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スクラムを組み、釜石鵜住居復興スタジアムに敷く芝生の感触を確かめる釜石SWの選手ら

ラグビーW杯会場、天然芝の試験場公開〜釜石SW選手協力、スクラム組み感触確認

スクラムを組み、釜石鵜住居復興スタジアムに敷く芝生の感触を確かめる釜石SWの選手ら

スクラムを組み、釜石鵜住居復興スタジアムに敷く芝生の感触を確かめる釜石SWの選手ら

 

 2019年の日本開催まで2年余りと迫ったラグビーワールドカップ(W杯)の会場の一つとして釜石市鵜住居町に整備中の「釜石鵜住居復興スタジアム」(仮称)で1月26日、グラウンドに敷く天然芝の試験場が公開された。来季から新設されるトップチャレンジリーグ(仮称)への参入を決めた釜石シーウェイブス(SW)RFCの選手らも参加し、実際にスクラムを組むなどして芝の感触を確かめた。スタジアムは4月に着工する予定で、市は今後も芝生の試験を継続し、今年の夏までに最適の芝生を選定する。

 

 試験は、復興スタジアムの芝生をより質の高いものにするのが目的。復興スタジアム建設予定地の一角に90平方メートルほどの試験場を設け、昨年9月から種子や地面の土の配合を変えるなどして芝生の栽培を続けている。

 

 寒地型の芝草種子を混合した3種類の種子と、地元の土地造成工事で出た土砂を混合したものなど4種類の床土を組み合わせた12パターンで試験栽培。この中から復興スタジアムに最も適合した組み合わせを選ぶ。

 

 一部の地面には、人工繊維と天然コルクを混ぜた特殊な床土を使用した。昨年フランスで開催されたサッカー欧州選手権で採用されたハイブリッド仕様で、芝生の耐久性や衝撃吸収性などに優れ、欧州の一部などで導入され始めているという。釜石で採用されれば日本で初めてとなる。

 

 試験場の公開には関係者や地元住民など約50人が参加。釜石シーウェイブスの選手らが試験中の芝生の上でスクラムを組み、ダッシュするなど感触を確かめた。フランスで行われたラグビーワールドカップに出場経験のある松原裕司コーチ兼選手はハイブリッド仕様の芝生について、「柔らかいけど走りやすい。スクラムを組む際もスタッド(スパイクの歯)がしっかりと掛かり、しっくりする」と高く評価した。

 

試験場の芝生の上でダッシュを繰り返す釜石SWの伊藤剛臣選手(右)と中野裕太選手

試験場の芝生の上でダッシュを繰り返す釜石SWの伊藤剛臣選手(右)と中野裕太選手

 

 土が掘り起こされた部分もあったが、須田康夫主将は「選手のパフォーマンスを引き出せる芝生と感じた。さらに100パーセントの力を発揮できるような芝生になれば」と期待。「再来年のラグビーワールドカップまでには(SWが)トップリーグに昇格できるよう頑張りたい」と意欲を新たにした。

 

 試験を担当している日本フィールドシステムの平舘優東北支店長は「日陰で気温も低い厳しい環境での試験となったが、今のところ芝生の生育状況に問題はない」と手ごたえを話す。

 

 釜石市ラグビーW杯2019推進室の山本洋樹室長は「これからスタジアムを造るのは釜石だけなので、こういった実験は非常に大事。実際のワールドカップの試合で選手のみなさんに気持ち良く試合をしていただくためにも、さらに実験を重ねながらきっちりとやっていきたい」としている。

 

(復興釜石新聞 2017年2月1日発行 第559号より)

 

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復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

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釜石SWの選手らとパス交換をする子どもたち

ラグビーW杯開催盛り上げへ 「釜石カフェ」で市民交流イベント〜釜石シーウェイブスから3選手参加

 ラグビーにちなんだ福笑いゲームを楽しむ家族連れと釜石SWの許選手

ラグビーにちなんだ福笑いゲームを楽しむ家族連れと釜石SWの許選手

 

 2年後の開催まで1000日を切ったラグビーワールドカップ(W杯)へ向けて機運を盛り上げようと、釜石市鈴子町シープラザ釜石内の「ラグビーカフェ釜石」で15日、新春イベントが開かれた。市内外からラグビーファン30人余りが親子連れなどで参加し、ラグビーにちなんだ福笑いゲームなどを楽しみながら交流を深めた。

 

 同カフェを運営するラグビーワールドカップ2019釜石開催支援連絡会(小泉嘉明会長)が主催。来シーズンからスタートする新リーグへの参入を決めたばかりの釜石シーウェイブス(SW)RFCからマヘ・トゥビ、許雄、中野裕太の3選手が加わりファンと交流した。

 

 同カフェは昨年4月にオープン。日本選手権7連覇(昭和53~59年度)を達成した新日鉄釜石ラグビー部のユニホームや、ラグビーW杯開催に向けて釜石市鵜住居町に建設される復興スタジアムの模型などが展示されている。

 

 ラグビーのミニボールなどを備えた体験コーナーもあり、イベントに参加した子どもたちがゴールポストを目がけてキックに挑戦。シーウェイブスの選手とパスを交換し、オリジナルのキーホルダー作りも体験した。

 

