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広報かまいし2025年4月15日号(No.1854)

広報かまいし2025年4月15日号(No.1854)
 

広報かまいし2025年4月15日号(No.1854)

広報かまいし2025年4月15日号(No.1854)

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【P1】
表紙

【P2-7】
令和7年度施政方針

【P8-9】
令和7年度教育行政方針

【P10-11】
中学生海外体験学習事業

【P12-13】
イベント案内

【P14-15】
#7119
プラスチックごみの分別にご協力ください
2月26日に大船渡市で発生した林野火災に伴う市の対応 他

【P16-17】
まちの話題

【P18】
こどもはぐくみ通信

【P19】
保健案内板

【P20-23】
世界遺産登録10周年記念コラム
移動図書館車
まちのお知らせ

【P24​​​​​​】
市民百景

 

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 オープンシティ・プロモーション室
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8463 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2025041500010/
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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ジャガイモに願い込め 釜石・甲東こども園、種イモ植え 心の成長と伝統つなぐ食育活動

豊作を願いながら種イモを植える甲東こども園の園児たち

豊作を願いながら種イモを植える甲東こども園の園児たち

 
 釜石市野田町の甲東こども園(野田摩理子園長、園児85人)が開設する「ちびっこ農園」で10日、食育の一環として、年長児20人がジャガイモの植え付けを行った。「大きくなーれ!」「おいしくなーれ!」。豊かな実りに期待を込めてパワーを送った。
 
 「カレーで食べたい。大きく、おいしくなってほしい」。横沢彩人君(5)は、そんな願いを持って作業したという。畑に入って保育教諭らから教わりながら、種イモ(品種はメークイン)を植え付け。30センチ間隔に付けられた印の上に種イモを置いて、“土のおふとん”をそっとかけた。そして、作業した場所に手をかざし、パワーを注入。「はやく、葉っぱ、出てこないかな」と楽しみにしていた。
 
「わくわく」。種イモを手に持って畑に入った園児たち

「わくわく」。種イモを手に持って畑に入った園児たち

 
保育教諭(右)の実演をじっと見つめる子どもたち

保育教諭(右)の実演をじっと見つめる子どもたち

 
畑に付けられた印の上に種イモをセット!慎重に

畑に付けられた印の上に種イモをセット!慎重に

 
種イモに土をかぶせる作業のポイントは「そっと」

種イモに土をかぶせる作業のポイントは「そっと」

 
 同園では、身近にある自然環境を保育に取り入れ、子どもたちが植物を育てる経験の場として1955年に農園を開設。昨年、より日当たりのよい場所に移設し、ジャガイモ栽培を続け今年で70年目となった。
 
 自然に触れ、楽しそうに活動する子どもたちを見守る野田園長。「年長児の活動を小さな子どもたちが興味を持って見ていたり、楽しさを伝え合っているよう。そうして代々つながっていくから、毎年、春になると『やってみたい』という気持ちが自然と芽生えるみたい」と目を細めた。
 
「大きくなれー」とパワー注入。自然との触れ合いを楽しむ

「大きくなれー」とパワー注入。自然との触れ合いを楽しむ

 
 今後、年長児は畑の草取りを手伝いながら成長を観察したりする。7月に収穫し、園行事のお泊り会や給食の食材として活用。全園児で収穫の喜びを味わうという。

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サクラ、きれい!春の便りに笑顔咲く 釜石の“定番”お花見スポットをめぐってみた

釜石市内でも桜が開花。甲子町松倉の川沿いの並木道では見ごろに

釜石市内でも桜が開花。甲子町松倉の川沿いの並木道では見ごろに

 
 桜の便りは釜石市にも届き、お花見スポットとされる各所では花姿を確認した人たちが春の訪れを実感している。4月に入り、日中の気温が15度前後の日が続いたが、風に冷気が混じっていたため、市内に多い桜(ソメイヨシノ)の開花具合はまちまち。それでも早咲き種とともに見ごろを迎えた木もあり、青空が顔をのぞかせた12日に定番スポットを巡ってみた。
 
 桜と言えば並木道。エドヒガン、ソメイヨシノ、シダレザクラなどが混在する甲子町松倉の甲子川沿いでは、市民や花見客らが約800メートルにわたり連なる花をめでながら散策を楽しむ。
 
甲子町の“桜ロード”では鈴なりに開花する木も

甲子町の“桜ロード”では鈴なりに開花する木も

 
 桜木町と小川町の小川川流域は両岸のソメイヨシノの枝が川に垂れる人気のスポット。花に手が届くほど間近で見られる場所もあり、多くの人がカメラやスマートフォンを向け、花姿を収めた。釜石製鉄所山神社を囲むように桜並木が広がる場所でもあって、ゆっくりと散策する人も。近くの多目的広場では折り畳み式のテーブルや椅子などのレジャーグッズを広げたグループが飲食も楽しんでいた。
 
晴れ間を狙って花見客が訪れる小川川沿いの桜並木

晴れ間を狙って花見客が訪れる小川川沿いの桜並木

 
 大槌町吉里吉里の岡谷暖空(ひなた)さん(6)は、父親の悦洋さん(42)に肩車され小川での花見を満喫。「きれい」と弾かせた笑顔を、母親の幸子さん(43)がスマホカメラに残した。桜の時期に毎年訪れて家族写真を撮るのが恒例行事。家族6人のうち、就職や進学で3人の姉が離れて暮らし、今春は3人で思い出をつくった。「桜は5分咲きくらいかな。天気もちょっと…カラッと晴れていたら」と幸子さん。開花と同じ頃に小学校に入学した愛息を見つめ、「自分らしさを忘れず、このまま真っすぐ育ってほしい」と願った。
 
子どもの成長と桜の花姿を楽しみにする岡谷さん一家

子どもの成長と桜の花姿を楽しみにする岡谷さん一家

 
 上中島町の公園では薄桃色の桜並木が市道沿いに連なる。栗林町の宍戸美佐子さん(44)は、歩き始めの陽咲(ひなた)ちゃん(2)とお散歩。「あっちのさくらー」と促す孫の後をゆっくりとした足取りで追う、ちやさん(74)は「春は気持ちがいい。いろんな出発の季節だからね。週1回のデイサービスが楽しみ。誰かと会えるし、何より会話が楽しい」と顔をほころばせた。
 
