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いわて国体で活躍した選手たち。野田市長に喜びを報告した

国体成果「スポーツのまち」に〜釜石の選手ら結果報告、感謝の気持ち 今後の活動へ

いわて国体で活躍した選手たち。野田市長に喜びを報告した

いわて国体で活躍した選手たち。野田市長に喜びを報告した

 

 第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」、第16回全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」で活躍した釜石市在住の選手らが21日、野田武則市長を訪ね、結果を報告した。県内開催の大会ということもあり、「県選手への声援は一段と大きかった」と感謝する選手ら。「釜石をスポーツのまちに」と今後の活動への意欲も伝えた。

 

 市役所を訪れたのは弓道、ラグビー、空手道、なぎなた、水泳競技に出場した選手7人と監督ら競技団体関係者。空手道成年男子組手個人軽量級で準優勝した北山到さん(美容師)は、準決勝でけがをして決勝に出ることができず悔しさをにじませながらも、「いい経験ができた」と振り返った。同少年女子形で4位に入賞した野田有彩さん(釜石高3年)は「初めての国体。強い選手が多い中で結果を残せて良かった」と笑顔。同成年女子形で5位入賞の川向七瀬さん(市体育協会)は「今後も選手として頑張りながら後輩の指導にも力を入れたい」と意気込みを話した。

 

 なぎなたは3人一組で競技が行われ、岩崎彩さん(釜石商工高教員)は成年女子試合で4位、同演技で5位に入賞。「来年はもっと上位を目指す」と力を込めた。同少年女子試合に出場し7位に入った千葉桃香さん(釜石商工高3年)は「今までやってきた力を出し切った」と充実した表情を見せた。

 

 5回目の国体出場となった菊池ひかりさん(市地域福祉課)は、弓道成年女子近的(3人一組)で堂々の3位。間近に感じた大応援に感謝し、「今回が締めくくり。今後は自分の弓を見つめ直したい」と思いを口にした。

 

 地元釜石での開催となったラグビーは、釜石シーウェイブス(SW)を主体として臨んだ成年男子(7人制)が6位に入賞。釜石SWの桜庭吉彦ゼネラル・マネジャーは「会場に詰めかけた小中高生らの応援から勇気をもらってプレーできた。2019年ラグビーワールドカップの機運醸成に取り組みたい」と意欲を語った。

 

 村田奈々さん(市教育委員会)は水泳肢体不自由者女子1部25メートル自由形、50メートル自由形の2種目で自身が持つ大会記録を更新し、3年連続2冠を果たした。周囲の人の支えで競技を続けられることに感謝し、「自信につながる試合ができた。これからも体を整え頑張りたい」と前を向いた。

 

 各競技団体の関係者からは「県下でナンバーワンの自信を持っている」「素晴らしい成績を残してもらった。この財産を生かし、『スポーツのまち釜石』を印象付けたい」などと喜びの声。野田市長は「皆さんの活躍が地域に元気を与える。スポーツの力をどんどん伝えてほしい」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2016年11月26日発行 第541号より)

 

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後半6分、釜石のフッカー中村彰が右隅にトライ(ゴール)し21ー12とする

釜石シーウェイブス、来季新リーグ参入へ挑戦権獲得〜ヤクルト破り3位以内確定

後半6分、釜石のフッカー中村彰が右隅にトライ(ゴール)し21ー12とする

後半6分、釜石のフッカー中村彰が右隅にトライ(ゴール)し21ー12とする=東京・秩父宮ラグビー場

 

 ラグビートップイーストリーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは19日、東京・秩父宮ラグビー場で行われたリーグ最終戦でヤクルトを28―24(前半14―12)で振り切り、辛くも競り勝った。釜石は7勝2敗(勝ち点32)とし、来年度から新設されるトップチャレンジ(TC)リーグ進出につながる3位以内を確定。暫定2位で並ぶ日野自動車が残す最終戦の結果次第では今季のトップリーグ(TL)昇格につながる可能性もあるが、3位となるのが濃厚だ。「まずは勝てて良かった。次のステージへ進める」と三浦健博ヘッドコーチ(HC)。新リーグ参入を懸け、トップイースト、トップウエスト、トップキュウシュウ3地域リーグの3位同士で争う来月の参入マッチへ向けて気持ちを切り替えた。

 

ラグビートップイースト最終戦

 

 最終戦にふさわしい、逆転また逆転の激しい攻防となった。

 

 釜石は前半13分、WTB小野航大のトライ(ゴール)で先制。その後、2トライを許して逆転されるが、40分、相手ゴール前のモールを押し込みナンバー8須田康夫主将がトライ(ゴール)を決め14―12で折り返した。

 

 後半は1トライずつ取り合ったあと、26分、ゴール前のスクラムからバックスがつなぎ、最後はFB村井佑太朗が右隅にトライ(ゴール)を決め28―17とリードを広げる。その後1トライ(ゴール)を返され、1トライで逆転される4点差に迫られたが、辛くも逃げ切った。

 

 「相手のヤクルトも最終戦。難しい試合だった」と三浦HC。4点差に迫られた最後の10分間は、猛攻を粘りの守りでしのぎ切った。

 

 前半、モールから会心のトライを決めた須田主将は「ラインアウトが安定していたし、コンタクトエリアでも勝っていた」と勝因を挙げる。”大一番”の三菱重工相模原戦に敗れはしたものの、守りの面で自信をつかみ最終戦に臨めたという。

 

 4連戦となったリーグ終盤の最後の試合。けが人が相次ぐなど苦しい状況の中、3試合ぶりに復帰したSOジョー・ピーターセンが4本のゴールキックすべてを決め、チームを救った。