釜石SWの選手らとパス交換をする子どもたち

釜石SWの選手らとパス交換をする子どもたち

 

 1歳になったばかりのケソミちゃんを抱いて参加したトゥビ選手は「やっと新リーグ参入を決めることができた。来シーズンはもっと活躍したい」と、釜石に来て4年目のシーズンへ向けて英気を養った。

 

 釜石シーウェイブスジュニアで活動する孫の阿部海凛君(甲子小2年)と参加した野田町の阿部正彦さん(73)は「スタジアムの建設が心配だが、大丈夫間に合うと思う」とW杯釜石開催の成功を願った。

 

 同カフェは原則的に土・日・祝日の午前10時から午後5時までオープン。W杯開催まで2年余りと迫り、今後は毎月1回程度、機運を盛り上げるイベントを予定している。

 

(復興釜石新聞 2017年1月21日発行 第556号より)

 

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ラグビーワールドカップ2019™釜石タウンミーティングin東海

ラグビーワールドカップ2019™釜石タウンミーティングin東海

ラグビーワールドカップ2019™釜石タウンミーティングin東海

 

当市の姉妹都市である東海市は、当市との姉妹都市交流を促進する一環として、東海市民がラグビーワールドカップ2019釜石開催を応援し、釜石ラグビーへの理解を深める「ラグビーワールドカップ2019™釜石タウンミーティングin東海」を開催します。

 

ラグビーカフェ釜石で現地と相互中継

当日、当市ではラグビーカフェ釜石を会場として、現地との相互中継を実施します。是非お気軽にお越し下さい。

 

日時

平成29年1月29日(日) 10時00分~12時00分(予定)

会場

○釜石市:ラグビーカフェ釜石(釜石市鈴子町22-1 シープラザ釜石2階西側フロア)
○東海市:東海市芸術劇場 多目的ホール

主催

東海市・東海市教育委員会

共催

釜石市

協力

RWC2019釜石開催支援連絡会、釜石シーウェイブスRFC、(株)まちづくり東海

プログラム

○第1部 基調講演
・テーマ: ラグビーワールドカップ2019が日本の地方にもたらすもの
・講演: ノンフィクションライター 松瀬 学 氏
○第2部 パネルディスカッション
・テーマ: 釜石ラグビーの魅力とラグビーワールドカップ™のレガシー
・パネリスト: 元日本代表 桜庭 吉彦 氏 、ノンフィクションライター 松瀬 学 氏
・コーディネーター: RWC2019釜石開催支援連絡会幹事 浜登 寿雄 氏

 

釜石タウンミーティングin東海 チラシ表面

釜石タウンミーティングin東海 チラシ表面

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この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 ラグビーワールドカップ2019推進室
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111(105) / 0193-22-6040 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/shokai/rugby_city/detail/1207098_3208.html
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新たな夢へエール、大嶋さん センバツ出場の釜高ナインと再開〜エース岩間君、教師目指して大学へ

釜石高を訪れた大嶋啓介さん

釜石高を訪れた大嶋啓介さん(前列中央)と菊池智哉君(左)、岩間大君(右)

 

 「本気の朝礼」で知られる居酒屋「てっぺん」(東京)創業者の大嶋啓介さん(42)が29日、釜石市甲子町の釜石高(佐藤一也校長、生徒530人)で講演した。3年生177人を対象に「世界で一番ワクワクする夢のかなえ方」を紹介。前向きな言葉、動作、表情によって心の状態が変わると指摘し、「毎日喜んで勉強するだけ。心をうまくコントロールできれば良い結果を出せる」と激励した。

 

 「夢にワクワクすることがかなえる究極の方法」と大嶋さん。目標を達成し喜ぶ姿を想像することや原動力となる人の重要性を説明し、「みんなには今持っている力の3万倍以上の可能性という未来の力が眠っている。受験は手段の一つで、頑張ったことやその過程は今後のみんなの人生に生きてくることばかり。諦めるのはいつでもできるので、今は自分の力を信じて」と呼び掛けた。

 

 同校では3年生の100人余りが受験本番を迎える。教師となる夢をかなえようと県内の大学への進学を目指す佐々木希さんは「だれのため、何のために頑張るか再認識できた。受験は通過点で、その後の生き方に生かせる笑顔の大切さや、明るい空気がチーム作りに必要なことも学んだ。試験本番に向け”予祝”をしっかりやっていきたい」と意欲を高めた。

 

 居酒屋てっぺんでは、開店前にスタッフ一人一人が夢や目標を叫び、テンションを高めて組織の一体感も強める「本気の朝礼」が名物。大嶋さんは昨年9月にも同校で講演している。それを転機にしたのが野球部。秋の地区予選初戦負けでチームが沈んでいた時に聞いた大嶋さんの熱弁が選手たちの心に響いたという。

 

 「本気の朝礼」を参考に、声出しなどで気持ちを高める方法を練習に取り入れ、常に本番を意識して取り組んだ。すると黒星発進後は、地区予選の敗者復活戦から勝ち上がって県大会で準優勝。20年ぶりに東北大会に出場し、21世紀枠でセンバツ出場につなげた。

 

