古里の復興後押し民謡集、佐野よりこさんCD制作〜「天までとどけ」と願い込め、ネットで資金募り 一般販売も

復興釜石新聞2020/04/16

完成を報告した佐野よりこさん(左から2人目)

完成を報告した佐野よりこさん(左から2人目)

 

 釜石市鵜住居町出身の民謡歌手、佐野よりこさん(49)=盛岡市在住=が、東日本大震災の教訓を伝える民謡CD制作のため、インターネットで資金を募っていたクラウドファンディングは目標額を達し、録音が実現した。3日、完成したCD「佐野よりこ民謡集~天までとどけ」を持参し、野田武則市長を訪ね、「支えてくれた皆さんに感謝。心に潤いを与える音楽で復興への願いと元気を届けられたらうれしい」と思いを話した。

 

 佐野さんにとって初のCD化。外山節や南部牛追唄など全国大会で優勝した際に披露した岩手の民謡を中心に13曲を収録した。

 

自身初のCD「佐野よりこ民謡集」。古里への思い、震災の教訓を歌の力に込めた

自身初のCD「佐野よりこ民謡集」。古里への思い、震災の教訓を歌の力に込めた

 

 収録曲の一つ「新・津波てんでんこ」は福島県の民謡である新相馬節の替え歌として佐野さん自らが作詞している。

 

 ♪頃は三月枕を濡(ぬ)らす
 逢(あ)えぬ我が子を夢に見る
 黒い波来たあの日を想い
 消えぬ悲しみ伝えゆく
 早く逃げろと教えてくれた
 願い忘れずてんでんこ

 

 残された家族の悲しみや津波の恐ろしさを訴える。

 

 古里の“ソウルソング”「釜石小唄」「釜石浜唄」も収録。釜石小唄は1950年の発売以来、70年ぶりの再録という。

 

 佐野さんは震災の津波で実家も、大切な両親も亡くした経験から制作を決意。古くから地域の生活に根ざした民謡を通して震災の教訓を届け、語り継ぐためプロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングに挑戦した。

 

 昨年11月7日から今年1月16日まで募り、目標額300万円を上回る400万円超が集まった。団体・企業を含め247人が応援。地元釜石や県内を中心に、宮城、東京、福井などからも寄せられたという。

 

 市役所を訪れたのは佐野さんと、釜石観光物産協会の澤田政男会長、和田利男事務局長の3人。釜石観光物産親善大使も務める佐野さんが取り組みを報告し、「歌い続けることで両親の思いもつないでいける気がする。つらいことだけではない、明るい部分も発信していきたい」と力を込めた。

 

 野田市長は「熱の込もった歌声。釜石の宝。聴くたびに涙が出る。歴史や文化を継承してほしい」と今後の活躍を期待した。

 

 CDは1800枚制作。支援者に返礼品として贈るほか、一般販売される。市内では釜石観光総合案内所、かまいし特産品店(シープラザ釜石内)、道の駅釜石仙人峠、釜石情報交流センター、野村商店(鵜の郷交流館内)、桑畑書店など。県内では東山堂でも取り扱い、インターネットでも購入できる。

 

 価格は2100円(税抜き)。収益の一部は釜石市の災害義援金として寄付する予定だ。

 

 問い合わせは釜石観光総合案内所(電話0193・22・5835)へ。

 

(復興釜石新聞 2020年4月11日発行 第883号より)

 

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