タグ別アーカイブ: 防災・安全

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震災の記憶追体験、英語でも 小中学生の避難行動「釜石の出来事」ひもとく そして考える…自分なら

震災当時に子どもたちが避難した経路を歩く参加者 

震災当時に子どもたちが避難した経路を歩く参加者

  
 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた釜石市で、当時の小中学生が命を守り抜いた避難行動は「釜石の出来事」として知られる。そこで生かされたのは、市内の学校で取り組んでいた防災教育だった―。観光地域づくり法人「かまいしDMC」(河東英宜代表取締役)は、鵜住居町の子どもたちの避難行動にスポットを当てた体験プログラムを提供しており、体験者らの評価に好感触を得る。このほど、内容を英語対応させた研修プログラムを用意し、外国人団体の受け入れを始めた。
   
 初回は21日。アジアのリーダー人材育成を手掛けるIATSSフォーラム(三重県)の研修の一環として実施した。参加したのは、カンボジアやインド、ラオス、マレーシアなど10カ国の約20人。大学講師や医師、大使館職員、行政関係者など地域の将来を担う若者たちで、災害を乗り越えて新たな地域づくりに挑戦する人たちの姿や教訓を学び、災害への対応力やリーダーシップを磨いてもらうのを狙いにしている。
   
根浜シーサイドで行われた釜石の出来事などを学ぶ体感ワーク

根浜シーサイドで行われた釜石の出来事などを学ぶ体感ワーク

   
 鵜住居町の根浜海岸にある観光施設「根浜シーサイド」では、釜石の出来事や釜石東中の防災教育をひもとく体感ワークを実施。震災発生時の東中の状況を記した資料は全て英訳され、通訳も配置した。当時、東中2年生だったDMC社員川崎杏樹さん(27)=いのちをつなぐ未来館勤務=らが解説。参加者たちは「限られた時間で正しい判断を下さなければ全員の命に関わるという緊迫した状況の中、職員室に寄せられる多くの情報を基に、どのような避難指示を出すべきか」などを学校責任者の立場になって考えた。
   
 川崎さんの案内で、実際の避難ルートもたどった。学校があった現在の釜石鵜住居復興スタジアムから恋の峠まで、当時の避難行動を追体験。「目の前で津波を見るというぎりぎりの場面もあり、リアルに死ぬかもしれないと感じた。助かることだけを考えて高台を目指した」などと経験者、川崎さんの話を聞きながら、子どもたちが命をつないだ道を歩いた。
   
鵜住居町の子どもたちが避難したルートをたどる参加者

鵜住居町の子どもたちが避難したルートをたどる参加者

  
津波避難の実践も。根浜地区の高台を目指して走った

津波避難の実践も。根浜地区の高台を目指して走った

   
 プログラムの終わりは、津波避難の実践。根浜シーサイドから近くの高台を目指して、坂道を駆け上がった。参加者から聞こえてきた声は「Hurry Up(急いで)!」「Mountain(山)」「てんでんこ、OK」。研修の中で記憶したキーワードを掘り起こし、判断して行動していた。インドネシアから参加したファラ・ヴァウジアさん(34)=バンダン技術専門学校講師=は「時間が限られる中でいかに選択することが大事かを学んだ。自国に持ち帰り、学生や家族、地域に伝える」とうなずいた。
   
津波避難の事例から課題対応力などを磨いた参加者

津波避難の事例から課題対応力などを磨いた参加者

   
 かまいしDMCによると、今後も数件の受け入れが予定されているとのこと。自然災害が相次ぐ中、国際的な防災意識の高まりもあり、多言語化への対応を視野に入れながら釜石の防災教育を発信していく考えだ。
 

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手に入れよう!災害時に役立つスキル 釜石の小学生ら、「サバイバルマスター」目指す はじまりは…水

片山さん(奥)の指導で泥水をろ過する実験を行う子どもたち

片山さん(奥)の指導で泥水をろ過する実験を行う子どもたち

  
 災害時に役立つ技術を学ぶ子ども向けの講習会「サバイバルマスター1DAYチャレンジ!」が17日、釜石市鵜住居町の根浜海岸にある観光施設「根浜シーサイド」のキャンプ場で行われた。8つのプログラムを修了・合格すると認定される“マスター”を目指し、釜石・大槌地域の小学生5人が「ウオーター」編に挑戦。水がないと困ることや水を確保するための方法などを考え、実践することで生き抜く力を磨いた。
   
 講習会は、災害発生から3日間を生き抜く術(すべ)を伝える一般社団法人「72時間サバイバル教育協会」(大阪市)による「サバイバルマスター」養成の一環。サバイバルマスターは、▽ファイヤー(火おこし)▽ウオーター▽シェルター(雨風をしのぐ場所)▽フード(食事の確保)▽SOS(助けを呼ぶ)▽ナイフ(道具づくり)▽ファーストエイド(応急処置)▽チームビルド(避難所運営、情報収集など)―の8プログラムがあり、各講座を受けて筆記・実技試験に合格すると同協会から認定される。
   
「災害時に力を発揮できるよう一緒に学ぼう」と語りかける片山さん

「災害時に力を発揮できるよう一緒に学ぼう」と語りかける片山さん

   
 この日、講師を務めたのは同協会代表理事の片山誠さん(51)。水の確保がテーマで、子どもたちに「普段、水はどこで手に入れる?」と問いかけた。返ってきたのは「水道」「ウォーターサーバー」などの声。「災害が起こって水道が止まったら、どうする?」との問いには、「川の水をろ過する」と答えた。「それって飲めるの?」「ろ過ってどうやる?」と質問が続くと、頭をひねる子がほとんど。テレビなどで目にしたことはあっても、やってみたことはなく、実際に体験してみることにした。
  
