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多くの報道陣が見守る中、陸中山田駅を出発する三陸鉄道の試運転「一番列車」

三陸鉄道 宮古―釜石間 試運転開始、約8年ぶりに列車走る〜全線開通へ向け安全確認

多くの報道陣が見守る中、陸中山田駅を出発する三陸鉄道の試運転「一番列車」

多くの報道陣が見守る中、陸中山田駅を出発する三陸鉄道の試運転「一番列車」

 

 県の第三セクター三陸鉄道(本社宮古市)に移管されるJR山田線宮古―釜石間(55・4キロ)で28日、三鉄の車両を使った試運転が始まった。震災後、一般車両が同区間を走るのは初めて。約8年ぶりに線路を走る列車を、沿線から手を振って見送る住民もあった。踏切などが正常に作動するかを確認し、3月23日のリアス線(163キロ)全線開通に向けて万全を期す。

 

 同区間は津波で約8キロにわたり線路が流失し、13駅のうち7駅が被災。JR東日本が線路や駅舎の復旧を進め、主な工事が完了したことから、営業車両での試運転を開始した。

 

 試運転初日は三鉄とJRの社員30人が参加した。新たに導入した新車両を使い、三鉄の運転士がJR社員の指導を受けながら運転。49カ所にある踏切や標識など電気設備の動作確認を行いながら、時速25キロ以下のゆっくりとした速度で宮古―釜石間を1往復した。

 

 試運転は、山田町豊間根で火事があった影響で、約40分遅れで始まり、釜石駅には午後0時30分ごろ到着した。

 

釜石駅に到着した試運転の車両=28日午後0時30分

釜石駅に到着した試運転の車両=28日午後0時30分

 

 山田町の陸中山田駅では、沿線住民がカメラを構えるなどして待望の“一番列車”を迎えた。駅の近くの復興住宅で暮らす中村ワキさん(71)は「県立釜石病院までバスで通院しているが、とても不便。リアス線が開通すれば通院も楽になる」と3月23日の開業を心待ちにしている。

 

 試運転は来月2日まで徐々に速度を上げながら続け、同3日からは運転士の技術習熟のための訓練運転に移る。

 

待望の試運転開始に手を振って喜ぶ住民

待望の試運転開始に手を振って喜ぶ住民

 

 三鉄の金野淳一運行本部長は「沿線の方々から期待する声を多くいただき、ようやくスタートラインに立てた。試運転が無事に終わり開業を迎えられるよう、安全第一で進めていきたい」と気を引き締めた。

 

 JR東日本東北工事事務所の板内豊次長は「最も重要なのは安全の確保。今回の試運転で信号や踏切が無事に動いてほっとした。運転士の技術確認などリアス線全線開通まで三鉄に協力していく」とスムーズな移管に前向きな姿勢を示した。

 

(復興釜石新聞 2019年1月30日発行 第761号より)

 

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広報かまいし2019年2月1日号(No.1705)

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広報かまいし2019年2月1日号(No.1705)

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【表紙】全国虎舞フェスティバル/市長のつぶや記
【P2~3】市政懇談会を開催します/市道天神町3号線の道路改良工事/胃がん検診の追加実施/スパイス&ハーブを使った体験型イベント/心のケア班市民講座「こころのじかん7」
【P4~5】意見を募集しています(第2次健康かまいし21プラン中間見直し/第2次釜石市食育推進計画/釜石市自殺対策アクションプラン)
【P6~7】まちのお知らせ
【P8】やっぺし!RWC2019TM通信/釜石シーウェイブスRFC入れ替え戦結果/釜石オープン・フィールド・ミュージアム国際観光フォーラム「持続可能な観光とジオパーク」

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リノベーションによる再生へ動き出した仲見世通り

釜石大観音仲見世通り、シャッター商店街再生へ〜クラウドファンディングで資金募る、プロジェクト実現へ新会社設立

リノベーションによる再生へ動き出した仲見世通り

リノベーションによる再生へ動き出した仲見世通り

 