 

 この試合に負けるとトップチャレンジ参入マッチへの進出も危うくなる、がけっぷちに立たされていた。三浦HCは「これで前を向ける」と胸をなで下ろした。

 

TCリーグへ参入マッチ

 

 来季からトップリーグの下部リーグとして新設されるトップチャレンジリーグに入るのは、トップイースト1部、トップウエストA、トップキュウシュウAの2位までと、3位同士による総当たり戦の上位2位までを加えた8チーム。3位同士で争う参入マッチに進むのが濃厚の釜石は、12月3日にキュウシュウ3位と埼玉県熊谷ラグビー場で、同11日にはウエスト3位と大阪・鶴見緑地で対戦すると見込まれる。

 

村井、次へ進む決勝トライ

 

後半26分、釜石FB村井佑太朗が右隅にトライ(ゴール)を決め28ー17と引き離す

後半26分、釜石FB村井佑太朗が右隅にトライ(ゴール)を決め28ー17と引き離す

 

 「取れて良かった」。結果的に決勝点となるトライを決めたFB村井祐太朗(24)はホッとした表情。その後の10分間は「ハラハラ、ドキドキ」しながらも、細身の体を張って猛攻をしのぎ切った。

 

 入団3年目の今季リーグ戦では全試合に先発出場。外国人選手との兼ね合いで、本来のFBではなくWTBに回るケースも多かった。

 

 クールに見られがちだが、胸の中には熱いものを秘め、精神的にも大きく成長。バックスリーダーとしてチームをけん引する。

 

(復興釜石新聞 2016年11月23日発行 第540号より)

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前半22分、CTBトロケがトライ(ゴール)を決め21ー10と引き離

釜石 望みつなぐ6勝目、横河に61-18〜重圧はねのけ 9トライ猛攻、ラグビートップイーストリーグ

前半22分、CTBトロケがトライ(ゴール)を決め21ー10と引き離

前半22分、CTBトロケがトライ(ゴール)を決め21ー10と引き離す

 

 ラグビートップイーストリーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは5日、福島県いわき市のいわきグリーンフィールドで横河武蔵野と対戦し、61―18(前半21―10)で大勝。6勝1敗(勝ち点28)とし、トップリーグ昇格につながるトップチャレンジ進出へ望みをつないだ。釜石が残す試合はあと2つ。次戦は13日、全勝で首位を走る強敵、三菱重工相模原と北上市の北上総合運動公園で対戦する。

 

 前節で日野自動車に敗れ、1試合も落とせない厳しい状況に追い込まれた釜石。チャレンジ進出へ、ボーナス点を含む「勝ち点5」がノルマとされる重圧のためか、序盤は動きが硬かった。

 

 0―10とリードを許した29分、FBジェームス・カマナのトライで反撃開始。その直後、「バチーン」と大きな音がする、フッカー中村彰の強烈なタックルが釜石フィフティーンの目を覚ました。

 

 36分、FWが押し込んで認定トライを奪い14―10と逆転。その後、中央のラックから展開したCTBマイケル・バー・トロケが右中間にトライを決め、21―10とリードを広げる。

 

 勢いづいた後半はFW、バックスが一体となり6トライを奪う猛攻。横河を1トライに抑えて圧勝した。

 

 前節の試合で負傷した須田康夫主将と司令塔ジョー・ピーターセンが戦列から離れるなど苦境が続く中で飛び出した、中村の火の出るようなタックル。「これで流れに乗れるかな」と手ごたえを感じたと言うが、「(スタンドの大歓声は)夢中で聞こえなかった」と照れた。

 

 「どうしても勝ち点5を取らなければいけない試合。取れて良かった」と三浦健博ヘッドコーチ(HC)は胸をなで下した。次の相手はトップを走る三菱重工相模原。三浦HCは「決して勝てない相手ではない。しっかり守り、リアクションを速くすればチャンスはある」と策を練る。中村も「これまでやってきたことをすべて出したい」と静かに闘志を燃やす。

 

小野航大、古里いわきで躍動

 

 須田主将に代わってゲームキャプテンを務めたWTB小野航大(26)が鮮やかに2トライを決め勝利に貢献、古里いわき市のファンを沸かせた。競技場にほど近い同市勿来町の出身。スタンドには両親や磐城高時代の友人らも詰め掛け、縦横自在に駆け回る小野に盛んな声援を送った。「(福島も)震災があったので、自分のプレーで少しでも元気になってもらえれば」と小野。難敵の三菱重工相模原と当たる次の”大一番”へ向け、「相手が嫌がるよう、しっかりと守備でプレッシャーをかけていきたい」と準備する。

 

古里いわき市のファンの前で躍動した小野

古里いわき市のファンの前で躍動した小野

 

(復興釜石新聞 2016年11月9日発行 第536号より)

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参加した810人が完走した第7回仙人峠マラソン、峠コースのスタート=10月30日午前10時

復興への峠を駆け上がれ、仙人マラソン810人完走〜北海道から四国までランナー集う、老若男女 紅葉路ひた走る

参加した810人が完走した第7回仙人峠マラソン、峠コースのスタート=10月30日午前10時

参加した810人が完走した第7回仙人峠マラソン、峠コースのスタート=10月30日午前10時

 