 ペーパーフィルターで泥水をろ過してみると、うっすらと茶色く濁った水がカップに残り、子どもたちは「飲めない」と声をそろえた。ペットボトルや砂利、活性炭、ティッシュペーパーなどを使った、ろ過装置づくりにも挑み、水の状態を確認したりした。
  
楽しみながらサバイバル術を身につける子どもたち

楽しみながらサバイバル術を身につける子どもたち

  
 伊藤朱凛(あかり)さん(双葉小5年)、佐々木彩衣音(あいね)さん(平田小4年)は「東日本大震災の何倍もの地震が起きても生き残れるように、もっと知識をつけたい。8つ全部に挑戦してマスターになって、みんなを助けられるような人になりたい」と意気込んでいた。
  
 片山さんは震災後に釜石地域などでボランティア活動を行ったことをきっかけに、団体を立ち上げた。家族と2日間会えなかった子の話から、「サバイバルの力」の必要性を感じたという。講習を受けた人は全国で1000人ほどいるが、マスターに認定されているのは20数人。「合格するのが目的ではなく、スキルを習得する過程で、自分で考えたり行動しながら身につけてもらうことが大切。できることを増やし、どこでも命を守る行動ができるように、そして困っている人を助ける人になってほしい」と子どもたちを見守った。
  
「できることを増やして」と子どもたちを見守る片山さん

「できることを増やして」と子どもたちを見守る片山さん

  
 今回の講習会は東北地方で初めての開催。主催した釜石市の団体「さんつな(三陸ひとつなぎ自然学校)」の伊藤聡代表(43)は、同協会の講習を受けてインストラクターとなり継続的に行うため準備を進めてきた。18日にはファイヤー編を実施。「震災を直接体験していない子どもたちが意欲を持って学び、万一の時に生き残り、助け合うきっかけになれば」と話した。
 
 

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正確かつ素早く!救助技術訓練の成果を確認 釜石大槌消防本部 県大会へ、選考会でメンバー決定

救助技術の練度を確認する釜石大槌地区消防本部の選手

救助技術の練度を確認する釜石大槌地区消防本部の選手

  
 釜石大槌地区行政事務組合消防本部(佐々木昌貴消防長)は5月30日、消防救助技術岩手県大会に向け最終メンバーを決める効果測定(選手選考会)を釜石市鈴子町の釜石消防署訓練棟施設で行った。県大会でエントリーする陸上の部4種目(個人1、団体3)で実施。選手は訓練で磨いた技術と体力を発揮し、課題をチェックした。
  
県大会に向けたメンバー選考会に臨む消防署員ら 

県大会に向けたメンバー選考会に臨む消防署員ら

   
 釜石、大槌の2署から19人(うち女性2人)が参加した。成果が披露されたのは、消防の基本技能となる15メートルの「はしご登はん」、高所に張られた長さ20メートルのロープを渡って対面する塔上の要救助者を助け出す「ロープブリッジ救助」(4人一組)、8メートルの煙道をくぐって要救助者を外に助け出す「ほふく救助」(3人一組)、地下やマンホールなどでの災害を想定したもので空気呼吸器を着装して降下しロープを用いて要救助者を引き揚げる「引揚救助」(5人一組)の4種目。それぞれ動作の正確さや速さを競った。
 
同僚らが見守る中、垂直に設けられたはしごを登る選手  

同僚らが見守る中、垂直に設けられたはしごを登る選手

  
水平に張られたロープを渡って助け出すロープブリッジ救助

水平に張られたロープを渡って助け出すロープブリッジ救助

  
ほふく救助で鍛錬の成果を見せる隊員ら

ほふく救助で鍛錬の成果を見せる隊員ら

   
 選手は5月上旬からそれぞれ鍛錬を重ねてきた。「頑張れよ」「いけるぞ、よし」「いいね、ナイス」。同僚らの声援を受けながら力を尽くし、上位入賞の17人の県大会出場が決まった。
  
 釜石署の大津果穂さん(22)は、はしご登はんで入賞。「2年目で初めての県大会。緊張すると思うが、しっかり成果を出せるようにしたい」と上を向いた。ロープブリッジの前川柊哉さん(25)は「目指すは東北大会出場。努力が必要で、訓練を重ねたい」と強調。ほふく救助に参加した多田和佳菜さん(23)は「悔いのないよう練習の成果を出し切った。訓練を通じて技術は向上している。実際の活動に生かせるよう、これからも取り組む」と前を見据えた。
   
 大槌署の大久保太陽さん(21)が臨んだ引揚救助は、装備の不調などで審査が中止となった。消化不良の様子で、選考会後に先輩署員の助言も受けながら競技の流れを確認。「こういうこともあるが、実際の現場であってはいけない。一人一人の動き、チーム全体の流れを見直す」と気を引き締めた。
  
引揚救助に臨む署員は息の合った動きを見せた

引揚救助に臨む署員は息の合った動きを見せた

   
 県大会は、6月28日に矢巾町の県消防学校で開かれる。同本部の選手らが目指す東北地区指導会は7月26日に山形県鶴岡市、全国大会は8月25日に北海道札幌市で行われる。また、水上の部は7月19日に東北地区指導会(宮城県利府町)が予定され、同本部は「溺者救助」(3人一組)に選手を派遣する。

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「今こそつなぐ」釜石艦砲射撃の記憶 体験者の証言集めた映画 8月、釜石皮切りに上映開始

8月に釜石で初公開される艦砲射撃を扱った映画のチラシ(右)。5月21日に釜石PITで行われた関係者向けの試写会(左)

8月に釜石で初公開される艦砲射撃を扱った映画のチラシ(右)。5月21日に釜石PITで行われた関係者向けの試写会(左)