 釜石大観音仲見世通りに再び商店街のにぎわいを―。釜石市大平町の観光名所「釜石大観音」につながる同通りをリノベーションまちづくりで再生させる合同会社sofo(ソホ)が始動。事業の第1弾となる直営カフェ開業に向け、20日からクラウドファンディングで資金を募り始めた。代表社員の神脇隼人さん(30)、宮崎達也さん(47)は「シャッター商店街を全て開け、人が行き交う場所に」と最終目標を掲げ、エリアマネジメントに意欲を見せる。

 

 同社は昨年12月11日に設立。前職が不動産業で、釜石ローカルベンチャーコミュニティ事業(起業型地域おこし協力隊)に応募し、7月に来釜した神脇さん(千葉県出身)、建築士として震災復興に携わるため2012年に移住し、15年に立ち上げた市民団体「釜石大観音仲見世リノベーションプロジェクト」で各種イベントを手がけてきた宮崎さん(三重県出身)、福島県南相馬市、東京都豊島区池袋本町でリノベーションまちづくりに取り組んできた堀越圭介さん(38、東京都出身)が設立メンバーとなった。

 

神脇さん(前列左)、宮崎さん(同右)と支援者ら

神脇さん(前列左)、宮崎さん(同右)と支援者ら

 

 社名は、通りの景観を象徴する建物屋根の赤色「赭(そほ)色」と、リノベーションなどで倉庫街から文化発信地に変貌した米国ニューヨークの「SoHo」に由来。主な事業として仲見世物件の企画、提案、テナントマッチングなどを行う。

 

 リノベーションまちづくりは、遊休不動産を活用しまちおこしをする手法。半径200メートル以内(徒歩5分圏)をエリア設定し、その土地の強みを生かしたコンセプトのもと、テナント誘致や空き家所有者とのマッチングを実施、エリア価値を高めていく(エリアマネジメント)。

 

 同仲見世商店街は1977年ごろ形成され、二十数店が軒を連ねたが、経済低迷や後継者不在など時代の流れとともに閉店が相次いだ。長年、空き家や2階の住居利用のみとなっていた通りに注目した宮崎さんは、同プロジェクトでにぎわいイベントを企画。昨年5月には建物改修でシェアオフィスもオープンさせた。

 

 昨年3月に仲見世を訪れ、独特の雰囲気に引かれていた神脇さんは、一足早く再生への取り組みを始めていた宮崎さんにカフェの開店を相談。同所の再興に夢を描く2人は今後を見据え、会社を立ち上げることを決めた。

 

 カフェは以前、そば店として営業していた旧味奈登庵の建物1階を活用し、6月を目標に開業予定。上下水道、換気、消防設備などの工事と厨房(ちゅうぼう)機器購入に必要な資金をネット上で募るため、クラウドファンディングに着手した。目標額は400万円。

 

 20日は午後8時からサイトが公開されるのに合わせ、支援者ら約20人が同店舗に集まりカウントダウン。会場の模様を1時間にわたりライブ配信し、代表社員2人の思いや支援者の応援メッセージを熱く発信した。結果、1時間で40万円が集まり、上々の滑り出しとなった。同サイトによる寄付の受け付けは3月5日まで行われる。

 

 「これまでリニューアルなどもされず、エリアの価値が下がる一方だったこの場所に、新しい店で風を吹き込みたい。ここでの商売の可能性を示し、興味を持った事業者の出店を促せれば」と宮崎さん。

 

 「お金を生み出す場所として、しっかり旗を立てたい」と会社化の意義を話す神脇さんは「歴史が育んだ通りの雰囲気を壊さず、住民の暮らしにも配慮したまちづくりを目指す。もう一度ここでビジネスをやりたいという人が戻ってきてくれたら」と期待。居心地良く長く滞在できる空間形成で、市内外から人を呼び込みたいと意気込む。

 

