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梅酒の原料に!青々としたウメの実を集荷 釜石地方梅栽培研究会 漬梅活用も進行

生産者が持ち込んだウメの実を計量する浜千鳥の社員ら

生産者が持ち込んだウメの実を計量する浜千鳥の社員ら

 
 釜石、大槌のウメ生産者や酒造会社、食品製造業者などでつくる釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長、33会員)は15日、本年度総会と集荷会を釜石市栗林町の砂子畑集会所さんあいセンターで開いた。今年は春先の開花期に気温が高く、ウメの生育は順調。梅酒の原料として地元の酒造会社浜千鳥(新里進社長)に提供しており、最終的な集荷量は約3トンを見込んでいる。
 
総会で情報交換しながら生産の安定化を図ることを確認した

総会で情報交換しながら生産の安定化を図ることを確認した

 
 総会には約20人が出席。事務局を務める浜千鳥によると、昨年度の青梅の集荷(期間:6月14日~7月10日)は2475キロで、前年度との比較では96%とほぼ同数だった。出荷者は13人。漬梅は1927キロ発生し、県内外で1072キロが再利用された。廃棄率は46%。会員の食品加工業、麻生三陸釜石工場(同市片岸町)でペースト状に加工し利用しているものの、全量を活用するには至っていない。研究会が「廃棄ゼロ」を目指す方針は変わらず、策を模索する。
 
 そうした中、昨年秋頃から会員の釜石振興開発(同市鈴子町)が「梅こうじ甘酒」(200グラム、税込み700円)を新たに発売。こうじ専門店(八幡平市)の甘酒と漬梅ペーストを組み合わせた一品で、漬梅特有の奥深い甘みと酸味、こうじが生み出す優しい味わいが売りだ。1.5倍~2倍に希釈し、冷たいドリンクとして楽しむのがお薦め。道の駅釜石仙人峠、特産店(シープラザ釜石2階)などで販売している。
 
釜石振興開発が販売する「梅こうじ甘酒」。夏場の熱中症対策にも「いい塩梅(あんばい)⁉」

釜石振興開発が販売する「梅こうじ甘酒」。夏場の熱中症対策にも「いい塩梅(あんばい)⁉」

 
 釜石振興開発の下川原繁夫さん(かまいし特産店店長)は「漬梅の消費につなげるのは、なかなか難しい。年に一つずつでも商品を開発したり、何かしら取り組んでいきたい」と前向きな姿勢を見せた。
 
 役員改選もあり、前川会長(80)=栗林町、山崎元市副会長(76)=鵜住居町=が再選された。任期は2年。事業計画としては例年通り、来年1月にせん定や病害虫防除の講習会を開く。
 
丸々、青々。梅酒用に集荷された釜石市産のウメ

丸々、青々。梅酒用に集荷された釜石市産のウメ

 
 総会後はウメの実を集荷。丸々とした青緑の実でいっぱいになったかごが次々と軽ワゴン車に積み込まれた。この日、約70キロを持ち込んだ山崎副会長は「今年は雨が少なく生育が心配だったが、実りは順調」と感触を話す。昨年20本増やしたという鵜住居町の澤本昇太郎さん(73)は「(実が)つく木とつかない木があり、育てるのは本当に難しい。昨年は10キロだったが、それよりはよさそう」との見立て。浜千鳥では、こうした集荷を両市町で7月上旬まで続ける。
 
ウメの実の出来栄えを確かめる生産者「順調かな」

ウメの実の出来栄えを確かめる生産者「順調かな」

 
 ウメの実の収量はその年の気候のほか、地域によっても差がみられるようだ。降水量が平年よりやや少ないこともあってか、前川会長のほ場では実が大きくなる前に落下してしまったものも。自然相手の大変さに四苦八苦する。
 
 それでも前川会長は「育てたものを一手に買ってもらえるのは助かる」と話し、「できるうちは頑張る」と腕まくりする。遊休農地を活用した動きはみられるが、就農者の高齢化もあって進行度はゆっくりめ。「まずは現状維持。良いものをつくりながら、実の消費や活用についてみんなと知恵を出し合いたい」と先を見据えた。

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釜石「御箱崎の千畳敷」を国登録記念物に 文化審が答申 太平洋望む花こう岩風景 名勝価値を評価

国の登録記念物に指定される見通しとなった釜石市箱崎町の「御箱崎の千畳敷」=写真提供:釜石市

国の登録記念物に指定される見通しとなった釜石市箱崎町の「御箱崎の千畳敷」=写真提供:釜石市

 
 文部科学大臣の諮問機関、文化審議会(日比野克彦会長)は19日、釜石市の箱崎半島先端に位置する岩石海岸「御箱崎の千畳敷」を国の登録記念物(名勝地関係)に登録するよう答申した。近く、登録される見通し。長い年月をかけ自然の営みによって生み出された海岸は唯一無二の景観を見せており、名勝地としてその価値が評価された。
 
 大槌湾と両石湾に挟まれた箱崎半島の先端部は急峻な海食崖に囲まれ、両石側には波によって平らに削られた波食棚が最大幅約100メートル、延長600メートル余りにわたって広がる。千畳敷と呼ばれ、地名「箱崎」の由来となった同所には箱状の岩々が重なり、特異な景観を見せる。前期白亜紀、約1億2千万年前にマグマが上昇し、冷え固まってできた花こう岩類が隆起。海食が繰り返されて形成されたものと考えられている。しま状に刻まれた波食溝やでこぼこな岩肌が奇岩怪石を成し、くぼ地の潮だまりなどとともに海岸の表情を豊かにしている。太平洋の青い海の手前に白い千畳敷を臨む風景は美しいコントラストを生み、日の出の名所としても知られる。南東方向には国の天然記念物に指定されている無人島「三貫島」も見える。
 
上空から撮影した箱崎半島の先端部。右側が大槌湾、左側が両石湾=写真提供:かまいしDMC

上空から撮影した箱崎半島の先端部。右側が大槌湾、左側が両石湾=写真提供:かまいしDMC

 
隆起した花こう岩が波による浸食で荒々しい姿を生んでいる

隆起した花こう岩が波による浸食で荒々しい姿を生んでいる

 
千畳敷からは国天然記念物の三貫島などを見ることができる=写真提供:釜石市

千畳敷からは国天然記念物の三貫島などを見ることができる=写真提供:釜石市

 
 釜石市文化財保護審議会の藤原信孝会長は「古くから地元住民に愛されてきた自慢の景勝地が国に認められたのは大変うれしく、願ってもないこと」と喜びを表す。同所は「三陸復興国立公園」や「三陸ジオパーク」の一部でもある。箱崎半島の突端、御箱崎灯台までは自然歩道が整備されているが、千畳敷に下りるには崖伝いの急で狭い道を通らなければならない。観光ガイドでもある藤原さんは「登録で来訪者が増えることも予想される。岩場に下りて見る景色が最大の魅力だが、危険も伴うため、今後はさらなる安全対策が必要」と話す。
 
半島の突端、御箱崎灯台までは歩行可能な散策路が続く。灯台の手前には地元住民が祭った御箱崎神社がある

半島の突端、御箱崎灯台までは歩行可能な散策路が続く。灯台の手前には地元住民が祭った御箱崎神社がある

 
千畳敷は急峻な崖を下りた先に広がる。水平線の大パノラマを見られるのは半島の先端部ならでは

千畳敷は急峻な崖を下りた先に広がる。水平線の大パノラマを見られるのは半島の先端部ならでは

 
長い年月をかけて波に削られ平らな岩盤地形となっている千畳敷。地球の息吹を感じる

長い年月をかけて波に削られ平らな岩盤地形となっている千畳敷。地球の息吹を感じる

 
 みちのく潮風トレイルの人気の高まりで、半島部のトレッキングを楽しむ人は多い。千畳敷は同トレイルの本コースからは外れているが、途中から足を延ばす人も。今回の答申について小野共釜石市長は「この地が持つ文化的・景観的価値が国に認められ、極めて喜ばしい。貴重な文化財として保存に万全を期すとともに、これまで以上に観光への積極的な活用を図っていきたい」と談話を発表した。県内の国登録記念物は4件目となる。

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わいわい思い出づくり!閉校予定の釜石・白山小 統合前に深める 友達、地域との絆

