新年度、本格スタート 釜石市役所で市長訓示・辞令交付 街中では桜もほころぶ
目標に向かって新しい一歩を踏み出した新人職員ら=5日、釜石鵜住居復興スタジアム
3日の釜石市内は高気圧に覆われ、朝から晴れ間が広がった。風に冷たさは残るものの、暖かな日差しを感じる時間も多くなっていて、街中では桜がほころんでいる。そんな中、新年度が本格的にスタート。市役所では野田武則市長の訓示や辞令を受けた職員らが市政運営へ気持ちを新たにした。新採用職員の研修も開始。「ラグビーのまち」の理念を理解してもらおうと用意された体力勝負のメニューを体験しながら、チームワークの大切さを感じ取った。
咲きほころぶ一本桜。釜石風景を春色に染める=3日、大渡町橋詰広場
釜石市の新職員を代表して宣誓書を読み上げる佐々木要さん=3日、釜石市役所議場
新型コロナウイルス禍で4度目の春。マスク着用などさまざまな制限が緩和される中、市役所では議場に一堂に会す例年のスタイルで辞令交付が行われた。新たに採用された16人はマスクを外して式に臨んだ。代表で財政課に配属される佐々木要さん(30)が「市民全体の奉仕者として、誠実、公正に職務を遂行する」と宣誓書を読み上げた。
佐々木さんは浜町出身で、東日本大震災で自宅が全壊した。進学のため釜石を離れていたため津波の様子は目にしていないが、「災害での被害をなくしたい」と大学では津波のメカニズムなどを学んだ。金融機関に就職したが、古里への転勤を機に「防災、まちづくりに関わりたい」と公務員に転向。前職を生かした業務から新たな一歩を進め、将来は「若い人が戻って来たいと思うユニークなまちにしたい」と思い描く。
野田武則市長(右)の訓示に耳を傾ける市職員=3日、釜石市役所議場
野田市長は新職員に対し「先憂後楽」との言葉を贈り、「市民ファースト、市民と同じ立場で見て考える姿勢を大事にしてほしい」と激励。1日付で新たに就任した平松福寿副市長や各部長など約30人の職員に対しては、「人口減の中、市政運営は厳しい状況が続くだろう。市内企業の雇用拡大、専門学校の開校、インターンシップやスタディケーションといった動きを融合させ、新たな展開を模索していこう」と協力を求めた。
釜石市の新規採用職員はラグビー研修で親睦を深めた=5日、釜石鵜住居復興スタジアム
市の新人職員らを対象にしたラグビー研修は5日、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。19年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石大会誘致の経緯や得たレガシー(遺産)を生かしたまちづくりを学んだ後、グラウンドへ。ゴールキック体験やパスをつないでトライまでの速さを競ったりしながら汗を流した。
「まちの魅力を伝えたい」。ゴールキックに挑む阿部帆歌さん=5日、釜石鵜住居復興スタジアム
市国際交流課に配属が決まっている阿部帆歌(ほのか)さん(18)は「やってみると難しさ、楽しさが分かる。結束力が大事で、仕事でも生かせる。困った時に相談したり、助け合ったりできる。スポーツを通してコミュニケーションも活発になる」と、さまざまなことを学び取った。市職員を選んだきっかけは、中学3年時にあったラグビーW杯。盛り上げ活動に取り組んだ経験を生かし、「釜石のよさを少しでも多く伝えたい」と意欲を高めていた。
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