 
 釜石市が太平洋戦争末期に受けた2度の艦砲射撃を題材にしたドキュメンタリー映画「廃墟と化した鉄の町 釜石艦砲射撃の記録」(都鳥伸也監督、85分)が、8月5日の釜石市を皮切りに県内上映を開始する。5月21日、同市大町の釜石PITで、映画制作に協力した市内関係者を招いての試写会が開かれた。今後、市民らでつくる釜石上映実行委員会が市内へのポスター掲示などを行い、本上映への多くの来場を呼び掛ける。
 
 同作品は、北上市を拠点に地域に根差した映画制作を行う双子の都鳥拓也さん、伸也さん(40)兄弟が企画。弟伸也さんが監督、兄拓也さんが撮影、編集を手がけた。終戦間際の1945(昭和20)年7月14日、8月9日の2度にわたり、米英軍による艦砲射撃を受け、壊滅的な被害を受けた釜石市。戦後70年以上が経過し、当時の戦禍を経験した人が年々少なくなっていく現状に危機感を覚え、体験者の生の証言とともに歴史資料、研究者の見解から戦災の真実を浮き彫りにした。
 
監督を務めた都鳥伸也さん(右)、撮影・編集・ナレーターを担当した兄拓也さん(左)

監督を務めた都鳥伸也さん(右)、撮影・編集・ナレーターを担当した兄拓也さん(左)

 
 2021年4月に撮影を開始。体験者10人に話を聞いた。インタビュー映像では戦争の恐怖、多くの尊い命が失われ、焼け野原となった市街地の惨状、反戦への強い願いが語られる。作中では釜石が標的となった理由、なぜ2度目の攻撃が行われたのかも研究者らの考察で明らかにする。作品後半では戦後、市民が取り組んできた釜石艦砲の記憶と記録の継承活動、高校生ら若い世代の平和運動も取り上げる。
 
映画の中で艦砲射撃の体験を語った釜石市民ら

映画の中で艦砲射撃の体験を語った釜石市民ら

 
 試写会にはインタビューを受けた艦砲体験者や市平和委員会のメンバーなど約30人が集まった。出演した体験者は90歳を超え、映画の完成を待たずして亡くなった方もいる。撮影時97歳と最高齢だった千田ハルさんは撮影の5カ月後、21年9月に亡くなった(享年98)。21歳の時に艦砲射撃にあった千田さんは戦後、仲間と立ち上げた詩人集団「花貌(かぼう)」の活動で、釜石艦砲記録集を刊行(1971-95年)。延べ300人以上の戦争体験証言を掲載した。自らの戦災体験を語り伝える活動も精力的に行った。
 
晩年に至るまで反戦、平和運動に力を注いだ故千田ハルさん

晩年に至るまで反戦、平和運動に力を注いだ故千田ハルさん

 
 試写会に足を運んだ千田さんの長女(69)は撮影時を振り返り、「(高齢で)取材も受けられなくなってきたころで、ちゃんと話せているか心配だったが、改めて映像を見て、こんなにもしっかりと考えを伝えていたんだと驚いた。まさに母の遺言のよう…」。これが最後のインタビュー映像となった。「平和を願い続けた母の思いがこの映画で少しでも多くの人に届けば」。
 
 都鳥さん兄弟は2021年に地元北上の戦災を取り上げたドキュメンタリー映画を公開。今作はそれに次ぐ県内の戦災記録作品となった。コロナ禍の影響で完成まで2年を要したが、その間、制作に関する報道を見て新たな証言者が現れたり、十分に考える時間ができたりとプラスに働いた面もあったという。監督の伸也さんは「釜石の艦砲射撃についてまとまった書籍はあまりなく、少ない資料からいろいろな積み上げが必要だった。時間をかけられたおかげで、これを見れば釜石艦砲の全容がほぼ分かるという内容にはなったと思う」。ロシアによるウクライナ侵攻で戦争の悲惨さを目の当たりにする今-。「真の平和を後世につないでいくためにも戦争体験者の言葉に耳を傾け、自分事として考えてほしい」。この映画でその思いを広く発信する。
 
映画に出演した藤原茂実さん(中央)は試写会にも出席した

映画に出演した藤原茂実さん(中央)は試写会にも出席した

 
多くの人たちに映画を見てもらいたいと思いを強くする関係者

多くの人たちに映画を見てもらいたいと思いを強くする関係者

 
 釜石上映会は8月5日、大町の市民ホールTETTOで開く。午前10時半と午後2時からの2回上映。料金は一般前売り1000円(当日1200円)、小中学生500円(前売り・当日共通)。8月20日には北上市文化交流センターさくらホール、9月23日には花巻市文化会館での上映を予定する。映画に関する問い合わせはロングラン映像メディア事業部(電話0197・67・0714)へ。

サバイバルマスター 1DAYチャレンジ!

サバイバルマスター 1DAYチャレンジ!

サバイバルマスター 1DAYチャレンジ!
 

6月17日(土) ウォーター編
6月18日(日) ファイヤー編
 
/// 人の手助けができるサバイバルマスターに ///
 
全国の子どもたちにお願いです。
災害時は、大人たちだけでは対応できないことが次々に起こります。
そんな時のために一緒に学び続けよう。

8つのサバイバルプログラム

講習を受けると修了証、実技・筆記試験に合格するとワッペンがもらえます。
スキルが身についているか?学んだことを理解しているか?が合格の基準。
8つのプログラムすべてのワッペンがそろうと「サバイバルマスター」として認定されます。
 
サバイバルマスター 1DAYチャレンジ!チラシ(PDF/540KB)

スケジュール

10:00 受付開始
 
10:30 講習開始
このスキルを身に着けたら、どういった場面で役にたつか、学びながら練習しよう!
 
12:00 昼食
みんなで野外でお昼ご飯を食べよう!
 