「きれいだね」。上中島町の公園でくつろぐ宍戸さん家族

「きれいだね」。上中島町の公園でくつろぐ宍戸さん家族

 
 野田町の野田中央公園は住宅地側の早咲き種のヤマザクラが満開で、風が吹くと花びらがちらちらと舞う。甲子川側のソメイヨシノは少し遅れて咲き誇る。環境を整えようと率先して活動する住民らの姿があり、「今年は、より色がいいな」とうれしそうな声が聞こえてきた。保育施設への入園式を終えた親子が記念に写真を撮る光景も見られた。
 
野田中央公園では色彩のコントラストも楽しめる

野田中央公園では色彩のコントラストも楽しめる

 
 大渡町の大渡橋たもと、橋詰広場には1本だけ泰然と立っている。趣のある樹形が目を引く桜は、ほぼ満開。甲子川をはさんだ対岸の三陸鉄道の線路沿いの木々と合わせ、美しい花姿を楽しめる。
 
きれいに咲き誇る大渡町の一本桜を“借景”に撮影を楽しむ

きれいに咲き誇る大渡町の一本桜を“借景”に撮影を楽しむ

 
 市内ではこのほか、定内町の定内公園も見ごろ。川をはさんだ小佐野町のせいてつ記念病院敷地の桜とのコラボを楽しめる散歩コースになっていて、道行く住民の目線は上を向いている。“桜のトンネル”を形成する唐丹町本郷の桜は咲き始め。橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」周辺はつぼみ状態で開花はこれから。春気分を味わうシーズンはまだ続きそうだ。
 
いつもの道でも散策すると春との出合いが待っているかも

いつもの道でも散策すると春との出合いが待っているかも

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海を知る「もっと」 いわて水産アカデミー入講式 7期生、浜の盛り上げへ決意

「浜の担い手に」と意気込むいわて水産アカデミー7期生

「浜の担い手に」と意気込むいわて水産アカデミー7期生

 
 漁業の担い手を育成する「いわて水産アカデミー」(同アカデミー運営協議会主催)は10日、7期生10人を迎えて開講した。将来、岩手県の水産業を支える力になるため、釜石地域を含む三陸の海で実践研修を重ねながら知識や技術の習得に励む。
 
 釜石市平田の県水産技術センターで入講式が行われた。7期生は10~30代、すでに漁業に携わる人もいれば、県内外からのU・I・Jターン者もいて、経歴はさまざま。同協議会長を務める佐藤法之県農林水産部長が「それぞれの夢や目標の実現に向け、仲間や地域住民とのつながりを大切にし、研さんを」と激励した。
 
いわて水産アカデミーの入講式に臨む7期生

いわて水産アカデミーの入講式に臨む7期生

 
入講した10人を激励する県農林水産部の佐藤法之部長

入講した10人を激励する県農林水産部の佐藤法之部長

 
 研修生を代表し、釜石東部漁協に所属しワカメやコンブなどの養殖業に携わる久保翼さんが「同じ思いを持つ仲間と互いに刺激し合い、共に成長し、地域に認められる漁業者になるため精いっぱい努力する。近い将来、漁業の担い手として地域に貢献したい」と決意を述べた。
 
研修に臨む決意を伝える久保翼さん(手前)

研修に臨む決意を伝える久保翼さん(手前)

 
 釜石・唐丹町で養殖や遊漁船事業などを手がける佐々木優貴さん(29)は地域外の技術も学ぼうと入講。研修許可証を手に、「どんな学びがあるか、楽しみ。近年の海洋環境の変化で漁業は厳しさもあるが、どう対策するか学び、考えていけたら。海のことを知り、地域を盛り上げていきたい」と意気込む。
 
佐々木優貴さんは身を引き締め、研修許可証を受け取った

佐々木優貴さんは身を引き締め、研修許可証を受け取った

 
 研修生は1年間、基礎から漁業経営に必要となる高度知識までを学ぶ。釜石市、大船渡市、陸前高田市の漁業者の下でそれぞれ定置網漁や養殖業などを実践。ICT(情報通信技術)の活用や6次産業化などへの理解も深めながら、小型船舶操縦士などの免許取得も目指す。研修期間中に地域の行事やイベントなどにも参加して住民と交流し、修了後に地域に溶け込んでいけるような取り組みも予定する。
 
前を向く研修生。夢や目標の実現へ気持ちを新たにする

前を向く研修生。夢や目標の実現へ気持ちを新たにする

 
 同協議会は、県内の漁業関係団体や市町村単位で設立された新規漁業就業者育成協議会、県で構成する。担い手の育成と地域への定着を図るべく、2019年にアカデミーを設置し、これまでに46人が修了。多くが県内各地の実践の場に飛び立ち、活躍している。

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鵜住居観音堂で14年目の“復光”祈願法要 震災犠牲者鎮魂、本尊守り地域の力に

東日本大震災物故者鎮魂 被災地第14回復光祈願法要=6日、鵜住居観音堂

東日本大震災物故者鎮魂 被災地第14回復光祈願法要=6日、鵜住居観音堂

 
 釜石市鵜住居町の鵜住居観音堂(小山士別当)で6日、東日本大震災犠牲者の鎮魂と地域再生を祈る復光祈願法要が行われた。津波による被害を受けながら、本尊「十一面観音立像」(2012年県有形文化財指定)の修復、お堂の再建を果たし、地域住民の心のよりどころとなっている同観音堂。参列者は14年の時の経過にそれぞれの思いを重ね、犠牲者の冥福、まちの明るい未来を願った。
 
 法要は当初、3月9日に予定されていたが、大船渡市の大規模山林火災発生を考慮し1カ月延期された。この日は地域住民のほか、本尊修復や観音堂再建に協力してきた関係者が東京や盛岡から駆け付けた。震災後、同観音堂に関わる法要を担ってきた平泉町、医王山毛越寺の藤里明久貫主ら僧侶3人が読経。参列者約30人が焼香し、祈りをささげた。
 
