神社への最初の入り口となる1番鳥居
釜石市鵜住居町の鵜住神社(花輪宗嗣宮司)は、東日本大震災の津波で流失した参道の鳥居3基を再建し、24日、地域住民と落成を祝った。震災から6年9カ月―。地域のよりどころとなる神社が本来の姿を取り戻したことで、住民らはまち全体の復興への思いを一層強くした。
市の復興事業で盛り土整備された新たな参道(市道)約130メートルの区間に、クリ木で造った鳥居3基を設置。国道側の最も大きな1番鳥居は、高さ約5メートルの柱に銅板加工を施した笠(かさ)木を渡し、神社の場所を際立たせる存在感が目を引く。続く2、3番は震災後に再建された後、道路工事のため、いったん撤去されていたものを再配置した。木材を確保するための山林所有者との交渉、伐採、搬出などは全て氏子総代会が行い、地元の花孝建設(花輪孝吉社長)が腕を振るった。
1番鳥居の前で総代ら関係者が神事に臨み、鵜住居青年会による祝いの虎舞が奉納された。境内で行われた餅まきには老若男女約150人が集まり、祝賀ムード一色に包まれた。
鳥居の完成を盛大に祝った餅まき=鵜住神社境内
同町新川原地区に暮らす古川マサさん(77)、百済照子さん(78)は「こんな立派な鳥居ができるとは。すごいね」と新しい鳥居を見上げ、「参道も良くなったし、多くの人が訪れて心豊かになれば。鳥居をくぐっての初詣も楽しみ」と声を弾ませた。
同神社は津波で鳥居(石製1、木製2)のほか、みこし3基が保管庫ごと流された。総代らは復興へのシンボルとなる鳥居1基を半年後に復元したのを皮切りに、翌2012年に、もう1基を再建。みこしの復活も模索し、多くの支援者の協力を得て14年にみこし蔵兼こもり場、15年にみこしの完成にこぎつけた。16年に境内へ上がる石階段の拡幅(岩崎石材店施工)も完了。最後の参道整備と鳥居設置を待つばかりとなっていた。
神社の完全復興に二本松富太郎総代長は、地域内外の多くの支援者に深く感謝。「これを機に住民の自宅再建が一層進んでいくことを願う。今後も祭りでにぎわいを作りだしたい」と古里再興に思いをつなぐ。花輪宮司も「これで終わりではない。まちの復興はまだまだ続く。皆さんの力で鵜住居を盛り上げていければ」と住民力に期待した。
(復興釜石新聞 2017年12月27日発行 第651号より)
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