“アマビエ様”でコロナよけ、甲子町の仙人の里〜収束へ心強い味方、利用のお年寄りが貼り絵で表現


2020/06/22
復興釜石新聞アーカイブ #地域

職員がデザインしたアマビエ様はちょっぴりキュート♡「コロナにかからないように」と願いを込める利用者ら

職員がデザインしたアマビエ様はちょっぴりキュート♡「コロナにかからないように」と願いを込める利用者ら

 

 釜石市甲子町の社会福祉法人陽風会(本正美子理事長)仙人の里デイサービスセンター(利用者90人)に、新型コロナウイルス感染症早期収束へ心強い味方が登場した。疫病退散のご利益で注目を集める日本の妖怪「アマビエ」を、利用者と職員が貼り絵で再現。壁に飾られた〝アマビエ様〟は、長引く感染予防生活に潤いをもたらし、利用者らの健康を見守る。

 

 貼り絵が飾られたのは、テーブル席が並ぶスペースに面した壁。カラフルな色紙を切り貼りして作ったアマビエ様は、魚籃(ぎょらん)観音の釜石大観音にちなみ、鯛(タイ)を抱えた独自の姿。牛乳パックを再利用した赤い鳥居の中に安置し、ご利益感を高めた。鳥居を含めた大きさは畳1畳分ほど。両隣には花紙や折り紙で作ったアジサイの花を飾り付けた。

 

 同センターでは利用者と職員が協力し、年に4回、季節ごとに壁の装飾を変えている。今年の夏バージョンとして企画したのがアマビエ様。コロナ感染を恐れる利用者の声を聞いた職員が発案し、制作を呼び掛けた。作業は5月25日から開始。1日約20人が携わり、約1週間かけて仕上げた。日替わりで作業を分担した利用者は、どんな姿になるのか想像を膨らませながら制作。迫力満点の出来栄えに「守られている感じがする」と目を輝かせたという。

 

 アマビエは長い髪とくちばし、3本足が特徴の半人半魚の妖怪。1846(弘化3)年の瓦版で、肥後国(現熊本県)の海に現れ、「疫病が流行したら自分の姿を描き写して人々に見せよ」と告げて海中に消えたと伝えられている。

 

 約1年前から同センターに通う小川町の千田幸子さん(89)は「アマビエのことを職員さんから教えてもらい、みんなで力を合わせた。壁を飾ると明るい気持ちになる。この夏も元気に過ごせたら」と願った。

 

 同センターでは全国的なコロナ感染拡大後も、施設内の消毒や換気、手洗いを徹底しながらデイサービスを通常通り実施。地域の催しや市の健康教室などが中止される中、行き場を失った高齢者らの健康維持、心の安らぎに力を尽くしてきた。

 

 生活相談員の沖千代リーダーは「利用者さんの中にはスペイン風邪が流行した年に生まれ、101歳になる男性もいる。戦争や災害、疫病などさまざまなピンチを切り抜けてきたお年寄りの力はすごい。今回のコロナもみんなで乗り越えていければ」と話す。アマビエの壁装飾は8月まで行われる予定。

 

(復興釜石新聞 2020年6月13日発行 第890号より)

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