 出場決定を機に、大嶋さんは直接ナインに会って激励したいと、野球部が東海市で行っていた合宿先を訪問。センバツ甲子園にも足を運んだという。今回、「2016年は釜石高のセンバツ出場に勇気や希望、感動をもらい、最高の経験ができたので感謝を伝えたい」と講演を希望し、再訪した。

 

 菊池智哉前主将は「講演を聞いて意識が変わり、センバツに出場、勝つこともできた。本当に大きな力をもらった」と感謝した。県内の大学への進学が決まり、「これからも不安な気持ちや心が折れそうになることがあると思うが、いただいた言葉を大切に頑張っていきたい」。野球で得た気持ちのつくり方を生かし、釜石のものづくりを支えたいとの思いを胸に新たな道を歩む。

 

 エースとして活躍した岩間大君は、教師という夢を抱いて東京の大学に進学する。センバツを振り返り、「あこがれていた舞台なので楽しむ気持ちで臨んだ。仲間と躍動し、家族や応援してくれる人たちに少し恩返しできたと思う。これまでたくさん支えられ、教えられてきたが、これからは子どもに夢を与え、かなえる手助けができる人になりたい」と決意を新たにした。

 

 この日は、野球部の1、2年生らも聴講。夢を実現するチームづくりなどをアドバイスし、選手らと交流する時間もあった。大嶋さんは「センバツ出場は釜石の歴史に残るもの。それを胸にそれぞれの人生で力を発揮してほしい。みんなの力があれば、釜石は元気になる」と話していた。

 

(復興釜石新聞 2017年1月7日発行 第552号より)

 

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県庁前のカウントダウンボードとW杯の桜庭吉彦アンバサダー(左)、県ラグビー協会の白根敬介会長

県民一丸、釜石へトライ~ラグビーW杯まで1000日、盛岡でイベント

披露されたラグビーW杯の横断幕=20日、盛岡市の県庁前

披露されたラグビーW杯の横断幕=20日、盛岡市の県庁前

 

 ラグビーワールドカップ2019開幕1千日前記念イベントが20日、盛岡市の県庁前で行われた。2019年の釜石市開催に向けて、横断幕とカウントダウンボードが披露され、成功に気勢を上げた。来年1月8日まで東京、札幌など開催12都市で1千日前記念イベントを連動し、大会成功の機運を全国に広げる。ラグビーW杯は2019年9月20日開幕する。【盛岡タイムス】

 

 記念イベントで達増知事は、「1千日は長いようであっという間。1千日間オール岩手でスクラムを組み、岩手から東北、東日本大震災の被災地に大きな輪を広げ、全国の中で名誉ある地位を占め、成功させたい」とあいさつ。復興スクラム議員連盟の伊藤勢至会長が「2巡目の国体成功に感謝の拍手をしたい。次は2019年ワールドカップ釜石開催に向け、全国12カ所のうちの釜石として、全員でトライしたい」と激励した。

 

 横断幕は開催年に合わせて20・19メートルで製作し、「オール岩手で成功させよう」との文言と、ラガーマンのわんこきょうだいをあしらった。カウントダウンボードはいわて国体に使用した物を転用し、県庁前に置いた。

 

県庁前のカウントダウンボードとW杯の桜庭吉彦アンバサダー(左)、県ラグビー協会の白根敬介会長

県庁前のカウントダウンボードとW杯の桜庭吉彦アンバサダー(左)、県ラグビー協会の白根敬介会長(右)

 

 達増知事は同日の定例記者会見でW杯について、「東日本大震災被災地の開催には意義がある。復興のさなかに準備して行われるワールドカップなので、復興の妨げにならないよう、被災地開催に負担をかけすぎないよう配慮してもらわねばならない。競技団体の過去のワールドカップ開催の知恵は実現可能な部分は取り入れていきたい」と述べた。釜石市鵜住居町のスタジアム建設費の高騰に抑制的な考えを示した。

 

 宿泊については「キャパ(収容能力)は釜石だけではとても足りないので、周辺や広くオール岩手で、クルーズ船の活用も視野に入れていけば、観客1万6千人のスタジアム開催に見合う宿泊の確保は可能。開催が盛り上がり、地域振興の効果があるように工夫したい」と述べた。

 

(復興釜石新聞 2016年12月28日発行 第550号より)

 

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ラグビーW杯、釜石スタジアムの姿見える〜建設検討委で木製シートも、避難ルートの素案は3方向

メーンスタンドのイメージ模型と木製シートのサンプルに見入る委員ら参加者

メーンスタンドのイメージ模型と木製シートのサンプルに見入る委員ら参加者

 

 2019年ラグビーワールド杯の会場となる「釜石鵜住居復興スタジアム」(仮称)の第2回建設検討委員会(小泉嘉明委員長、12委員)は2日、市役所で開かれ、基盤整備や実施設計の進ちょく状況、観客らの避難誘導計画、今後の整備日程が示され、委員、アドバイザーが意見交換した。メーンスタンドのデザイン模型が持ち込まれ、委員らは完成時のイメージを高めた。

 

 野田武則市長は「1万6千人から2万人の観客と、住民の避難行動が最大の懸案事項になる。国体が終了し、ワールド杯に専念したい」とあいさつした。

 

