迅速な災害対応に期待 釜石市消防団にチェーンソー配備 団員が扱い方学ぶ
釜石市消防団チェーンソー研修会=11月21日
釜石市消防団(川﨑喜久治団長)は11月21日、災害現場などでの使用を想定したチェーンソーの研修会を開いた。全8分団から団員約80人が参加。釜石地方森林組合(久保知久代表理事組合長)の職員5人に指導を受け、機材の組み立て方から樹木の切断の仕方まで必要な知識を身に付けた。
市消防団は地域防災力強化のための救助活動用資機材として、2019年度にチェーンソー37台を購入。8分団全37部に1台ずつ装備する計画で、団員研修会を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期を余儀なくされてきた。ワクチン接種が進み、感染者数も減少傾向にあることで、研修会実施が可能となった。
釜石地方森林組合の職員から講習を受ける団員ら
チェーンソーの組み立て方を教える森林組合職員
片岸町の同森林組合事務所を会場に約2時間の座学と実技講習を実施。機材の取り扱いの基本、安全対策を重点に研修を行った。実技講習では組み立て、燃料注入、エンジン始動、目立てなどの方法を学んだ後、ゴーグルや保護衣を装着して樹木の切断を体験。台風や地震、津波などで生じる複数の木が折り重なった現場を再現し、安全に処理するためのポイントを教わった。
倒木や地震・津波がれきを想定した実技訓練
安全への注意を払いながら樹木の切断に挑戦した
第1分団4部の浜田志紀さん(33)は初めてのチェーンソーの扱いに「難しそうだが、現場で必要な時に(誰でも)使えたほうがいいので、団員と知識を共有し扱えるようになりたい」と話した。
消防団員対象のチェーンソー講習は森林組合職員にとっても初めての経験。指導にあたった同組合事業課の坂本和幸課長補佐(54)は「災害現場では倒れた木が複雑に重なるため、支点や重心を見極めながら切断箇所を判断しないと作業者に危険が及ぶ。機材の安全な取り扱いと共に、現場の状況を見る目も必要」とアドバイスした。
現場での2次災害を防ぐため、作業時には的確な判断が求められることを教わった
これまで倒木、流木などの処理は市や消防署が対応し、地元林業者に協力してもらうケースも多かった。今回の消防団へのチェーンソー配備で、いち早い災害対応につながるものと期待される。川﨑団長は「(近年の異常気象で)台風や豪雨、強風による倒木の増加も懸念される。まずは現場に駆け付け、救急車の通行や市民の生活道路確保のための除去作業が急務となるので、地域を知る多くの団員が扱えるようになれば」と願う。
釜石新聞NewS
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