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TL昇格へ貢献を誓う釜石SWの新加入選手ら

釜石シーウェイブス新戦力9人〜トップリーグ昇格へ、トップチャレンジリーグV目指す

 TL昇格へ貢献を誓う釜石SWの新加入選手ら

TL昇格へ貢献を誓う釜石SWの新加入選手ら

 

 釜石シーウェイブス(SW)RFCは15日、新設のトップチャレンジリーグに挑む今季の新陣容を発表した。南半球の強豪が争うスーパーラグビーでプレーしたSHスコット・ゲイル(22)ら新戦力9人が加わり、ナンバー8須田康夫主将(33)は続投。WTB小野航大(25)、LO菅原貴広(28)両選手が副主将として支える。釜石市甲子町のクラブハウスで記者会見に応じた小村淳ヘッドコーチ(HC)は「TCリーグで優勝し、トップリーグ(TL)昇格を目指す」と決意を示した。

 

 新戦力を加えたSWの選手は43人で、さらに外国人2人を含む5選手を獲得する見込み。ゲイルは豪州の大学を卒業後、6月以降にチームに合流する予定だ。

 

 桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)は「これから育成する選手、即戦力として期待する選手をバランスよく補強でき、TCを戦う下地ができた」と評価。今季から指揮を執る小村HCは「ディフェンスとセットピースを強化し、最少失点に抑えるチームに」とプランを描く。

 

■新加入選手抱負

 
 ▽佐々木仁(釜石商工高)釜石出身。
「地元でやれる環境のSWに入って自分のレベルを高め、早く公式戦に出られるようがんばりたい」

 

 ▽原遼太郎(オークランド工科大)
「向こう(ニュージーランド)で就職する道もあったが、上のレベルにチャレンジできる釜石でがんばろうと思った」

 

 ▽中村良真(帝京大)八戸市出身。
「ラグビーで東北を盛り上げたい。キックには自信がある」

 

 ▽福士周太(立命館大)
「大学では満足できる成績を残せなかった。(採用してくれた)会社へ感謝の気持ちを込め、精いっぱいプレーしたい」

 

 ▽權正赫(帝京大)韓国代表。
SWに許雄選手(韓国出身)もいることから加入を決意。「一緒にTL昇格を目指したい。タックルには自信がある」

 

 ▽ロコツイ・シュウペリ(拓殖大)
昨季はトップイーストリーグ(三菱重工相模原)で全試合先発出場。「釜石のプレーは激しく、いいチーム。ファンも多く、このチームでプレーできるのがうれしい」

 

■”先生選手”の誓い

 
 釜石市内の小学校で教えながらプレーするフランカー佐々木拓磨選手(31)=小佐野小=、CTB伊藤優駿選手(23)=双葉小=はともに”先生選手”としてトップリーグ昇格への貢献を目指す。

 

 佐々木選手は遠野市出身。釜石南高では甲子園を目指す球児だったが、隣のグラウンドで練習する釜石SWに憧れ、山形大でラグビーに転じた。教員になった後も県内のクラブチームでプレーし、国体(和歌山)にも出場した。学校では5年生(13人)を担任。「願いがかなった。ここからが新たなスタート」と意気込む。

 

 伊藤選手は北海道小樽市出身。母校(札幌山の手高)の先輩選手がいることもあり、SWの門をたたいた。学校では2年生のクラスで学習支援を担当。「伝統のあるチームで、一日も早く戦力になりたい」と誓う。

 

2017 釜石シーウェイブスRFC

 

(復興釜石新聞 2017年4月22日発行 第582号より)

 

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9季ぶりに1部リーグで戦う新日鉄住金釜石サッカー部

東北社会人サッカーリーグ、9季ぶり1部へ復帰〜新日鉄住金釜石 バックアップ体制も強化、有望4選手加入「上位狙う」

9季ぶりに1部リーグで戦う新日鉄住金釜石サッカー部

9季ぶりに1部リーグで戦う新日鉄住金釜石サッカー部

 

 9季ぶりに東北社会人サッカーリーグ1部に復帰する新日鉄住金釜石(松岡新也監督)は5月の開幕へ向け、ホームグラウンドの釜石市球技場で調整に励んでいる。1部リーグ昇格を弾みに、今季は浅沼海斗(18)=遠野高=ら4人の有望選手が加入。会社(新日鉄住金釜石)側も遠征費を補助するなどバックアップ体制を強化する。松岡監督は「1部維持が最低の目標。少しでも上位を狙う」と意欲を見せる。

 

 浅沼は昨年度の全国高校サッカー選手権出場メンバー。東海林隼(18)=仙台育英高=は昨年のインターハイに出場した。このほか尾形祐貴(27)=仙台大=、滝田雄太(25)=日本大=が新たに加入する。

