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思い思いの釜石風景 市民絵画教室、42回目の作品展 刺激し合う関係 継続の力に

釜石市内の風景などが並んだ市民絵画教室の作品展

釜石市内の風景などが並んだ市民絵画教室の作品展

  
 釜石市民絵画教室(小野寺豊喜会長、会員11人)の作品展は7~9日まで大町の市民ホールTETTOで開かれた。会員と講師の菊池政時さん(87)が、この1年間に制作した作品など96点を展示。作品を見てもらう喜びを分かち合いつつ、互いの創作活動に刺激を受け、継続への意欲を高めた。
   
 同教室は1978年度、市の社会教育講座としてスタート。その後自主活動グループに移行し学習、作品発表を続ける。教室は毎月2回、隔週水曜日に青葉ビルで開催。合評会、スケッチ旅行(新型コロナウイルスの影響でここ数年は実施を見送る)を経て、絵画展で1年間の成果を示す。
   
1年間の成果を発表した市民絵画教室の会員ら

1年間の成果を発表した市民絵画教室の会員ら

   
 「私たちの絵画展」と銘打つ作品展は、今年で42回目となった。同教室で取り上げた花や魚の静物、市内の海景や街並み、庭先を彩る植物、自画像などテーマはさまざま。画材も油彩、水彩、アクリル、パステル、色鉛筆と多様だ。
  
作品に込めた思いを伝えたり、会話を楽しみながら絵画鑑賞する人も 

作品に込めた思いを伝えたり、会話を楽しみながら絵画鑑賞する人も

  
「釜石港」と題した松崎さんの作品。これからも描き続けたいテーマだという

「釜石港」と題した松崎さんの作品。これからも描き続けたいテーマだという

   
 「釜石に住んでいるなら、やっぱり海」と話したのは松崎洋さん(90)。釜石港や造船所、廃船など海にちなんだ作品を多く並べた。東日本大震災前は両石町で暮らしたが、被災し大渡町で生活を再建。拠点は変わっても海は身近にあり、描き続けたいテーマに変わりはない。今も自営業者として働いていて、「仕事が終わってボヤっとするよりは何か趣味があった方がいい」と、絵を描くことが元気のバロメーターになっている様子。教室にはできるだけ参加し、仲間と腕を磨き合う時間も楽しみで、「いい絵を描いているのを見ると、『負けないぞ』という気持ちになる」と意欲満々だった。
   
にこやかな笑顔で来場者を出迎えた女性会員ら

にこやかな笑顔で来場者を出迎えた女性会員ら

   
 小野寺会長(74)は「にぎやかな展示。描きたいものを自分なりに表現したり、大きいサイズの作品に挑戦したり、いい傾向」と、うれしそうに会場を見回した。創立45年となり、思い出すのは32回目の作品展のこと。その初日に起こった震災で、展示中の作品が津波にのみ込まれた。泥の中から回収・修復した作品を加えた絵画展を翌年に再開。その後のコロナ禍で2年開催を見送ったが、昨年から再始動し、「創作を楽しめる、いつもの日常が戻ってきた」と感じている。
  
 そして、続けることの大切さをあらためて思う展示にもなった。小野寺会長は「工夫したり勉強してきたものを発表できることは創作の力になる。自分にないものを、仲間を通して見いだすことができる。それを自分のものにするため研さんを積み、刺激し合っていきたい」と前を向いた。
 
 

DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング 奈良クラブ戦

DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング 奈良クラブ戦

 DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング 奈良クラブ戦

 

\ いわてグルージャ盛岡を一緒に応援しよう! /

 

DAZN Presents パブリックビューイング in 釜石PIT
いわてグルージャ盛岡の応援企画として、アウェイ戦を中心にパブリックビューイングを開催します!

対象試合

2023明治安田生命J3リーグ 第7節
いわてグルージャ盛岡 vs 奈良クラブ(AWAY)

日時

2023年4月16日(日) 13:00 キックオフ
開場 12:30

場所

釜石PIT(岩手県釜石市大町1-1-10)

参加費(運営協力費)

大人300円/高校生以下無料
※運営協力費は、本パブリックビューイング開催のための運営費の一部として使用します。会場にてお支払いをお願いします。

その他

・いわてグルージャ盛岡公式グッズを会場にて販売
・ソフトドリンク/ノンアルドリンクを会場で販売
・来場ごと特典GETのチャンス!スタンプカードも導入中

主催

釜石まちづくり株式会社

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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広報かまいし2023年4月15日号(No.1806)

広報かまいし2023年4月15日号(No.1806)
 

広報かまいし2023年4月15日号(No.1806)

広報かまいし2023年4月15日号(No.1806)

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【P1】
表紙

【P2-7】
令和5年度施政方針・予算の概要

【P8-9】
新型コロナワクチン接種のお知らせ

【P10-11】
まちの話題

【P12】
飲用井戸の整備費用を補助します 他

【P16-17】
保健案内板・保健だより

【P18-19】
イベント案内

【P20】
NTT ジャパンラグビーリーグワン入替戦
第1回ワールドアマチュアラグビーフェスティバル選手募集

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023041400040/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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期待膨らむ!新学校生活スタート 釜石市内の小・中学校で入学式 桜も祝福

