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思い出いっぱい「橋上市場」にぎわい再現〜盛況『はしのうえ朝市』、釜石のっけ丼大人気

丼にのせる具を求めて長蛇の列ができた朝市

丼にのせる具を求めて長蛇の列ができた朝市

 

 かつての橋上市場のにぎわいを再現し、復興へ向かうまちを市民の力で盛り上げていこうと、「釜石はしのうえ朝市」が23日、釜石市大渡町の大渡橋歩道と橋詰広場で開かれた。午前6時の開店と同時に大勢の市民が詰めかけ、地場の農水産物や加工品の購入、”オリジナル丼”の朝食を楽しんだ。

 

 震災後のまちづくりに尽力する若手市民団体「NEXT KAMAISHI(ネクスト釜石)」が中心となり実行委(平野嘉隆実行委員長)を立ち上げ、企画した。市内各地の事業者ら15店ほどが出店。鮮魚や野菜、総菜、菓子など地元に愛される味や工芸品などが販売された。

 

 中でも、温かいご飯に好みのおかずをのせて食べる「釜石のっけ丼」は大人気。ホタテやサケ、サンマの焼き物、マグロの刺し身、イカの塩辛など釜石の名店が提供する”ご飯のお供”で丼を味わった。300~400食分を用意したご飯は午前8時過ぎには無くなる盛況ぶりを見せた。 旧大渡橋に平行し1958年に開設された「橋上市場」は、国内唯一の橋の上の名物市場として市民や観光客に親しまれたが、河川法上の問題や大渡橋の架け替えに伴い、2003年に閉店。45年の歴史を閉じた。

 

 朝市には、当時の市場で営業していた店も出店。その一つ、現在は鈴子町のサン・フィッシュ釜石内で営業する東鮮魚店の販売ブースには、古くからの常連客が次々に顔を見せた。父親が始めた同店を18歳から支え続けてきた村上英子さん(64)は「橋上市場は人生の半分以上を過ごした場所。いろいろなことを思い出す。お客さんから(市場の撤去を)改めて惜しむ声を聞き、涙が出てきた」とあふれる思いを口にした。

 

東鮮魚店は旬の海の幸の販売で客を喜ばせた

東鮮魚店は旬の海の幸の販売で客を喜ばせた

 

 新町の菊地行男さん(75)は「橋上市場は家庭的な雰囲気で、よく会社帰りに寄ったりしていた」と懐かしみ、「広場もあるこの場所を有効活用し、定期的にイベントをやれば人が集まるのでは」と今後の展開に期待。カナダから帰省した行男さんの長女、真澄さん(43)は旅行業に携わっており、「地元の人だけでなく観光客向けにも魅力的なイベント。すごくいいですね。告知を早めにすることで(集客面など)さらに可能性が広がると思う」と話した。

 

 実行委の予想を大きく上回る人出となった今回の朝市。実現までには関係機関への申請など苦労も多かったというが、平野実行委員長(45)は「あえてこの場所にこだわって開催した。出店者側、客側双方が望む形を考えたが、こんなにいらしていただけるとは。『またやってほしい』という声もあるので、年に2、3回でも開催できれば」と、まちのにぎわい創出に意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2016年10月29日発行 第533号より)

関連情報 by 縁とらんす
釜石はしのうえ朝市 | 縁とらんす
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来場者100万人目となり、記念品を受け取る花井英夫さん夫妻(中央)

開業から1年半「釜石仙人峠」100万人達成〜花井さん(静岡市)に記念品

来場者100万人目となり、記念品を受け取る花井英夫さん夫妻(中央)

来場者100万人目となり、記念品を受け取る花井英夫さん夫妻(中央)

 

 釜石市甲子町の道の駅「釜石仙人峠」(菊池利教駅長)は23日、来場者数100万人を達成した。復興需要に加え、いわて国体の開催により交通量が増加したこともあり、当初の見込みを上回る集客数で推移。開業から1年半で大台に達した。同日、施設前で記念セレモニーが開かれ、100万人目となった静岡市の花井英夫さん(73)、瑞代さん(71)夫妻に記念品が贈られた。

 

 同道の駅は昨年4月に開業。地元を中心に20軒以上の農家でつくる販売組合が特産の甲子柿や季節の野菜などを直売するほか、海産物、地酒などを販売している。「釜石ラーメン」やしょうゆを使ったソフトクリームも人気。「三陸沿岸で一番きれい」を目指し、清掃に力を入れているトイレ棟(24時間利用可能)が利用者に好評で、トイレ休憩のために立ち寄る人も多いという。昨年度の利用者は64万人だった。

 

 セレモニーでは、野田武則市長や道の駅指定管理者を務める釜石振興開発の新里進社長が、花井さん夫妻に記念品の虎頭の置物などを贈った。郷土芸能の小川鹿踊り(佐々木民生同保存会長)の演舞でお祝い。5頭の鹿、手踊り、おはやしなど20人が出演し、勇壮な舞と太鼓や笛の音で地域を活気付けた。

 

 花井さん夫妻は、本県沿岸から八戸市への旅の途中に同道の駅に立ち寄った。思いがけず100万人目となり、英夫さんは「大切な場に立ち会えて光栄。思い出となるいいものをもらった」とにこにこ顔。震災後、何度か釜石を含めて被災地を回ったといい、「駿河湾でも、いつ津波が起こるか分からない。三陸から学ぶ旅にしたい」と話していた。

 

 野田市長は「道の駅ができ、地域の良さを発信できるようになった。果たす役割は大きい。多くの人に必要とされ喜ばれる施設として地域一丸となり盛り上げてほしい」と期待。菊池駅長は「こんなに早く到達するとは思わなかった。今後もいろんな釜石を紹介できれば。200、300万とずっと続くことを願い、運営を続ける」と気持ちを新たにした。