 同検討委員会は5月の初会合以来の開催。事務局がメーングラウンド、サブグラウンド、スタンドなど主要施設の整備計画を確認。大会を運営するW杯リミテッド(RWCL)の要求(メーンスタンドのひさしの拡充など7項目)と、対応案を示した。スタジアムに通じる観客、選手、スタッフの動線も提示。芝の準備では、9パターンを育成試験している。

 

 スタジアムとメーンスタンドのデザインは釜石の復興や、根浜・海につながる「はばたき、帆船」のイメージという。

 

 スタンドの常設6千席のシートに、木製のサンプルが持ち込まれた。地元産のスギ間伐材(合成材)を使い、サイズは幅と奥行きとも42センチ、背もたれの高さ24センチ。基盤に設置した時に金具で固定、強度を高める。座る部分は緩い凹面(おうめん)に加工した。防腐剤を塗布し、汚れへの耐性処理を加えると、7年ほどもつという。劣化したパーツ、1個全部の交換にも対応し、維持管理が容易になる―とした。

 

 アドバイザーからは、「木造建築は世界的に見直されている。木のぬくもりは、釜石らしさのアピールになる」など、好意的な見解が語られた。

 

 避難場所は標高20メートル以上を基準に、スタジアムからのルートは▽鎧坂(よろいざか)橋から、高台に建設中の学校まで▽東日本大震災時に児童・生徒が住民と共に避難した国道45号恋の峠まで▽南の林道を登り、建設中の箱崎半島線へ―の3方向を想定している。いずれも1キロから2キロの距離がある。

 

 検討課題は、シミュレーションすべき避難者が▽通常200人▽イベント6千人▽ワールド杯1万6千人―の規模別に3パターンが必要。「心理的な安心感を付与する目的で、山側避難路を整備する」などを挙げた。

 

 なお、当初事業費約31億9800万円はRWCLの要求を受け、増額が見込まれる。

 

(復興釜石新聞 2016年12月7日発行 第544号より)

 

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いわて国体で活躍した選手たち。野田市長に喜びを報告した

国体成果「スポーツのまち」に〜釜石の選手ら結果報告、感謝の気持ち 今後の活動へ

いわて国体で活躍した選手たち。野田市長に喜びを報告した

いわて国体で活躍した選手たち。野田市長に喜びを報告した

 

 第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」、第16回全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」で活躍した釜石市在住の選手らが21日、野田武則市長を訪ね、結果を報告した。県内開催の大会ということもあり、「県選手への声援は一段と大きかった」と感謝する選手ら。「釜石をスポーツのまちに」と今後の活動への意欲も伝えた。

 

 市役所を訪れたのは弓道、ラグビー、空手道、なぎなた、水泳競技に出場した選手7人と監督ら競技団体関係者。空手道成年男子組手個人軽量級で準優勝した北山到さん(美容師)は、準決勝でけがをして決勝に出ることができず悔しさをにじませながらも、「いい経験ができた」と振り返った。同少年女子形で4位に入賞した野田有彩さん(釜石高3年)は「初めての国体。強い選手が多い中で結果を残せて良かった」と笑顔。同成年女子形で5位入賞の川向七瀬さん(市体育協会)は「今後も選手として頑張りながら後輩の指導にも力を入れたい」と意気込みを話した。

 

 なぎなたは3人一組で競技が行われ、岩崎彩さん(釜石商工高教員)は成年女子試合で4位、同演技で5位に入賞。「来年はもっと上位を目指す」と力を込めた。同少年女子試合に出場し7位に入った千葉桃香さん(釜石商工高3年)は「今までやってきた力を出し切った」と充実した表情を見せた。

 

 5回目の国体出場となった菊池ひかりさん(市地域福祉課)は、弓道成年女子近的(3人一組)で堂々の3位。間近に感じた大応援に感謝し、「今回が締めくくり。今後は自分の弓を見つめ直したい」と思いを口にした。

 

 地元釜石での開催となったラグビーは、釜石シーウェイブス(SW)を主体として臨んだ成年男子(7人制)が6位に入賞。釜石SWの桜庭吉彦ゼネラル・マネジャーは「会場に詰めかけた小中高生らの応援から勇気をもらってプレーできた。2019年ラグビーワールドカップの機運醸成に取り組みたい」と意欲を語った。

 

 村田奈々さん(市教育委員会)は水泳肢体不自由者女子1部25メートル自由形、50メートル自由形の2種目で自身が持つ大会記録を更新し、3年連続2冠を果たした。周囲の人の支えで競技を続けられることに感謝し、「自信につながる試合ができた。これからも体を整え頑張りたい」と前を向いた。

 

 各競技団体の関係者からは「県下でナンバーワンの自信を持っている」「素晴らしい成績を残してもらった。この財産を生かし、『スポーツのまち釜石』を印象付けたい」などと喜びの声。野田市長は「皆さんの活躍が地域に元気を与える。スポーツの力をどんどん伝えてほしい」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2016年11月26日発行 第541号より)

 

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後半6分、釜石のフッカー中村彰が右隅にトライ(ゴール)し21ー12とする

釜石シーウェイブス、来季新リーグ参入へ挑戦権獲得〜ヤクルト破り3位以内確定

後半6分、釜石のフッカー中村彰が右隅にトライ(ゴール)し21ー12とする

後半6分、釜石のフッカー中村彰が右隅にトライ(ゴール)し21ー12とする=東京・秩父宮ラグビー場

 

 ラグビートップイーストリーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは19日、東京・秩父宮ラグビー場で行われたリーグ最終戦でヤクルトを28―24(前半14―12)で振り切り、辛くも競り勝った。釜石は7勝2敗(勝ち点32)とし、来年度から新設されるトップチャレンジ(TC)リーグ進出につながる3位以内を確定。暫定2位で並ぶ日野自動車が残す最終戦の結果次第では今季のトップリーグ(TL)昇格につながる可能性もあるが、3位となるのが濃厚だ。「まずは勝てて良かった。次のステージへ進める」と三浦健博ヘッドコーチ(HC)。新リーグ参入を懸け、トップイースト、トップウエスト、トップキュウシュウ3地域リーグの3位同士で争う来月の参入マッチへ向けて気持ちを切り替えた。

 

ラグビートップイースト最終戦

 

 最終戦にふさわしい、逆転また逆転の激しい攻防となった。

 

 釜石は前半13分、WTB小野航大のトライ(ゴール)で先制。その後、2トライを許して逆転されるが、40分、相手ゴール前のモールを押し込みナンバー8須田康夫主将がトライ(ゴール)を決め14―12で折り返した。

 

 後半は1トライずつ取り合ったあと、26分、ゴール前のスクラムからバックスがつなぎ、最後はFB村井佑太朗が右隅にトライ(ゴール)を決め28―17とリードを広げる。その後1トライ(ゴール)を返され、1トライで逆転される4点差に迫られたが、辛くも逃げ切った。

 

 「相手のヤクルトも最終戦。難しい試合だった」と三浦HC。4点差に迫られた最後の10分間は、猛攻を粘りの守りでしのぎ切った。

 

 前半、モールから会心のトライを決めた須田主将は「ラインアウトが安定していたし、コンタクトエリアでも勝っていた」と勝因を挙げる。”大一番”の三菱重工相模原戦に敗れはしたものの、守りの面で自信をつかみ最終戦に臨めたという。

 

 4連戦となったリーグ終盤の最後の試合。けが人が相次ぐなど苦しい状況の中、3試合ぶりに復帰したSOジョー・ピーターセンが4本のゴールキックすべてを決め、チームを救った。

 

 この試合に負けるとトップチャレンジ参入マッチへの進出も危うくなる、がけっぷちに立たされていた。三浦HCは「これで前を向ける」と胸をなで下ろした。

 

TCリーグへ参入マッチ

 

 来季からトップリーグの下部リーグとして新設されるトップチャレンジリーグに入るのは、トップイースト1部、トップウエストA、トップキュウシュウAの2位までと、3位同士による総当たり戦の上位2位までを加えた8チーム。3位同士で争う参入マッチに進むのが濃厚の釜石は、12月3日にキュウシュウ3位と埼玉県熊谷ラグビー場で、同11日にはウエスト3位と大阪・鶴見緑地で対戦すると見込まれる。

 

村井、次へ進む決勝トライ

 

後半26分、釜石FB村井佑太朗が右隅にトライ(ゴール)を決め28ー17と引き離す

後半26分、釜石FB村井佑太朗が右隅にトライ(ゴール)を決め28ー17と引き離す

 

 「取れて良かった」。結果的に決勝点となるトライを決めたFB村井祐太朗(24)はホッとした表情。その後の10分間は「ハラハラ、ドキドキ」しながらも、細身の体を張って猛攻をしのぎ切った。

 

 入団3年目の今季リーグ戦では全試合に先発出場。外国人選手との兼ね合いで、本来のFBではなくWTBに回るケースも多かった。

 

 クールに見られがちだが、胸の中には熱いものを秘め、精神的にも大きく成長。バックスリーダーとしてチームをけん引する。

 

(復興釜石新聞 2016年11月23日発行 第540号より)

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復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

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前半22分、CTBトロケがトライ(ゴール)を決め21ー10と引き離

釜石 望みつなぐ6勝目、横河に61-18〜重圧はねのけ 9トライ猛攻、ラグビートップイーストリーグ

前半22分、CTBトロケがトライ(ゴール)を決め21ー10と引き離

前半22分、CTBトロケがトライ(ゴール)を決め21ー10と引き離す

 

 ラグビートップイーストリーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは5日、福島県いわき市のいわきグリーンフィールドで横河武蔵野と対戦し、61―18(前半21―10)で大勝。6勝1敗(勝ち点28)とし、トップリーグ昇格につながるトップチャレンジ進出へ望みをつないだ。釜石が残す試合はあと2つ。次戦は13日、全勝で首位を走る強敵、三菱重工相模原と北上市の北上総合運動公園で対戦する。

 

 前節で日野自動車に敗れ、1試合も落とせない厳しい状況に追い込まれた釜石。チャレンジ進出へ、ボーナス点を含む「勝ち点5」がノルマとされる重圧のためか、序盤は動きが硬かった。

 

 0―10とリードを許した29分、FBジェームス・カマナのトライで反撃開始。その直後、「バチーン」と大きな音がする、フッカー中村彰の強烈なタックルが釜石フィフティーンの目を覚ました。