「はい!」。新入生が元気な声を響かせた双葉小の入学式=7日

「はい!」。新入生が元気な声を響かせた双葉小の入学式=7日

  
 釜石市内の小中学校は10日までに新年度の入学式が行われた。小学校は9校に190人、中学校は5校に172人が進んだ。桜が咲く中で迎えた「ハレ」の日。各校の新入生らは期待に胸を躍らせながら学校生活をスタートさせた。
   
 新町の双葉小(及川美香子校長、児童130人)には19人が仲間入りした。入学式は7日にあり、緑やピンク、水色といったカラフルなランドセルを背負った新1年生が保護者と登校。通学路や学校敷地内では桜が咲き誇り、その祝福に顔をほころばせた。
   
新入生を歓迎するかのように咲き誇る双葉小敷地内の桜=7日

新入生を歓迎するかのように咲き誇る双葉小敷地内の桜=7日

  
保護者と手をつないで初めて双葉小に登校する新1年生=7日

保護者と手をつないで初めて双葉小に登校する新1年生=7日

   
 体育館での式で新1年生は、教員や保護者、6年生(29人)が見守る中、入場。少し緊張気味だったが、名前を呼ばれると「はい」と元気よく返事し一礼した。
  
 及川校長は「早く学校に慣れて好きになってください。優しく、お友達が嫌がることをしないで正しいことをしっかりできる1年生になってほしい。あいさつもしっかりできるといいですね。心の中に双葉が育ち、大きな花を咲かせることができます」と呼びかけた。
  
心の双葉を育てるための取り組みを分かりやすく伝える及川美香子校長=7日

心の双葉を育てるための取り組みを分かりやすく伝える及川美香子校長=7日

  
校長先生の話や教職員の紹介に耳を傾ける双葉小の新入生=7日

校長先生の話や教職員の紹介に耳を傾ける双葉小の新入生=7日

  
 来賓の高橋勝教育長が告辞。「いろいろ、たくさん遊んで勉強し、周りの人たちのために頑張れる小学生になって」と期待を込めた。6年生は「おはようございます」「さようなら」と元気なあいさつの手本を見せ、新たな仲間を歓迎した。
  
 新入生の三浦伊織さんは「勉強を頑張りたい。一輪車に乗れるようになりたい。友達をつくるのも楽しみ」と期待を膨らませた。母の文子さん(40)は「元気いっぱい、いろんなことを経験してほしい」と優しいまなざしを向けた。
  
保護者や6年生らが見守る中、入学式を終えて退場する新1年生=7日

保護者や6年生らが見守る中、入学式を終えて退場する新1年生=7日

  
 新型コロナウイルス対策のマスク着用について、文部科学省は学校向けに緩和する通知を示しており、同校の入学式では新入生については着用を求めなかった。今月から学校の児童生徒や教職員は基本的に不要と通知されているが、出席者のほとんどはマスク姿で、そうした状況はまだ続くとみられる。

 

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防犯・交通安全の視点を持とう!釜石市内で呼びかけ 地域安全と交通事故防止合同出動式  

新たなスタートを迎える春。街頭で安全運転を呼び掛けた

新たなスタートを迎える春。街頭で安全運転を呼び掛けた

  
 釜石市防犯協会(岩渕善吉会長)と市交通安全対策協議会(会長・野田武則市長)は6日、大町の市民ホールTETTOで春の地域安全運動、新入学期の交通事故防止推進期間(6~15日)の合同出動式を行った。防犯・交通関係団体から100人余りが参加。式後に街頭活動を行い、子どもたちへの交通ルール周知や運転者の意識向上、犯罪被害防止を呼びかけた。
 
 合同出動式で、岩渕会長は「市内でも被害が認知されている特殊詐欺は次々と新しい手口が登場したり巧妙化しており、細心の注意が必要だ。新入学期になると子どもの行動範囲が広がる。日常生活の中で防犯、交通安全の視点を持って見守り活動を行ってほしい」とあいさつした。
   
 釜石警察署の田中洋二署長は管内の治安や交通情勢を説明。「2022年の刑法犯認知件数は2件増加の75件、特殊詐欺は予兆電話が依然として後を絶たず、子どもや女性に対する声かけなど安全安心を脅かす事案も断続的に発生している」とし、関係団体と連携した犯罪抑止活動の推進を強調した。また、管内では昨年中に3件(3人)の交通死亡事故が発生。今年1月には横断歩道上の歩行者を高齢者が運転する車がはねるという重傷事故も発生し、「予断を許さない情勢。街頭活動を実施することで、より多くの方の安全意識の高揚が図れることを期待する」と激励した。
  
地域や子どもたちを守る活動に意欲を高めるボランティアら

地域や子どもたちを守る活動に意欲を高めるボランティアら

  
安全指導に出動する防犯パトロール車を関係者が見送った

安全指導に出動する防犯パトロール車を関係者が見送った

 
 参加者は安全指導に出動する警察のパトカー、ボランティアが乗った青色防犯パトロール車を見送り、目抜き通りとイオンタウン釜石の出入り口に分かれて両運動のスタートを市民に伝えた。TETTO前の県道(主要地方道)沿いでは「事故多発注意」「自転車安全運転」「携帯電話運転禁止」などと呼びかける手持ちの看板を掲げてアピールした。
  
 改正道路交通法の施行で、今月から自転車に乗る時は全年齢でヘルメット着用が努力義務となったこと踏まえ、周知活動を強化。20年に全国で起きた自転車に乗った人の事故で、死者の約6割が頭部に致命傷を負っていた―といった実態や「自転車安全利用五則」を示したチラシを、歩行者やヘルメット未着用の自転車利用者に配った。
  