 「復興への峠を駆け上がれ」をキャッチフレーズに、第7回かまいし仙人峠マラソン大会(実行委主催)は10月30日、釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所を発着点とする2コースで行われた。大会にはエントリーした917人のうち810人が参加。冬の到来間近を告げる寒風が吹き付ける中、国道283号仙人トンネルまでを往復する峠コース(17・2キロ)で511人(男性459人、女性52人)、甲子町大松地区で折り返す10キロコースでは299人(男性239人、女性60人)が色づいた紅葉をバックにひた走り、全員がゴールまで完走した。

 

 開会式では、最も遠方から参加した高知市の会社員、海地功さん(57)が「すばらしい紅葉を楽しみながら、無理をせず、諦めないで完走したい」と選手宣誓。午前10時に峠コース、10分後には10キロコースのランナーが一斉に仙人峠路に飛び出した。

 

「無理をせず諦めないで」と選手宣誓する海地さん

「無理をせず諦めないで」と選手宣誓する海地さん

 

 ここから坂道が急になる峠コースの10キロ地点。甲子町の桝沢弥生さん(38)と大輝君(6)、中妻町の前川奈津江さん(45)と航紳君(双葉小2年)親子は、同級生同士で仲良く力走する夫、桝沢俊行さん(39)と前川靖展さん(39)に「がんばれー」と大きな声でエールを送った。2人はいずれも、ゴール地点に回って待っていた息子と手をつなぎながらゴールイン。親子で完走の喜びを味わった。

 

峠コース10キロ地点で声援を送る家族ら

峠コース10キロ地点で声援を送る家族ら

 

 ゲストランナーには、1991年の東京国際マラソンなどで優勝した谷川真理さんと、谷川さんの教え子で今年の北海道マラソンを制した吉田香織さんが参加。沿道に詰めかけた多くの市民の声援に応え、手を振りながら、さわやかな笑顔で峠路を駆け抜けた。

 

「最高の気分」と手を振りながらゴールに入る谷川真理さん

「最高の気分」と手を振りながらゴールに入る谷川真理さん

 

 大会は、主会場の旧鉱山事務所の改修工事のため昨年は中止され、2年ぶりの開催。1年のブランクはあったものの、今回も北は北海道から南は四国まで全国からランナーが集った。選手への給水係など、甲子中生35人、甲子地区の住民70人を含む約350人がボランティアとして大会を支えた。

 

10分遅れでスタートした10キロコースのランナー

10分遅れでスタートした10キロコースのランナー

 

 大会を主管する釜石市体育協会の下村恵寿事務局長は「昨年は中止せざるを得なかったが、大会を再開してほしいとの連絡を全国からいただき感激した。復興はまだ道半ば。被災地を勇気づける大会を今後も継続したい」と意を新たにしていた。

 

峠コースの10キロ地点。ここから仙人トンネルに向け、さらに坂道が急になる

峠コースの10キロ地点。ここから仙人トンネルに向け、さらに坂道が急になる

 

ゲスト谷川真里さん「鳥になった気分」

 

 「チョー、気持ち良かった。峠道はそこそこきつかったけど、山々の紅葉がすばらしく、最後は鳥になった気持ちで走れました」と谷川真理さん。10キロコースのみの参加を予定していたが、気分が乗ったのか、結局17・2キロの峠コースを完走した。

 

 第3回大会にゲストランナーとして参加し、今夏のリオデジャネイロ五輪のマラソンにも出場したタレント猫ひろしさんの推薦を受け、無償でゲストランナーを引き受けたという。 「猫さんが『すばらしい大会』と言っていた意味が分かりました。地元の人たちの温かさが伝わってきて」と谷川さん。

 

「復興のお役に立てれば」富士フィルター工業 韓国の合併会社も

 

 東京都中央区の富士フィルター工業(汐見千佳社長)からは、韓国蔚山市にある合弁会社の社員7人を含む男女21人がエントリー。峠コースの17・2キロを全員完走した。

 

韓国の合弁会社を含め21人が参加した富士フィルター工業のメンバー

韓国の合弁会社を含め21人が参加した富士フィルター工業のメンバー

 

 トライアスロンを趣味にする汐見社長(44)と、釜石で「菜の花プロジェクト」を立ち上げ復興支援活動に取り組む山田周生さんとのつながりから、3大会前から仙人峠マラソンに会社ぐるみで参加。汐見社長は40歳以上女子の部でこれまで2位、6位と上位に入り、今回も4位に食い込んだ。

 

かわいい甲子柿の帽子をかぶり、笑顔でゴールに入る女子ランナー

かわいい甲子柿の帽子をかぶり、笑顔でゴールに入る女子ランナー

 

 「製造しているフィルターで直接お手伝いはできないが、被災地で買い物をし、こうして走ることで復興のお役に立てば」と汐見社長。今後も毎年、同大会への参加を続けたいという。

 

 韓国事業所のI・Bシム社長(53)は「韓国で地震はめったになく、宿泊するホテルの2階まで津波が来たと聞き驚いた。被災地をテレビと見るのと、実際に見るのとでは随分と違う」と認識を新たにしていた。

 

(復興釜石新聞 2016年11月2日発行 第534号より)

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9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン

東北社会人サッカーリーグ 新日鉄住金釜石、1部復帰決定〜終了間際、花巻に逆転勝ち

9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン

9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン

 

 10チームで争う東北社会人サッカーリーグ2部北ブロックの新日鉄住金釜石は23日、釜石市球技場で花巻フットボールクラブ(花巻市)と対戦し、2―1で劇的な逆転勝ち。通算成績を15勝2敗(勝ち点45)とし、最終戦を残して悲願の1部昇格を決めた。2007年度に2部に転落して以来、9季ぶりに1部へ復帰する。松岡新也監督は今季を振り返り、「チャンピオンにふさわしい戦いができた。誇りを持って1部に行ける」と胸を張った。