じゃんけん列車」の遊びで交流を深める白山、平田小の児童たち=6月2日

「じゃんけん列車」の遊びで交流を深める白山、平田小の児童たち=6月2日

 
 2026年度末に閉校を予定している釜石市嬉石町の白山小(鈴木慎校長、児童27人)で、同年代の友達や地域との新たな関係づくりにつながる取り組みが進められている。6月に行われた統合先の小学校との交流、地元の大先輩との触れ合い活動をのぞいてきた。
 

交流学習で仲良く 来春から通う平田小で

 
都道府県に関するクイズを楽しむ2校の4年生=6月2日

都道府県に関するクイズを楽しむ2校の4年生=6月2日

 
 76年の歴史を刻む白山小は、市が学校規模の適正化として平田小(同市平田町)と統合する計画を発表している。来年4月に統合されるのを前に、児童同士が顔を合わせ、スムーズな合流につなげることを目的に交流活動を計画。6月2日、白山小児童が平田小(布田貢校長、児童144人)を訪れて交流学習を楽しみ、仲良くなった。
 
 1年生から6年生までが学年ごとに分かれて活動。2時間目の授業と中休みを共に過ごした。1年生26人はじゃんけんの勝者を先頭に列をつくっていく遊びや好きなものを絵で描いたりしながら、自分のことを伝え合った。4年生36人はドッジボールで歓声を上げ、平田小児童が考えた都道府県クイズで頭を働かせながら共に学ぶ楽しさを味わった。
 
ボール遊びやお絵描きをしながら仲良くなる1年生

ボール遊びやお絵描きをしながら仲良くなる1年生

 
白山小の友達を歓迎して会話を楽しむ平田小の児童たち

白山小の友達を歓迎して会話を楽しむ平田小の児童たち

 
 平田小1年の久保梓さんは、就学前に一緒のこども園に通った白山小の佐々木洸慎さんと再会し大感激。そばで気にかけてくれる存在がいることを感じた佐々木さんは「うれしい」とうなずき、「ありがとう」と伝えていた。
 
 白山小4年の平野玄晟さんは「みんな優しかったし、話しやすかった。新しい友達ができた。来年からここで勉強したりするのが楽しみ」とワクワク感を漂わせた。相手が分かりやすいように伝えようと交流学習の準備を進めたと話す平田小の鎌田多(もあ)さんは「緊張したけど、一緒に体を動かしたりして楽しくなった。分からないことがあったら進んで教えたい」と心待ちにしていた。
 
大好きな友達との再会を喜ぶ顔もあったり

大好きな友達との再会を喜ぶ顔もあったり

 
「またなー」と約束をし合ったりする姿も

「またなー」と約束をし合ったりする姿も

 
 帰り際には「またなー」と声をかけ合い、ハイタッチする子どもらの姿も。次回の直接対面は9月を予定し、その間にはオンラインでの授業交流も続ける。5、6年生は修学旅行の日程や行き先が同じだったことから、交流の時間を設けて友好を深めた。
 
 子どもたちの明るい雰囲気を見守った両校の校長にも笑顔が伝ぱ。白山小の鈴木校長(56)は「少人数の学校だった子たちがスムーズに打ち解けられるか、正直不安もあったが、受け入れの準備を整えてくれていたのが感じられ、うれしかった。子どもたちにとっても互いに、いい意味で刺激になっただろう」と相好を崩した。平田小の布田校長(55)も「一緒になるという意識をつくる機会。平田の子たちが受け入れるという気持ちを持てたのも大きい成果」と実感を込めた。
 
「子どもたちのために」と力を合わせる白山小の鈴木慎校長(左)、平田小の布田貢校長

「子どもたちのために」と力を合わせる白山小の鈴木慎校長(左)、平田小の布田貢校長

 
 「子どもたちにとって、いい形の統合となるのが一番」。2人の校長は思いを同じくする。ともに大船渡で中学、高校時代、野球に打ち込んだ先輩後輩の間柄。「気心を知れる仲」「言いたいことを伝えられる関係」は今も変わらぬようで、両校で連携しながら新たな学校生活に向けた関係づくりを深めていく。
 

白山の好きなところは…「トークフォークダンス」で住民と語り合い

 
27のお題で、児童と大人がそれぞれ熱心に語り合った=6月15日

27のお題で、児童と大人がそれぞれ熱心に語り合った=6月15日

 
 白山小の児童と近隣住民が輪になって向かい合い、相手を変えながらお題を踏まえて語り合う「トークフォークダンス」という催しは15日、同校体育館であった。地域との関わりが深いのが特徴だったが、閉校により来春には対面活動はなくなる。そこで、地域に住む人同士として交流することで「仲良くなるきっかけに」と学校側が企画した。
 
 トークフォークダンスは、対面した人が1対1でそれぞれ1~2分間、お題をもとに語り合うのが定型スタイルという。この日は同校の全校児童27人と、60~80代の近隣住民21人に教職員が加わって向き合い、「休みの日に何をしているか」「宝物は」などのお題について答えを伝え合った。
 
懸命に伝え、話を聞いたり子どもたちの姿に大人の顔はほころぶ

懸命に伝え、話を聞いたり子どもたちの姿に大人の顔はほころぶ

 
 児童にとっては初対面という人も多く、初めは緊張した様子だったが、徐々に打ち解け、フォークダンスのように相手を変えて語り合うことを楽しんでいた。「白山小の好きなところ」というお題では「みんな仲良し」と子どもが答えると、「そうだね」と大人も同調。27個目のお題は「『ありがとう』を一番伝えたい人」についてだった。友達や家族といった声が多い中、「白山小」と返した子がいたようで、聞いた大人たちは感慨にふけった。
 
 5年の小山結凪さんは「いろんな話を聞けて楽しかった。地域の人との関わりをこれからも大事にしたい」とはにかんだ。同校のすぐそばで暮らす小原みよしさん(83)は「子どもたちから元気をもらっている。学校から聞こえる声、毎日見ていた姿が見えなくなると思うと、少し不安な気持ちになる。でも、きょうはいろいろと話せてうれしかった。みんなは変わらず、元気のもと」と目尻を下げた。
 
トークフォークダンスで世代を超えた語り合いを楽しんだ児童と地域の大人

トークフォークダンスで世代を超えた語り合いを楽しんだ児童と地域の大人

 
 閉校に向けた活動は今後も続く。各年代の卒業生の話を聞いて学校の歴史を振り返り、全校で取り組む遠足やマラソン大会などで学区内をめぐり改めて地元を知る機会にする。友達との絆、学校や地域への感謝を届ける学習発表会も予定。「最後の一年」も、「魅力ある白山小学校」を発信する。

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震災後初の釜石開催 支部消防操法競技会に釜石市から2チーム出場 28日の本番へ訓練大詰め

遠野釜石地区支部消防操法競技会・ポンプ車の部に出場する釜石市消防団第7分団第1部の団員

遠野釜石地区支部消防操法競技会・ポンプ車の部に出場する釜石市消防団第7分団第1部の団員

 
 第14回県消防協会遠野釜石地区支部消防操法競技会(同支部主催)は28日、釜石市鈴子町の釜石消防庁舎東側防災空地で開かれる。同競技会は遠野、釜石、大槌3市町持ち回りで2年に一度開催されるが、釜石市が会場となるのは東日本大震災後初めて。新型コロナウイルス感染症の影響などで2018年以来の大会出場となる釜石市消防団からは、ポンプ車の部に第7分団第1部(前川英之部長、25人)、小型ポンプの部に第5分団第4部(三浦一雄部長、7人)が出場する。両チームは8年ぶりに挑む競技会に向け、一致団結して訓練に励む。
 
 消防操法は実際の火災消火で必要な基本技術の習得を目的としたもので、競技会では機器操作の正確さや速さ、規律を競う。釜石市消防団では以前、市予選の大会を行い、遠野釜石地区支部大会への出場チームを決めていたが、コロナ禍による中止以降、実施体制が整わずにいた。本年度の支部大会が2011年の震災以降、初めて釜石市を会場に開かれることになり、団本部は各分団に出場を打診。名乗りを挙げたのが7分団1部(栗林町)と5分団4部(甲子町一の渡)だった。
 