 

 「ホントに、いいメンバーが入ってくれた。これでチームも若返り、次につながる」と松岡監督は喜ぶ。中でも高校新卒の浅沼、東海林は貴重な左利き。「いずれもいいものを持っているし、対応力も十分。社会人の試合に慣れれば相当やってくれるはず」と期待も膨らむ。

 

 松岡監督は▽プレーの精度▽個々の強さ▽判断の速さ―を強化ポイントに挙げ、「1部に長く残れるベースをつくりたい」と今季のプランを描く。「1部では小さなミスが命取りになる。チャンスにしっかり得点することも大切だ」。8年間もいた2部リーグとは違う試合運びも課題となる。

 

 1部復帰の立役者で今季も主将を務める簗場海史(26)は「家族や会社の人たちの熱い声援が大きな力になった。これに応え、今季も勝ち続けたい」と、さらなる高みを目指す。

 

 ホームグラウンドでの練習にメンバーがなかなかそろわない、厳しい環境に変わりはないが、今季から会社側の厚いバックアップも加わる。遠征費の補助のほか、甲子町松倉の社員寮のそばにサッカー部の部室を新設する計画もあるという。

 

 試合日程は次の通り(かっこ内は会場)。

 

①5月7日=コバルトーレ女川(宮城県女川町)
②5月14日=ブランデュー弘前(釜石)
③5月21日=仙台SASUKE(宮城県色麻町)
④5月28日=富士クラブ2003(花巻市)
⑤6月4日=メリー(釜石)
⑥6月11日=盛岡ゼブラ(盛岡市)
⑦6月18日=バンディッツいわき(釜石)
⑧6月25日=FCプリメーロ(釜石)
⑨7月2日=FCガンジュ(盛岡市)
⑩7月9日=コバルトーレ女川(釜石)
⑪7月16日=ブランデュー弘前(弘前市)
⑫8月20日=仙台SASUKE(釜石)
⑬8月27日=富士クラブ2003(釜石)
⑭9月3日=メリー(福島市)
⑮9月10日=盛岡ゼブラ(釜石)
⑯9月17日=バンディッツいわき(福島県いわき市)
⑰9月24日=FCプリメーロ(福島県鏡石町)
⑱10月1日=FCガンジュ(釜石)

 

(復興釜石新聞 2017年4月15日発行 第580号より)

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待望のシーズン到来に心躍らせながら練習に励むSWジュニアの団員ら

釜石SWジュニア、ラグビーW杯へ夢膨らませ〜新シーズンへキックオフ

待望のシーズン到来に心躍らせながら練習に励むSWジュニアの団員ら

待望のシーズン到来に心躍らせながら練習に励むSWジュニアの団員ら

 

 釜石シーウェイブスRFC(SW)ジュニアの2017年度ラグビースクール開校式は2日、釜石市甲子町のSWクラブハウス中庭で行われた。幼児と小学生の新入団員9人を迎え、総勢42人で新シーズンを始動。それぞれに掲げた目標の達成へ一歩を踏み出した。

 

 開校式には団員と保護者、運営スタッフらが顔をそろえ、スクールの大畑勇校長代行があいさつ。SWの選手が団員を激励し、新入団員、指導員の紹介などが行われた。本年度は幼児と小学生32人、中学生10人が団員登録。14人の指導員が活動をサポートする。

 

 大畑校長代行は「19年のラグビーW杯に向け、釜石が各方面から注目を浴びている。SWジュニアも釜石のラグビーを支えているという気概を持ち活動していきたい」とし、震災後の多くの支援、支えてくれる家族らへの感謝の気持ちを忘れず活動に励むことを団員に期待した。

 

 式の後は、市球技場で年代別に練習を開始。新シーズンのスタートに気を引き締めながら、さまざまな練習メニューをこなした。新入団員の桝澤大輝君(甲子小1年)は「かっこいいから(ラグビーを)やりたいと思った。タックルを頑張りたい」と仲間と元気にグラウンドを駆け回った。

 

ラグビースクール開校式に出席した釜石SWジュニアの団員とスタッフら

ラグビースクール開校式に出席した釜石SWジュニアの団員とスタッフら。新学年になり、団員のさらなる成長に期待!