 

(復興釜石新聞 2016年10月26日発行 第532号より)

 

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「日本版DMO」について学び、これからの観光振興について考えた講演会

釜石オープンアカデミー「日本版DMO」の理解促進へ〜観光まちづくり講演会、振興策探る

「日本版DMO」について学び、これからの観光振興について考えた講演会

「日本版DMO」について学び、これからの観光振興について考えた講演会

 

 釜石市が掲げる「オープンシティ戦略」の一翼を担う”観光まちづくり”をテーマとした講演会が20日、大町の情報交流センター釜石PITで開かれた。観光による地域づくりで近年、注目を集める「日本版DMO」への理解を深め、今後の観光振興策のヒントを探ろうと市が主催。市内外から集まった約80人が2人の講師の話に耳を傾けた。

 

 観光地域づくりプラットフォーム推進機構代表理事で、NPO法人グローバルキャンパス理事長の大社(おおこそ)充さんは、全国で設立の動きがある「DMO」について、その背景と必要性について解説した。

 

 DMO(デスティネーション・マーケティング/マネジメント・オーガニゼーション)は、専門性の高い人材がマーケティングに基づく地域の産業振興、人材育成に取り組んでいる組織で、観光先進諸国で導入されてきた。日本では、観光地域づくりを戦略的に推進しようと、観光庁が日本版DMO候補法人登録制度を設けており、関係省庁が連携して登録法人に支援を行う。

 

 日本版DMOについて大社さんは「旅行業者が観光客を連れてくる従来の主流から、地域が主体となり集客する”地域主導型”観光に変わりつつある中で、今までの観光振興の弱い部分を強化していこうという狙いがある」と背景を分析。地域全体で「観光地経営」をするには、観光以外の産業、住民との連携が不可欠で、今までの日本の観光振興策に足りなかったマーケティングに基づく目標値設定の重要性を説いた。

 

 「現状をより正確に把握し、打つべき手を考えるために客観的なデータは絶対に必要。根拠が曖昧(あいまい)で、誰も責任を取らないような目標値は民間企業では有り得ない」と大社さん。観光地域づくりのかじ取り役であるDMOの役割は、「成果が出る仕組みを作ること。自ら商品を作る、売る、集客するという、地域が自立するための仕組み作りが求められる」とした。

 

 続いて、長野県茅野市観光まちづくり推進室長で、同県DMOアドバイザーの高砂樹史さんが、現職の前に11年間関わった長崎県五島列島、小値賀(こじか)町の観光振興の事例を紹介した。

 

 高齢化率四十数%、10年で子どもの人口が3分の1に減少した同町は、若者の雇用創出、収入の安定を目指した地域再生で大きな成果を挙げた。島の豊かな暮らし、自然を地域資源と捉え、民泊や自然体験などで観光客を誘致。古民家を再生しプライベート空間を確保した「大人の島旅」が人気を集め、外国人観光客からも注目されるようになった。

 

 当時の観光協会など3組織は解散し、新たなNPOを立ち上げ島の観光窓口を一本化。DMOとして機能させた。観光客の満足度、地域住民の島への愛着心も向上。10年間で人口の1割以上の三百数十人がU・Iターンし、3分の2がUターンだという。

 

 高砂さんは「人口減による負の連鎖をいかにして減らし、交流人口を増やしていくかが鍵。釜石市において自身の地域ブランドは何か、100年後の釜石に残すべきものは何かというところを考えていただきたい」と提言した。

 

(復興釜石新聞 2016年9月24日発行 第523号より)

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釜石湾の絶景に映える「恋人の聖地」モニュメントを見学するツアー参加者

「恋人の聖地」で素敵な出会いを “えんむすびまつり”〜釜石大観音、仲見世リノベーションプロジェクト

祭りを盛り上げたジャグリングパフォーマンス

祭りを盛り上げたジャグリングパフォーマンス

 

 釜石市大平町の釜石大観音仲見世通りで10日、「第1回えんむすびまつり」が開かれた。縁結びの隠れスポットが点在するとされ、「恋人の聖地」にも選定された大観音にあやかり、さまざまな出会いの場を提供しようと、釜石大観音仲見世リノベーションプロジェクト(宮崎達也代表、10人)が主催。”縁”をテーマにした多彩な企画で来場者を楽しませた。

 

 同プロジェクトは、より良い釜石実現を目指した「釜石○○(まるまる)会議」から生まれた市民グループで、空き店舗が目立つ同仲見世通りを再生させ、にぎわいや交流の場を創出する活動を行う。今回は、昨年8月の流しそうめん祭り、10月のハロウィーンイベントに続く第3弾のイベントとなった。

 

 山門前に並んだ飲食ブースでは、イカぽっぽ焼きや生ビールを販売。地元のキッチンカーや販売店は祭りを記念したメニューを提供し、縁結びにちなんだ5円玉付きの新米塩(えん)むすび、ハート型パンなどで幸運を呼び込んだ。

 

 大観音の縁結びスポットを巡るガイドツアーでは照井良知総務部長が、仏舎利塔の地下に安置されている縁結びの神「愛染明王」など、5つのポイントを紹介。観音像入り口にある「伝説のロープ」は、東日本大震災の津波に耐えた船の係留ロープと同素材で作られ”切れない縁”を象徴、今月4日にお披露目されたばかりの「恋人の聖地」モニュメントの”幸せの鐘”は願いがかなうとされ、参加者は写真を撮りながら楽しんだ。

 