 

 36分、FWが押し込んで認定トライを奪い14―10と逆転。その後、中央のラックから展開したCTBマイケル・バー・トロケが右中間にトライを決め、21―10とリードを広げる。

 

 勢いづいた後半はFW、バックスが一体となり6トライを奪う猛攻。横河を1トライに抑えて圧勝した。

 

 前節の試合で負傷した須田康夫主将と司令塔ジョー・ピーターセンが戦列から離れるなど苦境が続く中で飛び出した、中村の火の出るようなタックル。「これで流れに乗れるかな」と手ごたえを感じたと言うが、「(スタンドの大歓声は)夢中で聞こえなかった」と照れた。

 

 「どうしても勝ち点5を取らなければいけない試合。取れて良かった」と三浦健博ヘッドコーチ(HC)は胸をなで下した。次の相手はトップを走る三菱重工相模原。三浦HCは「決して勝てない相手ではない。しっかり守り、リアクションを速くすればチャンスはある」と策を練る。中村も「これまでやってきたことをすべて出したい」と静かに闘志を燃やす。

 

小野航大、古里いわきで躍動

 

 須田主将に代わってゲームキャプテンを務めたWTB小野航大(26)が鮮やかに2トライを決め勝利に貢献、古里いわき市のファンを沸かせた。競技場にほど近い同市勿来町の出身。スタンドには両親や磐城高時代の友人らも詰め掛け、縦横自在に駆け回る小野に盛んな声援を送った。「(福島も)震災があったので、自分のプレーで少しでも元気になってもらえれば」と小野。難敵の三菱重工相模原と当たる次の”大一番”へ向け、「相手が嫌がるよう、しっかりと守備でプレッシャーをかけていきたい」と準備する。

 

古里いわき市のファンの前で躍動した小野

古里いわき市のファンの前で躍動した小野

 

(復興釜石新聞 2016年11月9日発行 第536号より)

復興釜石新聞

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参加した810人が完走した第7回仙人峠マラソン、峠コースのスタート=10月30日午前10時

復興への峠を駆け上がれ、仙人マラソン810人完走〜北海道から四国までランナー集う、老若男女 紅葉路ひた走る

参加した810人が完走した第7回仙人峠マラソン、峠コースのスタート=10月30日午前10時

参加した810人が完走した第7回仙人峠マラソン、峠コースのスタート=10月30日午前10時

 

 「復興への峠を駆け上がれ」をキャッチフレーズに、第7回かまいし仙人峠マラソン大会(実行委主催)は10月30日、釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所を発着点とする2コースで行われた。大会にはエントリーした917人のうち810人が参加。冬の到来間近を告げる寒風が吹き付ける中、国道283号仙人トンネルまでを往復する峠コース(17・2キロ)で511人(男性459人、女性52人)、甲子町大松地区で折り返す10キロコースでは299人(男性239人、女性60人)が色づいた紅葉をバックにひた走り、全員がゴールまで完走した。

 

 開会式では、最も遠方から参加した高知市の会社員、海地功さん(57)が「すばらしい紅葉を楽しみながら、無理をせず、諦めないで完走したい」と選手宣誓。午前10時に峠コース、10分後には10キロコースのランナーが一斉に仙人峠路に飛び出した。

 

「無理をせず諦めないで」と選手宣誓する海地さん

「無理をせず諦めないで」と選手宣誓する海地さん

 

 ここから坂道が急になる峠コースの10キロ地点。甲子町の桝沢弥生さん(38)と大輝君(6)、中妻町の前川奈津江さん(45)と航紳君(双葉小2年)親子は、同級生同士で仲良く力走する夫、桝沢俊行さん(39)と前川靖展さん(39)に「がんばれー」と大きな声でエールを送った。2人はいずれも、ゴール地点に回って待っていた息子と手をつなぎながらゴールイン。親子で完走の喜びを味わった。

 

峠コース10キロ地点で声援を送る家族ら

峠コース10キロ地点で声援を送る家族ら

 

 ゲストランナーには、1991年の東京国際マラソンなどで優勝した谷川真理さんと、谷川さんの教え子で今年の北海道マラソンを制した吉田香織さんが参加。沿道に詰めかけた多くの市民の声援に応え、手を振りながら、さわやかな笑顔で峠路を駆け抜けた。

 

「最高の気分」と手を振りながらゴールに入る谷川真理さん

「最高の気分」と手を振りながらゴールに入る谷川真理さん

 

 大会は、主会場の旧鉱山事務所の改修工事のため昨年は中止され、2年ぶりの開催。1年のブランクはあったものの、今回も北は北海道から南は四国まで全国からランナーが集った。選手への給水係など、甲子中生35人、甲子地区の住民70人を含む約350人がボランティアとして大会を支えた。

 

10分遅れでスタートした10キロコースのランナー

10分遅れでスタートした10キロコースのランナー

 

 大会を主管する釜石市体育協会の下村恵寿事務局長は「昨年は中止せざるを得なかったが、大会を再開してほしいとの連絡を全国からいただき感激した。復興はまだ道半ば。被災地を勇気づける大会を今後も継続したい」と意を新たにしていた。

 