実際の火災現場を想定し、ホースの延長や結合、放水まで一連の動作を迅速・確実に行うための「消防操法」

実際の火災現場を想定し、ホースの延長や結合、放水まで一連の動作を迅速・確実に行うための「消防操法」

 
14日午前、競技会に向けた訓練に励む「第7分団第1部」

14日午前、競技会に向けた訓練に励む「第7分団第1部」

 
小型ポンプの部に出場する「第5分団第4部」。14日は7分団1部とともに競技会会場で訓練

小型ポンプの部に出場する「第5分団第4部」。14日は7分団1部とともに競技会会場で訓練

 
 両チームは出場メンバーを選定し、5月の大型連休明けから競技会に向けた訓練を開始。仕事を終えた平日夜や日曜日の午前中に集まり、先輩団員の指導や消防職員の助言を受けながら練習を重ねてきた。メンバーには震災後に入団し、初めて競技会に挑む団員も。基本動作を体で覚え、正確さと速さを意識しながら習熟度を高めている。
 
大会経験のある先輩団員から指導を受ける7分団1部の出場メンバー=11日夜、釜石消防庁舎前

大会経験のある先輩団員から指導を受ける7分団1部の出場メンバー=11日夜、釜石消防庁舎前

 
筒先交代時の体勢について消防職員からアドバイスを受ける5分団4部の団員

筒先交代時の体勢について消防職員からアドバイスを受ける5分団4部の団員

 
 ポンプ車の部は指揮者(班長以上)を含め5人で操作する。点呼、車両の乗降車後、水利(防火水槽)を確保。53メートル前方に、競技用20メートルホース3本を継いだ2線を延長し、火点の的を目がけて放水する。7分団1部は小林悟班長(49)が指揮者。1番員小笠原雄光(31)、2番員小笠原聡士(40)、3番員藤原直之(45)、4番員三浦仁(51、班長)の4団員で編成する。
 
車両右後方の防火水槽が水利(写真上)。吸管の操作後、3番員はホースの延長へ

車両右後方の防火水槽が水利(写真上)。吸管の操作後、3番員はホースの延長へ

 
火点の的を目がけて放水する1、2番員と、とび口を構える3番員。とび口は江戸時代から使われる伝統的な破壊器具

火点の的を目がけて放水する1、2番員と、とび口を構える3番員。とび口は江戸時代から使われる伝統的な破壊器具

 
 初出場は2人。一昨年10月に入団した2番員の小笠原さんは「指名されたからにはやるしかない」と熱心に訓練。「走る距離が長いので体力勝負」と笑う。先輩から教えられている“消火の基本”を肝に銘じ、「大会を機にしっかり習得していきたい」と意気込む。3番員の藤原さんは今年4月に入団したばかり。初の大役に緊張もあるが、「一つ一つの動きを確実に。基本操作を覚え、最後までみんなと頑張りたい」と話す。応援してくれる家族のためにも全力を尽くす構えだ。指揮者の小林さんは「新人2人は覚えるのが早く、どんどん上達している。流れもできてきているので、後は細かい部分」と期待を寄せる。
 
競技会初出場の2番員小笠原聡士さん(左)と3番員藤原直之さん(右)

競技会初出場の2番員小笠原聡士さん(左)と3番員藤原直之さん(右)

 
練習もいよいよ大詰め。細かい部分の修正を行う

練習もいよいよ大詰め。細かい部分の修正を行う

 
仕事を終えて集まる団員ら。平日夜は週2回ほど練習を重ねてきた

仕事を終えて集まる団員ら。平日夜は週2回ほど練習を重ねてきた

 
 7分団のチームは過去の県大会で好成績を収めた経験がある。1部の前川部長(55)は「先輩たちの意志を継いでやっていきたいと思っていたので」と、釜石からの大会参加復活を好機と捉える。4月には隣の大槌町で大規模山林火災が発生し、7分団も応援消火に駆け付けた。「山のような伝達が伝わりづらい場所では、けがの危険も高まる。現場での対応力を上げるには基本操作の精度を高める必要がある」と大会出場の意義を強調。「メンバーの士気も上がっている。先日の消防演習よりもワンランク上の姿を見せられれば」と指導にも熱が入る。
 
 小型ポンプの部は指揮者(班長以上)を含め4人で操作する。持ち運び可能なポンプを使った競技で、ポンプ車同様、水利を確保し、3本のホースを延長する。ホース延長は第1線のみ。途中で筒先員の交代がある。5分団4部の指揮者は三浦一雄部長(58)。1番員藤井大介(34)、2番員高橋寿(50)、3番員藤井諒(42)の3団員で挑む。
 
小型ポンプも吸管をつないで防火水槽へ。先端には異物が入らないよう網状の器具を装着

小型ポンプも吸管をつないで防火水槽へ。先端には異物が入らないよう網状の器具を装着

 
小型ポンプのホース延長は1線(3本)のみ。ポンプ車同様53メートル先まで延ばす

小型ポンプのホース延長は1線(3本)のみ。ポンプ車同様53メートル先まで延ばす

 
放水開始後、途中で指揮者から1番員に筒先を交代(左下)

放水開始後、途中で指揮者から1番員に筒先を交代(左下)

 
 メンバー唯一の初出場、1番員の藤井さんは「ホースを担ぎながらで走りづらい。難しさはあるが、できる範囲で最大限頑張っていきたい」と決意。先輩団員の教えをしっかり受け止め、「とにかくけがをしないように」と本番を見据える。チームをまとめる三浦部長は指揮者としては3回目の出場。久しぶりの大会にやりがいを感じ、「操法は消防の一番の肝。自分も年を重ね、今度は下の人たちに教える立場になってきた」と技術伝承も意識する。練習をサポートしてくれる先輩団員の協力に深く感謝し、他メンバーとともにベストを尽くすことを誓う。
 
これまでの訓練の成果を確認する5分団4部の団員。本番でもベストを尽くすことを誓う

これまでの訓練の成果を確認する5分団4部の団員。本番でもベストを尽くすことを誓う

 
菊池録郎団長から支援金を受け取る両チームの指揮者(写真上)。激励を受け、大会への意欲を高める

菊池録郎団長から支援金を受け取る両チームの指揮者(写真上)。激励を受け、大会への意欲を高める

 
 大会を2週間後に控えた14日は、菊池録郎団長が両チームに支援金を贈呈。「震災から15年。コロナ禍を経て、今年からまた操法競技に取り組むことができた。体調に気をつけながらぜひ頑張ってほしい」と出場者を激励した。同市では2016年に震災後初の市予選(35チーム参加)を開催。18年に復活2回目の大会(10チーム参加)が開かれて以降、競技から遠ざかっていた。
 
 同地区支部競技会には遠野市から5チーム、釜石市から2チームの計7チームが出場。ポンプ車の部は3チーム、小型ポンプの部は4チームで競う。4月に発生した山林火災の影響で大槌町消防団は出場を断念。ラッパ隊のみ参加する。各部の優勝チームは7月26日に県消防学校(矢巾町)で行われる県大会に出場する。

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震災後の子ども支援 BS岩手連盟が報告書に 釜石第2団の末永正志さん 自費出版で関係先に寄贈

ボーイスカウト(BS)が行った東日本大震災の支援活動を報告書にまとめた日本BS岩手連盟前副連盟長の末永正志さん

ボーイスカウト(BS)が行った東日本大震災の支援活動を報告書にまとめた日本BS岩手連盟前副連盟長の末永正志さん

 
 東日本大震災後に子どもの遊び場などを提供し、心のケアに努めてきた日本ボーイスカウト(BS)岩手連盟(南部利文連盟長)は、県内で実施した活動を報告書にまとめ、このほど関係先に寄贈した。沿岸被災地での活動を主導した前副連盟長の末永正志さん(76、釜石市)が、震災15年を機に自費出版。災害時に対応が遅れがちな「子どもの心のケア・居場所づくり」が、将来にわたって効果的に進むようにとの願いが込められている。
 
 報告書は全36ページ。発災直後から復旧・復興期に至る支援活動について、末永さんが持つ資料を基に10年間の活動記録を掲載した。青少年の健全育成に取り組むBSは組織の横のつながりを生かし、発災直後から衣類や文房具、辞書などの支援物資を被災地に届ける活動を展開。地元で募金活動を継続し、長期にわたり被災地に支援金を届ける県連盟もあった。
 
