味覚フェス初のホタテ釣りコーナー。貝の口に針をかませようと意識を集中…
釜石まるごと味覚フェスティバル(釜石観光物産協会主催)が16、17の両日、釜石市鈴子町のシープラザ遊で開かれた。例年、秋に開催しているが、今年は同時期に国体が行われることから日程を前倒し。昨年7月に決まった「橋野鉄鉱山」世界遺産登録の1周年も記念して開かれた。
市内外から46の業者、団体が出店。各地自慢の味や地場産品の販売、体験コーナーなどで来場者を楽しませた。水産まつりでは、釜石湾漁協がホタテの炭火焼きを提供。大きくて肉厚な貝柱が来場者の食欲をそそった。3分間釣り放題のホタテ釣りコーナーも人気で、老若男女が挑戦。震災を乗り越えた地元漁業者が元気を発信し、祭りを盛り上げた。
遠野市の松嶋達宏さん(25)、伊藤妙さん(26)は2人で10枚近くのホタテを釣り、「たくさん捕れて楽しかった。今晩のおかずで焼いて食べたい。釣りが趣味で釜石にはよく来るが、この祭りは初めて。いろいろ見てお土産もそろえたい」とうれしそうに話した。
農業祭の野菜(ピーマン・シイタケ)・餅まきは、開始前から大勢の人だかり。今年はグランバー釜石工場が提供したラスクも合わせ、1千袋以上がまかれた。
農業祭の野菜・餅まきは今年も大盛況。釜石の恵みをゲットしようと両手を伸ばす来場者
産業まつりでは県内のほか釜石と交流のある県外の市や町が、特産品販売や観光PRを繰り広げた。震災後の復興支援でつながった山口県下松市は初出店。名物のニンニクを使った加工品を販売し、11月にオープンする国民宿舎のPRも行った。
下松市は2012年から継続する震災復興フェアで、釜石の観光関係者らに三陸の水産物を宣伝してもらい、釜石市の防災担当者の指導を受け、商業施設の防災訓練も実施。釜石の震災の教訓を生かす取り組みを行っている。下松市の清水信男経済部長は「両市は同じものづくりのまち。当市は近年、商業開発にも力を入れ、釜石との人的交流をさらに深めたいと考えている。交流を続け、防災協定なども結べれば」と願った。
山口県下松市の販売ブース。まちの味や景観の素晴らしさなどご当地の魅力をPR
両日150食の無料お振る舞いでは、地元の農水産物を使ったおこわ・磯汁の提供に長蛇の列ができた。17日は、香川県の支援団体が讃岐うどん200食を振る舞った。
おこわと磯汁のお振る舞いに顔をほころばせる来場者
滝沢市の佐藤広明さん(51)は妻めぐみさんと磯汁のおいしさに感激。「内陸にはない味。ホタテやワカメの磯の香りとタマネギの甘さが引き立つ」と浜ならではの味を喜んだ。祭りの雰囲気に「地元の人たちの温かさが感じられ、若者が一生懸命。復興へ歩む姿に私たちも勇気づけられる」と心のビタミンも得た様子。
会場では音楽や郷土芸能のステージもあり、2日間とも大勢の観光客や地元住民でにぎわった。
(復興釜石新聞 2016年7月23日発行 第506号より)
釜石まるごと味覚・音楽フェスティバル | 縁とらんす
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