峠コースの10キロ地点。ここから仙人トンネルに向け、さらに坂道が急になる

峠コースの10キロ地点。ここから仙人トンネルに向け、さらに坂道が急になる

 

ゲスト谷川真里さん「鳥になった気分」

 

 「チョー、気持ち良かった。峠道はそこそこきつかったけど、山々の紅葉がすばらしく、最後は鳥になった気持ちで走れました」と谷川真理さん。10キロコースのみの参加を予定していたが、気分が乗ったのか、結局17・2キロの峠コースを完走した。

 

 第3回大会にゲストランナーとして参加し、今夏のリオデジャネイロ五輪のマラソンにも出場したタレント猫ひろしさんの推薦を受け、無償でゲストランナーを引き受けたという。 「猫さんが『すばらしい大会』と言っていた意味が分かりました。地元の人たちの温かさが伝わってきて」と谷川さん。

 

「復興のお役に立てれば」富士フィルター工業 韓国の合併会社も

 

 東京都中央区の富士フィルター工業(汐見千佳社長)からは、韓国蔚山市にある合弁会社の社員7人を含む男女21人がエントリー。峠コースの17・2キロを全員完走した。

 

韓国の合弁会社を含め21人が参加した富士フィルター工業のメンバー

韓国の合弁会社を含め21人が参加した富士フィルター工業のメンバー

 

 トライアスロンを趣味にする汐見社長(44)と、釜石で「菜の花プロジェクト」を立ち上げ復興支援活動に取り組む山田周生さんとのつながりから、3大会前から仙人峠マラソンに会社ぐるみで参加。汐見社長は40歳以上女子の部でこれまで2位、6位と上位に入り、今回も4位に食い込んだ。

 

かわいい甲子柿の帽子をかぶり、笑顔でゴールに入る女子ランナー

かわいい甲子柿の帽子をかぶり、笑顔でゴールに入る女子ランナー

 

 「製造しているフィルターで直接お手伝いはできないが、被災地で買い物をし、こうして走ることで復興のお役に立てば」と汐見社長。今後も毎年、同大会への参加を続けたいという。

 

 韓国事業所のI・Bシム社長(53)は「韓国で地震はめったになく、宿泊するホテルの2階まで津波が来たと聞き驚いた。被災地をテレビと見るのと、実際に見るのとでは随分と違う」と認識を新たにしていた。

 

(復興釜石新聞 2016年11月2日発行 第534号より)

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9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン

東北社会人サッカーリーグ 新日鉄住金釜石、1部復帰決定〜終了間際、花巻に逆転勝ち

9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン

9季ぶりの1部復帰を職場の仲間や家族らとともに喜ぶ新日鉄住金釜石イレブン

 

 10チームで争う東北社会人サッカーリーグ2部北ブロックの新日鉄住金釜石は23日、釜石市球技場で花巻フットボールクラブ(花巻市)と対戦し、2―1で劇的な逆転勝ち。通算成績を15勝2敗(勝ち点45)とし、最終戦を残して悲願の1部昇格を決めた。2007年度に2部に転落して以来、9季ぶりに1部へ復帰する。松岡新也監督は今季を振り返り、「チャンピオンにふさわしい戦いができた。誇りを持って1部に行ける」と胸を張った。

 

 釜石は試合終了間際、MF板澤優介のフリーキックをMF大田代飛鳥が頭で押し込み、劇的な逆転勝利を決めた。釜石イレブンはスタンドで盛んな声援を送り続けた職場の仲間や家族らのもとに駆け寄り、歓喜のバンザイ。長い低迷期を経て、やっと実現する1部復帰に沸いた。

 

 まさかの展開だった。前半30分、相手ゴールまで攻め上がったDF浦田祐輔がキーパーチャージで一発退場。1人少ない苦しい状況の中で後半20分、花巻に先制点を許す。

 

 この窮地を救ったのは、主将としてチームを引っ張ってきたFW簗場海史。後半30分、MF松井宏樹のシュートがこぼれたところを強引にゴールに押し込み同点。大田代の決勝ゴールにつなげた。

 

キャプテンシーを発揮し、チームを1部昇格に導いた簗場海史

キャプテンシーを発揮し、チームを1部昇格に導いた簗場海史

 

 「ホーム(グラウンド)で1部昇格を決めたかった。(決勝点を)決められて良かった」。FC釜石でサッカーを始め、遠野高、東海大と進み釜石に入団して2年目。大田代は地元ファンの歓声に包まれ、照れ臭そうに喜びをかみしめた。

 

 大田代はこれで今季11得点。ランキングではリーグ3位に付ける。「今季のMVPはメンバー全員」と松岡監督は言うものの、「飛鳥には楽をさせてもらっている」と大田代の献身的なプレーを高く評価する。

 

 苦しい試合展開の中でも、松岡監督は冷静に戦況を見つめていた。「ボールを奪ったあとの攻撃の質の高さ。連動した守備もできるようになっている」。コツコツと積み上げてきた自信が揺らぐことはなかった。

 

 松岡監督は「最近は毎年、新人を採用してもらっている」と、会社(新日鉄住金釜石)のバックアップにも感謝する。仕事の関係で、平日の練習に参加できるのは相変わらずメンバーの半分にも満たない。この日も主力の3人を欠くなど苦しい状況に変わりはないが、「スーパーサブが次々と出てきて、総合力が落ちることはなかった」と今季の充実ぶりを振り返る。