震災から10年間のBSによる支援活動を写真やデータを交えて掲載した報告書

震災から10年間のBSによる支援活動を写真やデータを交えて掲載した報告書

 
BS埼玉県連盟は各地で募金活動を行い、被災3県の連盟に支援金を届けた。写真は2012年11月、釜石市で行われた贈呈式

BS埼玉県連盟は各地で募金活動を行い、被災3県の連盟に支援金を届けた。写真は2012年11月、釜石市で行われた贈呈式

 
 2011年夏、被災の悲しみを乗り越える一助となるようにと、被災地域から離れた県内陸部で野外キャンプを行う「アウトドアチャレンジ」事業がスタート。釜石、大槌両市町の小学4~6年生を対象に1泊2日の日程で、野外ゲームや乗馬、小動物との触れ合いなどを通じて心身のリフレッシュを図ってもらった。実施前には県実行委のメンバー、ボランティアの大学生らが臨床心理士や小児科医から“グリーフケア”を学ぶ事前研修も行い、受け入れ体制を整えた。BS日本連盟が主催した同キャンプは後に岩手連盟や県内の自然活動団体で組織する実行委に移管され、計10回行われた。
 
滝沢市で行ったグリーフケアキャンプ。自然と親しみながら心身のリフレッシュを図るプログラムが用意された=写真提供:末永正志さん

滝沢市で行ったグリーフケアキャンプ。自然と親しみながら心身のリフレッシュを図るプログラムが用意された=写真提供:末永正志さん

 
 沿岸被災地では釜石第2団が被災から2カ月後の5月に始動。仮設住宅に入居した人たちに花苗をプレゼントしたほか、津波被害を受けた釜石駅前の花壇に花苗を植える活動を行った。同年10月には遊び場を失った子どもたちのために、釜石市のシープラザ遊に「遊びの広場」を開設。BSが得意とする野外活動をアレンジしたさまざまな遊びを提供し、訪れた子どもたちが楽しい時間を過ごした。同広場は山田町や大槌町などでも開催され、2019年まで続けられた(計13回)。「子どもの心のケアはもちろんだが、私たちが一定時間子どもを預かることで、親たちは用足しや被災家屋の片づけなどができた。子どもの楽しそうな様子や笑顔を見られることは家族の喜びにもつながった」と末永さん。
 
釜石市のシープラザ遊に開設した「遊びの広場」。BS活動を生かした丸太切り(左上)、ツイストパンづくり(左下)、ツリークライミング(右)=2012、13年5月

釜石市のシープラザ遊に開設した「遊びの広場」。BS活動を生かした丸太切り(左上)、ツイストパンづくり(左下)、ツリークライミング(右)=2012、13年5月

 
竹馬などの昔遊びコーナーも。多くの子どもたちが遊びに夢中になった

竹馬などの昔遊びコーナーも。多くの子どもたちが遊びに夢中になった

 
 釜石第2団では震災津波で13世帯が被災。元団員1人が犠牲になった。末永さんも自宅や車を流されたが、BSの誓いにある「いつも他の人々を助けます」という率先援助の精神に突き動かされ、被災した子どもたちの支援活動に奔走してきた。その中で感じたのは、震災で負った心の傷の深さ。「発災直後は自分の気持ちを抑えておとなしくしていた子どもが、時間の経過とともに(ストレスなど)背負っているものを抱えきれなくなり、思いも寄らぬ行動や体調不良に陥るケースがあった」。災害時の心のケアの難しさ、継続的な支援の必要性を痛感する瞬間だった。
 
 近年、各地で多発する大規模災害。昨年10月、BS日本連盟は都道府県連盟に対し、「災害対応タスクチーム」に関する指針を出した。平時から人材確保や活用可能な資機材のリスト化、連絡網の整備を進め、災害発生時には被災状況の把握や発生規模に応じた対応の検討、応援受け入れなどをスムーズに行えるよう通達した。こうした背景もあり、末永さんは報告書作成を決断。「自分たちの経験を広く伝えることで、災害時の子ども支援がより良い形で進めば。国もようやく災害時の子どもの居場所づくりに取り組み始めた。国や自治体、災害ボランティア団体などにより早期にシステム化を図ってほしい」と願う。
 
支援への感謝を示し、報告書を「今後の参考にしてほしい」と話す末永正志さん。災害時の「子どもの居場所づくり」のシステム化を願う

支援への感謝を示し、報告書を「今後の参考にしてほしい」と話す末永正志さん。災害時の「子どもの居場所づくり」のシステム化を願う

 
 報告書は釜石第2団OBの印刷協力、末永さんの製本で140部を作成。支援を受けた他県連盟や各団体、自治体などに配布している。

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ホタル舞う里 復活願い 釜石・小川川の支流水路で餌のカワニナ放流 地道に、成果も

釜石市甲子町(中小川)に整備された水路にカワニナを放流する子どもたち

釜石市甲子町(中小川)に整備された水路にカワニナを放流する子どもたち

 
 釜石市の中小川町内会(佐々木正雪会長)は14日、ゲンジボタルの生息地を守ろうと地域を流れる小川川支流の水路で、餌となる巻き貝「カワニナ」の放流会を開いた。参加者は多くのホタルが舞ったかつての美しい風景の復活を願い、手分けして緩やかな流れの中に放った。
 
 小川川の支流から分岐させる形で、同町内会が旧小川小の敷地の一角に整備した水路で開催し、親子連れら約40人が参加した。かまいしホタル友の会の臼澤良一会長(77)がカワニナとホタルの生態や自然環境の重要性を説明。「どちらもきれいな水、土、空気、草がなければ育たない」と強調し、「1匹のホタルがいる。それは自然が残っていることで貴重なこと。地域の人たちが守る宝を一緒に大切にしてほしい」と呼びかけた。
 
放流の前に活動紹介やホタルの話を聞き、地域の歌で声を合わせた

放流の前に活動紹介やホタルの話を聞き、地域の歌で声を合わせた

 
参加者は中小川町内会の会員からカワニナを分けてもらい放流の準備

参加者は中小川町内会の会員からカワニナを分けてもらい放流の準備

 
 カワニナは、町内会の会員たちが事前に小川川上流で採集。子どもらは小さなバケツに入れてもらったカワニナを興味深そうに触ったり観察してから、約1800匹を澄んだ水の中に放った。
 
ホタルの餌なの?興味津々にカワニナを触る子どもたち

ホタルの餌なの?興味津々にカワニナを触る子どもたち

 
カワニナを放って観察。「ホタル、見られるといいね」

カワニナを放って観察。「ホタル、見られるといいね」

 
 生き物が好きな同市の小学生、澤田紡希さん(9)は友達に誘われて初めて参加した。「ここでホタルが見られることを知らなかった。カワニナを食べて増えたらいい。飛んでいるところを見に来たい」と期待。母の友紀さん(42)は「(ホタルが)どう成長し、光るのか、イメージができた。参加することで子どもたちが自然を大事にする気持ちを育んでくれたらいい」と目を細めた。
 
 放流会は5回目。同町内会によると、かつて小川川流域では走行中の車のフロントガラスに当たるほど無数のホタルが乱舞し、多くの見物客が訪れる「ホタルの里」として知られた。しかし、東日本大震災後は仮設住宅整備など環境変化の影響を受けたのか、ホタルの生息数が減少。カワニナ自体が減っていることも分かった。そこで、再び増やそうと地域ぐるみで活動を開始。佐々木会長(76)の自宅などでカワニナを繁殖し、小川川本流の通称「ワッカラ淵」と呼ばれる中流域で放流を続けてきた。
 
放流も採取も!参加者は生き物との触れ合いを楽しんだ

放流も採取も!参加者は生き物との触れ合いを楽しんだ

 
 この日の放流地について、地元では「ホタル水路」と呼ぶ人もいるとか。数年前からカワニナを放ち、湿地などで見られるショウブやクリンソウなども持ち込み、ホタルが生育しやすい環境づくりに力を注ぐ。そのかいもあってか、6月下旬頃からホタルが見せる淡い光を確認することができ、その数は「年々増えている」と住民らは声をそろえる。
 
 佐々木会長は「人の生活の近くで見られるのは珍しい」と、地道な活動の確かな手応えを仲間と共有する。放流会に子どもが多く参加してくれたとうれしそうに話し、「震災前の光景を復活させたい。ホタルの里をもっと地域にしみ込ませ、みんなの取り組みとして絶やさずに続けたい」と望む。
 
カワニナを放流した水路(左)と並行して小川川の本流(右端)がある

カワニナを放流した水路(左)と並行して小川川の本流(右端)がある

 
 この水路では、想定外のヘイケボタルが出現しているのだとか。目当てのゲンジボタルは、水路に並行し流れる小川川本流で多く見られるという。ゲンジとヘイケ、2種の共演を楽しめる可能性も加わり、流域の魅力が向上。飛び方や光り方などの違いを話す佐々木会長は「両方をぜひ見に来て」とニヤリと笑った。
 
