市民ホールで圧巻のステージ、埼玉栄高(埼玉県) 上野中(北上市)来演〜いわて吹奏楽祭in釜石、最高のパフォーマンスで魅了


2020/02/04
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

大編成のサウンドで観客に感動を与えた埼玉栄高

大編成のサウンドで観客に感動を与えた埼玉栄高

 

 全国トップクラスの学校吹奏楽部を招いての「いわて吹奏楽祭in釜石」が25日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。公益財団法人岩手県文化振興事業団が2016年から開く同祭の県内出張公演。翌26日に盛岡市の県民会館で行われた第5回同祭出演校のうち、昨年の全日本吹奏楽コンクール全国大会で金賞を受賞した埼玉栄高(埼玉県さいたま市)、銀賞を受賞した上野中(岩手県北上市)が来釜。地元の釜石市民吹奏楽団も出演し、約470人の聴衆を魅了した。

 

 釜石市吹44人による「ジュビリー序曲」、交響組曲「天気の子」など3曲で幕開け。続く上野中は1、2年生部員32人に引退した3年生3人が加わり、「シュガーソングとビターステップ」、「ノートルダムの鐘」より(抜粋)など3曲を演奏。若者に人気のヒット曲で送るスペシャルメドレーでは、目でも楽しめる動きのあるステージを繰り広げた。「釜石復興への願い、元気と笑顔を届けたいとの思いを込めた」と小笠原麻央部長(2年)。

 

趣向を凝らしたステージで楽しませた上野中

趣向を凝らしたステージで楽しませた上野中

 

 上野中は全国大会で金賞1回、銀賞2回、銅賞1回の受賞歴を誇る成長著しい本県の注目校。新年度に向け、小笠原部長は「徹底した練習を重ね、絶対に全国金賞を取ります」と意気込んだ。

 

 埼玉栄高の同祭出演は16年の第1回以来、2回目。1、2年生96人が「ブリュッセル・レクイエム」、「メリーポピンズリターンズ」、ラフマニノフの「交響曲第2番」など全7曲を披露した。確かな演奏技術、音色、各パートが融合した一体感あるステージはまさに圧巻。「響きがいい」と定評のある同ホールで最高のパフォーマンスを見せた。

 

 「日本一の努力をしよう」を部訓に掲げ、吹奏楽激戦区と言われる埼玉県で、全国大会に28回出場、20回もの金賞に輝く同校。海外の音楽祭にも数多く出演し、12年にはウィーン国際青少年音楽祭の吹奏楽部門で1位になるなど、その実力は世界でも高い評価を受けている。

 

 同祭出演のリーダーを務めた金子珠乃さん(2年)は「部員が多く、全員で遠征する機会はほとんど無い。今回、現メンバー全員で演奏させてもらえてうれしかった。地元以外での演奏は、行動面を含め人間的にも成長できる」と感謝。最後に全出演団体、観客が「花は咲く」で心を通わせたことにも感激し、貴重な経験を喜んだ。

 

 同校は学校法人が運営する中・高一貫校。高校の生徒は約2200人に上り、本年度の吹奏楽部員は引退した3年生を含めると約160人を数えたという。

 

フィナーレの「花は咲く」では、観客も歌声を重ね音楽の素晴らしさを共有

フィナーレの「花は咲く」では、観客も歌声を重ね音楽の素晴らしさを共有

 

 同祭には市内外から幅広い年代が足を運んだ。釜石中吹奏楽部の1年生部員戸張しゃなさんは「埼玉栄高は迫力、音の響き、演奏のまとまり、全てすごすぎて…」と驚き、樋岡朱音さんは「上野中は同じ中学生でも全然レベルが違う。自分たちももっと頑張らないと」と刺激を受けた様子。中妻町の及川静子さん(73)は「素晴らしい演奏が聞けて最高。気持ちが高ぶりました。釜石の中高生にも励みになったのでは」と話し、吹奏楽部員の孫ら家族と感動の余韻に浸った。

 

(復興釜石新聞 2020年1月29日発行 第862号より)

 

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