 

 SWジュニアは本年度も定期練習、各種大会や強化合宿への参加でチーム力の向上、個々のスキルアップに努めるほか、SWの試合のエスコートキッズ、観戦などを通じ将来の夢を育む。毎週日曜日(午前9時~11時半)に全体練習、水曜日(午後6時半~8時)に小学校中・高学年と中学部の練習を行う。

 

 新キャプテンの及川勝太君(小佐野小6年)は「高学年は秋の県大会優勝、中学年はレベル向上、低学年は楽しくラグビーをやることを目標にしたい」とチームを率いる意気込みを示し、2年後に迫ったW杯について「すごい選手が釜石に来て試合を繰り広げてくれるのが楽しみ。期待は大きい」と目を輝かせた。

 

(復興釜石新聞 2017年4月5日発行 第577号より)

関連情報 by 縁とらんす
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(右から)松原コーチ、小村ヘッドコーチ、桜庭ゼネラルマネジャー、池田コーチ

釜石SW、新HCに小村淳氏〜「新リーグ王者」目標に掲げ

(右から)松原コーチ、小村ヘッドコーチ、桜庭ゼネラルマネジャー、池田コーチ

(右から)松原コーチ、小村ヘッドコーチ、桜庭ゼネラルマネジャー、池田コーチ

 

 今季から全国の8チームでスタートするラグビーの新リーグ、トップチャレンジ(TC)リーグに参入する釜石シーウェイブス(SW)RFCは14日、昨季で退任した三浦健博ヘッドコーチの後任に、元日本代表で昨季まで明大HCを務めた小村淳氏(46)が就任すると発表した。このほかFWコーチには、昨季までコーチ兼フッカーとして釜石SWをけん引した松原裕司氏(37)、バックスコーチには小村氏とともに明大のバックスコーチを務めた池田渉氏(41)が新たに就任する。桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)は「3人とも日本代表として国際試合の経験も豊富。釜石でもいい成果を」と期待する。

 

 小村HCは函館市出身で、函館大有斗高、明大から1992年に神戸製鋼入り。フランカーとして活躍し、日本代表キャップ4。02年に現役引退した後、日本代表AやキヤノンのFWコーチなどを経て、13年から4年にわたり母校明大のHCを務めた。

 

 小村氏のHC起用について、桜庭GMは「コーチング経歴が豊富で、個人に加えて組織的な強化も図ることができる。指導力、ポリシーもあり、選手を第一に考えるコーチとして明大FWを強化した実績もある」と説明した。

 

 釜石SWのクラブハウスで記者会見に応じた小村HCは「新リーグの初代王者を目標に掲げ、精進していきたい」とトップリーグ(TL)昇格を誓った。

 

 TCリーグではこれまで以上に厳しい試合が続くと予想されるが、「プロ選手から会社員もいる難しい環境の中で、チームが一つにまとまることが必要。クラブチームとして初めてTLに昇格し、日本のラグビー文化に新しい風を吹かせたい」と意気込みを示した。

 

 チームづくりについては「昨季は多く得点したが、失点も多かった。まずはしっかりとしたディフェンスを植え付けたい」とした上で、スクラムやラインアウトなどの改善もポイントに挙げた。

 

 2年後に開催されるラグビーワールドカップ(W杯)に向けては「釜石の選手が日本代表として一人でも出場することがSWの発展、未来につながる」とした。

 

 小村HCと同じく明大卒で日本代表キャップ23、昨季限りで現役を引退した松原FWコーチは「同じ明大出身者として気心はよく知っている。SWでこれまで2年間プレーしてきた経験をもとに全力でサポートしていきたい」と抱負を述べた。

 

 一方、池田バックスコーチは石巻市出身で、日本代表キャップ14。宮城水産高、流通経済大卒後、三洋電機(2000~07年)、リコー(08~14年)などでプレーした。

 

 強豪との対戦が続く新シーズンに向け、桜庭GMは「これまで以上にタフさが要求される」とし、新たに10人以上の選手を補強することも明らかにした。新加入選手は4月初めに発表される。

 

(復興釜石新聞 2017年3月18日発行 第572号より)

 

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鵜住居公民館を訪れた小池百合子東京都知事(右から3人目)。ラグビー関係者らの思いを聞いた

「復興五輪」の原点へ、小池都知事 旗を掲げ本県沿岸視察〜ラグビーW杯 釜石にもエール

 大槌学園で開かれたフラッグツアーイベント。小池知事(手前)が旗を掲げて東京五輪をアピールした

大槌学園で開かれたフラッグツアーイベント。小池知事(手前)が旗を掲げて東京五輪をアピールした

 

 小池百合子東京都知事は17日、本県を訪れ、釜石市など震災被災地の復興状況を視察した。大槌町では2020年東京五輪・パラリンピック旗を各地で披露する「フラッグツアー」のイベントを開催。「被災地の復興なくして東京五輪の成功なし。復興五輪の原点に戻り、復興もお手伝いする大会にしたい。復興に向け頑張っていきましょう」とエールを送った。

 

 都は震災後から職員を派遣するなど被災地の復興事業を後押ししている。視察は、被災地の実情を把握し復興をより効果的に後押ししようとするもの。本県最初の訪問地、陸前高田市では追悼施設で献花し、復興に向けたまちづくりの状況を確認した。