自転車利用時のヘルメット着用を呼びかけるチラシを配布

自転車利用時のヘルメット着用を呼びかけるチラシを配布

  
「気を付けて」。まちの安全へ市民個々の意識高揚を訴えた

「気を付けて」。まちの安全へ市民個々の意識高揚を訴えた

 
 地域安全運動は「なくそう犯罪 ふやそう笑顔 みんな大好き岩手県」をスローガンに掲げる。▽子ども・女性・高齢者の犯罪被害防止▽鍵かけの励行-を重点とし、青色回転灯装備車両による防犯パトロールなど啓発活動を展開。関連で、釜石署は11日に市内3町内会へ「鍵かけモデル地区」指定書を交付、防犯意識を高めてもらい施錠の習慣化を図る。
  
 交通事故防止推進期間における活動は、今年行われる統一地方選挙の影響で、例年4月に実施する春の全国交通安全運動が5月11~20日にずれるため岩手県が独自に講じた対策。事故が起きやすい新入学期に、関係団体が連携して子どもの安全を守る活動を強化する。スローガンは「あげた手は いのちをしらせる 警報機」。▽運転者の歩行者保護と道路横断者の交通マナー向上▽自転車の安全利用の推進▽すべての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底-を重点に据える。
 

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高校ラグビー強豪12チーム W杯聖地釜石・うのスタで交流試合 震災講話で防災も学ぶ  

全国から高校ラグビーの強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

全国から高校ラグビーの強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 全国のラグビー強豪校が参加した東北復興高校ラグビー交流会(同実行委主催)は1日から3日間、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムと根浜シーサイド天然芝広場で開かれた。常翔学園(大阪府)、東福岡(福岡県)、桐蔭学園(神奈川県)など、全国大会で名を知られた12チームが“ラグビーのまち釜石”に集結。約350人が試合や防災学習を通じて交流を深めた。
 
 2019年に開かれたラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場の一つとなった同スタジアム。大会レガシーを継承し、ラグビー振興や震災復興の一助にと企画された交流会は当初20年に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で断念。感染症の規制緩和が図られた今年、常翔学園ラグビー部の野上友一ゼネラルマネジャーの各校への声掛けで再び開催機運が高まり、地元釜石のラグビー関係者とともに3年越しの実現にこぎ着けた。
 
桐蔭学園(神奈川県、緑ジャージ)と福島県高校合同チームの試合

桐蔭学園(神奈川県、緑ジャージ)と福島県高校合同チームの試合

 
黒沢尻工業(岩手県、黒赤しまジャージ)―常翔学園(大阪府)=2日、根浜シーサイド

黒沢尻工業(岩手県、黒赤しまジャージ)―常翔学園(大阪府)=2日、根浜シーサイド

 
 1、2の両日はできるだけ多くのチームと試合ができるよう、20分1本の対戦カードが組まれた。最終3日は、2日間の試合で選出されたベスト選手30人によるエキシビジョンマッチが行われた。各校の選手らはコロナ禍で他県チームとの試合機会が減っていただけに、本交流会は新年度のチーム作りに向け、自他の力を知るいい機会になった。
 
 滞在中は、防災学習にも取り組んだ。学校ごとに東日本大震災の犠牲者の芳名が掲げられる「釜石祈りのパーク」や震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」を訪問。2日は同スタジアムに全参加者が集まり、未来館スタッフの川崎杏樹さん(26)から話を聞いた。川崎さんは震災前、同スタジアムの場所にあった釜石東中の卒業生で、2年時に震災を経験。隣接していた鵜住居小の児童と大津波から逃れた避難行動について話し、防災への備えの大切さを伝えた。
 
大津波から逃れた川崎杏樹さんの話を聞く参加者

大津波から逃れた川崎杏樹さんの話を聞く参加者

 
スタジアムの場所にあった釜石東中、鵜住居小の校舎は高台造成地に新築され(写真奥)、2017年に仮設校舎から移った

スタジアムの場所にあった釜石東中、鵜住居小の校舎は高台造成地に新築され(写真奥)、2017年に仮設校舎から移った

 
 東福岡高の内田陽太朗さん(3年)は初めて訪れた同スタジアムに「とても素晴らしいグラウンド。W杯選手がプレーした場所で試合ができてうれしい」と笑顔。同校は1月、全国高校ラグビー大会で7回目の優勝に輝いた。3月の全国選抜大会は準優勝。チームは「リベンジに向け燃えている」と、本交流会もレベルアップへの好機とした。内田さんは震災の話を聞き、被災地の悲しみに共感。家庭では災害時の避難場所や方法を家族で話し合い、非常持ち出し袋も準備しているといい、「これを機にさらに防災意識を高めたい」と話した。
 
東北からは仙台育英学園(写真:黄黒ジャージ)、秋田工業、青森山田も参加

東北からは仙台育英学園(写真:黄黒ジャージ)、秋田工業、青森山田も参加

 
対常翔学園戦でトライを決める仙台育英学園

対常翔学園戦でトライを決める仙台育英学園

 
 参加者の中には釜石市出身者の姿も。釜石中から仙台育英学園に進んだ及川勝太さん(3年)は地元での交流機会を喜び、「全国大会トップ4のチームとも対戦できた。体を当ててみて常翔学園とかの強度の高さを実感。この冬の花園に向けて全国で勝てるチームになっていけたら」と刺激を受けた様子。長年抱いてきた花園出場の夢を糧に「地元の人たちに自分のプレーしている姿を見てもらえるよう、もっと頑張らねば」と精進を誓った。
 
