沿岸各地の観光の現状について情報共有した初回の養成塾
三陸の売れる旅行商品の企画を担う人材育成を目的とした「三陸観光プランナー養成塾」が19日、釜石市で開講した。公益財団法人さんりく基金三陸DMOセンター(盛岡市)が主催。5期目となる本年度は、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ観光産業の復活を目指し、新たな生活様式に基づく体験アクティビティーの研究などを行う。
同塾は、三陸の豊かな自然や文化、食などを生かした魅力ある旅行商品の開発、販売のための力を身に付けてもらおうと実施。本年度1回目は釜石市鵜住居町の根浜シーサイドを会場に開かれ、沿岸各地で観光事業に携わる関係者約30人が参加した。
三陸のメンバーがつながり、情報共有することに重点をおいた初回。参加者は各地の観光の現状を報告し合い、今後の振興策について意見を交わした。
コロナ禍は春の観光シーズンを直撃。三陸地域も祭りやイベントの中止、観光・宿泊施設の臨時休業、飲食店の客足減など地域経済に深刻なダメージを与えた。越県移動の自粛解除で今後、観光客が戻ることが期待されるが、事業者には感染防止策を強化した受け入れ体制が求められる。
同塾の参加者からは、観光客誘致の第一歩として県民限定の宿泊料補助の実施、イベント中止などで消費が低迷する特産品をオンラインで情報発信し、購買を促す取り組みなど、〝withコロナ時代〟に対応した各種試みが紹介された。「本県の感染者ゼロは、観光客に足を運んでもらえる要素」「県民にとっては地元観光の魅力を再認識する機会に」など、ピンチをチャンスに変える発想も。
三陸地域は震災後、教育(修学)旅行の訪問先としての需要も高いが、今年はコロナ感染のリスクを避けるため、県内陸部の学校が県外旅行を取り止め、三陸沿岸を訪問地に選ぶ動きも出てきているという。
一方で、3密回避の対策には頭を悩ませることも多く、課題解決に向けた模索が続く。同塾は本年度、11月まで全5回の開催を予定。2回目以降はコロナ対策に配慮した野外での体験プログラムを盛り込んだモニターツアーなどを沿岸各地で試行しながら、安全安心な三陸観光の提供のあり方を考える。
今回、根浜シーサイドでは希望者を対象に前日からキャンプ泊も行われ、釜石の新たな観光、レジャースポットの発信にも一役買った。
(復興釜石新聞 2020年6月27日発行 第892号より)
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