(復興釜石新聞 2019年1月26日発行 第760号より)

 

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「つながる復興道路」をテーマに意見を交換

復興道路の活用探る、「釜石花巻」開通へシンポ〜津波伝承のネットワーク化を、“生みの親”徳山日出男さん提案

「つながる復興道路」をテーマに意見を交換

「つながる復興道路」をテーマに意見を交換

 

 本県沿岸と内陸部を結ぶ東北横断自動車道釜石花巻道路(総延長80キロ)が今年3月末までに全線開通を予定する中、「岩手の未来を切り拓く」と題し、県、釜石市主催の「復興道路シンポジウム」が19日、釜石市民ホールで開かれた。市民ら約400人が参加。「復興道路」として着々と整備が進む三陸沿岸道と合わせた高速交通網の有効活用、震災の教訓発信のあり方などについて認識を新たにした。

 

 オープニングで「両石虎舞」が披露されたあと、政策研究大学院大学客員教授の徳山日出男さん(元国土交通省事務次官)が「本物の復興をなし遂げるために」と題して基調講演した。

 

「本物の復興をなし遂げるために」と題して基調講演する徳山日出男さん

「本物の復興をなし遂げるために」と題して基調講演する徳山日出男さん

 

 徳山さんは震災時、国土交通省東北地方整備局長として被災者支援の指揮を執り、復興道路の全線事業化やスピード整備に尽力した。発災直後に、障害を取り除いて道路を開く啓開(けいかい)に全力を挙げるよう指示。東北道、国道45号から沿岸部に向けて東西に伸びる横軸を開通させる「櫛(くし)の歯作戦」を展開し、「復興道路の生みの親」とされる。

 

 講演では、発災直後に自ら記した「指示メモ」など生々しい記憶を示しながら、「かつてないスピードで道路整備が進む背景に、多くの犠牲があったことを忘れてはならない。その上に地元、企業、官庁が一丸となった特別な事例」と強調。「道路ができたらOKではなく、道路を生かす方策が重要。物流や観光と並び、災害を伝承することも東北の使命」とし、津波伝承のネットワーク化を提案した。

 

講演やパネルディスカッションに共感の拍手を送る

講演やパネルディスカッションに共感の拍手を送る

 

 続いて、「つながる復興道路、これからの釜石・岩手」をテーマに4人が意見交換。津波にのまれそうになりながらも生還した宝来館の女将(おかみ)、岩崎昭子さんは「津波に備えて裏山に造っておいた避難路が役立った」と〝九死に一生〟の思いを語った。

 

 震災当時、大槌町で救急業務に当たった釜石大槌地区行政事務組合消防本部の岩間英治総務課長は「震災直前に開通した三陸道釜石―両石間が避難道路となり、物資の輸送や患者の搬送道路にも役立ち、まさに〝いのちの道路〟として役立った」と振り返った。

 

 元釜石東中生徒会長で現在は震災の語り部として活動する沼崎健さんは、全校生徒が声を掛け合いながら高台に逃げた当時を振り返り、「津波について学べるまちづくりを。県内外の人々を対象にした学習ツアーを企画したい」と提案した。

 

 被災地の復興を見据えてラグビーワールドカップ(W杯)の招致に力を尽くし、大会アンバサダーとして活動する釜石シーウェイブスRFCの桜庭吉彦ゼネラルマネジャー兼監督は今秋に迫った開催に向け、「W杯で釜石と世界がつながる。被災地東北では唯一の開催。道路の完成で国内外から訪れる多くの観光客に三陸の魅力を伝えたい」と熱い思いを述べた。

 

(復興釜石新聞 2019年1月19日発行 第758号より)

 

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顔の墨もりりしく、イカ釣りで安全と繁栄のお告げをする子ども

大漁祈り するめっこ釣り〜尾崎白浜で小正月の伝統行事、子どもら元気に家々めぐる

顔の墨もりりしく、イカ釣りで安全と繁栄のお告げをする子ども

顔の墨もりりしく、イカ釣りで安全と繁栄のお告げをする子ども

 

