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秋の全国交通安全運動スタート 県内死亡事故多発注意報発令中 法令順守、マナー向上を

交通安全を呼びかける釜石市国際外語大学校の学生=19日、マイヤ釜石店前

交通安全を呼びかける釜石市国際外語大学校の学生=19日、マイヤ釜石店前

 
 秋の全国交通安全運動が21日から始まった。本県では8月から死亡事故が多発し、県警は「交通死亡事故多発注意報」を発令中。ドライバー、歩行者ともにより一層の事故防止意識が求められる。運動スタートを前に釜石市では19日、交通安全関係団体や警察などによる街頭指導が行われた。30日までの運動期間中、啓発活動が続けられる。
 
 19日は街頭活動に先立ち、鈴子町で出発式が行われ、関係者122人が集まった。釜石市交通安全対策協議会(会長・小野共市長)の菊地敏文副会長(県自家用自動車協会釜石支部長)が会長のあいさつを代読。「県内では8月7日から9月1日までの26日間で、11人が交通事故で亡くなっている。釜石市では本日までの758日間、死亡事故は発生していないが、1千人あたりの飲酒運転検挙人数が県内ワースト3と、いつ死亡事故が発生してもおかしくない状況」と説明し、交通事故撲滅に向けた活動への協力を呼びかけた。
 
 日本製鉄釜石交通安全推進会(高瀬賢二会長)が住民の交通安全意識向上、事故の未然防止を願い、同協議会に交通安全物品を贈呈。外舘康治副会長が目録を読み上げ、現物が紹介された。寄贈されたのは▽横断幕▽のぼり旗3種(各100本)▽横断旗200本。同推進会は同社と構内企業など関係各社の従業員らで組織され、会予算から費用を拠出した。横断幕は鈴子町内の十字路交差点に掲示、のぼり旗と横断旗は市内で活用される。
 
「秋の全国交通安全運動」街頭啓発活動の出発式=鈴子町

「秋の全国交通安全運動」街頭啓発活動の出発式=鈴子町

 
日本製鉄釜石交通安全推進会から市交通安全対策協議会に横断幕、のぼり旗、横断旗が寄贈された

日本製鉄釜石交通安全推進会から市交通安全対策協議会に横断幕、のぼり旗、横断旗が寄贈された

 
交通安全宣言を行う釜石市国際外語大学校日本語学科2年の(左から)カトワル スザンさん、ティアヤット ミナさん、シャヒ ドゥルガーさん

交通安全宣言を行う釜石市国際外語大学校日本語学科2年の(左から)カトワル スザンさん、ティアヤット ミナさん、シャヒ ドゥルガーさん

 
 この日の活動には、釜石市国際外語大学校日本語学科の2年生16人も参加した。代表の3人が交通安全宣言。交通ルールの順守や自転車のヘルメット着用など3点について宣誓し、「安全を第一に考えた行動ができるよう、お互いに声をかけ合い、支え合っていく」と決意を示した。同校の外国人学生は全員が自転車通学。入学時に警察の交通安全講習を受け、教職員らによる日常的な指導も行われている。
 
 参加者は銀行やスーパーなど4施設の入り口で、運動のチラシや夜光反射材などの啓発物品を配布。国道283号沿いではハンドポップやのぼり旗を掲げ、ドライバーに安全運転を呼びかけた。本運動のスローガンは「反射材 わたしとかがやく 夜の道」。これから冬にかけて日没が早まり、視野がとりづらい状況となるため、歩行者の反射材着用、車ライトの早め点灯、自転車利用時のヘルメット着用―など事故防止への意識的な行動を呼びかける。
 
ネパール出身学生が日本語で「交通安全お願いします!」と声をかけながら啓発物品を配布した

ネパール出身学生が日本語で「交通安全お願いします!」と声をかけながら啓発物品を配布した

 
国道283号沿道ではハンドポップを使ってドライバーに安全運転を促した

国道283号沿道ではハンドポップを使ってドライバーに安全運転を促した

 
日本製鉄釜石交通安全推進会寄贈の「のぼり旗」もさっそく活躍!

日本製鉄釜石交通安全推進会寄贈の「のぼり旗」もさっそく活躍!

 
 釜石警察署によると、本年1月から8月末までの釜石市の交通事故発生件数は人身事故が6件(負傷者8人、前年同期比4件減)、物損事故は283件(同比33件減)。物損事故は駐車場の壁や縁石にぶつかるといった単独事故やシカとの衝突事故が多いという。
 

“かわいい”反射材で事故防止を! 小佐野交番員が今年も手作り デザイン5種「どれつける?」

 
「今年も作りました!」 手作りの反射材キーホルダーと地域安全血圧手帳をPRする小佐野交番の矢神海輝巡査

「今年も作りました!」 手作りの反射材キーホルダーと地域安全血圧手帳をPRする小佐野交番の矢神海輝巡査

 
 釜石警察署小佐野交番(川野正行所長)は秋の全国交通安全運動に合わせ、オリジナルの「反射材キーホルダー」を手作り。希望する住民に配布している。小佐野交番連絡協議会(多田慶三会長、32人)が協力する昨年に続く取り組みで、今年はデザインを5種に増やすなどバージョンアップ。「楽しくつけて事故防止を!」と幅広い世代の活用を呼びかける。
 
 反射材キーホルダーは同交番勤務の署員4人で作成。市販の反射テープに警察庁の広報用キャラクターなどをプリントした絵柄を貼り付け、ラミネートフィルムで加工している。今年は「ここにいる!いつでもピカッと反射材」「暗い道 命を守る反射材」などの交通安全標語も加え、署員それぞれの独創性あふれるデザインに仕上がっている。現在までに約150個を作成。最終的に200個を目指す。
 
楽しいデザインが目を引く反射材キーホルダー。小佐野交番で配布する<

楽しいデザインが目を引く反射材キーホルダー。小佐野交番で配布する

 
 同交番勤務2年目の矢神海輝巡査(21)は「ユーモアも交え、親しみを持ってつけてもらえるよう工夫した」と太鼓判。反射材の視覚効果は大きい。「少しの光でも“ピカッ”とすれば、ドライバーも『人がいるのでは』と注視し、事故防止につながっていく」と話す。
 
 同交番で配布するほか、管内の公民館や集会所で開催される「百歳体操」や「お茶っこの会」の参加者にも配る予定。同交番では、交通安全や防犯に関わる標語が記された地域安全血圧手帳も作成していて、2025年度版もお目見え。反射材キーホルダーと合わせ、自分の身を守る一助としてほしいと願う。両グッズについての問い合わせは小佐野交番(電話0193・23・5149)へ。
 

高齢者ら 最新の「サポートカー」を体験 認知機能診断で安全意識向上も

 
釜石警察署で開かれたサポカー体験会=19日

釜石警察署で開かれたサポカー体験会=19日

 
 釜石警察署(松本一夫署長)は19日、秋の全国交通安全運動の取り組みの一環として、サポートカー(通称サポカー)体験会を同署で開いた。高齢運転者が交通事故の当事者となるケースが増える中、事故の危険性を再認識し、事故防止への意識を高めてもらおうと開催され、約40人が参加した。
 
 スバル東北岩手営業部釜石松倉店が協力。最先端の運転支援システムを搭載した新型「フォレスター」(4月発売)を持ち込み、自動でブレーキがかかる機能を体感してもらった。搭載の義務化が進む自動ブレーキは、カメラやレーダーが前方の車や歩行者を検知し、衝突の危険がある場合に音やランプでブレーキ操作を警告。操作がない場合に自動でブレーキを作動させ、衝突回避や被害軽減を図るもの。体験会では前方に立てたマットを先行車に見立てて時速6キロで走行。ドライバーがブレーキ操作をせずに進み、マットとの衝突を避ける状況を、助手席や後部座席に乗って体験した。体験者は自動でブレーキがかかり、衝突を回避する機能に感心しつつ、「6キロでもけっこうな衝撃」「後部座席もシートベルトは必須」などと話し、ドライバーが早めに危険を察知し、適切なブレーキ操作をする大切さを実感していた。
 
自動でブレーキがかかる機能を体験し、驚きの声を上げる参加者。衝突の危険を検知すると音やランプで警告する(写真左上)

自動でブレーキがかかる機能を体験し、驚きの声を上げる参加者。衝突の危険を検知すると音やランプで警告する(写真左上)

 
先行車に見立てたマットの約1メートル手前で止まり、衝突を回避

先行車に見立てたマットの約1メートル手前で止まり、衝突を回避

 
 甲子町の78歳男性は「いざという時に身を守る助けにはなるので、安心して乗れるのかな。運転サポートの面では有効なんだろう」と感想。それでも事故防止は「スピードを出し過ぎず、車間距離を十分に取って走ることが基本。後期高齢者なのでその辺は慎重に」と気を引き締めた。
 
