一般開放された釜石市橋野町の菜の花畑=4日
釜石市橋野町の一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表理事)は4日、同町に設ける菜の花畑を一般に開放。乗馬体験、絵本ライブ、植物性素材のランチや菓子の販売など1日限定のマルシェも開き、来場者を迎えた。菜の花畑の一般開放は10日まで(午前11時~午後3時)行われ、時間内は柵の中に入っての観賞や写真撮影ができる。
菜の花は、菜種油の生産を手がける同法人が産直「橋野どんぐり広場」裏手の遊休地を地元農家から借りて栽培。花が咲く毎年5月に畑を一般開放している。今季は約50アールに作付け。4月後半から花が咲き始め、大型連休期間中には畑一面が鮮やかな黄色に染まった。
一面に黄色の花が美しく咲き誇り、圧巻の光景!
一般開放初日の4日は、県内のマクロビレストランや自然農園が出店。無農薬の雑穀や野菜を使ったランチ、菓子などを販売した。心身の癒やしメニューも用意。乗馬体験、絵本の読み聞かせは子どもたちの人気を集め、指圧マッサージは大人の疲れた体をほぐした。訪れた人たちは花の中で写真を撮ったり食事を楽しんだりと、思い思いにゆったりとした時間を過ごした。
釜石出身の三浦聖貴さんが営む「おやさい食堂カラコマ」(盛岡市)はビーガンカレー弁当を販売
橋野町でホースセラピーを行う三陸駒舎は乗馬体験を提供。馬上からの景色は?
くらうん・しゅがー(ピエロ)の絵本ライブを楽しむ親子。バルーンのプレゼントも
源太沢町の木村莉桜菜さん(9)は乗馬を楽しみ、「馬の上から見る菜の花畑はとてもきれい。気持ち良かった」と大喜び。父仁寿さん(43)は心地良い空間で家族4人の休日を満喫。「いつも産直までは来るが、その裏にこんな場所があったとは。素敵ですねぇー」と驚き、馬との触れ合いや出店者との交流を楽しんだ。
三陸駒舎の黍原豊さん(左)と話しながら、13歳馬・アサツキ(雌)と触れ合う木村さん親子
友人同士という中妻町の70代女性2人は「癒やされるよねー。周りの静けさもいい。のんびりのどかで…」と声をそろえ、非日常の空間を存分に味わった。「連休中はどこも人がいっぱい。混雑するところは嫌なので」と、市広報で見つけた穴場スポットに足を向けた。「いろいろな花を見て歩くのが好き。今日は天気も良くて最高」と顔をほころばせた。
今年初出店した花巻市のレンコン農家佐々木哲哉さん(49)は、県内では珍しいイモのようなホクホクした食感と甘みが特徴の品種を販売。おいしい食べ方も教えた。「気持ち良すぎて仕事を忘れてしまいそう」と、一面の菜の花に笑顔を広げる佐々木さん。こだわりのレンコンは主に内陸の飲食店や惣菜店などに直接卸しており、「釜石での一般向け販売は初めて。商品を知ってもらう機会にもなる」と喜んだ。
県内では希少なレンコンを販売した花巻市の佐々木哲哉さん(左)。節間が長く、1本ずつくわで掘るレンコン(右下写真)
同法人の山田代表は東日本大震災以降、津波で被災した農地や耕作放棄地に菜の花を植えるプロジェクトを展開。塩分吸収率が高い菜の花で土壌を浄化、種から搾った菜種油の全国販売を被災者雇用で行うなどし、沿岸部の復興を後押ししてきた。被災者らが元気を取り戻す一助にと、2013年から橋野の畑で1日限定の「菜の花青空レストラン」を開設。ランチや楽器演奏、作品販売、ヨガなど自由に過ごせる場を創出する。21年からは「菜の花パーク」の名称で、期間を設けて畑を一般公開。期間中は各種企画で来場者を楽しませている。
山田代表は「リピーターも増え、中には設営を手伝ってくれる人も。地域の方々もPRに協力してくださり、ありがたい」と感謝。シカの食害を防ぐため、昨年設置した高さ2メートルの鉄柵が功を奏し、今年も畑への侵入はなく、花の勢いは保たれている。「きれいな花を楽しんで、リラックスして帰ってもらえれば」と来場者を見守った。