釜石湾の絶景に映える「恋人の聖地」モニュメントを見学するツアー参加者

釜石湾の絶景に映える「恋人の聖地」モニュメントを見学するツアー参加者。新たに生まれた”縁結び”スポットは、さっそく拝観者の注目を集めている

 

 初めて釜石を訪れた東京都の森本夏実さん(35)は「思った以上にいろいろな観音様があり、展望台からの景色もきれい。ご利益があればいいですね」とツアーを満喫。照井部長は縁結びツアーの企画に「魅力あるスポットを知ってもらう良い機会。若者特有の情報発信に期待したい。恋人の聖地を生かし、(震災後の2012年に行ったような)市民結婚式にも取り組めれば」と話した。

 

 祭りではこのほか、弾き語りやジャグリング、クイズ大会、フォークダンスなども行われた。

 

 「昨年からのイベントで仲見世に目を向けてもらう機会が増えた」と宮崎代表。プロジェクトでは通りの景観改善にも取り組み、空き店舗を活用した織物工房の内装リノベーションなども手がける。今後はリノベーション勉強会も開きたいとし、関係者と連携した仲見世再生に意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2016年9月14日発行 第520号より)

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「釜石お店なび」発行〜国体に向けマップを1万部、釜石商工会議所

安全な国体の盛り上げへ、味の釜石を紹介するマップ「釜石お店なび」

安全な国体の盛り上げへ、味の釜石を紹介するマップ「釜石お店なび」

 

 46年ぶりに開かれる「希望郷いわて国体」で3競技が行われる釜石市を訪れる人たちに、食、ものづくりの魅力や復興の様子を体感してもらおうと、釜石商工会議所(山崎長也会頭)は中心街の東部・鈴子地区の食事や土産品を紹介するマップ「釜石お店なび」1万部を発行した。6日に行われたオープンウォータースイミング競技直前にはすでに4200部が配布されており、残部も10月2日のトライアスロン競技、同4~7日の7人制ラグビー(男女)に向けホテル、交通機関などに用意されている。

 

 マップの大きさはA2判で両面印刷。8つに折り込み、A5判で陳列される。その表面は特産品の甲子柿をイメージさせる柿色の地に題字、6種の「味」をカラー写真で配し、釜石市のキャラクター「かまリン」が添えられた。

 

 「なび」は8月1日現在の情報による。道路図とともに1面が鈴子地区と、ラグビー競技会場となる松倉地区を含む甲子町。別面は東部中心街の仮設店舗なども紹介。お店は食事(鈴子・甲子16、東部31)居酒屋・スナック(鈴子31、同50)弁当など(東部4)、お土産など(鈴子15、東部4)で、「釜石ラーメン」は西部地区を含め11店を特記している。種別に円形のカラー番号で示し、いくつかの目印となる場所、味の製品を写真にした。

 

 国体の会場はイラストでアピール、1面には観光・交通機関を囲みで示した。何より津波災害を想定した避難場所は、赤の統一イラストで強調した。

 

 掲載した店舗は同会議所の会員事業所を中心に、東日本大震災後に導入された小規模事業者等持続化補助金に関する経営計画を作成する事業所(採択67事業所)の支援も目的とする。

 

 「なび」発行にかかわった同会議所中小企業相談所経営支援課の鳥居奈保子さんは「市街からのお客さま、国体で来る多くのみなさんに、楽しく食事をして、お土産を買ってもらい、釜石を感じてほしい。がんばる商業も精いっぱいアピールしたい」と語った。

 

 なお、同会議所のホームページでは、市内のお店情報を網羅した「釜石お店なう」を掲載している。

 

 「なび」の問い合わせは釜石商工会議所中小企業相談所(電話0193・22・2434)へ。

 

(復興釜石新聞 2016年9月14日発行 第520号より)

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釜石お店なう
釜石商工会議所
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除幕式には、2012年に行われた大観音での市民結婚式で結婚した夫婦らも参加。愛の絆を確かめ合う場所の誕生を祝った

「恋人の聖地」選定記念、釜石大観音にモニュメント〜”幸せの鐘”とカモメをデザイン、新たな観光スポットに期待

「恋人の聖地」モニュメントの完成を喜ぶ藤原綾子さん(右から2人目)ら式の出席者

「恋人の聖地」モニュメントの完成を喜ぶ藤原綾子さん(右から2人目)ら式の出席者

 

 プロポーズにふさわしいロマンチックな場所として今年4月、「恋人の聖地」に選定された釜石市大平町の釜石大観音に、記念のモニュメントが設置された。大きなハートに2羽のカモメが寄り添い、願いをかなえる〝幸せの鐘〟を配したデザイン。4日、市民ら約130人が出席して除幕式が行われ、釜石らしい新たな観光スポットの誕生を華やかに祝った。

 

 「恋人の聖地」の選定は、全国の観光地に新たな魅力を創出し地域活性化や少子化対策につなげようと、NPO法人地域活性化支援センター(静岡市)が2006年から実施。釜石大観音は慈愛の観音像として長年親しまれ、震災後の2012年に被災したカップルら6組の市民結婚式の会場となったことなどが評価され、全国140カ所の聖地の一つに選ばれた。

 

 モニュメントは、大観音を運営する宗教法人石応禅寺の都築利昭住職らによる法要後、関係者の除幕で、お披露目された。都築住職は「恋愛成就のデートスポット、婚活イベントや市民結婚式の会場に利用していただき、思い出の場所として記念日に訪れてもらえる施設を目指したい」とあいさつ。野田武則市長は「モニュメントの前で多くの方々が新しい人生をスタートさせ、観音様の愛に育まれ幸せに暮らせることを祈る」と祝辞を述べた。

 