 

 東北社会人サッカー1部リーグ10チームのうち3チームは岩手にホームを置き、来季はこれに釜石が加わる。「ウチの今の実力からすれば1部でも上位に行ける。2、3位を目標にしたい」。松岡監督はもう来季の戦いを見据えている。

 

キャプテン簗場 あわてず同点弾

 

 「最高ですね」。黄色のキャプテンマークを腕に巻いた簗場海史(26)は1部昇格の喜びにひたった。レッドカードを食らいメンバーが1人少ない苦しい状況の中でもあわてず、「全然いける」と最後まで集中を切らさなかった。

 

 主将を任されて2季目。内側じん帯を傷め、シーズン途中でチームを離脱したが1カ月で復帰。膝をテープで補強し、痛みをこらえながら、主将として最前線でチームを鼓舞し続けた。

 

 今季は6ゴールを決め、得点ランキングでは13位。アシストは5で、ランキング7位に付ける。青森県出身で、父・武見さんは釜石と同リーグで戦う七戸サッカークラブの総監督。弟の豪史(24)も兄と同じく遠野高から釜石へと進み、兄弟仲良く夢を追い続ける。

 

(復興釜石新聞 2016年10月29日発行 第533号より)

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英語で自己紹介し合う釜石とクライストチャーチの中学生

ニュージーランドー釜石、中学生交流〜ラグビーW杯へ 異文化、復興学び合う

釜石シーウェイブスのNZ出身選手から話を聞く中学生=ラグビーカフェ釜石

釜石シーウェイブスのNZ出身選手から話を聞く中学生=ラグビーカフェ釜石

 

 ニュージーランド(NZ)南島の都市、クライストチャーチの中学生6人が日本での教育体験プログラムの一環で5、6の両日、釜石市に滞在し、市内の中学生と交流を深めた。ラグビーが盛んで、2011年の大地震からの復興途上であるクライストチャーチ。両市の中学生は、互いのまちの共通点に親しみを覚えながら、異国の生活や文化、復興の現状などを学び合った。

 

 釜石を訪れたのはクライストチャーチの公立中学校、コバム、ケースブルック両校の生徒で、全員が初めての訪日。5日は、市球技場で行われた国体のラグビー競技を釜石中の生徒と一緒に応援観戦。6日は、東日本大震災で被災した大槌町の旧役場を訪れ、町民から津波の体験談などを聞いた後、釜石市の甲子、大平の両中学校で生徒と交流した。互いの学校生活について紹介し合い、書道の体験など日本文化にも触れた。

 

 6日夕方からは、NPO法人かまいしリンク(遠藤ゆりえ理事長)が主催する市内の中・高校生との交流会に臨んだ。会には、釜石シーウェイブスRFCに所属するNZ出身の3選手も招かれた。このうち、ダラス・タタナ選手(25)はケースブルック中の卒業生。3人は釜石でプレーすることになった経緯や異国でのコミュニケーションなどさまざまな質問に答え、中学生の夢を膨らませた。

 

 ラグビー経験があるケースブルック中のベンジャミン・イングリッシュ君(12)は「釜石がこんなにラグビーが盛んだとは。NZの選手が活躍していることにも驚いた。自分は今、バスケットボールをやっているが、海外でやってみたくなった」と刺激を受けた様子。

 

英語で自己紹介し合う釜石とクライストチャーチの中学生

英語で自己紹介し合う釜石とクライストチャーチの中学生

 

 クライストチャーチの生徒のホームステイ先に協力した大平中3年の佐々木桜子さんは「英語で話ができるか心配だったが、コミュニケーションがとれて良かった。お互い復興途中で大変だけど共に頑張っていけたら。3年後のラグビーW杯にはいろいろな国の人が来るので、たくさん交流したい」と気持ちを高めた。

 

 釜石市は次世代を担う人材育成を目的に、2012年度から市内の中学生をNZに派遣する事業を実施。現地の受け入れをサポートするキウィ・ジェイ・アナ社(クライストチャーチ)が今回の訪日プログラムを提供している。同社の及川孝信代表(盛岡市出身)は「ラグビーと復興をきっかけに両市の子どもたちがさらに交流を深められれば。NZは地方分権国家なので、復興も国ではなく地域が主導している。日本とは全く違う仕組み。そうした部分も、交流を通じて学び合ってほしい」と期待した。

 

 NZの公立学校では世界中から多くの留学生を受け入れているほか、学生たちを広く海外に連れていくことで、真の世界観の醸成を目指している。今回は釜石、盛岡のほか東京や長野を訪れるプログラムで、1日から13日までの日程で、日本の文化、生活、自然などに触れながら理解を深める。

 

 コバム中のライバ・カーンさん(12)は釜石の風土について「小さなまちだが、落ち着いた雰囲気がいい。住民はちょっとシャイだが、とてもやさしい」と好印象。最も心に残ったのは震災のことで、「津波の真実を聞き、とても悲しかった。現地に来て復興へ歩む姿を目の当たりにし、希望が感じられた」と実感を語った。

 

(復興釜石新聞 2016年10月12日発行 第528号より)

 

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