 同車両には、衝突時に歩行者や自転車利用者を保護するためにフロントガラス外側に展開するエアバッグ、事故発生や体調不良などの緊急時に同社のオペレーターとつながるSOSボタンなどの装備もあり、参加者は最新システムに驚きながら説明に聞き入った。
 
写真上:認知機能の簡易診断を受ける参加者 同下:頭と体を同時に動かす「コグニサイズ」に挑戦

写真上:認知機能の簡易診断を受ける参加者 同下:頭と体を同時に動かす「コグニサイズ」に挑戦

 
 この他、損害保険ジャパン岩手支店の協力で、運転に必要な認知機能の簡易診断、同機能を維持・向上させるのに有効な頭と体の同時運動「コグニサイズ」の体験も行われた。唐丹町の77歳女性は「自分ではまだ運転は大丈夫と思っているが、年とともに認知機能の衰えは避けられない。十分な注意を怠らずに運転したい」と話した。

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迷わず助けて!消防大好き小学生4人「一日救急隊長」 学んだ救命法、伝える

救急医療への理解を深めてもらおうと開かれたイベント

救急医療への理解を深めてもらおうと開かれたイベント

 
 消防が大好きな小学生4人が7日、釜石消防署の「一日救急隊長」を務めた。釜石市港町のイオンタウン釜石で開かれた応急手当の普及などが目的のイベント「救急ひろば」で、胸骨圧迫や自動体外式除細動器(AED)の実演などをした。「倒れている人がいたら迷わず助けて」。そんな思いを胸に抱きながら、買い物客らに「やってみて」と促した。
 
 イベントは「救急の日」(9月9日)、「救急医療週間」(2025年度は7―13日)にちなんだもの。市民らの救急業務への理解促進に一役買ってもらおうと、小佐野小の濱田遥可さんと佐藤碧さん、鵜住居小の戸張藍さんと佐々木結萌さん(いずれも5年生)を一日救急隊長に任命した。8月にあった消防体験学習で熱心に活動する様子が釜石消防署員の目にとまり、起用された。
 
イベントを前に小佐野、鵜住居の各小学校で任命式が行われた(撮影・釜石消防署)

イベントを前に小佐野、鵜住居の各小学校で任命式が行われた(撮影・釜石消防署)

 
 消防、レスキュー、救急隊員の制服姿の4人は、親子連れらに声をかけ、救助に関するクイズを解いてもらった。人形を使った胸骨圧迫や訓練用のAED操作体験も呼びかけ。「倒れている人がいたら、胸やおなかが動いているかを見る」「周りに人がいたら協力を求めて。人数は多い方がいい」「胸骨圧迫はけっこう力がいる。腕を伸ばして、しっかり押す」「心肺蘇生は救急車を待っている間、ずっと続ける」などと、事前学習で覚えたことを伝えた。
 
救急医療への理解を深めてもらおうと開かれたイベント

クイズの答え合わせで解説を加える「一日救急隊長」たち(右)

 
「みんなもできるよ」。AEDの使い方を同年代の子に教えた

「みんなもできるよ」。AEDの使い方を同年代の子に教えた

 
 介護士を目指している濱田大地さん(遠野緑峰高3年)は、将来必要になるとクイズ、胸骨圧迫にも挑戦。「知らないことがいろいろあった。実際にやってみると大変さが分かるし、刺激にもなった」と、夢実現への力にした。
 
 「みんなに伝えられるか不安だったけど緊張しないでできた」と話す佐藤さん。心臓マッサージ(胸骨圧迫)のやり方、AEDの使い方を知ってほしいと活動した。「手のひらの硬い部分をきちんと使う。押すときの深さは単三電池の長さ、5センチくらい。1秒間に2回のペースで繰り返す」。しっかりできたと胸を張る。消防が好きな理由は「車両も制服もかっこいいから」。レスキュー隊員に憧れ、「新しい知識をもっと増やしたい」と笑った。
 
救急医療を知ってもらおうと広報活動に取り組んだ

救急医療を知ってもらおうと広報活動に取り組んだ

 
 戸張さんがイベントで熱心に体験活動を促した訳は「倒れている人がいたら迷わず助けてほしいから」。いざという時に動ける人が増えてほしいと願いを込めつつ、「心肺蘇生や救命の方法を覚えたら、人を助けることができてうれしいと思うし、かっこいい」とはにかむ。将来の夢は人を助ける仕事をすることで、今、一番の志望は消防士。一日救急隊長として「勉強したことを生活に生かしたい」と表情を引き締める。さらに言葉を続ける。「AEDを開けると説明があるから迷わず使って」。
 
任務をやり遂げ頬を緩める「一日救急隊長」の小学生4人

任務をやり遂げ頬を緩める「一日救急隊長」の小学生4人

 
 同署によると、管内の救急に関する出動要請件数は年間約1500件で、平均すると1日に約4件の要請がある計算になる。救急車が119番通報を受けてから現場に到着するまでの時間は、全国平均で約10分。釜石の市街地では全国とさほど変わらないが、半島部や山間部に向かう場合はさらに時間を要する。
 
買い物客らが足を止めて体験した「救急ひろば」

買い物客らが足を止めて体験した「救急ひろば」

 
胸骨圧迫のポイントを丁寧に教える釜石消防署員

胸骨圧迫のポイントを丁寧に教える釜石消防署員

 
 心肺停止状態の人には一刻も早く、心臓の動きを回復させるための処置が必要で、近くにいる人が胸骨圧迫やAEDの操作をすることで救命率は向上する。同署救急係の木村一生係長は「応急手当によって脳の酸欠状態を解消することで、命をつなぐことができる。特別なことではないことを一人でも多くの人に感じてもらいたい。行動したら、大切な人を守るためになる。イベントが救急の輪を広げる機会になれば」と期待した。

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救急医療週間(7~13日)を小学生が防災無線で広報 7日には「一日救急隊長」としてイオンでPR

「救急医療週間」を防災行政無線で広報するための録音作業=8月23日、釜石消防署

「救急医療週間」を防災行政無線で広報するための録音作業=8月23日、釜石消防署

 
 9月9日は「救急の日」、7日から13日は「救急医療週間」として、救急業務への理解や心肺蘇生法などの応急手当ての普及を目的とした各種広報活動が行われる。釜石市では釜石消防署が防災行政無線の放送を通じて、市民への呼びかけを行うが、その声を担当するのが市内の小学生4人。7日には「一日救急隊長」として、イオンタウン釜石で広報活動に取り組む。
 
 一日救急隊長に任命されたのは小佐野小の濱田遥可さんと佐藤碧さん、鵜住居小の戸張藍さんと佐々木結萌さん(いずれも5年生)。4人は7月に行われた同市少年消防クラブの消防体験学習に参加したのが縁で同署から声がかかり、「やってみたい」と手を挙げた。
 
「一日救急隊長」を務める市内の小学生4人が防災無線の録音作業のため集まった

「一日救急隊長」を務める市内の小学生4人が防災無線の録音作業のため集まった

 
 最初の“お仕事”は声の広報。救急医療週間中に防災無線で市民に啓発するため、8月23日、同署で録音作業を行った。広報文は9日に放送する「救急の日」バージョンと7、11、13日に放送する「救急医療週間」バージョンの2種類で、近くで傷病者が出た時の応急手当てについて家族で話し合おうと呼びかけるもの。同署の木村一生救急係長から「大きな声で、ゆっくり、はっきり、気持ちを込めて」とアドバイスを受けた4人は、練習を重ねた後、録音室に入り、マイクの前で“本番”に臨んだ。
 
録音室に入り、広報文を読み上げる小学生。ちょっぴり緊張?

録音室に入り、広報文を読み上げる小学生。ちょっぴり緊張?