釜石市出身、仙台育英学園3年のCTB及川勝太さん(左)。父勝加さん(右)は釜石シーウェイブスジュニアの指導者

釜石市出身、仙台育英学園3年のCTB及川勝太さん(左)。父勝加さん(右)は釜石シーウェイブスジュニアの指導者

 
 実行委員長を務めた釜石市ラグビーフットボール協会の小笠原順一会長(63)は「全国からこれだけの強豪校が来てくれて感動している。今年はラグビーW杯(フランス大会)もあるので、もう一度地元のラグビー熱が高まれば」と期待。交流会の継続開催も見据え、「地元高校の合同チームの参加も実現できれば。これを機に釜石へのラグビー合宿誘致にも取り組んでいきたい」と夢を描いた。

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*春らんまん* 釜石市内各所で「桜」満開 今季運行終了のSL銀河とのコラボも

小川川沿いのソメイヨシノの並木=9日午前撮影

小川川沿いのソメイヨシノの並木=9日午前撮影

 
 釜石市内は先週末、各所の桜が満開となり、花見を楽しむ人たちが繰り出した。ほとんどの桜が例年より1週間以上早く開花。入園、入学式シーズンを彩った。青空が広がった9日日曜日は、家族連れなどが桜の名所に足を運び、花を愛(め)でたり記念撮影したりする姿が見られた。8、9の両日は、今季で運行を終了するSL銀河と桜を写真や映像に収めようという人たちが沿線各所でカメラを構えた。
 
 釜石駅近くの駐車場内にある線路沿いの桜並木。8日は、午後3時10分釜石着のSL銀河と桜を同時に撮影しようという人たちが市内外から集まった。蒸気や煙を棚引かせ、汽笛を鳴らしながら到着する列車を満開の桜がお出迎え。熱烈なSLファンや地元住民らが今年で最後となる光景をカメラに収めた。
 
満開の桜に迎えられ、釜石駅に到着するSL銀河=8日午後3時9分撮影

満開の桜に迎えられ、釜石駅に到着するSL銀河=8日午後3時9分撮影

 
線路沿いに連なる桜並木=鈴子町/到着後、転車台の前でカメラを向ける人たち(左上写真)

線路沿いに連なる桜並木=鈴子町/到着後、転車台の前でカメラを向ける人たち(左上写真)

 
 一関市から訪れた田辺毅さん(50)は「SL銀河と桜のコラボも今年で見納め。この季節ならではの写真を撮りたいと思って。うまく撮れているかは別ですけど」と笑い、カメラの画像をチェック。4月中に釜石―遠野間を2回乗車予定。「まさか(切符を)取れるとは思っていなくて。ほんと、運が良かった。恵まれています」と車窓からの景色も楽しみにした。
 
 運行開始当初からホームでの出迎え、見送りなどに協力してきた地元・鈴子町内会の女性陣。この日は桜の下で歓迎の手旗を振って出迎えた。夕向有子さん(77)は「今年は一気に咲いた。満開の桜とSL、こんな絵に描いたような光景はめったにない。時期を逃すまいと出てきました」と友人と声をそろえ、「何とも言えない幸せな気分」に浸った。
 
 9日の釜石発の上り運行でも、沿線の桜がある場所に多くのカメラマンが陣取った。桜木町の日本製鉄釜石山神社付近の線路沿いの桜並木。強風で散り始めた花びらが舞う中、SLが通過し、名残惜しい風景を見せた。
 
小川川の橋梁を通過するSL銀河(上り)=9日午前10時3分ごろ

小川川の橋梁を通過するSL銀河(上り)=9日午前10時3分ごろ

 
 小川川下流域沿いのソメイヨシノの並木は市内を代表する花見スポット。枝先が川面に垂れるような木もあり、清流と背後の山々と相まって独特の風情を生み出している。地元住民によると、最高気温が20度を超えた5、6日で一気に満開に。7日は雨に濡れたが花は持ち、天候が回復した9日は家族連れらが訪れ、桜をバックに記念写真を撮る姿が見られた。昨年の桜シーズンには同所で映画の撮影も行われており、さらに知名度もアップしている。
 
川側に張り出す枝ぶりが見事なソメイヨシノ=小川川下流

川側に張り出す枝ぶりが見事なソメイヨシノ=小川川下流

 
きれいな桜をバックに記念の一枚。春の思い出!

きれいな桜をバックに記念の一枚。春の思い出!

