ラグビーTCリーグ 釜石SW初戦黒星、三菱重工に7-19〜善戦も地力負け、終了間際 村田一矢報いる
釜石SW−三菱重工相模原 後半ロスタイム、CTB村田オスカロイドがトライを決め一矢報いる=釜石市球技場
今季から新設されたラグビートップチャレンジ(TC)リーグが開幕。昨季トップイーストリーグ3位で、1年でのトップリーグ(TL)昇格を目指す釜石シーウェイブス(SW)RFCは10日、三菱重工相模原(昨季トップイースト1位)をホームグラウンドの釜石市球技場に迎えて対戦したが、7―19(前半0―12)で敗れ、黒星スタートとなった。釜石は前半、スクラムで互角に渡り合うなど善戦したものの、30分に先制トライを許し、ロスタイムにもトライを奪われる。後半はマイボールのラインアウトを奪われるなどミスが目立ち、終了間際にCTB村田オスカロイドのトライで一矢報いるにとどまった。釜石の次戦は17日、東京・秩父宮ラグビー場でホンダ(昨季TL16位)と対戦する。
「フィジカル、外国人選手の状態など全ての面で相手の力が上だった。相手のミスをチャンスにできず、逆にこちらのミスを突かれた」と完敗を認めた釜石の小村淳ヘッドコーチ(HC)。悔しさをにじませながら試合展開を振り返るその表情には、思った以上に善戦した手ごたえが見て取れた。
前半は半ば過ぎまで、ほぼ互角に渡り合った。スクラムで押し負けず、モールを押し込み何度か敵ゴールまで迫る場面もあった。
しかし、ラインアウトのミスや反則でなかなかトライまで持って行けず、歯がゆい展開が続く。逆にモールを押し込まれ、先制トライを献上。前半ロスタイムには自陣ゴール前でラックを連取され、サイドを突かれて失点。後半14分にも右サイドを突破され、独走トライを許した。
0―19と勝利が絶望的となる中、釜石はロスタイムに最後の意地を見せる。途中から出場したWTB森山裕樹からFBジョー・ピーターセンへとボールが渡り、これをつないだ村田オがゴール中央まで回り込んでダイビングトライ。「まさか…(ボールは)来ないと思っていた。次につながるトライ。サイコー」と叫んだ。
ゴールに向かって突進するFBジョー・ピーターセン
「村田は流れを変える力を見せてくれた。最後まであきらめない姿は次の試合につながる」と小村HC。スタンドを埋めた約1800人の「かまいしコール」を背に、「熱い声援をプレッシャーと感じず、今後のいい形につなげていきたい」と応えた。
けがで欠場した須田康夫主将に代わってゲームキャプテンを務めたWTB小野航大は「そんなに悲観的ではない。ディフェンスは思い切りできた。通用した部分もある」と前を向いた。
トップリーグ昇格につながる新設リーグの初戦。釜石市球技場には市民らサポーター約1800人が訪れ、奮闘する釜石SWに「かーまいし!」と熱い声援を送った。釜石応援団もシンボルの大漁旗を打ち振り選手の背中を押したが、残念ながら初戦は勝利で飾れなかった。
大漁旗を振り、選手に力を送るSW釜石応援団
転勤で上中島町に住む公務員、八重樫祐一さん(51)は妻、2人の子どもと家族そろって応援。「ちょっと押され気味だけど、FWがもっとがんばれば行ける」と力を送った。
高校(黒沢尻北)時代にはラグビー部に所属し、フランカーとしてプレー。釜石でSWの試合がある時は家族で足を運ぶという。「地元と一体のチーム。まちで選手を見かけることも多い。これからも応援しますよ」と八重樫さん。
FWで先発フル出場した木村優太選手と同じ職場という千鳥町の八幡松雄さん(70)は、SWサポーターのタオルを首に掛け、木村選手の奮闘を息子のように見守った。
職場の昼休みには、木村選手の練習相手に駆り出され、パス交換をすることも。「ともかくまじめなヤツ。きょうは残念ながら負けてしまったが、TL昇格まで応援し続けるよ」と八幡さん。
(復興釜石新聞 2017年9月13日発行 第621号より)
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