 

 釜石は試合終了間際、MF板澤優介のフリーキックをMF大田代飛鳥が頭で押し込み、劇的な逆転勝利を決めた。釜石イレブンはスタンドで盛んな声援を送り続けた職場の仲間や家族らのもとに駆け寄り、歓喜のバンザイ。長い低迷期を経て、やっと実現する1部復帰に沸いた。

 

 まさかの展開だった。前半30分、相手ゴールまで攻め上がったDF浦田祐輔がキーパーチャージで一発退場。1人少ない苦しい状況の中で後半20分、花巻に先制点を許す。

 

 この窮地を救ったのは、主将としてチームを引っ張ってきたFW簗場海史。後半30分、MF松井宏樹のシュートがこぼれたところを強引にゴールに押し込み同点。大田代の決勝ゴールにつなげた。

 

キャプテンシーを発揮し、チームを1部昇格に導いた簗場海史

キャプテンシーを発揮し、チームを1部昇格に導いた簗場海史

 

 「ホーム(グラウンド)で1部昇格を決めたかった。(決勝点を)決められて良かった」。FC釜石でサッカーを始め、遠野高、東海大と進み釜石に入団して2年目。大田代は地元ファンの歓声に包まれ、照れ臭そうに喜びをかみしめた。

 

 大田代はこれで今季11得点。ランキングではリーグ3位に付ける。「今季のMVPはメンバー全員」と松岡監督は言うものの、「飛鳥には楽をさせてもらっている」と大田代の献身的なプレーを高く評価する。

 

 苦しい試合展開の中でも、松岡監督は冷静に戦況を見つめていた。「ボールを奪ったあとの攻撃の質の高さ。連動した守備もできるようになっている」。コツコツと積み上げてきた自信が揺らぐことはなかった。

 

 松岡監督は「最近は毎年、新人を採用してもらっている」と、会社(新日鉄住金釜石)のバックアップにも感謝する。仕事の関係で、平日の練習に参加できるのは相変わらずメンバーの半分にも満たない。この日も主力の3人を欠くなど苦しい状況に変わりはないが、「スーパーサブが次々と出てきて、総合力が落ちることはなかった」と今季の充実ぶりを振り返る。

 

 東北社会人サッカー1部リーグ10チームのうち3チームは岩手にホームを置き、来季はこれに釜石が加わる。「ウチの今の実力からすれば1部でも上位に行ける。2、3位を目標にしたい」。松岡監督はもう来季の戦いを見据えている。

 

キャプテン簗場 あわてず同点弾

 

 「最高ですね」。黄色のキャプテンマークを腕に巻いた簗場海史(26)は1部昇格の喜びにひたった。レッドカードを食らいメンバーが1人少ない苦しい状況の中でもあわてず、「全然いける」と最後まで集中を切らさなかった。

 

 主将を任されて2季目。内側じん帯を傷め、シーズン途中でチームを離脱したが1カ月で復帰。膝をテープで補強し、痛みをこらえながら、主将として最前線でチームを鼓舞し続けた。

 

 今季は6ゴールを決め、得点ランキングでは13位。アシストは5で、ランキング7位に付ける。青森県出身で、父・武見さんは釜石と同リーグで戦う七戸サッカークラブの総監督。弟の豪史(24)も兄と同じく遠野高から釜石へと進み、兄弟仲良く夢を追い続ける。

 

(復興釜石新聞 2016年10月29日発行 第533号より)

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英語で自己紹介し合う釜石とクライストチャーチの中学生

ニュージーランドー釜石、中学生交流〜ラグビーW杯へ 異文化、復興学び合う

釜石シーウェイブスのNZ出身選手から話を聞く中学生=ラグビーカフェ釜石

釜石シーウェイブスのNZ出身選手から話を聞く中学生=ラグビーカフェ釜石

 

 ニュージーランド(NZ)南島の都市、クライストチャーチの中学生6人が日本での教育体験プログラムの一環で5、6の両日、釜石市に滞在し、市内の中学生と交流を深めた。ラグビーが盛んで、2011年の大地震からの復興途上であるクライストチャーチ。両市の中学生は、互いのまちの共通点に親しみを覚えながら、異国の生活や文化、復興の現状などを学び合った。

 

 釜石を訪れたのはクライストチャーチの公立中学校、コバム、ケースブルック両校の生徒で、全員が初めての訪日。5日は、市球技場で行われた国体のラグビー競技を釜石中の生徒と一緒に応援観戦。6日は、東日本大震災で被災した大槌町の旧役場を訪れ、町民から津波の体験談などを聞いた後、釜石市の甲子、大平の両中学校で生徒と交流した。互いの学校生活について紹介し合い、書道の体験など日本文化にも触れた。

 

 6日夕方からは、NPO法人かまいしリンク(遠藤ゆりえ理事長)が主催する市内の中・高校生との交流会に臨んだ。会には、釜石シーウェイブスRFCに所属するNZ出身の3選手も招かれた。このうち、ダラス・タタナ選手(25)はケースブルック中の卒業生。3人は釜石でプレーすることになった経緯や異国でのコミュニケーションなどさまざまな質問に答え、中学生の夢を膨らませた。

 

 ラグビー経験があるケースブルック中のベンジャミン・イングリッシュ君(12)は「釜石がこんなにラグビーが盛んだとは。NZの選手が活躍していることにも驚いた。自分は今、バスケットボールをやっているが、海外でやってみたくなった」と刺激を受けた様子。

 

