定食で出された料理のレシピを見せながら地元産乾シイタケの魅力をアピール
釜石・大槌地域特産の高品質な原木乾(ほし)シイタケを知ってもらおうと、4日から7日まで大槌町の産直「母ちゃんハウスだぁすこ沿岸店」食堂で、同シイタケを使った日替わり定食(650円)が提供された。7月7日の「乾しいたけの日」に合わせ、釜石地方林業振興協議会(会長=伊東栄悦・県沿岸広域振興局農林部長)が主催。同地域が県内有数の産地であること、食感やうま味を広くアピールした。
地元産原木乾シイタケを使った定食メニューは▽しいたけフリッター(4日)▽しゃべこと汁(5日)▽酢豚風いため(6日)▽ヘルシーバーグ(7日)─の4種。各日限定30食で、午前11時から提供された。同食堂のスタッフがメニュー開発を手がけ、レシピも配られた。
シイタケ好きの夫と連れ立って初日に来店した大槌町の女性(69)は、夫婦でフリッター定食を注文。「どんこのシイタケは肉厚でおいしかった。かけるソースによって味の変化も楽しめる」と初めての料理を堪能。「家ではシイタケをメインのおかずで食べることがない。苦手な孫も食べられそうなメニューがあるので、挑戦してみたい」と、もらったレシピを持ち帰った。
どんこの乾シイタケを丸ごと使ったフリッターはカレー風味。食感も抜群
本県のシイタケは、春に気温の低い状態が続くことで、かさが開かずにゆっくり成長。丸みを帯び、肉の締まった“どんこ”は「食感が良い」とバイヤーの評価が高い。一関市東部や釜石以北の沿岸部が産地で、釜石・大槌地域からは、中央の乾シイタケ品評会で農林水産大臣賞などを受賞する生産者も出ている。
現在、釜石・大槌地域の生産者は十数人。ピーク時には100人を超えた時期もあったが、東日本大震災後、栽培をやめてしまった人も多く、生産量は震災前の1割ほどに減少。同振興局農林部の上席林業普及指導員、中村文治さんは「生産者は減っているが、質の良さは全国に誇れる。産地であることを積極的にPRし、新規参入を含む後継者育成に努めていきたい」と話す。
今回、定食を出した同店は、三陸自動車道大槌インターチェンジ入り口交差点に位置する。「地域の特産品を味わえるメニューが定着すれば、産直への誘客にもつながる。高速道利用者に立ち寄ってもらえる魅力の一つとしても貢献できれば」と中村さん。
本県はシイタケ栽培の原木となる広葉樹資源が豊富なことも強み。広葉樹は切っても芽が出て再生するため、山を荒らすことがない。植菌したほだ木は山の斜面に並べることが多いが、これは森林空間の有効活用にもなっている。
「乾しいたけの日」は、七夕の“星”と乾シイタケの“乾(ほし)”を掛け、生産・流通関係者らで組織する「日本産・原木乾しいたけをすすめる会」が2013年に制定。おいしさや栄養豊富であることを知ってもらい、消費拡大を図る狙いがある。
(復興釜石新聞 2020年7月11日発行 第894号より)
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