13:00 筆記試験
知識がしっかり身についているかテスト!
 
14:00 実技試験
スキルが身についているかテスト!
 
15:30 ふりかえり
 
16:00 解散

定員

20名

講師紹介

片山誠さん
(一社)72時間サバイバル教育協会 代表理事
(一社)ジャパンキッズ 代表理事
 
東日本大震災でのボランティアをきっかけに、子どもたちが生き抜くためには、固定観念にとらわれずに、自ら考え判断出来る力が必要と感じ2013年に法人設立。助け合いの社会を創り、地球平和を実現するために全国で講習・講演活動を行う
 
◎著書
「もしときサバイバル術Jr」
「車バイバル!」
「目指せ!災害サバイバルマスター」(監修)
 
JOLA2019優秀賞受賞
 
★72時間サバイバル教育協会
https://72h.jp/program/

お申し込み

予約フォームよりお申し込みお願いします!
https://reserva.be/santsuna
 
日程:2023年6月16日(土)〜17日(日)
料金(税込):各回3,000円
対象:小学生以上
集合時間:10時受付開始
集合場所:根浜レストハウス キャンプ場(釜石市鵜住居町第21地割23番地1外)
料金に含まれるもの:
※プログラム費、検定費、保険代など含みます
※Tri4JAPANの協力により、通常の参加費(5,500円)より割安になっています
持ち物・注意事項:
●参加費は当日受付でお支払いお願いします(現金、PayPay)
●保護者や、対象年齢以外のご家族も付き添い可能ですが、プログラムには参加できません。

主催・お問い合わせ

さんつな(三陸ひとつなぎ自然学校)
LINE https://lin.ee/RvMUVBk
TEL 0193-55-4630 / 090-1065-9976
mail hitotsunagi.main@gmail.com

協力

72時間サバイバル教育協会
Tri4JAPAN

さんつな

さんつな

自然と災害という二つの要素を織り交ぜながら、若者の生きる力を高めるための体験機会を提供しています。

問い合わせ:0193-55-4630 〒026-0301 岩手県釜石市鵜住居町29-17-20
メール / LINE / 公式サイト / Facebook

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釜石の防災、インドネシアへ 在メダン総領事市長表敬 津波からの復興共有、交流発展願う

 インドネシアと釜石の交流発展へ期待を寄せる田子内進総領事(後列中)と野田武則市長(同左)ら

インドネシアと釜石の交流発展へ期待を寄せる田子内進総領事(後列中)と野田武則市長(同左)ら

  
 インドネシア・在メダン日本国総領事館の田子内進総領事(59)=久慈市出身=は10日、釜石市役所を訪れ、野田武則市長と懇談した。同国では、学校や地域住民が防災教育について学ぶプロジェクトが進行中。この取り組みに釜石市などが協力しており、防災を通じた交流発展への期待感を共有した。
   
 同国は、2004年のスマトラ沖大地震・インド洋津波で甚大な被害を受けた。最大の被災地・スマトラ島最北端にあるアチェ州のバンダ・アチェ市には津波博物館があり、この災害と教訓を伝えている。一方、田子内氏によると、同地震から20年近くたち「震災はなかった」というフェイクニュースを信じる若者もいるといい、住民らの防災意識の低下が課題になっている。映像などの資料に住民が自由に触れられるようアーカイブ館の充実に力を入れていることも紹介。「記憶をつなぐ取り組みが大切。日本にできることがある」と思いを明かした。
   
 休暇に合わせ妻亜矢子さん(50)と里帰り中の田子内氏。同国で進むJICA(国際協力機構)の草の根技術協力事業を活用した「バンダ・アチェ市における地域住民参加型津波防災活動の導入プロジェクト」に、釜石の一般社団法人根浜MIND(マインド)が協力していることから、視察を兼ねて足を延ばした。
  
懇談ではプロジェクトの進み具合や今後の展開について説明された 

懇談ではプロジェクトの進み具合や今後の展開について説明された

   
 懇談には、同法人の岩﨑昭子代表理事や細江絵梨さん(JICA事業プロジェクトマネジャー)、常陸奈緒子さん(同サブマネ)らが同席し、取り組み状況を報告した。プロジェクトの目標は、アチェ市で住民主体の防災プログラムをつくり実践すること。昨年9月から事業は始まっており、博物館スタッフや教育者、防災関係者らにオンライン講義を実施し、釜石の復興まちづくりの経験や教育現場の取り組み、伝承活動のノウハウを届けている。
   
 アチェ市の中学生を対象にしたプログラムの実施も計画。準備のため、5月下旬に現地に出向く細江さんは「釜石の経験を生かした持続可能なプログラムをアチェに伝えられたら。プロジェクトは2025年までの3年間と長いが、相互に訪問したり交流も深めていきたい」と見据える。岩﨑代表理事は「防災を通して学び合えたら。私たちも学び直し成長したい」と熱を込めた。
   
野田市長から記念品などを受け取る田子内総領事(右)

野田市長から記念品などを受け取る田子内総領事(右)

   
 野田市長も「風化は避けられないが、次の世代に伝えなければいけない」と強調し、避難を啓発する韋駄天競争や伝承者の養成といった取り組みを紹介。津波被災地として「互いの記憶を共有、交流できる機会があれば」と期待した。
   
 説明を受け、田子内氏は「防災に携わる人は危機感を持っている。記憶が失われないよう活動を続ける釜石の事例はぴたりとはまる。アチェからインドネシア全体に広がる取り組みになれば。プロジェクトがスムーズに進むよう、後押しする」と約束した。
   
根浜地区の高台にある震災津波記念碑などを見て回った

根浜地区の高台にある震災津波記念碑などを見て回った

   
 田子内氏はこの後、鵜住居町の津波伝承施設いのちをつなぐ未来館を見学。高台造成地に整備された根浜地区の復興団地では同法人の佐々木雄治事務局長から高台移転を決めた経緯やまちづくりの視点を聞き取った。
 