 ホタルの発光は例年6月下旬~7月上旬。イベントとして観察会は行っていないが、近くの住民が様子を見守る。7月5日には「ほたるの里まつり」を予定。地元芸能団体による歌や舞踊、しし踊りが披露され、餅まきも行う。

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世界遺産「橋野鉄鉱山」高炉場跡で6月恒例の環境美化活動 新発見の“開山碑”見学会も

「みんなの橋野鉄鉱山」環境美化活動で草刈りに精を出す参加者=6日、高炉場跡

「みんなの橋野鉄鉱山」環境美化活動で草刈りに精を出す参加者=6日、高炉場跡

 
 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」高炉場跡で6日、市民らによる環境美化活動が行われた。1957(昭和32)年6月3日の橋野高炉跡国史跡指定を記念した活動は、指定60周年となった2017年から始められ、今年で10年目。清掃後、昨年11月に新たに発見された“開山碑”の見学会も初めて開かれた。参加者は普段立ち入ることができない場所にある石碑を間近で目にし、その大きさに圧倒された。
 
 「みんなの橋野鉄鉱山」と銘打った同活動は、同市が誇る貴重な史跡への理解を深め、保護意識を高めてもらおうと市教委文化財課世界遺産室が開催。今回は市内外から20人が参加し、一番、二番高炉周辺と御日払所跡で草刈りを中心に行った。機械での除草のほか、石垣の隙間から伸びた雑草を鎌やせん定はさみで刈り取り。来訪者がより良い環境で見学できるように作業した。
 
高炉の脇を流れていた水路跡(右上)、御日払所跡(右下)の石垣もきれいに

高炉の脇を流れていた水路跡(右上)、御日払所跡(右下)の石垣もきれいに

 
草刈り機で広範囲を除草した佐々忠建設の社員ら

草刈り機で広範囲を除草した佐々忠建設の社員ら

 
 草刈り機で広範囲の除草に力を発揮したのは、現在、同鉄鉱山インフォメーションセンター展示更新工事に携わっている佐々忠建設(同市新町)の社員ら6人。佐々木正忠代表取締役は「社員にとっても郷土の歴史に触れるいい機会。ここは釜石の宝。みんなで意識的に守っていかなければ」と思いを込めた。
 
 例年は清掃活動の後に、同遺産に関連した講演会を開いているが、今年は高炉場跡の山神社エリアで現地見学会が開かれた。三番高炉の東側に広がる山の斜面には「山神碑」と「牛馬観世音碑」、神社の建物の礎石が残る。橋野鉄鉱山の操業開始は1858(安政5)年。操業時の建物の配置などが分かる絵巻(61~63年頃作)にも神社があったことを示す鳥居が描かれている。69(明治2)年作の両石碑は現在地より高い場所にあった神社の近くに置かれていたとみられる。
 
建設業の職人らは石碑の建ち方にも興味津々

建設業の職人らは石碑の建ち方にも興味津々

 
山神社跡(白枠矢印)、石割桜(黄丸)の場所からさらに上っていくと…

山神社跡(白枠矢印)、石割桜(黄丸)の場所からさらに上っていくと…

 
 山神社跡からさらに上った先、見学エリアの柵の外側には、歴史的発見となった「開山碑」が鎮座。国有林地内のため、普段は立ち入ることはできないが、今回は許可を得て、石碑近くまで足を踏み入れることができた。同碑は昨年11月、高炉場跡のモニタリング調査中に偶然発見された。定点観測用の写真撮影で周辺を歩いていた世界遺産室の髙橋岳係長が、所々コケに覆われた花こう岩の表面に文字らしきものを発見。後日、コケをはがし調査したところ、石碑であることが分かった。
 
発見された「開山碑」(黄丸)は高炉場エリアを見下ろす高い場所にある

発見された「開山碑」(黄丸)は高炉場エリアを見下ろす高い場所にある

 
開山碑は人の背丈を超える大きさ。文字が刻まれている面は所々コケに覆われていた

開山碑は人の背丈を超える大きさ。文字が刻まれている面は所々コケに覆われていた

 
 自然に割れたとみられる岩の表面には、中央に不動明王を表す梵字と「開山」の文字、左右下には高炉建設の技術者で大島高任の補佐役「田鎖仲」と鉱山の事務方を担った支配人「市之助」の名前、「安政五戊午(つちのえうま)年九月十二日」の日付が刻まれる。同日付前後の複数の古文書から推測すると、最初の仮高炉(後の三番高炉)は安政5年6月に着工。約3カ月で完成し、9月に操業を開始したと考えられるという。「碑に刻まれる“9月12日”は仮高炉の実際の稼働開始を意味しているのではないか。不動明王は火の神様なので、高炉の安全操業を祈願して祭ったのでは」と髙橋係長。
 
石碑の文字は「ひかり拓本」で読み取ることができた=資料写真、解説図提供:市教委文化財課世界遺産室

石碑の文字は「ひかり拓本」で読み取ることができた=資料写真、解説図提供:市教委文化財課世界遺産室

 
髙橋岳係長の解説を聞きながら開山碑に目がくぎ付けとなる参加者

髙橋岳係長の解説を聞きながら開山碑に目がくぎ付けとなる参加者

 
 石碑は高さ2メートル以上、横幅約1.7メートルと、近くに行くとその大きさに圧倒される。文字が刻まれた岩の横には、片割れの岩が見られる。タガネが入った形跡がなく、自然の摂理で垂直面が生まれたことにも驚かされる。
 
 花巻市から参加した小笠原直人さん(59)は橋野町出身。子どものころ、高炉場跡に近い場所で祖父母が食堂を営んでおり、「今日見た辺りも祖母に連れられて見に行った記憶がある」と話す。新発見の開山碑を初めて目にし、「まさか、あんな(足元の悪い)場所に石碑があったとは。全く知らなかったのでびっくり」と貴重な遺物を目に焼き付けた。今回はフェイスブックで同活動を知り、「地元にも協力したい」と参加。昨年、世界遺産登録10周年を迎えた同所に「また注目されて観光客がもっと来てくれるといい」と願った。
 
対面に横たわっているのが割れた岩の片割れとみられる(白矢印)

対面に横たわっているのが割れた岩の片割れとみられる(白矢印)

 
開山碑の周辺の様子。高炉の石組みにも使われた花こう岩がごろごろ。多くがこけむしている

開山碑の周辺の様子。高炉の石組みにも使われた花こう岩がごろごろ。多くがこけむしている

 
 橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの展示室は6月からリニューアル工事が始まっている。同鉄鉱山を含む「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(8県11市23資産)の共通展示を導入するため、パネルや映像を更新。世界遺産登録後、進められてきた発掘調査の内容、本県の3世界遺産の紹介も盛り込むことになっていて、室内のレイアウト変更のための工事が行われている。公開は7月8日を予定する。(工事期間中はエントランスエリア、トイレのみ利用可能)

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ヤマメもイワナも!大きく育って 甲子小児童が放流 地域の川を守る活動に協力

ヤマメとイワナの稚魚を放流する甲子小の児童

ヤマメとイワナの稚魚を放流する甲子小の児童

 
 釜石市の甲子小(細田多聞校長、児童210人)の4年生約40人は9日、地元を流れる甲子川の河川敷からヤマメとイワナの稚魚を放流した。甲子川鮎釣協力会が市や地元企業の協力を得て続ける活動を子どもたちがお手伝い。自然豊かな清流を大切にする心も育んだ。
 
 同市両石町の千丈ヶ滝養魚場(佐藤実代表)が体長7~13センチに育ったヤマメ、イワナの稚魚計10キロ(約1000尾)を用意。子どもたちはバケツを手に慎重に水辺に近づき「いってらっしゃーい」「大きくなってね」などと声をかけながら、優しく送り出だした。「かわいいね」「大丈夫かな」と名残惜しそうに見守る声も聞こえた。
 