 釜石市の尾崎白浜地区に伝わる小正月行事「するめっこ釣り」は15日、行われた。漁師に扮(ふん)した男の子16人が漁家17軒を巡り、イカ釣りのまね事をしながら家内安全、豊漁のお告げを伝えた。大漁のしるし「イカ墨」を満面に付けて行進する一団を、地域住民が笑顔で迎えた。

 

 小正月は「浜の正月」とされ、漁を休み、船と乗組員の安全、大漁を祈る習慣がある。するめっこ釣りは、子どもたちが元気に成長している姿を示す“顔見せ”として行われる伝統行事。

 

 参加したのは3歳から小学6年生。豆絞りの鉢巻きを締め、小さな疑似イカを糸先に結び付けた竹ざおを担いで尾崎神社本宮に参拝。このあと、招かれた家々を回った。

 

 「するめっこ、釣らせてけだんせ」とあいさつし、家主から「釣れ、釣れ」と許可を得ると、玄関に並び、イカの鳴き声をまね、漁をする動きを続けた。

 

 子どもらは「ひと、ふた、みー、よー…ここ(のつ)、とー」と釣り上げた数を確認。家主が「なんぼ釣った?」と問うと、「満船」(船いっぱいのイカ)と元気な声を上げた。

 

 頑張った子どもに家主は駄賃を弾み、筆にたっぷりと墨を含ませ、子どもの顔に乗せた。毛筆の感触に「こっちょがしー(くすぐったい)」と身をよじる子ども、「でんび(ひたい)に書いて」とリクエストする上級生もいた。

 

 リーダーの佐々木北斗君(平田小6年)は「小さな子は話を聞いてくれなくて」と、グループをまとめるのに四苦八苦。「今年は中学生になる。今はバウンドテニスをしているけど、部活はバドミントンを考えている」と春を待つ。

 

 同地区の平田第3仮設住宅に住む漁業佐々木與一さん(80)、ナヲさん(74)夫妻も子どもたちを迎えた。遅れていた自宅再建は、仮設住宅から見える場所に2月の完成を見込む。「小さくても自分たちの家に住める。次男の家が隣にあり、安心だ。子どもたちがいっぱい来て、やっと小正月の気分になった。来年は新しい家に来てもらう」と楽しみにしている。

 

(復興釜石新聞 2019年1月19日発行 第758号より)

 

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三陸道・大槌ー山田南IC間の開通をテープカットで祝う達増知事ら関係者

三陸道 大槌―山田南開通、「復興道路」着々延伸〜本年度内に釜石市内2区間も

三陸道・大槌ー山田南IC間の開通をテープカットで祝う達増知事ら関係者

三陸道・大槌ー山田南IC間の開通をテープカットで祝う達増知事ら関係者

 

 「復興道路」として整備が進む三陸沿岸道路(仙台市―八戸市)釜石山田道路(23キロ)の大槌(大槌町)―山田南(山田町)インターチェンジ(IC)間8・0キロが12日、開通した。これにより大槌町から宮古市までの34・6キロがつながった。同区間の開通により、一般道の国道45号を利用するより約6分の短縮が見込まれる。

 

三陸道 大槌ー山田南開通

 

 山田南IC付近で行われた開通式典には関係者約250人が出席。達増拓也知事が「三陸沿岸地域の復興を力強く後押しするものと確信する」とあいさつ。山田町の佐藤信逸町長は「県立釜石病院がある釜石市への移動時間が大幅に短縮され、まさに命をつなぐ道路となる」と期待を込めた。

 

 テープカットやくす玉割りで開通を祝ったあと、大槌町の中須賀大神楽と大槌保育園の園児25人による和太鼓演奏が披露された。このあと警察や消防など関係車両が「走り初め」のパレード。地元住民らが小旗を振って見送った。

 