英語で自己紹介し合う釜石とクライストチャーチの中学生

英語で自己紹介し合う釜石とクライストチャーチの中学生

 

 クライストチャーチの生徒のホームステイ先に協力した大平中3年の佐々木桜子さんは「英語で話ができるか心配だったが、コミュニケーションがとれて良かった。お互い復興途中で大変だけど共に頑張っていけたら。3年後のラグビーW杯にはいろいろな国の人が来るので、たくさん交流したい」と気持ちを高めた。

 

 釜石市は次世代を担う人材育成を目的に、2012年度から市内の中学生をNZに派遣する事業を実施。現地の受け入れをサポートするキウィ・ジェイ・アナ社(クライストチャーチ)が今回の訪日プログラムを提供している。同社の及川孝信代表(盛岡市出身)は「ラグビーと復興をきっかけに両市の子どもたちがさらに交流を深められれば。NZは地方分権国家なので、復興も国ではなく地域が主導している。日本とは全く違う仕組み。そうした部分も、交流を通じて学び合ってほしい」と期待した。

 

 NZの公立学校では世界中から多くの留学生を受け入れているほか、学生たちを広く海外に連れていくことで、真の世界観の醸成を目指している。今回は釜石、盛岡のほか東京や長野を訪れるプログラムで、1日から13日までの日程で、日本の文化、生活、自然などに触れながら理解を深める。

 

 コバム中のライバ・カーンさん(12)は釜石の風土について「小さなまちだが、落ち着いた雰囲気がいい。住民はちょっとシャイだが、とてもやさしい」と好印象。最も心に残ったのは震災のことで、「津波の真実を聞き、とても悲しかった。現地に来て復興へ歩む姿を目の当たりにし、希望が感じられた」と実感を語った。

 

(復興釜石新聞 2016年10月12日発行 第528号より)

 

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小学校5・6年以上の各年代男女が入り乱れて3・2キロのスタート

健康謳歌、釜石マラソン〜ゴール目指し 全力で、幼児から70代まで 461人 駆け抜ける

小学校5・6年以上の各年代男女が入り乱れて3・2キロのスタート

小学校5・6年以上の各年代男女が入り乱れて3・2キロのスタート

 

 「明るく、たくましく、健康に」をスローガンに、第42回釜石健康マラソン大会(市教育員会、市体育協会、市陸上競技協会主催)は「体育の日」の10日、甲子町松倉の市球技場で開かれた。幼児から70代までの市民ら461人が参加。男女の年代別、3種の距離別19部門で、グラウンドや周辺の道路を駆け抜けた。家族や仲間が盛んな声援を送り、心身の健康と、子どもの成長を喜び合った。

 

 あいにくの曇り空。最高気温は16度にとどまったものの、参加者は半袖、短パン姿で元気に準備体操。人工芝のグラウンドを駆け回った。

 

 午前9時からの開会式で、大会名誉会長の野田武則市長は「釜石では、いわて国体の3競技が行われ、好天の中で全国の選手がすばらしいパフォーマンスを見せた。スポーツは躍動する力、生きる喜びそのもの。健康で、明日へチャレンジする力を養ってほしい」と参加者にエールを送った。

 

 市体育協会の菊池達男理事長が祝辞、達増拓也知事のメッセージが紹介され、菊池信男・審判長(市陸協理事長)が競技上の注意を述べた。栗林ラビーバレーボールスポーツ少年団の橋場夕奈さん(栗林小6年)と佐々木美砂さん(同)が「家族や指導する先生に感謝し、ゴールまで全力で走ります」と、さわやかに宣誓した。

 

レースヘ意欲をみなぎらせ、全員でラジオ体操

レースヘ意欲をみなぎらせ、全員でラジオ体操

 

 甲子川沿いを走る3・2キロの部の大集団から競技がスタート。グラウンド内を走るコースでは、幼児の部の子どもたちが懸命に懸け回った。さまざまに仮装した年少児をサポートする家族の真剣な表情が、会場のほほ笑みを誘った。

 

 競技は2・3キロ、1・5キロの部と続き、スポーツ少年団対抗リレーも行われた。

 

 かまいしこども園の白石恋菜ちゃん(6)は2回目の健康マラソン参加で、姉の愛莉さん(甲子小4年)と仲良く駆け回った。女子・幼児の部で3位に入った恋菜ちゃんは、応援する家族の笑顔に囲まれ、「運動するのは好き。でも、少し疲れた」。父伸明さん(35)は「力強い走りで、がんばった」と愛娘に優しいまなざしを向けた。

 

 藤原拓君(小佐野小6年)は小佐野クラウン野球スポーツ少年団の仲間と3回目の出場。「校内マラソンは2・5キロ。3・2キロは(自分の経験の中で)一番長い距離だった。いつもの調子が出なくて、うまく走れなかった。野球では県大会で準優勝。中学校でも野球を続けたい」と語った。

 

 北上市から参加した藤原健祐(けんすけ)君(上野中2年)は小学校3年生まで釜石市大只越町に暮らし、健康マラソンは6年ぶり。中学校では陸上部に所属、800メートル走を専門とする。3・2キロの中学男子での部で、11分30秒で駆け抜け見事優勝。「うれしい1位。来年の中学総体で入賞し、東北大会に出場したい」と目標を語った。

 

 矢巾町の植田茂實さん(65)は3・2キロ男子60歳以上の部で2位入賞。5人の孫のうち4人も一緒に参加した。釜石市箱崎町の自宅を東日本大震災で失った植田さんは甲子町洞泉のみなし仮設で暮らし、昨年、矢巾町の新居に移った。