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釜石市震災誌 9月末の発刊目指し作業続行 名称は「撓(たわ)まず屈せず」に決定

 第3回釜石市震災誌編さん委員会=17日

第3回釜石市震災誌編さん委員会=17日

 
 釜石市震災誌編さん委員会(委員長=齋藤徳美岩手大名誉教授、委員15人)は17日、3回目の会合を市役所で開き、本年9月末の発刊を目指し作業を継続していくことを確認した。当初目標の2022年度内完成を延ばし、さらに内容を詰める。名称は、釜石市震災誌「撓(たわ)まず屈(くっ)せず」に決まった。
 
 同震災誌は東日本大震災の事実と教訓を後世に伝えるため、発災から復旧、復興に至る同市の10年の取り組みを体系的に記す。庁内検証委員会が年度ごとにまとめてきた記録誌を基に、9つの部、61のテーマごとに事実・背景、指示事項、具体的活動・結果、教訓を記述。各部の冒頭に有識者のメッセージ、市民の声、トピックスも盛り込む。未来の減災につながる内容、他自治体も参考となるような震災誌を目指す。
 
 発刊時期が23年度にずれこむため、委員を再委嘱(14人再任)。新たに元釜石小校長の加藤孔子さん(いのちをつなぐ未来館館長)が委嘱された。
 
 この日は、編さん委内の作業部会が中心となり作成した原稿案について協議。具体的事例などに関し意見が出された。委員からは「多くの犠牲者が出た鵜住居地区防災センターの記述はもっと詳しく」「生々しさが出ていない。他市町村で教訓が生かされるか疑問」「多数の尊い命が奪われた反省をきちんと伝えるための震災誌に」「詳しく掘り下げたい人向けに参考文献を紹介しては」―といった声が上がった。
 
市震災誌の原稿案について意見を交わす委員

市震災誌の原稿案について意見を交わす委員

 
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 震災誌の名称「撓まず屈せず」は、震災発生から1カ月後、野田武則市長が市民に伝えたメッセージを基にした。明治、昭和の大津波や艦砲射撃の被災から立ち上がってきた歴史、困難を乗り越え成功させた鉄づくりなど、市民に受け継がれてきた「不撓不屈(ふとうふくつ)」の精神を表した言葉。震災復興において市民と共有した思いをタイトルに込めた。市事務局が提案し、委員が承認した。
 
 編さん委は今後、9月末の発刊を目指し、意見交換会などを重ねながら編集作業を進める。震災誌は300部作成し、市内の公共施設や学校、国・県の関係機関、支援した自治体などに配布する計画。個人の入手希望には有料で対応する。
 
 発災から復興に至るまでを丁寧に検証し、次に災禍を繰り返さないための視点を盛り込んだ震災誌は例がなく、齋藤委員長は「他地域でも必ず役に立つ。時間がかかってもいいものにしたい。委員から出た具体化の指摘と公的記録の兼ね合いの部分も作業部会で検討していく」と述べた。

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自転車の安全利用、鍵かけ「地域の模範に」 警察などが釜石中をモデル校に指定

釜石中で行われた自転車安全利用、自転車鍵かけ推進のモデル校指定書交付式

釜石中で行われた自転車安全利用、自転車鍵かけ推進のモデル校指定書交付式

 
 釜石中(齊藤雅彦校長、生徒289人)は本年度、釜石地区における「自転車安全利用」と「自転車鍵かけ推進」のモデル校に指定された。10日、同校で釜石警察署(田中洋二署長)による指定書交付式が行われ、全校生徒が交通安全や防犯への意識を高めた。自転車通学を開始した新1年生向けの安全走行の講習も行われた。
 
 釜石署の田中署長が生徒会長の前川航紳さん(3年)、生活委員長の村田怜奈さん(同)に両指定書を伝達した。田中署長は「基本的な交通ルールやマナーを身に付け、地域の方々や他校生徒の模範になってほしい。自転車だけでなく自宅の鍵かけも家族に呼びかけ、防犯意識を高めてもらえれば」と期待。前川さんは「生徒会の活動にも生かし、地域の皆さんの迷惑にならない登下校を実現していきたい」と決意を述べた。
 
指定書を受け取った前川航紳生徒会長(右)と村田怜奈生活委員長(左)

指定書を受け取った前川航紳生徒会長(右)と村田怜奈生活委員長(左)

 
 式後、同署交通課の後藤和貴交通企画係長が安全な自転車利用について講話。「急いでいる時が一番危ない。周りが見えづらくなり、注意力がおろそかになってしまう」と実際にあった事故事例を紹介。道路交通法の改正で4月から全年齢で努力義務となったヘルメット着用についても、映像教材を用いてその必要性を教えた。実験では、非着用で大けがをする確率は99%。頭を打つと後遺症が残りやすく、命に直結するケースも多い。後藤係長は「自分の身は自分で守り、ぶつかって相手にけがをさせることのないよう交通ルールを順守することが大事」と伝えた。
 
安全な自転車利用について釜石署の後藤和貴交通企画係長が講話

安全な自転車利用について釜石署の後藤和貴交通企画係長が講話

 
通学路の自転車走行の注意点を解説。全校での交通安全教室は3年ぶり

通学路の自転車走行の注意点を解説。全校での交通安全教室は3年ぶり

 
 学校の担当教諭からは登下校時の注意点が説明された。▽決められた通学路を一列で左側走行▽横断歩道や歩行者とすれ違う際は自転車を降りて通行▽スピードを出しすぎない―など。自転車の歩道走行が可能な場所でも、あくまで歩行者優先であることが示された。昨年度、同校で一番多かった違反は並進走行だという。
 