 
教わったポイントを意識しながら、練習の成果を発揮した

教わったポイントを意識しながら、練習の成果を発揮した

 
 録音後は、7日午前にイオンタウン釜石で開く「救急ひろば」に向けた事前学習を行った。当日は来場者に「救急クイズ」に答えてもらい、胸骨圧迫や自動体外式除細動器(AED)の使い方を体験してもらう予定。4人は自らクイズに挑戦し、答え合わせをしながら、木村係長から覚えておくべきポイントを教わった。心肺停止状態の人には一刻も早く、心臓の動きを回復させるための処置が必要で、近くにいる人が胸骨圧迫やAEDの操作をすることで救命率が向上する。4人はクイズ学習の後、訓練用のAEDを使って、操作手順を確認した。
 
木村一生救急係長(左上)からAED(左下)の役割などを学ぶ

木村一生救急係長(左上)からAED(左下)の役割などを学ぶ

 
7日の「救急ひろば」で来場者に心肺蘇生法を体験してもらうために事前学習

7日の「救急ひろば」で来場者に心肺蘇生法を体験してもらうために事前学習

 
訓練用人形を使って胸骨圧迫(心臓マッサージ)に挑戦

訓練用人形を使って胸骨圧迫(心臓マッサージ)に挑戦

 
 小佐野小の濱田遥可さんは防災無線の録音に「すごく緊張した。文章の頭の文字を意識してゆっくり話すように心がけた。出来は…90点ぐらい?」と自己評価。市内全域に自分の声が流れるのは「ちょっと恥ずかしいけど、聞くのは楽しみ」とはにかんだ。消防の仕事に興味があるといい、一日救急隊長の“任務”も楽しみにする。鵜住居小の佐々木結萌さんは「言葉が続くところが難しかった。普段、(防災無線の声を)やっている人はすごいと思った」と貴重な経験を心に刻んだ。救急ひろばでは「来てくれた人にAEDの使い方をしっかり伝えたい。自分も練習して人を助けられるようになれたら」と意欲を示した。
 
AEDの音声ガイドに従って電極パッドを人形の胸に貼り付ける

AEDの音声ガイドに従って電極パッドを人形の胸に貼り付ける

 
電気ショックの前には、傷病者に触れないよう周りの人に「離れて」と声がけする

電気ショックの前には、傷病者に触れないよう周りの人に「離れて」と声がけする

 
 4人の活動を支える木村係長は「消防が大好きな子どもたちなので、それを全面に出して元気に活動してもらえれば。AEDは誰でも操作できることを子どもたちによって伝えられたら」と期待を寄せる。
 
【救急医療週間の防災行政無線放送日程】
9月7日(日)午前9時 
9月9日(火)、11日(木)、13日(土)午前8時04分
 
【救急ひろば開設】9月7日(日)午前9時~正午 イオンタウン釜石2階アスビーファム前

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太古の地球が生んだ絶景ビーチに感激 遊んで学んで自然の両側面知るワンデイキャンプ

12回目を迎えた「海あそびワンデイキャンプ」=8月24日、箱崎半島

12回目を迎えた「海あそびワンデイキャンプ」=8月24日、箱崎半島

 
 釜石市の箱崎半島入り江の海岸で8月24日、親子で海遊びを楽しむ日帰りキャンプが行われた。地元で海に関わる活動を行う団体や漁師らでつくる、海と子どもの未来プロジェクト実行委「さんりくBLUE ADVENTURE(ブルー・アドベンチャー)」が主催。しっかりとした安全管理のもとで海に親しみ、郷土の豊かな自然や危険から身を守るすべを知ってもらおうと始められ、今年で12年目を迎える。中学生以下の子どもと保護者が対象で、今回は市内外から42人が参加した。
 
 キャンプ地の海岸には、箱崎町の白浜漁港から地元漁師が操縦するサッパ船で“上陸”。通称「小白浜」という名で地元住民に古くから親しまれてきた隠れ家的ビーチは大槌湾に面し、美しい白砂、周辺の山林と太陽光で生み出される海面の色合いが目にも鮮やかな景色を見せている。
 
三陸ジオパーク内にある箱崎白浜の絶景ビーチ“小白浜”。手付かずの自然が残る

三陸ジオパーク内にある箱崎白浜の絶景ビーチ“小白浜”。手付かずの自然が残る

 
 ウエットスーツとライフジャケットを身に着けた参加者は、海遊びの前に安全に関する説明を受けた。地震津波発生時は海に流れ込む沢伝いの斜面を駆け上がり、高台のハイキング路に迅速避難すること、人の目の届かない危険な岩場には行かないことなどを確認した。万が一のクマ出没に備えた注意喚起や追い払いの方法の実演も。この日は同イベントを初回から支える釜石ライフセービングクラブのメンバーやダイビング関係者、漁師など“海の専門家”と、大槌高の生徒などボランティアスタッフ計42人が参加者をサポートした。
 
遊びの前に緊急時の避難路やライフセーバー(右上)の役割などを説明

遊びの前に緊急時の避難路やライフセーバー(右上)の役割などを説明

 
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シュノーケリング用の道具は主催者が貸し出し

 
インストラクターから装備やパドルのこぎ方を教わり、海遊びスタート!

インストラクターから装備やパドルのこぎ方を教わり、海遊びスタート!

 
 参加者はインストラクターの手ほどきを受けながら、シーカヤックやスタンドアップパドルボード(SUP=サップ)、シュノーケリングに挑戦。海面を進む爽快感を味わったり、水中の生き物を探したりと思い思いに楽しんだ。救助や監視に使う水上オートバイに乗せてもらえる体験も。浜辺と海上で海の魅力を存分に味わった。午後からは海中転落や溺れそうになった時に取る姿勢「浮いて待て(浮き身)」の方法を学ぶ講習も行われた。
 
ボードに乗って、いざ大海原へ。ワクワク感いっぱい

ボードに乗って、いざ大海原へ。ワクワク感いっぱい

 
さまざま遊びに笑顔を輝かせる子どもら。海の気持ち良さを満喫

さまざま遊びに笑顔を輝かせる子どもら。海の気持ち良さを満喫

 
 大船渡市の熊谷裕子さん(40)、唯さん(15)親子は初めて参加。過去に溺れかけた経験から「海は苦手」という唯さんに「少しでも克服してもらえれば」と、裕子さんが誘った。カヤックや水上オートバイに乗った唯さんは「思ったよりも楽しかった。水上バイクは普段行くことのない海域まで行って、いろいろな発見があった」。深い所に足を踏み入れるのは「まだ怖い」が、美しい景色に癒やされ、夏の思い出を一つ増やした。裕子さんは「海は身近な場所。豊かな自然に触れて感じたことを心にとどめながら成長していってくれれば」と願った。
 
 奥州市の内山輝一さん(6)は「泳ぐの、楽しかった。海の色がきれい」と大喜び。姉の優綾さん(9)は「ゴーグルをつけて泳ぐと魚が見えるので、プールより楽しい。フグとかフナみたいな形の魚がいた。帰ったらママに話したい」とにっこり。父晃太さん(32)がボランティアに誘われた縁で、子ども3人も参加。釣りが好きで、海にはよく来ているという一家だが、この海岸は初めて。「いい所ですね。(岩手にも)こういう場所があることを知れて良かった」と晃太さん。楽しそうな子どもたちの姿に目を細め、「自然に身を置く体験をさせたい。今はどうしてもゲームとか動画とかに夢中になりがちなので…」と野外活動で得られる効果を期待した。
 
海にはいろいろな生き物が… 採集した魚などを見て触って観察

海にはいろいろな生き物が… 採集した魚などを見て触って観察

 
ライフジャケットを着用しているので浮くのも楽々。手足を伸ばして水に体を委ねる

ライフジャケットを着用しているので浮くのも楽々。手足を伸ばして水に体を委ねる

 
 サポートスタッフの中には首都圏からの参加者も。ダイビング仲間の誘いで初めて釜石を訪れた東京都の鈴木洋平さん(48)は、複雑に入り組んだリアス海岸特有の地形や海中の透明度、白砂の美しさに感激。東日本大震災後に進んだ“海離れ”を食い止めようと活動する地元関係者の取り組みに共感し、「自然の厳しさと楽しさ、両面を知って海で遊ぶというのは大事なこと。子どものころの自然体験の思い出が強いほど、大人になった時に日常から自然にふらっと戻れるようになる。自然を大切にしていこうという気持ちも生まれると思う」と話した。
 
ライフセーバーは海上パトロールや水上オートバイ体験の操縦に大忙し

ライフセーバーは海上パトロールや水上オートバイ体験の操縦に大忙し

 
協力団体、企業のフラッグを掲げ、記念写真に収まる参加者とスタッフら

協力団体、企業のフラッグを掲げ、記念写真に収まる参加者とスタッフら

 
 主催する実行委は2013年の設立以降、同キャンプを継続。トライアスロン競技で釜石と縁の深いマイケル・トリーズさんが震災後に立ち上げた支援組織「Tri 4 Japan(トライ・フォー・ジャパン)」が、資金の提供などで活動を支えてきた。20年からは、釜石市のふるさと納税「団体指定寄付」の対象にもなっている。

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体験でもっと身近に!消火・救助活動 釜石市少年消防クラブ 学び高める防災意識