 

植田茂實さんは、元気な孫5人に囲まれて、ふるさとのマラソンを楽しんだ

植田茂實さんは、元気な孫5人に囲まれて、ふるさとのマラソンを楽しんだ

 

 「箱崎での自宅再建を待てなかった。内陸部は(社会生活、医療などの)環境が充実している」と植田さん。若い時は空手と柔道をしていたが、血糖値が高く腰痛もあるので、ランニングマシーンを使い1日2回、10キロ走っているという。1年で10キロもダイエット。去年の記録より2分以上タイムを縮めた。「トレーニングの成果と健康を実感している。孫たちと走るのは楽しい」とマラソン大会を満喫した。

 

(復興釜石新聞 2016年10月12日発行 第528号より)

 

復興釜石新聞

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3試合に先発出場し、奮闘した釜石商工高の柏木那月(左から2人目)

ラグビー女子、悔し涙の予選敗退〜柏木那月(釜石商工)再起誓いスタート

3試合に先発出場し、奮闘した釜石商工高の柏木那月(左から2人目)

3試合に先発出場し、奮闘した釜石商工高の柏木那月(左から2人目)

 

 今国体から正式種目となったラグビー女子(7人制)は6日、釜石市球技場で行われ、地元釜石商工高3年の柏木那月(18)らで編成する岩手選抜は予選プールで大阪と三重、順位決定戦では愛媛に敗れ、予選通過はならなかった。果敢な突破で勝利を目指した柏木は「チームを引っ張るべき自分が逆に足を引っ張る面もあって…」と涙が止まらない。「力は出し切った。悔いはない」と最後は前を向いた。

 

 岩手は、日本代表経験のある平野恵理子(釜石高―日体大―YOKOHAMA TKM)をけがで欠き、苦しい戦いを強いられた。防戦一方の中で、柏木は相手を引きずるような猛突進でチームをけん引。芝生席で応援するクラスメートの「なつきコール」が背中を押したが、自身は結局ノートライに終わった。

 

 兄の影響で小学校3年からラグビーを始めた。女子ラグビーはまだ発展途上の種目で、もちろん高校には女子ラグビー部はなく、男子の中に交じって練習を重ねた。地元国体でラグビー女子が初めて正式種目となり、多くの釜石市民の声援を背に晴れの舞台に立った。支えてくれた家族や友達への感謝の思いを全力プレーに込めた。

 

 競技生活はこれで終わりではなく、ここから新たなスタートを切る。「大学に進み、もっと力を伸ばして日本代表に入りたい」と誓う。

 

◇ラグビー女子(7人制)
▽予選プールⅡ
大阪 48―0 岩手
三重 39―0 岩手
▽Ⅱプール順位決定戦
愛媛 27―10 岩手

 

(復興釜石新聞 2016年10月8日発行 第527号より)

 

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敗者戦の秋田戦で快足を飛ばしトライを決める関東申峻

ラグビー成年男子、釜石SW主体 岩手6位入賞〜7人制では本県最高成績

敗者戦の秋田戦で快足を飛ばしトライを決める関東申峻

釜石市民の熱烈な声援を背に、敗者戦の秋田戦で快足を飛ばしトライを決める関東申峻(新日鉄住金釜石)=5日、釜石市球技場

 

 いわて国体ラグビー成年男子は4、5の両日、釜石市甲子町の市球技場で行われ、釜石シーウェイブス(SW)を主体に臨み地元優勝を目指した岩手は予選プールを全勝で決勝トーナメントに進んだものの、1回戦で鹿児島に惜しくも19―21で敗退。5、6位決定戦でも広島に7―22で敗れ、6位入賞に終わった。とはいえ、2013年の東京国体での7人制導入後では本県の最高成績。桜庭吉彦監督(新日鉄住金釜石、釜石SWゼネラルマネジャー)は3年後に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を見据え、「多くの方にラグビーの魅力を伝えられたのではないか」と収穫を強調した。

 

“強み”封じられ 決勝トーナメント1回戦 敗退

 

 鹿児島が相手となった決勝トーナメント1回戦。地元ファンの大きな声援を背にしながら、よもやの敗退に小野航大主将(釜石SW)は「上手にボールを動かされ、フィジカルで勝る自分たちの強みを出し切れなかった」と悔しさをにじませた。

 

 前半3分、中野裕太(釜石SW)のトライで先制したが、前半終了間際にトライを返され逆転される。後半開始早々、さらにトライを浴び、5―14。その後1トライずつを奪い合い、終了間際に小野主将のトライ(ゴール)で2点差まで迫ったものの、終了のホーンが鳴り万事休した。

 

 5、6位決定戦の相手は、予選プールで下した広島。この試合も中野のトライで先制するも、その後は一方的に4トライを浴びノーサイド。優勝が期待された地元開催は6位入賞にとどまった。

 

 主力の釜石SWが公式戦(トップイーストリーグ)を戦うシーズン中に迎えた国体。15人制と7人制の違いもあり、小野主将は「フィジカル的にもメンタル的にも難しさはあった」と調整の難しさを口にしつつも、「練習時間が少なかったことは言い訳にならない。地元の応援も受けながら、結果で恩返しできなかった」と頭を下げた。

 

秋田との敗者戦で後半2分にトライを決める菅野朋幸(新日鉄住金釜石)

秋田との敗者戦で後半2分にトライを決める菅野朋幸(新日鉄住金釜石)

 