 
 市中心市街地を一望できる高台、大町の薬師公園も古くから親しまれる桜の名所。頂上広場のソメイヨシノのほか、坂道の遊歩道沿いでは濃桃色の花が目を引くシダレヒガンザクラなども咲き誇る。赤い花の椿も開花しており、9日は青空を背景に花色の競演が見られた。広場のベンチでは持参した団子などを味わいながら、花見を楽しむ人たちも。桜の合間からのぞく釜石湾、震災復興で形成された新たな街並みも春景色に彩りを添えた。
 
 大町の佐藤なつきさん(36)は「下からは結構見ているが、上まで上ってきたのは久しぶり。近場で桜を見られるのは魅力的。今日は青空に恵まれて最高の花見日和。きれいな花を見るとうれしくなる」と声を弾ませた。夫卓也さん(40)は「スマホやテレビで画面越しに見るのとは違って断然いい。気持ちが和み、すごく癒やされる。明日からまた頑張れそう」と活力をもらった様子。夫婦で春のひとときを楽しんだ。
 
薬師公園には9日、続々と花見客が訪れた/花色の異なる桜が出迎える遊歩道(左下写真)。夜には園内のちょうちんに明かりがともされる

薬師公園には9日、続々と花見客が訪れた/花色の異なる桜が出迎える遊歩道(左下写真)。夜には園内のちょうちんに明かりがともされる

 
薬師公園頂上広場のソメイヨシノはほぼ満開

薬師公園頂上広場のソメイヨシノはほぼ満開

 
園内からは釜石湾の青い海、市街地の街並みを眺望できる

園内からは釜石湾の青い海、市街地の街並みを眺望できる

 
 唐丹町本郷の桜並木は、1933(昭和8)年の三陸大津波からの復興を願って植樹されたもの。道路の両側に立ち並び、毎年見事な桜のトンネルを作り出している。休日の9日は見物に訪れる人たちの車の出入りが続いた。同所では3年に一度、天照御祖神社の式年大祭「大名行列」が行われるが、開催年にあたった2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止された。コロナ収束後の祭りの復活が待たれる。
 
唐丹町本郷の桜並木。目にも鮮やかな桜のトンネルが来訪者を迎える

唐丹町本郷の桜並木。目にも鮮やかな桜のトンネルが来訪者を迎える

 
美しく咲き誇る桜の下で多くの見物客が散策を楽しんだ=9日

美しく咲き誇る桜の下で多くの見物客が散策を楽しんだ=9日

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期待!化学反応 釜石と神奈川の高校生ら交流 合言葉は「震災の記憶伝承と防災」

防災に取り組む仲間として親睦を深めた釜石と神奈川の高校生

防災に取り組む仲間として親睦を深めた釜石と神奈川の高校生

 
 釜石高の生徒有志グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」を応援しようと、神奈川県で募金活動を展開した2つの学生団体が1日、釜石市を訪れ、夢団メンバーと交流した。両地域の学生に共通するのは「東日本大震災の記憶と防災の取り組みをつなぐ」との熱い思い。それぞれの活動を紹介し合い、刺激し合うことで起こる「化学反応」に期待を寄せた。
  
 来釜したのは、鎌倉市で防災に取り組む中高生ボランティアグループ「玄海」代表の橋本玄(はるか)さん(金沢総合高3年)と、逗子市で同様の活動を行う「3.11つなぐっぺし」代表の田島太地(だいち)さん(同)。それぞれの市で3月11日を中心に街頭に立って募金活動を行った。「私たちは震災の記憶を持つ最後の世代。岩手県釜石市で伝承活動をしている高校生を応援しています」と呼びかけ、玄海は5日間の活動で40万円を集め、つなぐっぺしには4日間で20万5801円が寄せられた。
 
釜石市を訪れた橋本玄さん(左)と田島太地さん

釜石市を訪れた橋本玄さん(左)と田島太地さん

 
鎌倉市や逗子市での募金活動を動画で紹介した

鎌倉市や逗子市での募金活動を動画で紹介した

 
 交流会は大町の情報交流センターであり、夢団代表の小笠原桜さん(釜石高3年)らメンバー11人が迎えた。神奈川の2団体が募金活動を行うきっかけは、3月上旬(3-5日)に夢団が招かれた横浜市での交流行事。橋本さんは「同じ年で、震災の経験や防災の話を伝える姿に感動した。うれしくて応援したくなった」、田島さんは震災を知らない世代が増えていることを踏まえ、「若い世代がつないでいくことが大事。防災を学ぶことで、いざという時に役立っていくはず」と思いを明かした。
  
神奈川からの応援を受け取った小笠原桜さん(中央)ら

神奈川からの応援を受け取った小笠原桜さん(中央)ら

  
 応援金を受け取った後、夢団メンバーは使い道を話し合った。釜石鵜住居復興スタジアムでの語り部や防災食の研究、動画による発信、災害時の判断力を養う防災ゲーム「釜石版クロスロード」の作成などの活動を行っていて、それぞれの取り組みを深化させることを共有。「ユニホームをつくる」「震災の被災地以外でも活動したい」といった声も上がった。
  
 そんな釜高生に、橋本さんは「面白いことをして」と期待。防災士でもあり、「鎌倉は津波想定で、最大14メートル超の波が8分で到達するとされている。災害に弱いまちなので、震災の記憶を受け継ぎたいし、ワンチームで互いに学び合いながら防災を広める活動に取り組みたい。どんな化学反応が起こるか、楽しみ」と目を細めた。
  
共通の話題で意気投合。笑顔で交流を楽しんだ

共通の話題で意気投合。笑顔で交流を楽しんだ

 
やってみたい取り組みを共有する高校生たち

やってみたい取り組みを共有する高校生たち

  
 神奈川の2つの団体は「防災を楽しく」をテーマに、音楽や食、キャンプ、運動会などと組み合わせたイベントで学びを発信している。横浜訪問で2人と顔を合わせていた釜高2年の佐々木有寿(ありす)さんは再会を喜びつつ、「震災被災地と遠く離れた場所でも災害に備え、真剣に取り組んでいることを知って刺激を受けた。人口が多い土地ならではの防災にも興味を持った。もっと広い地域の取り組みを知りたいし、釜石のことに触れてもらう機会も作りたい」と思いを深めた。
 