 

 釜石市の視察は、三陸鉄道(三鉄)釜石駅からスタート。震災で被災した三鉄は14年の全線運行再開に合わせ、中東・クウェートからの支援により新しい車両を導入しているが、震災発生直後に当時、衆議院議員だった小池知事とアブドルラフマーン・アルオタイビ駐日大使の会談がきっかけになったという。

 

 小池知事は、同行したアルオタイビ大使らと車内を見て回った。ホームではクウェートの国旗を手にした釜石小2年生18人がお出迎え。「クウェートのみなさん、ありがとうございます」と感謝を伝えた。

 

三陸鉄道釜石駅では子どもたちと触れ合った

三陸鉄道釜石駅では子どもたちと触れ合った

 

 続いて鵜住居町に移動。公民館で野田武則市長から19年ラグビーワールドカップ(W杯)の会場となるスタジアム建設など大会開催に向けた取り組み状況の説明を受けた。

 

 新日鉄釜石ラグビー部OBで「V7戦士」の石山次郎さん、千田美智仁さん=共に元ラグビー日本代表=らが同席した。45歳の最年長ラガーマンとして現役を続ける釜石シーウェイブスRFCの伊藤剛臣選手は「釜石はラグビー界伝説のまち。震災で大きな被害を受けたが、ラグビーで明るいニュースや元気を届け、盛り上げたい」と意欲満々。”ラグビー女子”として活躍が期待される釜石商工高3年の柏木那月さんは「夢である日本代表になれるよう頑張る」と力を込めた。

 

 鵜住居公民館を訪れた小池百合子東京都知事(右から3人目)。ラグビー関係者らの思いを聞いた

鵜住居公民館を訪れた小池百合子東京都知事(右から3人目)。ラグビー関係者らの思いを聞いた

 

 19年のラグビーW杯では都も開催地の一つになっており、小池知事は「ネットワークを結んで盛り上げたい」と連携に意欲を示した。

 

 フラッグツアーイベントは大槌学園(大森厚志学園長、児童生徒639人)で行われた。アテネ五輪柔道銀メダリストの泉浩さん、元体操選手の田中理恵さんらも参加。小池知事は児童生徒が見守る中で達増拓也知事に2本の旗を手渡し、「スポーツを通して元気になりましょう」と語った。

 

 パラリンピック金メダルを持参したマラソンの高橋勇市選手は「夢に向かって頑張れば必ずかなう」と激励。同じくパラリンピアンの欠端瑛子選手は、目隠しをしてボールに入った鈴の音を頼りに行う競技「ゴールボール」を紹介した。

 

 フラッグツアーは東京五輪・パラリンピックの機運を盛り上げようと行われていて、使われる旗は国際オリンピック委員会(IOC)などの承認を得て作製されたレプリカ。旗は20日から4月16日にかけて、遠野市や盛岡市など県内7市町で巡回展示される。

 

 イベント後に達増知事と会談した小池知事は「3月11日になれば被災地のことを思い出す人はいると思うが、いつも被災地がどうなっているか気に掛けてもらえるよう、私もさらに工夫していきたい」との考えを示した。これに対して達増知事は「長期化する復興の現状を発信する機会になった。復興五輪ということで、被災地の思いも大きな要素にした特別な大会だと改めて感じた。ラグビーW杯の開催とともにスポーツの力を復興の力、日本の力に」と期待を込めた。

 

(復興釜石新聞 2017年2月22日発行 第565号より)

 

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ラグビーカフェからエールを交換する釜石市民

ラグビーW杯 東海市から盛り上げ、釜石市と結びタウンミーティング〜両市交流促進の弾みに

討論する松瀬さん(右)と桜庭さん(中)

討論する松瀬さん(右)と桜庭さん(中)

 

 「製鉄のまち」として釜石市と姉妹都市を結ぶ愛知県東海市で1月29日、2年余りに迫った2019ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催へ向けたタウンミーティング(東海市・市教委主催、釜石市共催)が開かれた。このイベントは釜石市鈴子町のシープラザ釜石内にあるラグビーカフェ釜石とインターネットで結ばれ、両市民が「W杯開催を成功させよう」とエールを交換した。

 

 会場となった東海市芸術劇場多目的ホールには100人余りの市民が集まり、鈴木淳雄市長は「ラグビーW杯開催へ向け釜石市と一緒に陳情活動もした。開催決定は本当にうれしい。釜石開催には、東海市を挙げて応援にいきたい」とあいさつした。

 

100人余りの東海市民が参加して開かれたラグビータウンミーティング

100人余りの東海市民が参加して開かれたラグビータウンミーティング

 