開通の車両パレードを小旗を振って見送る保育園児ら

開通の車両パレードを小旗を振って見送る保育園児ら

 

 式典に出席した釜石市の野田武則市長は「釜石までの開通が近付いたと実感した。今後は宮古や大船渡が通勤圏となり、釜石がいかに住み良いまちになるかが問われる」と気を引き締めた。

 

 国は三陸沿岸道路の仙台港北IC(仙台市)―八戸ジャンクション(八戸市)間を「復興道路」と位置づけ、20年度までの全線開通を目指している。大槌―山田南IC間は2012年に着工。今回の開通で本県の三陸沿岸道路約212キロの約半分に当たる108キロが開通した。本年度内には釜石市内の2区間も開通を予定し、宮古市と陸前高田市がほぼ結ばれる。大槌―釜石北IC間は19年度内の開通を予定する。

 

 南三陸国道事務所によると、宮古中央―陸前高田IC間が全て開通した場合の移動時間は約1時間10分で、整備前より40分程度短縮する。

 

(復興釜石新聞 2019年1月16日発行 第757号より)

 

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出席者は二十歳の門出にそれぞれの決意を新たにした

希望の未来へ第一歩、成人式に295人出席〜釜石復興への思い新たに、小学校卒業時に震災を経験

出席者は二十歳の門出にそれぞれの決意を新たにした

出席者は二十歳の門出にそれぞれの決意を新たにした

 

 14日の「成人の日」を前に釜石市では13日、市と市教育委員会が主催する「成人のつどい」が大町の市民ホールTETTOで開かれた。小学校卒業時に東日本大震災を経験し、家族や地域住民に支えられながら成長してきた若人は、復興から新たなまちづくりに向かう古里釜石の力となるべく、それぞれの道での精進を誓った。
 
 

今年の新成人は1998年4月2日から99年4月1日までに生まれた人たち。式典には釜石出身者を中心に、男性154人、女性141人の計295人が出席した。

 

 震災犠牲者に黙とうをささげて開式。野田武則市長はあいさつの中で、震災経験者としての教訓発信、釜石人の誇り「不撓(ふとう)不屈の精神」継承―を新成人に期待。ラグビーW杯開催、高速道路網完成、鉄道復旧など同市を取り巻く環境が大きく変わる本年を〝新時代釜石の幕開けの年〟と位置付け、「これからのまちづくりには皆さんの若い力が必要。1人でも多く釜石に戻り、協力してくれることを切に願う」と呼び掛けた。

 

 中学、高校の多感な時期を震災復興とともに歩み、たくましく生き抜いてきた新成人。多くの苦難を乗り越え迎えた大人としての第一歩は、復興の進展と時を同じくし、未来への希望に満ちたスタートとなった。

 

 新成人代表で抱負を述べた慶應義塾大総合政策学部2年の寺崎幸季さん(19)=釜石中、釜石高出身=は東京で、首都圏在住の釜石出身者やゆかりの人々でつくる「はまゆり会」に参加したことを紹介。「年齢が離れていても共通の話題で盛り上がり、心の故郷は釜石であると実感した。地元に誇りを持つ釜石人が今年のラグビーW杯で大勢の人を迎えられたら最高」と深い地元愛を示した。

 

二十歳の喜びに笑顔を輝かせる釜石中野球部出身者

二十歳の喜びに笑顔を輝かせる釜石中野球部出身者

 

 新成人有志20人は虎舞を披露。市民歌斉唱では、釜石高音楽部出身の新成人6人に在校生部員4人が加わり、リード斉唱を担当した。

 

 式典の前後には館内で、釜石市民吹奏楽団の演奏、釜石茶道協会による呈茶があり、新成人の門出を華やかに祝った。晴れ着に身を包んだ新成人は仲間との記念撮影や会話に心を躍らせ、あちこちで笑顔の花が咲いた。

 

(復興釜石新聞 2019年1月16日発行 第757号より)

 