水中に放った稚魚の行方が気になる子どもたち

水中に放った稚魚の行方が気になる子どもたち

 
慎重に、そっと、豪快に。放流の仕方はそれぞれ

慎重に、そっと、豪快に。放流の仕方はそれぞれ

 
 「元気に育って」と願いを込めて稚魚を放ったのは佐々木麻矢さん。この川や地元の海などで家族と一緒に釣りを楽しんでいるといい、「資源を守る機会になる大事なことだと思う」と受け止めた。釣りの魅力は、やはり魚をゲットした時の喜び。竿を川に投げてもすぐに釣れないことも多いが「楽しい」し、釣れていないポイントで挑むのも「おもしろい」らしい。甲子川でのアユ釣り解禁は7月に入ってからとなっていて、ほかの魚類も同じと聞いて、待ち遠しそうにした。
 
泳ぎ出す稚魚を見つめる児童の願いはいっしょ。「元気でね」

泳ぎ出す稚魚を見つめる児童の願いはいっしょ。「元気でね」

 
 甲子川は漁業権が設定されておらず、遊漁料の徴収はない。そんな中で同協力会は、魚が住める環境づくりや資源の保護などを目的に自主的な取り組みを進める。毎年春に行う稚魚放流はその一つ。釣り人や市内外の賛同者らから協力金を募り、市や企業の助成も得ながら継続している。今年5月にはアユの稚魚250キロ(約2万7700尾)を放流。そしてこの日は7カ所でヤマメ、イワナの稚魚を計30キロ放った。
 
子どもの力も借りて稚魚を放流した地域の大人たち

子どもの力も借りて稚魚を放流した地域の大人たち

 
 同協力会の活動を紹介した市水産農林課の職員は「地域の人たちが自然環境を守ろうと活動していることを知ってもらえたら。子どもたちも甲子川に関わる機会は多いだろうから、環境保全の視点から川を見てほしい」と期待。この日放流した稚魚はきれいな川で育つことから、成魚との再会を楽しみにする子どもたちに「夏に見に来てみて」と呼びかけていた。
 
 甲子川の資源保護などにつながる協力金は甲子町の釣具店「釣具オヤマ」などで受け付けている。

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釜石市から38年ぶり 都市対抗野球東北大会へ クラブチームの「釜石野球団」初の大舞台に挑む

第97回都市対抗野球県予選で3位となり、東北大会出場を決めた釜石野球団=写真提供:同団(以下、試合写真同)

第97回都市対抗野球県予選で3位となり、東北大会出場を決めた釜石野球団=写真提供:同団(以下、試合写真同)

 
 釜石市唯一の社会人硬式野球チーム、釜石野球団(佐藤貴之監督、43人)が18日に福島県で開幕する第97回都市対抗野球第二次予選東北大会に岩手第3代表として出場する。釜石市のチームが同大会に出場するのは1988(昭和63)年に新日鉄釜石硬式野球部が出場して以来38年ぶり。1975(同50)年創立の同団にとっては初の快挙となる。企業チームを含む各県の強豪が集まる大会で、選手らは同市代表の誇りを胸に積み上げてきた実力を最大限発揮する構えだ。
 
 釜石野球団(以下、釜石)は5月に開催された第一次予選県大会に出場。15クラブによる予選を勝ち抜いた4チームとシード権を持つ4チーム計8チームで争う県代表決定トーナメントに、シードチームとして出場した。1回戦は予選Aブロック代表の盛友クラブ(盛岡市)と対戦し12-5で勝利。準決勝はJR盛岡(同)に13-0で敗れた。釜石は第3代表(3位)決定戦で、県内クラブチームの強豪、水沢駒形野球倶楽部(奥州市)と対戦。8回に一挙4点を挙げる逆転勝利(4-1)で、初の県代表の座を獲得した。東北大会には優勝のトヨタ自動車東日本(金ケ崎町)、準優勝のJR盛岡とともに出場する。
 
5月24日に行われた第3代表決定戦。釜石野球団は水沢駒形野球倶楽部と対戦。上ユニフォーム白が釜石

5月24日に行われた第3代表決定戦。釜石野球団は水沢駒形野球倶楽部と対戦。上ユニフォーム白が釜石

 
写真右は盛友クラブ戦で着用したユニフォーム。ともに肩には釜石市の市章が入る

写真右は盛友クラブ戦で着用したユニフォーム。ともに肩には釜石市の市章が入る

 
 クラブチームの釜石はこの10年で着実に力をつけてきた。2018年のJABA東北クラブカップ県予選優勝での東北大会出場を皮切りに、24年には全日本クラブ選手権県予選で3位、25年の同選手権県予選では準優勝に輝き、2年連続の東北大会出場を果たした。
 
 選手は釜石出身、在住者のみならず、県内各地から加入していて、高校野球での甲子園出場経験者も複数在籍。加入者は増加傾向にあり、今年は他チームからの移籍を含め7人が新たに加わった。このうち5人が投手で、投手陣は計15人に。エース廣崎真樹(32)を中心に、新加入の佐々木武輝(23)、大瀬開途(20)、阿部浩土史(21)らが本県予選でも好投した。「投手層が厚くなり、先の試合を見据えながらの起用が可能になった。投手が多いのは大きな戦力」と佐藤監督(57)。
 
昨年加入した廣崎真樹投手。エースとして活躍(盛友クラブ戦)

昨年加入した廣崎真樹投手。エースとして活躍(盛友クラブ戦)

 
今年新たに加入した佐々木武輝投手。水沢駒形戦で先発し、相手打線を3安打に抑えるピッチングで137球を完投

今年新たに加入した佐々木武輝投手。水沢駒形戦で先発し、相手打線を3安打に抑えるピッチングで137球を完投
 
新加入の大瀬開途投手は釜石出身。県内の野球強豪校、一関学院高を卒業

新加入の大瀬開途投手は釜石出身。県内の野球強豪校、一関学院高を卒業

 
 チームの持ち味、打撃にも磨きがかかる。菅原昌也(28)、西澤和哉(28)、滝田丞(25)の打力に加え、俊足の吉田匠(30)、西澤直史(31)の一打も期待したいところ。都市対抗野球には元プロ選手ら球速の速い投手が参入しているため、「そこにどのくらい食らいついていけるかが鍵」(佐藤監督)。
 
チームの主砲、菅原昌也選手(左)は本予選でも長打力を発揮。盛友戦では本塁打も。滝田丞選手(右)も先頭打者などで活躍

チームの主砲、菅原昌也選手(左)は本予選でも長打力を発揮。盛友戦では本塁打も。滝田丞選手(右)も先頭打者などで活躍

 
西澤直史(右)、和哉(左)兄弟選手も打撃の要。捕手の和哉選手は司令塔としてもチームを支える

西澤直史(右)、和哉(左)兄弟選手も打撃の要。捕手の和哉選手は司令塔としてもチームを支える

 
 第3代表決定戦で8回に同点打を放ち、逆転勝利へチームを勢いづけた菅原選手は「入団してから水沢駒形には一度も勝ったことがなかった。水沢を倒すのを目標にやってきたので喜びは大きい」とし、新戦力の投手陣の頑張りと昨年の対戦での相手投手の研究を勝因に挙げる。社会人野球の最高峰“都市対抗”で東北大会に行けることに、「県外の強豪企業チームと対戦できる機会はそんなにない。今回の経験がチームの飛躍にもつながると思うので、得るものを得て全力で戦ってきたい」と意気込む。入団11年目の今季は主将としてもチームをけん引する。「釜石市代表として、市民の皆さんに良い報告ができるように頑張る」とも。
 
毎週水曜日の通常練習は仕事を終えた夜に実施。佐藤貴之監督(左)のノックで守備練習=10日

毎週水曜日の通常練習は仕事を終えた夜に実施。佐藤貴之監督(左)のノックで守備練習=10日

 
ティーバッティング練習でミート力、スイングスピードなどを養う

ティーバッティング練習でミート力、スイングスピードなどを養う

 
 全日本クラブ選手権含め3年連続の東北大会進出。選手らは場慣れも進み、「経験値が上がってきたことで『自分たちもやれる』という自信がついてきている」という。練習に対する意識も変わってきていて、選手から新メニューを提案することも。チームのモットー「エンジョイ!ベースボール」はそのままに、さらなる高みを目指す。釜石市の市章を肩に付けて臨む本大会。「東北大会では大漁旗も飾って、釜石を大いにアピールしてきたい」と佐藤監督。
 