釜石消防署員と一緒に放水を体験する小学生

釜石消防署員と一緒に放水を体験する小学生

 
 小中学生の防災意識を育てようと、釜石市少年消防クラブ(会長・小林太釜石消防署長、10校)の消防体験学習が7月26日、同市鈴子町の釜石消防署で開かれた。5回目の今回は児童15人が参加。消火や救助活動を体験しながら身の回りの防災や有事の際の対応について理解を深めた。
 
 同クラブは、防火・防災思想の普及を図ることを目的に全国各地で結成されている防災組織。釜石では火災予防や防災に関する知識、身を守る技術の習得と合わせ、将来の地域防災の担い手の育成を狙いに、2017年に取り組みが始まった。
 
 釜石署管内の学校単位で組織され、発足時は6校(小学校5校、中学校1校)だったが、18年に4校(全て小学校)が加わった。25年4月1日現在、計10校の児童生徒約1300人が所属。火災予防ポスターの作成、着衣泳など水の事故防止を学ぶ水上安全訓練、救急救命講習など消防署や関係機関の力を借り、各校で取り組んでいる。
 
釜石消防署で行われた体験学習の参加者。ビシッと敬礼

釜石消防署で行われた体験学習の参加者。ビシッと敬礼

 
 この日の消防士体験のスタートは格好から。実際に火災現場で装着する重い防火服、特殊ヘルメットを身に着けたり、敬礼を教わったりした。空気呼吸器の装着体験も。消防署員が手を離すと、子どもたちはよろめき、10キロほどの重さを肩や背に感じていた。
 
防火服を着て空気呼吸器を背負って重さを体感

防火服を着て空気呼吸器を背負って重さを体感

 
 消防車両や釜石署の訓練棟を利用し初期消火、煙体験、はしご車の試乗などを実施。ヘルメット着用した小学生を消防士、救急救命士ら署員約10人がサポートした。
 
 ポンプ車による消火体験では、消防ホースでの放水に挑戦。署員に支えられながら放水ノズルを操り、勢いよく水が飛び出すと子どもたちは笑顔を見せた。山火事の時などに使用する背負い式水のう「ジェットシューター」を使った放水も体験。今春に大船渡市で発生した大規模山林火災の現場でも活躍したとの説明を真剣な表情で聞いた。
 
消火体験はホースを伸ばし、ノズルを装着したり準備が必要

消火体験はホースを伸ばし、ノズルを装着したり準備が必要

 
消防署員のサポートを受けながら放水を体験する子どもたち

消防署員のサポートを受けながら放水を体験する子どもたち

 
背負い式の消火水のう「ジェットシューター」の操作体験

背負い式の消火水のう「ジェットシューター」の操作体験

 
 高さが35メートルまで伸びるはしご車は、市内のほとんどの建物の消火、救助活動に対応できる。児童らは先端のバスケットに署員と2人ずつ乗り込み、高さ15メートルまで上昇。余裕の子どもたちは地上で見守る友達や家族に自慢げに手を振った。
 
消火や救助の現場で活躍するはしご車の搭乗体験

消火や救助の現場で活躍するはしご車の搭乗体験

 
はしご車の試乗や写真撮影を楽しむ参加者

はしご車の試乗や写真撮影を楽しむ参加者

 
 釜石署に配備されている救急車3台のうち2台に電動ストレッチャーが装備されている。指1本によるボタン操作で、自動での上げ下ろしができる仕様。男性署員が3人がかりで対応していたようなケースも「女性署員でも持ち上げられる」という。2年連続で参加した女子児童は消防士を将来の仕事として視野に入れていて、黙々と体験をこなしているようだったが、感想を聞くと「楽しい」とはにかみながらうなずいた。
 
救急車の装備を見たり消防車両に乗って走行体験もした

救急車の装備を見たり消防車両に乗って走行体験もした

 
訓練棟での煙体験。しゃがんで煙の濃さを確かめた

訓練棟での煙体験。しゃがんで煙の濃さを確かめた

 
 参加者の中には家族が釜石署で働いているという子も。小学1年の佐々木晴太郎さん(6)もそんな一人で、「お父さんの仕事を見たかった」。一緒に放水を体験したりし、「(お父さんは)かっこよかった。大変そうだと思ったけど楽しかった」とうれしそうに話した。
 
 釜石署予防係の佐藤直樹係長は「体験を通じて消防の仕事や防災について興味を持ってほしい。クラブでの経験を生かして将来、一緒に働いてもらえたら」と、子どもたちに呼びかけた。
 
少年消防クラブの児童が作成した防火ポスター

少年消防クラブの児童が作成した防火ポスター

 
 同クラブの取り組みとして防火ポスターコンクールの参加があり、市内の児童が寄せた約100点の作品をイオンタウン釜石(同市港町)で展示している。夏は、花火やバーベキューなど屋外で火を取り扱う機会が多くなることから、市内では夏季火災予防特別警戒を実施中。その期間に合わせ8月20日まで作品を見ることができる。

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カムチャツカ半島付近地震津波 釜石でも最大50センチ観測 警報で1531人が避難

高台の市道から潮位の変化を見つめる住民ら=30日午前10時50分ごろ、鵜住居町根浜

高台の市道から潮位の変化を見つめる住民ら=30日午前10時50分ごろ、鵜住居町根浜

 
 7月30日午前8時25分ごろ発生したロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする巨大地震で、日本の太平洋沿岸などに出された津波警報と注意報。本県では午後8時45分に警報から注意報に切り替わり警戒が続いていたが、31日午後4時30分に注意報は解除された。釜石港でこれまでに観測された津波の最大は、30日午後2時13分の50センチ。津波の影響による潮位の変化はしばらく続く可能性があり、引き続き注意が必要だ。
 
 マグニチュード8.7と推定される今回の地震。釜石市では揺れを感じない状態で突如、鳴り響いた防災行政無線のサイレンに緊張が走った。同市では気象庁が午前8時37分に発表した津波注意報を受け、浸水想定区域に避難指示を発令。午前9時40分に注意報から警報に警戒レベルが引き上げられると、対象範囲を拡大した(6362世帯、1万1382人)。市内の小中学校など6カ所に避難所が開設され、最大で計1531人が避難した。
 
 市の緊急避難場所、拠点避難所に指定されている鵜住居町の鵜住居小・釜石東中には注意報の発表後、地域住民や地区内で働く人などが続々と避難してきた。同地区生活応援センターと学校が連携し避難所を開設。通常は体育館が避難所となるが、厳しい暑さのため、エアコンが設置されている各種教室などを開放し、避難者を受け入れた。同所には最大で373人が避難した。
 
避難所が開設された釜石東中校内。子どもから高齢者まで多くの人が避難した

避難所が開設された釜石東中校内。子どもから高齢者まで多くの人が避難した

 
避難者は警報の早期解除を願いながらエアコンのある部屋で待機

避難者は警報の早期解除を願いながらエアコンのある部屋で待機

 
 川沿いにある双日食料水産は、ベトナム人技能実習生18人を含む70人が同校に避難。注意報発表時は始業時間と重なり、点呼などを経て午前10時前には避難を開始した。東梅拓也工場長は「年1回、避難訓練を実施しており、みんな落ち着いて行動できた。従業員は東日本大震災の津波経験者が多いので防災意識は高い」と話した。学校近くの復興住宅に暮らす70代と80代の女性は「全然揺れないで、急にサイレンが鳴ったのでびっくり。暑い時の避難は大変。長い階段を休み休み上がってきた」と涼しい部屋でしばし休憩。「何もなく、早く(警報が)解除されれば」と願った。
 
 鵜住居町根浜地区では旅館や観光施設の従業員らが客を帰した後、津波到達予想時刻の午前10時半前に高台避難を完了。震災後に造成された海抜20メートルの復興団地内の集会所に身を寄せた。岸壁で作業中だった漁業者も即座に高台へ。地区住民らは自宅待機し、テレビなどで情報収集した。
 
震災後に整備された根浜復興団地内の集会所に避難した人たち。テレビやスマホで情報収集

震災後に整備された根浜復興団地内の集会所に避難した人たち。テレビやスマホで情報収集

 
 同地区では7月28日から国内外の中高生ら13人がリーダー育成プログラムのキャンプ中だった。14年前の震災の教訓を学ぶのも目的の一つ。津波注意報発表時は、海辺でのライフセービング体験に向かう直前だった。岡﨑律さん(高3、東京都)は「津波について学んでいる最中だったので、より恐怖を感じ、他人事ではないと思った。避難の不安もあったので、実際の災害を想定して家の備蓄品や持ち出し品を確認しなければ」と気を引き締めた。佐々夏希さん(高1、同)は「初めての経験でちょっとパニックになり、右往左往するところがあった。想定外のことにも一旦冷静になり、対処することが大切。日頃から訓練しておきたい」と学びをさらに深めた。4泊5日のプログラムは一連の影響で変更を余儀なくされた。
 