 続いて、W杯釜石開催を応援してきたノンフィクションライターの松瀬学さんが講演。「期待はしているが、ビジョンや戦略をよく考えないと成功しない。大いに盛り上げるストーリーが必要」と指摘した上で、「さまざまな絆ができるラグビー文化はすばらしい。W杯をきっかけにもっと浸透してらいたい」と期待を述べた。開催期間が長期にわたるW杯によるさまざまな経済効果も挙げ、「世界のラグビーファンが東海市にやって来る仕掛けをつくり、共に盛り上がろう」と呼び掛けた。

 

ラグビーカフェからエールを交換する釜石市民

ラグビーカフェからエールを交換する釜石市民

 

 このあと、元ラグビー日本代表の桜庭吉彦さん(釜石シーウェイブスRFCゼネラルマネジャー)を交えてパネルディスカッション。松瀬さんが「釜石のラガーマンはやさしい。厳しい環境の中でラグビーに打ち込み、人間としても立派」と持ち上げると、3度のW杯に出場した桜庭さんは「W杯は自分自身を成長させてくれた。今度は釜石で開かれる。成功に向けたチャレンジが本当のレガシー(遺産)になる」と強調した。

 

 ラグビーカフェ釜石でイベントの中継に見入った緒形悠里子さん(35)=中妻町=は中学2年まで東海市で過ごした。両親とともに釜石に帰って20年。「東海市には一度も行っていない。W杯を機会に行ければいいですね」と〝ふるさと〟に思いをはせた。

 

(復興釜石新聞 2017年2月4日発行 第560号より)

 

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スクラムを組み、釜石鵜住居復興スタジアムに敷く芝生の感触を確かめる釜石SWの選手ら

ラグビーW杯会場、天然芝の試験場公開〜釜石SW選手協力、スクラム組み感触確認

スクラムを組み、釜石鵜住居復興スタジアムに敷く芝生の感触を確かめる釜石SWの選手ら

スクラムを組み、釜石鵜住居復興スタジアムに敷く芝生の感触を確かめる釜石SWの選手ら

 

 2019年の日本開催まで2年余りと迫ったラグビーワールドカップ(W杯)の会場の一つとして釜石市鵜住居町に整備中の「釜石鵜住居復興スタジアム」(仮称)で1月26日、グラウンドに敷く天然芝の試験場が公開された。来季から新設されるトップチャレンジリーグ(仮称)への参入を決めた釜石シーウェイブス(SW)RFCの選手らも参加し、実際にスクラムを組むなどして芝の感触を確かめた。スタジアムは4月に着工する予定で、市は今後も芝生の試験を継続し、今年の夏までに最適の芝生を選定する。

 

 試験は、復興スタジアムの芝生をより質の高いものにするのが目的。復興スタジアム建設予定地の一角に90平方メートルほどの試験場を設け、昨年9月から種子や地面の土の配合を変えるなどして芝生の栽培を続けている。

 

 寒地型の芝草種子を混合した3種類の種子と、地元の土地造成工事で出た土砂を混合したものなど4種類の床土を組み合わせた12パターンで試験栽培。この中から復興スタジアムに最も適合した組み合わせを選ぶ。

 

 一部の地面には、人工繊維と天然コルクを混ぜた特殊な床土を使用した。昨年フランスで開催されたサッカー欧州選手権で採用されたハイブリッド仕様で、芝生の耐久性や衝撃吸収性などに優れ、欧州の一部などで導入され始めているという。釜石で採用されれば日本で初めてとなる。

 

 試験場の公開には関係者や地元住民など約50人が参加。釜石シーウェイブスの選手らが試験中の芝生の上でスクラムを組み、ダッシュするなど感触を確かめた。フランスで行われたラグビーワールドカップに出場経験のある松原裕司コーチ兼選手はハイブリッド仕様の芝生について、「柔らかいけど走りやすい。スクラムを組む際もスタッド(スパイクの歯)がしっかりと掛かり、しっくりする」と高く評価した。

 

試験場の芝生の上でダッシュを繰り返す釜石SWの伊藤剛臣選手(右)と中野裕太選手

試験場の芝生の上でダッシュを繰り返す釜石SWの伊藤剛臣選手(右)と中野裕太選手

 

 土が掘り起こされた部分もあったが、須田康夫主将は「選手のパフォーマンスを引き出せる芝生と感じた。さらに100パーセントの力を発揮できるような芝生になれば」と期待。「再来年のラグビーワールドカップまでには(SWが)トップリーグに昇格できるよう頑張りたい」と意欲を新たにした。

 

 試験を担当している日本フィールドシステムの平舘優東北支店長は「日陰で気温も低い厳しい環境での試験となったが、今のところ芝生の生育状況に問題はない」と手ごたえを話す。

 