除幕式には、2012年に行われた大観音での市民結婚式で結婚した夫婦らも参加。愛の絆を確かめ合う場所の誕生を祝った

除幕式には、2012年に行われた大観音での市民結婚式で結婚した夫婦らも参加。愛の絆を確かめ合う場所の誕生を祝った

 

 モデルカップルとして鐘の鳴らし初めを行った釜石出身の久保優太さん(18)、砂金珠里さん(18)は、「恋人の聖地」選定委員の桂由美さん(ブライダルファッションデザイナー)がデザインした宝船のあしらわれた祝い着姿で登場。「モニュメントは釜石をアピールできる良い素材。訪れる人の思い出になれば」と期待を込めた。

 

 同法人が観音像の足元の展望台に設置したモニュメントは高さ2メートル70センチ。御影石の台座にステンレス製のハート型オブジェを配置し、恋人に見立てた2羽のカモメが背景の釜石湾に映えるシンプルでモダンなデザイン。台座には桂由美さんの名前が入った銘板が飾られた。市民結婚式を行う際には祭壇の背景にも活用できる。市内の元持、仲野石材店が施工した。

 

 デザインを担当したのは、震災直後から「釜石サポートプロジェクト」を立ち上げ、市民結婚式の実現にも尽力した「釜石応援ふるさと大使」の藤原綾子さん(東前町出身、ユミカツラインターナショナルアクセサリーデザイナー)。釜石湾、観音像のどちらを背景にしても美しい記念写真が撮れるよう設置場所にもこだわった。「天気がいい時はハート部分がきれいに反射し、まるで白いカモメが飛んでいるよう。何度でも足を運んでほしい」と藤原さん。「市民で祝う結婚式をここでできれば、市内の関連業者にも波及効果が生まれ市全体が活気づく。魅力あるロケーションをもっとPRし、年末年始以外にも市民に訪れてもらえる機会が増えれば」と願った。

 

 藤原さんはこの日、釜石大観音の「恋人の聖地」グッズとして企画されたHELLO KITTYの”ご当地キティ”商品(クリアファイル、アクリルキーホルダー、ハンドタオル)のデザインも発表した。商品の売り上げの一部は釜石の復興支援に役立てられるもので、11月半ばに販売開始予定。

 

(復興釜石新聞 2016年9月7日発行 第518号より)

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釜石大観音 公式サイト
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イベントちらし、申込み書

【9/20】釜石観光まちづくり講演会「”日本版DMO”って何?」

meetupkamaishi

 

内容

 

最近、よく耳にする“日本版DMO”って、何だろう?

 

観光地域づくりの中核として期待されるDMOですが、一体どのようなもので、なぜ必要なのかを、日本版DMOの第一人者である大社充先生がわかりやすく解説します。

 

釜石では、本年3月に「meet up釜石」という20の観光体験プログラムを実施しました。橋野鉄鉱山の世界遺産登録や2019年ラグビーワールドカップの開催を控える釜石において、観光まちづくりへの取り組みが重要になっています。

 

観光まちづくりの先駆者高砂樹史さんもお招きし、釜石の観光地域づくりの課題に迫り、釜石が今後実践すべき具体的な内容についても学びを深めていきます!

 

https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/keikaku_torikumi/chihousousei/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/09/07/0920.pdf

釜石オープンアカデミー「”日本版DMO”って何?」観光まちづくり講演会 イベントチラシ

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データ容量: 859 KB
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日時

2016年9月20日(火)18:30~20:15(開場18:20)

会場

釜石情報交流センター チームスマイル・釜石PIT(釜石市大町一丁目1-10)

参加費

無料(どなたでもご参加頂けます)

その他

会場に駐車場はございませんので、近隣の市営駐車場をご利用ください

 

講師

 

大社充 氏

DMO推進機構代表理事、NPOグローバルキャンパス理事長

市町村の観光協会の事業改革や観光まちづくり・観光分野の行政職員・民間事業者向け研修を全国各地で実施。地域資源を活用した観光まちづくりの中核組織となる「観光まちづくりプラットフォーム」の形成支援と、それら団体の全国ネットワークづくり・人材育成に取り組む。
参考記事:DMOで集客力を高める | 月刊「事業構想」2014年6月号

 

高砂樹史 氏

長野県茅野市観光まちづくり推進長、長野県DMOアドバイザー

秋田県わらび座を経て、平成17年より長崎県五島列島の観光まちづくりに参加。「JTB交流文化賞最優秀賞」、「オーライニッポン内閣総理大臣賞」などを受賞。現在は、長野県DMOアドバイザーや総務省地域力創造アドバイザー、内閣府観光伝道師、なども務める。
参考記事:おぢかアイランドツーリズム 2万人が訪れる「もてなしの島」 | 月刊「事業構想」2015年1月号

 

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 総合政策課 オープンシティ推進室
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111(132) / 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/keikaku_torikumi/chihousousei/detail/1203944_3278.html
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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
【限定10名!】尾崎半島トレッキング&クルーズ

【9/22 秋分の日】尾崎半島トレッキング&クルーズを開催します! ※参加者募集中

尾崎半島トレッキング&クルーズ開催

 

尾崎半島のトレッキングとクルーズを通して、釜石の魅力を体感できるイベントです

秋が近づく秋分の日に、尾崎半島トレッキング&クルーズを開催します!トレッキングとクルーズをセットにしたプログラムでお得な価格となっております!

 

それではコースを紹介します。

 

トレッキングは尾崎神社の奥宮、奥の院を参拝しながら半島先端部の尾崎灯台を目指す往復約7kmのコースです。 ※尾崎神社のご神体が眠る神聖な場所です。

 

クルーズは尾崎半島の雄大な自然を感じながら、釜石湾内を周り、釜石大観音の真下まで接近する約40分のコースです。 ※船の上から釜石大観音をバックに記念撮影ができるおすすめスポットです。

 

秋分の日!ぜひ尾崎半島のトレッキングとクルーズを通して、釜石の魅力を体感してみませんか!?みなさまのご参加お待ちしております!

