三陸鉄道 宮古―釜石間 試運転開始、約8年ぶりに列車走る〜全線開通へ向け安全確認
多くの報道陣が見守る中、陸中山田駅を出発する三陸鉄道の試運転「一番列車」
県の第三セクター三陸鉄道(本社宮古市)に移管されるJR山田線宮古―釜石間(55・4キロ)で28日、三鉄の車両を使った試運転が始まった。震災後、一般車両が同区間を走るのは初めて。約8年ぶりに線路を走る列車を、沿線から手を振って見送る住民もあった。踏切などが正常に作動するかを確認し、3月23日のリアス線(163キロ)全線開通に向けて万全を期す。
同区間は津波で約8キロにわたり線路が流失し、13駅のうち7駅が被災。JR東日本が線路や駅舎の復旧を進め、主な工事が完了したことから、営業車両での試運転を開始した。
試運転初日は三鉄とJRの社員30人が参加した。新たに導入した新車両を使い、三鉄の運転士がJR社員の指導を受けながら運転。49カ所にある踏切や標識など電気設備の動作確認を行いながら、時速25キロ以下のゆっくりとした速度で宮古―釜石間を1往復した。
試運転は、山田町豊間根で火事があった影響で、約40分遅れで始まり、釜石駅には午後0時30分ごろ到着した。
釜石駅に到着した試運転の車両=28日午後0時30分
山田町の陸中山田駅では、沿線住民がカメラを構えるなどして待望の“一番列車”を迎えた。駅の近くの復興住宅で暮らす中村ワキさん(71)は「県立釜石病院までバスで通院しているが、とても不便。リアス線が開通すれば通院も楽になる」と3月23日の開業を心待ちにしている。
試運転は来月2日まで徐々に速度を上げながら続け、同3日からは運転士の技術習熟のための訓練運転に移る。
待望の試運転開始に手を振って喜ぶ住民
三鉄の金野淳一運行本部長は「沿線の方々から期待する声を多くいただき、ようやくスタートラインに立てた。試運転が無事に終わり開業を迎えられるよう、安全第一で進めていきたい」と気を引き締めた。
JR東日本東北工事事務所の板内豊次長は「最も重要なのは安全の確保。今回の試運転で信号や踏切が無事に動いてほっとした。運転士の技術確認などリアス線全線開通まで三鉄に協力していく」とスムーズな移管に前向きな姿勢を示した。
(復興釜石新聞 2019年1月30日発行 第761号より)
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