 小笠原さんも同じ気持ちだ。震災当時4歳で、地震の怖さや自宅のあった鵜住居地区をのみ込む黒い波を覚えている。だからこそ、「記憶を残す最後の世代だ」ということを強く意識する。同年代の応援は心強く、「今の活動をレベルアップさせ、新しいチャレンジもしてみたい。個人的には、小学生に防災を教えるプロジェクトを立ち上げたい」と力をもらった。
 
 

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市指定文化財「上栗林のサクラ」開花 昼も夜も見応え十分! 11日ごろまでライトアップ実施中

上栗林のサクラ
 
 釜石市指定文化財(天然記念物)の巨木、同市栗林町の「上栗林のサクラ」が見頃を迎えている。地元町内会の上栗林振興会(三浦栄太郎会長、29世帯)が続ける夜のライトアップも2日から始まった。昼と夜で異なる趣を楽しめる市内最大の一本桜。今年は例年以上のボリュームで咲き誇り、訪れる人たちを喜ばせている。ライトアップは11日ごろまでを予定する。点灯は午後6時半から午後9時半まで。
 
 上栗林集会所に隣接する私有地に自生する同サクラはエドヒガン種。樹齢400年以上と推定され、2006年の市の調査では胸高幹周りが約4.9メートル。07年に市の文化財に指定された。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安とされてきた。剪定(せんてい)など人の手は一切加えておらず、自然の力で成長。古木ながら樹勢は衰えず、毎年美しい花姿を見せている。
 
釜石市指定文化財の「上栗林のサクラ」=同市栗林町、5日午後撮影

釜石市指定文化財の「上栗林のサクラ」=同市栗林町、5日午後撮影

 
枝先にボリューム満点の花を咲かせ、来訪者の目を楽しませている

枝先にボリューム満点の花を咲かせ、来訪者の目を楽しませている

 
 今年は例年より10日ほど早い2日に開花した。この時期としては異例の最高気温23度に達した5日は、朝と昼で開花具合が目に見えて違うほど咲き進み、一気に6分咲きに。地元住民は「いつも開花から2、3日で5~6分ぐらいまで咲き進む。色的には、蕾(つぼみ)が交じるぐらいの段階が薄いピンク色が映えてきれい」と話す。
 
 5日午後に訪れた市内の家族連れも「花色がきれいなうちに1回見ておこうと思って。今が一番なんじゃないかな。もう少しすると色が抜けてきちゃうので…」と、見どころを押さえている様子。春を通り越した暖かな陽気の中で、最高の花見を楽しんでいた。
 
夜のライトアップは圧巻の光景!日中とは違う趣を醸し出す

夜のライトアップは圧巻の光景!日中とは違う趣を醸し出す

 
 同振興会による夜のライトアップは今年で11年目を迎える。2色のLED照明で浮かび上がる見事な枝ぶり、美しい花色は目を見張る光景。陽光に照らされる昼とは違う幻想的な雰囲気が広がる。特に夜は周りの暗さで樹形がくっきりと際立つため、見る角度でさまざまな表情を楽しめるのも魅力の一つとなっている。
 
 ライトアップを始めた当初は東日本大震災の復興工事が盛んな時期で、目の前の県道を行き来する工事関係者らも多数立ち寄るなど、交通整理をするほどのにぎわいだった。新型コロナウイルス感染症の流行が始まってからは道路沿いへの看板掲示も控え、大々的な宣伝は自粛してきた。それでも、同サクラの素晴らしさを知る市民らを中心に、毎年継続して足を運ぶ人たちは多い。
 
暗闇に浮かび上がる花姿は何とも言えない美しさ

暗闇に浮かび上がる花姿は何とも言えない美しさ

 
5日は雲の隙間からのぞく月明かりとのコラボも

5日は雲の隙間からのぞく月明かりとのコラボも

 
 同振興会の三浦会長(72)は「子どものころからなじみのサクラ。隣に集会所もあり、ここは地域の中心的場所。コロナ禍前は地区住民が集まり、花見会もやっていた」と懐かしむ。コロナも収束傾向にあることから「来年は地区の花見会も復活させたい。コロナ禍前から考えていた、同所でのコンサートなどコラボ企画のイベントも実現できれば」と来シーズン以降を見据える。
 
雪の残る片羽山など周辺風景とのマッチングも魅力的な桜写真を見せる振興会の三浦栄太郎会長(左)と川崎悦三郎さん

雪の残る片羽山など周辺風景とのマッチングも魅力的な桜写真を見せる振興会の三浦栄太郎会長(左)と川崎悦三郎さん

 
上栗林振興会では末永い桜の保全、継承を願う

上栗林振興会では末永い桜の保全、継承を願う

 
 釜石市内から同所へのアクセスは、鵜住居町の国道45号寺前交差点から県道釜石遠野線を橋野町方面に進行。栗林町上栗林地区、沿線右手に矢印形の標識が見える。

Fujii_hayakawa_duo_thum

Oboe 藤井貴宏×Bandoneon 早川純 DUO TOUR VOL.3

Oboe 藤井貴宏×Bandoneon 早川純 DUO TOUR VOL.3
 
ドイツ在住オーボエ藤井貴宏と国内で幅広く活躍するバンドネオン早川純、異色DUOによるコンサート。二つのリード楽器が呼応し響き合う、此処にしか無い温もりと清澄の音楽。
 