夜の練習は釜石在住者が中心。各地のメンバーが集まっての球場練習は土日に設定

夜の練習は釜石在住者が中心。各地のメンバーが集まっての球場練習は土日に設定

 
初の都市対抗東北大会へ気持ちを高めるメンバー「頑張るぞー!」

初の都市対抗東北大会へ気持ちを高めるメンバー「頑張るぞー!」

 
 東北大会には6県から計12チームが出場する。釜石の初戦は18日午前10時から。福島県営あづま球場で、仙台市のマルハン北日本カンパニー(宮城第4代表)と対戦する。東京ドームで行われる全国大会への出場枠は上位2チーム。
 
【続報】
釜石野球団の下部組織、小学生チームの「釜石野球団Jr(ジュニア)」は13日に岩泉町の楽天イーグルス岩泉球場で行われた第48回エンジョイ!軟式野球フェスティバル2026県予選(いわての牛乳カップ)で初優勝。全国大会への出場権を手にした。準決勝で田野畑スピリッツ・普代オーシャンズ連合(下閉伊北)を10-4で下した釜石は、決勝で山目スポーツ少年団(一関市)と対戦。1回に一挙3点、2回、4回に各4点を加えた釜石は11-3(5回コールド)の大差で勝利。釜石の熊谷龍希選手は最優秀選手賞、前川城選手は打撃賞を受賞した。全国大会は本県を会場に8月8~11日の日程で行われる。
 
13日に決勝が行われた軟式野球フェス県予選(いわての牛乳カップ)で優勝し、全国大会出場を決めた釜石野球団Jr(ジュニア)=写真提供:同団Jr

13日に決勝が行われた軟式野球フェス県予選(いわての牛乳カップ)で優勝し、全国大会出場を決めた釜石野球団Jr(ジュニア)=写真提供:同団Jr

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地域の安全安心 守る心意気示す 釜石市消防団が演習 子どもらも応援「みんなヒーロー」

小型ポンプ操法などの訓練できびきびとした動きを見せる団員ら

小型ポンプ操法などの訓練できびきびとした動きを見せる団員ら

 
 消防団員が日ごろの訓練の成果を披露する消防演習が7日、釜石市鈴子町の釜石消防庁舎駐車場などで行われた。市消防団(菊池録郎団長、団員501人)が火災防御訓練や一斉放水などで磨いている技能を見せながら、有事に備え気を引き締めた。
 
 団員ら約460人、車両38台が参加した。統監の小野共市長は「自然災害が頻発しており、地域における共助の力、消防団の役割の重要さは増している。一方で、団員の確保は課題。活動しやすい環境づくりに努めていくので、引き続き尽力を」と訓示した。
 
日ごろの練習成果を見せる演習に臨む釜石市消防団

日ごろの練習成果を見せる演習に臨む釜石市消防団

 
 災害現場や火災予防で優秀な活動をした団員や部をたたえる市長表彰では、功績者として団員5人を賞賛し、5つの部に竿頭綬(かんとうじゅ)を授与。在職3年以上で職務精励、消防技能に優れた8人を市消防団長表彰の精勤者として高く評価した。
 
市長表彰、消防団長表彰で優れた活動を続ける団員や部をたたえた

市長表彰、消防団長表彰で優れた活動を続ける団員や部をたたえた

 
新入団員を代表し、宣誓する小笠原玲瑠さん(左)

新入団員を代表し、宣誓する小笠原玲瑠さん(左)

 
 2026年度の新入団員は6人。代表して第6分団第2部の小笠原玲瑠さん(20)が菊池団長から辞令を受け、「良心に従って誠実に消防の義務を遂行する」と誓った。
 
 統監や団長らによる観閲の後、職務遂行に必要な行動を確かめる通常点検(隊列での移動など)や機械器具点検(消防車両の装備確認など)、きびきびとした動きで小型ポンプ操法、ポンプ車操法訓練を展開。千鳥町の甲子川河川敷では、川からくみ上げた水を天高く放水した。
 
観閲や機械器具点検などに臨み、基本行動を実践する団員ら

観閲や機械器具点検などに臨み、基本行動を実践する団員ら

 
日ごろの訓練で身につけた技術を披露した消防操法訓練

日ごろの訓練で身につけた技術を披露した消防操法訓練

 
空に向けた一斉放水で防火や職務遂行へ士気を高めた

空に向けた一斉放水で防火や職務遂行へ士気を高めた

 
 地域の安全を守る団員らへ心あたたまるひと時を届けようと、栗林小の伊藤晴喜さん(3年)、ひなたさん(2年)兄妹が感謝のメッセージを発表。両親ともに団活動に励んでおり、「お母さんは困っている人がいたらすぐに駆け付けるスーパーヒーロー。消防団にはそんなヒーローが集まっているのだと思う。僕も大きくなったらみんなを助けるヒーローになりたい」「いつもありがとう。お父さんが頑張っている姿を見るのが大好きです」などと応援の気持ちを伝えた。
 
消防団員への応援の気持ちを発表する子どもたち

消防団員への応援の気持ちを発表する子どもたち

 
 菊池団長は、操法訓練などに臨む団員らの姿を見つめて「緊張していたようだが、見事に力を発揮してくれた。心強い」と評価した。人口減少の中、団員の確保は厳しさを増す一方だが、今回取り入れられた子どもたちからの作文発表が「団員の励みになれば」と期待。頼られる団であるため若手への技能継承、組織の充実強化を続ける考えを示した。
 
 釜石市では昨年、建物など3件の火災があった。今年はこれまでに2件発生。また、4月に大槌町で発生した山林火災では釜石消防団も素早く出動し、民家への延焼を最小限に食い止め、住民の命や財産を守る活動を支えた。

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災害時の要救護・支援を上空に発信 「SOSシート」を釜石市へ 地域医療連携推進法人が寄贈

地域医療連携推進法人「釜石スクラムメディカルネット」がSOSシート(災害時施設状況伝達横断幕)を釜石市に寄贈=2日

地域医療連携推進法人「釜石スクラムメディカルネット」がSOSシート(災害時施設状況伝達横断幕)を釜石市に寄贈=2日

 
 釜石市の地域医療連携推進法人、釜石スクラムメディカルネット(佐藤滋代表理事)は2日、災害時に孤立した施設や避難所の状況を伝える横断幕「SOSシート」5セットを釜石市に寄贈した。東日本大震災の教訓をもとに開発されたもので、情報通信インフラが途絶した場所から、上空のヘリコプターやドローンに必要な救護や支援を伝達する手段として活用が期待される。
 
 寄贈式は中妻町の釜石医師会館で行われた。佐藤代表理事は「大規模災害時に電気や通信などのインフラが使用不能となった場合、こういう基本的なツールが役立つと考えられる。ぜひ有効活用を」と述べ、小野共市長に現物を手渡した。
 
法人の佐藤滋代表理事(医療法人楽山会理事長)が小野共釜石市長に贈呈

法人の佐藤滋代表理事(医療法人楽山会理事長)が小野共釜石市長に贈呈

 
 同シートはテントなどに使われるターポリン素材で、横3.9メートル、縦1.78メートル。地色は自然界にないオレンジ色を採用している。情報を発信した日付、施設の収容者数、傷病者数を、ひもが付いた数字部分(白、オレンジ両面)をひっくり返すだけで簡単に更新できる。施設の状況を知らせる6種のピクトグラム(視覚記号)も表示可能。▽建物倒壊▽通信不通▽飲料水等不足▽食料不足▽医薬品等不足▽電気・燃料等不足―を伝えられ、不要な項目はマジックテープを外して折りたたむ仕様。シートは組み立て式のパイプフレームで固定する。重量は13.5キロ。
 
会場に展示されたSOSシート。数字は左側が日付(6月2日)、右下が収容者数(1034人)、右上が傷病者数(56人)を示す。真ん中はピクトグラム表示

会場に展示されたSOSシート。数字は左側が日付(6月2日)、右下が収容者数(1034人)、右上が傷病者数(56人)を示す。真ん中はピクトグラム表示

 
数字は白とオレンジの両面があるパーツをひっくり返すだけで変更可能

数字は白とオレンジの両面があるパーツをひっくり返すだけで変更可能

 
ピクトグラムは必要なものだけを表示。不要なものは折りたたんで非表示に

ピクトグラムは必要なものだけを表示。不要なものは折りたたんで非表示に

 
 東日本大震災で医療施設が孤立した宮城県気仙沼市で、教訓を生かそうと地元企業や医療関係者により2015年に開発された。同メディカルネットに参画する独立行政法人国立病院機構釜石病院の名誉院長・特任参与の成田德雄医師が開発に関わっていたこともあり、釜石地域の災害対応力向上につながればと今回の寄贈に至った。「アナログな情報伝達手法は、災害が大規模であればあるほど必要になってくる。毎日更新される情報を日付を示して発信することは極めて重要」と成田医師。気仙沼市では避難所となる学校などに配備されているという。本県での導入は釜石市が初めて。
 
