展示内容を確認する釜石鉱山事務所活用検討委の委員ら
東日本大震災以降、耐震補強工事のため一般公開を休止している釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所は、6月30日から一般公開を再開する。これを前に26日、釜石鉱山事務所活用検討委員会(委員長=月舘敏栄・八戸工業大教授、委員8人)が同事務所で開かれ、レイアウトが大幅に見直された展示内容を確認。さらなる改善・工夫の余地や再開後の運営体制などについて意見を交わした。
検討委には委員7人が出席し、3月末で改修工事を終えた同事務所を視察。委員からは「よく整理されている」と展示方法を評価する声が上がったほか、「釜石が三陸ジオパークの一部になっていることを踏まえ、鉱物の成り立ちが分かるような展示を」「世界遺産の橋野鉄鉱山や鉄の歴史館とセットで見学できるコースも必要では」といった提案もあった。
6月30日の一般公開再開を待つ旧釜石鉱山事務所
同事務所は2008年まで釜石鉱山株式会社の総合事務所として使用されていたが、事務所移転に伴い市が建物の譲渡を受け、釜石鉱山に関する資料も寄託された。09年から無料で平日に一般開放していたが、震災で壁が崩れるなど一部が壊れ、約1億3900万円をかけて改修工事が進められてきた。耐震補強のほかトイレなども修繕した。
改修された同事務所は、1階に「昭和の事務室」を再現し、2階には鉱山で採掘に使った道具や採取された鉱物などを展示。ギャラリーでは同鉱山をモチーフにした絵画なども公開する。さまざまな講義などにも使える「鉱山の学校」を配置するほか、懐かしい「鉱山の診療所」なども再現。SLが走った社線など鉱山の鉄道の歴史も紹介する。周辺には、さまざまな史跡や鉄鉱石の選鉱場跡、社宅跡などを散策する見学路も設ける予定だ。
一般公開は12月8日までとし、冬期間(3月末まで)は閉館とする。公開時間は午前9時半から午後4時半までとし、毎週火・水曜日は休館とする。同事務所は13年に国の登録有形文化財に指定されており、登録後の一般公開は初めて。再開に当たり臨時職員2人を配置した。一般公開を有料とするかどうかについては、市議会の6月定例会で審議する予定だ。
(復興釜石新聞 2016年5月28日発行 第490号より)
旧釜石鉱山事務所 – 釜石市
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