 

尾崎半島とは?

 
釜石湾の南に位置し、太平洋へ長い太刀のごとく突き出た半島です。三陸海岸の自然に覆われ、国立公園に指定されています。また、釜石祭りにおいて、海を渡って迎えられるご神体が祀られた尾﨑神社奥宮・奥ノ院が鎮座している神聖な地でもあります。

 

尾崎神社とは?

 
岩手県釜石市にある神社で、御祭神は日本武尊(ヤマトタケル)、綿津見神、閉伊頼基(へいよりもと)です。里宮、本宮、奥宮、奥の院の4社があり、年に一度尾崎神社の神様が市内を廻る釜石祭りは、地元で愛され続けている秋の風物詩です。

 

ヤマトタケル伝説

 
日本古代の英雄ヤマトタケルの東征最東端、最終地点といわれているのが尾崎半島です。その証として突き刺した宝剣を、土地の人々が敬い祀ったことが尾崎神社の始まりであり、今もなお数々の歴史と伝説が残っています。

 

おすすめポイント

 
・尾崎神社の本宮、奥宮、奥の院の三社を一度に巡る贅沢コース!
・オーシャンビューでランチタイム!太平洋を一望できる尾崎灯台でランチをします!
・トレッキングを楽しみながら地域貢献!トレッキング後は青出浜の清掃活動をして地域に貢献しましょう!
・船の上から釜石大観音を望むクルーズコース!

 

スケジュール

 
8:00 尾崎白浜コミュニティ番屋集合
※オリエンテーション後、船でスタート地点まで向かいます。
9:00 尾崎神社奥宮参拝
9:30 トレッキングスタート(途中休憩あり)
11:20 尾崎灯台でランチタイム
12:30 尾崎灯台出発(途中休憩あり)
14:20 ビーチクリーン
15:10 青出浜出発〜クルーズへ
15:50 尾崎白浜漁港到着
※トイレ休憩、振り返り
16:30 解散

 

日時

9月22日(木) 8:00〜16:30

料金

¥4,500(ガイド料、保険料、船代)

集合場所

8:00 尾崎白浜コミュニティ番屋(岩手県釜石市平田第8地割75)

定員

10名

持ち物

昼食、飲み物、タオル、軍手、動きやすい服装、トレッキングシューズ、熊鈴

申込方法

こちらの申込フォームにご入力をお願いします。
9/22(木・祝)尾崎半島トレッキング&クルーズ申込フォーム

申込締切

9月20日(火)

注意事項

※ツキノワグマとの遭遇を避ける為、熊鈴は必ずご用意ください。(ご用意が難しい方は事前にご連絡下さい。)
※尾崎半島にはトイレがありませんので、簡易トイレと個室テントを各ポイントでご用意します。
※雨天中止
※山火事防止のためコース内での喫煙はご遠慮ください。
※波が高い場合は船が出られない可能性があります。ルート変更の際は事前にご連絡いたします。

 

【限定10名!】尾崎半島トレッキング&クルーズ

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尾崎100年学舎

尾崎100年学舎

釜石市尾崎半島をフィールドに、地域が100年継続できる在り方を考え、地域の人と共に実践し、次世代につなげていくことを目的に活動しています。

岩手県釜石市大字平田7-90-11 / Facebookページ

世界遺産登録を記念して釜石商議所が製作した「トレシー」

「橋野鉄鉱山」の案内図プリント、高性能クロストレシー販売開始〜世界遺産登録を記念、釜石の新たな土産物に

世界遺産登録を記念して釜石商議所が製作した「トレシー」

世界遺産登録を記念して釜石商議所が製作した「トレシー」

 

 釜石商工会議所は、世界遺産「橋野鉄鉱山」の案内図をプリントした高性能クリーニングクロス「トレシー」の販売を始めた。パッケージ入りで、価格は800円(税込み)。世界遺産登録を記念した製品で、地域の宝「橋野」を市内外に発信する釜石の新たな土産物としての需要に期待を寄せる。

 

 トレシーは、東レの高分子化学技術から生まれたもので、直径約2ミクロン(断面積比が髪の毛の1600分の1)というポリエステル100%の超極細繊維。細かい繊維でできており、汚れをかき取る性能が高いという。洗濯することで性能が回復する点もメリットの一つ。メガネ、カメラやスマートフォンなどの画面、時計、宝石など幅広く使うことができる。

 

 大きさは縦約15センチ、横約24センチ。1千個を製作し、シープラザ釜石内の釜石特産店、道の駅釜石仙人峠、橋野どんぐり広場で販売している。

 

 世界遺産登録後、観光客が増加しているが、「お土産が何もない」との声も多いことから、同所では今年に入り「土産物になり、地域振興の一助にもなれば」と記念品の制作を検討。「かさばらず軽い、残るもの」として記念品を完成させ、今後は宿泊施設などでの販売も視野に入れる。

 

 同商議所の山崎長也会頭は「釜石ならではのものができた。観光で来た方に喜んでもらえる」と太鼓判。総務・振興課の栗澤宏嘉担当課長は「手軽に持ち歩くことができるので、出張時に釜石を紹介する際の土産品としても活用してもらえれば」と期待する。

 

 問い合わせは釜石商議所(電話0193・22・2434)へ。

 