本尊「十一面観音立像」の模刻・身代わり観音像の前で読経する毛越寺の藤里明久貫主

本尊「十一面観音立像」の模刻・身代わり観音像の前で読経する毛越寺の藤里明久貫主

 
 藤里貫主は「災害は決して忘れることのできないものとして皆さんの心の中に刻まれる。傷を癒やしながら、しっかり生きていってほしい。亡くなられた方もそう願っているのではないか」と話し、被災者の心情に寄り添った。
 
 町内の自宅を津波で失い、復興住宅に暮らす女性(77)は「鵜住居に住んで54年。観音様にずっと見守っていただいている思い。周りの皆さんにも支えてもらい、今、毎日を過ごせている」と感謝。大船渡市の山林火災など各地で頻発する自然災害の被災者の身も案じながら、観音様に手を合わせた。
 
手を合わせ、震災犠牲者の冥福などを祈る参列者

手を合わせ、震災犠牲者の冥福などを祈る参列者

 
 現在地にほど近い低地にあった前観音堂は2011年の震災津波で全壊。33年に一度の御開帳を守り続けてきた本尊の観音像は、破損しながらも原形をとどめて発見された。同像の調査を続けていた故大矢邦宣さん(震災当時、盛岡大教授)らの尽力で修復の道が開かれ、京都の技師らが作業を引き受けた。大矢さんの発案で14年に模刻の身代わり観音像が制作され、仮の小観音堂に安置。本設再建までの間、同所で犠牲者の供養が続けられた。現観音堂は被災住民の自宅再建が進んだ22年に建立。23年には観音堂の説明看板が市によって設置された。24年には「観音様を守る会」も発足した。
 
2022年、高台に再建された鵜住居観音堂 写真左下:23年に市が設置した説明看板

2022年、高台に再建された鵜住居観音堂 写真左下:23年に市が設置した説明看板

 
模刻像や津波被害から救出された諸仏が並ぶ堂内。法要は今後も続けられる

模刻像や津波被害から救出された諸仏が並ぶ堂内。法要は今後も続けられる

 
 別当の小山士さん(81)は「観音像の救出、修復からお堂の再建に至るまで、大矢先生はじめ尽力してくれた多くの関係者のおかげで今がある。法要を続けられている毛越寺の方々、集まってくれる地域住民…。お世話になっている皆さんには感謝しかない。その思いをしっかり受け止め、地域の宝である貴重な文化財を後世に引き継いでいきたい」と意を強くする。法要では、能登半島地震で被災した文化財の修復のため、関係者から「鵜住居の事例を参考にしたい」との問い合わせがあったことも明かした。

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明かりに包まれる桜の名所 釜石・薬師公園ライトアップ 住民の思いとともに花開く

花見シーズンを盛り上げるライトアップが始まった薬師公園

花見シーズンを盛り上げるライトアップが始まった薬師公園

 
 釜石市の中心市街地の高台にあるサクラの名所「薬師公園」でライトアップが始まり、花見を盛り上げている。濃いピンク色の早咲き種が遊歩道を彩り、淡い色彩の点描もちらほらと加わる。20日までの日没から午後9時、明かりに照らされたサクラなど春の花の“きょうえん”を楽しめる。
 
 公園入り口に飾り門を設置し、頂上広場まで続く坂道の遊歩道をちょうちん150個で彩る恒例の「桜まつり」。きれいな環境で花見を楽しんでもらおうと、まつりがスタートする6日の朝には地域住民が清掃活動を行った。
 
桜まつりの開始を前に住民らが協力して行った清掃活動

桜まつりの開始を前に住民らが協力して行った清掃活動

 
 みなとかまいし地区会議(事務局・釜石地区生活応援センター)が主催し、サクラの開花時期に合わせて続ける取り組み。大町、大渡町の住民ら約30人がスコップやほうき、大きめのビニール袋を手に、冬期間にたまった大量の落ち葉を中心に回収。約1時間の作業で約50袋をいっぱいにした。
 
落ち葉をかき集め回収。近隣の住民たちが力を合わせた

落ち葉をかき集め回収。近隣の住民たちが力を合わせた

 
 枯れ葉を掃いたり集めたり、下を向いての作業が多かったが、目線を上げると春の花が開いていて「きれいだね」と、ひと息いれて作業の力にする人もいた。すっきりとした景観が戻り、佐々木陽子さん(75)は「気持ちいい」とすがすがしい表情を見せた。子どもが幼い頃に毎年花見に訪れた思い出の場所でもあり、「みんなが気持ちよくサクラを見て、癒やされたらいい」と期待。「春が一番いい。冬から目覚めて花が咲き、葉物も芽を出す、生き生きとした季節」と目を細めた。
 
 本年度着任した同センターの藤井充彦所長は「多くの方に清掃に協力してもらい感謝。市内外から訪れる人たちをよりよい環境で迎える準備が整った。マナーを守って楽しんでもらえたら」と話した。
 
頂上広場へと続く坂道の遊歩道に設置されたちょうちん

頂上広場へと続く坂道の遊歩道に設置されたちょうちん

 
ライトアップされた花と市街地の夜景を楽しめる桜まつり

ライトアップされた花と市街地の夜景を楽しめる桜まつり

 
 7日夜、ソメイヨシノの枝先ではつぼみが赤らみ、間もなく花姿も…。やわらかな明かりでライトアップされた高台からは市街地が一望でき、近くに住む人らが夜の街並み、静けさのあるサクラを楽しんでいた。
 
春の花たちの「競演」、明かりとの「共演」、シカとの遭遇「驚演」も⁉

春の花たちの「競演」、明かりとの「共演」、シカとの遭遇「驚演」も⁉

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声をかけ、パスをつなぎ、釜石を支える 新採用の市職員 ラグビー体験でまちの精神を体感