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釜石市老人クラブ連合会、老人パワーで盛り上げよう ラグビーW杯釜石開催へ〜さらなる発展へ声上げる、新春交流会で結束誓う

釜石市老人クラブ連合会、老人パワーで盛り上げよう ラグビーW杯釜石開催へ〜さらなる発展へ声上げる、新春交流会で結束誓う

「老人パワーで盛り上げよう」と乾杯する市老連の会員ら

「老人パワーで盛り上げよう」と乾杯する市老連の会員ら

 

 釜石市老人クラブ連合会(栗澤稔会長、加盟35クラブ)の2019年新春交流会は10日、釜石市平田のホテルシーガリアマリンで開かれた。各クラブの代表ら約90人が出席。今年秋に釜石で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)へ「老人パワーで盛り上げよう」と声を上げた。

 

 釜石の老人クラブ会員は年々減少し、現在は約1100人。昨年は釜石市民ホールを会場に県老人クラブ大会が開かれ、県内から約800人が集まった。

 

 栗澤会長は「総力を挙げて取り組んだ県大会は成功させることができた」とあいさつ。「今年は釜石を中心にした縦、横の高速道が出来上がり、三陸鉄道も全線開通する。9、10月にはラグビーW杯も開かれる。老人クラブとして美化活動を中心に盛り上げたい」と呼び掛けた。

 

栗澤会長が年頭のあいさつ

栗澤会長が年頭のあいさつ

 

 続いて、クラブ活動に積極的に加わり、運営などにも尽力した会員15人を表彰した。

 

 野田武則市長は「昨年には市内最後の復興住宅も完成したが、まだ約300世帯が仮設住宅で暮らしている」などと震災からの復興状況を報告。W杯への準備状況を説明した上で、「心配された財源についても国の新たな支援策が決まり、市民に負担をかけないめどが付いた。老人クラブ連合会は市内最大の組織。みなさんの力なくして釜石のさらなる発展はない」と会員らに協力を呼び掛けた。

 

 市議会の佐々木義昭議長、沿岸広域振興局保健福祉環境部の黒田農部長が祝辞を述べた。

 

 同連合会は今月30日に新春囲碁・将棋大会を予定。3月6~7日にはスカットボール大会も開く。3月13~14日には花巻温泉での親睦旅行会も計画している。

 

優良会員として表彰された受賞者ら

優良会員として表彰された受賞者ら

 

優良会員表彰受賞者
濱田登(小川・小川誠心会)、佐藤庸子(甲子中央・見晴らし会)、佐野テル(浜町青葉・只越はまゆりクラブ)、佐々木朝子(甲子東部・小佐野老人クラブ)、土田二三(唐丹・小白浜長生会)、菊池登美男(栗橋・中村いきいきクラブ)、及川梅夫(甲子中央・大畑不動クラブ)、千葉喬子(甲子中央・甲寿会)、小槌健夫(甲子東部・小佐野老人クラブ)、佐々木義隆(小川・上小川老人クラブ仙寿会)、佐藤和子(中妻・緑千八千代会)、川崎孝生(栗橋・砂子畑老人クラブ高砂会)、砂子アチ子(甲子西部・大松老人クラブ)、佐々木千代吉(小川・小川誠心会)、菊池美代(矢の浦・松原老人クラブ高砂会)

 

(復興釜石新聞 2019年1月12日発行 第756号より)

 

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心を和ませるほっこり大観音、お地蔵さん

大観音とお地蔵さん、ほっこり人形 販売へ〜お守り 癒しに活用期待、大槌町の企業と釜石大観音が共同開発

心を和ませるほっこり大観音、お地蔵さん

心を和ませるほっこり大観音、お地蔵さん

 

 工業デザインモデルの試作などを手がける大槌町のササキプラスチック(佐々木弘樹社長、社員17人)は、石応禅寺(都築利昭住職)が運営する釜石大観音とのコラボ企画で、新商品「ほっこり大観音」(7種)と「ほっこりお地蔵さん」(2種)を開発。正月3が日、釜石市大平町の大観音境内で試験販売を行った。