 桜庭監督も「身体の強さやプレーの精度といった強みを発揮できなかった。ベストは尽くしたが、期待に応えられず申し訳ない」。一方で、スピード感あふれるプレーで奮闘した村井佑太朗(新日鉄住金釜石)ら若手選手の活躍を明るい材料に挙げ、「気持ちを切り替えイーストリーグに持っていきたい」と、さらなる成長に期待した。

 

地元応援団の熱い声援に手を挙げて感謝する岩手の選手ら

地元応援団の熱い声援に手を挙げて感謝する岩手の選手ら

 

◇ラグビー成年男子(7人制)
▽予選プールⅢ 
岩手 40―17 広島
岩手 33―12 福井
岩手 26―11 和歌山
▽決勝トーナメント1回戦
鹿児島 21―19 岩手
▽敗者戦
岩手 29―15 秋田
▽5、6位決定戦
広島 22―7 岩手

 

(復興釜石新聞 2016年10月8日発行 第527号より)

 

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スイムを終え、バイクレースに向かう男子の選手

釜石トライアスロン25年を結実、いわて国体本大会〜男子94人、女子88人 全力レース

スイムを終え、バイクレースに向かう男子の選手

スイムを終え、バイクレースに向かう男子の選手。気温20度、秋晴れの天候の下、力強くペダルをこぎ出した。釜石東中生ら沿道の観客の熱い声援が選手の背中を押す=根浜の漁港付近

 

 1日に開幕した希望郷いわて国体(第71回国民体育大会)本大会のトライアスロン競技が2日、釜石市鵜住居町の根浜海岸特設会場を発着点に行われた。本国体から正式競技となったトライアスロン。震災による津波被害を乗り越え、根浜でのトライアスロン復活へ歩みを重ねてきた地元の競技関係者は、万感の思いでレースを見つめ、日本のトライアスロン史に名を刻む新たな一歩に誇りをにじませた。

 

本国体から正式競技に 地元関係者 万感の思い

 

 47都道府県の代表、男子94人、女子88人が出場。男女別にスイム(遠泳)1・5キロ、バイク(自転車)40キロ、ラン(長距離走)10キロの総距離51・5キロの3種連続競技を栗林町と箱崎町にまたがるコースで繰り広げた。沿道では地域住民のほか、栗林小、鵜住居小、釜石東中の全校児童・生徒約330人が応援。唐丹中の2、3年生18人は給水ボランティアなどで活躍した。選手らは各所で熱い声援を受けながら全力でレースに挑み、震災から6年目の被災地に大きな力を与えた。

 

 競技は、男子が東京都、女子は千葉県の2選手がワンツーフィニッシュを飾り、正式競技初の大会を制した。千葉の女子はリオデジャネイロ五輪に出場した上田藍、加藤友里恵の両選手がオリンピアンの実力を発揮し、”トライアスロン王国千葉”の名を知らしめた。優勝した上田選手(32)は「競技を続けてきて良かったと思える瞬間だった。これを励みに2020年の東京五輪に向け、目標を一つ一つ達成していきたい」と、リオのリベンジを誓った。

 

記念すべき正式競技第1回大会で見事、入賞を果たした男女の選手ら

記念すべき正式競技第1回大会で見事、入賞を果たした男女の選手ら

 

 本県代表(男女各2人)の最高成績は男子、寺澤光介選手(22)の21位(1時間55分33秒)。「入賞に届かず、ふがいない結果」と悔しさを口にしたが、「地元の声援が心に響き、何とかゴールまでたどり着けた。恩返しは遠くなるが五輪出場で果たしたい」と強い決意を示した。女子24位(2時間11分29秒)の細川久実子選手(36)は自己ベストを約8分縮めた。「震災前の根浜を知る者として、ここで再び3種目できたことがうれしい。今国体を機にトライアスロンの楽しさを感じてもらえれば」と競技の認知、普及に期待を込めた。

 

 釜石トライアスロン協会が中心となり、1990年から”はまゆりトライアスロン大会”を継続してきた同市。2011年の震災で会場の根浜地区は甚大な被害を受けたが、関係者の競技復活への熱意で12年にオープンウォータースイミング(遠泳)、13年にアクアスロン(スイム、ラン)、14年にはトライアスロンの大会を成し遂げ、昨年の国体リハーサル大会を経て今国体を迎えた。

 

 全国から集結した選手らは、震災や台風の影響がある中での大会開催に深く感謝し、「トライアスロンをメジャーに」と競技の振興を誓い合った。

 

 男女上位3人の記録は次の通り。

 

【男子】
①古谷純平(東京都)1時間50分25秒
②小田倉真(同)1時間50分53秒
③谷口白羽(愛知県)1時間51分11秒
【女子】
①上田藍(千葉県)2時間00分01秒
②加藤友里恵(同)2時間02分09秒
③福岡啓(神奈川県)2時間02分17秒

 

成年男子1位の古谷純平選手、2位の小田倉真選手、3位の谷口白羽選手

成年男子1位の古谷純平選手=東京都=(中央)、2位の小田倉真選手=同=(左)、3位の谷口白羽選手=愛知県=(右)

 

成年女子1位の上田藍選手、2位の加藤友里恵選手、3位の福岡啓選手

成年女子1位の上田藍選手=千葉県=(中央)、2位の加藤友里恵選手=同=(左)、3位の福岡啓選手=神奈川県=(右)

 

(復興釜石新聞 2016年10月5日発行 第526号より)

 

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釜石シーウェイブス、逆転で地元連勝〜次節以降の決戦に弾み

逆転のトライを決める村井佑

逆転のトライを決める村井佑

 