研修でタグラグビーを体験する釜石市の新採用職員ら=市民体育館

研修でタグラグビーを体験する釜石市の新採用職員ら=市民体育館

 
 「鉄と魚とラグビーのまち」とうたう釜石市。近代製鉄発祥の地であり、三陸の海の幸に恵まれるまちに今春、市職員として新たに10人が加わった。初めの1週間ほどは新人研修が設けられ、まちの概要や市の施策などの講義を受ける。座学が中心だが、「ラグビーのまち」の理念を理解してもらうため用意しているのは“実践”。新採用職員たちはボールをつなぐラグビーを体験しながら声がけ、チームワークの大切さを感じ取る機会にする。
 
 ラグビー研修は4日に行われ、場所は釜石鵜住居復興スタジアム(鵜住居町)。市文化スポーツ課職員らの案内で、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の試合会場となった施設を見学後、W杯誘致の経緯や、「一人はみんなのために みんなは一人のために」というラグビー精神がまちづくりの基本にあること、大会レガシー(遺産)のスタジアムやボランティアとの絆を生かした取り組み、人材育成について座学で学んだ。
 
釜石鵜住居スタジアムを見学する新人職員たち

釜石鵜住居スタジアムを見学する新人職員たち

 
ラグビーを生かした取り組みなどの説明を受けた

ラグビーを生かした取り組みなどの説明を受けた

 
 その後、近くにある市民体育館に移動。釜石シーウェイブス(SW)RFCの元選手で釜石ラグビー人材育成専門員(市文化スポーツ課所属)の佐伯悠さん(40)が講師を務め、ボールは後ろへ投げるなどルールを説明した。新職員らはパスをつないでトライまでの速さを競ったり、遊びを交えた体験で楕円(だえん)球への感覚を体になじませた。
 
 仕上げは、タグラグビーのミニゲーム。2チームに分かれ、タックルの代わりに腰に付けたひも(タグ)を取って攻撃を止め合い、パスをつないでトライを目指した。体格や運動能力にかかわらず楽しめるのが特徴で、体育館は爽やかな笑顔と笑い声であふれた。
 
体育館でラグビー体験。パスをつなぎ、トライまでの速さを競った

体育館でラグビー体験。パスをつなぎ、トライまでの速さを競った

 
タグラグビーのミニゲームに挑む新人職員。先輩職員の佐伯悠さん(左奥)が見守る

タグラグビーのミニゲームに挑む新人職員。先輩職員の佐伯悠さん(左奥)が見守る

 
 市職員の先輩でもある佐伯さんは「ラグビー精神、やる気を持って業務に臨んでもらえたら。『できない』ではなく、『やってみる』のが大事」とアドバイス。個性的な動きでチームメートの笑顔を引き出した税務課配属の中村翔さん(37)は「初めてのラグビーは面白かった。チーム力を高めるには、声がけが大事。感じたことを生かし、組織作りに取り組みたい。自分も周りの人も笑顔にできる職員になりたい」と汗をぬぐった。
 
笑顔を弾けさせる参加者。仲間との絆を胸に仕事に向かう

笑顔を弾けさせる参加者。仲間との絆を胸に仕事に向かう

 
 市オープンシティ・プロモーション室への配属が決まっている佐々木優奈さん(22)は、W杯開催時に市内に設けられたファンゾーンで高校生ボランティアとして活動。人々の熱気から「釜石=ラグビー」という印象を強く感じていて、「大事にしたい」とラグビーのまちの理念に理解を示す。「育ててくれた地域に恩返しを」と市職員を選択。研修では新社会人として不安に思う部分があったというが、ラグビー体験で同期の仲間の人柄に触れ、「明るく笑わせてくれたり、悩んでも相談できる」と安心感を得た様子。「地域の方に信頼され、『帰ってきたい』と思ってもらえるまちづくりに貢献できる職員になりたい」と笑みを広げた。

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海への流出防げ! 甲子川河川敷(上中島~岩井町)でごみ拾い 想像以上の量に市民ら「残念」 

甲子川沿い(上中島町~岩井町)で行われたクリーンアップ活動。たくさんのごみが回収された=5日

甲子川沿い(上中島町~岩井町)で行われたクリーンアップ活動。たくさんのごみが回収された=5日

 
 釜石市上中島町から岩井町にかけての甲子川河川敷で5日、市民らによるごみ拾いが行われた。市民グループ「かまいし環境ネットワーク」(加藤直子代表、31人)が、地域の水辺環境を守るとともに、海洋環境汚染につながるごみ流出を防ごうと企画した。同所での活動は2022年11月以来2回目となる。呼び掛けに応えた65人が約1時間にわたって作業。想像以上のごみの量に心を痛め、「不法投棄は絶対やめて。責任を持って適切な処理を」と願った。
 
 市内外から幅広い世代が参加。中妻地区生活応援センター駐車場で、加藤代表が活動目的、注意点などを説明した後、ごみ袋やトングを手に河川敷に向かった。路肩斜面、草地、川砂利と広範囲に散らばり、落ちているごみを拾い集めた。
 
開始にあたり、活動目的などを説明するかまいし環境ネットワークの加藤直子代表(写真右上)=中妻地区生活応援センター駐車場

開始にあたり、活動目的などを説明するかまいし環境ネットワークの加藤直子代表(写真右上)=中妻地区生活応援センター駐車場

 
河川敷にはさまざまなごみが…。今回は粗大ごみ以外のものを拾い集めた

河川敷にはさまざまなごみが…。今回は粗大ごみ以外のものを拾い集めた

 
 河川敷には古くに農作物を栽培していたとみられる畑跡が複数あり、野生動物よけのネットなど風化した資材が残る場所も。人目に付きにくい箇所には不法投棄とみられるごみの散乱もあった。“ポイ捨て”の空き缶や瓶、ペットボトル、たばこの吸い殻、発砲スチロールや容器包装ビニールなどの廃プラスチック、廃金属…。多種多様なごみが見つかり、参加者を驚かせた。ごみ袋はすぐにいっぱいになり、2枚目、3枚目と袋を開け、可能な限り拾い集めた。
 
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農業用資材とみられるごみも。土に埋もれかけていたネットや袋を引っ張り出す