 釜石市ラグビーW杯2019推進室の山本洋樹室長は「これからスタジアムを造るのは釜石だけなので、こういった実験は非常に大事。実際のワールドカップの試合で選手のみなさんに気持ち良く試合をしていただくためにも、さらに実験を重ねながらきっちりとやっていきたい」としている。

 

(復興釜石新聞 2017年2月1日発行 第559号より)

 

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釜石SWの選手らとパス交換をする子どもたち

ラグビーW杯開催盛り上げへ 「釜石カフェ」で市民交流イベント〜釜石シーウェイブスから3選手参加

 ラグビーにちなんだ福笑いゲームを楽しむ家族連れと釜石SWの許選手

ラグビーにちなんだ福笑いゲームを楽しむ家族連れと釜石SWの許選手

 

 2年後の開催まで1000日を切ったラグビーワールドカップ(W杯)へ向けて機運を盛り上げようと、釜石市鈴子町シープラザ釜石内の「ラグビーカフェ釜石」で15日、新春イベントが開かれた。市内外からラグビーファン30人余りが親子連れなどで参加し、ラグビーにちなんだ福笑いゲームなどを楽しみながら交流を深めた。

 

 同カフェを運営するラグビーワールドカップ2019釜石開催支援連絡会(小泉嘉明会長)が主催。来シーズンからスタートする新リーグへの参入を決めたばかりの釜石シーウェイブス(SW)RFCからマヘ・トゥビ、許雄、中野裕太の3選手が加わりファンと交流した。

 

 同カフェは昨年4月にオープン。日本選手権7連覇(昭和53~59年度)を達成した新日鉄釜石ラグビー部のユニホームや、ラグビーW杯開催に向けて釜石市鵜住居町に建設される復興スタジアムの模型などが展示されている。

 

 ラグビーのミニボールなどを備えた体験コーナーもあり、イベントに参加した子どもたちがゴールポストを目がけてキックに挑戦。シーウェイブスの選手とパスを交換し、オリジナルのキーホルダー作りも体験した。

 

釜石SWの選手らとパス交換をする子どもたち

釜石SWの選手らとパス交換をする子どもたち

 

 1歳になったばかりのケソミちゃんを抱いて参加したトゥビ選手は「やっと新リーグ参入を決めることができた。来シーズンはもっと活躍したい」と、釜石に来て4年目のシーズンへ向けて英気を養った。

 

 釜石シーウェイブスジュニアで活動する孫の阿部海凛君(甲子小2年)と参加した野田町の阿部正彦さん(73)は「スタジアムの建設が心配だが、大丈夫間に合うと思う」とW杯釜石開催の成功を願った。

 

 同カフェは原則的に土・日・祝日の午前10時から午後5時までオープン。W杯開催まで2年余りと迫り、今後は毎月1回程度、機運を盛り上げるイベントを予定している。

 

(復興釜石新聞 2017年1月21日発行 第556号より)

 

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ラグビーワールドカップ2019™釜石タウンミーティングin東海

ラグビーワールドカップ2019™釜石タウンミーティングin東海

ラグビーワールドカップ2019™釜石タウンミーティングin東海

 

当市の姉妹都市である東海市は、当市との姉妹都市交流を促進する一環として、東海市民がラグビーワールドカップ2019釜石開催を応援し、釜石ラグビーへの理解を深める「ラグビーワールドカップ2019™釜石タウンミーティングin東海」を開催します。

 

ラグビーカフェ釜石で現地と相互中継

当日、当市ではラグビーカフェ釜石を会場として、現地との相互中継を実施します。是非お気軽にお越し下さい。

 

日時

平成29年1月29日(日) 10時00分~12時00分(予定)

会場

○釜石市:ラグビーカフェ釜石(釜石市鈴子町22-1 シープラザ釜石2階西側フロア)
○東海市:東海市芸術劇場 多目的ホール

主催

東海市・東海市教育委員会

共催

釜石市

協力

RWC2019釜石開催支援連絡会、釜石シーウェイブスRFC、(株)まちづくり東海

プログラム

○第1部 基調講演
・テーマ: ラグビーワールドカップ2019が日本の地方にもたらすもの
・講演: ノンフィクションライター 松瀬 学 氏
○第2部 パネルディスカッション
・テーマ: 釜石ラグビーの魅力とラグビーワールドカップ™のレガシー
・パネリスト: 元日本代表 桜庭 吉彦 氏 、ノンフィクションライター 松瀬 学 氏
・コーディネーター: RWC2019釜石開催支援連絡会幹事 浜登 寿雄 氏

 

釜石タウンミーティングin東海 チラシ表面

釜石タウンミーティングin東海 チラシ表面

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釜石タウンミーティングin東海 チラシ裏面

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新たな夢へエール、大嶋さん センバツ出場の釜高ナインと再開〜エース岩間君、教師目指して大学へ