 学区の広い同校では本年度、自転車通学の申請者が100人を超える見込み。この日は、自転車通学の新1年生約30人を対象とした講習も行われた。市交通指導隊(佐藤鉄太郎隊長)の隊員6人が講師を務め、ヘルメットの正しいかぶり方、乗車前の安全点検6項目(ブレーキ、タイヤ、ハンドル、車体、反射材、ベル)を指導。生徒らは学校周辺の道路を実際に走行し、横断歩道での左右確認、交差点での2段階右折などを体験した。
 
市交通指導隊員からヘルメットの正しい着用の仕方を学ぶ

市交通指導隊員からヘルメットの正しい着用の仕方を学ぶ

 
自転車通学の新1年生を対象に行われた実地走行の講習=中妻町

自転車通学の新1年生を対象に行われた実地走行の講習=中妻町

 
 向定内から通う女子生徒は「ヘルメット着用の大切さを知り、乗車前点検も勉強になった。学校までは片道約20分。通学では安全に気を付けて事故に遭わないようにしたい」と気を引き締めた。
 
 釜石署によると、昨年管内で発生した自転車利用者の交通事故は4件(前年同)。中学生ではないが、子どもの被害もあった。3件が自動車との出合い頭の衝突事故だという。自転車盗難の被害は7件発生(前年4件)。5件が無施錠での被害だった。
 
 釜石地区の「自転車安全利用モデル校」には本年度、釜石商工高も指定され、20日に同校で指定書交付式が行われる予定。両校の指定は2年連続。

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防犯・交通安全の視点を持とう!釜石市内で呼びかけ 地域安全と交通事故防止合同出動式  

新たなスタートを迎える春。街頭で安全運転を呼び掛けた

新たなスタートを迎える春。街頭で安全運転を呼び掛けた

  
 釜石市防犯協会(岩渕善吉会長)と市交通安全対策協議会(会長・野田武則市長)は6日、大町の市民ホールTETTOで春の地域安全運動、新入学期の交通事故防止推進期間(6~15日)の合同出動式を行った。防犯・交通関係団体から100人余りが参加。式後に街頭活動を行い、子どもたちへの交通ルール周知や運転者の意識向上、犯罪被害防止を呼びかけた。
 
 合同出動式で、岩渕会長は「市内でも被害が認知されている特殊詐欺は次々と新しい手口が登場したり巧妙化しており、細心の注意が必要だ。新入学期になると子どもの行動範囲が広がる。日常生活の中で防犯、交通安全の視点を持って見守り活動を行ってほしい」とあいさつした。
   
 釜石警察署の田中洋二署長は管内の治安や交通情勢を説明。「2022年の刑法犯認知件数は2件増加の75件、特殊詐欺は予兆電話が依然として後を絶たず、子どもや女性に対する声かけなど安全安心を脅かす事案も断続的に発生している」とし、関係団体と連携した犯罪抑止活動の推進を強調した。また、管内では昨年中に3件(3人)の交通死亡事故が発生。今年1月には横断歩道上の歩行者を高齢者が運転する車がはねるという重傷事故も発生し、「予断を許さない情勢。街頭活動を実施することで、より多くの方の安全意識の高揚が図れることを期待する」と激励した。
  
地域や子どもたちを守る活動に意欲を高めるボランティアら

地域や子どもたちを守る活動に意欲を高めるボランティアら

  
安全指導に出動する防犯パトロール車を関係者が見送った

安全指導に出動する防犯パトロール車を関係者が見送った

 
 参加者は安全指導に出動する警察のパトカー、ボランティアが乗った青色防犯パトロール車を見送り、目抜き通りとイオンタウン釜石の出入り口に分かれて両運動のスタートを市民に伝えた。TETTO前の県道(主要地方道)沿いでは「事故多発注意」「自転車安全運転」「携帯電話運転禁止」などと呼びかける手持ちの看板を掲げてアピールした。
  
 改正道路交通法の施行で、今月から自転車に乗る時は全年齢でヘルメット着用が努力義務となったこと踏まえ、周知活動を強化。20年に全国で起きた自転車に乗った人の事故で、死者の約6割が頭部に致命傷を負っていた―といった実態や「自転車安全利用五則」を示したチラシを、歩行者やヘルメット未着用の自転車利用者に配った。
  
自転車利用時のヘルメット着用を呼びかけるチラシを配布

自転車利用時のヘルメット着用を呼びかけるチラシを配布

  
「気を付けて」。まちの安全へ市民個々の意識高揚を訴えた

「気を付けて」。まちの安全へ市民個々の意識高揚を訴えた

 
 地域安全運動は「なくそう犯罪 ふやそう笑顔 みんな大好き岩手県」をスローガンに掲げる。▽子ども・女性・高齢者の犯罪被害防止▽鍵かけの励行-を重点とし、青色回転灯装備車両による防犯パトロールなど啓発活動を展開。関連で、釜石署は11日に市内3町内会へ「鍵かけモデル地区」指定書を交付、防犯意識を高めてもらい施錠の習慣化を図る。
  
 交通事故防止推進期間における活動は、今年行われる統一地方選挙の影響で、例年4月に実施する春の全国交通安全運動が5月11~20日にずれるため岩手県が独自に講じた対策。事故が起きやすい新入学期に、関係団体が連携して子どもの安全を守る活動を強化する。スローガンは「あげた手は いのちをしらせる 警報機」。▽運転者の歩行者保護と道路横断者の交通マナー向上▽自転車の安全利用の推進▽すべての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底-を重点に据える。
 

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期待!化学反応 釜石と神奈川の高校生ら交流 合言葉は「震災の記憶伝承と防災」