 
釜石海上保安部職員も“海ごみゼロ”を願って精力的に活動

釜石海上保安部職員も“海ごみゼロ”を願って精力的に活動

 
真左:手製の木枠にごみ袋を取り付け効率よく作業する参加者も 写真右:追加の袋を開けさらにごみを集める

写真左:手製の木枠にごみ袋を取り付け効率よく作業する参加者も 写真右:追加の袋を開けさらにごみを集める

 
 “海宝漬”の製造販売でおなじみの同市鈴子町の中村家(島村隆代表取締役社長)からは、社員ら約10人が初めて参加した。同社は記録的不漁のサケの資源維持を目指し、サケ・イクラ使用商品の売り上げの一部を稚魚放流に役立てる「#シャケノベイビー運動」を昨年から開始。その一環として、海につながる河川環境を守りたいと同活動に賛同した。業務部の佐々木智也課長(46)、営業部の坂本直樹次長(43)は「思った以上に大きなごみが多い。古びた自転車とかもあった。量も想像以上」と驚いた様子。前回の活動の様子をネット記事で見ていたが、変わらない現状に「残念な気持ち。環境を守るにはやはり市民一人一人の心がけが大事」とごみの適切処理を願う。社員らは今年、サケの稚魚放流活動にも参加する予定だという。
 
 この日、回収されたごみは約300キロ。前回活動時の約2倍の量で、軽トラック2台分にも及んだ。活動エリアの川沿いは工場などが建ち並ぶ地域で、地元住民の目が届きにくい。地域清掃もなく、いわば手付かずの状態。特に五の橋に近いエリアでごみが多い状況にある。
 
道路脇の斜面から広がる草地に足を踏み入れ、ごみを探す参加者

道路脇の斜面から広がる草地に足を踏み入れ、ごみを探す参加者

 
 加藤代表は「こんなにひどいとは。ここは散歩する人も通るが、ごみを見ながらというのもねぇ…」とがっかり。プラスチックごみの多さも指摘し、海に流れ出たプラごみを海洋生物が飲み込んでしまい死に至るケース、紫外線による劣化でメタンなどの温室効果ガスが発生し、地球温暖化の要因となっていることも懸念。「今日は参加者の皆さんが必死になって拾ってくれたが、まずは『自然界にごみを捨てない』ことが大前提。近年は温暖化が影響しているとされる豪雨災害も各地で頻発。未来を生きる子どもたちが大変な思いをしないよう、環境教育にももっと力を入れてほしい」と願った。
 
市内外からごみ拾いに参加した皆さん「おつかれさまでした!」

市内外からごみ拾いに参加した皆さん「おつかれさまでした!」

 
 環境ネットワークは、5月末から6月初旬にかけての「春の海ごみゼロウィーク」(環境省、日本財団主催)に合わせた活動も計画中で、多くの市民の参加を期待する。

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全国高校ラグビー強豪校 釜石に集結! 3年目の交流会 雨にも風にも負けず熱戦 震災・防災学習も

“ラグビーのまち釜石”で開かれた「東北復興高校ラグビー交流会」=2日、根浜シーサイド

“ラグビーのまち釜石”で開かれた「東北復興高校ラグビー交流会」=2日、根浜シーサイド

 
 東北復興高校ラグビー交流会2025は1~3日まで、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムなど3会場で行われた。同参加校幹事(野上友一、大西一平代表幹事)、同実行委(小笠原順一実行委員長)が共催。3年目の開催となる今年は17チーム約600人が参加。北海道から九州まで各地の強豪校に加え、本県各校で結成した合同チームが交流試合を行った。東日本大震災から立ち上がり、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)開催を成し遂げた地で、高校生らは競技に通じる“不撓不屈(ふとうふくつ)”の精神を学び、レベルアップへの足掛かりとした。
 
 同交流会はW杯日本大会で高まったラグビー熱や大会レガシーを次世代に継承し、選手の心身育成や競技の普及・振興につなげようと企画された。常翔学園(大阪府)ラグビー部の野上友一ゼネラルマネジャーが全国の伝統校に参加を呼び掛け、2023年に初開催。年々、参加校が増えている。
 
 1、2の両日はW杯会場となった同スタジアムのほか、根浜シーサイド多目的広場、市球技場で参加チーム対抗の交流試合が行われた。1試合20分で、できるだけ多くのチームと対戦できるようにし、2日間で43の対戦カードが組まれた。両日はあいにくの雨模様。2日は風もあり、冷え込む中での試合となったが、選手らは気合十分。互いに声を掛け合い、気迫みなぎるプレーを展開した。新年度のチームづくりに向け、自他の力を知る機会にもなり、レベルアップにつながる学びを得た。
 
県内チーム同士の対戦「黒沢尻工業-南昌みらい・岩手・盛岡三合同チーム」=1日、釜石鵜住居復興スタジアム

県内チーム同士の対戦「黒沢尻工業-南昌みらい・岩手・盛岡三合同チーム」=1日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
「名古屋-盛岡工業」中部と東北、離れた地域のチームとの対戦は貴重な機会

「名古屋-盛岡工業」中部と東北、離れた地域のチームとの対戦は貴重な機会

 
 2日は午後の試合の前に防災学習も行われた。スタジアムに全参加者が集まり、震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」スタッフの川崎杏樹さん(28)から話を聞いた。川崎さんは震災当時、中学2年生。スタジアムの場所に学校があり、隣接する小学校の児童の手を引いて津波から逃れた経験を持つ。地震発生から高台避難までの詳細を伝え、津波災害の恐ろしさ、迅速避難の大切さを教えた。「助かったのは防災学習のおかげ。ラグビーの練習も防災も同じ。自分の命を守るために普段から考え、訓練や体験で正しい知識を得て避難行動につなげてほしい」と願った。
 
14年前の震災を経験した川崎杏樹さん(右)から当時の話を聞く

14年前の震災を経験した川崎杏樹さん(右)から当時の話を聞く

 
津波の怖さ、平時の備え(防災学習)の有効性を学んだ高校生ら

津波の怖さ、平時の備え(防災学習)の有効性を学んだ高校生ら

 
 広島県から初めて参加した尾道高の佐藤麗斗主将(3年)は“ラグビーのまち釜石”の訪問を楽しみにしていたといい、「今まで対戦経験のないチームともたくさん試合を組んでもらいありがたい。各校独特のプレーが見られて勉強になるし、自分たちが通用する部分、しない部分が分かったので、さらにレベルアップできそう」。自身は熊本県出身で、小学2年時に熊本地震を経験。川崎さんの話や釜石の津波防災対策が強く印象に残り、「尾道も海に面しているので、いざという時には(避難)行動を取れるようにしている」とうなずいた。
 
