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めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

 

 「輝け!!未来へ!!東北のパラの星」と題したトークイベントが14日、釜石市の釜石東中体育館で開かれた。一般社団法人チームスマイル(東京都)が行う東日本大震災復興支援活動「“わたしの夢”応援プロジェクト」の一環で、同法人と釜石まちづくり会社が主催。「五体不満足」がベストセラーとなった作家の乙武洋匡さんが、来年の東京パラリンピック出場を目指す東北出身の女子アスリートらに話を聞いた。

 

 宮城県気仙沼市出身で、陸上の世界大会投てき3種目で優勝実績のある斎藤由希子さん(SMBC日興証券)、同仙台市出身で、車いすバスケットボール女子日本代表として国際大会に出場している萩野真世さん(アビームコンサルティング)、釜石市在住で、国内水泳大会で多数優勝している村田奈々さん(釜石市役所)がゲスト。

 

 観客約50人を前に各競技のデモンストレーションを実施。希望者が砲丸投げや車いすバスケを体験し、障害者スポーツへの理解を深めた。トークでは、競技を始めたきっかけや競技生活を送る上での苦労、ルールや見所などを語った。

 

 萩野さんは、障害の度合いによる選手の持ち点の合計が5人で14点以下になるようにチーム編成する車いすバスケの特徴的ルールを紹介。現在、国内大会は男女混合、国際大会は男女別で戦っており、各チームでの役割の違いに「いろいろな目線、状況に応じた対応力が養われる」とメリットを示した。

 

 左腕の肘から先が義手の斎藤さんは、中学の陸上部で健常者と共に競技を始め、東北大会で活躍。高校から障害者の大会にも出場し、大学生の時に日本記録をマークしたが、ライバルのいない大会に物足りなさを感じることも。「健常者と一緒の大会で、もっと上を目指していけば、いつか障害者の世界でトップに立てる」とパラリンピックを目指す決意を固めたという。

 

 高校時代に下肢機能障害を負った村田さんは20代前半から本格的に水泳に挑戦。現在、11歳の娘を育てながら競技を続ける。「娘は時に励まし、時に厳しい言葉をくれる頼もしいコーチ。遠征が続くと寂しい思いをさせてしまうが、できるだけ2人の時間は作るようにしている」。災害時に離れている場合は「お互いを信じて行動する」ことも確認し合っているという。

 

 来年の東京パラに、斎藤さんはやり投げでの出場を、萩野さんは女子日本代表12人に選ばれることを目指している。「今日のイベントが競技場に足を運ぶきっかけになれば。パラは知れば知るほど面白い。興味を持って見ていただけたら」、村田さんは「身近にパラ選手がいることを知ってもらえた。東京パラの盛り上がりが終息しないよう、私たち選手もさらに頑張っていきたい」とし、応援を呼び掛けた。

 

 先天性四肢欠損の乙武さんは、最新鋭の技術を搭載したロボット義足で、1年半前から歩く練習を重ねていることを明かした。「できない、足りないことを嘆くのではなく、できることで頑張っている3人から学ぶ点は多い。釜石はワールドカップで、ラグビーという強みが一段と強化された。釜石だからこそできることで、地域を盛り上げていただけたら」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

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「希望のピアノ」を喜ぶ唐丹小高学年の児童と「唐丹希望基金」の高舘代表(左)

澄んだ音色に広がる笑顔、「希望のピアノ」唐丹小・中に〜唐丹希望基金から贈り物

「希望のピアノ」を喜ぶ唐丹小高学年の児童と「唐丹希望基金」の高舘代表(左)

「希望のピアノ」を喜ぶ唐丹小高学年の児童と「唐丹希望基金」の高舘代表(左)

 

 東日本大震災で校舎を失った唐丹小(佐々木康人校長、児童44人)と唐丹中(菊地正道校長、生徒32人)の支援を続ける「唐丹希望基金」(高舘千枝子代表)は12日、両校兼用の体育館で使用するグランドピアノ1台を寄贈した。児童・生徒全員が「希望のピアノ」を囲み、澄んだ音色に笑顔を広げた。

 

 体育館で行われた贈呈式で、菊地校長は「唐丹の子どもに新しいピアノを―と支援した全国の人たちの思いを忘れてはいけない。大切に使おう」と呼び掛けた。

 

 矢巾町から訪れた高舘代表(70)は「以前のピアノが使えないという話を聞き、今年6月から募金を始めた。唐丹出身者の東京唐丹町会、釜石市の姉妹都市である東京都荒川区のみなさんや、全国の570人以上の方々が協力してくださった。唐丹の子どもたちが元気に勉強し、立派な大人になるよう願う」と期待を述べた。

 

 唐丹小児童会長の岩澤優真君(6年)は「きれいな音色に合わせて、きれいな声で合唱練習します」、唐丹中生徒会長の久保翔太君(2年)は「ピアノに合わせて心を込めて歌い、多くの人に感謝の気持ちを伝えたい」と喜びを語った。

 

 寄贈されたグランドピアノはヤマハ製。側面に「希望のピアノ」とサインされた。児童らが鍵盤に触れ、「前のピアノより音がきれい」と期待を膨らませた。

 

