車両の冬への備えを呼び掛ける広報活動=16日
高速道路の釜石自動車道(釜石―花巻間)を管理する国土交通省東北地方整備局南三陸沿岸国道事務所は、本格的な降雪シーズンを迎えるのを前に、冬タイヤ装着など早めの対策をドライバーに呼び掛ける。16日には、釜石市甲子町の「道の駅釜石仙人峠」駐車場で広報活動を行い、冬道への備えと事故防止への意識啓発を図った。
県警高速道路交通警察隊釜石分駐隊が協力し、両機関の職員6人で活動。早めの冬タイヤ装着、積雪時のタイヤチェーン装着などを呼び掛けるチラシと、県内高速道路の冬の事故発生状況や走行時の注意点を記したチラシ(県警作成)をドライバーに配り、凍結や積雪対策、安全運転意識のさらなる高揚を促した。
広報活動は道の駅釜石仙人峠駐車場で行われた(一部画像処理)
「タイヤ交換はお済みですか?」装着タイヤを確認する職員
ドライバーにチラシを手渡し、早めの冬タイヤ装着、安全運転などを呼び掛けた
チラシには県内の主な峠道で過去5年に最も早く初雪が観測された日を記載。釜石―花巻間では、釜石道花巻付近で11月19日、国道283号仙人峠では11月24日に観測されている。他にも、雪道での立ち往生対策としてスコップや携帯トイレ、毛布などの装備、大雪予想時は出控えや予定変更で危険を回避することも呼び掛けている。
釜石道の冬季の事故は釜石仙人峠インターチェンジ(IC)―滝観洞IC間で多発。凍結路面でのスリップ(滑走)事故が多いという。同区間にはトンネルや橋が複数あり、日陰が多いため、路面が凍結すると解けにくい状況がある。特にも注意を促すのが洞泉橋。高い橋の下を風が通り抜け、路面が冷えるため、凍った状態が長く続くという。釜石分駐隊の菅原聖人隊長は「気温が低いと融雪剤も効きにくい。冬タイヤだからと過信せず、“ふんわりアクセル、ブレーキ”で安全運転を心がけてほしい」と話す。
雪道運転の注意点なども説明。お茶とティッシュも配った
昨季(2022年11月~23年3月)の釜石道での交通事故は49件発生(釜石分駐隊調べ)。いずれも物損事故で負傷者はいなかったが、直近では22年2月に、樺トンネル(花巻市)内で滑走による死亡事故があり、1人が亡くなっている。
同事務所によると、釜石道では昨季、仙人峠で最大29センチの積雪を観測。定められた基準に基づき除雪は行われるが、山間部では短時間で多量の降雪に見舞われる場合もあり、事前の道路情報の入手や十分に注意した走行が必要。また、同隊によると、釜石道では季節を問わず宮守IC―東和IC間での事故が多く、ドライバーにこまめな休憩も呼び掛けている。
「万全な冬道対策で交通事故回避を!」安全走行を呼び掛ける国、警察職員ら