三陸沿岸最高峰「五葉山」山開き 残雪なく一足早く夏山の装い ツツジの開花も間もなく


2023/05/08
釜石新聞NewS #観光

山開きの神事後、山頂を目指し歩みを進める登山者=4月29日、五葉山赤坂コース

山開きの神事後、山頂を目指し歩みを進める登山者=4月29日、五葉山赤坂コース

 
 三陸沿岸最高峰・五葉山(標高1351メートル)の山開きが4月29日に行われ、春の登山シーズンがスタートした。例年、この時期は登山道などに残雪が見られるが、今年は全くなく、関係者によると「夏山のよう」。“花の百名山”として知られる同山。春のツツジや夏のシャクナゲなどの開花時期も今年は早まりそうだ。
 
 山開きの安全祈願祭は、同山がまたがる釜石、大船渡、住田の2市1町でつくる「五葉山自然保護協議会」が主催。2市の境となる赤坂峠登山口で毎年行われている。今年も行政や関係団体の代表、一般登山客らが集まる中、五葉山神社の奥山行正宮司が祝詞を奏上。各代表が玉串をささげ、登山者の安全を祈った。
 
赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

 
玉串をささげ、登山者の安全を祈る釜石の関係者

玉串をささげ、登山者の安全を祈る釜石の関係者

 
「今シーズンも事故の無い登山を!」願いを込める参列者

 「今シーズンも事故の無い登山を!」願いを込める参列者

 
 同協議会長を務める渕上清大船渡市長は「昨年度はコロナ禍にもかかわらず、約8千人の登山者が訪れた。会では登山道の適切な維持管理を行い、自然環境保全、自然の素晴らしさを広める取り組みを進めていく。より多くの方々にその魅力を味わっていただきたい」とあいさつ。神事を終えると、楽しみにしていた登山客が山頂を目指して歩き出した。
 
五葉山登山スタート。混雑を避け、一足先に登り始めた人を含めると約150人が山開きに集った

五葉山登山スタート。混雑を避け、一足先に登り始めた人を含めると約150人が山開きに集った

 
 久慈市の四役京子さん(68)は今年初の登山。五葉山には過去7回ほど登っていて、山開きの日に訪れるのは2回目。「腰を痛めてちょっと心配…」と話しながらも、久しぶりの山に気分も高揚。「五葉山はツツジやシャクナゲがすごくきれいで、群落は日本庭園みたい。今年も花の時期に合わせて何回か登りたい」と期待感をのぞかせた。同じグループで足を運んだ同市の高校生加䦰詩恩さん(17)は、おばに誘われ登山初挑戦。「一度山に登ってみたかった。まずは頂上まで到達するのが目標」。趣味でロードバイクを楽しんでおり、「体力には多少、自信がある。これを機に他にもいろいろな山に登ってみたい」と夢を広げた。
 
絶好の登山日和に笑顔を広げ、登り始める人たち

絶好の登山日和に笑顔を広げ、登り始める人たち

 
まだ見ぬ絶景に期待を膨らませながら「行ってきまーす!」

まだ見ぬ絶景に期待を膨らませながら「行ってきまーす!」

 
 釜石山岳協会顧問の市川滋さん(75)は「春先の残雪は比較的少ない五葉山だが、山開きの日に全くないのは珍しい。今日は天気も良く、適度な風もあって快適に登れるのでは」。季節のサイクルの早まりに「この調子だと5月末のヤマツツジ、6月半ばのゴヨウザンヨウラク(固有種)の見ごろも1週間ぐらい早まるかも」と予想。初心者でも登りやすい山だが、天気の急変など何が起こるか分からないのが自然。「装備はしっかりと。山のマナーを守り、安全には十分気を付け、自分の体力に合わせて登ってもらえたら」と願う。
 
登り口付近のツツジはつぼみがふっくらと。最盛期には駐車場の後ろの斜面も真っ赤に染まる

登り口付近のツツジはつぼみがふっくらと。最盛期には駐車場の後ろの斜面も真っ赤に染まる

 
 五葉山は、標高によって異なる原生林や群落を形成する花々など豊かな自然が人々を魅了する。山頂からはリアス海岸や早池峰山、奥羽山系の山並みを一望できる。1966年に県立自然公園に指定された。

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