 唐丹町片岸地区にあった唐丹小は震災の津波で校舎や体育館が壊れ、ピアノも使えなくなった。小白浜地区にあった唐丹中も地震で校舎が使用不能に。小学校は震災の翌年度から平田小で間借り授業。中学生は地震に耐えた体育館を仕切った教室で学んだ。12年12月、小白浜地区に両校の仮設校舎が完成、移転した。17年4月から、現在の本設校舎で共に学ぶ。

 

 これまで体育館にあったピアノは震災後に東京芸大が支援したが、耐用年数を過ぎて楽器の機能を失った。

 

 震災後に唐丹教育支援プロジェクトを立ち上げ「唐丹希望基金」として支援を継続する元教員の高舘代表らが全国の仲間に呼び掛け、ピアノに特化した支援金を募った。これまでの支援金総額は3千万円以上に上るが、物品を贈るのは今回のピアノが初めて。

 

 「この9年の間に子どもや地域の人たちの心が柔らかくなったと感じる。ピアノを贈るのは、いい記念になった。感無量」と高舘代表。募金活動は本年度で終えるが、管理している積立金を運用した支援活動は今後もしばらく続けるという。

 

 来年3月の唐丹中の卒業式後、両校PTAが中心となり「唐丹希望基金への感謝のつどい」を開く。

 

(復興釜石新聞 2019年12月14日発行 第850号より)

 

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信仰の対象として大事にされている「荒川熊野権現御神楽」

郷土愛育む伝統の舞、釜石市郷土芸能祭〜次世代継承の願い込め、市内外から5団体出演

大船渡市三陸町越喜来に伝承される「浦浜念仏剣舞」

大船渡市三陸町越喜来に伝承される「浦浜念仏剣舞」

 

 第24回釜石市郷土芸能祭(市、市教委主催)は8日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。市内から「橋野鹿踊り」「箱崎虎舞」など4団体、特別出演として大船渡市三陸町の「浦浜念仏剣舞」が出演。約450人が各地に継承される伝統の舞を堪能した。

 

 開演に先立ち、同祭実行委の川原清文委員長は「郷土芸能は地域に根差した伝統文化であり財産。郷土愛を育むことにもつながる」とあいさつした。

 

 トップを飾った「荒川熊野権現御神楽」は唐丹町の荒川町内会(雲南幹夫会長)が伝承する。1187(文治3)年に海上安全、火防などの守護神として紀州熊野から分霊を勧請した「荒川鎮座熊野神社」の信仰とともに今に至る。毎年小正月の時期に地域住民の厄をはらう門打ちを続けている。

 

 同祭出演は22年ぶり4回目。神の使いとされる御獅子が悪魔をはらう御神楽舞、地の守舞など4演目を総勢約40人で披露した。文化部長の久保正春さん(67)は「地域になくてはならないもの。人が少なくなり大変だが、何とか後継者を育てていきたい」と願った。

 

信仰の対象として大事にされている「荒川熊野権現御神楽」

信仰の対象として大事にされている「荒川熊野権現御神楽」

 

 「“正調”釜石浜唄、釜石小唄」として両曲の踊りを披露したのは、瓦田季子さん(81)率いる「瓦田会」の5人。同浜唄は大正時代、釜石に入港した船頭衆が歌っていた九州の浜節からヒントを得て、尾崎神社の山本茗次郎宮司(当時)ら町の名主が作詞。お座敷唄として親しまれてきた。

 

 浜町「幸楼」で73年間、芸者として浜唄を歌い継いできた藤間千雅乃さんは2016年に他界(享年89)。藤間さんの弟子で、さまざまな場で浜唄を踊っていた木皿宏子さんも翌17年に亡くなった(享年76)。

 

 2人の遺志を継ぎ、踊りの伝承に励む瓦田さんは、13年の同祭にも藤間さんらと出演。「浜唄は釜石が誇る大事な文化の一つ。多くの人に知ってほしい」と願う。初舞台を踏んだ岩鼻千代美さん(46)は「継承への意欲を持つ若者が現れるよう、次世代につないでいきたい」と思いを新たにした。

 

藤間さんらの思いを継ぎ釜石浜唄を踊る「瓦田会」

藤間さんらの思いを継ぎ釜石浜唄を踊る「瓦田会」

 

 県の無形民俗文化財に指定される「浦浜念仏剣舞」は、江戸時代中期に始まったと推測される。疫病や津波などで何度も途絶えたが、1972(昭和47)年に浦浜青年会が復活させ、保存会も結成された。同祭では舞台上に東日本大震災犠牲者を慰霊する塔婆を立て「念仏踊り」を披露したほか、悲しみを吹き飛ばすような荒々しい踊りが特徴の「長刀(なぎなた)」「高館(たかだち)」も見せた。

 

 初めて足を運んだ大平町の70代女性は「最高でした。大船渡の念仏剣舞は興味深かった。釜石の芸能もなかなか見られないので、来て良かった」と声を弾ませた。

 

 同祭は1977年にスタート。これまで市内59芸能が披露されている。2006年からは市外団体の特別出演も。近年は、ほぼ隔年度で開かれている。

 

(復興釜石新聞 2019年12月14日発行 第850号より)