防災に取り組む仲間として親睦を深めた釜石と神奈川の高校生

防災に取り組む仲間として親睦を深めた釜石と神奈川の高校生

 
 釜石高の生徒有志グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」を応援しようと、神奈川県で募金活動を展開した2つの学生団体が1日、釜石市を訪れ、夢団メンバーと交流した。両地域の学生に共通するのは「東日本大震災の記憶と防災の取り組みをつなぐ」との熱い思い。それぞれの活動を紹介し合い、刺激し合うことで起こる「化学反応」に期待を寄せた。
  
 来釜したのは、鎌倉市で防災に取り組む中高生ボランティアグループ「玄海」代表の橋本玄(はるか)さん(金沢総合高3年)と、逗子市で同様の活動を行う「3.11つなぐっぺし」代表の田島太地(だいち)さん(同)。それぞれの市で3月11日を中心に街頭に立って募金活動を行った。「私たちは震災の記憶を持つ最後の世代。岩手県釜石市で伝承活動をしている高校生を応援しています」と呼びかけ、玄海は5日間の活動で40万円を集め、つなぐっぺしには4日間で20万5801円が寄せられた。
 
釜石市を訪れた橋本玄さん(左)と田島太地さん

釜石市を訪れた橋本玄さん(左)と田島太地さん

 
鎌倉市や逗子市での募金活動を動画で紹介した

鎌倉市や逗子市での募金活動を動画で紹介した

 
 交流会は大町の情報交流センターであり、夢団代表の小笠原桜さん(釜石高3年)らメンバー11人が迎えた。神奈川の2団体が募金活動を行うきっかけは、3月上旬(3-5日)に夢団が招かれた横浜市での交流行事。橋本さんは「同じ年で、震災の経験や防災の話を伝える姿に感動した。うれしくて応援したくなった」、田島さんは震災を知らない世代が増えていることを踏まえ、「若い世代がつないでいくことが大事。防災を学ぶことで、いざという時に役立っていくはず」と思いを明かした。
  
神奈川からの応援を受け取った小笠原桜さん(中央)ら

神奈川からの応援を受け取った小笠原桜さん(中央)ら

  
 応援金を受け取った後、夢団メンバーは使い道を話し合った。釜石鵜住居復興スタジアムでの語り部や防災食の研究、動画による発信、災害時の判断力を養う防災ゲーム「釜石版クロスロード」の作成などの活動を行っていて、それぞれの取り組みを深化させることを共有。「ユニホームをつくる」「震災の被災地以外でも活動したい」といった声も上がった。
  
 そんな釜高生に、橋本さんは「面白いことをして」と期待。防災士でもあり、「鎌倉は津波想定で、最大14メートル超の波が8分で到達するとされている。災害に弱いまちなので、震災の記憶を受け継ぎたいし、ワンチームで互いに学び合いながら防災を広める活動に取り組みたい。どんな化学反応が起こるか、楽しみ」と目を細めた。
  
共通の話題で意気投合。笑顔で交流を楽しんだ

共通の話題で意気投合。笑顔で交流を楽しんだ

 
やってみたい取り組みを共有する高校生たち

やってみたい取り組みを共有する高校生たち

  
 神奈川の2つの団体は「防災を楽しく」をテーマに、音楽や食、キャンプ、運動会などと組み合わせたイベントで学びを発信している。横浜訪問で2人と顔を合わせていた釜高2年の佐々木有寿(ありす)さんは再会を喜びつつ、「震災被災地と遠く離れた場所でも災害に備え、真剣に取り組んでいることを知って刺激を受けた。人口が多い土地ならではの防災にも興味を持った。もっと広い地域の取り組みを知りたいし、釜石のことに触れてもらう機会も作りたい」と思いを深めた。
 
 小笠原さんも同じ気持ちだ。震災当時4歳で、地震の怖さや自宅のあった鵜住居地区をのみ込む黒い波を覚えている。だからこそ、「記憶を残す最後の世代だ」ということを強く意識する。同年代の応援は心強く、「今の活動をレベルアップさせ、新しいチャレンジもしてみたい。個人的には、小学生に防災を教えるプロジェクトを立ち上げたい」と力をもらった。
 
 

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釜石大槌消防職員OB「消防支援隊」結成 豊富な経験生かし大規模災害時に業務支援

釜石大槌地区の「消防支援隊」として活動する消防職員OBと行政事務組合関係者ら

釜石大槌地区の「消防支援隊」として活動する消防職員OBと行政事務組合関係者ら

 
 釜石大槌地区行政事務組合消防本部は大規模災害発生時の体制強化を目的に、2023年度から同本部職員OBによる「消防支援隊」を発足させた。地震・津波、水害、山火事などで大きな被害が予想される際、消防長の要請で庁舎などに参集。情報収集や消防団との連絡調整、資機材準備といった後方支援を主に担う。同様の組織の創設は、盛岡地区に次いで県内2例目となる。
 
 支援隊は同本部管轄区域内に居住する75歳未満の元職員(在職10年以上、健康な方)で組織。無償で活動する。初年度は該当者20人中、64~74歳の16人が登録。3月30日、釜石市鈴子町の消防本部庁舎で発足式が行われ、隊員11人と関係者が出席した。
 
釜石大槌地区消防本部「消防支援隊」発足式=3月30日、消防庁舎

釜石大槌地区消防本部「消防支援隊」発足式=3月30日、消防庁舎

 
 組合管理者の野田武則釜石市長は「東日本大震災を経験した皆さまの豊富な知識、技術を再び釜石市民、大槌町民のために発揮していただきたい」と式辞。登録隊員が紹介され、同本部の大丸広美消防長が代表の千葉榮(さかえ)さん(70)に登録証を交付した。2011年度から13年度まで同本部消防長を務めた千葉さんは「任務の重要性を深く心に刻み、全力で支援にまい進する」と決意表明した。
 