Oboe 藤井貴宏×Bandoneon 早川純 DUO TOUR VOL.3
 
イベントのチラシはこちら
 
新型コロナウイルス感染予防のため、以下の項目にご協力をお願いします。
・自宅出発前に検温と体調チェックを行い、発熱がある場合や体調がすぐれない場合は、来場をお控えください。
・施設入口に設置しているアルコール消毒液で、手指の消毒をお願いします。
・入場前の検温にご協力お願いします。
・こまめな手洗いと咳エチケットの励行をお願いします。
・体調が悪くなった場合は、ご遠慮なくホールスタッフにお申し出ください。
 

日時

2023年4月25日(火)18:30〜20:30予定(開場18:00)

会場

釜石市民ホールTETTO ホールB

プログラム

リベルタンゴ(A.ピアソラ)
ガブリエルのオーボエ(E.モリコーネ)
ルーマニア民族舞曲(B.バルトーク)
タンゴの歴史より(A.ピアソラ)
ほか
曲目は都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。

出演

藤井 貴宏 Takahiro Fujii オーボエ
東京藝術大学音楽学部器楽課オーボエ専攻卒業。ジョルジ・エネスコフィルハーモニー交響楽団、小松亮太&オルケスタティピカ、バッハコレギウムジャパンの公演に出演。兵庫芸術文化センター管弦楽団奏者を経て、2009年にH.シェレンベルガー氏の招きで渡独。ヨーロッパを中心に精力的に活動を行う。ドレスデン・バッハゾリステン、アンサンブルハンスベルガーメンバー。ドイツ・バイエルン州オーバーアウドルフ在住。
http://www.takahirofujii-oboe.com
 
早川 純 Jun Hayakawa バンドネオン
東京芸術大学音楽学部楽理科卒業。ジェヌビリエ音楽院ジャズDEMを満場一致の一位で取得。小松亮太オルケスタ、菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラールなどに参加。2013~2015年の間パリを拠点としてヨーロッパ各地で演奏活動を展開。2022年イタリア・サルデーニャ島で行われたバンドネオンコンペティションにおいて優勝。現在日本を拠点として、バンドネオンの新しい可能性を独自のスタイルで追求している。
http://hayakawajun.com/

料金

全席自由 一般:2,500円 小学生以下:1,000円 当日同じ
 
◎割引
本公演では割引チケットはございません。予めご了承ください。
 
※未就学児入場不可。

プレイガイド

【プレイガイド窓口】
【釜石】釜石市民ホール
チラシに記載のQRコードからも予約できます
 
【電話予約】
〇釜石市民ホールTETTO 0193-22-2266へお電話ください。

お問い合わせ

【公演に関するお問合せ】
soncreer2001*gmail.com *を@に変えて送付お願いします 
050-5278-2460(LOCO企画)
 
【釜石市民ホールTETTO】
TEL:0193-22-2266
mail:daihyo*tetto-kamaishi.jp *を@に変えて送付お願いします

備考

【駐車場について】
当ホールには、専用駐車場がございません。車でご来場の際は、市営大町駐車場など近隣の有料駐車場をご利用くださいますようお願いいたします。
 
【大町駐車場割引券サービス】
公演当日、ホール総合案内にチケットと大町駐車場券を提示いただくと、駐車1時間サービス券を2枚進呈いたします。ぜひご利用ください。

主催等

【共催】釜石市民ホール
【制作協力】NPO法人LOCO企画
 

釜石市民ホール TETTO

釜石市民ホール TETTO

問い合わせ: TEL 0193-22-2266 / FAX 0193-22-3809 / 公式サイト
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-9

2023start3

新年度、本格スタート 釜石市役所で市長訓示・辞令交付 街中では桜もほころぶ

向かって新しい一歩を踏み出した新人職員ら=5日、釜石鵜住居復興スタジアム

目標に向かって新しい一歩を踏み出した新人職員ら=5日、釜石鵜住居復興スタジアム

  
 3日の釜石市内は高気圧に覆われ、朝から晴れ間が広がった。風に冷たさは残るものの、暖かな日差しを感じる時間も多くなっていて、街中では桜がほころんでいる。そんな中、新年度が本格的にスタート。市役所では野田武則市長の訓示や辞令を受けた職員らが市政運営へ気持ちを新たにした。新採用職員の研修も開始。「ラグビーのまち」の理念を理解してもらおうと用意された体力勝負のメニューを体験しながら、チームワークの大切さを感じ取った。
  
咲きほころぶ一本桜。釜石風景を春色に染める=3日、大渡町橋詰広場

咲きほころぶ一本桜。釜石風景を春色に染める=3日、大渡町橋詰広場

  
釜石市の新職員を代表して宣誓書を読み上げる佐々木要さん=3日、釜石市役所議場

釜石市の新職員を代表して宣誓書を読み上げる佐々木要さん=3日、釜石市役所議場

  
 新型コロナウイルス禍で4度目の春。マスク着用などさまざまな制限が緩和される中、市役所では議場に一堂に会す例年のスタイルで辞令交付が行われた。新たに採用された16人はマスクを外して式に臨んだ。代表で財政課に配属される佐々木要さん(30)が「市民全体の奉仕者として、誠実、公正に職務を遂行する」と宣誓書を読み上げた。
  