関連情報 by 縁とらんす
第24回釜石市郷土芸能祭
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釜石、板橋の団員が同じステージに立ち、音楽の楽しさを伝えた演奏会

釜石市民吹奏楽団、固い絆 ブラスで奏でる〜音楽で育む友情、板橋区吹奏楽団 賛助出演

釜石、板橋の団員が同じステージに立ち、音楽の楽しさを伝えた演奏会

釜石、板橋の団員が同じステージに立ち、音楽の楽しさを伝えた演奏会

 

 釜石市民吹奏楽団(谷澤栄一団長、60人)の第53回定期演奏会(市民芸術文化祭参加)は24日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。昨年、創立40周年を迎え、震災後初のホール公演で新たな一歩を踏み出した同団。今年は、被災からの復活を物心両面で支援してきた東京都の板橋区吹奏楽団(辻啓宏団長、60人)が賛助出演し、音楽が結ぶ両市区の絆を観客と共に分かち合った。

 

 演奏会は3部構成。1部と3部は釜石のステージで、ファンファーレ「輝く日への前奏曲」で幕開け。「寄港地~3つの交響的絵画~」、映画「海の上のピアニスト」のテーマ曲など、港町釜石を印象づける楽曲のほか、「ジョーズ」「ある愛の詩」など米映画の大作、ディズニー映画の各メドレーも披露された。

 

 2部に登場した板橋は「~音・楽・絵・巻~ミュージック・ページェント」と題し、音と映像で送るステージを披露。ジュラシック・パークのテーマ、組曲「動物の謝肉祭」など自然や生き物を意識した曲を演奏し、曲の世界観を目と耳に訴えた。

 

 板橋区吹奏楽団(板吹)は2011年10月、東日本大震災の津波で楽器を失った釜石へティンパニーなどの大型楽器と管楽器を寄贈した。同年は板吹の創立25周年にあたり、団は大型楽器の入れ替えを予定していたが、折しも震災が発生。被災した同じ社会人吹奏楽団を支援できないかと考え、盛岡吹奏楽団の仲介で釜石への楽器寄贈が実現した。以来、両団は互いの演奏会に招き合うなど交流を重ね、「釜石にホールが再建された際には一緒に演奏を」という夢を、ついにかなえた。

 

 この日は板吹の団員35人が来釜。アンコールでは釜石市吹と「木陰の散歩道」など2曲を合同演奏し、感動の演奏会を締めくくった。板吹の辻団長(35)は「自分たちの楽器が現役で活躍しているのを見て、うれしく思う。釜石の団員はすごく楽しそうで、演奏から『音楽が生きる力になっている』のを感じる」と喜びの表情。同団が誇る「ステージドリル」を釜石で披露したいという新たな夢も描き、継続交流を願った。会場では名誉団長の坂本健板橋区長のメッセージも披露された。

 

 釜石市吹の谷澤団長(60)は念願の合同演奏に「音楽に言葉はいらないというのはまさにその通りで、前から一緒にやっているような感じ」。板吹の支援に改めて感謝し、「いろいろな方に助けられ、真摯(しんし)に音楽に取り組んできたからこそ今がある。今後は各所に出向いての演奏もできるだけ増やしていきたい」と意気込んだ。

 

 釜石高吹奏楽部の朝倉芽生さん(1年)、佐藤七海さん(同)は板吹のステージに「映像とライトの演出が曲と合っていて、すごく引き込まれた」と感激し、「場所は離れていても音楽でつながり、助け合う姿は素晴らしい」と大先輩に敬意を表した。

 

(復興釜石新聞 2019年11月30日発行 第846号より)

 

復興釜石新聞

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令和元年度鉄の週間事業

令和元年度鉄の週間事業

令和元年度鉄の週間事業

 

鉄の歴史館鉄の記念日無料公開
旧釜石鉱山事務所無料公開
鉄の歴史館企画展「鐵の鉄道展」の開催
旧釜石鉱山事務所企画展の開催
鉄の学習発表会の開催
鉄のパネル展の開催

 

鉄の歴史館鉄の記念日無料公開

 
鉄の記念日である12月1日(日)は鉄の歴史館を無料公開しています。
あわせて、当日来館された小・中学生(先着50名)に学研まんがでよくわかるシリーズ155「鉄のひみつ」を1冊プレゼントします。
 

鉄の歴史館

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233293_2452.html

 

旧釜石鉱山事務所無料公開

 
12月1日は大島高任が磁鉄鉱を原料に高炉法により連続出銑(連続生産)に成功したことから鉄の記念日とされています。
 
その高炉が建設された釜石市甲子町大橋に現在あるのが国登録有形文化財「旧釜石鉱山事務所」です。「旧釜石鉱山事務所」では釜石鉱山の歴史や採集できる岩石などの展示を行っています。
 
12月1日鉄の記念日は「旧釜石鉱山事務所」を無料公開しています。近代製鉄発祥の聖地である大橋にぜひ足をお運びください。
 

大島高任

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233294_2452.html

 

鉄の歴史館企画展「鐵の鉄道展」の開催

 
鉄の歴史館企画展「鐵の鉄道展」

「鐵の鉄道展」解説パンフレットは鉄の歴史館にて販売しております(200円)

 