釜石高を訪れた大嶋啓介さん

釜石高を訪れた大嶋啓介さん(前列中央)と菊池智哉君(左)、岩間大君(右)

 

 「本気の朝礼」で知られる居酒屋「てっぺん」(東京)創業者の大嶋啓介さん(42)が29日、釜石市甲子町の釜石高(佐藤一也校長、生徒530人)で講演した。3年生177人を対象に「世界で一番ワクワクする夢のかなえ方」を紹介。前向きな言葉、動作、表情によって心の状態が変わると指摘し、「毎日喜んで勉強するだけ。心をうまくコントロールできれば良い結果を出せる」と激励した。

 

 「夢にワクワクすることがかなえる究極の方法」と大嶋さん。目標を達成し喜ぶ姿を想像することや原動力となる人の重要性を説明し、「みんなには今持っている力の3万倍以上の可能性という未来の力が眠っている。受験は手段の一つで、頑張ったことやその過程は今後のみんなの人生に生きてくることばかり。諦めるのはいつでもできるので、今は自分の力を信じて」と呼び掛けた。

 

 同校では3年生の100人余りが受験本番を迎える。教師となる夢をかなえようと県内の大学への進学を目指す佐々木希さんは「だれのため、何のために頑張るか再認識できた。受験は通過点で、その後の生き方に生かせる笑顔の大切さや、明るい空気がチーム作りに必要なことも学んだ。試験本番に向け”予祝”をしっかりやっていきたい」と意欲を高めた。

 

 居酒屋てっぺんでは、開店前にスタッフ一人一人が夢や目標を叫び、テンションを高めて組織の一体感も強める「本気の朝礼」が名物。大嶋さんは昨年9月にも同校で講演している。それを転機にしたのが野球部。秋の地区予選初戦負けでチームが沈んでいた時に聞いた大嶋さんの熱弁が選手たちの心に響いたという。

 

 「本気の朝礼」を参考に、声出しなどで気持ちを高める方法を練習に取り入れ、常に本番を意識して取り組んだ。すると黒星発進後は、地区予選の敗者復活戦から勝ち上がって県大会で準優勝。20年ぶりに東北大会に出場し、21世紀枠でセンバツ出場につなげた。

 

 出場決定を機に、大嶋さんは直接ナインに会って激励したいと、野球部が東海市で行っていた合宿先を訪問。センバツ甲子園にも足を運んだという。今回、「2016年は釜石高のセンバツ出場に勇気や希望、感動をもらい、最高の経験ができたので感謝を伝えたい」と講演を希望し、再訪した。

 

 菊池智哉前主将は「講演を聞いて意識が変わり、センバツに出場、勝つこともできた。本当に大きな力をもらった」と感謝した。県内の大学への進学が決まり、「これからも不安な気持ちや心が折れそうになることがあると思うが、いただいた言葉を大切に頑張っていきたい」。野球で得た気持ちのつくり方を生かし、釜石のものづくりを支えたいとの思いを胸に新たな道を歩む。

 

 エースとして活躍した岩間大君は、教師という夢を抱いて東京の大学に進学する。センバツを振り返り、「あこがれていた舞台なので楽しむ気持ちで臨んだ。仲間と躍動し、家族や応援してくれる人たちに少し恩返しできたと思う。これまでたくさん支えられ、教えられてきたが、これからは子どもに夢を与え、かなえる手助けができる人になりたい」と決意を新たにした。

 

 この日は、野球部の1、2年生らも聴講。夢を実現するチームづくりなどをアドバイスし、選手らと交流する時間もあった。大嶋さんは「センバツ出場は釜石の歴史に残るもの。それを胸にそれぞれの人生で力を発揮してほしい。みんなの力があれば、釜石は元気になる」と話していた。

 

(復興釜石新聞 2017年1月7日発行 第552号より)

 

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県庁前のカウントダウンボードとW杯の桜庭吉彦アンバサダー(左)、県ラグビー協会の白根敬介会長

県民一丸、釜石へトライ~ラグビーW杯まで1000日、盛岡でイベント

披露されたラグビーW杯の横断幕=20日、盛岡市の県庁前

披露されたラグビーW杯の横断幕=20日、盛岡市の県庁前

 

 ラグビーワールドカップ2019開幕1千日前記念イベントが20日、盛岡市の県庁前で行われた。2019年の釜石市開催に向けて、横断幕とカウントダウンボードが披露され、成功に気勢を上げた。来年1月8日まで東京、札幌など開催12都市で1千日前記念イベントを連動し、大会成功の機運を全国に広げる。ラグビーW杯は2019年9月20日開幕する。【盛岡タイムス】

 