グローバルリーダーシッププログラムのキャンプで釜石を訪れた中高生らは根浜MINDの佐々木雄治さんから東日本大震災の被災状況なども学んだ

グローバルリーダーシッププログラムのキャンプで釜石を訪れた中高生らは根浜MINDの佐々木雄治さんから東日本大震災の被災状況なども学んだ

 
津波警報の発表で国道45号は通行車両も激減。午後からは通行止めの区間も。市内の商業施設は警報解除まで営業を見合わせた

津波警報の発表で国道45号は通行車両も激減。午後からは通行止めの区間も。市内の商業施設は警報解除まで営業を見合わせた

 

避難所開設に大きな力 自主防結成の釜石東中生 率先して避難者をサポート

 
避難者に非常食の缶パンを配る釜石東中の生徒=30日午前

避難者に非常食の缶パンを配る釜石東中の生徒=30日午前

 
 鵜住居小・釜石東中の避難所開設で今回、大きな力を発揮したのは、釜石東中(高橋晃一校長、生徒86人)の生徒36人。夏休みの部活で登校していた1、2年生らが、避難者の案内や食料の配布、困りごとの聞き取りなど精力的に活動し、長丁場となった避難所運営を支えた。今年1月に生徒会が中心となって自主防災組織(自主防)を立ち上げた同校。日頃の学びや訓練の成果が生かされた。
 
 7月30日、生徒らは午前8時半ごろから、部活の活動場所となっていた学校近くの市民体育館で準備を進めていた。ほどなくして津波注意報のサイレンが…。生徒らはすぐさま、高台の学校へ避難。避難者が増える中、避難所開設の必要性が高まり、教職員の指示のもと受け入れを開始した。エアコンがある図書室や音楽室など4室を開放。入り口で受付を済ませた避難者を生徒らが各部屋に案内した。
 
 昼前には、校内に設置されている市の防災備蓄倉庫から飲料水と非常食の缶パンなどを運び出し、避難者に配布。トイレットペーパーの補充、段ボールベッドの組み立てなども行い、校内を回りながら避難者の困りごとを聞いた。熱中症対策や感染症予防を呼びかける校内放送も生徒が担当。地元製パン業者が差し入れたパン、夕食用に市から配送された非常食カレーなどの配布も手伝った。
 
生徒らは鵜住居小の教室にも飲料水や非常食を届けた

生徒らは鵜住居小の教室にも飲料水や非常食を届けた

 
避難者の案内、御用聞きも行い、運営をサポート。写真右上は校内放送の呼びかけ文の一部

避難者の案内、御用聞きも行い、運営をサポート。写真右上は校内放送の呼びかけ文の一部

 
 現1、2年生は実際の避難所開設、運営にあたるのは初めての経験。2年の板澤莉琉さん、旦尾歩暖さんは「最初は落ち着かなかった。みんなそわそわして…。でも『避難所、やらなきゃないのでは』との声も多かった」と、注意報から警報への時間帯の仲間の様子を振り返った。1年の新屋碧さん、小國怜義さんは「困っている人には積極的に話しかけ、要望などを聞いている。少し不安もあるが、互いに声をかけ合って頑張っている」とし、「また同じようなことがあったら、今回の経験を生かしたい」と意を強くした。
 
学生に教えながら段ボールベッドも組み立てた

小学生に教えながら段ボールベッドも組み立てた

 
差し入れのパンの種類と数を記録する手伝いも

差し入れのパンの種類と数を記録する手伝いも

 
 同校では4月に防災オリエンテーションを実施。その後も小中合同の下校時津波避難訓練のほか、朝活動での防災意識向上を図る取り組みを続けている。高橋校長は「日常的に防災に特化した活動をやっているので、生徒たちはスムーズに動けたのではないか。これまでの学びがしっかり身に付いている」と活動の成果を実感。また、「市の対応にはなるが、防災備蓄倉庫の物品の補充、更新など定期的な点検も必要と感じた」と今後の課題も示した。この日は警報から注意報になった時点で、市教委から生徒の保護者への引き渡しの指示があり、午後10時ごろまでに学校にいた全生徒が帰宅に向かった。

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「地域」のため「できること」 地震の被災地高校生・能登×釜石 つながる、共に考える

防災意識を高めるゲームを体験する釜石と能登の高校生

防災意識を高めるゲームを体験する釜石と能登の高校生

 
 東日本大震災と能登半島地震―。その被災地、岩手県釜石市と石川県能登町の高校生が災害復興や防災をテーマにした学びを通じ、それぞれの地域への思いを深めている。釜石高の生徒有志グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」は20日、復興のプロセスを学ぶ東北研修で来釜した能登高の生徒らと交流。震災の教訓を伝える活動を紹介しながら、「地域のためにできること」を共に考えた。
 
 「これ以上、大切な人を失いたくない。だから今のうちから備えて、災害が来たらどうしたらいいか、家族と話してください。…『津波てんでんこ』、自分、そして大切な人を信じてください」。夢団代表の加藤祢音さん(3年)の語りに能登高の生徒らはじっと耳を傾けた。
 
語り部活動を紹介する夢団代表の加藤祢音さん

語り部活動を紹介する夢団代表の加藤祢音さん

 
 釜石情報交流センター(大町)であった交流会の一場面。加藤さんは、地元のラグビーチーム日本製鉄釜石シーウェイブスのホーム戦に合わせて行っている語り部活動を見せた。震災の津波で祖母ら親族3人を亡くしたが、当時3歳で記憶はほとんどなく、両親から聞いたことを語っている。「顔も名前も、存在すら知らなかった。それがつらい」。そんな思いを込め、備えの大切さを訴える。「自分と大切な人を信じ、それぞれが自分の身を守る行動をとることが多くの命を救う一つの道」と。
 
 能登高生は、語り部の練習などを質問。「もとから災害や防災に興味を持っていたのか」と聞かれると、加藤さんは「中学で勉強し、興味はあった。夢団に入ったのは友達がいたからだったけど、活動を通して防災に関心が深まった。どう行動するかは自分」と答えた。
 
 カードゲーム形式で防災意識の向上を図る「釜石版クロスロード」や、防災すごろくなど夢団オリジナルのゲームも紹介。「高校生ができること」について意見を交わす時間も設け、能登高の生徒たちは「能登版」の取り組みへ生かすヒントを探っていた。
 
「防災・坊主めくり」に挑戦。災害の教訓を学ぶ

「防災・坊主めくり」に挑戦。災害の教訓を学ぶ

 
 能登高の東北研修は18~21日に実施。生徒ら8人、教員ら3人は宮城県の石巻市や女川町の復興の様子を視察し、官民連携のまちづくりについて話を聞いた後、19日に釜石入りした。20日には夢団の8人との交流のほか、うのすまい・トモス(鵜住居町)で、釜石東中2年生の時に震災を経験した川崎杏樹さん(いのちをつなぐ未来館スタッフ)や、夢団の活動を支える伊藤聡さん(「さんつな」代表)から復興まちづくりの過程について説明を受けた。能登町小木地区と復興姉妹都市として交流する大槌町安渡地区も見学した。
 
釜石の復興についての講話を聞く能登高、釜石高の生徒ら

釜石の復興についての講話を聞く能登高、釜石高の生徒ら

 
講師の川崎杏樹さん(写真左)、伊藤聡さん

講師の川崎杏樹さん(写真左)、伊藤聡さん

 
釜石の市街地を歩きながら復興の過程を学んだ高校生ら

釜石の市街地を歩きながら復興の過程を学んだ高校生ら

 
 東北研修のきっかけは、今年3月に夢団の生徒有志が能登地域を訪れたこと。被災地域の現状視察やボランティア活動、小木地区の中学校で進められていた防災教育について学んだりした。能登高の生徒との同世代交流の機会も。今回、夢団の活動に刺激を受けた能登高の生徒が自主的に企画し、学校や町が後押しして実現した。
 
 能登高の三田晴也さん(3年)は、仲良くなった釜石高の三浦大和さん(同)ら夢団メンバーに会うのを楽しみにやってきた。高校生ができる活動のアドバイスをもらい、ノートにメモ書き。今なお崩れたままの建物が残る古里を思い浮かべ、「まちづくりに役立てるようになりたい」と思いを強めた。
 