現在の国道283号南側には日本で3番目の鉄道工部省鉱山寮釜石鉄道が走っていました。その後、その北側に55年前まで釜石鉱山専用汽車(社線)が走っていました。今回は「鐵の鉄道展」と題し、その記憶を紹介します。ぜひご来館ください。

企画展示

日時:令和元年11月23日(土・祝)~令和2年1月13日(月・祝)
※毎週火曜日・12月29日~1月3日は休館
会場:釜石市立鉄の歴史館 2階
内容:工部省鉱山寮釜石鉄鉄道や社線などの資料やパネル
社線使用機関車の青焼き詳細図面も展示
入館料:大人500円 高校生300円 小中学生150円

名誉館長講演会

入場無料
日時:令和元年12月1日(日) 10時~12時
会場:釜石市立鉄の歴史館 1階 総合演出シアター
講師:鉄の歴史館名誉館長 小野寺英輝さん(岩手大学理工学部准教授)
演題:官営製鉄所と第三の鉄道

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233296_2452.html

 

旧釜石鉱山事務所企画展の開催

 
旧釜石鉱山事務所企画展

 
今回の旧釜石鉱山事務所での企画展は、「社宅街-製鉄所と鉱山が作ったまち-」と題し、様々な資料を紹介します。ぜひご来館ください。

企画展示

開催期間:令和元年11月23日(土・祝)~令和元年12月8日(日)
※毎週火曜日・水曜日は休館
会場:旧釜石鉱山事務所 2階
内容:釜石製鉄所及び釜石鉱山の社宅について、関連資料、パネルにて紹介
入館料:一般300円 小中学校100円

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233297_2452.html

 

鉄の学習発表会の開催

 
鉄の学習発表会
 
今年も鉄の記念日に合わせ、「鉄の学習発表会」を開催します。市内中学校、高等学校の生徒が、日頃の鉄の学習の様子や成果を発表してくださいます。ぜひ皆様ご覧ください。
 
日時:令和元年11月30日(土)10時〜12時
場所:イオンタウン釜石 2階 イベントスペース
発表校:岩手県立釜石商工高等学校 総合情報科3年生、釜石市立釜石中学校 総合文化部、釜石市立甲子中学校 1年生

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233299_2452.html

 

鉄のパネル展の開催

 
鉄のパネル展

※こちらは昨年展示した際の画像となります。

 
今回のパネル展は、岩手の世界遺産パネルを展示します。ぜひご覧ください。
 
開催期間:11月23日(土・祝)~12月8日(日)
※12月3日(火)はシープラザ釜石が定休日のため、ご覧になれませんのでご了承ください。
場所:シープラザ釜石 1階 イベントスペース

元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/detail/1233341_2452.html

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 世界遺産課
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8846 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:各催しに記載のURL
釜石市

釜石市

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多様な表現活動に取り組む市民らの個性豊かな作品を紹介する芸術文化祭

開花の明日を信じて〜第49回釜石市民芸術文化祭、19団体 多彩に発表

多様な表現活動に取り組む市民らの個性豊かな作品を紹介する芸術文化祭

多様な表現活動に取り組む市民らの個性豊かな作品を紹介する芸術文化祭

 

 釜石市の芸術の秋を彩る第49回釜石市民芸術文化祭(市、市教育委員会、市芸術文化協会主催)は8日から10日まで大町の市民ホールTETTOで開かれた。「弛(たゆ)まぬ美の文化を育む、芸術の開花の明日を信じて」をテーマに掲げる市内最大の文化の祭典。今年は市内団体による展示発表に加え、岩手芸術祭巡回美術展と移動公演を同時開催。多彩な作品が並び、文化、表現活動の魅力を発信した。

 

来場者は会場を回りながら思い思いに芸術の秋を楽しんだ

来場者は会場を回りながら思い思いに芸術の秋を楽しんだ

 

 9日午後に行われたセレモニーで野田武則市長は「釜石は文化の薫り高いまち。今まで積み重ねてきた取り組みを守り、発信し、大きく羽ばたいてほしい」とあいさつした。

 

 展示部門は芸文協加盟の19団体が絵画や生け花、切り絵、写真、書道、ステンドグラスなどを出展。昨年好評だった美術館風に仕立てた特別展示コーナーでは、釜石小が所蔵する盛岡市出身の画家深沢紅子(1903―93)の静物画、双葉小が所蔵する新町在住の画家桑畑和生さん(68)の風景画、芸文協加盟団体の代表作品をスポットライトで浮かび上がらせる演出で紹介した。

 

光の演出を活用した美術館風に仕立てた特別展示コーナー

光の演出を活用した美術館風に仕立てた特別展示コーナー

 

 水墨画遊心会(谷藤稔会長)は会員4人の作品12点を展示。谷藤会長(77)=甲子町=は多くの人に見てもらう機会を喜びつつ、「奥深い世界。腕を磨き続ける。何でも挑戦していきたい」と意欲をにじませた。

 

 岩手芸術祭美術展公募作品から選ばれた日本画やデザイン、彫刻など見応えのある美術作品も多数展示。豊かな表現力で来場者を魅了した。

 

 発表部門には4団体が出演し、和洋の演奏、歌、踊りを披露。今年も協会外から出演者を募り、二胡の演奏もあった。

 