初参加の尾道高(黄色ジャージ)。降りしきる雨の中でも全力プレー!トライを重ねる

初参加の尾道高(黄色ジャージ)。降りしきる雨の中でも全力プレー!トライを重ねる

 
 尾道高の田中春助監督(37)は震災直後に釜石を訪問。その後、複数回にわたりボランティア活動に従事した。「ここ(スタジアム)にあった小学校の上階に車が突き刺さっていたのが忘れられない。あれだけの被害を受けたまちがここまで復興した姿に感激している」。部員らには「こうしてラグビーができること自体、決して当たり前ではない。感謝の気持ちを忘れないでほしい。震災を生き延びた人たちの思いを受け止め、自分に何ができるか、意識できる人になってくれれば」と期待を込めた。
 
 最終日の3日は、各校の選抜選手で結成した2チームによるドリームマッチも行われ、予定していた47試合全ての日程を終えた。
 

県外進学の釜石出身高校生ラガー 久しぶり 地元での試合に特別な思い

 
釜石出身!仙台育英でプレーする(左から)眞田羚史さん、八幡玲翔さん、倉田煌生さん(いずれも2年)

釜石出身!仙台育英でプレーする(左から)眞田羚史さん、八幡玲翔さん、倉田煌生さん(いずれも2年)

 
 同交流会に参加した県外の高校には、釜石出身者も複数在籍。2年生部員21人が参加した宮城県の仙台育英学園高には、日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の子ども育成部門ジュニア(幼児・小学生)とアカデミー(中学生)で競技に励んだ眞田羚史(甲子中出身)、八幡玲翔(釜石中同)、倉田煌生(大平中同)の3選手の姿が…。会場には中学まで指導にあたったSW関係者も足を運び、そのプレーを目で追った。
 
 八幡さんは中学3年時に、県中総体ラグビーで釜石中特設チームの主将を務め、大会初優勝を飾った。同大会など思い出の多い“うのスタ”への来訪は約1年ぶり。「新チームが始まる4月に全国の強豪と対戦でき、自分だけでなく東北全体のレベルアップにつながったと思う」と感謝。仙台育英でのラグビーは「環境が整っていて、自分自身しっかりとラグビーに向き合うことができ、日々、成長できている。東北大会で1位になり、花園でベスト8に入るのが目標」と志を立てた。
 
「仙台育英-札幌山の手」の試合。W杯聖地“うのスタ”で熱戦

「仙台育英-札幌山の手」の試合。W杯聖地“うのスタ”で熱戦

 
釜石出身、國學院栃木で高みを目指す阿部海凛さん

釜石出身、國學院栃木で高みを目指す阿部海凛さん

 
 2、3年生38人が参加した栃木県の國學院大栃木高には、SWアカデミー、甲子中出身の阿部海凛さんが在籍する。関東に出たことで、さまざまなチームとの対戦機会を得ているが、「地元釜石で多くの強豪校と試合ができるのは新鮮」と気持ちも新たに試合に臨んだ。3歳の時に震災を経験。停電し、懐中電灯一つで夜を過ごした記憶が残る。交流会での震災学習について、「津波の恐ろしさ、危険が分からない人が多いと思うので、東北で学んでもらい、将来に生かしてほしい」と願う。寮生活を送りながら努力を重ねる日々。「自分がやるべきことを考え練習に励んでいる」とし、チーム目標の“花園優勝”に向け「一刻も早くメンバー入りして試合に出たい。応援してくれている家族のためにも試合に出て恩返しがしたい」と意気込む。
 
九州王者・東福岡に挑む國學院栃木(紺ジャージ)

九州王者・東福岡に挑む國學院栃木(紺ジャージ)

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世界遺産「橋野鉄鉱山」7月で登録10周年 インフォセンターが冬季明け開館/青紀土木は清掃奉仕

冬季休館が終わり4月1日から開館した「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」

冬季休館が終わり4月1日から開館した「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」

 
 釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山」は7月5日で、世界文化遺産登録から10周年を迎える。日本の近代化の礎を築いた“鉄のまち釜石”を象徴する同史跡は、「明治日本の産業革命遺産」(8県11市23資産)の構成資産の一つとして2015年、世界遺産に登録された。節目の年となる今年は、各種記念行事が予定される。情報発信を担う「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」は冬季休館期間が明け、4月1日から開館。さらなる認知と見学者増を目指し、関係者は受け入れ態勢を整える。
 
 同市北西部に位置する橋野鉄鉱山は積雪のため、12月上旬から3月末まで同センターを冬季休館としている。開館日の1日は、見学エリアの高炉場跡の積雪も解消。センターでは、市から委託を受けている橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)のスタッフが業務を再開した。本年度は7人が毎日交代(2人体制)で、来館者の応対や施設の清掃、見学エリアのパトロールなどにあたる。
 
施設入り口にのぼり旗を設置するスタッフ。見学者の受け入れ準備も整った

施設入り口にのぼり旗を設置するスタッフ。見学者の受け入れ準備も整った

 
 また、釜石観光ガイド会(瀬戸元会長、32人)は同日から現地ガイドの派遣を開始した。会員約10人でシフトを組み、センター開館時間内に1人が常駐。ガイドを希望する見学者を案内する。藤原信孝副会長は「登録10周年の節目でもあり、ガイド会としても期待に応えたい。訪れた人たちに興味を持ってもらえるような説明ができれば」と気持ちを高める。
 
世界遺産登録10周年の今年、来訪者増に期待する釜石観光ガイド会の藤原信孝副会長

世界遺産登録10周年の今年、来訪者増に期待する釜石観光ガイド会の藤原信孝副会長

 
橋野鉄鉱山周辺は桜の名所でもある。例年4月下旬からさまざまな種類が咲き始める。今年も期待!=資料写真(2019、23年撮影)