登録証と活動時に着用するヘルメット、ベストなどを受け取る千葉榮さん(左)

登録証と活動時に着用するヘルメット、ベストなどを受け取る千葉榮さん(左)

 
支援隊員を代表し、千葉さん(左)が決意表明

支援隊員を代表し、千葉さん(左)が決意表明

 
本部から貸与されたベストを着用する支援隊員ら

本部から貸与されたベストを着用する支援隊員ら

 
 登録した16人のうち13人は東日本大震災発生時に現職。支援隊の必要性は消防退職者会の集まりで3年ほど前から話題に上り、同本部に相談。先進地盛岡でも話を聞くなどし、発足への準備を進めてきた。千葉さんは「(人口減少、少子高齢化などで)消防団員も減ってきている中、消防職員OBが何もしないわけにはいかないと考えた。現職時代に得た数々の経験、教訓を生かし、災害対応の力になれれば」と話す。
 
 大規模災害発生時は現場出動の人員が増え、消防庁舎での対応人員が不足しがち。要請された支援隊がいち早く駆け付け、初期対応に加わることは大きな助けになる。OB側からの自主的な提案に大丸消防長は「非常に心強い。隊員は震災時の緊迫した状況下での指揮経験もある。支援活動を通じて現職への経験の伝承にもつながっていけば」と期待した。

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国内外の中高生、釜石・根浜海岸に集う 海の安全、環境学ぶスプリングキャンプ

ドライスーツを着用して救命艇の乗組員になりきる中高生

ドライスーツを着用して救命艇の乗組員になりきる中高生

 
 国内外の中高生が集い、海の安全や海洋環境を考えるスプリングキャンプが3月下旬に釜石市鵜住居町の根浜海岸で行われた。地元岩手県や釜石地域をはじめ、宮城県や佐賀県など日本各地、ニュージーランドなどから32人が参加。変化する海や自然環境を踏まえ、それらへの向き合い方や命を守る技術を体験的に学んだ。
  
 日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で、一般社団法人根浜MIND(マインド)と一般社団法人Atrantic Pacific Japan=APJ(アトランティック・パシフィック・ジャパン)の共催。3月25~29日まで5日間の日程で、海での安心・安全を確保する基礎知識や技術を学んだり、廃プラスチックを使ったものづくり、東日本大震災後のまちづくりを住民に聞くワークショップ、漁業体験などが行われた。
  
水難救助の心構えを説明するロビン・ジェンキンスCEO(右)

水難救助の心構えを説明するロビン・ジェンキンスCEO(右)

  
 27日は4グループに分かれて活動した。同海岸では水難救助のワークショップがあり、講師を務めたのはAPJの本部・英国の非政府組織(NGO)APのロビン・ジェンキンスCEO(49)。日本と同じ島国の英国に根付く「ボート・レスキュー(BR)」のシステムを進化、普及するため救命艇の提供や乗組員の育成を行っていることを紹介した。
  
 APは2016年に震災の被災地支援で同海岸に英国式の救命艇を提供している。その救命艇の装備や機能の説明を受けた後、参加者は乗組員が使うロープの結び方を実践したり、ドライスーツを着用したりした。ジェンキンスCEOは「近年の気候変動により海の環境が変化、溺水事故も増えている。事故を減らすためには教育、命を守るスキルが大事。APではこれまでに600人以上を訓練したが、将来的にもっと多くの人をトレーニングしたい。ぜひ参加を」と呼びかけた。
  
水難救助のワークショップ。ロープ結びの習得は海の安全の基本

水難救助のワークショップ。ロープ結びの習得は海の安全の基本

  
 同海岸にある観光施設根浜シーサイド・レストハウスでは、プラスチックリサイクルに関するワークショップを開催。釜石市内を拠点に再生可能エネルギーの普及や自然と調和した電気の自立供給ができるオフグリットな暮らしの実証実験に取り組む一般社団法人ユナイテッドグリーンの山田周生さんが講師を務めた。プラスチックごみによる海洋汚染について課題提起後、プラごみを再生するオランダ発祥のプロジェクト「プレシャスプラスチック」を紹介。参加者は、山田さん自作の加工用機械を使い、ペットボトルキャップをコースターに再生する体験も行いながら、プラごみの減量や再利用の大切さに理解を深めた。
  
海洋汚染を学んで廃プラスチックでものづくりをするワークショップ

海洋汚染を学んで廃プラスチックでものづくりをするワークショップ

 
ペットボトルキャップをコースターに再生する活動を体験した

ペットボトルキャップをコースターに再生する活動を体験した

  
 ニュージーランド・クライストチャーチ市から参加したミリー・ジェルステッドさん(16)は「人を助ける活動に興味を持っている。未来について似たような考え、視点を持つ人と触れ合えて楽しい。さまざまな活動が積み重なって、人や未来のためにできることを見つけることができる」と意義を見いだす。初来日で、文化の違いに興味津々。根浜の風景も気に入った様子だった。
  
 APJなどは19年夏に同海岸で同様のキャンプを実施。20、21年はコロナ禍でオンライン交流にした。昨年夏に現地開催を再開し、釜石高2年の八幡伊吹さんはサマーキャンプに続いて2回目の参加。「日本とは違った考え方の外国人や多様な人と関わることで固定概念をなくし、いろんな考えを取り入れられる。泊まり込みというのも非現実的を味わえる。とても充実している」と明るい笑顔を見せた。
  
根浜海岸の安全を守る救命艇

根浜海岸の安全を守る救命艇

  
 根浜MINDでは夏場を中心に、救命艇を使った子ども対象の海の安全教室を実施。同海岸海水浴場の開設期間中の監視活動なども行っており、今年も継続する。