地域のことを伝え合う生徒たち。「できること」を書き出した

地域のことを伝え合う生徒たち。「できること」を書き出した

 
 三田さんは地震で自宅が半壊した。岩手、宮城の震災被災地を訪ね、急激な人口減や未利用の土地が目立っている現状は「今の能登に当てはまる」と認識。安渡地区の漁師が「仕事がしづらい」と漏らした巨大な防潮堤について、「めっちゃ高い。あれを能登につくられたら能登じゃなくなる」とつぶやいた。
 
 人が優しく、食べ物がおいしい。静かで落ち着く。そして、能登は楽しい―。古里に愛着を持つ女子生徒(同)は、地元で保育士として働き、子どもたちに災害の記憶や教訓、防災を伝えたいと将来を思い描く。東北の被災地をめぐり、「復興していてもいろいろな課題が見えてくる。どう解決していけばいいのか探ることができれば、能登で生かせるかもしれない」と、地元住民の声を熱心に聞いた。
 
学びを共有した生徒。カメラに向けるサインも共通

学びを共有した生徒。カメラに向けるサインも共通

 
 夢団メンバーにとっても実りある交流になった。三浦さんは「能登で暮らす人たちの強さ」を改めて実感し、自分が育った地域のことを見つめ直す機会にした。加藤さんも「物心がついた時には復興した風景だったから、釜石の復興の足跡を改めて教えてもらえてよかった。次代を担う世代が地域を結びつけることでまちの形が見えてくると思うから、他地域の人たちと学び合う時間を刺激に、できる活動を続けたい」と見据えた。
 
笑顔で記念写真。友好を深めた能登と釜石の高校生

笑顔で記念写真。友好を深めた能登と釜石の高校生

 
 今回の東北研修をコーディネートした伊藤さんは、近い将来、まちづくりの担い手として期待される若者たちの交流をうれしそうに見つめる。昨年2月から能登と釜石を行き来しながら応援を続ける中で、小木地区の防災教育に岩手、釜石の復興教育が生かされていると知った。さらに独自に発展させていたことから、「夢団メンバーの学びの深化に」と能登訪問を企画。それから、つながった相互訪問に、「災害からの復興はひとくくりにはできず、長くかかる。是が非でも若者たちが関わっていくことであって、受け継がれていくべき。一過性で終わるのではなく、続けて交流することで切磋琢磨(せっさたくま)しながら、それぞれの地域を盛り上げてほしい」と期待した。

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不審者発見、適切な通報…夫婦で協力、窃盗犯逮捕に貢献 釜石警察署が感謝状

松本一夫署長から感謝状を受けた洞口忠さん(右)

松本一夫署長から感謝状を受けた洞口忠さん(右)

 
 夫婦の連携プレーが窃盗事件の容疑者逮捕につながったとして、釜石警察署(松本一夫署長)は6月25日、釜石市浜町の自営業・洞口忠さん(56)、陽子さん(50)夫妻に感謝状を贈った。贈呈式は同市中妻町の釜石署であり、松本署長から感謝状を受け取った洞口さんは「犯人が捕まって良かった。これからも協力して見守っていければ」と、淡々と話した。
 
「夫婦で協力し適切な通報で被疑者逮捕に貢献した」と謝意を伝える

「夫婦で協力し適切な通報で被疑者逮捕に貢献した」と謝意を伝える

 
 窃盗事件は5月21日深夜に発生した。洞口さんは同日午前0時頃、暑さから自宅2階の窓を開けた際に、道路向かいの工事現場事務所付近に人影を発見。「こんな時間帯に歩くなんて、不思議な人がいるな」と目を凝らすと高齢の男性のようで「徘徊(はいかい)」とも思ったが、同じところを行ったり来たりする不審な動きに「おかしい…迷い込んだのではない。怪しい」と感じた。
 
 そんな様子を陽子さんに伝えると、自発的に「近所に不審者がいる」と署に通報した。その間も洞口さんは男性を目で追い、10分ほど経った頃、男性が移動し始めたため、「見失わないように」と家の外に出て追跡。その約5分後に駆け付けた署員が、通報の際に伝えられた服装などの情報をもとに容疑者を見つけて緊急逮捕した。
 
 釜石署によると、男性(80代)は窓ガラスを割って事務所に侵入し、ノートパソコンなど数点(計十数万円相当)を盗んだ、建造物侵入と窃盗の疑いで逮捕された。
 
状況を振り返る洞口さん。「地域で協力し見守りを」との思いを強くする

状況を振り返る洞口さん。「地域で協力し見守りを」との思いを強くする

 
 発見後に追跡という行動もとった洞口さんは「怖さは感じず、『何とかなるさ』と体が動いた」と振り返った。全国的に「治安が悪くなってきている」と感じる事件を耳にすることもあり、「地域には高齢者や子どももいるので、今まで通り、地域のみんなで協力しながら見守っていきたい」と背筋を伸ばした。
 
 今回の窃盗事件の早期解決に対して松本署長は「見て、気づいて通報。夫妻の素晴らしい連携があったからこそ」と強調し、「通報がなければ、被害が拡大する恐れもあった」とあらためて感謝の言葉を伝えた。そして、「今回は泥棒だったが、徘徊する高齢者などの場合もある。怪しい人、気になる人を見かけたら迷わず通報してほしい」と呼びかける。

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「生き続ける震災遺構」 坂口奈央氏(岩手大准教授)が出版 釜石でトークイベント

トークイベントで著書に込めた思いを語る坂口奈央さん(左)

トークイベントで著書に込めた思いを語る坂口奈央さん(左)

 
 釜石市大町の桑畑書店で14日、「生き続ける震災遺構―三陸の人びとの生活史より」(ナカニシヤ出版)を著した岩手大学准教授の坂口奈央さん(50)のトークイベントが開かれた。元民放アナウンサー兼記者として東日本大震災を取材し、その後に災害社会学者に転身した坂口さん。研究者として調査を続け、そこに住まう人々の思いを見つめ考察した一冊を手に、「三陸の方たちへの感謝を込めた。今だから向き合えることもあると思うので、大切な人を思い浮かべながら懐かしんだり、いろいろな思いをはせてもらえたら」と願った。
 
 著書「生き続ける震災遺構」(3月11日発刊、税抜き3600円)は▽「いま、ここ」を動的に捉える▽「震災遺構」めぐる動き▽船―漁業に翻弄された生活と生産▽公的機関を遺す難しさ▽「おらほの遺構」―回復する自然地物▽震災遺構論の新たな地平を拓く-の6章構成。大槌町赤浜や、大船渡市越喜来、宮城県気仙沼市鹿折地区などを取り上げ、遺構を通して「その土地で生きる意味」を見いだそうとする人々の姿を浮き彫りにする。
 
本「生き続ける震災遺構」を出版した坂口さん

本「生き続ける震災遺構」を出版した坂口さん

 
 イベントは、坂口さんの取材活動などに協力する大槌町・安渡町内会長の佐々木慶一さん(63)との対談形式で行い、ライターとして活動する釜石在住の手塚さや香さん(46)が進行。書籍の表紙に掲載された写真などを提供した釜石在住の写真家小澤はなさん(72)=活動名・hana=も加わり、著書で多く取り上げる大槌町の住民とのエピソードなどを話題にした。
 
写真などを紹介しながらトークを繰り広げた

写真などを紹介しながらトークを繰り広げた

 
 震災の津波で被災した建物などの「遺構」をめぐり、被災地では保存か解体かで葛藤。大槌町でも、民宿の上に乗り上げた釜石の観光船「はまゆり」や、当時の町長を含む職員ら多数が犠牲になった旧役場庁舎をめぐって町が二分された。アナウンサー時代にさまざまな思いに触れたことをきっかけに坂口さんは「震災復興とは…。防災や減災には限りがある。災害にどう対処し、悩み苦しみながらも新たに生き直すのが復興ではないか」と自問自答。「災害復興学を確立したい」と一念発起し、研究者として道を進む。
 
 「たとえ隣り合った地域でも考え方は違う。歴史的な背景、なりわい、生活、地域を運営するリーダーによっても捉え方は変わる」と坂口さん。大槌町では防潮堤の高さをめぐっても住民たちの思いは揺れた。佐々木さんが暮らす安渡地区は水産業の拠点が集積し、防潮堤は高さ14.5メートルで整備。震災前は6.4メートルだったことから倍以上の高さとなった。一方で隣り合う赤浜地区は、震災前と同じという選択をした。著書でも記した地域性をあらためて佐々木さんとひもといた。
 
