スクラムを組み、釜石鵜住居復興スタジアムに敷く芝生の感触を確かめる釜石SWの選手ら
2019年の日本開催まで2年余りと迫ったラグビーワールドカップ(W杯)の会場の一つとして釜石市鵜住居町に整備中の「釜石鵜住居復興スタジアム」(仮称)で1月26日、グラウンドに敷く天然芝の試験場が公開された。来季から新設されるトップチャレンジリーグ(仮称)への参入を決めた釜石シーウェイブス(SW)RFCの選手らも参加し、実際にスクラムを組むなどして芝の感触を確かめた。スタジアムは4月に着工する予定で、市は今後も芝生の試験を継続し、今年の夏までに最適の芝生を選定する。
試験は、復興スタジアムの芝生をより質の高いものにするのが目的。復興スタジアム建設予定地の一角に90平方メートルほどの試験場を設け、昨年9月から種子や地面の土の配合を変えるなどして芝生の栽培を続けている。
寒地型の芝草種子を混合した3種類の種子と、地元の土地造成工事で出た土砂を混合したものなど4種類の床土を組み合わせた12パターンで試験栽培。この中から復興スタジアムに最も適合した組み合わせを選ぶ。
一部の地面には、人工繊維と天然コルクを混ぜた特殊な床土を使用した。昨年フランスで開催されたサッカー欧州選手権で採用されたハイブリッド仕様で、芝生の耐久性や衝撃吸収性などに優れ、欧州の一部などで導入され始めているという。釜石で採用されれば日本で初めてとなる。
試験場の公開には関係者や地元住民など約50人が参加。釜石シーウェイブスの選手らが試験中の芝生の上でスクラムを組み、ダッシュするなど感触を確かめた。フランスで行われたラグビーワールドカップに出場経験のある松原裕司コーチ兼選手はハイブリッド仕様の芝生について、「柔らかいけど走りやすい。スクラムを組む際もスタッド(スパイクの歯)がしっかりと掛かり、しっくりする」と高く評価した。
試験場の芝生の上でダッシュを繰り返す釜石SWの伊藤剛臣選手(右)と中野裕太選手
土が掘り起こされた部分もあったが、須田康夫主将は「選手のパフォーマンスを引き出せる芝生と感じた。さらに100パーセントの力を発揮できるような芝生になれば」と期待。「再来年のラグビーワールドカップまでには(SWが)トップリーグに昇格できるよう頑張りたい」と意欲を新たにした。
試験を担当している日本フィールドシステムの平舘優東北支店長は「日陰で気温も低い厳しい環境での試験となったが、今のところ芝生の生育状況に問題はない」と手ごたえを話す。
釜石市ラグビーW杯2019推進室の山本洋樹室長は「これからスタジアムを造るのは釜石だけなので、こういった実験は非常に大事。実際のワールドカップの試合で選手のみなさんに気持ち良く試合をしていただくためにも、さらに実験を重ねながらきっちりとやっていきたい」としている。
(復興釜石新聞 2017年2月1日発行 第559号より)
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