ラベンダーの苗を贈った小澤さん(後列中)ら
釜石市唐丹町山谷でラベンダー園を運営する小澤孝行さん(80)は18日、花による癒やしを届けようと、市と天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児82人)にラベンダーの苗計110株を贈った。市役所で贈呈式を行った後、同園の敷地に10本を定植。市役所周辺(只越町)、青葉通り(大町)、釜石駅前(鈴子町)の花壇にも植えることにしており、より多くの市民に鑑賞してもらう。
小澤さんは自宅の山林を切り開き、25年以上前からラベンダー栽培に取り組んでいる。現在、約250本を育成中。「小澤ラベンダーファーム」として開設(入園料200円)し、開花時期には市内外から多くの人が鑑賞に訪れている。夏にはホタル観賞会を開催。地域の自然環境を生かした交流人口の増加にも力を入れている。
昨年度、市が設置した農政推進協議会(佐々木耕太郎会長、委員20人)の委員としても活動している。5年ほど前に姉妹都市、フランスのディーニュ・レ・バン市でラベンダーの栽培が盛んなことを知り、協議の場で「友好の印として市内に定植したらどうか。花の美しさ、豊かな香りで市民に癒やしも提供したい。課題となっている遊休農地の活用、交流人口の拡大にもつながる」などと提案。苗木の無償提供についても、意向を伝えていた。
市役所周辺に植栽する市農推協の会員ら
贈呈式で小澤さんは「試行錯誤しながら、こつこつと育ててきた。健康が続く限り、やっていきたい」と思いを伝えた。代表園児5人に苗木を手渡し、「お友達になってね」「かわいがってね」と呼び掛けた。
藤原園長は「小澤さんの思いを引き継ぎ、大きくきれいに成長させたい」と感謝。野田市長は「ディーニュ市と連携を深め、ラベンダーのまちづくりを一歩ずつ進めたい。今後も力を」と期待した。
この日は、同協議会委員や市農林課職員ら10人が只越町2丁目の目抜き通りで植栽。小澤さんの助言を受けながら、歩道にある10の花壇を手入れした。
市内ではシカによる農作物や住家の庭木などへの被害が発生しているが、小澤さんによると、ラベンダー園ではシカの食害がないとのこと。花の香りを嫌うようで、市では忌避効果によるシカ対策としても期待を寄せる。
(復興釜石新聞 2020年6月27日発行 第892号より)
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