会場と一体で楽しんだ釜石芸能連合会の「釜石小唄」

会場と一体で楽しんだ釜石芸能連合会の「釜石小唄」

 

 8日のステージ発表に登場したのは、琴城流大正琴・白百合会(鈴木琴節永代表)。「大正琴のつどい」と題し、会員8人が歌謡曲や童謡など14曲を演奏した。

 

 和装の女装でボランティア活動を続ける鹿野正治さん、日本キリスト教団新生釜石教会の柳谷雄介さんらが賛助出演。演奏に乗せて踊って歌い、にぎやかな舞台となった。

 

歌と踊りを融合した演奏を披露した琴城流大正琴・白百合会

歌と踊りを融合した演奏を披露した琴城流大正琴・白百合会

 

 平田の柴田栄子さん(72)は「すてきな音色で癒やされる。しんなりとした踊りも演奏と合っていた。盛り上がって楽しい時間を過ごせた」と喜んだ。

 

 同会の活動は今年で33年目。市内の老人ホームや復興住宅などで演奏活動を続ける。教室では現在、30~80代の12人が学ぶ。最高齢の木村睦子さん(89)=平田=は習い始めて20年。「楽しく演奏できた。元気なうちは頑張る。来年も舞台に立ちたい」と望んだ。

 

 鈴木代表は「よく続いた。みんなのおかげ。大舞台での発表に会員たちは味を占めた様子。要望に応え来年もここで」と期待を込めた。

 

茶道協会による呈茶コーナー。笑顔のもてなしを添えた潤いを提供した

茶道協会による呈茶コーナー。笑顔のもてなしを添えた潤いを提供した

 

 岩手芸術祭移動公演として、国の重要無形民俗文化財でユネスコの無形文化遺産に登録されている早池峰神楽「大償神楽」(大償神楽保存会)、モダンダンス(金田尚子舞踊研究所)のステージ発表が行われ、今年の芸文祭に華やかな彩りを添えた。

 

 市芸文協の河東眞澄会長(79)は「1年間の活動の集大成の場。出展者の心意気を感じ取り、心豊かな時間を。釜石の芸術文化活動の創造、発展につなげたい」と今後を見据えた。

 

(復興釜石新聞 2019年11月13日発行 第841号より)

 

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ウィリアムスさん(右)の指導を受ける釜石中生

元ウェールズ代表 シェーン・ウィリアムスさん、釜石中で交流〜台風被災の釜石サポート、ラグビーのまちに思い寄せる

野田市長を訪ねたウィリアムスさん(中央)

野田市長を訪ねたウィリアムスさん(中央)

 

 開催中のラグビーワールドカップ(W杯)で躍進する英国ウェールズ。かつて代表として活躍し、その後、日本でもプレーした経験のあるシェーン・ウィリアムスさん(42)がW杯PRなどのために来日し、釜石市にも足を延ばした。15日に釜石市役所を訪ね、野田武則市長を表敬。釜石中(川崎一弘校長、生徒304人)では特設ラグビー部の生徒約35人と交流し、スポーツを通した子どもたちの成長や釜石ラグビーの盛り上がりに期待を寄せた。

 

 ウィリアムスさんは2000年に代表デビュー。W杯には03年、07年、11年の3大会出場し通算10トライ。08年には世界最優秀選手に選ばれた。トライ数60は世界歴代3位。12~14年は日本の三菱重工相模原でプレーした。

 

 今回、W杯に合わせて来日したウィリアムスさんは、東日本大震災後の釜石で、ウェールズから届けられたコンテナ収用型救命艇を活用し、水難救助の人材育成事業などが展開されていることを知り、事業を支える同国の団体「アトランティック・パシフィック」を通じて釜石を訪問。市役所を訪れる前に、事業を進める鵜住居町の一般社団法人「根浜MIND(マインド)」(岩崎昭子理事長)などの案内で、根浜海岸での救助体験の様子を見学した。

 

 市役所では野田市長らと懇談。ウィリアムスさんは日本でプレーした際、釜石シーウェイブス(SW)RFCと対戦しており、知人も多い。震災、訪問直前の台風での被害に心を痛め、「サポートしたいとの思いを実現できる機会。スポーツ交流をしたい」と熱望。初めて訪れた釜石の印象について、「プリティー、ラブリー。海、山があり、自然がきれい」と話した。

 

 野田市長はW杯釜石開催の2試合目を中止した苦しい胸の内を明かし、「ラグビーのまちであることへの思いは変わらない。W杯もみんなで応援しながら盛り上げていきたい。ラグビーの楽しさを感じ、釜石から日本を代表する選手が出てほしい。世界との交流の拠点として前に進めるよう、協力を」と期待した。

 

 この後、釜石中を訪れたウィリアムスさんは、特設ラグビー部の練習に参加。パス、タックルなど基本の動き、技術について助言した。

 

ウィリアムスさん(右)の指導を受ける釜石中生

ウィリアムスさん(右)の指導を受ける釜石中生

 

 佐々木翔大君(3年)は「声掛けなどコミュニケーションの大切さを実感。基本をしっかりやることも大事だと分かった。教わったことを忘れない」と感謝した。

 

