橋野で「うみやま郷土芸能」競演、世界遺産登録1周年記念〜文化交流300人が楽しむ
地元の誇り「橋野鹿踊り」で世界遺産を盛り上げる保存会のメンバー
「橋野鉄鉱山」世界遺産登録1周年を記念した「釜石うみやま郷土芸能大競演祭」が2日、釜石市橋野町青ノ木の橋野鉄鉱山インフォメーションセンター付近の特設会場で開かれた。釜石うみやま連携交流推進協議会(柏﨑龍太郎会長)が主催。橋野、鵜住居、箱崎白浜の郷土芸能3団体と釜石での復興支援活動を継続する拓殖大(東京都)が、自慢の演舞、パフォーマンスで登録1周年を華やかに彩り、地域の宝でつなぐ文化交流を約300人が楽しんだ。
郷土芸能は、橋野鹿踊り(橋野鹿踊り・手踊り保存会)、外山鹿踊(外山鹿踊保存会)、白浜虎舞(白浜虎舞好友会)が出演。地域の山間部と海岸部に伝わる勇壮な舞で、観客を魅了した。
世界遺産の地元に伝わる「橋野鹿踊り」は、同鉄鉱山の高炉が稼働したのと同時期の江戸時代末期、現在の遠野市附馬牛町東禅寺から指導者を招き、稽古したのが始まりとされる。5年前の震災以降、保存会の活動は休止状態にあったが、地域に大きな歴史を刻む世界遺産登録を契機と捉え、復活に向け始動。昨夏の地域の祭りで盛大にお披露目し、住民らに希望を与えた。
同競演祭では、伝承する9演目から「館褒め」「小切り」「会鹿」「礼踏み」など一連の舞を披露。子どもから大人まで35人が踊りやお囃子(はやし)で躍動した。
鹿を演ずる伊藤和也さん(31)は「世界遺産が橋野全体を知ってもらうきっかけになれば。鹿踊りも若い世代のメンバーが増えてもっと盛んになっていくことを願う」と期待。保存会の和田松男会長(72)は「昨年の体制整備で太鼓や笛の後継者育成も進み、盤石な形ができつつある。地元として登録1周年を祝うことができて良かった」と喜び、「世界遺産を栗橋から鵜住居地域のまちづくりに生かせれば。知恵を出し合って取り組みたい」と地域の未来を描いた。
拓殖大からは、吹奏楽部とチアリーディング同好会、馬頭琴演奏を行う留学生が出演。若さあふれる演奏やダンス、悠久の音色で復興に向かう釜石を元気づけた。
弾ける笑顔と見事なパフォーマンスで祭りの開幕を飾った拓大チアリーディング同好会と吹奏楽部
2013年に設立した同協議会は、鵜住居川流域と箱崎半島における農水産物の付加価値化、郷土芸能による地域活性化、地域間交流などに取り組む。郷土芸能主体のイベントは今回で4回目。昨年と今年は、「橋野鉄鉱山」世界遺産登録の記念行事として開催した。
「他行事が重なるなどし、郷土芸能の出演は当初予定より少なくなってしまったが、拓大の協力で新たな交流、発信の形が生まれた。今後も、芸能を含めた地域資源を体感できるイベントを継続し、復興への足取りを確かなものにしていきたい」と柏﨑会長。来年は、被災した鵜住居小・釜石東中の新校舎が完成することから、祝いのイベント開催にも意欲を見せた。
(復興釜石新聞 2016年7月6日発行 第501号より)
平成28年度 釜石うみやま郷土芸能大競演祭 | 縁とらんす