 佐々木さんは浜町出身で、東日本大震災で自宅が全壊した。進学のため釜石を離れていたため津波の様子は目にしていないが、「災害での被害をなくしたい」と大学では津波のメカニズムなどを学んだ。金融機関に就職したが、古里への転勤を機に「防災、まちづくりに関わりたい」と公務員に転向。前職を生かした業務から新たな一歩を進め、将来は「若い人が戻って来たいと思うユニークなまちにしたい」と思い描く。
 
野田武則市長(右)の訓示に耳を傾ける市職員=3日、釜石市役所議場

野田武則市長(右)の訓示に耳を傾ける市職員=3日、釜石市役所議場

 
 野田市長は新職員に対し「先憂後楽」との言葉を贈り、「市民ファースト、市民と同じ立場で見て考える姿勢を大事にしてほしい」と激励。1日付で新たに就任した平松福寿副市長や各部長など約30人の職員に対しては、「人口減の中、市政運営は厳しい状況が続くだろう。市内企業の雇用拡大、専門学校の開校、インターンシップやスタディケーションといった動きを融合させ、新たな展開を模索していこう」と協力を求めた。
  
釜石市の新規採用職員はラグビー研修で親睦を深めた=5日、釜石鵜住居復興スタジアム

釜石市の新規採用職員はラグビー研修で親睦を深めた=5日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 市の新人職員らを対象にしたラグビー研修は5日、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。19年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石大会誘致の経緯や得たレガシー(遺産)を生かしたまちづくりを学んだ後、グラウンドへ。ゴールキック体験やパスをつないでトライまでの速さを競ったりしながら汗を流した。
  
「まちの魅力を伝えたい」。ゴールキックに挑む阿部帆歌さん=5日、釜石鵜住居復興スタジアム

「まちの魅力を伝えたい」。ゴールキックに挑む阿部帆歌さん=5日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 市国際交流課に配属が決まっている阿部帆歌(ほのか)さん(18)は「やってみると難しさ、楽しさが分かる。結束力が大事で、仕事でも生かせる。困った時に相談したり、助け合ったりできる。スポーツを通してコミュニケーションも活発になる」と、さまざまなことを学び取った。市職員を選んだきっかけは、中学3年時にあったラグビーW杯。盛り上げ活動に取り組んだ経験を生かし、「釜石のよさを少しでも多く伝えたい」と意欲を高めていた。
 
 

shobo7661

釜石大槌消防職員OB「消防支援隊」結成 豊富な経験生かし大規模災害時に業務支援

釜石大槌地区の「消防支援隊」として活動する消防職員OBと行政事務組合関係者ら

釜石大槌地区の「消防支援隊」として活動する消防職員OBと行政事務組合関係者ら

 
 釜石大槌地区行政事務組合消防本部は大規模災害発生時の体制強化を目的に、2023年度から同本部職員OBによる「消防支援隊」を発足させた。地震・津波、水害、山火事などで大きな被害が予想される際、消防長の要請で庁舎などに参集。情報収集や消防団との連絡調整、資機材準備といった後方支援を主に担う。同様の組織の創設は、盛岡地区に次いで県内2例目となる。
 
 支援隊は同本部管轄区域内に居住する75歳未満の元職員(在職10年以上、健康な方)で組織。無償で活動する。初年度は該当者20人中、64~74歳の16人が登録。3月30日、釜石市鈴子町の消防本部庁舎で発足式が行われ、隊員11人と関係者が出席した。
 
釜石大槌地区消防本部「消防支援隊」発足式=3月30日、消防庁舎

釜石大槌地区消防本部「消防支援隊」発足式=3月30日、消防庁舎

 
 組合管理者の野田武則釜石市長は「東日本大震災を経験した皆さまの豊富な知識、技術を再び釜石市民、大槌町民のために発揮していただきたい」と式辞。登録隊員が紹介され、同本部の大丸広美消防長が代表の千葉榮(さかえ)さん(70)に登録証を交付した。2011年度から13年度まで同本部消防長を務めた千葉さんは「任務の重要性を深く心に刻み、全力で支援にまい進する」と決意表明した。
 
登録証と活動時に着用するヘルメット、ベストなどを受け取る千葉榮さん(左)

登録証と活動時に着用するヘルメット、ベストなどを受け取る千葉榮さん(左)

 
支援隊員を代表し、千葉さん(左)が決意表明

支援隊員を代表し、千葉さん(左)が決意表明

 
本部から貸与されたベストを着用する支援隊員ら

本部から貸与されたベストを着用する支援隊員ら

 
 登録した16人のうち13人は東日本大震災発生時に現職。支援隊の必要性は消防退職者会の集まりで3年ほど前から話題に上り、同本部に相談。先進地盛岡でも話を聞くなどし、発足への準備を進めてきた。千葉さんは「(人口減少、少子高齢化などで)消防団員も減ってきている中、消防職員OBが何もしないわけにはいかないと考えた。現職時代に得た数々の経験、教訓を生かし、災害対応の力になれれば」と話す。
 
 大規模災害発生時は現場出動の人員が増え、消防庁舎での対応人員が不足しがち。要請された支援隊がいち早く駆け付け、初期対応に加わることは大きな助けになる。OB側からの自主的な提案に大丸消防長は「非常に心強い。隊員は震災時の緊迫した状況下での指揮経験もある。支援活動を通じて現職への経験の伝承にもつながっていけば」と期待した。