橋野鉄鉱山周辺は桜の名所でもある。例年4月下旬からさまざまな種類が咲き始める。今年も期待!=資料写真(2019、23年撮影)

 
 市教委文化財課世界遺産室によると、登録10周年記念行事は5月からスタート。登録日の7月5日には「明治日本の産業革命遺産」全体のシンポジウムが東京で行われる。同12日には釜石市で式典、講演会、パネルトーク、翌13日には現地でマルシェ(キッチンカー出店、音楽会などを予定。ラベンダーまつりと共催)が開かれる。10月11、12日には県内3世界遺産持ち回りで開催されている「いわて世界遺産まつり」(県主催)が橋野鉄鉱山を会場に開かれる。スタンプラリーやARアプリ用カードの配布なども予定する。
 
 例年実施しているイベントは登録10周年記念の冠をつけて開催する。本年度は見学路整備に伴う発掘調査(水路跡周辺)が予定されていて、計画的に進める内容確認調査の発掘と合わせ、その成果が注目される。子どもが楽しめる企画も検討中。12月の「鉄の記念日、週間」行事は、橋野鉄鉱山世界遺産登録10年の軌跡にスポットを当てる。
 
 橋野鉄鉱山(高炉跡)の来訪者数は世界遺産登録前は年間500人ほどだったが、登録に向けた取り組みが進むにつれ見学者が増加。登録された2015年は43316人(センター入館カウント)を記録した。16年に台風による豪雨被害、20年から3年間は新型コロナ禍、24年はアクセス路の笛吹峠の通行止めと、度重なる困難を乗り越えながらの10年。24年の来訪は5982人(同)だった。
 
 森一欽世界遺産室長は「遺産価値の周知の面では、この10年でそれなりの成果はあったと思う。製鉄体験や出前講座などで小中学生の理解も深まっている」と実感。課題は経済活動への効果。「“鉄”だけで人を呼び込むのは難しい。三陸ジオパーク、みちのく潮風トレイルなどと組み合わせ、当市の魅力を発信する形ができれば。県内3遺産、世界遺産地域連携会議とのつながりも生かしたい」と森室長。10周年を「今後の10年に向けスタートを切るための年」と位置付け、「市民の皆さんにも積極的に関わってもらい、一緒に盛り上げていきたい」と話す。
 
 なお、近代製鉄発祥の地「釜石鉱山」の資料を公開する甲子町大橋の展示室「Teson」(旧釜石鉱山事務所)も冬季休館が明け、3日から開館している。
 

地元業者「青紀土木」が地域貢献 社員ら総出で橋野鉄鉱山見学エリア、アクセス路を清掃

 
橋野鉄鉱山の見学エリアで清掃奉仕に励む青紀土木の社員ら=1日午前

橋野鉄鉱山の見学エリアで清掃奉仕に励む青紀土木の社員ら=1日午前

 
 釜石市鵜住居町の建設業、青紀土木(青木健一代表取締役社長、従業員35人)は1日、地域貢献として、世界遺産「橋野鉄鉱山」とアクセス路となる県道の清掃活動を行った。青木社長以下30人余りが参加。日ごろ世話になっている地域への感謝を込めて、環境美化に尽力した。
 
 インフォメーションセンターに集合した同社社員らは午前9時、2班に分かれて作業を開始した。見学エリアの高炉場跡には、冬期間に積雪や強風で倒れた木や折れて落下した枝などが散乱。大きいものは切断したりして、一輪車で運び出した。細かいものは袋に集めた。この日は市から要望のあった山神社付近を中心に清掃。協力し合って、見学者が歩きやすい環境、きれいな景観を取り戻した。
 
倒れた木や折れて落下した枝などを回収し、見学者の安全を確保

倒れた木や折れて落下した枝などを回収し、見学者の安全を確保

 
約2時間の作業でエリア内はすっきりとした印象に…

約2時間の作業でエリア内はすっきりとした印象に…

 
 同鉄鉱山へのアクセス「県道釜石遠野線」では、遠野市側に向かって坂道を上りながら、ごみを拾い集めた。同社は県から委託を受け、同路線の路面、側溝清掃など道路維持管理業務を行っているが、この日は通常業務の範囲外の路肩に目を向け、落ちているごみを拾った。ビンや缶、その他に分別しながら袋に集めた。
 
県道釜石遠野線では路肩の草地に目を凝らし、落ちているごみを拾った

県道釜石遠野線では路肩の草地に目を凝らし、落ちているごみを拾った

 
ごみは車からポイ捨てされたとみられる空き缶、ビン、ペットボトルなどが目立った

ごみは車からポイ捨てされたとみられる空き缶、ビン、ペットボトルなどが目立った

 
 同社は新年度がスタートする毎年4月1日に、全従業員と関係企業の出席のもと安全衛生大会を開いている。午後からの大会の前に地域に奉仕する活動を行うのが恒例。日ごろの業務の中で気付いた箇所を選定し、清掃している。昨年は三陸鉄道鵜住居、両石2駅の草刈りなどを実施。市役所近くの高台避難道路、市道箱崎半島線のガードレール清掃を行ったことも。橋野鉄鉱山関連では、世界遺産登録された2015年に県道清掃を行っている。同奉仕活動は20年近くに及ぶ。
 
みんなで声を掛け合いながら作業。新年度のスタートにあたり、仕事への意欲も高めた

みんなで声を掛け合いながら作業。新年度のスタートにあたり、仕事への意欲も高めた

 
 青木社長は同活動について「地域への感謝の気持ちを持って1年働こう、頑張ろうという誓いの場にしたい。道路建設に携わっている身として、自分たちの仕事が社会の役に立っていることを再認識する機会にもなれば」と期待。普段は各現場に分かれて仕事をしている仲間が年に1回全員集まり、結束を強める場にもなっているという。

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いわてグルージャ&ビッグブルズを一緒に応援しよう! パブリックビューイングin釜石PIT vol.3

 