 記念イベントで達増知事は、「1千日は長いようであっという間。1千日間オール岩手でスクラムを組み、岩手から東北、東日本大震災の被災地に大きな輪を広げ、全国の中で名誉ある地位を占め、成功させたい」とあいさつ。復興スクラム議員連盟の伊藤勢至会長が「2巡目の国体成功に感謝の拍手をしたい。次は2019年ワールドカップ釜石開催に向け、全国12カ所のうちの釜石として、全員でトライしたい」と激励した。

 

 横断幕は開催年に合わせて20・19メートルで製作し、「オール岩手で成功させよう」との文言と、ラガーマンのわんこきょうだいをあしらった。カウントダウンボードはいわて国体に使用した物を転用し、県庁前に置いた。

 

県庁前のカウントダウンボードとW杯の桜庭吉彦アンバサダー(左)、県ラグビー協会の白根敬介会長

県庁前のカウントダウンボードとW杯の桜庭吉彦アンバサダー(左)、県ラグビー協会の白根敬介会長(右)

 

 達増知事は同日の定例記者会見でW杯について、「東日本大震災被災地の開催には意義がある。復興のさなかに準備して行われるワールドカップなので、復興の妨げにならないよう、被災地開催に負担をかけすぎないよう配慮してもらわねばならない。競技団体の過去のワールドカップ開催の知恵は実現可能な部分は取り入れていきたい」と述べた。釜石市鵜住居町のスタジアム建設費の高騰に抑制的な考えを示した。

 

 宿泊については「キャパ(収容能力)は釜石だけではとても足りないので、周辺や広くオール岩手で、クルーズ船の活用も視野に入れていけば、観客1万6千人のスタジアム開催に見合う宿泊の確保は可能。開催が盛り上がり、地域振興の効果があるように工夫したい」と述べた。

 

(復興釜石新聞 2016年12月28日発行 第550号より)

 

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ラグビーW杯、釜石スタジアムの姿見える〜建設検討委で木製シートも、避難ルートの素案は3方向

メーンスタンドのイメージ模型と木製シートのサンプルに見入る委員ら参加者

メーンスタンドのイメージ模型と木製シートのサンプルに見入る委員ら参加者

 

 2019年ラグビーワールド杯の会場となる「釜石鵜住居復興スタジアム」(仮称)の第2回建設検討委員会(小泉嘉明委員長、12委員)は2日、市役所で開かれ、基盤整備や実施設計の進ちょく状況、観客らの避難誘導計画、今後の整備日程が示され、委員、アドバイザーが意見交換した。メーンスタンドのデザイン模型が持ち込まれ、委員らは完成時のイメージを高めた。

 

 野田武則市長は「1万6千人から2万人の観客と、住民の避難行動が最大の懸案事項になる。国体が終了し、ワールド杯に専念したい」とあいさつした。

 

 同検討委員会は5月の初会合以来の開催。事務局がメーングラウンド、サブグラウンド、スタンドなど主要施設の整備計画を確認。大会を運営するW杯リミテッド(RWCL)の要求(メーンスタンドのひさしの拡充など7項目)と、対応案を示した。スタジアムに通じる観客、選手、スタッフの動線も提示。芝の準備では、9パターンを育成試験している。

 

 スタジアムとメーンスタンドのデザインは釜石の復興や、根浜・海につながる「はばたき、帆船」のイメージという。

 

 スタンドの常設6千席のシートに、木製のサンプルが持ち込まれた。地元産のスギ間伐材(合成材)を使い、サイズは幅と奥行きとも42センチ、背もたれの高さ24センチ。基盤に設置した時に金具で固定、強度を高める。座る部分は緩い凹面(おうめん)に加工した。防腐剤を塗布し、汚れへの耐性処理を加えると、7年ほどもつという。劣化したパーツ、1個全部の交換にも対応し、維持管理が容易になる―とした。

 

 アドバイザーからは、「木造建築は世界的に見直されている。木のぬくもりは、釜石らしさのアピールになる」など、好意的な見解が語られた。

 

 避難場所は標高20メートル以上を基準に、スタジアムからのルートは▽鎧坂(よろいざか)橋から、高台に建設中の学校まで▽東日本大震災時に児童・生徒が住民と共に避難した国道45号恋の峠まで▽南の林道を登り、建設中の箱崎半島線へ―の3方向を想定している。いずれも1キロから2キロの距離がある。

 

 検討課題は、シミュレーションすべき避難者が▽通常200人▽イベント6千人▽ワールド杯1万6千人―の規模別に3パターンが必要。「心理的な安心感を付与する目的で、山側避難路を整備する」などを挙げた。

 

 なお、当初事業費約31億9800万円はRWCLの要求を受け、増額が見込まれる。

 

(復興釜石新聞 2016年12月7日発行 第544号より)

 

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