(復興釜石新聞 2016年8月24日発行 第514号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

青森青年会議所のメンバーらと共に、「ねぶた」の前で飛び跳ねる子どもら

支援の「青森ねぶた」出陣〜唐丹夢あかり、復興の願い込め花火も

青森青年会議所のメンバーらと共に、「ねぶた」の前で飛び跳ねる子どもら

青森青年会議所のメンバーらと共に、「ねぶた」の前で飛び跳ねる子どもら

 

 お盆を前に11日、釜石市唐丹町で「夢あかり」が開かれた。東日本大震災のあと昨年までは、「追悼」と「復興」の願いを込め被災地で一斉に花火を打ち上げる「ライトアップニッポン」に合わせて行っていたが、今年は地元の小白浜町内会や唐丹駐在所連絡協議会などが独自に実行委員会を立ち上げて開催。地元住民が繰り広げる盆踊りなどに合わせ、約700発の花火が夜空を彩った。青森市から支援の「ねぶた」も出陣。勇壮な山車が笛や太鼓の音に合わせて練り歩き、唐丹の復興にエールを送った。

 

 復旧した小白浜漁港の岸壁にメーン会場を設定。特設舞台では、釜石民謡クラブによる民謡、唐丹中生によるソーラン、花巻市東和町から駆け付けた津軽三味線グループの演奏などが繰り広げられた。花火が打ち上げられ、地元の桜舞太鼓も鳴り響いた。縁日広場も設けられ、子どもも大人も綿あめや焼きそばを味わい、輪投げやヨーヨーすくいなどの遊びを楽しんだ。

 

夜空を彩る花火を眺める家族連れ

夜空を彩る花火を眺める家族連れ

 

 青森ねぶたは2回にわたって出陣。鬼女を退治しようとする武将の勇壮な姿を表現した「紅葉狩り」の山車に灯がともされ、「らっせーらー」の掛け声に合わせて跳人(はねと)が飛び跳ねた。跳人に誘われた子どもらが飛び入りでパレードに加わり、「らっせーらー」と声を弾ませた。

 

 ねぶた師の内山龍星さんが2011年、ボランティアで釜石を訪れたのが、今回の出陣のきっかけ。東日本大震災復興支援事業に取り組む青森青年会議所(JC)などのメンバーが内山さんの思いに賛同し、青森ねぶた初の跳人団体「跳龍會」の面々と共にトラックに山車を積み約40人が駆け付けた。

 

 青森JC元理事長の佐藤一尚さん(41)は「内山先生の支援の思いが形になり、うれしい。わずかな力だが、青森ねぶたを通し、本当の意味で唐丹の復興につながれば」と期待する。

 

 唐丹夢あかりは震災のあった11年から毎年夏のこの時期に行われている。今回は地元企業や住民から資金を募って開催にこぎつけた。

 

(復興釜石新聞 2016年8月20日発行 第513号より)

 

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そろいの浴衣姿であでやかな舞を披露し、夏の祭りを彩る「よいさ小町」

復活4年目 「よいさ」彩る釜石の夏、思い思いのスタイルで躍進〜オープンシティ目指し元気発信

間近に迫ったいわて国体をアピールする県沿岸振興局チーム

間近に迫ったいわて国体をアピールする県沿岸振興局チーム

 

 釜石の夏を彩る「釜石よいさ」(同実行委員会主催)は6日、大町から只越町の目抜き通りを特設会場に開かれた。東日本大震災による休止を経て復活してから4回目。通算では28回目となる今回は、市内外から36団体、約2千人が参加。最高気温が30度に迫る暑さの中、思い思いのスタイルで熱い群舞を繰り広げ、約7千人の観客が沿道からエールを送った。今回は、間近に迫った希望郷いわて国体の50日前を記念し、炬火(きょか)イベントも併せて行われた。

 

そろいの浴衣姿であでやかな舞を披露し、夏の祭りを彩る「よいさ小町」

そろいの浴衣姿であでやかな舞を披露し、夏の祭りを彩る「よいさ小町」

 

 大町・青葉通りに設置された特設舞台で開会セレモニー。君ケ洞剛一実行委員長(38)は「いい町には元気な祭りがある。明日の活力へ一緒に踊りを楽しもう」と宣言。野田武則市長は「釜石はオープンシティを目指す。”つながり人口”で、まちを元気にしたい。縁のある人はみんな祭りに参加して」と呼び掛けた。

 

威勢よく餅まきで28回目の「釜石よいさ」の幕開け。特設ステージの前に大勢の市民が群がった

威勢よく餅まきで28回目の「釜石よいさ」の幕開け。特設ステージの前に大勢の市民が群がった

 

 にぎやかに餅まきが行われたあと、錦町青年会が郷土芸能の虎舞を披露。続いて甲東、かまいし両こども園、正福寺幼稚園、上中島保育所の園児らが元気いっぱいの掛け声と踊りで「子供よいさ」を繰り広げた。目抜き通りの両側は、わが子の”晴れ姿”を追う家族らで埋まった。

 

「子供よいさ」で元気に行進する甲東こども園の園児ら。沿道では大勢の父母らが見守った

「子供よいさ」で元気に行進する甲東こども園の園児ら。沿道では大勢の父母らが見守った

 

 おはやし隊の太鼓や笛が鳴り響き、そろいの浴衣姿のよいさ小町があでやかに前ばやしを披露すると、いよいよ本番のスタート。そろいの浴衣や半てん、Tシャツなどに身を包んだ36団体の踊りの輪が回り始めた。

 

 横断幕を掲げ、手作りの山車を繰り出し、独自にアレンジした踊りでアピールするグループも。躍動する踊りを、沿道から市民や観光客らが拍手で盛り上げた。

 

 今回は、「釜石最後の芸者」といわれ今年1月に89歳で亡くなった伊藤艶子(藤間千雅乃)さんをしのび、伊藤さんが振り付けた「スタコラ音頭」も披露され、津波の教訓をアピールする場面もあった。