 同部は、来月開催される県中総体ラグビーフットボール競技大会に出場する。主将の篠原颯汰君(同)は「まず1勝」と控えめ。自身は高校から本格的にラグビーに取り組む考えで、「W杯で活躍している選手のようになりたい」と夢を膨らませた。

 

 子どもたちとの触れ合いを楽しんだウィリアムスさんは「いくつかの助言を少しでも覚え、理解し、成長してもらえたらうれしい」と、温かな視線を残した。

 

 ウィリアムスさんは同日夜、同法人らの歓迎会に出席。16日に釜石を発った。

 

(復興釜石新聞 2019年10月19日発行 第834号より)

 

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大人も子どもも協力し合い、素敵なすべり台を完成させた

手作りすべり台に完成、遊具に子どもらの夢乗せて〜栗林町の遊び場 くりりんのもり

大人も子どもも協力し合い、素敵なすべり台を完成させた

大人も子どもも協力し合い、素敵なすべり台を完成させた

 

 釜石市栗林町道々地区に2014年に整備された森の遊び場「くりりんのもり」で7、8の両日、新たな遊具を作る活動が行われた。子どもたちの意見で決まった設置遊具は、すべり台。地域の小学生や大人、大学生ボランティアらが協力し、手作りの木製すべり台を完成させた。

 

 この活動は、市生涯学習文化スポーツ課の委託を受け、同町の仮設住宅団地内で放課後子ども教室を開く一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校(さんつな、伊藤聡代表理事)が主催。同教室の特別編として実施した。

 

 遊び場は、震災後、公園や空き地に仮設住宅が建ち、子どもたちが安全にのびのびと遊べる場所が少なくなったことを背景に、同法人が地域住民と協働で整備した。なだらかな斜面にクリやクルミの木が立ち並ぶ広い土地を所有者が厚意で開放し、自生する樹木にロープやハンモック、ブランコなどを取り付けた手作り遊具を設置。同教室の活動やイベント、地域の子どもたちの日常の遊び場として利用されてきた。

 

 開設から5年が経過する中、劣化などで壊れた一部遊具を撤去。当時のワクワク感、安全な遊び場を取り戻そうと、今年から子どもたちも参加しての遊具作りに着手することになった。7月7日に地元の栗林小児童と、どんな場所にしたいか、どんな遊具が欲しいか話し合い。出された意見を集約し、今回はすべり台を作ることになった。

 

 宮城県名取市を拠点に冒険遊び場作りの指導、普及にあたる一般社団法人プレーワーカーズの廣川和紀理事をアドバイザーに迎え、遊具製作に挑戦。初日は小学生を中心に約30人が参加し、材料となる木材に防腐塗料を塗ったり、ノコギリやノミで角材を加工したりと下準備を行った。

 

子どもたちは塗料塗りに真剣な表情

子どもたちは塗料塗りに真剣な表情

 

 栗林小2年の菊池理央さんは、この遊び場がお気に入り。「知らない子ともすぐ仲良くなれる」と、心を開放できる自然空間の魅力を示し、作業に汗を流した。「完成が楽しみ。すべり台ができたらいっぱい遊びに来たい。他にボルダリングの壁も作れたらいいな」と夢を描いた。

 

 2日目は地域の大人8人も協力し組み立て作業。長さ約4メートル、横幅約2メートルのすべり台を作り上げた。

 

 さんつなスタッフの柏﨑未来さん(34)は「子どもたちからは秘密基地やターザンロープなどさまざまな案が出ている。今後、一つずつ実現していければ。遊具製作を手伝ってくれる大人には子どもたちの遊ぶ姿を見ることで、共に愛着を持ってもらえたら」と話す。

 

 この場所は自然資源が豊富で、四季折々の遊び方が可能。手作り遊具とともに子どもたちの成長を後押しする要素が詰まっており、今後の進化にも期待が高まる。

 

(復興釜石新聞 2019年9月11日発行 第823号より)

 

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客席を埋めた多くの市民も「夏の思い出」に声を合わせる

釜石市民合唱祭、9団体が歌声披露〜加盟団体減少、ターニングポイントに

客席を埋めた多くの市民も「夏の思い出」に声を合わせる

客席を埋めた多くの市民も「夏の思い出」に声を合わせる

 

 「こころからこころへ」をテーマに、41回目の釜石市民合唱祭(市民芸術文化祭参加)は8日、釜石市民ホールで開かれた。釜石市合唱協会(柿崎昌源会長)に加盟する混声、女声合唱団をはじめ9団体が活動成果を披露。一方で、同協会発足当初から中心を担ってきた釜石混声合唱団が休団に伴い参加を見送り。退職女性教職員の会フラウエンコールも今回のステージを最後とするなど、大きなターニングポイントとなる合唱祭となった。

 

 オープニングでは出演9団体の代表がプラカードを掲げて入場し、客席を埋めた市民とともに「釜石市民歌」を高らかに歌い上げた。

 

 最後のステージとなるフラウエンコールの6人がトップで歌声を披露。鵜住居歌う会、今回の合唱祭に向けて編成された男声合唱団ナインス・メンズ・コーラスの力強い歌声と続いた。

 

 甲子歌う会は、先日市内で発生した殺人事件に巻き込まれて亡くなったメンバーへの追悼の思いを込め、全員が胸に黒いリボンを付けてステージに臨んだ。

 