記憶をつなぎ合わせながら話す坂口さん(左)と佐々木慶一さん

記憶をつなぎ合わせながら話す坂口さん(左)と佐々木慶一さん

 
 坂口さんの視点について、「今までにない切り口で遺構を反映させている」と表した佐々木さん。見る人や角度、考える時間によっても変化しうるため結論を出すのが難しかった問題を「過去を含めその土地に生きる人、その生き方や経験、気持ちのあり方という目で見ているのが新鮮」だったという。
 
 「船がかわいそう」「恥の場」…そう住民が捉えた船や庁舎は残らなかったが、安渡地区には旧防潮堤が一部残った。「震災の出来事を伝える遺構なのかもしれない」と佐々木さん。「ダイレクトに教訓を与えるものだけでなく、震災を考えるきっかけ、忘れない1つのツールになりうるのが遺構だ」と、新たな「価値」を見いだしていた。
 
 坂口さんはそうした被災地の声を丁寧にじっくりと聞きながら、本という形にまとめた。「この14年、いろいろな思いを紡がせてもらった。100人以上の方に人生を語ってもらい、生活者の視点にこだわって書いた。あの時を振り返り、新たな人生や思いが生まれる今だからこそ、誰かの背中を押すことができる一冊になればいいな」と望んだ。
 
本にサインを書いたりして聴講者と交流した坂口さん

本にサインを書いたりして聴講者と交流した坂口さん

 
 耳を傾けた大渡町の竹中伸明さん(37)は「地域や暮らす人の背景を知ったうえで、色濃く伝えられている」と感想。自信も「伝える」活動を始めていて、「たくさんの人の話を聞いて、いろんなことに込められた思いを発信していきたい」と刺激を受けていた。
 
hanaさん(左・手前)の写真作品を囲む坂口さん(右)、手塚さや香さん

hanaさん(左・手前)の写真作品を囲む坂口さん(右)、手塚さや香さん

 
桑畑書店にはhanaさんが撮影した震災関連の写真が展示されている

桑畑書店にはhanaさんが撮影した震災関連の写真が展示されている

 
 イベントに関連し桑畑書店では、hanaさんの震災写真展を6月いっぱい開催中。被災直後の大槌、釜石のまちを写した記録が15点ほど並ぶ。

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釜石市消防団消防演習 各種点検、放水訓練で機材操作再確認 防火、防災へ士気高める

震災後初の点検などで消防団活動への意欲を高める団員ら=8日、消防演習

震災後初の点検などで消防団活動への意欲を高める団員ら=8日、消防演習

 
 釜石市消防団(菊池録郎団長、団員513人)は8日、鈴子町の釜石消防庁舎駐車場など2会場で2025年度の消防演習を行った。東日本大震災以降、実施を見送っていた機械器具点検などの訓練が再開され、団員らは消防車両の基本操作や隊としての行動を再確認した。本年度は新たに男女10人が入団。先輩団員から各種技術や団精神を受け継ぎ、市民の生命、財産を守る活動にまい進していく。
 
 団員、消防署員、来賓ら474人、車両39台が参加。統監の小野共市長は、全国的に自然災害や火災が頻発している近年の情勢に触れ、地域防災体制強化の重要性を指摘。「消防団員は地域に根差した防災の要。より一層の火災予防啓発活動や日ごろの訓練に精励されるよう願う」と訓示した。
 
統監の小野共市長(写真右上)が訓示。日ごろの活動への感謝と激励の言葉を送った

統監の小野共市長(写真右上)が訓示。日ごろの活動への感謝と激励の言葉を送った

 
 災害現場や火災予防で任務遂行に尽力し、優秀な活動が他の模範となる団員や部をたたえる「釜石市長表彰」では、第3分団第1部の香川果代子班長ら団員15人を功績表彰。第1分団第1部など4つの部に「竿頭綬(かんとうじゅ)」を授与した。在職3年以上で職務精励、消防技能に優れた団員に贈られる「釜石市消防団長表彰」では、第6分団第3部の岡道雄斗団員ら7人を精勤表彰としてたたえた。
 
釜石市長表彰、釜石市消防団長表彰を受ける団員と部

釜石市長表彰、釜石市消防団長表彰を受ける団員と部

 
 本年度の新入団員10人を代表し、第3分団第1部の鈴木佑太郎さん(22)が菊池団長から辞令を受け、「良心に従って誠実に消防の義務を遂行する」と声高らかに宣誓。「地域のために役に立ちたい」と入団を決意した鈴木さんは「先輩たちの動きを見て一つ一つ丁寧に学び、消火活動などを行っていけたら」と気を引き締めた。
 
新入団員を代表し、宣誓する鈴木佑太郎さん(中央)

新入団員を代表し、宣誓する鈴木佑太郎さん(中央)

 
 統監、団長らによる観閲後、第1小隊(第7、8分団)が通常点検、第2小隊(第1~4分団)が機械器具点検に臨んだ。指揮者の号令のもと、隊列の移動、消防車両の点検など職務遂行に必要な行動を実践。消防本部の駒林博之消防長らが点検官として、隊の規律や動きを確認した。
 
 千鳥町の甲子川河川敷では放水訓練が行われた。各部のポンプ車が一列に並び、川の水を水利に一斉放水。団員らは訓練で身に付けた技能を発揮し、火災発生時の迅速な消火活動へ意識を高めた。会場周辺では一般市民も訓練の様子を見守り、地域を守る消防団へ理解を深めた
 
機械器具点検で基本行動を実践する団員ら

機械器具点検で基本行動を実践する団員ら

 
消防ポンプ車を使った放水訓練。各車両から水柱が上がる

消防ポンプ車を使った放水訓練。各車両から水柱が上がる

 
県の防災ヘリコプターによる救助救出訓練。消防団員らが見守る

県の防災ヘリコプターによる救助救出訓練。消防団員らが見守る

 
 この日は、県の防災ヘリコプターによる救助救出訓練も行われた。大雨や津波による浸水で建物屋上に要救助者がいるとの想定で、消防庁舎訓練棟上空から航空隊員がロープで降下し、要救助者をヘリに引き上げた。周辺では消防団員らが見守り、実際の災害現場をシミュレーションした。
 
 菊池団長(73)は「久しぶりの点検訓練に緊張する様子も見られたが、一生懸命取り組む姿勢を感じた」と評価。人口減、少子高齢化で団員数は右肩下がりだが、本年度は新たに10人が入団するという明るい話題も…。来年は遠野、釜石、大槌3地区の消防操法競技会が釜石市で開催される。「震災やコロナ禍でしばらく遠ざかっていた操法訓練にも精進し、若手への技能継承、組織の充実強化に団員一丸となって励んでいく」と菊池団長。
 
気を引き締めて演習に臨む菊池録郎団長(前列中央)以下、各分団員

気を引き締めて演習に臨む菊池録郎団長(前列中央)以下、各分団員

 
 釜石市では、4月に唐丹町で発生した建物火災で住人1人が亡くなった。今年1月からの火災発生はこの1件のみ。団では火災予防の警戒活動も行いながら、市民の安心安全のため、力を尽くしていきたいとしている。同市の昨年1年間の火災発生件数は7件だった。

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スマホ・ゲーム利用の約束、親子で考えよう 釜石・白山小で情報モラル教室

インターネット利用について学ぶ白山小の児童と保護者

インターネット利用について学ぶ白山小の児童と保護者

 
 釜石市嬉石町の白山小(鈴木慎校長、児童33人)で7日、インターネットを正しく安全に使うための情報モラル教室が開かれた。スマートフォンやオンラインゲームなどインターネットを介した情報のやりとりが増える中、利用の仕方を親子で考える機会にしてもらおうと、授業参観日に合わせて実施。全校児童と保護者ら約60人が参加した。
 
 教室は、釜石市とソフトバンク(東京)が2020年に締結した地方創生に関する連携協定の一環で、釜石公民館事業として行われた。これまで、市内の3つの小学校で実施してきたが、白山小では初開催。他校では高学年児童が対象だが、同校ではスマホ所有の有無や学年、年齢にかかわらず「みんな何かしら触れている」うえ、国が推進する「GIGAスクール構想」で、児童1人に学習用のタブレット端末が1台ずつ配られていることもあり、使い始めの1年生にも学んでもらおうと全校児童を対象にした。
 
 講師は、同社の北海道・東北地域CSR部の鈴木利昭参与(64)。「小学生では高学年になると半数がスマホを持っている。最近は6~7割と増加傾向」と全国的な動向を紹介したうえで、参加者にスマホやゲーム機の所有、利用の時間帯を聞いた。白山小ではスマホ所有は半数ほどだが、ゲーム機はほぼ全員が持っていると意思表示。深夜2時くらいまで使っている子もいた。
 