 ラグビーのトップイーストリーグ・ディビジョン1の第2節、釜石シーウェイブス(SW)RFCは18日午後2時から、ホームの釜石市球技場に栗田工業ウォーターガッシュを迎え撃った。前半から逆転、リードを許す展開も後半に逆転、粘り強い守備で40―35(前半19―28)で連勝した。ホームでの好発進をバネに、次節25日は東京・秩父宮ラグビー場で日本IBMビッグブルーと対戦する。

 

 前半2分、釜石はFBジェームス・カマナが鮮やかなステップとスピードで栗田守備陣を切り裂き右中間にトライ、コンバージョンゴールも成功して7点を先制した。しかし、その後は攻め込まれる展開が続き、11分、15分、16分、24分と立て続けに4トライ(ゴール)を許し7―28と点差を広げられた。ようやく終盤に態勢を立て直し、29分にはモールからFW中村彰が右中間にトライ。さらに41分には認定トライを奪い19―28と9点差で折り返した。

 

 後半4分、敵陣のラインアウトからモールで押しFW中村彰が左中間にトライ、2点差。しかし、18分、栗田の反撃を受けトライ(ゴール)を許し9点差に押し戻された。

 

 21分、敵陣でキックチャージしたボールをつなぎ、交代出場のFL佐藤雄太が左隅にトライ。SOジョー・ピーターセンが難しい角度からゴールを成功させ、再び2点差に迫った。27分、粘り強いサイド攻撃でTB村井佑太朗が左隅にトライ、逆転。ピーターセンが好キックでゴールを決め5点差とした。

 

 終盤の約10分は、自陣ゴールライン間近での守備に追われた。栗田の左右への展開、突進を何度もしのぎ、栗田がノット・リリース・ザ・ボールの反則。直後に清水塁レフェリーのノーサイドのホイッスルが響いた。

 

 大漁旗を振り続けた釜石応援席は、前回の快勝と打って変わったシーソーゲーム、終盤の防戦を息をのんで見守った。勝利の瞬間、喜びを爆発させる一方、安心の大きなため息がもれた。

 

 三浦健博ヘッドコーチは「地元での開幕2連戦は、絶対勝たなければならなかった。後半は目の前の相手をノミネートし、集中しよう。粘り強く―と指示した。気持ちを出したゲームだった。後は東京。自分たちの(目指す)ラグビーをしたい」と語った。
 須田康夫主将は「地元の応援は力になった。今後はトーナメントと思い、しっかり勝つ準備をする。国体(7人制ラグビー)にも備える」と先を見据えた。

 

(復興釜石新聞 2016年9月21日発行 第522号より)

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前半37分、トロケ(左)が俊足を生かし、左中間にトライ。後半もスタンドの釜石ファンには胸がすく攻撃が続いた

トップイースト 初戦圧勝〜釜石SW 8トライの猛攻、好発進 秋田に52-3

前半37分、カマナ(左)が俊足を生かし、左中間にトライ。後半もスタンドの釜石ファンには胸がすく攻撃が続いた

前半37分、カマナ(左)が俊足を生かし、左中間にトライ。後半もスタンドの釜石ファンには胸がすく攻撃が続いた

 

 ラグビーのトップリーグ(TL)昇格を目指すトップイーストリーグ・ディビジョン1の釜石シーウェイブス(SW)RFCは10日、ホームの釜石市球技場で秋田ノーザンブレッツと初戦を迎え、8トライの猛攻で合計52―3(前半26―3)で圧勝した。秋田をノートライに抑える会心の勝利でのシーズンスタートに、会場を埋めたファンも歓喜し、昇格への期待を高めた。第2節もホームで18日午後2時、栗田工業ウォーターガッシュを迎え撃つ。

 

 両チームは少年ラガーの間を入場。応援席から「がんばれ釜石」「がんばれノーザン」の声援が行き交った。晴天、気温30度近い中で午後3時に釜石のキックオフ。

 

 釜石は緊張からか、秋田に攻め込まれ、6分にペナルティーゴールを許して3点を先制された。しかし、直後から目が覚めるような攻撃を畳み掛け、守備も機能的に連動。10分にFBジェームス・カマナが右端にトライ、5点を入れて逆転した。20分にはTB村井佑太朗、34分の同マイケル・バー・トロケなど3トライ(ゴール)を加え、23点差とした。

 

 後半も猛攻を続け、最後まで圧倒し4トライ(3ゴール)。秋田の攻撃の芽を粘り強く摘んで26―0の完封をおさめた。

 

 須田主将(32)は試合直後、「勝ったことはいいし、いいプレーもあったが、課題はある」と語り、厳しい表情を崩さなかった。

 

 一方、客席の大半を埋めた釜石サポーターは、後半に入ると試合を楽しむ雰囲気に満ちた。釜石シーウェイブスRFCジュニアチームの釜石小5年・土橋一陽(かずはる)君は経験4年。期待を込めながら、冷静に試合を振り返った。「すごく攻防が激しく、いい試合だった。勝敗はともかく、どちらもキック、ステップ、タックルなどいいプレーが続いた。釜石はたぶんTLに行く」と語った。

 

 今季のトップイーストリーグは昨季と同じ顔ぶれの10チーム。順位を決める勝ち点は、ボーナス点なども加算する。昇格には2位以内が絶対条件だ。1位か、トップウエスト、トップキュウシュウの各2位3チームでの「トップチャレンジ2」を1位で通過すると、TLとの入れ替え戦に挑戦できる。釜石は昨季2位だったが、昇格は成らなかった。

 

(復興釜石新聞 2016年9月14日発行 第520号より)

 

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