 釜石ユネスココーラスによる女声合唱を最後に、客席の市民も一つになって「夏の思い出」を歌い締めくくった。

 

40年の歩みに思い込め、退職女性教職員の会 最後のステージ

 

最後のステージで歌う退職女性教職員の会フラウエンコール

最後のステージで歌う退職女性教職員の会フラウエンコール

 

 退職女性教師のグループとして活動してきたフラウエンコールは1978年に発足。ピーク時には30人近くまでメンバーが膨らんだが、徐々に減少。現在は97歳から85歳までの6人となった。

 

 代表を務める種市圭子さん(85)は「毎週1回の練習は何とか頑張って続けてきたが、3階にある練習会場まで階段を上ることが難しくなってきた」と高齢化に伴う厳しい現実を嘆く。今回のステージを最後と決めたが、「家の中にこもるようなことがないように」と練習は継続するという。

 

 これまで3回の独自演奏会を重ねるなど、40年にわたる活動の足跡はしっかりと残してきた。ほぼ30年前からグループを指導してきた姉帯公子さん(60)は、最後のステージとなったことについて「みなさんで決めたことだからしようがない。さみしい気持ちもあるが、これが自然の流れ。こういう形で締めくくれて良かった」と、しみじみと語った。

 

(復興釜石新聞 2019年9月11日発行 第823号より)

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第41回 釜石市民合唱祭
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色彩豊かな作品が並ぶ小林覚さんの作品展

心癒やす「微笑みの国」、色彩明るく奔放に〜知的障害者アーティスト 小林覚さん

色彩豊かな作品が並ぶ小林覚さんの作品展

色彩豊かな作品が並ぶ小林覚さんの作品展

 

 「微笑(ほほえ)みの国」をテーマに、釜石市鵜住居町出身の知的障害者アーティスト小林覚(さとる)さん(30)の作品展が、あす8日まで釜石市民ホールTETTOで開かれている。小林さんは現在、花巻市の「るんびにい美術館」で活動している。古里での個展は東日本大震災後初めて。明るく豊かな色調で描かれた独創的な作品約40点を展示している。

 

 作品は、自由奔放な線の造形性と明るく豊かな色調が特徴。郷土芸能を独自の色彩感覚で表現した「とらまい」や、万葉集の歌を題材に墨書の線が自在に伸び、交わる書の作品「風吹きて」などが並ぶ。

 

 音楽が大好きという小林さんは、文字をデザインした絵を描く。ザ・ビートルズの「Let It Be」や井上陽水の「少年時代」など、お気に入りの歌詞をつづった作品には、アートの一部になった「サトル文字」を見つける面白さがある。

 

 震災で鵜住居町の自宅が被災し、数多くの作品も流失した。個展には、自宅で見つかった作品の一部も展示。砂や汚れが残った状態で紹介されている。

 

家族に囲まれ笑顔を見せる覚さん(中)

家族に囲まれ笑顔を見せる覚さん(中)

 

 小林さんが本格的に絵を描き始めたのは釜石養護学校(現釜石祥雲支援学校)の中学部から。黒鉛筆のみで描いていたものが、次第に色鉛筆や油絵の具などを使った色合い豊かな作品へと変化する過程も見せる。

 

 県内各地で個展を開催している小林さん。古里釜石では学校や団体の作品展に数点出展し、さまざまな作品と合わせて見てもらうことが多かった。今回の個展は、小林さんの恩師、佐藤卓郎さん(奥州市)が企画。「震災を生き抜いた人たちの心に、作品の持つ力で癒やしと晴れやかな喜びを届けたい」と期待を込めた。

 

 小林さんは平日に美術館で創作活動を行い、週末は両親が再建した鵜住居町の自宅に帰る生活を送っている。父俊輔さん(64)は「息子の代表的な作品が集まった展示は初めて。見応えがある」とうれしそう。多くの来場を願っている。

 

 午前9時から午後9時まで。入場無料。7、8の両日は小林さんが会場を訪れる予定だ。

 

(復興釜石新聞 2019年9月7日発行 第822号より)

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80年の創作活動集大成、元小学校長の鈴木洋一さん 市民ホールで初の個展〜絵を描くことが生きがいに、「元気なうちに」と家族が企画

80年の創作活動集大成、元小学校長の鈴木洋一さん 市民ホールで初の個展〜絵を描くことが生きがいに、「元気なうちに」と家族が企画

初の個展を開いた鈴木洋一さん(中央)、後押しした家族ら

初の個展を開いた鈴木洋一さん(中央)、後押しした家族ら

 

 釜石市民絵画教室の講師を務めるなど長くキャンバスに向かい続けてきた鈴木洋一さん(87)=釜石市甲子町大畑=の絵画展は8月30日から9月1日まで、大町の釜石市民ホールTETTOで開かれた。自身初となる個展は、高齢の鈴木さんに代わって長男崇さん(56)ら家族が後押しし、米寿を記念して企画。釜石の港の風景をはじめ、遠野、江刺、秋田、函館など県内外の風景、花や魚などの静物を写実的に描いた油彩画合わせて93点を展示した。

 