 

 釜石の地方創生を模索しようと活動する「釜石○○会議」から誕生したお祭り支援活動チーム「おまつり男塾」からは30人余りが参加。ドイツ人で3年前から市教委の外国語指導主事(ALT)として小中学生に英会話を教えるウェルカ・ミシエルさん(30)は自前の浴衣を着て加わり、「ドイツにこんな祭りはありません。かまいしサイコー」と声を弾ませた。

 

「ドイツにこんな祭りはありません」とミシエルさん。自前の浴衣がよく似合う

「ドイツにこんな祭りはありません」とミシエルさん。自前の浴衣がよく似合う

 

 法政大からはキャリアデザイン学部のゼミ生やOB13人が普段着で飛び入り。震災前からボランティア活動で釜石に足を運んでいるという会社員、広島愛子さん(29)=川崎市=は「釜石には魅力のある人がいっぱい。復興が体で感じられ、うれしい」と不慣れな踊りも楽しんだ。

 

人、人、人で埋まった露店。かつての釜石のにぎわいを思わせる

人、人、人で埋まった露店。かつての釜石のにぎわいを思わせる

 

 君ケ洞委員長は「天気にも恵まれ、震災後一番の祭りになった。みなさんが純粋に祭りを楽しむ表情を見て、本当の意味で釜石の夏の風物詩が戻ってきたと感じた。継続の難しさもあるが、さらに内容を充実させ、良い祭りにしたい」と思いを膨らませた。

 

(復興釜石新聞 2016年8月10日発行 第511号より)

関連情報 by 縁とらんす
釜石よいさ公式サイト
復興釜石新聞

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トロッコで巡る 釜石鉱山坑道見学

鉄のまち釜石〜トロッコで巡る釜石鉱山坑道見学と国登録有形文化財の旧釜石鉱山事務所

トロッコで巡る 釜石鉱山坑道見学

 

 釜石鉱山は、岩手県釜石市の西部に位置する鉄鉱石鉱山で、仙人峠で磁鉄鉱が発見された江戸時代末期からその歴史が始まり、日本の近代化の歩みと共に『鉄のまち釜石』の根幹を支えてきました。現在、大規模な鉄鉱石の採石は行われていませんが、実際に利用されていた電気トロッコによる坑道見学ツアーが年に数回開催されています。今回、2016年7月25日に開催された釜石鉱山坑道見学会に参加してきました。

 

釜石鉱山のご紹介 – 釜石鉱山株式会社
平成28年度 釜石鉱山坑道見学会を開催します | 縁とらんす

 

釜石鉱山坑道見学

 釜石鉱山への坑道入り口で私たちを出迎えたのは、「バッテリーロコ」といわれる電気駆動の名物トロッコでした。トロッコは高さ1.5mほどで、可愛らしい外観が特徴です。

 

 このトロッコは鉱山内にある地下水力発電所の電気を使って充電しており、環境に配慮された乗り物です。地下水力発電所では湧水を利用した発電が24時間行われており、電力会社にも売電可能なほどの電気を生み出しています。

 

トロッコ

レトロな外観とカラフルなカラーリングのトロッコ

 

仙人秘水原水採水地(旧製造工場)

 

 トロッコで約10分ほど、ひんやりと薄暗い坑道を走っていきます。坑道内の気温はおよそ10度。車内の熱気との温度差でたちまち曇っていく車両の窓、ぼんやりと広がっていく白熱電球の灯り、そして身体全体に響くようなトロッコの車輪の音に非日常感がぐっと高まっていきます。

 

 坑道を抜けると素掘りの空間が広がります。ここでは釜石鉱山の成り立ちが語られます。安政4年(1857年)に大島高任が、この大橋に日本で最初の洋式高炉を1期建設します。実は世界遺産となった橋野の高炉より1年早く、近代製鉄の歴史は大橋から始まっているのです。この事実に驚かれる方も多いかもしれません。

 

製造工場跡地

仙人秘水や仙人秘水を原料とする商品の前で釜石鉱山の歴史を説明

 

 このフロアの奥には、国際的な味覚審査機構からも最高位の評価を受けている「仙人秘水」の旧製造工場があります。現在、仙人秘水はパイプを通して外の工場まで送水していますが、昔はこの場所まで空のペットボトルを運び、充てんをして再び運び返すという作業が繰り返し行われていたそうです。

 

仙人秘水説明ボード

釜石鉱山の鉱脈と「仙人秘水」源泉地の案内パネル

 

仙人秘水について

 仙人秘水は、日本で最初に認可された非加熱処理の「ナチュラルミネラルウォーター」です。”ナチュラル”とは、ミネラル分調整やブレンド等を行っていない天然のままの水を意味します。

 

 水の特性として、pH値は生体水に近い約8.8の弱アルカリ性で、ミネラル分の含有量は適度であるとのこと。酸化しにくい軟水はまろやかな口当たりで、ほのかな甘みが感じられます。この水が何十年という長い年月をかけ、花崗岩や磁鉄鉱といった厚い岩盤で濾過されたものだと思うと、自然が作り出すバランスに驚かされます。

 

原水採水場

坑道内では豊富な水が湧き出ており試飲することもできます

 

 仙人秘水の特徴として、抗酸化力が強い(酸化還元電位が低い)水であることが挙げられます。お酒好きな鉱夫たちによく飲まれていたというエピソードがあるほど、抗酸化力が強い仙人秘水は”二日酔いに効く”といわれているそうです。不純物の少なさを表す電気伝導率の低さにもその俗説を裏付ける数値が現れており、75[μS/cm]という数値は市販されている国内外のミネラルウォーターに比べても低い水準になるそうです。