 

 お守りや癒やしグッズとして活用が期待される同商品は、樹脂製で高さ4センチ。観音様の顔は、愛らしくデフォルメされた2パターンで、「恋人の聖地」をイメージさせるハート、魚、ラグビーボールなどのパーツを抱える。地蔵は口を大きく開けたユニークな表情が印象的で、交通安全とラグビーバージョンがある。

 

 製作は、彫刻刀で作った原型を3Dスキャンに読み込み、データ化。光造形加工で同じものを複数立体化し、塗装や組み立ては手作業で行う。高価な金型を導入すると千、万単位の製作販売が必須で、売れ残りのリスクを負うが、この方法だと顧客が求める必要数だけを短期間に製作することが可能。「ちょっと欲しいものをすぐ作れる」メリットがあるという。

 

 今回の企画は、県と大観音が観光振興を目指し、木製のミニチュア観音像製作を同社に依頼したのが発端。同社からより親しみやすいデフォルメ観音の製作を逆提案し、構想から約2カ月で試験販売にこぎつけた。

 

新商品をお披露目する佐々木社長(左)と山崎さん

新商品をお披露目する佐々木社長(左)と山崎さん

 

 企画・製作担当の山崎誠喜さん(56)はデザインも手がけ、「こだわりは見る人を和ませる目と口の表情。当面はイベントなどで販売し、集客にも貢献できれば」と期待。普段は企業の試作品製作が主で、一般の人が製品を目にする機会はないことから、「当社の技術を広くアピールできる。お客さまと直接触れ合い、意見を聞けるのも貴重」と喜ぶ。

 

 同社は1991年創業。27歳で古里大槌に戻り、会社を立ち上げた佐々木社長(54)は「自分たちの設備、技術で『いつか自社製品を』という思いは常々あった」と夢実現の第一歩を歓迎。「子どもの絵でもご当地キャラクターでも臨機応変に対応可能なのがわれわれの強み。この商品を見かけた人が『こういうものを作れないか』と声を掛けてくれたらうれしい」と話した。

 

 各商品は、1個1200円(税込み)で販売。次回は1月12、13日にイオンタウン釜石で開かれるイベント「新春!家族で楽しむまちなか遊び」で販売予定。

 

(復興釜石新聞 2019年1月9日発行 第755号より)

 

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広報かまいし2019年1月15日号(No.1704)

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キャンドルの明かりを掲げ、ラグビーW杯イヤーへカウントダウン

W杯イヤーへカウントダウン〜鵜住居スタジアムで年越し

キャンドルの明かりを掲げ、ラグビーW杯イヤーへカウントダウン

キャンドルの明かりを掲げ、ラグビーW杯イヤーへカウントダウン

 

 2019年はラグビーワールドカップ(W杯)日本大会開催イヤー。9、10月に2試合が行われる釜石鵜住居復興スタジアムでは大みそか、W杯イヤーに向けて年越しのカウントダウンイベントが行われた。子どもからお年寄りまで、県内外から約150人が参加。ライトアップされたスタジアムに、それぞれ手に持ったキャンドルの明かりを掲げ、「W杯を成功させよう」と声を合わせた。

 

 メインスタンドの大屋根に設置されたスクリーンにラグビーW杯日本大会のPR映像が映し出された。年越しの時間が迫るとスクリーンに丸い時計が浮かび上がり、進む秒針に合わせ、スタンドを埋めた人たちから「10、9、8、7……」とカウントダウンの声が上がった。

 

 仙台市から駆け付けた前田茂さん(68)は中学まで釜石で学び、大学卒業後は商社マンとして世界を駆け回った。大町にあった実家の文房具店は、今はないが、ふるさと釜石への思いは年を経るごとに高まる。鵜住居スタジアムにも何度も足を運んでいるという。カウントダウンには、「いい時代の釜石を知っている。人口は減ったが、W杯をきっかけに、震災前より、もっといい釜石になってほしい」と願いを込めた。