 鈴子町出身の鈴木さんは釜石工業高(現釜石商工高)を卒業後、代用教員として働きながら通信教育で正規の教員となり、釜石や遠野市の小学校に勤務。校長として平田小(2年間)、釜石小(4年間)に務め、1992年に定年退職した。

 

 幼いころから絵を描くことが好きだった鈴木さん。小学5年の時に写生大会で“1番いい賞”をもらったうれしさで、さらに夢中になった。当時は「いたずらだった」と振り返るが、描く楽しさは教員となってからも残り、独学で描き続けた。美術の会派には属さず活動。退職後に同教室の講師などを務めた。

 

 同教室の作品展には数点の作品を出展。これまで描いた作品を見てもらう機会にと、画集の制作や個展の開催などを考えたことはあるが、忙しさで実現しなかった。

 

 ここ数年、鈴木さんは体調を崩し、入退院を繰り返すようになった。「元気なうちに実現させたい」。崇さんら家族が個展の開催を勧め、鈴木さんも「米寿の記念に」と発起した。

 

 古里を残しておきたい―。そんな思いを込め、筆を走らせた四季折々の海、川、山、街角といった風景画が並んだ。特にお気に入りのモチーフは製鉄所のクレーンと船が行き交う釜石港。「釜石らしさ」を見せる作品として10点近く紹介した。

 

 同教室のスケッチ旅行で訪れた奥入瀬(青森県)や小泊港(秋田県)、函館(北海道)の教会などを描いた作品も。「みんなで歩いた楽しい思い出」を残した。

 

 風景画だけでは見る人が息苦しくなると心を配り、動植物の静物画、孫など人物画も展示。郷土芸能の躍動感を表現した作品もあった。

 

 これまで描きためた作品は200点近くある。その一部を紹介でき、鈴木さんは「みんなに応援、力添えをもらい、ありがたい。思い残すことはない」と満足顔。だが、絵を描くことは生きがいで、「スケッチをしていて作品に仕上げてないモチーフがある。まだ描くでしょうね」と、キャンバスへ向かう思いは尽きない。

 

 崇さんは「(父は)昔からの知り合いに会い、話ができて楽しそうだ。生き生きして、目に力が戻った。絵を通してたくさんの人に喜んでもらい、うれしい」と目を細めた。

 

(復興釜石新聞 2019年9月4日発行 第821号より)

 

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植物をモチーフにした精緻な描写の作品が並んだ

タイミングは今。花開く釜石のように〜三浦幸恵さん 初の個展、自然の草花 丹念に写実

植物をモチーフにした精緻な描写の作品が並んだ

植物をモチーフにした精緻な描写の作品が並んだ

 

 釜石市甲子町の画家、三浦幸恵さん(34)の初の個展「身近な自然を見つめて」は8月25日から28日まで大町の市民ホールTETTOで開かれた。自宅の庭や畑、外出先で目にする花や山野草をモチーフにした水彩、油彩画23点を展示。思わず見入ってしまうほど、本物のように描かれた写実作品が並び、来場者から感嘆の声が上がった。

 

 幼い頃から「絵を描くことを仕事に」と思い描いていた三浦さん。釜石南高(現釜石高)から多摩美術大に進んで油彩画を学び、2010年にUターンした。翌年の東日本大震災を機に、市内の小学校で非常勤講師として活動を開始。依頼を受け肖像画を描くなど制作活動を続けていたが、「作品づくりに集中したい」と15年に退職した。

 

 13年には大学時代の友人との二人展を東京で開催。今回、画家としての歩みをしっかり踏み出そうと決め、古里での初個展が実現した。

 

初の個展を開いた三浦幸恵さん

初の個展を開いた三浦幸恵さん

 

 三浦さんは大学時代から「日常に潜む微細な感覚」をテーマに制作に取り組んできた。見過ごしがちな感覚を拾い上げようと、今回の展示で選んだモチーフは植物。特に花に心を寄せ、6月から描きためたバラやサクラソウなどを展示した。

 

 メイン作品となった「蒲公英(たんぽぽ)」は甲子川の河川敷で目に留め、力強さに引かれた。自宅で育てるオクラを描いた作品には「光りをもとめて」、毎年春に変わらず花を開かせて始まりを意識させてくれる名前の分からない植物には「新たに咲く」と画題を付けた。

 

 「持てるものを最大限生かして咲いている花と、最大限努力して生きる人の美しさは共通する」と三浦さん。震災から立ち上がりつつある古里、人の動きも活発になるまちの機運に、自身の気持ちも同調し、「タイミングは今。花開く釜石のように、画家として花を開かせたい」と思いを込めた。

 

 対象に向き合い細密に描いた写実作品に、来場者は「写真? え、絵なの!」と驚きの声。「丁寧に向き合っている」と感心する人もいた。

 

 自身の描く世界を見た人たちの声をじかに聞いた三浦さんは「迷い、もやもやが晴れ、頑張ろうという気持ちになった。人生の転機。現実と向き合おう」と表情を引き締める。「絵は現実を映す鏡みたいなもの。絵を描くというレンズを通して現実を見ている感じ」。独自の感覚を生かした作品を生み出し続ける思いを強めていた。

 

(復興釜石新聞 2019年8月31日発行 第820号より)

 

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