SNSのリスクなどを解説した鈴木利昭参事(右上の写真)

SNSのリスクなどを解説した鈴木利昭参事(右上の写真)

 
クイズや質問に意思表示しながらネット利用を学ぶ児童ら

クイズや質問に意思表示しながらネット利用を学ぶ児童ら

 
 ネットの世界で起こることすべてが自分のせきにん―。「交通ルールがあるようにネットにもルールがあり、守るから安全。ただ、ネットの言葉は難しいものが多いから、無理せず分かること、できることから始めて」と鈴木参与。「簡単で便利、そして無料。使う人が多いから、トラブルも多い」と話した上で、交流サイト(SNS)を取り上げて使い方や注意点を解説した。
 
 事例に挙げたのは「LINE(ライン)」でのやりとり。会話でよくないところを考えてもらい、▽急がず、きちんと伝える(文字だけで伝えようとすると誤解が生じることも。絵文字を使ったり工夫する)▽守ろう、時間!(長時間は迷惑になることも。相手がいることを忘れない)▽やめよう!人を傷つける発信(ネットに書き込んだ言葉は良いことも悪いことも一生消えないと思って。発信する前に読み返す。見る、受け取る相手の気持ちを考える)―との守ってほしいルールを伝えた。
 
児童も保護者も講師の話にしっかりと耳を傾ける

児童も保護者も講師の話にしっかりと耳を傾ける

 
 また、ネットにひそむ危険性も説明。手軽に世界とつながり便利な反面、顔が見えないことで怖い面もあるとし、他人が見ることを考えて写真の位置情報や、個人を特定できるような写真は投稿しないよう強調した。災害発生など非常時にデマが流れたり、うそや思い込みの話題も多いとし、見極めの大切さや大人への相談の必要性を指摘。より正しく楽しく使うため、「1日に○時間だけにするなど家族でルールを決めてほしい」と呼び掛けた。
 
 終わりに、親子で「スマホデビュー検定」に挑戦。オンラインゲーム中にしてはいけない行動や、「スマホ依存(スマホの使用がやめられなくなってしまう状態)」にならないよう気を付けることなど、使い方を振り返ったり、話し合いながら知識を深めた。
 
「スマホデビュー検定」に挑戦する親子

「スマホデビュー検定」に挑戦する親子

 
正しい?間違っている?問いに向ける視線は真剣

正しい?間違っている?問いに向ける視線は真剣

 
 小山琉世さん(6年)は「知らない人とつながってしまうのが怖いから、オンラインゲームはやっていない。スマホを持つようになったら気を付けて使いたい」と話し、妹の結凪さん(4年)もうなずいた。父親の純平さん(36)は「うちは厳しい方」と言うが、「中学生になったらスマホを」と思案中。「子どもたちを信頼しているけど」と母親の美紀子さん(36)と顔を合わせ、「親が口うるさく言うことを分かってもらえただろう」と、教室の開催を歓迎した。「ネットは自己責任」とは言え、子どものことはやはり親に責任があるとの考えで、「親も一緒に学んで理解して使えば、子どもも正しく安全に使ってくれるだろう」と話した。
 
 鈴木校長は「危険にあってから知るのでは遅い。今の利用の仕方を見直す機会に。ルールづくりに親子で取り組んでほしい」と求めた。
 
楽しそうに話し合いながら情報モラルについて学んだ

楽しそうに話し合いながら情報モラルについて学んだ

 
「水、くださーい」。力を合わせたプール掃除も楽しそう

「水、くださーい」。力を合わせたプール掃除も楽しそう

 
 親子で学習した後は、プール清掃でも協力。大変なことも「一緒に楽しく」取り組んで、子どもたちの成長を見守り、支えていく。

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「集落孤立、停電も」災害時を想定し訓練 釜石港で海保と電力会社、資機材の海上輸送

巡視船の搭載艇に乗って災害時の動きを確認する参加者

巡視船の搭載艇に乗って災害時の動きを確認する参加者

 
 釜石海上保安部(尾野村研吾部長)と送配電事業を担う東北電力ネットワーク釜石電力センター(似内勝之所長)は3日、災害復旧に携わる人員と必要な資機材を海上輸送する共同訓練を行った。地震で陸路が寸断されたうえ、孤立した集落で停電が起きたと想定。釜石港に係留する海保の巡視船「きたかみ」(650トン)の搭載艇を使い、荷物を積み込んだり、降ろしたりして対応を確認した。
 
 釜石海保が所属する第2管区海上保安本部(宮城県塩釜市)と、東北電力、東北電力ネットワークは2022年3月に「災害時における相互協力に関する協定」を結んでいる。訓練は協定に基づいたもので、有事の際の対応力向上や連携強化が目的。釜石での実施は昨年に続き2回目だが、実際に搭載艇を走らせての訓練は初めて。
 
釜石海上保安部と釜石電力センターによる共同訓練の参加者

釜石海上保安部と釜石電力センターによる共同訓練の参加者

 
 訓練には約40人が参加。「近年は自然災害の激甚化、頻発化が目に見えるような形で進んでおり、有事への備えがますます重要になってきた。実際の対応に即した手順、要領で連携方法を確認し、問題点あれば修正、改善を図りながら、協定の実効性を高めてほしい」などと、尾野村部長、似内所長が激励した。
 
 岩手県沿岸を震源とする地震が発生し、釜石市内では震度6弱の揺れを観測。津波の恐れはないものの、唐丹町花露辺地区と平田尾崎白浜地区を結ぶ県道249号が土砂崩れや道路の陥没などで不通となり、孤立した尾崎白浜地区で停電が起きたとの想定。電力センターでは復旧作業に向かうも、陸上からは困難な状況で、協定に基づき海路による搬送の協力を要請し、釜石海保が引き受け、作業員と資機材を巡視船で被災地まで運ぶという流れで訓練をした。
 
復旧作業に必要な資機材を巡視船に積み込む参加者

復旧作業に必要な資機材を巡視船に積み込む参加者

 
安全帯などが入ったリュックの重さは1つ約20キロ

安全帯などが入ったリュックの重さは1つ約20キロ

 
 電力センター配電課の4人は、巡視船の乗組員らと連携し、復旧作業に必要な電線や工具、高所作業時の安全帯など計約120キロの資機材を船に積み込んだ。その後、搭載艇(定員10人)に資機材を移し替え、乗り込んだ搭載艇で釜石湾内を走行して波による揺れなどを確認。岸壁に着くと荷物を積み降ろし、海から活動の現場に向かう手順を確かめた。
 
巡視船の搭載艇に資機材を移し替える参加者

巡視船の搭載艇に資機材を移し替える参加者

 
電力センターの作業員を乗せた搭載艇を降下

電力センターの作業員を乗せた搭載艇を降下

 
岸壁に着いて資機材を積み降ろす作業員ら

岸壁に着いて資機材を積み降ろす作業員ら

 
 搭載艇での移動を体験した電力センター配電主査の加賀谷聡さん(51)は「波は穏やかだったが、走行中に水しぶきが上がることがあった。波をかぶらないよう資機材を箱に入れたのは良かった」としながら、1箱20キロの資機材について「予想外に岸壁が高く、積み降ろすのが大変だった。小分けにしたり軽くして持ち上げやすくする必要がある」と改善点を見つけた。万一の時に海路を使って早く現場に行ける体制、情報を知る面でも有意義な訓練だったといい、「(災害は)なければ一番いいが、経験を社内で共有して動けるようにしたい」と見据えた。
 
手渡し、網の使用…重さのある資機材の陸揚げは工夫が必要

手渡し、網の使用…重さのある資機材の陸揚げは工夫が必要

 
訓練を終えて手応えや問題点を伝え合う参加者

訓練を終えて手応えや問題点を伝え合う参加者

 
 搭載艇を操舵(そうだ)した釜石海保航海士補の千葉彩湖(さこ)さん(21)は「普段より船の揺れが少なくなるよう気を付けた。こうした想定の訓練は初めてだったが、全体の流れが想像できたので、精度を上げ、実働時には安全に人員、資機材を届けられるようにしたい」と気を引き締めた。
 
 訓練の責任者として見守った釜石海保警備救難課の池田隆課長(51)は「搭載艇からの荷物の陸揚げ、受け入れる漁港などへの連絡方法など検討が必要だと感じたが、全体的には協力し合いながらスムーズにいった訓練」と評価。災害発生時にはいち早く救援、救助に向かうことから、こうした訓練を継続したい考えで、「場所や想定を変えながらレベルアップしていきたい」と話した。