\いわてグルージャ&ビッグブルズを一緒に応援しよう!/

日時

2025年4月6日(日) 12時30分開場
13時~ いわてグルージャ盛岡の試合放映
試合終了後(15時頃)~ 第3Qから岩手ビッグブルズの試合放映
 
<いわてグルージャ盛岡の試合>
2025年第27回日本フットボールリーグ JFL 第5節
vs ラインメール青森 AWAY戦 
 
<岩手ビッグブルズの試合>
B3LEAGUE 2024-25 SEASON 第28節
vs 立川ダイス AWAY戦

場所

釜石PIT(岩手県釜石市大町1-1-10)
 

 

【駐車場について】
・斜向かいにある釜石大町駐車場または周辺の有料駐車場をご利用ください。
・自転車およびバイクは、釜石PITに隣接する駐輪駐車スペースをご利用ください。

 

■入場無料…1ドリンク制 ご入場後ソフトドリンク(¥150)orノンアルドリンク(¥200)をご購入いただきます。
■来場者全員にスタンプカードを進呈…来場するほどお得!スタンプをためて特典GET!
■グルージャ選手OB 益子さんが来場!
開幕戦に引き続き、選手OBの益子義浩(MF)さんが来場予定!
選手目線での解説やミニトークを交え、楽しくサッカー観戦をお楽しみ頂けます!
■B3リーグも佳境!上位でプレーオフ進出を目指し戦うビッグブルズを応援しましょう!

主催

釜石まちづくり株式会社
 
協力 株式会社いわてアスリートクラブ、株式会社岩手ビッグブルズ

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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「釜石呑ん兵衛横丁」写真集出版記念トークイベント 地元出身の写真家と元店主、記憶伝える

写真集「釜石呑ん兵衛横丁」の出版を記念して行われたトークイベント

写真集「釜石呑ん兵衛横丁」の出版を記念して行われたトークイベント

 
 写真家の佐々木貴範さん(58)=埼玉県所沢市=は3月29日、釜石市の歓楽街「呑ん兵衛(のんべえ)横丁」を記録した写真集の出版を記念して古里・釜石でトークイベントに参加した。「横丁の歴史を一冊で分かるようにして、消えていく釜石の文化を記録しようと思った」。市民ら約30人を前に、制作の裏側や込めた思いを語った。横丁で営業していた店主2人も加わり、歴史を振り返りつつ記憶を共有した。
 
 横丁は戦後の焦土から立ち上がった屋台を起源とする。1957年ごろ、市中心部・大町の長屋に30店舗以上が軒を連ね、製鉄業で活気づく街の夜を照らす名所として親しまれた。2011年の東日本大震災の津波で建物は全壊。鈴子町の仮設店舗に移って営業を続けながら横丁の再建を模索したものの、仮設廃止に伴い、18年に約60年の歴史に幕を下ろした。その後の店主らは独立したり廃業したり、それぞれの道を歩んだ。
 
 イベントは大町の桑畑書店が主催。現在は大町の親富幸通りで居酒屋「お恵」を営む菊池悠子さん(86)、鈴子町のサン・フィッシュ釜石内に店を構える「とんぼ」店主の高橋津江子さん(83)とトークを繰り広げ、消えてしまった横丁への思いを紡いだ。佐々木さんの親戚で、横丁の常連客でもあった大久保孝信さん(66)が進行役を務めた。
 
写真集に込めた古里への思いを語る佐々木貴範さん

写真集に込めた古里への思いを語る佐々木貴範さん

 
 写真集「釜石呑ん兵衛横丁 東日本大震災で消滅した飲み屋街の記録と歴史」(無明舎出版)は震災の2年前の横丁の店頭に立つ店主たちと、震災後の姿を写している。店主も客も笑顔。楽しそうな雰囲気が伝わってくるカットが満載の一冊だ。横丁の歴史についても詳しく記述しているが、「苦労した」と佐々木さん。横丁には運営の母体となるような組合はなく、あくまで任意的な集合体で、店主らの頭の中に残る「記憶」が頼り。市内の図書館で横丁に関する記事を手繰り、つなぎ合わせ、記録としてまとめた。
 
横丁にまつわるトークでは話し手も自然と笑顔になる

横丁にまつわるトークでは話し手も自然と笑顔になる

 
 店主2人は「よくここまで調べてくれた」と感謝した。菊池さんは、作家井上ひさしさんの母マスさん(1991年死去)の店と隣り合わせだったことから、思い出話を交えて紹介。「毎日が本当に楽しかった。仮設の時も同じ。お客さんに教えられることもたくさん」と笑った。高橋さんは「苦労…ない。嫌なことがあっても、去れば忘れる。あの頃の苦労のおかげで、今でも商売ができる」と受け流す。一方で、いい思い出が多いからこそ、「横丁を残せなかったのが悔しい。次につなげようと頑張ってきたのに…」と視線を落とした。
 
横丁での記憶をつなぎ合わせる菊池悠子さん(右)と高橋津江子さん

横丁での記憶をつなぎ合わせる菊池悠子さん(右)と高橋津江子さん

 
会場には横丁で営業していたママさんたちの姿も。思いをポロリ

会場には横丁で営業していたママさんたちの姿も。思いをポロリ

 
 釜石で生まれて4歳まで育った佐々木さんは、大人になって帰郷のたびに街の様子を撮るようになった。「戦後の復興に貢献し、釜石の名物だった横丁。それは街の個性であり、文化だった」。そう感じてきたものは消えてしまったが、「釜石生まれの写真家として、記録をつなぐ役目がある」と取り組んだ。写真集を見て「懐かしんでもらえたら」と期待をするが、「文化とは何か。祭りや伝統行事、たくさんある。もし、消えそうな状況になったら、どう残すか」と問いかけもする。「あって当たり前と思ってはいけない。危うさに気づいた人が声を発信していくしかない」と見解を示した。
 
サイン会で参加者と交流する佐々木さん。古里をテーマに撮影を続ける

サイン会で参加者と交流する佐々木さん。古里をテーマに撮影を続ける

 
 サイン会では「故郷礼賛」と記した佐々木さん。「何があっても、いとおしい。古里だから」と思いを込めた。釜石応援ふるさと大使を務めており、これからも「釜石」をテーマでカメラのシャッターを切り続ける考え。「震災20年の時に写真展をやりたい」と思い描く。