 

 震災で家と仕事を失い、やっと昨年、只越町に再建を果たした三上雅弘さん(57)は「こんな日が来るとは、夢のよう」。連れ立ってスタジアムに足を運んだ妻真江子さん(55)と手を取り合って喜んだ。

 

 石川県珠洲市から駆け付けた釜石応援ふるさと大使、浅田久美さん(55)はウエートリフティング女子世界選手権の銀メダリスト。「ラグビーW杯をここでやることに意味がある。きっと、子どもたちの大きな力になる」と期待を込めた。

 

(復興釜石新聞 2019年1月5日発行 第754号より)

 

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テレビ中継も入り、にぎやかな年越しとなった鵜住神社

NHK「ゆく年くる年」生中継、釜石復興 全国発信〜鵜住神社 震災以降最多の初詣客

テレビ中継も入り、にぎやかな年越しとなった鵜住神社

テレビ中継も入り、にぎやかな年越しとなった鵜住神社

 

 2019年、ラグビーワールドカップ(W杯)の開催、三陸鉄道リアス線、東北横断道釜石―花巻間全線開通など、震災復興の完遂へ重要な局面を迎える釜石市。輝く未来への第一歩となる新年の幕明けに、まちは大きな期待感に包まれた。正月3が日の市内は天候にも恵まれ、初詣や初売りなどに出かける人の動きも活発化。各所でにぎわいが続いた。

 

 大みそか深夜、鵜住居町の鵜住神社(花輪宗嗣宮司)には、震災以降最多の初詣客が訪れた。この日は、午後11時45分から放送のNHKの年越し番組「ゆく年くる年」で、同神社と釜石鵜住居復興スタジアムからの生中継があり、新年初の舞を奉納する鵜住居虎舞の様子が全国放映された。放送では、被災から立ち上がってきた同虎舞の歩みや神社周辺の復興状況などが伝えられた。

 

 放送を目当てに集まった地元住民らで境内は大にぎわい。中継が終わると、本殿の前に参拝客の列が連なった。参道では、神社総代会が準備した肉汁や甘酒が振る舞われ、新年のあいさつを交わす家族連れらが笑顔を広げた。

 

大勢の参拝客が並んだ境内=午前0時20分ごろ

大勢の参拝客が並んだ境内=午前0時20分ごろ

 

 同町川目の小澤修さん(69)は、帰省した娘家族ら親族11人でお参り。「昨年は病気をしたが、今年はきちっと治して健康に過ごせれば」と願い、ラグビーW杯や三鉄開通で変わる鵜住居駅周辺を中心としたまちの再興に期待を込めた。

 

 鵜住居地区復興まちづくり協議会の会長代行を務める佐々木憲一郎さん(51)は「宅地の引き渡しもほぼ終わり、今年は“個々の復興”がキーワード。自宅再建が進み、駅前の祈りのパークが完成したら、まち開きも考えていきたい」とし、次のステップへの移行を見据えた。

 

 同虎舞を伝承する鵜住居青年会の小原正人会長(31)は「W杯というめでたいことで、小さな町が全国的に注目されるのはうれしい」と番組出演を喜び、「先輩たちがつなぎ、震災に負けることなく残った虎舞。これからも絶やすことなく伝え、住民に元気を与えられれば」と思いを新たにした。

 

 同神社は一昨年までに、被災したみこしや鳥居の再建を完了。昨年末には神社周辺の宅地造成や道路整備も終わり、一般家屋の新築工事が進む。花輪宮司は「家も建ち始め、復興への道のりもあと少し。神社は神様と氏子がいて成り立つもの。住民が戻り、鵜住居全体が落ち着いた時こそが、神社全ての復興と言えるのではないか」と話し、まちの未来へ希望を託した。

 

(復興釜石新聞 2019年1月5日発行 第754号より)

 

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