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SOSシートの開発に関わった成田德雄医師(左、同法人理事)が寄贈の経緯などを説明

 
 シートの寄贈を受けた小野市長は「災害時、取り残された住民にとって貴重な役に立つツールとなる」と感謝。「どこに配置するかを考え、実際の災害時に効果をしっかり発揮できるよう、市の避難訓練などで使い方を実践してみたい」と述べた。東日本大震災では、半島部の住民がヘリコプターで救助される事例もあった。同市の猪又博史危機管理監は「情報網が途絶された中では、こういうものが情報になる。孤立が想定される半島部を念頭に配備場所の検討を進めていきたい」と話した。

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鶏肉のオヤマ(一関市) 釜石2カ所目の養鶏場「和山ファーム」で7月から飼育開始 年内本格稼働へ

釜石市橋野町和山に建設されたオヤマの新養鶏農場「和山ファーム」。鶏舎1~4号棟が完成した=2日

釜石市橋野町和山に建設されたオヤマの新養鶏農場「和山ファーム」。鶏舎1~4号棟が完成した=2日

 
 一関市の鶏肉生産加工販売業オヤマ(小山雅也代表取締役社長)が、釜石市橋野町和山に新たな養鶏農場「和山ファーム」を建設。一部鶏舎の完成を受け、7月から飼育を開始する。同社の釜石農場は2024年4月から稼働する栗林町の「リアスファーム」に次ぎ2カ所目。和山の農場も鶏の健康飼育や資源循環などの環境に配慮した設備で、栗林と同規模の生産を見込む。全施設の完成は11月。年内の本格稼働を目指す。
 
 昨春から工事が進められてきた和山ファームは鶏舎6棟のうち4棟が完成。今月2日、関係者約60人が出席し、第1期工事完成竣工式が現地で行われた。神事で出席者の代表が神前に玉串をささげ、新農場の安全、安定操業を祈願。鶏舎の内覧会で、施設の概要や設備について同社の担当者から説明があった。
 
3号棟鶏舎で行われた和山ファーム第1期工事完成竣工式の神事

3号棟鶏舎で行われた和山ファーム第1期工事完成竣工式の神事

 
神前に玉串をささげ、安全操業を祈願。出席者が乾杯して竣工を祝った

神前に玉串をささげ、安全操業を祈願。出席者が乾杯して竣工を祝った

 
上空から見た「和山ファーム」の敷地。(左上から)鶏舎6棟を配置。右側2棟(5、6号棟)は建設中=写真提供:千葉建設

上空から見た「和山ファーム」の敷地。(左上から)鶏舎6棟を配置。右側2棟(5、6号棟)は建設中=写真提供:千葉建設

 
 新農場は一般社団法人栗橋地域振興社(菊池録郎代表理事会長)が管理する和山地内の土地を借用して建設。約4万平方メートルの敷地に鶏舎6棟(総面積9741平方メートル)のほか、鶏ふん倉庫、ボイラー室、灰倉庫、管理棟、排水処理施設などを整備する。総事業費は約15億円。
 
 鶏舎は窓のない閉鎖型断熱構造(ウインドレス鶏舎)で、広さは国内最大級。鶏の成長過程に適した室温をコンピューターで自動制御できる換気、入気システムを導入する。床下には、鶏ふんの燃焼熱で沸かした温水を活用した床暖房設備もある。夏場の暑さ対策としてミスト噴霧装置や空気の流れを変えるロールカーテンも。照明は小電力、環境に配慮したLED電球で、一部鶏舎には除菌、鶏の健康促進に効果が期待される紫外線発光機能付き電球を試験導入する。鳥インフルエンザ防除など野鳥・野生動物侵入防止策、各種衛生管理を徹底する。
 
内覧会会場となった4号棟鶏舎の内部。面積1623平方メートル。奥行きは約74メートル

内覧会会場となった4号棟鶏舎の内部。面積1623平方メートル。奥行きは約74メートル

 
両側の入気口から入った空気が奥の壁一面の換気扇に流れていって換気。入気、換気はコンピューターによる自動制御

両側の入気口から入った空気が奥の壁一面の換気扇に流れていって換気。入気、換気はコンピューターによる自動制御

 
夏場の暑さ対策のためのミスト噴霧装置。鶏の体感温度を下げ、ヒートストレス軽減

夏場の暑さ対策のためのミスト噴霧装置。鶏の体感温度を下げ、ヒートストレス軽減

 
 屋外には鶏舎1棟につき4基の飼料タンクが配置され、パイプで送られた餌を自動給餌。水も自動給水で、新鮮な餌や水を与えることができる。鶏舎1棟で約2万8000羽を飼育。6棟の年6回の出荷で、年間約100万羽の生産を見込む。成長した鶏は一関市の工場に輸送して食肉処理される。鶏ふんの燃焼灰はリン酸カリ肥料として販売するほか、飼料米の水田などに使用。資源循環型の生産システムで環境に配慮した取り組みに貢献する。
 
餌や水もパイプから自動で供給されるシステム。オレンジ色の容器が給餌皿

餌や水もパイプから自動で供給されるシステム。オレンジ色の容器が給餌皿

 
 「奥州いわいどり」などのブランド鶏で知られる同社は、鶏の飼育から食肉処理、加工品製造、販売まで自社の一貫システムで行い、安全で高品質の鶏肉を提供する。国産鶏肉の市場拡大に伴い、生産量増加を目指し、餌の仕入れ先がある釜石市への養鶏農場新設を計画。2021年7月に同市と立地協定を結んだ。同市栗林町の養豚場跡地に鶏舎8棟を有する「リアスファーム」を建設し、24年4月から稼働する。さらなる事業規模拡大に向け、昨年3月には一関市室根町に処理能力が従来の約2.5倍、一日8万羽となる新工場が完成。釜石2カ所目となる「和山ファーム」の稼働は、安定的な供給体制確立につながるものと期待される。
 
 竣工式で小山社長は「地元関係者、建設事業者のご尽力の結晶を会社の発展につなげ、恩返しをしていきたい。室根の処理場と釜石の2農場の連携を深め、本県の鶏肉生産全国3位を1位に押し上げるよう頑張っていく」と決意を示した。釜石への農場設置は餌の供給拠点が近いことによる飼料運搬費削減のほか、三陸道を利用した一関の工場への鶏輸送時間短縮などの利点がある。「高速道路網の完成、釜石市の協力も後押しになって、とんとん拍子でここまできた。近くに民家のない和山は立地もいい。病気対策もしっかりしながら安全安心な生産に努めたい」と小山社長。
 
「目指すは岩手の鶏肉生産日本一」。オヤマの小山雅也代表取締役社長

「目指すは岩手の鶏肉生産日本一」。オヤマの小山雅也代表取締役社長

 
 同社は昨年6月、釜石市の酒造会社浜千鳥、食品加工の麻生三陸釜石工場、みそ、しょうゆ製造販売の藤勇醸造とタッグを組み、新商品「むね肉の漬梅焼き」を開発。同市ふるさと納税の返礼品にも採用される。釜石の農場で生産された鶏肉は市内の学校給食や子ども食堂にも提供された。
 
 竣工式に出席した同市の平松福壽副市長は2カ所目の農場進出に「釜石の農畜産業振興、経済効果を含め、地域の希望になる。さらなる特産品開発にもつなげていければ。海産物だけではない当市の食の魅力を発信できれば」と大いに期待。栗橋地域振興社の菊池録郎代表理事会長は「和山の土地利用が進むのは喜ばしい。環境に配慮した先進的な施設で安心感もある。今後も産業や観光で和山の活性化が図れれば」と願った。
 
1~4号棟鶏舎は7月から鶏の飼育を開始。年内に「2回転はできるのでは」と小山社長

1~4号棟鶏舎は7月から鶏の飼育を開始。年内に「2回転はできるのでは」と小山社長

 
 同社によると、今後は残る鶏舎2棟と付属施設の建設を進める。完成した4棟では7月から飼育を開始。従業員は7~8人の雇用を予定する。