かまいし2021年12月1日号(No.1773)

 

広報かまいし2021年12月1日号(No.1773)

広報かまいし2021年12月1日号(No.1773)

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【P1】
コロナワクチン接種関係

【P2-3】
まちのお知らせ

【P4】
古文書講座
TETTOイベント 他

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2021111800011/
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
普段は公開されていない収蔵品も見られる企画展

12月1日は「鉄の記念日」 近代製鉄発祥の地・釜石で関連イベント多数開催

「鉄の記念日」にちなんだ企画展=鉄の歴史館

「鉄の記念日」にちなんだ企画展=鉄の歴史館

 

 12月1日は「鉄の記念日」。江戸時代末期の1857(安政4)年12月1日、大島高任が現釜石市甲子町大橋に建設した洋式高炉で日本初の鉄鉱石を用いた製鉄(連続出銑)に成功したことにちなみ、日本鉄鋼連盟が1958(昭和33)年に制定した。同市では記念日の前後1週間を「鉄の週間」として、鉄にまつわる各種イベントを開催している。

 

 大平町の鉄の歴史館では11月27日、名誉館長の小野寺英輝さん(岩手大理工学部准教授)による講演会が開かれた。釜石から複数の技術者が派遣された官営八幡製鉄所(現北九州市)が開業120年を迎えるにあたり、「釜石の技術が八幡でどう生かされたのか」にスポットをあてた。

 

「必要とされた釜石の製鉄技術」と題し講演する小野寺英輝名誉館長(岩手大理工学部准教授)

「必要とされた釜石の製鉄技術」と題し講演する小野寺英輝名誉館長(岩手大理工学部准教授)

 

 八幡製鉄所はドイツの最新技術や設備を導入し、1901(明治34)年2月に操業を開始したが、過多な銑鉄生産で在庫が過剰となり、稼働停止命令が下された。04(同37)年4月に第2次操業を開始するも、わずか17日で高炉が閉塞。低品質のコークス、人的ミスによる送風の停止などが要因とされた。対策を託されたのが、釜石鉱山田中製鉄所で木炭からコークス銑生産への移行に成功した野呂景義。関係設備の改善で良質なコークスの安定供給が可能となり、わずか2か月後に第3次操業が開始された。野呂は後に高炉の大改修も行い、八幡を一大製鉄所に押し上げた。

 

 小野寺さんは、創業のため釜石から派遣された6人の技術者についても紹介。いずれも工手学校や帝国大工科大を卒業、実践的職能を身に付けた人たちで、こうした人材が各地の工業の最前線に立つことで、日本の近代化が推し進められていったことも説明した。「釜石の技術が本格的銑鋼一貫製鉄所の稼働に果たした役割は大きい。特に野呂は近代化を急ぐ日本にとって、なくてはならない技術の持ち主であった」と強調した。

 

釜石の技術が八幡製鉄所発展の礎を築いたことを学ぶ講演会の聴講者

釜石の技術が八幡製鉄所発展の礎を築いたことを学ぶ講演会の聴講者

 

 鉄の歴史館では特別企画展「釜石から八幡へ―日本の製鉄、近代化の軌跡―」を開催中。大島高任の長男で、八幡製鉄所の初代技監として創業に尽力した道太郎が1897(明治30)年、同製鉄所建設に関する出張中にベルリンから投函した英文の手紙、田中製鉄所で野呂景義が設計したコークス窯の下部構造と考えられるれんがの一部(日本製鉄所蔵)など普段は公開されない資料、八幡と釜石の関わりを解説したパネルなどが並ぶ。来年1月10日まで開催(毎週火曜日、12月29日~1月3日休館)。

 

普段は公開されていない収蔵品も見られる企画展

普段は公開されていない収蔵品も見られる企画展

 

 

 甲子町大橋の国登録有形文化財「旧釜石鉱山事務所」は、1951(昭和26)年の建設から70年を迎えた。その歴史をたどる企画展が12月6日まで開かれている。建物は54(同29)年に西側を増築した形状が今に残り、2008(平成20)年に寄贈を受けた釜石市が、昭和の事務所を再現した展示や貴重な鉱山関連資料を一般公開している。

 

建設から70年を迎えた「旧釜石鉱山事務所」

建設から70年を迎えた「旧釜石鉱山事務所」

 

 鉄筋コンクリート(外壁は型枠コンクリートブロック)造り、2階建ての建物は、日鉄鉱業が釜石鉱業所総合事務所として建設。1979(昭和54)年、子会社・釜石鉱山の設立で同総合事務所となった。2007(平成19)年、事務所を大松に移転後、日鉄鉱業が建物を市に寄贈。市は09(同21)年から、寄託された鉱山関連の資料を展示公開する施設として運営を始めた。建物は13(同25)年に国登録有形文化財(建造物)に指定されている。

 

釜石鉱山事務所が歩んだ歴史を紹介する企画展

釜石鉱山事務所が歩んだ歴史を紹介する企画展

 

 

 企画展では、大島高任が洋式高炉による連続出銑に成功して以降の鉱山の歴史をなぞりながら、各時代の事務所の場所や形状をパネルで解説。鉱山の経営移管に伴う事務所の変遷が分かる興味深い展示となっている。現建物に関する資料では、建設時の設計図面、その後の増築や外壁塗装工事などの関連書類のほか、昭和20、40年代の事務所内部の写真も公開されている。

 

 今後予定される鉄の週間行事は下記の通り。
◆12/4(土)午前10時~・釜石PIT 鉄の学習発表会(録画公開)
◆12/5(日)、6(月)午前9時~・鉄の歴史館 県指定文化財「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図」(幕末の高炉操業の絵巻)公開
◆12/5(日)午後1時半~・市立図書館 市民教養講座「鉄の町かまいし歴史講座」
 *同館で14日(火)まで「鉄の記念日図書展」開催(月曜休館)
◆12/5(日)まで・シープラザ釜石 鉄のパネル展
◆12/7(火)まで・橋野鉄鉱山インフォメーションセンター 橋野高炉跡発掘調査速報展(御日払所跡出土資料の展示)
◆12/26(日)まで・市郷土資料館 企画展「古銭(おかね)のはなし」