 

 割り水として、チェイサーとして、または翌日の二日酔い対策として、お酒との相性が良いところも仙人秘水が愛される一つの理由なのでしょう。もちろん不純物が少ない水は、コーヒーやお茶、または料理でも大きな効果を発揮します。

 

仙人秘水と無印良品

 無駄をものをそぎ落としたようなシンプルさと使いやすさが世界中で人気の無印良品では、日用品から食品、衣類や家具、更には住宅まで様々な製品が展開されています。なかでも化粧水や乳液などのスキンケア用品は、保湿力の高さと買い求めやすい価格帯から根強いファンが多い商品ですが、その原料として採用されているのが、煮沸や殺菌の必要のないナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」です。

 

参考記事:MUJIキャラバン – 天然水 | 無印良品

 

化粧水

無印良品で商品化されているラインナップの数々

 

鉄鉱石採掘跡

 

鉄鉱石採掘跡

鉄鉱石採掘跡で発破作業や運搬についての説明を受ける

 

 次にトロッコは、鉄鉱石採掘跡へ向かいます。坑内で華麗なスイッチバックを披露するのですが、突如方向が変わるので乗客の皆さんは少し驚くかもしれません。走り出したその先には採掘の歴史を感じさせる趣深い空間が広がっています。

 

 釜石鉱山では鉄鉱石だけでなく、貴重な鉱物も多く採掘されています。石灰石やトルマリン、大理石など自然が創りだした多くの資源がこの釜石鉱山には埋蔵されています。

 

釜石鉱山で採掘される石

釜石鉱山で採掘された鉄鉱石や石灰石など

 

 これらを採掘するためには大変危険な作業が待っています。現場では熟練者の腕やカンを頼りとする作業が多くあることが伺えました。やはり自然を相手にする現場である以上、五感で異変や危険を察知する能力が必要とされるようです。

 

採掘現場

採掘現場での発破作業は常に危険を伴う

 

 映画のセットに登場しそうな運搬車も登場します。不思議な構造をしていますが、それもこの狭い坑道内をいかに安全に進むかということを考え作られています。ちなみに釜石鉱山で採掘された鉱石の総量は、東京ドーム約25杯分だそうです。

 

運搬車

運転席が横向きに設置された運搬車

 

グラニットホール

 

 かつて構内の休息場として利用されていた空間は、現在音楽ホールとして活用されています。花崗岩をドーム状に掘削して作られたホールで、音の響きが特徴的です。この場所で音楽を聴くと天井からしたたる水の音は次第に消えて、音楽に包まれているような感覚を覚えます。唯一無二の音楽ホールとして広く活用されることが楽しみです。

 

グラニットホール

これまで様々な録音やロケが行われてきたグラニットホール

 

グラニットホールからは、トロッコで5分ほどで坑道の入り口に戻ります。今回の釜石鉱山坑道見学会は以上で終了となりましたが、釜石鉱山と同じ大橋地区にある旧釜石鉱山事務所にも訪問しました。

 
 

旧釜石鉱山事務所

 釜石鉱山付近には、2013年に国の登録有形文化財(建造物)に指定された「旧釜石鉱山事務所」があります。1951年に竣工したこの建物は、釜石鉱山株式会社の総合事務所として2007年まで利用され、翌年、日鉄鉱業株式会社所蔵の釜石鉱山関連資料群とともに釜石市に寄贈されました。

 

旧釜石鉱山事務所

旧釜石鉱山事務所の玄関

 

 2011年に発生した東日本大震災の地震により建物の一部が壊れ、改修工事のため休館となっていましたが、耐震補強工事に合わせてレイアウトや展示内容を大幅に見直し、2016年6月より一般公開が再開されました。釜石鉱山の歴史はもちろん、当時の学校や病院など、この地域で営まれていた生活の様子も知ることができます。

 

【1階】
昭和の事務所:昭和30年代の事務所を再現。当時実際に使用されていた”手回し計算機”や”和文タイプライター”など事務用品を展示

 

旧鉱山事務所

机や事務用品もそのままに昭和の事務所をそのまま再現している

 

【2階】
鉱山のギャラリー:釜石鉱山に寄贈された絵画や彫刻を展示
鉱山の学校:釜石鉱山の学校だった釜石鉱山学園に関する資料や釜石ゆかりの作家の書籍を展示
鉱物室:釜石鉱山で採集された鉱石を中心に展示
鉱山の病院:釜石鉱山の付属病院で使用されていた器具などを展示
鉱山の展示室:釜石鉱山に関する様々な歴史資料などを展示
鉱山の電話交換室:釜石鉱山で使用されてい電話や交換機を展示

 

釜石鉱山概観図

階段の傍に置かれた大きな釜石鉱山概観図

 

鉱山のギャラリー

鉱山に関する美術品が並べられたギャラリー

 

鉱山の資料室

展示室では鉱山の歴史資料や採掘、分析道具などが展示されている

 
 

今回の、釜石鉱山坑道見学会と旧釜石鉱山事務所見学のダイジェストをムービーでご覧いただけます。

 

岩手県釜石市では、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産としユネスコ世界文化遺産に登録された「橋野鉄鉱山」のほか、今回ご紹介した釜石鉱山や旧釜石鉱山事務所を訪れることができます。ぜひ”鉄のまち釜石”で、江戸時代末期から始まる日本の近代化への歩みの一端を体験してください。

 
※釜石鉱山坑道見学会は年に数回開催されており、常時公開はされていません。
※旧釜石鉱山事務所は、休館日があるほか冬場は休館となります。
旧釜石鉱山事務所-釜石市

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内